説明

燃料電池システム

【課題】どのような運転状況であっても燃料電池の発電を安定させることができ、しかも装置の簡素化および小型化が可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】電解質膜を挟んで空気が供給される空気極と水素が供給される水素極とが配置される膜電極接合体がセパレータを介して複数積層された燃料電池10と、燃料電池10に冷媒を供給する冷媒供給装置20と、空気極に空気を供給する空気供給部30と、冷媒に水素を供給する水素供給部40と、冷媒に水素を含有させるミキサ50A〜50D、とを備え、冷媒供給装置20は、水素極に水素を含有した冷媒を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガス循環型の燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムにおいては、燃料電池に供給する燃料ガスを有効に使用するための技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、エゼクタを用いて、燃料極から排出された未反応の燃料ガス(水素)を、再び燃料極に戻して循環させる技術が提案されている。このような水素循環型の燃料電池システムを車両に適用することで、車両に搭載された高圧水素タンクの圧力エネルギを有効に利用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−284098号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の水素循環型の燃料電池システムでは、燃料電池システムを車両に搭載した場合、車両が減速したとき、あるいは、アイドルストップ等の間欠運転をしたとき、燃料電池への水素(燃料ガス)の供給を停止するものがある。この間、燃料電池は、内部に滞留する酸素(酸化剤ガス)と水素とを反応させて発電させることが行われている。
【0005】
しかし、燃料電池に新規の水素が供給されないため、燃料電池内で反応によって生成した水は、燃料電池内、詳しくは水素極(燃料極)から排出されなくなる。そのため、加減速を繰り返したり、アイドルストップ等の間欠運転をした場合、生成水が燃料電池内から排出されずに滞留してしまう。このため、水素極の表面が生成水で覆われることにより水素極への水素供給が阻害され、燃料電池の発電安定性が損なわれるという問題がある。
【0006】
また、燃料電池に水素を供給するためには、水素の温度調整用の熱交換器、水素極から排出される水を抽出して排水するための気液分離器といった様々な補機類が必要となる。そのため、燃料電池システムの簡素化や小型化が困難となる。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、どのような運転状況であっても燃料電池の発電を安定させることができ、しかも装置の簡素化および小型化が可能な燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電解質を挟んで酸化剤ガスが供給される酸化剤極と燃料ガスが供給される燃料極とが配置される膜電極接合体がセパレータを介して複数積層された燃料電池と、前記燃料電池に冷媒を供給する冷媒供給装置と、前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、前記冷媒に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、前記冷媒に前記燃料ガスを含有させる含有装置と、を備え、前記冷媒供給装置は、前記燃料極に燃料ガスを含有した冷媒を供給することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、燃料ガスを含有させた冷媒を燃料極に供給するシステムにすることで、例えば、燃料ガスの温度調整をするための熱交換器を冷媒の温度調整をするための冷媒供給装置(ラジエータなど)と共有することができ、また反応によって生成した水を抽出して排出するための気液分離器を無くすことができるので、燃料電池システムの簡素化および小型化が可能になる。
【0010】
また、含有装置によって燃料ガスが冷媒中に含有した状態で燃料電池に供給されるので、燃料極に燃料ガスが適切に供給され、発電を安定して行うことができる。よって、車両の減速時、アイドルストップの間欠運転時などにおいて、燃料電池への水素(燃料ガス)の供給を停止したとしても、発電安定性が損なわれることがない。
【0011】
ところで、これまでの燃料電池は、電解質膜を挟んで空気極と水素極とが相対して構成される膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、一対の導電性のセパレータで挟み込んで構成した単セルの積層構造からなっている。また、隣り合う単セルと単セルとの間には、空気(酸素)と水素との発熱反応によって燃料電池自身が高温とならないように冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。
【0012】
