説明

燃料電池スタックの改善された制御性のための方法および装置

本発明の目的は、燃料電池により電気を生産するための燃料電池システムの電流値を調整する装置を調整するための装置であり、燃料電池システム内の各燃料電池はアノード側100と、カソード側102と、アノード側とカソード側との間の電解質材料104とを有し、燃料電池システムは少なくとも2つの電気的に直列接続された個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループを有し、各スタック103は少なくとも1つの燃料電池を有する。燃料電池システムの電流値を調整する装置は、電流の主要部分を少なくとも1つの直列接続から引き込むための手段と、直列接続内の個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの電流値を調整するための少なくとも1つの調整回路112と、電流の主要部分と比べて小さい補償電流が少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成するために、少なくとも1つの調整回路を個々の燃料電池スタックまたはスタックのグループと一体にするための一体化手段116、124と、を有し、少なくとも1つの調整回路112は、少なくとも1つの燃料電池スタック103内の小さい補償電流を制御する手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に環境問題のために、環境に優しく優れた効率を有する新しいエネルギ源が開発されている。燃料電池装置は、それを用いて燃料、例えばバイオガスが直接化学反応を介して環境に優しいプロセスで電気に変換される、将来有望なエネルギ変換装置である。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、燃料電池は、アノード側100とカソード側102とそれらの間の電解質材料104とを有する。固体酸化物型燃料電池(SOFCs)では、酸素がカソード側102に送られるとともにカソードから電子を受け取ることにより酸素負イオンに還元される。酸素負イオンは電解質材料104を通ってアノード側100に行き、そこで使用された燃料と反応して水および通常二酸化炭素(CO)を生成する。アノード100とカソード102との間には、燃料電池に対する負荷110を有する外部電気回路111がある。
【0003】
図2には、高温型燃料電池装置の例として、SOFC装置が示される。SOFC装置は、例えば天然ガス、バイオガス、メタノールまたは燃料としての炭化水素の混合物を含む他の化合物を利用することができる。図2のSOFC装置システムは、1を超える、典型的には複数の燃料電池を、1つまたは複数のスタック構造103(SOFCスタック)内に、有する。大きいSOFC装置システムは、多数の燃料電池を幾つかのスタック103内に有する。各燃料電池は、図1に示されたように構築されるアノード100およびカソード102を有する。使用された燃料の一部はフィードバック装置109内で再循環され得る。図2のSOFC装置はまた、燃料熱交換器105および改質器107も有する。燃料熱交換器は燃料電池プロセス内の熱的条件を制御するために使用されるとともに、SOFC装置の異なる場所にそれらのうちの2つ以上を置くこともできる。循環するガスの余分な熱エネルギは、SOFC装置または外部で利用されるように、1つまたは複数の熱交換器105で回収される。改質器107は、例えば天然ガスのような燃料を、燃料電池に適した化合物、例えば、水素、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素、不活性ガスおよび水の全てまたは少なくとも幾つかを含む化合物に変換する。しかし、各SOFCに改質器を有する必要はない。
【0004】
(例えば、燃料流量計、電流計および温度計等)測定手段115を使用することにより、SOFC装置の動作に必要な測定が実行される。アノード100で使用されたガスの一部のみがフィードバック装置109で再循環されガスの他の部分はアノード100から排出114される。
【0005】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)装置は、燃料を酸化させることから電気を直接作り出す電気化学的変換装置である。SOFC装置の利点は、高効率、長期的な安定性、低エミッション、燃料の多様性およびコストを含む。主な不利な点は、長い起動時間と機械的および化学的両方の適合性の問題とをもたらす高い動作温度である。
【0006】
燃料電池システムは、同程度のサイズの伝統的なエネルギ生産技術の電気的およびCHP(熱と電力の複合生産)効率を大幅に超える可能性を有する。燃料電池システムは、重要な将来のエネルギ生産技術として広く認められている。
【0007】
燃料電池システムの性能および寿命を最大化するために、燃料電池に対する動作条件の正確な制御が必要とされる。燃料電池は直流電流を生成するのに対して、高電力システムでは一般的に交流出力が望まれ、したがって、DCからACへの電力変換が必要とされる。実際的な結合と、燃料電池からの電流収集とその後の電力変換を可能にするために、燃料電池は、幾つかの直列接続した個々の電池のスタックとして製造される。
【0008】
幾つかのスタックを有する燃料電池システムでは、スタックの電気的な相互接続トポロジが重要な設計パラメータである。幾つかのスタックの直列接続は、部品の低いコストはもちろん、より低いケーブル配線および電力変換の損失をもたらす。しかし、直列の全てのスタックが同じ電流しか有さないことは妨げである。理想的には、全てのスタックが同一であるとともにその作動条件が完全に等しいとき、これは問題ではない。しかし、現実のシステムでは、温度、燃料流、スタックの特性に多少変動がある。特に、個々のスタックの交換を可能にするように設計されたシステムでは、年齢差のためにスタック間に有意の変動がある。異なるスタックが電気的に直列に配置されるとき、それらの電流は一般的に直列内の最低性能のスタックにしたがって制限されざるを得ない。したがって、燃料電池システムは、より健全なスタックの潜在性能を失う。
