説明

燃料電池及び燃料電池の製造方法

【課題】簡易な方法で燃料電池内の所望の箇所を加熱することができる燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電解質膜10と触媒層12、14と拡散層16と必要に応じて金属多孔板とを有する燃料電池において、電解質膜10、触媒層12、14、拡散層16及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部30を有することにより、簡易な方法で燃料電池内の所望の箇所を加熱して、例えば、周囲温度が低く燃料電池の起動ができない場合でも、生成水等を解凍し、燃料電池を起動可能な状態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される燃料電池及び燃料電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や資源問題への対策の一つとして、酸素や空気等の酸化性ガスと、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等とを原料として電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換して発電する燃料電池が注目されている。燃料電池は、電解質膜の一方の面に燃料極(アノード触媒層)と、もう一方の面に空気極(カソード触媒層)とを電解質膜を挟んで対向するように設け、電解質膜を挟持した各触媒層の外側に拡散層をさらに設け、これらを原料供給用の通路を設けたセパレータで挟んで電池が構成され、各触媒層に水素、酸素等の原料を供給して発電する。
【0003】
燃料電池の発電時には、燃料極に供給する原料を水素ガス、空気極に供給する原料を空気とした場合、燃料極において、水素ガスから水素イオンと電子とが発生する。電子は外部端子から外部回路を通じて空気極に到達する。空気極において、供給される空気中の酸素と、電解質膜を通過した水素イオンと、外部回路を通じて空気極に到達した電子との反応により、水(反応生成水)が生成する。このように燃料極及び空気極において化学反応が起こり、電荷が発生して電池として機能することになる。この燃料電池は、発電に使用される原料のガスや液体燃料が豊富に存在すること、また、その発電原理より排出される物質が水であること等より、クリーンなエネルギー源として様々な検討がされている。
【0004】
このような燃料電池が車両等の駆動源として用いられる場合、車両停止時からの始動において迅速に燃料電池を稼動適正温度まで暖機することが必要である。また、例えば気温0℃〜−30℃の寒冷地のような外部温度が低い場合、車両に搭載された燃料電池はその外気にさらされる厳しい環境下にある。そのため、燃料電池内において高分子電解質膜に含まれる水分や反応生成水等の水分が氷点下の温度になり凍結することがあり、原料ガスの透過が停止し発電しないか、あるいは原料ガス透過量が大きく減少することで発電量が大きく低下して、燃料電池の機能が低下する。この場合、燃料電池の起動ができなくなったり、燃料電池が起動するまでに時間がかかったり、起動後の電圧降下が大きいという問題があった。また、反応生成水の凍結により、触媒層と電解質膜との間の剥離が発生し易くなり、触媒層と電解質膜との密着度が低下して接触抵抗が大きくなり、電圧が降下するという問題があった。
【0005】
そこで、車両停止時にポンプ等により反応生成水を排出して始動性を向上させる、始動時に暖機運転により始動性を向上させる、燃料電池のシステム全体を断熱する、バッテリを搭載して融解用の電熱線(凍結防止用ヒータ)を張り巡らせる、供給ガスを例えばプラス20℃まで加熱する、あるいは供給空気量を例えば2倍にする等の対策が提案されている。
【0006】
また、例えば、特許文献1には、燃料電池のガス拡散層部を加熱するヒータを備え、燃料電池内が凍結している低温条件下で運転を行う際に前記ヒータを作動させてガス拡散層部を加熱するようにした燃料電池が記載されている。ヒータとしては、ガス拡散層部の表面に接するように配置されたヒータや、伝熱部をガス拡散層部の内部または近傍に配置した燃焼式ヒータ、ガス拡散層部が選択的に吸収する波長を用いたマイクロ波ヒータが示されている。
【0007】
また、特許文献2には、電解質層が、多数の通孔を有する格子状フレームと、各通孔に保持された電解質とを有し、 格子状フレームの各格子にヒータ線が配設されている燃料電池が記載されている。稼働開始時などに各格子に配設されたヒータ線によって触媒及び電解質を、局部的でなく全体的に早期に所望の温度まで加温でき、早期に所望の出力を得ることが可能となるとしており、ヒータとしては、ワイヤ状の電熱線、ヒータをパイプ状として内部に暖めた流体を循環させたり、熱伝導性の高い金属とし熱源に接続したもの等が示されている。
【0008】
また、特許文献3には、電池内または電池を構成する部材が電磁波を吸収して発熱する材料を含有する燃料電池が記載されている。燃料電池周辺に存在する電磁波を吸収することによって電磁波吸収材料が放出した熱をヒータの代替手段として用いて、燃料電池の発電効率を向上することができるとしている。この電磁波吸収材料としては、金属酸化物、炭素材料、ポリマ材料が示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2003−163020号公報
【特許文献2】国際公開第01/086744号パンフレット
【特許文献3】特開2004−342434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記ポンプの使用、暖機運転システム、システム全体の断熱、凍結防止用ヒータの使用、供給ガスの加熱、供給空気量の増加は、システムの重量や体積に制限がある場合にシステムが大きくなってしまったり、システムが複雑になるという問題があった。
【0011】
また、特許文献1〜3の方法では、電解質膜、触媒層、拡散層等の全体あるいは一部を加熱することはできるが、凍結部に合わせた微細な領域を加熱することはできず、エネルギーの利用効率が低かった。
【0012】
本発明は、簡易な方法で燃料電池内の所望の箇所を加熱して、例えば、周囲温度が低く燃料電池の起動ができない場合でも、生成水等を解凍し、燃料電池を起動可能な状態にすることができる燃料電池及び燃料電池の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層とを有する燃料電池であって、前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部を有する。
【0014】