本発明によれば、セパレータに冷媒流路を設ける必要がなくなるので、または設けるとしても少量の流路で済むので、セパレータの厚みを薄くすることができ、その結果、燃料電池の積層構造を薄くすることができ、燃料電池の小型化が可能になる。
【0013】
また、前記燃料電池は、前記各膜電極接合体の前記酸化剤極が前記燃料極に対して上側に位置するように鉛直方向に積層されることを特徴とする。
【0014】
これによれば、燃料ガス(例えば、水素)は冷媒(例えば、水+不凍液など)に比べて比重が軽いので、単セルの積層方向において、酸化剤極を鉛直方向(重力方向)の上側になるように配置することで、冷媒に含まれる燃料ガスを、酸化剤極側に滞留させることができ、酸化剤ガスとの反応がし易くなる。これにより、高効率の発電が可能になる。
【0015】
また、前記含有装置は、前記冷媒供給装置の冷媒流路内に位置し、前記燃料ガスの吐出口が冷媒の流れる方向の下流側に向かって配置され、かつ、前記吐出口には、前記燃料ガスを噴霧するノズルが備えられていることを特徴とする。
【0016】
これによれば、燃料ガスの吐出口を冷媒の流れる方向である下流側に向けて含有装置を配置することで、燃料ガスを冷媒に含有させる際に、冷媒が燃料ガスを供給する燃料ガスタンク側に逆流するのを防止できる。
【0017】
また、燃料ガスを、冷媒が流れる方向である下流側に向けて吐出させるので、冷媒の抵抗を受けることなく燃料ガスを冷媒中に分散させることが可能になる。
【0018】
また、前記含有装置は、前記冷媒供給装置の冷媒流路内に位置し、前記燃料ガスの吐出口が冷媒の流れる方向の下流側に向かって配置され、かつ、前記吐出口には、フィルタが備えられていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、前記と同様に、燃料ガスの吐出口を冷媒の流れる方向である下流側に向けて含有装置を配置することで、燃料ガスを冷媒に含有させる際に、冷媒が燃料ガスを供給する燃料ガスタンク側に逆流するのを防止できる。また、燃料ガスを、冷媒が流れる方向である下流側に向けて吐出するので、冷媒の抵抗を受けることなく燃料ガスを冷媒中に分散させることが可能になる。
【0020】
また、前記冷媒は、不凍液および前記燃料電池の発電によって得られる生成水を含んで構成され、前記冷媒に不凍液を供給する不凍液供給装置と、前記冷媒に生成水を供給する生成水供給装置と、前記冷媒の不凍液濃度を検出する濃度検出装置と、前記不凍液濃度が所定値以上か否かを判断する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記不凍液濃度が所定値以上のときに前記生成水供給装置から生成水を供給させ、前記不凍液濃度が所定値未満のときに前記不凍液供給装置から不凍液を供給させることを特徴とする。
【0021】
ところで、酸化剤ガスと燃料ガスとの反応によって発生する水により冷媒の不凍液濃度が低くなると、低温時に冷却水が凍る可能性がある。また、冷媒の不凍液濃度が高くなると、冷媒の粘性が上がり、循環がしにくくなる可能性がある。そこで、不凍液濃度を最適に維持できるように濃度検出装置を設け、不凍液濃度が所定範囲内か否かによって、不凍液を供給したり、逆に生成水を供給したりすることにより、冷媒が低温時に凍ることや粘性が上がって循環しにくくなることを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、どのような運転状況であっても燃料電池の発電を安定させることができ、しかも装置の簡素化および小型化が可能な燃料電池システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。
【図2】燃料電池の内部構造を示す断面図であり、(a)は本実施形態、(b)は比較例である。
【図3】本実施形態のミキサを示す断面図であり、(a)はフィルタ型、(b)はノズル型である。
【図4】(a)および(b)は、図3の(a)および(b)にメッシュフィルタを追加したミキサを示す断面図である。
【図5】燃料電池の内部構造を示す断面図であり、(a)は鉛直方向に積層した状態、(b)は水素の挙動を示す模式図である。
【図6】第2実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。
【図7】第2実施形態の燃料電池システムにおける制御を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。
【図9】第4実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す燃料電池システム1A〜1Dは、燃料電池自動車、船舶、航空機、家庭用や業務用の定置式のものなど様々なものに適用することができる。
【0025】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態の燃料電池システム1Aは、燃料電池10、冷媒供給装置20、空気供給部(酸化剤ガス供給部)30、水素供給部(燃料ガス供給部)40、ミキサ(含有装置)50A、不凍液供給装置60、濃度検出装置70、ECU(Electronic Control Unit)80Aなどで構成されている。
【0026】
