説明

燃料電池システム

【課題】水漏れの異常が発生して停止している燃料電池システムにおいて、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池1の運転に関係する水が循環する水循環経路9と、水循環器10と、水循環経路を加熱する加熱器14と、水循環経路からの漏水に関する第1の異常検知器29,30と、制御器16と、を備え、水循環経路9凍結抑制のために水循環器により水循環経路9内の水を循環させる水循環動作と加熱器を動作させる加熱動作とを実行する燃料電池システム301であって、制御器は、第1の異常検知器により第1の異常が検知されることによって燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための水循環動作を禁止し、凍結抑制のための加熱動作を禁止しないよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池と水循環経路とを備えた燃料電池システムに関し、特に燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制手段に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、一般的には、燃料ガスと酸化剤ガスとを化学反応させて発電する学燃料電池と、発電に伴って発熱する燃料電池を冷却する冷却水経路とを備えていて、発電量に応じて冷却の程度を調整することにより燃料電池の温度を制御するよう構成されている。
【0003】
このような燃料電池システムを屋外で一定時間以上運転せずに放置すると、外気温度の低下とともに、冷却水経路内の水が凍結する。その結果、次回の起動時に燃料電池の温度制御ができずに発電が不可能になること等が想定される。
【0004】
そこで、冷却水の凍結を抑制するために、例えば、外気温度を直接的又は間接的に検知する外気温検知手段と、冷却水の水温を検知する水温検知手段とを備え、外気温度検知手段で検知された外気温と、水温検知手段で検知された水温とに応じて、凍結抑制運転を実行するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図15は、特許文献1に記載された従来の燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0006】
図15に示すように、この従来の燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池36と、燃料電池36を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路37と、冷却水経路37を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路38と、冷却水から熱を回収し温水となった貯湯水を貯える貯湯タンク39と、冷却水経路37内の冷却水と貯湯水経路38内の貯湯水との間で熱交換するための熱交換器40と、冷却水経路37内の水を循環させる冷却水循環器41と、冷却水経路37を加熱する加熱器42と、貯湯水経路38内の水を循環させる貯湯水循環器43と、外気温度を検知する外気温検知手段44と、冷却水の温度を検知する冷却水温検知手段45と、貯湯水の温度を検知する貯湯水温検知手段46と、制御器47とを備える。
【0007】
制御器47は、外気温検知手段44で検知された外気温度と、冷却水温検知手段45で検知された冷却水温度と、貯湯水温検知手段46で検知された貯湯水温度とに応じて、冷却水経路37、貯湯水経路38内の水が凍結する恐れがあると判定したときには、凍結抑制運転として、冷却水循環器41による冷却水の循環と、貯湯水循環器43による貯湯水の循環と、加熱器42による加熱とを実行する。これにより、冷却水及び貯湯水の凍結が抑制される。
【0008】
また、制御器47は、燃料電池システムが何らかの原因で異常停止すると、その異常原因に基づいて、冷却水経路37及び貯湯水経路38の各々について凍結抑制運転を実行するか否かを判定する。
【0009】
例えば、冷却水経路37における水漏れが原因で、燃料電池システムが異常停止している場合には、凍結抑制運転として冷却水循環器41による冷却水の循環を実行すると、冷却水循環器41が空運転するため、制御器47は冷却水の循環を実行しない。また、この場合に、凍結抑制運転として加熱器42による加熱を実行すると、加熱対象である冷却水が冷却水経路37内に存在しない状態で加熱することになり、加熱器42の周辺が過剰に加熱される恐れがあるため、制御器47は加熱器42による加熱を実行しない。また、貯湯水経路38における水漏れが原因で、燃料電池システムが以上停止している場合には、貯湯水循環器43による貯湯水の循環を実行すると、貯湯水循環器43が空運転するため、制御器47は貯湯水の循環を実行しない。これにより、凍結抑制運転を実行する要素である冷却水循環器41、貯湯水循環器43、及び加熱器42の損傷が抑制される。
【0010】
ここで、冷却水経路37において水漏れが発生しているということは、例えば、以下のようにして検知される。
【0011】
燃料電池36の発電中に冷却水経路37から水漏れすると、燃料電池36の温度が過剰に上昇する。そこで、この燃料電池36の温度の過剰上昇を検知することにより、冷却水経路37における水漏れを検知することができる。また、冷却水温検知手段45として、冷却水の燃料電池36入口側の水温を検知する第1の冷却水温検知手段48と、燃料電池36出口側の水温を検知する第2の冷却水温検知手段49とを備える場合には、燃料電池36の発電中に貯湯水経路38から水漏れすると、熱交換器40による熱交換機能が低下し、第1の冷却水温検知手段48が検知する冷却水温度と、第2の冷却水温検知手段49が検知する冷却水温度とが近づく。それ故、両者が検知する冷却水温度の接近を検知することにより、貯湯水経路38からの水漏れを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−294186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、燃料電池システムの冷却水経路で水漏れが発生しても冷却水経路に水が残る場合がある。しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムでは、冷却水経路からの水漏れの異常が発生している場合には、冷却水循環器による水循環を行わないだけではなく、加熱器による加熱をも実行しない。従って、冷却水経路内に残水がある場合には、その残水の凍結を抑制する手段がなく、燃料電池が凍結する可能性がある。その結果、次回の起動時に発電が不可能になる等の課題がある。
【0014】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、水漏れの異常が発生して停止している燃料電池システムにおいて、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池の運転に関係する水が循環する水循環経路と、前記水循環経路内の水を循環させるための水循環器と、前記水循環経路を加熱する加熱器と、前記水循環経路からの漏水に関する異常である第1の異常を検知する第1の異常検知器と、制御器と、を備え、前記水循環経路の凍結抑制のために前記水循環器により前記水循環経路内の水を循環させる水循環動作と前記加熱器を動作させる加熱動作とを実行する燃料電池システムであって、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止し、凍結抑制のための前記加熱動作を禁止しないよう構成されている。
【0016】
前記燃料電池システムは、前記第1の異常と異なる第2の異常を検知する第2の異常検知器を備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止しかつ凍結抑制のための前記加熱動作を禁止せず、前記第2の異常検知器により前記第2の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作及び前記加熱動作を共に禁止しないよう構成されていてもよい。
【0017】
前記水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路と、の少なくともいずれか一つであってもよい。
【0018】
前記水循環経路が、第1の水循環経路と第2の水循環経路とを備え、前記水循環器が、前記第1の水循環経路内の水を循環させる第1の水循環器と、前記第2の水循環経路内の水を循環させるための第2の水循環器とを備え、前記加熱器が、前記第1の水循環経路を加熱する第1の加熱器と、前記第2の水循環経路を加熱する第2の加熱器とを備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の水循環器による水循環動作を禁止し、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の加熱器による加熱動作を禁止せず、前記第2の水循環経路の凍結抑制のための前記第2の水循環器による水循環動作及び前記第2の加熱器による加熱動作を禁止しないよう構成されていてもよい。
【0019】
前記第1の水循環経路及び前記第2の水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路とのうちの2つの経路の組み合わせであってもよい。
【0020】
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって、前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記加熱器による加熱動作において、前記第1の異常が検知されていない場合よりも加熱量を増加させるよう構成されていてもよい。
【0021】
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記第1及び第2の加熱器による加熱動作において、前記第1の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合よりも増加させ、前記第2の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合と変えないよう構成されていてもよい。
【0022】
前記燃料電池システムは、前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されていない場合は、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行し、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知された場合は、前記温度検知器が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行するよう構成されていてもよい。
【0023】
前記燃料電池システムは、前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のための前記加熱動作として前記第1の加熱器と前記第2の加熱器とを動作させるよう構成されており、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を前記温度検知器が検知すると凍結抑制のために前記第1の加熱器を動作させ、前記温度検知器が前記第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記第2の加熱器を動作させるよう構成されていてもよい。
【0024】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記のように構成され、水漏れの異常が発生して停止している燃料電池システムにおいて、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5の燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9の燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施の形態8に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図12】図12は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の実施の形態の変形例2に係る燃料電池システムの構成例を示すブロック図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態の変形例2に係る燃料電池システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図15】図15は、従来の燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0028】
