説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池の出力電圧を検知することができなくなった場合でも、適切なフェールセーフ制御を実現することが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】FCHVシステム100は、燃料電池110とバッテリ120に負荷装置130が接続されたものであり、それぞれにFCコンバータ150、バッテリコンバータ180、及び負荷インバータ140が接続されている。また、FCコンバータ150の一次側及び二次側には電圧センサ11,12が、負荷インバータ140の一次側には電圧センサ13が、バッテリコンバータ180の一次側及び二次側には電圧センサ14,15が設けられている。そして、コントローラ160は、電圧センサ11の故障時に、電圧センサ12,13からの電圧検知信号を用いて燃料電池110の出力電圧を推定し、それに基づいてバッテリ120駆動に切り替えることなる定常的な電圧制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、特に、燃料電池システムにおける電圧制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される燃料電池システムとして、燃料電池の発電能力を超える急な負荷の変化等に対応するべく、動力源として燃料電池とバッテリとを備えたハイブリッド型の燃料電池システム(FCHVシステム)が種々提案されている。かかるハイブリッド型の燃料電池システムにおいては、通常、負荷(装置)に安定して電力を供給するために、燃料電池用のコンバータとバッテリ用のコンバータとを協調して動作させる制御が行われる。
【0003】
本出願人は、このような2つのコンバータを備える燃料電池システムの一例として、燃料電池及び燃料電池用コンバータ、並びに、バッテリ及びバッテリ用コンバータと、それらの組み合わせに並列に接続されたトラクションインバータ及びトラクションモータを備えるものを提案している(例えば特許文献1参照)。この燃料電池システムは、燃料電池用コンバータに動作不良が発生して燃料電池側から供給される電力が減少した際に、その減少分を補うためのバッテリ側からの出力(放電量)が許容量を超えてしまったときに生じ得るバッテリの過放電を抑制することを意図したものであり、燃料電池用コンバータが動作不良と判定された場合、トラクションインバータからトラクションモータへの出力電圧の上限値を、燃料電池の出力電圧以下に制御するシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−135258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の燃料電池システムにおいて、もし燃料電池からの出力電圧をモニタする電圧センサが故障した場合には、制御の基準となる燃料電池の出力電圧を検知することができないため、上述したような電圧制御を実行することができなくなるおそれがある。また、燃料電池用コンバータが正常に動作しているときに、燃料電池の出力電圧をモニタする電圧センサが機能しなった場合にも、燃料電池の出力を把握することができなくなるので、燃料電池側からの電力供給を停止して、バッテリだけで車両を駆動(いわゆる退避走行モードで運転)する必要が生じてしまう。さらに、電圧センサによって検知される燃料電池の出力電圧は、燃料電池用コンバータの制御にも使用されるので、電圧センサに異常が生じると燃料電池用コンバータの運転も停止せざるを得ない場合がある。
【0006】
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池の出力電圧を検知することができなくなった場合でも、適切なフェールセーフ制御を実現することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明による燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池の発電電力を充電可能なバッテリと、燃料電池及びバッテリに接続されており、且つ、燃料電池及びバッテリからの電力を消費する負荷装置と、燃料電池と負荷装置との間に設けられたコンバータ(燃料電池コンバータ)と、そのコンバータと負荷装置との間に設けられたインバータ(負荷駆動インバータ)と、燃料電池からの出力電圧を検知する第1の電圧センサと、コンバータからの出力電圧を検知する第2の電圧センサと、インバータへの入力電圧を検知する第3の電圧センサと、第1の電圧センサ、第2の電圧センサ、及び第3の電圧センサに接続されており、且つ、第1の電圧センサが故障(動作不良の発生等)したときに、第2の電圧センサ、及び、第3の電圧センサのうち少なくとも何れか一方によって検知された電圧、及び、コンバータにおける降下電圧を用いて燃料電池の出力電圧を算定(推定、算出)し、その算定された燃料電池の出力電圧に基づいて、当該燃料電池システムにおける電圧制御を行う制御部とを備える。