図2(a)に示すように、燃料電池10は、例えば固体高分子膜型の燃料電池であり、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)11と一対のセパレータ15,16とが組み合わされて構成された単セルが厚み方向に複数積層された構造を有している。また、各単セルは、電気的に直列に接続されて大きな電圧を得ることができるようになっている。
【0027】
膜電極接合体11は、電解質膜(プロトン伝導膜)12の一面側に触媒を含む水素極13、他面側に触媒を含む空気極14が積層されている。電解質膜12は、イオン(プロトン;H)伝導性を有する固体高分子電解質膜であり、例えば、パーフルオロスルホン酸膜が用いられ、燃料電池10の運転時に加湿されて使用される。
【0028】
なお、水素極13および空気極14には、例えばカーボン粒子に触媒(白金など)を担持させて得られた触媒粒子を導電性高分子材料からなるバインダに分散させることで形成されている。バインダとしては、パーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物などが用いられる。さらに、水素極13および空気極14は、それぞれ図示しないカーボンペーパ等からなるガス拡散層が積層されて構成されている。
【0029】
セパレータ15は、金属やカーボンなどの導電性材料で板状に形成されたものであり、水素極13のガス拡散層に対向する面に、水素を含む冷媒が流通するクシ歯形状のアノード流路15aが形成されて構成されている。
【0030】
セパレータ16は、金属やカーボンなどの導電性材料で板状に形成されたものであり、空気極14のガス拡散層に対向する面に、例えば、空気(酸素)が流通するクシ歯形状のカソード流路16aが形成されて構成されている。
【0031】
なお、本実施形態では、隣り合う膜電極接合体(MEA)11間におけるセパレータ15とセパレータ16とを一枚(共有)のセパレータで構成して、そのセパレータの一面側にアノード流路、他面側にカソード流路をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0032】
図1に示すように、冷媒供給装置20は、燃料電池10に対して水素を含む冷媒を循環させるものであり、ラジエータ21、循環ポンプ22、リザーバタンク23、冷媒配管24a〜24dなどで構成されている。なお、冷媒は、例えば、エチレングリコール、水、耐腐食性を高める添加剤などの混合液からなる。
【0033】
また、ラジエータ21の冷媒出口は、冷媒配管24a、循環ポンプ22、冷媒配管24bを介して燃料電池10のアノード流路15aの入口と接続されている。また、燃料電池10のアノード流路15aの出口は、冷媒配管24cを介してラジエータ21の冷媒入口と接続されている。
【0034】
ラジエータ21は、燃料電池10の発電によって生じた熱を、冷媒を介して放熱させるものであり、アルミニウム合金などで形成されたチューブおよびチューブの外周面に設けられたフィンなどで構成されている。フィン間に空気を通流させることにより、チューブ内を通過する冷媒が冷却されるようになっている。
【0035】
循環ポンプ22は、冷媒を循環させる電動式のモータを備えており、後記するECU80Aによって、モータの回転速度が制御される。
【0036】
リザーバタンク23は、温度変化に伴う冷媒回路(24a〜24c)内の圧力調整をするものであり、冷媒配管24dの一端が冷媒配管24cと接続され、他端がリザーバタンク23と接続されて構成されている。なお、図示していないが、冷媒配管24cと冷媒配管24dとの接続部には、圧力調整を行う装置(いわゆるラジエータキャップに相当するもの)が取り付けられ、冷媒の温度が上昇したときに、冷媒回路の冷媒の一部をリザーバタンク23に排出するようになっている。
【0037】
なお、図示していないが、冷媒供給装置20は、ラジエータ21をバイパスするバイパス配管と、冷媒の温度に応じて、冷媒をラジエータ側とバイパス通路側との間で冷媒流量を調整するサーモスタット弁とを備えて構成されていてもよい。また、冷媒供給装置20は、冷媒中のイオン濃度を低減させるイオン交換器を備えていてもよい。
【0038】
空気供給部30は、燃料電池10に対して酸化剤ガスとしての空気(酸素)を供給するものであり、エアコンプレッサ31、加湿器32、背圧弁33、配管34a〜34dなどで構成されている。
【0039】
エアコンプレッサ31は、配管34a、加湿器32、配管34bを介して燃料電池10のカソード流路16aの入口と接続されている。また、カソード流路16aの出口は、配管34c、加湿器32、配管34dを介して背圧弁33と接続されている。なお、背圧弁33の下流側は、燃料電池システム1Aの外部(大気)と連通している。
【0040】
エアコンプレッサ31は、例えばモータで駆動される機械式の過給器で構成され、外気(空気)を圧縮して、燃料電池10の空気極14に向けて供給する。
【0041】
加湿器32は、エアコンプレッサ31からの空気(低湿潤ガス)を、燃料電池10の空気極14から排出されたオフガス(高湿潤ガス、水蒸気+凝縮水)で加湿する機能を有する。この加湿器32は、例えば、水分交換膜からなる中空糸膜の束をケース(図示せず)内に収容して、各中空糸膜の内側に低湿潤ガスが、中空糸膜の外側に高湿潤ガスが通流するように構成されている。