本発明の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池の運転に関係する水が循環する水循環経路と、前記水循環経路内の水を循環させるための水循環器と、前記水循環経路を加熱する加熱器と、前記水循環経路からの漏水に関する異常である第1の異常を検知する第1の異常検知器と、制御器と、を備え、前記水循環経路の凍結抑制のために前記水循環器により前記水循環経路内の水を循環させる水循環動作と前記加熱器を動作させる加熱動作とを実行する。
【0029】
そして、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止し、凍結抑制のための前記加熱動作を禁止しないよう構成されている。
【0030】
「燃料電池」は、燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池であればよい。このような「燃料電池」として、例えば、固体高分子電解質形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、りん酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等を用いることができる。「燃料ガス」として、例えば、純水素、水素含有ガス(改質ガス)等を用いることができる。「酸化剤ガス」として、例えば、純酸素、空気等を用いることができる。
【0031】
「水循環経路」は、燃料電池の運転に関係する水が循環する全ての経路を意味する。例えば、後述する冷却水循環経路、回収水循環経路、貯湯水循環経路等がこのような「水循環経路」に相当する。
【0032】
「水循環器」として、例えば、ポンプ(ロータリ式)、プランジャーポンプ等を用いることができる。
【0033】
「第1の異常」は、上述の「水循環経路」からの漏水に関する異常として定義される。「第1の異常検知器」は、上述の「水循環経路」からの漏水を、直接的又は間接的に検知する検知器を意味する。漏水を直接的に検知するとは、「漏水」そのものを検知することを意味する。また、漏水を間接的に検知するとは、「漏水」に相関して変動するパラメータ(物理量)を検知することを意味する。「漏水」を間接的に検知する場合には、検知した当該パラメータから、当該パラメータと「漏水」との相関関係を利用して「漏水」を検知することができる。例えば、「第1の異常検知器」が、「漏水」に相関するパラメータを検知する検知器で構成された場合には、この検知器で検知されたパラメータのレベルと、当該パラメータと「漏水」との相関関係に基づいて設定された判定基準(例えば閾値)とに基づいて「水循環経路」からの漏水が発生しているか否かが判定器によって判定される。
【0034】
「第1の異常検知器」は、燃料電池システムの主要部(例えば、燃料電池を含む発電ユニット等)を収納する筐体の内部に設置してもよく、あるいは、当該筐体の外部に設置してもよい。検知器を当該筐体の外部に設置する場合において、「第1の異常検知器」と制御部との間は有線で接続されてもよく、無線で接続されてもよい。
【0035】
「加熱器」は、上述の「水循環経路」を加熱することができればよい。従って、「加熱器」の機能及び設置態様は、これ以外には特に限定されない。例えば、「加熱器」は単独の加熱器で構成されていてもよく、分散配置された複数の加熱器で構成されていてもよい。このような「加熱器」として、例えば、セラミックヒータを用いることができる。
【0036】
「前記水循環経路の凍結抑制のために前記水循環器により前記水循環経路内の水を循環させる水循環動作と前記加熱器を動作させる加熱動作」とは、このような態様の凍結抑制運転を意味する。
【0037】
「制御器」は、「前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止し、凍結抑制のための前記加熱動作を禁止しないよう構成された」ものであればよい。本明細書及び請求の範囲において、制御器とは単独の制御器のみならず制御器群をも意味する。従って、「制御器」は、集中制御を行う単独の制御器で構成されてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されてもよい。「制御器」としては、例えば、マイクロコンピュータ、プログラマブルコントローラ、論理回路等を用いることができる。
【0038】
「水循環動作を禁止する」とは、換言すれば、「水循環動作を許可しない」ことである。「水循環動作を禁止しない」とは、換言すれば、「水循環動作を許可する」ことである。例えば、特定の条件を満たす場合に、水循環動作が実行される。
【0039】
以上に説明した構成によれば、水循環経路からの漏水に関する異常が検知された場合には、凍結抑制運転としての水循環動作が禁止されるので、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができる。一方、凍結抑制運転としての加熱動作は禁止されないので、特定の条件が満たされることにより、凍結抑制運転としての加熱動作が実行され、循環による凍結抑制ができない水循環経路内の残水の凍結を抑制することできる。その結果、水漏れの異常が発生して停止している燃料電池システムにおいて、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる。
【0040】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムは、前記第1の異常と異なる第2の異常を検知する第2の異常検知器を備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止しかつ凍結抑制のための前記加熱動作を禁止せず、前記第2の異常検知器により前記第2の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作及び前記加熱動作を共に禁止しないよう構成されていてもよい。
【0041】
「第2の異常」は、「第1の異常」と異なる燃料電池システムの異常として定義される。また、この「第2の異常」には、「第1の異常」以外の異常の全てを含むものではなく、「第1の異常」以外の異常の少なくとも一部を含むものである。燃料電池システムの異常には、例えば、燃料電池システムの各構成要素の異常、それらの制御の異常等がある。ここで、表1に上述の第1の異常と第2の異常との具体例を示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示すように、第1の異常として、例えば、水循環経路からの水漏れ、水循環経路中の水タンク(循環水タンク)における水位の異常低下、貯湯水により冷却される燃料電池の異常昇温、燃料電池の冷却水と貯湯水との熱交換器を備える場合における貯湯水の熱交換前後の温度差異常、冷却水と貯湯水との熱交換器を備える場合における冷却水の熱交換前後の温度差異常等が挙げられる。また、第2の異常として、例えば、酸化剤ガス流量計の計測値異常、酸化剤ガス経路及び燃料ガス経路の弁の固着、酸化剤ガス経路の弁からのリーク異常、燃料ガス経路の弁からのリーク異常、改質器内の温度検知器の検知温度異常、改質器内の温度検知器の断線/ショート、改質器を加熱する燃焼器の失火異常、改質器を加熱する燃焼器の着火異常等が挙げられる。
【0044】
「第2の異常検知器」は、「第1の異常検知器」と同様に、第2の異常を直接的又は間接的に検知する検知器を意味する。
【0045】
この構成によれば、水循環経路からの漏水に関する異常を検知した場合は、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる一方、漏水とは関連の無い異常を検知した場合は、通常のとおり、当該水循環経路の凍結抑制が可能となる。
【0046】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、前記水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路と、の少なくともいずれか一つであってもよい。
【0047】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、前記水循環経路が、第1の水循環経路と第2の水循環経路とを備え、前記水循環器が、前記第1の水循環経路内の水を循環させる第1の水循環器と、前記第2の水循環経路内の水を循環させるための第2の水循環器とを備え、前記加熱器が、前記第1の水循環経路を加熱する第1の加熱器と、前記第2の水循環経路を加熱する第2の加熱器とを備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の水循環器による水循環動作を禁止し、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の加熱器による加熱動作を禁止せず、前記第2の水循環経路の凍結抑制のための前記第2の水循環器による水循環動作及び前記第2の加熱器による加熱動作を禁止しないよう構成されていてもよい。
【0048】
この構成によれば、水循環経路が複数存在する燃料電池システムにおいて、漏水に関する異常が検知された水循環経路については、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる一方、漏水に関する異常が検知されていない水循環経路については、通常のとおり、当該水循環経路の凍結抑制が可能となる。
【0049】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、前記第1の水循環経路及び前記第2の水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路とのうちの2つの経路の組み合わせであってもよい。
【0050】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって、前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記加熱器による加熱動作において、前記第1の異常が検知されていない場合よりも加熱量を増加させるよう構成されていてもよい。
【0051】
漏水に関する異常が検知されている場合には、水循環動作が実行されない分、漏水に関する異常が検知されていない場合に比べて耐凍結性が低下する。しかし、この構成によれば、漏水に関する異常が検知されている場合には、加熱器による加熱量を、漏水に関する異常が検知されていない場合に比べて増加させるので、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐことが出来る。
【0052】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムにおいては、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記第1及び第2の加熱器による加熱動作において、前記第1の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合よりも増加させ、前記第2の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合と変えないよう構成されていてもよい。
【0053】
この構成によれば、漏水に関する異常が検知されている第1の水循環経路についてのみ、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐべく、第1の異常が検知されていない場合に比べて第1の加熱器の加熱量を増加させ、漏水に関する異常が検知されていない第2の水循環経路については、第2の加熱器による加熱量を第1の異常が検知されていない場合と変えないので、不必要な加熱量の増加による消費電力の増加を抑制することができる。
【0054】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムは、前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されていない場合は、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行し、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知された場合は、前記温度検知器が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行するよう構成されていてもよい。
【0055】
「水の温度を検知する温度検知器」とは、水の温度を直接的又は間接的に検知する温度検知器を意味する。従って、温度検知器は、「燃料電池」の運転に関係する「水」の温度を直接検知する温度検知器であってもよく、「水」の温度に相関する温度(つまり、上記「水」の温度が、間接的に検知される温度)を検知する温度検知器であってもよい。具体的には、外気温度を検知する温度検知器、燃料電池システムの筐体内の水経路以外の所定の位置に設けられた温度検知器が挙げられる。また、「水」の温度に相関する温度を検知する場合には、例えば、当該温度と「水」の温度との相関関係を利用して、当該温度に対して水の凍結を抑制するために最適な閾値が設定される。「温度検知器」は1つでも複数でも構わない。「温度検知器」として、例えば、白金測温抵抗体、熱電対、サーミスタ等の温度センサを用いることができる。