【0009】
スタックの電気的な並列接続は、内部抵抗の固有の負の温度係数により、特に高温燃料電池システムにおいて問題がある。この特性は、幾つかの直列接続されたスタックの列が並列に接続されたときでさえ、不均等な電流分担を伴う問題を引き起こす。電流分担の問題を避けるために、各スタックの個別の変換器がしばしば用いられ、これはシステムに追加的なコストをもたらす。
【0010】
特許文献1は、燃料電池が並列または直列に接続された生体触媒の燃料電池装置を示している。この装置は、生体触媒燃料電池装置の出力電圧を上昇させる物体として、スイッチが伝導状態におよび伝導状態から変えるように制御回路を使用することにより制御される、制御可能なスイッチを有する。いずれにしても、特許文献1は、その電流が直列の中で最低で機能するスタックにより制限されなければならない電気的に少なくとも直列に配置された異なるスタックの記載された問題の解決方法を示していない。なぜなら、特許文献1には、スタックが直接接続内のスタック間の相違する問題を避けるために個々に計測されるとともに調整され得る実施形態が示されていないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】フィンランド国特許第118553 B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、燃料電池システム内の燃料電池スタックの負荷が能動的に最適化され得るとともに、各燃料電池の寿命が長くされることができ、したがって燃料電池システム全体の寿命がさらに大幅に長くされることができる、多くの燃料電池が直列に接続され得る燃料電池システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これは、燃料電池により電気を生産するための燃料電池システムの電流値を調整する装置により達成され、燃料電池システム内の各燃料電池はアノード側と、カソード側と、アノード側とカソード側との間の電解質材料とを有し、燃料電池システムは少なくとも2つの電気的に直列接続された個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループを有し、各スタックは少なくとも1つの燃料電池を有する。燃料電池システムの電流値を調整する装置は、電流の主要部分を少なくとも1つの直列接続から引き込むための手段と、直列接続内の個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの電流値を調整するための少なくとも1つの調整回路と、電流の主要部分と比べて小さい補償電流が少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成するために、少なくとも1つの調整回路を個々の燃料電池スタックまたはスタックのグループと一体にするための一体化手段と、を有し、少なくとも1つの調整回路は、少なくとも1つの燃料電池スタック内の小さい補償電流を制御する手段を有する。
【0014】
本発明の中心はまた、燃料電池により電気を生産するための燃料電池システムの電流値を調整する方法である。この方法では、電流値の調整は、電流の主要部分を個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの少なくとも1つの直列接続から引き込むこと、電流の主要部分と比べて小さい補償電流が少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成するために、少なくとも1つの調整回路を個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループと一体にすることにより直列接続内の個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの電流値を調整すること、および、少なくとも1つの一体にされた調整回路を利用することにより少なくとも1つの燃料電池スタック内の小さい補償電流を制御すること、により実現される。
【0015】
本発明は、少なくとも1つの別の燃料電池スタックに少なくとも直列に接続された少なくとも1つの燃料電池スタックに一体にされた少なくとも1つの調整回路に基づき、この一体化は、少なくとも直列接続のスタック内の電流と比べて、小さい電流が少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成される。少なくとも1つの調整回路は、少なくとも1つの調整回路に一体化された、少なくとも1つの燃料電池スタックの電圧値または電流値を検知し、少なくとも1つの調整回路は、検知された電圧値または電流値に基づいて少なくとも1つの燃料電池スタックの電流値を調整するように構成される。
【0016】
本発明の利点は、スタックの差異に起因してエネルギ生産能力を失うことなしに、幾つかの燃料電池を有し得る長い直列接続の燃料電池システムを経済的に作り上げることを可能にすることである。これらの燃料電池システムはまた長い期待寿命を有し、したがって、この発明により達成可能なコスト削減を増加させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、単一の燃料電池を示す。
【図2】図2は、SOFC装置の例を示す。
【図3】図3は、本発明による好適な実施形態を示す。