【0008】
このように構成された燃料電池システムにおいては、通常、燃料電池からの出力電圧は第1の電圧センサによって検知(モニタリング)され、制御部がその検知(検出)信号に基づいて、燃料電池に接続されたコンバータやバッテリ等を制御し、負荷装置への電力供給やバッテリの充放電が適切に行われる。一方、第1の電圧センサが故障したり動作不良になったりして、燃料電池の出力電圧が検知されなくなった場合には、コンバータからの出力電圧を検知する第2の電圧センサ、及び、インバータへの入力電圧を検知する第3の電圧センサによって検知された電圧の少なくとも何れか一方に基づいて、電圧制御が行われる。
【0009】
すなわち、第2の電圧センサによって検出されるコンバータからの出力電圧は、そのコンバータに入力される燃料電池からの出力電圧と相関する。また、第3の電圧センサによって検出されるインバータへの入力電圧は、バッテリからの電力供給がない場合にはコンバータからの出力電圧と略同等であり、バッテリからの電力供給がある場合には、コンバータからの出力電圧にバッテリからの出力電圧を加えたものと略同等であるから、燃料電池の出力電圧と相関する。よって、それらによって検知された電圧に、コンバータにおける降下電圧(例えば直流抵抗と電流から求められる)を考慮(補正)することにより、燃料電池の出力電圧を適正に算出(推定)することができる。
【発明の効果】
【0010】
したがって、本発明によれば、第1の電圧センサによって燃料電池の出力電圧を検知することができなくなった場合でも、別の第2の電圧センサ及び/又は第3の電圧センサによって燃料電池の出力電圧を把握することが可能となり、これにより、燃料電池システムにおける適切なフェールセーフ(電圧)制御を実現することができる。その結果、例えば、燃料電池に接続されたコンバータの動作不良が生じた際のバッテリからの過放電を確実に抑止することができ、また、コンバータが正常に動作しており且つ第1の電圧センサの故障が生じた場合には、コンバータを停止してバッテリ駆動へ移行することなく、定常運転を続行(継続)することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の燃料電池システムの好適な一実施形態の構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】図1に示す燃料電池システムにおける制御を実施する手順の一例(一部)を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
【0013】
図1は、本発明の燃料電池システムの好適な一実施形態の構成を概略的に示すシステム構成図である。FCHVシステム100(燃料電池システム)は、燃料電池110とバッテリ120に負荷装置130が接続されたものである。負荷装置130には、負荷インバータ140(負荷駆動用インバータ)が接続されており、燃料電池110と負荷インバータ140の間にFCコンバータ150(燃料電池用コンバータ)が設けられるとともに、バッテリ120とインバータ140の間にバッテリコンバータ180が設けられている。また、FCコンバータ150とバッテリコンバータ180(バッテリ用コンバータ)とを接続する配線ラインには、補機190に接続された補機インバータ170が接続されている。
【0014】
ここで、燃料電池110は、複数の単位セルを直列に積層してなる固体高分子電解質型セルスタックを備えている。この燃料電池110では、アノード極において下記式(1)で表される水素の酸化反応が生じ、且つ、カソード極において下記式(2)で表される酸素の還元反応が生じる結果、燃料電池110全体としては下記式(3)式で表される起電反応(電池反応)が生起される。
【0015】
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0016】
単位セルは、高分子電解質膜等を燃料極及び空気極の2つの電極で挟み込んだ膜電極接合体(MEA)が、燃料ガスと酸化ガスとを供給するためのセパレータで挟持された構造を有している。また、一般に、アノード極は、アノード極用触媒層が多孔質支持層上に設けられてなるものであり、カソード極は、カソード極用触媒層が多孔質支持層上に設けられてなるものである。
【0017】