【0056】
「第1の閾値」は、水の凝固点(0℃)以上の温度として定義される。「第1の閾値」は、燃料電池システムの設計に依存するので、例えば、実験、シミュレーション、計算等により定められる。また、「第1の閾値」を「第2の閾値」と共に定める場合には、第1の閾値は、水の循環を行っている状態で凍結抑制のために加熱器による加熱が必要と判断される温度として定義される。そして、第2の閾値は、水の循環を行わない状態で凍結抑制のために加熱器による加熱が必要と判断される温度として定義され、第1の閾値よりも高い値となる。「第2の閾値」は、燃料電池システムの設計に依存するので、例えば、実験、シミュレーション、計算等により定められる。
【0057】
この構成によれば、漏水に関する異常を検知した場合は、加熱器を動作させる温度検知器の温度閾値が第1の異常が検知されていない場合に比べて高く設定されているので、水の温度が低下した時の加熱器の動作開始を早めることができる。その結果、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を抑制することができる。
【0058】
また、本発明の実施の形態に係る燃料電池システムは、前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のための前記加熱動作として前記第1の加熱器と前記第2の加熱器とを動作させるよう構成されており、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を前記温度検知器が検知すると凍結抑制のために前記第1の加熱器を動作させ、前記温度検知器が前記第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記第2の加熱器を動作させるよう構成されていてもよい。
【0059】
この構成によれば、漏水に関する異常が検知されている第1の水循環経路についてのみ、水の温度が低下した時の加熱器の動作開始を早めるべく、加熱器を動作させる温度検知器の温度閾値が第1の異常が検知されていない場合に比べて高く設定されており、漏水に関する異常が検知されていない第2の水循環経路については、加熱器を動作させる温度検知器の温度閾値が第1の異常が検知されていない場合と同じに設定されているので、不必要に加熱器の動作開始を早めることによる消費電力の増加を抑制することができる。
【0060】
以下、本発明の実施の形態を具体的に例示する。
【0061】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、「水循環経路」が、貯湯水循環経路であり、かつ「燃料電池」が固体酸化物形燃料電池(SOFC)である形態を例示するものである。
【0062】
[構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0063】
まず、ハードウェアの構成を説明する。
【0064】
図1に示すように、本実施の形態1の燃料電池システム301は、吸気口(図示せず)及び排気口60を有する筐体50と、貯湯タンク9Bとを備えている。筐体50には、貯湯タンク9B以外の燃料電池システム301を構成する各要素(筐体50を除く)が収容されている。
【0065】
筐体50には、上述の「燃料電池」の一例である燃料電池1が配置されている。燃料電池1は、本実施の形態1では、例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)で構成されている。燃料電池1の内部にはアノードに接触するように内部燃料ガス流路1aが形成されていて、この内部燃料ガス流路1aの入口には、燃料ガス供給経路22を介して改質部105の出口が接続されている。この改質部105と燃料電池1とが燃料電池本体101を構成している。
【0066】
改質部105の原料ガス入口には、原料ガス供給路19を介して原料供給器61から原料が供給される。原料ガスは、改質により水素含有ガスを生成できるものであればよい。原料ガスとして、例えば、天然ガス等の炭化水素系のガスを用いることができる。原料供給器61は、例えば、原料ガス源(例えば、天然ガスのインフラストラクチャ)に接続されたブースタポンプ、流量調整弁等で構成することができる。また、改質部105の空気入口には空気供給器62から空気が供給される。空気供給器62として、例えば、ブロワ等を用いることができる。さらに、改質部105の改質水入口には、改質水経路64から改質水が供給される。改質部105は、供給された原料ガス及び改質水を用いてオートサーマル法により水素含有ガス(改質ガス)を生成する。そして、この水素含有ガスを燃料ガスとして燃料電池1に供給する。この水素含有ガス(改質ガス)は、上述の「燃料ガス」の一例である。また、改質部105は、燃料ガス供給器の一例である。
【0067】
燃料電池1の内部酸化剤ガス流路1bの入口には酸化剤ガス供給器6が酸化剤ガス供給経路23を介して接続されている。
【0068】
酸化剤ガス供給器6は、上述の「酸化剤ガス」を酸化剤ガス供給経路23に供給する。酸化剤ガス供給器6は、例えば、ブロワ等で構成されていて、空気を「酸化剤ガス」として供給する。
【0069】
燃料電池1では、このように供給された燃料ガスと酸化剤ガスとがそれぞれアノード及びカソードにおいて化学反応して電気と熱とが発生する。
【0070】
燃料電池1の内部燃料ガス流路1aの出口には、排出燃料ガス経路25の上流端が接続されている。アノードにおいて化学反応しなかった(消費されなかった)燃料ガス(以下、排出燃料ガスという)は排出燃料ガス経路25に排出される。排出燃料ガス経路25の下流端は、例えば、燃焼器(図示せず)に接続されている。排出燃料ガス経路25には第1水凝縮器24Aが設けられている。第1水凝縮器24Aは、熱交換器で構成されていて、その一次側流路を流れる排出燃料ガスを、二次側流路を流れる貯湯水と熱交換させて冷却し、それにより、当該排出燃料ガスに含まれる水を凝縮させて、この凝縮水を当該排出燃料ガスから分離するように構成されている。
【0071】
排出燃料ガス経路25の第1水凝縮器24Aより下流側の部分は下方に傾斜するように形成されており、この下流側の部分から、第1回収水経路57Aが下方に分岐している。この第1回収水経路57Aの下端は第1回収水タンク58Aに接続されている。これにより、第1水凝縮器24Aで排出燃料ガスから分離された凝縮水は、排出燃料ガス経路25を流下した後、第1回収水経路57Aを経由して第1回収水タンク58Aに至り、そこに貯留される。一方、第1水凝縮器24Aで凝縮水を除去された排出燃料ガスは排出燃料ガス経路25を流れて燃焼器に至り、そこで燃焼されて大気中に放出される。
【0072】
燃料電池1の内部酸化剤ガス流路1bの出口には、排出酸化剤ガス経路26の上流端が接続されている。カソードにおいて化学反応しなかった(消費されなかった)酸化剤ガス(以下、排出酸化剤ガスという)は排出酸化剤ガス経路26に排出される。排出酸化剤ガス経路25の下流端は、例えば、大気に開放されている。排出酸化剤ガス経路26には第2水凝縮器24Bが設けられている。第2水凝縮器24Bは、熱交換器で構成されていて、その一次側流路を流れる排出酸化剤ガスを、二次側流路を流れる貯湯水と熱交換させて冷却し、それにより、当該排出酸化剤ガスに含まれる水を凝縮させて、この凝縮水を当該排出酸化剤ガスから分離するように構成されている。
【0073】
排出酸化剤ガス経路26の第2水凝縮器24Bより下流側の部分は下方に傾斜するように形成されており、この下流側の部分から、第2回収水経路57Bが下方に分岐している。この第2回収水経路57Bの下端は第2回収水タンク58Bに接続されている。これにより、第2水凝縮器24Bで排出酸化剤ガスから分離された凝縮水は、排出酸化剤ガス経路26を流下した後、第2回収水経路57Bを経由して第2回収水タンク58Bに至り、そこに貯留される。一方、第2水凝縮器24Bで凝縮水を除去された排出酸化剤ガスは排出酸化剤ガス経路26を流れて排出酸化剤ガス経路26の先端から大気中に放出される。
【0074】
第1回収水タンク58Aと第2回収水タンク58Bとは、各々の下部が連通路で互いに連通されている。なお、ここでは、排出燃料ガスと排出酸化剤ガスとの双方から水を回収するよう構成したが、排出燃料ガスと排出酸化剤ガスとのいずれかから水を回収するよう構成してもよい。
【0075】
第1水凝縮器24Aは、上述のように、排出燃料ガスと貯湯水とを熱交換させる第1の熱交換器で構成され、第2水凝縮器24bは、排出酸化剤ガスと貯湯水とを熱交換させる第2の熱交換器で構成されている。そして、これら2つの熱交換器に貯湯水を流すための貯湯水経路9Aが、例えば、貯湯タンク9Bの下部から延出し、これら2つの熱交換器を通って貯湯タンク9Bの上部に至るように形成されている。この貯湯水経路9Aと貯湯タンク9Bとが、上述の「水循環経路」の一例である貯湯水循環経路9を構成している。貯湯水経路9Aには、上述の「水循環器」の一例である貯湯水循環器10が配置されている。貯湯水循環器10として、例えば、ポンプ等を用いることができる。貯湯水循環器10は、燃料電池システム301の発電時には、貯湯タンク9Bの下部から上部へ向けて貯湯水を流す。貯湯水経路9Aにおけるこれら2つの熱交換器(第1水凝縮器24A、第2水凝縮器24B)の配置順序は、いずれが上流側でも構わない。
【0076】
また、第2回収水タンク58Bから改質部105の改質水入口に至るように改質水経路64が設けられている。改質経路64には、改質水供給器63と浄化器17とが設けられている。なお、改質水供給器63と浄化器17とは、いずれが上流側に配置されも構わない。改質水供給器63は、例えば、プランジャーポンプ等で構成されていて、第1及び第2回収タンク58A、58Bの水(回収水)を、改質水として改質部105に供給する。浄化器17は、水(ここでは改質水)を浄化するものであり、例えば、イオン交換樹脂が充填されて構成される。これにより、改質水の導電度が低下される。
【0077】
また、筐体50の下部には、上述の「加熱器」の一例である加熱器14が設けられている。加熱器14は、例えば、セラミックヒータで構成される。加熱器14は、燃料電池1ではなく、燃料電池システム301の外部の電源から電力を供給されて動作するよう構成されている。加熱器14は、本実施の形態1では、筐体50の底部に、平面視において広い範囲に渡って設けられている。このような構成により、加熱器14が動作すると、加熱器14で暖められた空気が自然対流により上昇して、貯湯水循環経路9の近傍の雰囲気温度を上昇させる。その結果、貯湯水循環経路9の内部の水が加熱され、その凍結が抑制される。つまり、本実施の形態1では、加熱器14が貯湯水循環経路9内の水を間接的に加熱する。もちろん、加熱器14を、貯湯水循環経路9内の水を直接的に加熱するように構成してもよい。なお、加熱器14の動作により第1、第2回収水タンク58A,58B内の水の凍結も抑制される。
【0078】
次に、制御系統の構成を説明する。
【0079】
本実施の形態1の燃料電池システム301は、上述の「制御器」の一例である制御器16を備えている。制御器16は、例えば、マイクロコンピュータで構成される。制御器16は、演算部と記憶部とを有し、演算部は、例えば、マイクロコンピュータのCPUで構成され、記憶部は、例えば、マイクロコンピュータの内部メモリで構成される。記憶部には、後述する異常停止時における凍結抑制制御を含む制御プログラムが格納されている。演算部はこの制御プログラムを記憶部から読み出して実行することにより、各種の制御を行う。以下では、演算部による制御を制御器16による制御として説明する。制御器16は、燃料電池システム301の所定の検知器等(図示せず)からの入力に基づいて燃料電池システム301の所要の要素(61、62、6、63、10等)に制御信号を出力することにより、燃料電池システム301全体の動作を制御する。また、制御器16は、第1温度検知器15からの入力と、第2温度検知器29及び第3温度検知器30からのそれぞれの入力とに基づいて、貯湯水循環器10と加熱器14とを制御することにより、燃料電池システム301の異常停止時における凍結抑制制御を行う。なお、制御器10は、第1回収水水位検知器31A及び第2回収水水位検知器31Bの検知出力に基づき図示されない水供給手段により水を補充して、第1回収水タンク58A及び第2回収水タンク58Bの水位を所定の範囲に制御する。また、制御器16を、例えば、燃料電池システム301全体の動作を行う制御器と、燃料電池システム301の異常停止時における凍結抑制制御を行う制御器とで構成してもよい。
【0080】
第1回収水水位検知器31Aは第1回収水タンク58Aの水位を検知してこれを制御器16に出力する。また、第2回収水水位検知器31Bは第2回収水タンク58Bの水位を検知してこれを制御器16に出力する。第1回収水水位検知器31A及び第2回収水水位検知器31Bは、例えば、水位センサで構成される。
【0081】