【図4】図4は、調整回路の第1の好適な実装を示す。
【図5】図5は、調整回路の第2の好適な実装を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的は、直列および/または並列に接続されたグループ内のスタックの制限された電流調整機能を構成するための手段により、直列および並列に接続されたスタックの欠点を避けることである。この特徴は、燃料電池スタックに関して実質的に小さい電流調整回路の導入により可能となる。これらの調整回路は、制限された電流をスタックからまたはスタックへ引き込むまたは供給することを可能にし、このスタックは別のスタックに直列および/または並列に接続される。
【0019】
図3は本発明による好適な実施形態を示す。この燃料電池装置では、燃料電池スタック103が直列に接続され、燃料電池スタック103のグループが並列に接続される。図3の例は直列接続の4つの燃料電池スタック103しか示していないが、直列接続のさらに多くの燃料電池スタックが有り得るとともに、直列接続されたスタック103のこのグループは直接接続されたスタックの1つまたは複数のほかのグループと並列に接続され得る。直列接続されたスタック103の電流は、スタック固有の電流調整回路112によりある範囲内に個別におよび能動的に制御される。この電流調整回路112は、補償電流を引き込むまたは供給する。好ましくは、各スタック103に対してまたは2つのスタックに対して、直列に接続されたスタックのグループ内の別のスタックに直列に接続されるスタックからまたはスタックに制限された電流を引き込むまたは供給することができる独自のスタック固有の電流調整回路112が配置される。言い換えると、好ましくは、各スタック103に対して、燃料電池を用いて電気を生産するためのプロセス内でのスタックの差異にもかかわらず、負荷状況を最適にするために少なくとも1つの調整回路112を各スタックに一体化することにより個別のおよび能動的な負荷制御が用意される。図3のこの装置はまた、コンバータ122、例えばDC−ACコンバータも有する。手段127、122は、スタック103の直列接続から電流の主要部分を引き込む。矢印117は、コンバータ122からの電力出力、例えばDC−ACコンバータからのAC電力出力を示す。また、コンバート122として、例えばDC−DCコンバータも可能であり、その時出力電力117はDC電力である。
【0020】
調整回路112の構造および寸法は、多くのスタックを有する直列および/または並列に接続された構造内の各スタックに対して個別に最適な電流を調整することにより、スタック103間の差異を補償することができるようになる。本発明の好適な実施形態では、これは、例えば、公称スタック103電流の5−10%の補償スケールを意味する。したがって、スタック電流が依然として主電流配線127を流れる一方で、このスタック電流に比べて、最大5−10%の補償スケールの電流が調整回路112および関連する配線116を経由して通過する。補償スケールの電流値はしばしば、5−10%の補償スケールの電流の最大値より小さい。調整回路112は双方向の電流の流れを可能にし得る。これは、補償スケールの電流値の主要経路の電流に対する効果が、スタック電流を平均の主要経路の電流値から例えば90%−110%の間で変化させることを意味する。これらの変化はしばしば、例えば97%−103%の間のより狭いスケールであり、補償スケールの電流の最大値はその時、平均の主要経路の電流値と比べて3%である。調整回路112はまた一方向の電流の流れに限定され得る。これは、補償スケールの電流値の主要経路の電流に対する効果が、スタック電流を平均の主要経路の電流値から例えば90%−100%、または100%−110%の間で変化させることを意味する。
【0021】
本発明により実施形態では、全燃料電池スタック電力のほんの一部しか調整回路112を通過しないので、調整回路への関連する配線はより小さくなり得るとともに調整回路の電力変換効率は、全体の効率を犠牲にすることなしに主要な電力経路のものより明らかに低くなり得る。これは、調整回路112および関連する配線116の低コストの実装を意味する。本発明の好適な実施形態では、調整回路112上のトポロジに依存する電圧は1つまたは2つのスタック103の電圧のみであるので、低い電圧および高周波数の構成部品が非常にコンパクトな回路をもたらすために使用され得る。調整回路112の燃料電池スタック103との一体化は一体化手段116、124を用いて達成される。この一体化手段116、124は、例えば、同じケーブル116および回路基板124を用いてスタックの電圧を計測するための既存の手段124を有し、したがってこの場合もコスト削減を達成する。計測するための手段、すなわち、燃料電池スタックの電圧を検知するための手段124は、各燃料電池スタックに好適な最適な電流に個々に調整するために、調整回路112により使用される制御信号を生成する。この一体化はまた、本発明による好適な実施形態が、本発明による実施形態を実行する際に計測および制御信号を中継するために燃料電池システム内の既存のデータ配線116を使用するように実現され得る。
【0022】