【0042】
背圧弁33は、例えばバタフライ弁で構成され、弁開度を調整することにより、空気極14に供給される空気の圧力を調整するようになっている。
【0043】
水素供給部40は、燃料電池10内を循環する冷媒に水素を供給するものであり、高圧水素タンク41、遮断弁42、レギュレータ43、配管44a〜44cなどで構成されている。
【0044】
高圧水素タンク41は、高純度の水素を高圧で圧縮充填したものであり、配管44a、遮断弁42、配管44b、レギュレータ43、配管44cを介して冷媒配管24bと接続されている。
【0045】
遮断弁42は、例えば電磁作動式のものであり、後記するECU80Aによって開閉制御される。
【0046】
レギュレータ43は、高圧水素タンク41から供給された水素の圧力(一次圧)を所定の圧力(二次圧)に減圧する機能を有する。なお、レギュレータ43は、空気極14側の空気圧を信号圧として作動するものであってもよく、あるいは電気的な信号に応じて作動するものであってもよい。
【0047】
図3(a)に示すように、ミキサ50Aは、水素供給部40から供給された水素を冷媒に含有させるものであり、配管51と、フィルタ52とで構成されている。
【0048】
配管51は、水素供給部40の配管44cの先端部であり、冷媒配管24b(冷媒流路)を貫通して、冷媒配管24b内に位置している。また、配管51の先端の吐出口51aは、冷媒の流れる方向の下流側(燃料電池10側)に向けられている。また、配管51の吐出口51aは、冷媒配管24b内のほぼ中央に位置している。
【0049】
フィルタ52は、焼結金属型のものであり、例えば、金属(ステンレスなど)の粉を押し固めてから焼結することで形成され、多孔性を有するものである。フィルタ52を配管51の先端に取り付けることにより、高圧水素タンク41(図1参照)から水素が配管44cを介して供給されたときに、冷媒配管24b内においてフィルタ52から水素が拡散しながら冷媒中に放出されるようになっている。
【0050】
なお、本実施形態の含有装置は、図3(a)に示すミキサ50Aに限定されるものではなく、図3(b)に示すミキサ50B、図4(a)および(b)に示すミキサ50C、50Dであってもよい。
【0051】
図3(b)に示すミキサ50Bは、焼結金属型に替えてノズル型としたものであり、水素の吐出口51bが冷媒の流れる方向の下流側に向かって配置され、かつ。冷媒配管24b内に位置する配管51の吐出口51bが先細り形状となるノズル53を備えている。このように、ミキサ50Bでは、ノズル型とすることにより、吐出口51bから下流側に向けて水素が拡散しながら噴霧されるようになっている。
【0052】
図4(a)に示すミキサ50Cは、図3(a)に示すミキサ50Aとメッシュフィルタ54とを組み合わせた構成である。メッシュフィルタ54は、フィルタ52の下流側に位置して、冷媒配管24bの流路断面全体を覆うように配置されている。フィルタ52から放出された水素をメッシュフィルタ54に通過させることにより、メッシュフィルタ54の下流側において水素をさらに拡散させることができる。
【0053】
図4(b)に示すミキサ50Dは、図3(b)に示すミキサ50Bとメッシュフィルタ54とを組み合わせた構成であり、ノズル53から吐出された水素を、さらに拡散させることができる。
【0054】
図1に示すように、不凍液供給装置60は、リザーバタンク23に不凍液を適宜供給するものであり、不凍液成分タンク61、開閉弁62、配管63a,63bなどで構成されている。
【0055】
不凍液成分タンク61は、冷媒に含まれる不凍液成分(エチレングリコール)を貯留する容器を有し、配管63a、開閉弁62、配管63bを介してリザーバタンク23と接続されている。
【0056】
開閉弁62は、例えば電磁作動式のものであり、後記するECU80Aによって開閉制御される。開閉弁62が開となることにより、不凍液成分タンク61から不凍液がリザーバタンク23に供給されるようになっている。
【0057】
濃度検出装置70は、冷媒中の不凍液濃度を検出するものであり、オリフィス71、圧力計72,73、温度計74などで構成されている。なお、濃度検出装置70は、光学的に不凍液濃度を検出するものでもよい。
【0058】
オリフィス71は、不凍液濃度を検出するために設けられた絞りであり、冷媒配管24cに設けられている。
【0059】
圧力計72は、オリフィス71の入口側に位置し、オリフィス71に導入される前の冷媒の圧力Pinを検出するものである。圧力計73は、オリフィス71の出口側に位置し、オリフィス71から排出された後の冷媒の圧力Poutを検出するものである。このように、オリフィス71の前後の圧力差(圧力損失:ΔP=Pin−Pout)を検出することにより、不凍液濃度を算出することができる。
【0060】
温度計74は、サーミスタなどを用いて冷媒の温度を検出するものであり、燃料電池10のアノード流路15aの出口側に設けられている。この温度計74は、例えば、不凍液濃度を補正するために用いられる。これは、冷媒の温度によって水の密度が変化することによる。
【0061】