第1温度検知器15は、上述の「温度検知器」の一例である。第1温度検知器15は、本実施の形態1では、筐体50内において、外気温度と同等の温度を示す場所に設置されている。燃料電池システム301が停止している場合には、貯湯水循環経路9の水の温度は、外気温度に従って変化する。それ故、外気温度は、貯湯水循環経路9の水の温度と相関するパラメータであり、第1温度検知器15は、貯湯水循環経路9の水の温度を間接的に検知する「温度検知器」である。もちろん、第1温度検知器15を、貯湯水循環経路9の水の温度を直接検知するように設けてもよい。第1温度検知器15は、検知した温度を制御器6に出力する。なお、以下では、第1温度検知器15が1つの温度検知器で構成される例を示すが、第1温度検知器15が複数の温度検知で構成され、例えば、貯湯水循環器10の制御用と加熱器14の制御用とのように、用途を分けて用いられてもよい。これは、他の実施の形態においても同様である。
本実施の形態1では、貯湯水経路9Aの第1及び第2凝縮器24A、24Bより上流側の部分に、貯湯水の温度を検知する上記第2温度検知器29が設けられ、貯湯水経路9Aの第1及び第2凝縮器24A、24Bより下流側の部分に、貯湯水の温度を検知する上記第3温度検知器30が設けられている。第2温度検知29及び第3温度検知器30の検知温度は制御器16に出力される。第2温度検知29及び第3温度検知器30は、貯湯水の温度を直接的又は間接的に検知するものであればよく、例えば、熱電対等の温度センサで構成される。
【0082】
第2温度検知29及び第3温度検知器30は、「漏水」を間接的に検知する「第1の異常検知器」、すなわち、「漏水」に相関するパラメータを検知する検知器の一例である。第2温度検知29及び第3温度検知器30の検知温度は、「漏水」に相関するパラメータの一例である。貯湯水循環経路9において漏水が発生すると貯湯水経路9Aを流れる貯湯水の流量が減少する。すると、第1及び第2凝縮器24A、24Bを通過する間における貯湯水の温度上昇が増加する。そこで、第2温度検知器29の検知温度と第3温度検知器30の温度との差(以下、検知温度差というについて、正常な場合(漏水が発生してない場合)の検知温度差よりも大きい所定の閾値(以下、検知温度差閾値という)が制御器16(正確には記憶部)に設定されていて、制御器16は、検知温度差がこの検知温度差閾値以上になると貯湯水循環経路9において漏水(第1の異常)が発生したと判定する。従って、制御器16は、漏水が発生しているか否かを判定する判定器としても機能する。なお、上記第2の閾値は、あくまで例示であり、貯湯水循環経路9の大量漏れにより貯湯水が全く循環していない場合を想定して、正常な場合(漏水が発生してない場合)の検知温度差閾値よりも小さい値を漏水異常検知の値として設定してよい。
【0083】
[動作]
まず、一般的な動作を簡単に説明する。
【0084】
燃料電池システム301は、発電を行う発電動作と、燃料電池システム301を停止状態から発電動作に円滑に移行させる起動動作と、燃料電池システム301を発電動作から停止状態に円滑に移行させる停止動作と、停止状態との4つの動作モードを有する。停止状態は、停止処理を完了した後の状態であり、次の起動を待機する待機状態と、次の起動が禁止されている異常停止状態とを含む。
【0085】
燃料電池システム301は、制御器16から起動信号が出力されると起動する。そして、発電動作においては、改質部105は、原料供給器61から供給される原料ガスと改質水経路から供給される改質水と空気供給器62から供給される空気とを用いてオートサーマル法により水素含有ガスを生成する。そして、この水素含有ガスを燃料ガスとして燃料電池1の内部燃料ガス経路1aに供給する。また、酸化剤ガス供給器6は、酸化剤ガス(空気)を燃料電池1のカソードに供給する。燃料電池1は、この燃料ガスと酸化剤ガスとを化学反応させて発熱を伴う発電をする。この発電に用いられなかった燃料ガス(排出燃料ガス)及び酸化剤ガス(排出酸化剤ガス)は、それぞれ、排出燃料ガス経路25及び排出酸化剤ガス経路26を通じて最終的に大気中に放出される。そして、その過程において、排出燃料ガス及び排出酸化剤ガスは、それぞれ、第1水凝縮器24A及び第2凝縮器24Bにおいて、それぞれ、貯湯水にその保持する熱を伝達することにより冷却され、その含有する水が凝縮して除去される。これらの除去された水は、それぞれ、第1回収水タンク58A及び第2回収水タンク58Bに貯留される。第1回収水タンク58A及び第2回収水タンク58Bに貯留された水(回収水)は、改質水供給器63により浄化器17を経て改質部105に供給され、そこで、原料ガスの改質に用いられる。一方、貯湯水は、排出燃料ガス及び排出酸化剤ガスが保持する熱を受け取って昇温し、貯湯タンクに貯留される。これにより、排出燃料ガス及び排出酸化剤ガスから排熱が回収されて貯湯タンク9Bに蓄熱される。
【0086】
このようにして、燃料電池システム301は発電動作を行う。そして、燃料電池システム301は、制御器16から停止信号が出力されると停止動作に移行し、停止動作が完了すると、停止状態となる。
【0087】
また、燃料電池システム301は、通常の停止状態において、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下となると、凍結抑制運転を行い、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上となると、凍結抑制運転を停止する。なお、上記通常の停止状態とは、燃料電池システムの異常の発生に伴う停止状態(異常停止状態)ではない停止状態(待機状態)として定義される。凍結抑制運転については、後で詳しく説明する。
【0088】
また、燃料電池システム301は、起動動作及び発電動作の最中に制御器16が異常を検知すると検知された異常内容に対応した所定の異常停止処理を実行し、異常停止処理完了後、通常、次の起動が許可されない異常停止状態となる。
【0089】
次に、本発明を特徴付ける燃料電池システム301の異常停止状態における凍結抑制制御(以下、システム異常停止時の凍結抑制制御という場合がある)について説明する。この制御は、「前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止し、凍結抑制のための前記加熱動作を禁止しない」制御の一例である。このシステム異常停止状態における凍結抑制制御においては、燃料電池システム301の異常は、貯湯水循環経路9の漏水に関する異常(第1の異常)とこれと異なる異常(「第2の異常」)とに分けて扱われる。
【0090】
図2は燃料電池システム301の異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。この制御は制御器16により実行される。
【0091】
図2に示すように、制御器16は、まず、燃料電池システム301に異常が発生したか否か判定する(ステップS1)。
【0092】
異常が発生していない場合(ステップS1でNO)には、制御器16は、通常の凍結抑制制御(ステップS9〜ステップS12、8)を行う。具体的には、制御器16は第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下であるか否か判定する(ステップS9)。ここで、第1の閾値は、水の凝固点(0℃)以上の温度として定義される。具体的には、第1の閾値は、実験、シミュレーション等により最適な値が定められる。
【0093】
第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値を超える場合には、制御器16は、ステップ1に戻る。従って、この場合には、凍結抑制運転は行われない。
第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、貯湯水循環器10を動作させ、かつ加熱器14を動作させる(ステップS10)。これにより、貯湯タンク9Bの貯湯水が貯湯水循環経路9を循環する。また、加熱器14によって、筐体50内の雰囲気温度が上昇して貯湯水循環経路9の水が加熱される。この筐体50内の雰囲気温度の上昇により、第1の温度検知器15の検知温度も上昇する。
【0094】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上であるか否か判定する(ステップS11)。ここで、第3の閾値は、第1の閾値より高い温度に設定される。
【0095】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値未満である場合(ステップS11でNO)には、制御器16はステップS10に戻る。これにより、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上となるまで、凍結抑制運転が行われ、それにより、貯湯水循環経路9の水の凍結が抑制される。
【0096】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上である場合(ステップS11でYES)には、制御器16は、貯湯水循環器10と加熱器14とを停止させる(ステップS12、8)。これにより、凍結抑制運転が停止される。
【0097】
一方、ステップS1において、異常が発生している場合(ステップS1でYES)には、制御器16は燃料電池システム301を停止させる(ステップS2)。
【0098】
次いで、制御器16は、発生した異常が、漏水に関する異常(第1の異常)であるか否か判定する(ステップS3A)。発生した異常が、漏水に関する異常でない場合(ステップS3AでNO)には、制御器16は、ステップS3Bに進み、第2の異常であるか否かを判定する。第2の異常の具体例は表1に示した通りである。第2の異常は多数存在するので第2の異常を検知する第2の異常検知器の図示を省略する。制御器16は、この第2の異常検知器の検知出力に基づいて検知した異常が第2の異常であるか否か判定する。そして、第2の異常である場合(ステップS3BでYES)には、ステップS9に進み、異常が発生していない場合(待機状態)と同じ制御を行う。換言すると、発生した異常が漏水に関する異常と異なる異常である場合には、少なくともその一部の異常(第2の異常)については、制御器16は、「凍結抑制のための加熱動作を禁止しない」。なお、発生した異常が第2の異常である場合に、制御器16が凍結抑制のための加熱動作を禁止しない、又は、制御器16が凍結抑制のための加熱動作を許可する旨のステップをステップS9の前に設けてもよい。なお、ステップS3Bにおいて、第2の異常でないと判定された場合(ステップS3BでNO)は、その異常内容に応じた所定の凍結抑制運転が実行される。例えば、ステップS1において可燃性ガス漏洩に関する異常が発生した場合は、第1の閾値以下で貯湯水循環経路9の水循環動作を実行し、加熱器14の加熱動作が禁止される。なお、上記可燃性ガス漏洩に関する異常は、通常、筐体50内に設けられた可燃性ガスセンサ(図示せず)により検知される。
【0099】
発生した異常が、漏水に関する異常である場合(ステップS3AでYES)には、制御器16は、貯湯水循環器10を停止する(ステップS4)。ステップS4においては、ステップS2において燃料電池システムが停止されていて、通常、貯湯水循環器10は既に停止されている。従って、「貯湯水循環器10を停止する」とは、貯湯水循環器10が動作しているか否かに関わらず、貯湯水循環器10を停止するという意味である。すなわち、制御器16は、「凍結抑制のための前記水循環動作を禁止する」。これにより、漏水被害の拡大を抑制しかつ貯湯水循環器10の空運転による当該貯湯水循環器10の故障の可能性を低減することができる。
【0100】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下であるか否か判定する(ステップS5)。第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値を超える場合(ステップS5でNO)には、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下になるまで待機する。
一方、第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、加熱器14を動作させる(ステップS6)。これにより、加熱器14によって、筐体50内の雰囲気温度が上昇して貯湯水循環経路9に残存する水が加熱される。また、第1の温度検知器15の検知温度も上昇する。
【0101】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上であるか否か判定する(ステップS7)。第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値未満である場合(ステップS7でNO)には、制御器16はステップS6に戻る。これにより、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上となるまで、貯湯水を循環させずに凍結抑制運転が行われ、それにより、水漏れしている貯湯水循環経路9に残存する水の凍結が抑制される。
【0102】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上である場合(ステップS7でYES)には、制御器16は、加熱器14を停止させる(ステップS8)。これにより、凍結抑制運転が停止される。なお、上述の本実施の形態の燃料電池システム301によれば、通常の停止状態及び第2の異常発生に伴う異常停止状態において、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下の場合に、貯湯水循環器10及び加熱器14を動作させ、凍結抑制運転を実行するよう構成されている。しかしながら、凍結抑制運転として、上記に限定されるものでなく、第1の閾値よりも大きい所定の温度閾値以下の場合に、まず、貯湯水循環器19を動作させ、その後、温度低下が進行し、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下になると、加熱器14を動作させる形態を採用しても構わない。