調整回路112を実装するための数個の可能性がある。図4には、調整回路112の第1の好適な実装が示される。この調整回路112は、絶縁された高周波変圧器装置(例えば、フォワード、フライバック、プッシュプル、フルブリッジ装置)である。この装置は、一体化手段124として、絶縁段としてのDC−DCコンバータ123、制御可能なスイッチS、整流段としてのダイオードD、および主要電流配線127内の電流の主要部分と比べて小さい補償電流が調整回路112および関連する配線116を経由して通ることを可能にするように調整回路を個々に直列接続された燃料電池スタックに一体化するためにスイッチを制御するための制御手段131を有する。各燃料電池スタックの電圧は、制御信号を生成するために電圧値を検知するための手段により測定される。スイッチSの開位置または閉位置への制御は、各燃料電池スタック103の電流を個々に調整するための各スイッチSに好ましくは近くで関連付けられる制御手段131を用いて操作される。これはいわゆるスイッチSの低レベル制御であり、制御手段131の電流設定点を提供するためのシステム制御装置120による個々に用意されたいわゆるスイッチSの上位レベル制御があり得る。システム制御装置120は、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。スイッチSは、好ましくはバイポーラまたはFETトランジスタまたは何か他のトランジスタスイッチである。図4のこの装置はまた、DC−ACコンバータ121を含む負荷回路に接続されるDC−DCコンバータ122も有する。手段127、121、122は、直列接続のスタック103から電流の主要部分を引き込む。
【0023】
図5には、図5から見られる回路配置としての一体化手段124を有するように例として実装された非絶縁型カスケード接続配置を有する調整回路112の第2の好適な実装が示される。これらの一体化手段124は、コイルL、ダイオードDと並列に接続するスイッチS、および個々の燃料電池スタックに並列に接続するコンデンサCを有するが、コンデンサは必須ではない。これらの一体化手段により、調整回路は、主要電流配線127内の電流の主要部分と比べて、小さい補償電流が調整回路配線116を、この調整回路経由して通ることを可能にするために、直列接続された燃料電池スタックに個々に一体化される。各燃料電池スタックの電圧は、制御信号を生成するために電圧値を検知するための手段により測定される。例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC)であるシステム制御装置120は、各燃料電池スタック103の電流を個々に調整するために、この制御信号をスイッチSの開位置または閉位置への制御に用いる。スイッチSは、好ましくはバイポーラまたはFETトランジスタまたは何か他のトランジスタスイッチである。図5のこの装置はまた、例えばDC−ACコンバータである、コンバータ122も有する。手段127、121は、直列接続のスタック103から電流の主要部分を引き込む。矢印117は、DC−ACコンバータ122からのAC電力出力を示す。
【0024】
調整回路112はまた、調整電流が直接、例えば主電力コンバータ122の入力に注入されるトポロジを例えば有して実装され得る。調整回路112が双方向の電力の流れを可能にするので、調整回路を通る電流は最小レベルに位置され得る。これにより、配線ロスが低くなるとともに全ての主要電流経路に対して高電力変換効率が達成される。直列接続および個々のスタック103負荷の利点は、例えば不均等の燃料の流れおよび/またはエージング現象に対して補償するために個々にスタック電流を調整する可能性を有すると同時に主要電流経路および電力コンバータでの低損失を可能にすることにより組み合わされる。全電流の小さい変動しか調整回路112を通過しないので、本発明は低コストおよび回路のコンパクトな実装を可能にする。また、単一の電力コンバータ122が主な電力変換に使用され得る。並列接続の電流分担問題は、個々のスタックの電流を制御する可能性の結果ある程度軽減され得る。
【0025】
システム制御装置120および制御手段131は、例えばプログラマブルプロセッサに基づいている異なる種類の類似のおよび/またはデジタルエレクトロニクスの実装を有し得る。制御手段131はまた、スイッチSへの制御信号を生成するために電圧値および/または電流値を検知するための異なる種類の測定装置も有し得る。
【0026】
記載されたSOFCはもちろん、本発明はMCFC(溶融炭酸塩型燃料電池)および他の燃料電池も使用され得る。MCFCは、多孔性の、化学的に不活性なセラミック基材に懸濁された溶融炭酸塩の混合物から構成された電解質を使用する高温燃料電池である。また、フィードバック装置が図2の例のSOFC装置内に記載されているが、本発明が利用される燃料電池システムはフィードバック装置を有する必要がない。
【0027】
本発明が、添付の図面および説明を参照して示されているが、本発明は決してこれらに限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲により許された範囲内の変形形態も対象である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池により電気を生産するための燃料電池システムの電流値を調整する装置であって、前記燃料電池システム内の各前記燃料電池はアノード側と、カソード側と、前記アノード側と前記カソード側との間の電解質材料とを有し、前記燃料電池システムは少なくとも2つの電気的に直列接続された個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループを有し、各前記スタックは少なくとも1つの前記燃料電池を有する、装置において、
前記燃料電池システムの電流値を調整する装置は:
−電流の主要部分を少なくとも1つの直列接続から引き込むための手段と、
−前記直列接続内の前記個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの電流値を調整するための少なくとも1つの調整回路と、
−前記電流の主要部分と比べて小さい補償電流が前記少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成するために、前記少なくとも1つの調整回路を前記個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループと一体にするための一体化手段と、を有し、