なお、冷媒の不凍液濃度を検出する手段としては、オリフィス71を用いて、オリフィス71の前後に差圧を発生させる構成に限定されるものではなく、オリフィス71を設けずに、燃料電池10のアノード流路15aの入口側(冷媒配管24b)と出口側(冷媒配管24c)にそれぞれ圧力計を設けて、圧力差を検出する構成であってもよい。なお、この場合に用いられる温度計は、燃料電池10のアノード流路15aの入口側に設けられる。
【0062】
また、不凍液濃度の検出は、圧損体の前後に圧力計を用いて圧力差を検出するものに限定されず、屈折率計を用いて光学的に検出するようにしてもよい。これにより、圧力計のセンサ類を不要にできる。
【0063】
ECU80Aは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)などで構成され、濃度検出装置70によって検出された不凍液濃度が不足していると判断したときに、開閉弁62を開弁して、不凍液成分タンク61からリザーバタンク23に不凍液を供給する。
【0064】
また、ECU80Aは、遮断弁42および開閉弁62を開閉し、循環ポンプ22およびエアコンプレッサ31の各モータの回転速度を制御し、背圧弁33の開度を調整し、圧力計72,73から各圧力Pin,Pout、温度計74から温度Tをそれぞれ取得する。
【0065】
次に、第1実施形態の燃料電池システム1Aの動作について説明する。すなわち、燃料電池システム1Aの運転が開始されると、ECU80Aは、循環ポンプ22の駆動を開始することで、冷媒が燃料電池10とラジエータ21との間を循環する。また、ECU80Aは、遮断弁42を開弁することにより、高圧水素タンク41から供給された水素がレギュレータ43で減圧され、ミキサ50Aによって冷媒中に拡散しながら供給される。同時に、ECU80Aは、エアコンプレッサ31、加湿器32を通って供給された加湿空気は、カソード流路16aを介して空気極14に供給される。
【0066】
そして、アノード流路15aに水素を含む冷媒が供給されることにより、水素極13の表面に冷媒中の水素が供給され、空気極14に空気中の酸素が供給されることで、発電が可能となる。発電電力は、外部負荷(エアコンプレッサ31などの補機)に供給される。
【0067】
また、燃料電池10のアノード流路15aから排出された未消費の水素は、高温の冷媒とともに冷媒配管24cを介してラジエータ21に導入され、ラジエータ21において冷媒が冷却される。
【0068】
以上説明したように、第1実施形態の燃料電池システム1Aによれば、水素(燃料ガス)を含有させた冷媒を水素極13に供給することで、水素の温度調整をするための水素用熱交換器を冷媒の温度調整をするためのラジエータ21と共有することができ、また、発電によって生成された水を抽出して排水するための気液分離器を不要にできるので、燃料電池システム1Aを簡素化および小型化することが可能になる。
【0069】
ところで、図2(b)の比較例に示す燃料電池100は、これまでの一般的な内部構造を示しており、膜電極接合体(MEA)11が一対のセパレータ101,102で挟まされて単セルが構成され、この単セルが複数積層されて構成されている。すなわち、セパレータ101には、MEA11と対向する面に水素が通流するアノード流路101aが形成され、反対側の面に冷媒が流通する流路101bが形成されている。また、セパレータ102には、MEA11と対向する面に空気(酸素)が通流するカソード流路102aが形成され、反対側の面に冷媒が流通する流路102bが形成されている。また、隣接するセパレータ101の流路101bとセパレータ102の流路102bとで冷媒が通流する冷媒流路が形成されている。
【0070】
このように第1実施形態によれば、冷媒中に水素を含有させて水素極13に水素を含む冷媒を供給することにより、図2(b)に示す冷媒流路101b,102bを不要にできるので、図2(a)に示すように、セパレータ15,16の厚みを薄くすることができる。その結果、セパレータ15,16とMEA11とから構成される単セルを薄型化できて、燃料電池10の積層寸法を短くすることが可能になり、燃料電池10の小型化が可能になる。
【0071】
また、第1実施形態によれば、水素の吐出口51a(51b)が冷媒の流れる方向の下流側に向くようにミキサ50A(50B〜50D)を配置したので、水素を冷媒中に含有させる際に、冷媒が高圧水素タンク41側に逆流するのを防止できる。さらに、水素を冷媒が流れる方向の下流側に向けて吐出させているので、冷媒の抵抗を受けることなく、水素を冷媒中に分散させることが可能になる。
【0072】
また、第1実施形態によれば、循環させる冷媒に不凍液を含ませることにより、従来からあった低温時(例えば、氷点下時)における水素極13側(アノード系)の凍結課題を解決可能となる。ところで、水素極13側は、湿度100%となるため、空気極14側からの生成水の逆拡散は少なくなるが、燃料電池システム1Aを長期運転すると不凍液濃度が下がる可能性がある。そこで、第1実施形態では、オリフィス71の前後の差圧(ΔP)および冷媒の温度(T)により不凍液濃度を算出して、適宜不凍液の成分を冷媒に注入することにより、不凍液濃度が低下するのを防止でき、水素極13側の凍結を防止できる。