【0103】
以上のように構成された本実施の形態1の燃料電池システム301によれば、貯湯水循環経路9で漏水が発生した場合に、漏水被害の拡大を抑制しかつ貯湯水循環器10の空運転による当該貯湯水循環器10の故障の可能性を低減することができる。また、水漏れしている貯湯水循環経路9内の残水の凍結を抑制することができる。
【0104】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、実施の形態1において、第1の異常が検知された場合の凍結抑制運転において、加熱器14による加熱量を増加させる形態を例示するものである。
【0105】
本実施の形態2の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態1の燃料電池システム301と同じであり、制御系統の構成において実施の形態1の燃料電池システム301と異なる。
【0106】
図3は本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの異常停止状態における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0107】
図3に示すように、本発明の実施の形態2のシステム異常停止状態の凍結抑制制御においては、実施の形態1(図2)のステップ6に代えてステップS13が遂行される。これ以外は、実施の形態1のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0108】
ステップS13においては、制御器16は、加熱器14を動作させ、かつ、その際に、加熱器14による加熱量を、通常の停止状態(待機状態)もしくは第2の異常発生に伴う異常停止状態における凍結抑制運転として加熱器14を動作させる(ステップS10)際の加熱量に比べて、増加させる。これにより、第1の異常発生に伴う異常停止状態において、凍結抑制運転として水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐことが出来る。
【0109】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、第1の異常発生に伴う異常停止状態での凍結抑制運転において、加熱器14を動作させる第1温度検知器15の温度閾値を、通常の停止状態(待機状態)もしくは第2の異常発生に伴う異常停止状態における凍結抑制運転の場合に比べて高く設定する形態を例示するものである。
【0110】
本実施の形態3の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態1の燃料電池システム301と同じであり、制御系統の構成において実施の形態1の燃料電池システム301と異なる。
【0111】
図4は本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの異常停止状態における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0112】
図4に示すように、本発明の実施の形態3の燃料電池システムの異常停止状態の凍結抑制制御においては、実施の形態1のシステム異常停止時の凍結抑制制御におけるステップS5に代えてステップS14が遂行される。これ以外の点は実施の形態1のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0113】
ステップS14においては、制御器16は、第1温度検知15の検知温度が第2の閾値以下であるか否か判定する。ここで、本実施の形態3では、第1の閾値は、水の循環を行っている状態で凍結抑制のために加熱器14による加熱が必要と判断される温度として定義される。そして、第2の閾値は、水の循環を行わない状態で凍結抑制のために加熱器14による加熱が必要と判断される温度として定義され、第1の閾値よりも高い値となる。第1の閾値及び第2の閾値は、燃料電池システムの設計に依存するので、例えば、実験、シミュレーション等により適宜定められる。
【0114】
そして、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値を超える場合(ステップS14でNO)には、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第2の閾値以下になるまで待機する。
【0115】
一方、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、加熱器14を動作させる(ステップS6)。
【0116】
このような本実施の形態3の燃料電池システムによれば、漏水に関する異常を検知した場合は、加熱器14を動作させる第1温度検知器15の温度閾値が、通常の停止状態(待機状態)もしくは第2の異常発生に伴う異常停止状態における凍結抑制運転に比べて高く設定されているので、貯湯水の温度が低下した時の加熱器14の動作開始を早めることができる。これにより、第1の異常発生に伴う異常停止状態において、凍結抑制運転として水の循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下に対応して水の凍結を抑制することができる。
【0117】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、「水循環経路」が3つであり、「燃料電池」が固体高分子電解質形燃料電池であり、かつ「燃料電池システム」が、燃料ガス供給器として水素生成装置を備える形態を例示するものである。
【0118】
[構成]
図5は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0119】
まず、ハードウェアの構成を説明する。
【0120】
図5に示すように、本実施の形態4の燃料電池システム401は、燃料電池ユニット2と貯湯ユニット4とを備えている。貯湯ユニット4は貯湯タンク9Bを備えている。
【0121】
燃料電池ユニット2は、筐体50を備えている。筐体50には、図示されない吸気口及び図示されない排気口が設けられている。この筐体50に、燃料電池ユニット2を構成する各要素(筐体50を除く)が収容されている。
【0122】
筐体50の内部には、燃料電池1が配置されている。燃料電池1は、本実施の形態4では、固体高分子電解質形の燃料電池で構成されている。燃料電池1の内部燃料ガス流路1aの入口には燃料ガス供給経路22を介して水素生成装置5の出口が接続されている。水素生成装置5の構成は周知であるので簡単に説明する。水素生成装置5は、例えば、改質部(図示せず)と一酸化炭素低減部(図示せず)を備えている。改質部は原料ガスと改質水とを用いて水蒸気改質反応により水素含有ガスを生成し、一酸化炭素低減部は、この水素含有ガスの一酸化炭素濃度を所定のレベルにまで低減する。この一酸化炭素濃度を低減された水素含有ガスが燃料ガスとして、水素生成装置5の出口から燃料ガス供給経路22に供給される。
【0123】
水素生成装置5の原料ガス入口には原料ガス供給経路19を介して原料供給器61が接続されている。水素生成装置5の改質水入口には改質水供給経路21を介して改質水供給器63が接続されている。改質水供給器63は、例えば、市水、回収水等を水源としており、例えば、プランジャーポンプ等で構成される。
【0124】
水素生成装置5は、その改質部が燃焼器18によって加熱されるように構成されている。加熱器18は、排出燃料ガスを燃焼してその燃料熱により水素生成装置5の改質部を加熱する。この熱は水蒸気改質反応に用いられる。
【0125】
燃料電池1の内部酸化剤ガス流路1bの入口には酸化剤ガス供給経路23を介して酸化剤ガス供給器6が接続されている。
【0126】
燃料電池1の内部燃料ガス流路1aの出口には、排出燃料ガス経路25を介して加熱器18が接続されている。
【0127】
燃料電池1の内部酸化剤ガス流路1bの出口には、排出酸化剤ガス経路26の上流端が接続されている。そして、排出酸化剤ガス経路26の下流端は大気に開放されている。
【0128】
排出燃料ガス経路25及び排出酸化剤ガス経路26には、両者に跨るように水凝縮器24が設けられている。排出燃料ガス経路25を流れる排出燃料ガスは水凝縮器24で水を除去されて加熱器18に供給される。排出酸化剤ガス経路26を流れる排出酸化剤ガスは水凝縮器24で水を除去されて大気中に放出される。
【0129】
水凝縮器24には、凝縮水経路27を介して回収水タンク12Aが接続されている。水凝縮24で排出燃料ガス及び排出酸化剤ガスから除去された水は凝縮水経路27を通じて回収水タンク12Aに流れてそこに貯留される。
【0130】
また、燃料電池1には、冷却水が燃料電池1全体を均一に流れるように内部冷却水流路1cが形成されている。そして、筐体50の内部には、この内部冷却水流路1cを含むように冷却水経路7Aが設けられている。冷却水経路7Aは、冷却水タンク7Bの下部から延出し、燃料電池1を通って(通過部分が内部冷却水経路1cである)冷却水タンク7Bの上部に至るように形成されている。冷却水タンク7Aの冷却水は、後述する冷却水循環器8によって、冷却水タンク7Bの下部から流出して冷却水タンク7Bの上部に戻るように冷却水経路7Aを循環される。この冷却水経路7Aと冷却水タンク7Bとが、上述の「水循環経路」の一例である冷却水循環経路7を構成している。冷却水経路7Aの燃料電池1より上流側の部分に「水循環器」の一例である冷却水循環器8が設けられている。冷却水循環器8は、例えば、ポンプで構成されている。冷却水経路7Aの燃料電池1より下流側の部分には、熱交換器11が設けられている。熱交換器11は、冷却水経路7Aを流れる冷却水と後述する貯湯水経路9Aを流れる貯湯水とが熱交換するように構成されている。これにより、冷却水循環器10が動作すると、冷却水タンク7Bの冷却水が燃料電池1を通過する際にこれを冷却するとともに排熱を回収して昇温し、この昇温した冷却水が熱交換器11で貯湯水と熱交換して排熱を貯湯水に伝達するとともに冷却され、その後、冷却水タンク7Bに戻る。
【0131】
燃料電池システム401には、熱交換器11に貯湯水を流すための貯湯水経路9Aが設けられている。この貯湯水経路9Aと貯湯タンク9Bとが、上述の「水循環経路」の一例である貯湯水循環経路9を構成している。この貯湯水循環経路9は実施の形態1の貯湯水循環経路9と同じであるので、その説明を省略する。
【0132】
冷却水タンク7Bは、回収水タンク12Aより上方に配置されており、これらは、回収水経路12Bによって接続されている。例えば、回収水経路12Bは、回収水タンク12Aから冷却水タンク7Bに至るように形成された回収水往路12Baと、冷却水タンク7Bのオーバフロー口(図示せず)から回収水タンク12Aに至るように形成された回収水復路12Bbとで構成されている。回収水往路12Baには、浄化器17と上述の「水循環器」の一例である回収水循環器13とが設けられている。回収水循環器13は、例えば、ポンプ等で構成される。これにより、回収水循環器13が動作すると、回収水タンク12Aの回収水が浄化器17で浄化されて冷却水タンク7Bに供給される。そして、余剰の回収水(冷却水)は、オーバフロー口から回収水タンク12Aに戻る。これにより、冷却水タンク7Bに蒸発等により減少した冷却水が回収水タンク12Aから補給される。また、冷却水タンク7B中の水が循環経路12を循環することによって浄化器17により浄化されてその導電率が低下される。このように形成された回収水経路12Bと回収水タンク12Aと冷却水タンク7Bとが、上述の「水循環経路」の一例である回収水循環経路12を構成している。
【0133】
また、筐体50の底部には加熱器14が設けられている。
【0134】
次に、制御系統の構成を説明する。
【0135】
本実施の形態4の燃料電池システム401の制御系統の構成は、基本的に実施の形態1の燃料電池システム301の制御系統の構成と同じである。但し、以下の点が異なっている。以下、この相違点について説明する。
【0136】
本実施の形態4の燃料電池システム401は、冷却水循環経路7と、貯湯水循環経路9と、回収水循環経路12との3つの「水循環経路」を備えていて、これらがシステム異常停止時における凍結抑制制御の制御対象になる。
【0137】
冷却水タンク7Bには、冷却タンク7Bの水位を検知する冷却水水位検知器28が設けられている。冷却水水位検知器28の検知水位は制御器16に出力される。冷却水水位検知器28の検知水位は制御器16に出力される。回収水タンク12Aには、回収水タンク12Aの水位を検知する冷回収水水位検知器31が設けられている。回収水水位検知器31の検知水位は制御器16に出力される。冷却水水位検知器28及び回収水検知器31は、例えば、水位センサで構成される。
【0138】