−前記少なくとも1つの調整回路は、前記少なくとも1つの燃料電池スタック内の前記小さい補償電流を制御する手段を有する、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記少なくとも1つの燃料電池スタックに電流を引き込むまたは供給することにより前記電流値を調整する前記調整回路を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、少なくとも直列接続の前記スタックの電流値に比べて0−10%のスケールである前記調整回路の電流値を発生させることにより、前記少なくとも1つの燃料電池スタックの前記電流値を調整する前記調整回路を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記調整回路の電流値は、好ましくは、前記少なくとも直列接続の前記スタックの電流値に比べて0−3%のスケールである、ことを特徴とする、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記少なくとも1つの調整回路の同じ配線および電圧を測定するための手段が使用する少なくとも1つの同じ回路基板を使用することにより、前記少なくとも1つの調整回路を、前記燃料電池スタックの前記電圧を測定するための手段と一体化するための前記一体化手段を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記少なくとも1つの調整回路として、絶縁された高周波変圧器装置を有する、ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記調整回路は、制御信号を生成する手段、開位置または閉位置に制御されるスイッチ、および各前記燃料電池スタックの電流を個々に調整するために前記スイッチを前記開位置または前記閉位置に制御する前記制御信号を利用することにより前記小さい補償電流を制御するための前記手段としての制御手段を有する、非絶縁型カスケード接続配置として実装される、ことを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
燃料電池により電気を生産するための燃料電池システムの電流値を調整する方法であって、前記方法において、前記電流値の調整は:
−電流の主要部分を個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループの少なくとも1つの直列接続から引き込むこと、
−前記電流の主要部分と比べて小さい補償電流が少なくとも1つの調整回路を経由して通るように構成するために、前記少なくとも1つの調整回路を前記個別の燃料電池スタックまたはスタックのグループと一体にすることにより前記直列接続内の前記個々の燃料電池スタックまたはスタックのグループの電流値を調整すること、および、
−前記少なくとも1つの一体にされた調整回路を利用することにより前記少なくとも1つの燃料電池スタック内の前記小さい補償電流を制御すること、
により達成される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記電流値は、前記少なくとも1つの燃料電池スタックに電流を引き込むまたは供給することにより調整される、ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電流値は、少なくとも直列接続の前記スタックの電流値に比べて0−10%のスケールである前記調整回路の電流値を発生させることにより調整される、ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記調整回路の電流値は、好ましくは、前記少なくとも直列接続の前記スタックの電流値に比べて0−3%のスケールである、ことを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの調整回路は、前記少なくとも1つの調整回路の同じ配線および電圧を測定するための手段が使用する少なくとも1つの同じ回路基板を使用することにより、前記燃料電池スタックの前記電圧を測定するための手段と一体化される、ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの調整回路は、絶縁された高周波変圧器装置により実現される、ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記方法において制御信号を生成され、スイッチが各前記燃料電池スタックの電流を個々に調整するために前記制御信号に基づいて開位置または閉位置に制御手段を利用することにより制御される、ことを特徴とする、
請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533146(P2012−533146A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519027(P2012−519027)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【国際出願番号】PCT/FI2010/050440
【国際公開番号】WO2011/004058
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(503129903)ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア (73)
【Fターム(参考)】