【0073】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、図5(a)に示すように、燃料電池10の各膜電極接合体11の空気極(酸化剤極)14が水素極(燃料極)13に対して上側に位置するように鉛直方向に単セルを積層するようにしてもよい。
【0074】
これにより、水素が冷媒(水など)に比べて比重が非常に軽いので、セパレータ15に形成されたアノード流路15aに水素を含む冷媒を、セパレータ16に形成されたカソード流路16aに空気(酸素)をそれぞれ供給したときに、図5(b)に示すように、冷媒に含まれる水素が、膜電極接合体(MEA)11の空気極(酸化剤極)14側に滞留し易くなり、空気中の酸素と反応し易くなる。その結果、高効率の発電が可能になる。
【0075】
なお、図5(a)に示すように、膜電極接合体(MEA)11の厚み方向が鉛直方向を向くように単セルを平積みにした場合には、水素を冷媒中に拡散させる必要がなくなるので、図3(a)に示すフィルタ52、図3(b)に示すノズル53、図4(a)および図4(b)に示すメッシュフィルタ54を不要にできる。
【0076】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態の燃料電池システム1Bを示す全体構成図である。この燃料電池システム1Bは、第1実施形態の燃料電池システム1Aに生成水供給装置90を追加した構成である。なお、その他の構成については、第1実施形態の燃料電池システム1Aと同様の符号を付して重複する説明は省略する。
【0077】
生成水供給装置90は、冷媒に生成水を供給するものであり、気液分離器91、開閉弁92、配管93a,93bなどで構成されている。
【0078】
気液分離器91は、例えば、燃料電池10のカソード流路16aから排出される生成水(凝縮水)と、空気(ガス)とを分離して、生成水(凝縮水)を貯留する容器を有する。また、気液分離器91は、加湿器32と背圧弁33との間に設けられ、配管34d1を介して加湿器32と接続され、配管34d2を介して背圧弁33と接続されている。
【0079】
また、気液分離器91は、配管93a、開閉弁92および配管93bを介してリザーバタンク23と接続されている。また、ECU80Bは、第1実施形態における制御に加えて、開閉弁92を開閉制御する。
【0080】
図7に示すように、ECU(制御装置)80Bは、ステップS10において、濃度検出装置70により冷媒の不凍液濃度を検出し、記憶する。このときの不凍液濃度は、圧力計72によって検出される圧力Pinと、圧力計73によって検出される圧力Poutとの圧力差(圧力損失)ΔPによって算出することができる。例えば、ΔPが大きくなるにつれて、不凍液濃度が高くなる。また、冷媒の温度によって水の密度が変わることから、不凍液濃度を温度T(例えば、10℃ごと)によって補正してもよい。
【0081】
なお、不凍液濃度を検出するタイミングは、タイマを用いて所定時間毎に検出してもよく、または燃料電池の起動時や停止時などに検出してもよい。
【0082】
そして、ステップS20において、ECU80Bは、記憶した不凍液濃度(ステップS10において検出された不凍液濃度)が、所定値A以上であると判断した場合には(Yes)、ステップS25に進む。なお、所定値Aは、低温時(氷点下時、例えば、マイナス20℃)に冷媒が凍結するのを防止できる濃度に設定される。
【0083】
ステップS25において、ECU80Bは、ステップS10において検出された不凍液濃度が、所定値B以下と判断した場合には(Yes)、スタートに戻って再度不凍液濃度を監視する。ECU80Bは、ステップS10において検出された不凍液濃度が、所定値Bより高いと判断した場合には(S25、No)、ステップS30に進む。なお、所定値Bは、高温時(沸点時、例えば、100℃)に冷媒が沸騰し、粘性が高くなるのを防止できる濃度に設定される。
【0084】
ステップS30において、ECU80Bは、開閉弁92を開弁して、気液分離器91に貯留された生成水をリザーバタンク23に、配管93a,93bを介して供給する。リザーバタンク23に生成水が供給されることにより、冷媒の不凍液濃度が最適な状態に調整され、低温時に冷媒が凍結するのを防止できる。
【0085】
なお、リザーバタンク23に供給する生成水の量は、算出された不凍液濃度に応じた供給量を予め実験等によって算出して、これをマップとして記憶しておき、算出された不凍液濃度に応じた生成水量を供給することができる。
【0086】
また、ステップS20において、ECU80Bは、不凍液濃度が所定値A未満であると判断した場合には(No)、ステップS40に進み、開閉弁62を開弁して、不凍液成分タンク61からリザーバタンク23に不凍液を供給する。そして、ステップS45に進み、ECU80Bは、濃度検出装置70により不凍液を供給後の冷媒の不凍液濃度を検出し、記憶する。このとき、ECU80Bは、ステップS10において記憶した不凍液濃度に、ステップS45において検出された不凍液濃度を上書きする。
【0087】
ステップS25において、ECU80Bは、記憶した不凍液濃度(ステップS45において検出された不凍液濃度)が、所定値B以下であると判断した場合には(Yes)、スタートに戻って再度不凍液濃度を監視する。ECU80Bは、ステップS45において検出された不凍液濃度が、所定値Bより高いと判断した場合には(S25、No)、ステップS30に進み、開閉弁92を開弁して、気液分離器91に貯留された生成水をリザーバタンク23に供給する。