冷却水水位検知器28及び回収水水位検知器31は、「漏水」を間接的に検知する「第1の異常検知器」の一例である。冷却水水位検知器28は、冷却水タンク7Bの水位を検知してこれを制御器16に出力する。冷却水タンク7Bの水位は、「漏水」に相関するパラメータの一例であり、冷却水循環経路7において漏水が発生すると低下する。そこで、冷却水タンク7Bの水位について、所定の閾値(以下、第1漏水水位閾値という)が制御器16(正確には記憶部)に設定されていて、制御器16は、冷却水タンク7Bの水位がこの第1漏水水位閾値以下になると冷却水循環経路7において漏水(第1の異常)が発生したと判定する。
【0139】
また、回収水水位検知器31は、回収水タンク12Aの水位を検知してこれを制御器16に出力する。回収水タンク12Aの水位は、「漏水」に相関するパラメータの一例であり、回収水循環経路12において漏水が発生すると低下する。そこで、回収水タンク12Aの水位について、所定の閾値(以下、第2漏水水位閾値という)が制御器16(正確には記憶部)に設定されていて、制御器16は、回収水タンク12Aの水位がこの第2漏水水位閾値以下になると回収水循環経路12において漏水(第1の異常)が発生したと判定する。
【0140】
貯湯水経路9Aの熱交換器11の上流側部分及び上流側部分には、それぞれ、貯湯水の温度を検知する第2温度検知器29及び第3温度検知器30が設けられている。第2温度検知29及び第3温度検知器30の検知温度は制御器16に出力される。第2温度検知29及び第3温度検知器30の検知温度に基づいて、貯湯水循環経路9の第1の異常を検知する原理は、実施の形態1で述べたので、その説明を省略する。
【0141】
燃焼器18には、燃焼器18の失火を検知する失火検知器32が設けられている。失火は、上述の「第2の異常」の一例であり、失火検知器32は、上述の「第2の異常検知器」の一例である。失火検知器32の検知出力は制御器16に入力されていて、制御器16は、失火検知器32が、燃焼器18の失火を検知すると、燃料電池システム401を停止させる。
【0142】
これ以外の点は実施の形態1と同じである。
【0143】
[動作]
本実施の形態4の燃料電池システム401の一般的な動作は上述の実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0144】
次に、システム異常停止時における凍結抑制制御について説明する。
【0145】
図6は燃料電池システム401の異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0146】
図6に示すように、本実施の形態4においては、実施の形態1の貯湯水循環経路9からなる1つの「水循環経路」に代えて、冷却水循環経路7と、貯湯水循環経路9と、回収水循環経路12との3つの「水循環経路」が、システム異常停止時における凍結抑制制御の制御対象になる。これ以外の点は、実施の形態1のシステム異常停止時における凍結抑制制御と同じである。
【0147】
具体的には、図6のフローチャートにおいて、実施の形態1の図2のフローチャートにおけるステップS4に代えて、ステップS24が遂行される。ステップS24では、冷却水循環器8と、貯湯水循環器10と、回収水循環器13とが停止される。すなわち、冷却水循環器8と、貯湯水循環器10と、回収水循環器13との動作が禁止される。
【0148】
また、図2のフローチャートにおけるステップS10に代えて、ステップS30が遂行される。ステップS30では、冷却水循環器8と、貯湯水循環器10と、回収水循環器13とが動作され、かつ加熱器14が動作される。
【0149】
また、図2のフローチャートにおけるステップS12に代えて、ステップS32が遂行される。ステップS32では、冷却水循環器8と、貯湯水循環器10と、回収水循環器13とが停止される。
【0150】
以上のように構成された本実施の形態4の燃料電池システム401によれば、冷却水循環経路7と、貯湯水循環経路9と、回収水循環経路12との少なくともいずれかで漏水が発生した場合に、漏水被害の拡大を抑制しかつ漏水が発生した水循環経路の水循環器の空運転による当該水循環器の故障の可能性を低減することができる。また、水漏れしている水循環経路内の残水の凍結を抑制することができる。
【0151】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、実施の形態4において、第1の異常が検知された場合の凍結抑制運転において、加熱器14による加熱量を増加させる形態を例示するものである。
【0152】
本実施の形態5の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態4の燃料電池システム401と同じであり、制御系統の構成において実施の形態4の燃料電池システム401と異なる。
【0153】
図7は本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0154】
図7に示すように、本発明の実施の形態5のシステム異常停止時の凍結抑制制御においては、実施の形態4(図6)のステップ6に代えてステップS33が遂行される。これ以外は、実施の形態4のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0155】
ステップS33においては、制御器16は、加熱器14を動作させ、かつ、その際に、加熱器14による加熱量を、通常の停止状態(待機状態)もしくは第2の異常発生に伴う異常停止状態における凍結抑制運転において加熱器14を動作させる(ステップS30)際の加熱量に比べて、増加させる。これにより、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐことが出来る。
【0156】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6は、第1の異常が検知された場合の凍結抑制運転において、加熱器14を動作させる第1温度検知器15の温度閾値を、漏水に関する異常が検知されなかった場合に比べて高く設定する形態を例示するものである。
【0157】
本実施の形態6の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態4の燃料電池システム401と同じであり、制御系統の構成において実施の形態4の燃料電池システム401と異なる。
【0158】
図8は本発明の実施の形態6に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0159】
図8に示すように、本発明の実施の形態6のシステム異常停止時の凍結抑制制御においては、実施の形態4のシステム異常停止時の凍結抑制制御におけるステップS5に代えてステップS34が遂行される。これ以外の点は実施の形態4のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0160】
ステップS34においては、制御器16は、第1温度検知15の検知温度が第2の閾値以下であるか否か判定する。ここで、本実施の形態では、第1の閾値は、水の凝固点以上の温度として定義される。そして、第2の閾値は、第1の閾値より高い温度として定められる。第1の閾値及び第2の閾値は、燃料電池システムの設計に依存するので、例えば、実験、シミュレーション等により定められる。
【0161】
そして、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値を超える場合(ステップS34でNO)には、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第2の閾値以下になるまで待機する。
【0162】
一方、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、加熱器14を動作させる(ステップS6)。
【0163】
このような本実施の形態6の燃料電池システムによれば、漏水に関する異常検知に伴う異常停止状態での凍結抑制運転では、加熱器14を動作させる第1温度検知器15の温度閾値が、通常の停止状態(待機状態)もしくは第2の異常発生に伴う異常停止状態での凍結抑制運転での加熱器14を動作させる第1温度検知器15の温度閾値に比べて高く設定されている。従って、第1の異常発生に伴う異常停止状態では、冷却水、回収水及び貯湯水の温度が低下した時の加熱器14の動作開始を早めることができる。その結果、第1の異常発生に伴う異常停止状態において、凍結抑制運転として冷却水、回収水及び貯湯水の循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を抑制することができる。
【0164】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7は、実施の形態4において、3つの「水循環経路」を加熱する「加熱器」に代えて、3つの「水循環経路」をそれぞれ加熱する3つの「加熱器」を備える形態を例示するものである。
【0165】
[構成]
図9は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0166】
本実施の形態1の燃料電池システム501は、ハードウェアの構成においては、実施の形態4の燃料電池システム401の1つの加熱器14に代えて、冷却水循環経路7の水を加熱する冷却水加熱器33と、貯湯水循環経路9の水を加熱する貯湯水加熱器34と、回収水循環経路12の水を加熱する回収水加熱器35との3つの加熱器を備える点が、実施の形態4の燃料電池システム401と異なる。これ以外の構成は、実施の形態4の燃料電池システム401と同じである。
【0167】
冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35は、例えば、それぞれ、冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12の下方に配置され、例えば、セラミックヒータ等で構成される。冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35は、いずれも、燃料電池システム501の外部の電源から電力を供給されるよう構成されている。これにより、冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12をそれぞれ適切に加熱することができる。また、加熱器1台あたりの加熱量を低減させることができる。
【0168】
本発明の実施の形態7においては、冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12のうち、「漏水」に関する異常が検知された水循環経路並びにこれに対応する水循環器及び加熱器が、それぞれ、上述の「第1の水循環経路」、「第1の水循環器」、及び「第1の加熱器」であり、「漏水」に関する異常が検知されていない水循環経路並びにこれに対応する水循環器及び加熱器が、それぞれ、上述の「第2の水循環経路」、「第2の水循環器」、及び「第2の加熱器」である。
【0169】
また、本実施の形態7の燃料電池システム501は、制御系統の構成において、制御器16は、実施の形態4の燃料電池システム401の加熱器14に代えて、冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35の動作を制御するよう構成されている。これ以外の構成は、実施の形態4の燃料電池システム401と同じである。
【0170】
[動作]
以下、このように構成された本実施の形態7の燃料電池システムの動作を説明する。
【0171】
一般的な動作は、実施の形態4の燃料電池システムと同様であるので、その説明を省略し、システム異常停止時における凍結抑制運転制御についてのみ説明する。
【0172】
本実施の形態7のシステム異常停止時における凍結抑制運転制御は、「第1の異常検知器により第1の異常として第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに第2の水循環経路からの漏水は検知されずに燃料電池システムが停止している場合、第1の水循環経路の凍結抑制のための第1の水循環器による水循環動作を禁止し、第1の水循環経路の凍結抑制のための第1の加熱器による加熱動作を禁止せず、第2の水循環経路の凍結抑制のための第2の水循環器による水循環動作及び第2の加熱器による加熱動作を禁止しない」制御の一例である。
【0173】
図10は燃料電池システム501の異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0174】
図10において、制御器16は、まず、燃料電池システム501に異常が発生したか否か判定する(ステップS1)。
【0175】
異常が発生していない場合(ステップS1でNO)には、制御器16は、通常の凍結抑制制御(ステップS9、S40、S11、S41)を行う。具体的には、制御器16は第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下であるか否か判定する(ステップS9)。ここで、第1の閾値は、水の凝固点(0℃)以上の温度として定義される。具体的には、第1の閾値は、実験、シミュレーション等により定められる。
【0176】