燃料電池110には、燃料ガスをアノード極に供給する系統、酸化ガスをカソード極に供給する系統、及び、冷却液を提供する系統(いずれも図示せず;それらの一部は補機190に含まれる)が設けられており、後述するコントローラ160からの制御信号に応じて、燃料ガスの供給量や酸化ガスの供給量が制御され、これにより、燃料電池110から所望の電力を出力させるように構成されている。
【0018】
また、FCコンバータ150は、燃料電池110の出力電圧を制御する役割を担っており、一次側(入力側;燃料電池110側)に入力された燃料電池110の出力電圧を、一次側と異なる電圧値に変換(昇圧又は降圧)して二次側(出力側;負荷インバータ140側)へ出力し、また逆に、二次側に入力された電圧を、二次側と異なる電圧に変換して一次側へ出力する双方向の電圧変換装置である。このFCコンバータ150により、燃料電池110の出力電圧が例えば負荷装置130の消費電力に応じた所望の電圧となるように制御される。
【0019】
このFCコンバータ150の構成や種類は特に制されず、例えば、三相運転方式が採用されたものであり、より具体的には、U相、V相、及びW相から構成された三相ブリッジ形コンバータを好ましく用いることができる。その三相ブリッジ形コンバータの回路構成は、入力された直流電圧を一旦交流に変換するインバータ類似の回路部分と、その交流を再び整流して異なる直流電圧に変換する部分とが組み合わされたものである。
【0020】
また、バッテリ120は、図1に示す如く、負荷装置130に対して燃料電池110と並列に接続されており、余剰電力の貯蔵源、回生制動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファ等として機能する。このバッテリ120としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の二次電池を好ましく用いることができる。
【0021】
さらに、バッテリコンバータ180は、負荷インバータ140の入力電圧を制御する役割を担っており、負荷インバータ140の入力電圧の制御が可能であれば、構成や種類は特に制限されず、例えばFCコンバータ150と同様の回路構成を有するものが挙げられる。
【0022】
また、負荷装置130は、例えば車両であって、その車両の主動力となり且つ車両の減速時に回生電力を発生するトラクションモータ131と、そのトラクションモータ131に接続されており且つその高速回転を所定の回転数に減速するための減速装置であるディファレンシャル132、及び、そのディファレンシャル132のシャフトに接続されたタイヤ133を有している。なお、シャフトには図示しない車輪速センサ等が設けられており、これにより当該車両の車速等が検知される。
【0023】
さらに、その負荷装置130に接続された負荷インバータ140は、例えばパルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータであり、後述するコントローラ160からの制御指令に従って、燃料電池110又はバッテリ120から出力される直流電力を三相交流電力に変換して、トラクションモータ131の回転トルクを制御する。
【0024】
また、燃料電池110とFCコンバータ150の間(一次側;燃料電池110側)には、燃料電池110の出力電圧(FCコンバータ150への入力電圧)を検知するための電圧センサ11(第1の電圧センサ)が設けられている。また、FCコンバータ150と負荷インバータ140とを結ぶ配線ラインにおけるFCコンバータ150寄り(二次側)には、FCコンバータ150の出力電圧を検知するための電圧センサ12(第2の電圧センサ)が設けられるとともに、その配線ラインにおける負荷インバータ140寄りには、負荷インバータ140への入力電圧を検知するための電圧センサ13(第3の電圧センサ)が設けられている。
【0025】
さらに、バッテリ120とバッテリコンバータ180の間(一次側;バッテリ120側)には、バッテリ120の出力電圧(バッテリコンバータ180への入力電圧)を検知するための電圧センサ14が設けられている。またさらに、バッテリコンバータ180と負荷インバータ140とを結ぶ配線ラインにおけるバッテリコンバータ180寄り(二次側)には、バッテリコンバータ180の出力電圧を検知するための電圧センサ15が設けられている。
【0026】
それらの電圧センサ11〜15は、コントローラ160(制御部)に接続されており、各電圧センサ11〜15による電圧検知信号(電圧測定値)がコントローラ160に入力されることにより、燃料電池110の出力電圧等が、コントローラ160によって定常的に検知(モニタリング、監視)される。
【0027】