【0088】
なお、リザーバタンク23に供給する不凍液の量は、算出された不凍液濃度に応じた供給量を予め実験等によって算出して、これをマップとして記憶しておき、算出された不凍液濃度に応じた不凍液量を供給することができる。
【0089】
第2実施形態の燃料電池システム1Bによれば、第1実施形態の燃料電池システム1Aの効果に加え、不凍液濃度を最適な濃度に維持できるように生成水供給装置90および濃度検出装置70を設けたことにより、不凍液濃度が所定範囲内となるように、気液分離器91から生成水を供給するべきか、不凍液成分タンク61から不凍液を供給するべきかを判断することができ、低温時に冷媒が凍結するのを確実に防止できるとともに、濃度が高くなり循環しにくくなるのを確実に防止できる。
【0090】
また、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、冷媒に不凍液を含ませることにより、アノード系の凍結課題を解決できる。ところで、水素極13側(アノード系)は湿度100%となるため、空気極14側(カソード側)に水が逆拡散し、循環する冷媒の水分濃度が低下し、不凍液濃度が上昇する可能性がある。そこで、第2実施形態では、カソード側に設けた気液分離器91で捕水し、オリフィス71の前後差圧(ΔP)および冷媒温度(T)により不凍液濃度を算出し、気液分離器91から冷媒に生成水を注入することにより、冷媒の不凍液濃度(水分濃度)を適切に維持することができ、冷媒の凍結を防止することが可能になる。
【0091】
なお、第2実施形態では、濃度検出装置70により検出する度に検出した不凍液濃度を上書きして記憶する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、不凍液が供給された場合と供給されなかった場合での不凍液濃度を記憶し、フラグを用いてどちらの不凍液濃度を参酌するかを判断しても良い。具体的には、不凍液濃度が所定値A未満と判断されて不凍液が供給された場合にはフラグを1にし、不凍液濃度が所定値A以上と判断されて不凍液が供給されなかった場合にはフラグを0にする。不凍液濃度が所定値B未満か以上かを判断するときに、CPUは、フラグが1の場合は不凍液供給後の不凍液濃度を参酌し、フラグが0の場合はスタート時の不凍液濃度を参酌する。
【0092】
(第3実施形態)
図8は第3実施形態の燃料電池システム1Cを示す全体構成図である。この燃料電池システム1Cは、第2実施形態の燃料電池システム1Bの冷媒供給装置20の冷媒回路上に背圧弁25を追加した構成である。なお、その他の構成については、第2実施形態と同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0093】
背圧弁25は、バタフライ弁などで構成され、ラジエータ21の冷媒入口とオリフィス71との間の冷媒配管24cに設けられている。また、背圧弁25は、その開度がECU(制御装置)80Cによって制御される。
【0094】
第3実施形態の燃料電池システム1Cによれば、第2実施形態の燃料電池システム1Bによる効果に加えて、水素極13側を循環する冷媒の圧力を背圧弁25によって調整することが可能になる。例えば、燃料電池システム1Cを車両に搭載した場合、加速時(増圧時)には循環ポンプ22のモータの回転速度を上げるとともに背圧弁25の開度を閉めることで圧力を上昇させることが可能となり、減速時には、背圧弁25の開度を開き、循環ポンプ22の回転は維持しつつ回転速度を下げることで減圧することが可能となる。
【0095】
このように、減速時にも、水素を含有した冷媒の循環が維持されるので、図2(b)を参照して説明した比較例の燃料電池100を備えたシステムのように、減速時に水素の循環ができなくなり、末端の単セルへの水素供給が不足するといった課題、また、生成水の蓄積によって流路が部分的に閉塞するといった課題を解決することができる。
【0096】
なお、背圧弁25の位置については、圧力を調整できる位置であれば、第3実施形態に示す位置に限定されるものではない。
【0097】
(第4実施形態)
図9は第4実施形態の燃料電池システムを示す全体構成図である。この燃料電池システム1Dは、冷媒の圧力を調整する手段として、第3実施形態の背圧弁25に替えてバランスタンク26とした構成である。
【0098】
バランスタンク26は、冷媒を貯留する容器を有し、この容器内に冷媒を貯留する空間S1とその上部の空間S2を仕切るダイアフラム26aを備えている。このように、ダイアフラム26aで仕切ることにより、冷媒中の水素と空気とが混まざることなく冷媒圧力を調整できる。
【0099】
また、バランスタンク26の空間S2には、信号圧配管34eの一端が接続され、信号圧配管34eの他端が燃料電池10のカソード流路16aの出口と加湿器32との間の配管34cに接続されている。
【0100】