第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値を超える場合には、制御器16は、ステップ1に戻る。従って、この場合には、凍結抑制運転は行われない。
第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、冷却水循環器8、貯湯水循環器10、及び回収水循環器13を動作させ、かつ冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35を動作させる(ステップS40)。これにより、冷却水タンク7B、貯湯水タンク9B、及び回収水タンク12Aの水が、それぞれ、冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12を循環する。また、冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35によって、筐体50内の雰囲気温度が上昇して冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12の水が加熱される。この筐体50内の雰囲気温度の上昇により、第1の温度検知器15の検知温度も上昇する。
【0177】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上であるか否か判定する(ステップS11)。ここで、第3の閾値は、第1の閾値より高い温度として設定される。
【0178】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値未満である場合(ステップS11でNO)には、制御器16はステップS40に戻る。これにより、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上となるまで、凍結抑制運転が行われ、それにより、冷却水循環経路7、貯湯水循環経路9、及び回収水循環経路12の水の凍結が抑制される。
【0179】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上である場合(ステップS11でYES)には、制御器16は、冷却水循環器8、貯湯水循環器10、及び回収水循環器13を停止させ、かつ冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35を停止させる(ステップS41)。これにより、凍結抑制運転が停止される。
【0180】
一方、ステップS1において、異常が発生している場合(ステップS1でYES)には、制御器16は燃料電池システム501を停止させる(ステップS2)。
【0181】
次いで、制御器16は、発生した異常が、漏水に関する異常(第1の異常)であるか否か判定する(ステップS3A)。発生した異常が、漏水に関する異常でない場合(ステップS3AでNO)には、制御器16は、ステップS3Bに進み、第2の異常であるか否かを判定する。第2の異常の具体例は表1に示した通りである。第2の異常は多数存在するので第2の異常を検知する第2の異常検知器の図示を省略する。制御器16は、この第2の異常検知器の検知出力に基づいて検知した異常が第2の異常であるか否か判定する。そして、第2の異常である場合(ステップS3BでYES)には、ステップS9に進み、異常が発生していない場合(待機状態)と同じ制御を行う。換言すると、発生した異常が漏水に関する異常と異なる異常である場合には、少なくともその一部の異常(第2の異常)については、制御器16は、「凍結抑制のための加熱動作を禁止しない」。なお、発生した異常が第2の異常である場合に、制御器16が凍結抑制のための加熱動作を禁止しない、又は、制御器16が凍結抑制のための加熱動作を許可する旨のステップをステップS9の前に設けてもよい。なお、ステップS3Bにおいて、第2の異常でないと判定された場合(ステップS3BでNO)は、その異常内容に応じた所定の凍結抑制運転が実行される。
【0182】
発生した異常が、漏水に関する異常である場合(ステップS3AでYES)には、制御器16は、漏水に関する異常が発生した水循環経路を特定する(ステップS35)。制御器16は、漏水に関する異常を検知した検知器が、冷却水水位検知28、第2及び第3温度検知器29、30、並びに回収水水位検知器31のいずれであるかを特定することにより、この漏水に関する異常が発生した水循環経路の特定を行う。
【0183】
次に、制御器16は、この特定した水循環経路(漏水に関する異常を検知した水循環経路)の水循環器20を停止する(ステップS36)。すなわち、制御器16は、「凍結抑制のための前記水循環動作を禁止する」。これにより、水漏れした水循環経路における漏水被害の拡大を抑制しかつ水漏れした水循環経路の水循環器の故障の可能性を低減することができる。
【0184】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下であるか否か判定する(ステップS37)。第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値を超える場合(ステップS37でNO)には、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下になるまで待機する。
一方、第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、漏水異常を検知していない水循環経路の水循環器を動作させる。そして、全ての加熱器33、34、35を動作させる(ステップS38)。これにより、全ての加熱器33、34、35によって、筐体50内の雰囲気温度が上昇して水漏れした水循環経路に残存する水が加熱される。また、第1の温度検知器15の検知温度も上昇する。
【0185】
次に、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上であるか否か判定する(ステップS39)。第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値未満である場合(ステップS39でNO)には、制御器16はステップS38に戻る。これにより、第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上となるまで、水漏れした水循環経路における水を循環させずに凍結抑制運転が行われ、それにより、水漏れした水循環経路に残存する水の凍結が抑制される。また、水漏れしていない水循環経路の水は、通常の凍結抑制運転と同様に凍結が抑制される。
【0186】
第1温度検知器15の検知温度が第3の閾値以上である場合(ステップS39でYES)には、制御器16は、漏水異常を検知していない水循環経路の水循環器を停止させ、かつ全ての加熱器33、34、45を停止させる(ステップS42)。これにより、凍結抑制運転が停止される。なお、上述の本実施の形態の燃料電池システム501によれば、通常の停止状態及び第2の異常発生に伴う異常停止状態において、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下の場合に、冷却水循環器8、貯湯水循環器10、及び回収水循環器13を動作させ、かつ冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35を動作させ、凍結抑制運転を実行するよう構成されている。しかしながら、凍結抑制運転として、上記に限定されるものでなく、第1の閾値よりも大きい所定の温度閾値以下の場合に、まず、冷却水循環器8、貯湯水循環器10、及び回収水循環器13を動作させ、その後、温度低下が進行し、第1温度検知器15の検知温度が第1の閾値以下になると、冷却水加熱器33、貯湯水加熱器34、及び回収水加熱器35を動作させる形態を採用しても構わない。
【0187】
以上に説明した本実施の形態7の燃料電池システム501によれば、漏水に関する異常が検知された水循環経路については、漏水被害の拡大を抑制しかつ水循環器の空運転による水循環器故障の可能性を低減することができることに加えて、水漏れしている水経路内の残水の凍結を抑制することができる一方、漏水に関する異常が検知されていない水循環経路については、通常の停止状態(待機状態)と同様に、当該水循環経路の凍結抑制が可能となる。
【0188】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8は、実施の形態7において、漏水に関する異常が検知された水循環経路の凍結抑制運転において、その対応する加熱器による加熱量を増加させる形態を例示するものである。
【0189】
本実施の形態8の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態7の燃料電池システム501と同じであり、制御系統の構成において実施の形態7の燃料電池システム501と異なる。
【0190】
図11は本発明の実施の形態8に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0191】
本実施の形態8のシステム異常停止時における凍結抑制制御は、「第1の異常検知器により第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに第2の水循環経路からの漏水は検知されずに燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための第1及び第2の加熱器による加熱動作において、第1の加熱器による加熱量を第1の異常が検知されていない場合よりも増加させ、第2の加熱器による加熱量を第1の異常が検知されていない場合と変えない」制御の一例である。
【0192】
図11に示すように、本発明の実施の形態8のシステム異常停止時の凍結抑制制御においては、実施の形態7(図10)のステップS38に代えてステップS43が遂行される。これ以外は、実施の形態7のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0193】
ステップS43においては、制御器16は、漏水異常を検知していない水循環経路の水循環器を動作させるとともに全ての加熱器を動作させ、かつ、その際に、漏水異常を検知した水循環経路に対応する加熱器による加熱量を、漏水に関する異常を検知していない水循環経路に対応する加熱器を動作させる(ステップS40)際の加熱量に比べて、増加させる。これにより、漏水異常を検知した水循環経路において、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐことが出来る。
【0194】
以上に説明した本実施の形態8の燃料電池システムによれば、漏水に関する異常が検知されている水循環経路についてのみ、水循環動作が実行されないことによる耐凍結性の低下を防ぐべく、漏水に関する異常が検知されていない場合に比べてその対応する加熱器の加熱量を増加させ、漏水に関する異常が検知されていない水循環経路については、その対応する加熱器による加熱量を、漏水に関する異常が検知されていない場合と変えないので、不必要な加熱量の増加による消費電力の増加を抑制することができる。
【0195】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9は、実施の形態7において、漏水に関する異常が検知された場合の凍結抑制運転において、その対応する加熱器を動作させる第1温度検知器15の温度閾値を、漏水に関する異常が検知されなかった場合に比べて高く設定する形態を例示するものである。
【0196】
本実施の形態9の燃料電池システムは、ハードウェアの構成においては実施の形態7の燃料電池システム501と同じであり、制御系統の構成において実施の形態7の燃料電池システム501と異なる。
【0197】
図12は本発明の実施の形態9に係る燃料電池システムの異常停止時における凍結抑制制御の内容を示すフローチャートである。
【0198】
本実施の形態9のシステム異常停止時における凍結抑制制御は、「第1の異常検知器により第1の異常として第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに第2の水循環経路からの漏水は検知されずに燃料電池システムが停止している場合、第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を温度検知器が検知すると凍結抑制のために第1の加熱器を動作させ、温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために第2の加熱器を動作させる」制御の一例である。
【0199】
図12に示すように、本発明の実施の形態9のシステム異常停止時の凍結抑制制御においては、実施の形態7のシステム異常停止時の凍結抑制制御におけるステップS36とステップS37との間において、ステップS44とステップS45とが遂行され、かつステップS43に代えてステップS46が遂行される。これ以外の点は実施の形態7のシステム異常停止時の凍結抑制制御と同じである。
【0200】