このコントローラ160は、FCHVシステム100の制御用のコンピュータシステムであり、例えばCPU、RAM、ROM等(図示せず)を備えている。コントローラ160には、上述した電圧センサ11〜15の他、例えばアクセル開度の測定センサ、車速センサ、燃料電池110の出力電流や出力端子電圧を測定するセンサ等を含むセンサ群が接続されており、入力された各種の検知信号に基づいて、負荷装置130及び補機190の要求電力(システム全体の要求電力)が求められる。なお、図示の都合上、電圧センサ11〜15を除く各種センサとコントローラ160とを結ぶ配線ラインについては記載を省略した。
【0028】
この負荷装置130が車両の場合、その要求電力は、例えば車両走行電力と補機電力との合計値となる。この場合、車両走行電力には、車両走行に必要な装置(例えば変速機、車輪制御装置、操舵装置、懸架装置等)で消費される電力、及び、乗員空間内に配設される装置(例えば空調装置、照明器具、オーディオ等)で消費される電力等が含まれる。また、車両に搭載される補機190としては、加湿器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、冷却水循環ポンプ等が挙げられ、補機電力は、それらによって消費される電力となる。
【0029】
ここで、図2は、FCHVシステム100における特徴的な制御を実施する手順の一例の一部を示すフロー図である。上述の如く、FCHVシステム100において、燃料電池110の出力電圧は、電圧センサ11によって定常的に検知(モニタリング)されており、その検知信号がコントローラ160に入力・処理され、コントローラ160は、その値に基づいて(基準として)FCVHシステム110における電力(電圧及び電流)に係る制御を適切に実行する。
【0030】
しかし、電圧センサ11が故障してしまうと、燃料電池110からの出力電圧を直接的に検知することができなくなってしまう。かかる場合、FCHVシステム100では、以下のとおり、燃料電池110の出力電圧を推定して、定常的な運転制御を継続する。すなわち、コントローラ160は、燃料電池110の出力電圧の検知信号が電圧センサ11から送出されているか否かを監視し、電圧センサ11の故障が生じたか否かを判定するステップS101を定常的に実施する。
【0031】
そして、コントローラ160は、電圧センサ11から検知信号の送出がされていないとき、或いは、されなくなったときに、電圧センサ11が故障又は動作不良になったと判断し(ステップS101:YES)、処理をステップS102へ移行する。一方、電圧センサ11からの出力が正常に行われていれば、電圧センサ11が故障又は動作不良になったとは判断せず(ステップS101:NO)、ステップS102をスキップする。
【0032】
次に、ステップS102において、コントローラ160は、FCコンバータ150からの出力電圧を検知する電圧センサ12、及び/又は、負荷インバータ140への入力電圧を検知する電圧センサ13から送出される検知信号から燃料電池110の出力電圧を間接的に求める演算を実行する。
【0033】
すなわち、電圧センサ12によって検出されるFCコンバータ150の出力電圧は、そのFCコンバータ150に入力される燃料電池110の出力電圧と相関する。また、電圧センサ13によって検出される負荷インバータ140への入力電圧は、バッテリ120及びバッテリコンバータ180からの電力供給(電圧出力)がない場合には、FCコンバータ150の出力電圧と略同等であり、或いは、バッテリ120及びバッテリコンバータ180からの電力供給(電圧出力)がある場合には、FCコンバータ150からの出力電圧にバッテリコンバータ180からの電圧出力を加えたものと略同等であることから、燃料電池110からの出力電圧と相関する。
【0034】
よって、電圧センサ12によるFCコンバータ150の出力電圧の測定値を用いる場合、その電圧センサ12によって検知された電圧に、FCコンバータ150における降下電圧(例えば直流抵抗と電流から求められる)分を加える補正を施すことにより、燃料電池110の出力電圧を算出(推定)することができる。
【0035】
一方、電圧センサ13による負荷インバータ140への入力電圧の測定値を用いる場合、コントローラ160は、FCコンバータ150の出力電圧とバッテリコンバータ180の出力電圧の比率を把握しているので、その比率と負荷インバータ140への入力電圧の測定値から、FCコンバータ150の出力電圧を逆算し、その逆算値に対して、FCコンバータ150における降下電圧分を加える補正を更に施すことにより、燃料電池110の出力電圧を算出(推定)することができる。
【0036】
そして、コントローラ160は、こうして算定された燃料電池110の出力電圧に基づいて、負荷装置130及び補機190の要求電力に応じたFCVHシステム110における電力(電圧及び電流)に係る制御を行う。
【0037】