第4実施形態の燃料電池システム1Dによれば、例えば、燃料電池システム1Dを車両に搭載した場合、加速時(増圧時)にはエアコンプレッサ31のモータの回転速度が高められることにより、信号圧配管34eを介してバランスタンク26の空間S2に導入される信号圧が高められる。空間S2の圧力が高められることにより、バランスタンク26の空間S1内の冷媒が冷媒配管24dを介して冷媒配管24cに導入され、冷媒回路(冷媒配管24a〜24d)の圧力が高められる。また、減速時には、エアコンプレッサ31のモータの回転速度が低下することにより、空間S2内の圧力が低下し、冷媒回路(冷媒配管24a〜24c)を通流する冷媒が、冷媒配管24dを介してバランスタンク26の空間S1内に引き込まれ、冷媒回路の圧力が低下する。
【0101】
なお、第4実施形態では、ダイアフラム26aを用いた場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、シール機能を有するピストンであってもよい。また、信号圧の取り出し位置およびバランスタンク26の位置は、第4実施形態に示す位置に限定されるものではなく、それぞれ燃料電池10の入口側であってもよい。
【0102】
本発明は、前記した各実施形態に限定されるものではない。例えば、水素が上流側から下流側に流れるにつれて、水素が消費されることにより水素の量が減少する。そこで、単セルを平積みにした燃料電池(図5(a)参照)の場合、膜電極接合体(MEA)11に対向するアノード流路15aの溝の深さを、上流側から下流側に向けて浅くなるように流路を傾斜する構成とすることにより、上流側から順に水素が消費されて下流側において水素量が上流側と比べて減少したとしても、下流に向けて溝が浅く形成されることによって水素を膜電極接合体11に滞留し易くできる。その結果、膜電極接合体11の全面において効率的な反応が可能となり、高効率な発電が可能となる。
【符号の説明】
【0103】
1A〜1D 燃料電池システム
10 燃料電池
11 膜電極接合体
12 電解質膜(電解質)
13 水素極(燃料極)
14 空気極(酸化剤極)
15,16 セパレータ
15a アノード流路
16a カソード流路
20 冷媒供給装置
21 ラジエータ
22 循環ポンプ
23 リザーバタンク
24a〜24d 冷媒配管(冷媒流路)
30 空気供給部(酸化剤ガス供給部)
40 水素供給部(燃料ガス供給部)
50A〜50D ミキサ(含有装置)
52 フィルタ
53 ノズル
54 メッシュフィルタ
60 不凍液供給装置
61 不凍液成分タンク
62 開閉弁
70 濃度検出装置
71 オリフィス
72,73 圧力計
74 温度計
80B,80C ECU(制御装置)
90 生成水供給装置
91 気液分離器
92 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を挟んで酸化剤ガスが供給される酸化剤極と燃料ガスが供給される燃料極とが配置される膜電極接合体がセパレータを介して複数積層された燃料電池と、
前記燃料電池に冷媒を供給する冷媒供給装置と、
前記酸化剤極に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、
前記冷媒に前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
前記冷媒に前記燃料ガスを含有させる含有装置と、を備え、
前記冷媒供給装置は、前記燃料極に燃料ガスを含有した冷媒を供給することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池は、前記各膜電極接合体の前記酸化剤極が前記燃料極に対して上側に位置するように鉛直方向に積層されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記含有装置は、前記冷媒供給装置の冷媒流路内に位置し、前記燃料ガスの吐出口が冷媒の流れる方向の下流側に向かって配置され、かつ、前記吐出口には、前記燃料ガスを噴霧するノズルが備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記含有装置は、前記冷媒供給装置の冷媒流路内に位置し、前記燃料ガスの吐出口が冷媒の流れる方向の下流側に向かって配置され、かつ、前記吐出口には、フィルタが備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記冷媒は、不凍液および前記燃料電池の発電によって得られる生成水を含んで構成され、
前記冷媒に不凍液を供給する不凍液供給装置と、
前記冷媒に生成水を供給する生成水供給装置と、
前記冷媒の不凍液濃度を検出する濃度検出装置と、
前記不凍液濃度が所定値以上か否かを判断する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記不凍液濃度が所定値以上のときに前記生成水供給装置から生成水を供給させ、前記不凍液濃度が所定値未満のときに前記不凍液供給装置から不凍液を供給させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−113660(P2011−113660A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266390(P2009−266390)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】