ステップS44において、制御器16は、第1温度検知15の検知温度が第2の閾値以下であるか否か判定する。ここで、本実施の形態9では、第1の閾値は、冷却水、貯湯水、及び回収水の循環を行っている状態でこれらの水が凍結せずかつ可能な限り低い温度に定められる。そして、第2の閾値は、第1の閾値より高い温度として定義される。第1の閾値及び第2の閾値は、燃料電池システムの設計に依存するので、例えば、実験、シミュレーション等により定められる。
【0201】
そして、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値を超える場合(ステップS44でNO)には、制御器16は、第1温度検知器15の検知温度が第2の閾値以下になるまで待機する。
【0202】
一方、第1温度検知器15の検知温度が、第2の閾値以下である場合には、制御器16は、凍結抑制運転として、漏水に関する異常を検知した水循環経路に対応する加熱器を動作させる(ステップS45)。
【0203】
また、ステップS46においては、ステップS37で第1温度検知器15の検知温度が、第1の閾値以下である場合に、漏水に関する異常を検知していない水循環経路に対応する水循環器及び加熱器を動作させる。
【0204】
このような本実施の形態9の燃料電池システムによれば、漏水に関する異常が検知されている水循環経路についてのみ、水の温度が低下した時の加熱器の動作開始を早めるべく、加熱器を動作させる第1温度検知器15の温度閾値が、漏水に関する異常が検知されていない場合に比べて高く設定されており、漏水に関する異常が検知されていない水循環経路については、加熱器を動作させる第1温度検知器15の温度閾値が漏水に関する異常が検知されていない場合と同じに設定されているので、不必要に加熱器の動作開始を早めることによる消費電力の増加を抑制することができる。
【0205】
[実施の形態1乃至9のそれぞれに対する変形例1]
本変形例1では、「漏水」を間接的に検知する「第1の異常検知器」としての第2温度検知29及び第3温度検知器30に代えて、「漏水」を間接的に検知する「第1の異常検知器」としての流量計(図示せず)が、貯湯水経路9Aに設けられている。この流量計は、貯湯水経路9Aに流れる貯湯水の流量を検知してこれを制御器16に入力する。貯湯水経路9Aにおいて、漏水が発生すると検知する貯湯水の貯湯水経路9Aを流れる貯湯水の流量が減少する。そこで、制御器16には所定の流量閾値が設定されていて、制御器16は、流量計で検知される貯湯水の流量がこの所定の流量閾値以下になると、貯湯水循環経路9で漏水が発生したと判定する。これ以外の点は、上記と同様である。
【0206】
このような構成としても、上記と同様の効果が得られる。
【0207】
[実施の形態1乃至9のそれぞれに対する変形例2]
本変形例2は「漏水」を直接的に検知する「第1の異常検知器」を例示するものである。以下では、実施の形態1を変形する場合を例示するが、実施の形態2乃至9も同様に変形することができる。
【0208】
図13は、本変形例2に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。本変形例2は、実施の形態1(図1)において、「漏水」を間接的に検知する「第1の異常検知器」としての第2温度検知29及び第3温度検知器30に代えて、「漏水」を直接的に検知する「第1の異常検知器」としての漏水検知器71が設けられている。漏水検知器71は、例えば、漏水センサで構成される。漏水センサは周知であり、例えば、一対の電極を備え、当該一対の電極間に漏水が位置することにより、漏水を感知する漏水センサを用いることができる。漏水検知器71は、筐体50の底の適所(例えば貯湯水経路9Aの下方位置)に設けられていて、貯湯水経路9Aからの漏水を検知する。漏水検知器71の漏水検知信号(漏水感知信号)は制御器16に入力される。制御器16は、漏水検知71から漏水検知信号が入力されると、漏水に関する異常が発生したと判定して、貯湯水循環器10を停止する。これ以外の点は実施の形態1と同様である。
【0209】
このような本変形例2によっても実施の形態1乃至9と同様の効果が得られる。
【0210】
なお、上記漏水検知器71は、燃料電池システムの筐体50内に設けているが、図14に示すように、燃料電池システムの筐体50外に設けられ、燃料電池システム内の水循環経路(例えば、貯湯水循環経路9、冷却水循環経路7、及び回収水循環経路12の少なくともいずれか一つ)からの漏水を検知可能な位置に配設されていても構わない。この場合、漏水検知器71の検知信号は有線または無線を介して制御器16に入力されるよう構成されるが、例えば、有線の場合、制御器16には、漏水検知器71からの検知信号が入力される漏水検知信号入力端子72が設けられる。
【0211】
なお、上記実施の形態1乃至9及びこれらの変形例1及び2においては、検知した異常が第2の異常であるか否かを判定した。しかしながら、異常を検知した後、システムの異常停止処理が異常に応じて(例えば可燃性ガスの漏れに対して)適切になされることを前提に、第2の異常であるか否かの判定を省略し、一律に、異常が発生していない場合(待機状態)と同じ制御を行ってもよい。換言すると、発生した異常が漏水に関する異常と異なる異常である場合には、制御器16は、「凍結抑制のための加熱動作を禁止しない」こととしてもよい。
【0212】
また、上記実施の形態1乃至9及びこれらの変形例1及び2を、相反しない限り(互いに相手を排除しない限り)、適宜、組み合わせてもよい。
【0213】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明の燃料電池発電システムは、燃料電池と水循環経路とシステムの異常停止時における凍結抑制手段と備え、家庭用等で用いられる燃料電池システムとして有用である。
【符号の説明】
【0215】
1、36 燃料電池
1a 内部燃料ガス流路
1b 内部酸化剤ガス流路
1c 内部冷却水流路
2 燃料電池ユニット
4 貯湯ユニット
5 水素生成装置
6 酸化剤ガス供給器
7 冷却水循環経路
7A、37 冷却水経路
7B 冷却水タンク
8、41 冷却水循環器
9 貯湯水循環経路
9A、38 貯湯水経路
9B、39 貯湯タンク
10、43 貯湯水循環器
11、40 熱交換器
12 回収水循環経路
12A 回収水タンク
12B 回収水経路
13 回収水循環器
14、42 加熱器
15 第1温度検知器
16、47 制御器
17 浄化器
18 燃焼器
19 原料ガス供給経路
21 改質水供給経路
22 燃料ガス供給経路
23 酸化剤ガス供給経路
24 水凝縮器
24A 第1水凝縮器
24B 第2水凝縮器
25 排出燃料ガス経路
26 排出酸化剤ガス経路
27 凝縮水経路
28 冷却水水位検知器
29 第2温検知器
30 第3温検知器
31 回収水水位検知器
31A 第1回収水水位検知器
31B 第2回収水水位検知器
32 失火検知器
33 冷却水加熱器
34 貯湯水加熱器
35 回収水加熱器
44 外気温検知手段
45 冷却水温検知手段
46 貯湯水温検知手段
48 第1の冷却水温検知手段
49 第2の冷却水温検知手段
50 筐体
57A 第1回収水経路
57B 第2回収水経路
58A 第1回収水タンク
58B 第2回収水タンク
60 排気口
61 原料供給器
62 空気供給器
63 改質水供給器
71 漏水検知器
72 漏水検知信号入力端子
101 燃料電池本体
105 改質部
301、401、501 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電する燃料電池と、前記燃料電池の運転に関係する水が循環する水循環経路と、前記水循環経路内の水を循環させるための水循環器と、前記水循環経路を加熱する加熱器と、前記水循環経路からの漏水に関する異常である第1の異常を検知する第1の異常検知器と、制御器と、を備え、前記水循環経路の凍結抑制のために前記水循環器により前記水循環経路内の水を循環させる水循環動作と前記加熱器を動作させる加熱動作とを実行する燃料電池システムであって、
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止し、凍結抑制のための前記加熱動作を禁止しないよう構成されている、燃料電池システム。
【請求項2】
前記第1の異常と異なる第2の異常を検知する第2の異常検知器を備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作を禁止しかつ凍結抑制のための前記加熱動作を禁止せず、前記第2の異常検知器により前記第2の異常が検知されることによって前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記水循環動作及び前記加熱動作を共に禁止しないよう構成されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路と、の少なくともいずれか一つである、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記水循環経路が、第1の水循環経路と第2の水循環経路とを備え、前記水循環器が、前記第1の水循環経路内の水を循環させる第1の水循環器と、前記第2の水循環経路内の水を循環させるための第2の水循環器とを備え、前記加熱器が、前記第1の水循環経路を加熱する第1の加熱器と、前記第2の水循環経路を加熱する第2の加熱器とを備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の水循環器による水循環動作を禁止し、前記第1の水循環経路の凍結抑制のための前記第1の加熱器による加熱動作を禁止せず、前記第2の水循環経路の凍結抑制のための前記第2の水循環器による水循環動作及び前記第2の加熱器による加熱動作を禁止しないよう構成されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記第1の水循環経路及び前記第2の水循環経路が、前記燃料電池を冷却するための冷却水が流れる冷却水経路及び前記冷却水を貯える冷却水タンクを備える冷却水循環経路と、前記冷却水経路を流れる冷却水から熱を回収する貯湯水が流れる貯湯水経路及び前記貯湯水を貯える貯湯タンクを備える貯湯水循環経路と、前記燃料電池からの排ガスから回収された回収水を貯える回収水タンク及び該回収水タンクと前記冷却水タンクとの間で循環する水が流れる回収水経路を備える回収水循環経路とのうちの2つの経路の組み合わせである、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されることによって、前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記加熱器による加熱動作において、前記第1の異常が検知されていない場合よりも加熱量を増加させるよう構成されている、請求項1、2又は4に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、凍結抑制のための前記第1及び第2の加熱器による加熱動作において、前記第1の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合よりも増加させ、前記第2の加熱器による加熱量を前記第1の異常が検知されていない場合と変えないよう構成されている、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知されていない場合は、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行し、前記第1の異常検知器により前記第1の異常が検知された場合は、前記温度検知器が前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記加熱動作を実行するよう構成されている、請求項1、2又は4に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記水の温度を検知する温度検知器をさらに備え、前記温度検知器が第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のための前記加熱動作として前記第1の加熱器と前記第2の加熱器とを動作させるよう構成されており、
前記制御器は、前記第1の異常検知器により前記第1の異常として前記第1の水循環経路からの漏水が検知されるとともに前記第2の水循環経路からの漏水は検知されずに前記燃料電池システムが停止している場合、前記第1の閾値よりも高い第2の閾値以下の温度を前記温度検知器が検知すると凍結抑制のために前記第1の加熱器を動作させ、前記温度検知器が前記第1の閾値以下の温度を検知すると凍結抑制のために前記第2の加熱器を動作させるよう構成されている、請求項4に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−80707(P2013−80707A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−252429(P2012−252429)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【分割の表示】特願2011−507039(P2011−507039)の分割
【原出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】