換言すれば、FCHVシステム100は、燃料電池110とバッテリ120に負荷装置130が接続されたものであり、それぞれにFCコンバータ150、バッテリコンバータ180、及び負荷インバータ140が接続されている。また、FCコンバータ150の一次側及び二次側には電圧センサ11,12が、負荷インバータ140の一次側には電圧センサ13が、バッテリコンバータ180の一次側及び二次側には電圧センサ14,15が設けられている。そして、コントローラ160は、電圧センサ11の故障時に、電圧センサ12,13からの電圧検知信号を用いて燃料電池110の出力電圧を推定し、それに基づいてシステムの電圧制御を実行する。
【0038】
したがって、FCVHシステム110によれば、電圧センサ11によって燃料電池110の出力電圧を直接的に検知することができなくなった場合でも、電圧センサ12及び/又は電圧センサ13によって燃料電池110の出力電圧を確実に把握することができ、これにより、FCVHシステム110における適切なフェールセーフ制御を実現することが可能となる。その結果、例えば、燃料電池110に接続されたFCコンバータ150の動作不良が生じた場合でも、バッテリ120からの過放電を確実に抑止することができ、また、FCコンバータ150が正常に動作しており且つ電圧センサ11の故障が生じた場合には、FCコンバータ150を停止してバッテリ120による駆動運転へ移行することなく、定常運転を継続することができる。
【0039】
なお、上述したとおり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、FCコンバータ150は、ソフトスイッチによって駆動される昇圧コンバータであってもよい。また、図2に示すステップS102において、電圧センサ13による負荷インバータ140への入力電圧の測定値から、燃料電池110の出力電圧を求める場合、電圧センサ12によるFCコンバータ150の出力電圧の実測値、及び、電圧センサ15によるバッテリコンバータ180の出力電圧の実測値から、FCコンバータ150とバッテリコンバータ180の出力電圧の比率を算出しても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したとおり、本発明は、燃料電池システムにおける適切なフェールセーフ制御を実現することができるので、燃料電池に接続されたコンバータを有する燃料電池システム全般、それを備える車両、それらを含む機器、システム、設備等、並びに、それらの製造及び使用等に広く且つ有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
11 電圧センサ(第1の電圧センサ)
12 電圧センサ(第2の電圧センサ)
13 電圧センサ(第3の電圧センサ)
14 電圧センサ
15 電圧センサ
100 FCHVシステム(燃料電池システム)
110 燃料電池
120 バッテリ
130 負荷装置
131 トラクションモータ
132 ディファレンシャル
133 タイヤ
140 負荷インバータ
150 FCコンバータ(燃料電池用コンバータ)
160 コントローラ(制御部)
170 補機インバータ
180 バッテリコンバータ(バッテリ用コンバータ)
190 補機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池の発電電力を充電可能なバッテリと、
前記燃料電池及び前記バッテリに接続されており、且つ、前記燃料電池及び前記バッテリからの電力を消費する負荷装置と、
前記燃料電池と前記負荷装置との間に設けられたコンバータと、
前記コンバータと前記負荷装置との間に設けられたインバータと、
前記燃料電池からの出力電圧を検知する第1の電圧センサと、
前記コンバータからの出力電圧を検知する第2の電圧センサと、
前記インバータへの入力電圧を検知する第3の電圧センサと、
前記第1の電圧センサ、前記第2の電圧センサ、及び前記第3の電圧センサに接続されており、且つ、前記第1の電圧センサが故障したときに、第2の電圧センサ、及び、前記第3の電圧センサのうち少なくとも何れか一方によって検知された電圧、及び、前記コンバータにおける降下電圧を用いて前記燃料電池の出力電圧を算定し、該算定された燃料電池の出力電圧に基づいて、当該燃料電池システムにおける電圧制御を実行する制御部と、
を備える燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−109860(P2013−109860A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251918(P2011−251918)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】