また、本発明は、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層と、前記拡散層上に形成された金属多孔板とを有する燃料電池であって、前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部を有する。
【0015】
また、前記燃料電池において、前記金属粒子は、金、銀及び銅から選択される少なくとも1つの金属粒子であることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層とを有し、前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに加熱部を備える燃料電池の製造方法であって、前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含むインクを塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱、焼成して前記加熱部を形成する工程と、を含む。
【0017】
また、本発明は、電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層と、前記拡散層上に形成された金属多孔板とを有し、前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに加熱部を備える燃料電池の製造方法であって、前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含むインクを塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱、焼成して前記加熱部を形成する工程と、を含む。
【0018】
また、前記燃料電池の製造方法において、前記塗布を、インクジェット印刷法及びスクリーン印刷法から選択される少なくとも1つにより行うことが好ましい。
【0019】
また、前記燃料電池の製造方法において、前記金属粒子は、金、銀及び銅から選択される少なくとも1つの金属粒子であることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、電解質膜と触媒層と拡散層と必要に応じて金属多孔板とを有する燃料電池において、電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部を有することにより、簡易な方法で燃料電池内の所望の箇所を加熱して、例えば、周囲温度が低く燃料電池の起動ができない場合でも、生成水等を解凍し、燃料電池を起動可能な状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0022】
図1に、本実施形態に係る燃料電池の構成の一例の断面図を示す。燃料電池1は、電解質膜10と、燃料極(アノード触媒層)12と、空気極(カソード触媒層)14と、拡散層16と、セパレータ18とにより構成される。
【0023】
図1に示すように、燃料電池1は、電解質膜10の一方の表面に燃料極12が、もう一方の表面に空気極14が電解質膜10を挟んでそれぞれ対向するように形成された燃料電池用接合体である膜電極複合体20(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、膜電極複合体20を挟んで両面に設けられた拡散層16と、拡散層16の両外側を挟持する櫛型状のセパレータ18とを備える。櫛型状のセパレータ18の空洞部は、燃料極12及び空気極14にそれぞれ水素ガス、空気等の原料を供給するための原料供給路22,24となっている。
【0024】
燃料電池1において、例えば、燃料極12に供給する原料を水素ガス、空気極14に供給する原料を空気として運転した場合、燃料極12において、
2H → 4H+4e
で示される反応式(水素酸化反応)を経て、水素ガス(H)から水素イオン(H)と電子(e)とが発生する。電子(e)は拡散層16から外部回路を通り、拡散層16から空気極14に到達する。空気極14において、供給される空気中の酸素(O)と、電解質膜10を通過した水素イオン(H)と、外部回路を通じて空気極14に到達した電子(e)とにより、
4H+O+4e → 2H
で示される反応式(酸素還元反応)を経て、水が生成する。このように燃料極12及び空気極14において化学反応が起こり、電荷が発生して電池として機能することになる。そして、一連の反応において排出される成分は水であるので、クリーンな電池が構成されることになる。
【0025】
電解質膜10としては、プロトン(H)等のイオン伝導性の高い材料であれば特に制限はなく、パーフルオロスルホン酸系や炭化水素系等の固体高分子電解質膜が用いられる。具体的には、ジャパンゴアテックス(株)のゴアセレクト(Goreselect、登録商標)、デュポン社(Du Pont社)のナフィオン(Nafion、登録商標)、旭化成(株)のアシプレックス(Aciplex、登録商標)、旭硝子(株)のフレミオン(Flemion、登録商標)等のパーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜を使用することができる。電解質膜10の膜厚は例えば、10μm〜200μm、好ましくは20μm〜50μmの範囲である。
【0026】
また、電解質膜10には、必要に応じて補強膜として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン、ポリイミド等の、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の延伸多孔質膜を設けてもよい。この場合、溶液キャスト法等の方法により補強膜の表裏面に電解質膜10を形成する。補強膜の表裏面に電解質膜10が形成された3層構造であってもよいが、5層構造、あるいはそれ以上の層構造であってもよい。補強膜の膜厚は通常、5μm〜100μmである。
【0027】
燃料極12は、例えば、白金(Pt)等をルテニウム(Ru)等の他の金属と共に担持したカーボン等の触媒をナフィオン(登録商標)等の固体高分子電解質等の樹脂に分散させて成膜されたものである。また、燃料極12として前記燃料電池用電極触媒を用いてもよい。燃料極12の膜厚は例えば、1μm〜100μm、好ましくは1μm〜20μmの範囲である。
【0028】
空気極14には、前記燃料電池用電極触媒をナフィオン(登録商標)等の固体高分子電解質等の樹脂に分散させて成膜されたものである。空気極14の膜厚は例えば、1μm〜100μm、好ましくは1μm〜20μmの範囲である。
【0029】
拡散層16としては、導電性が高く、燃料及び空気等の原料の拡散性が高い材料であれば特に制限はないが、多孔質導電体材料であることが好ましい。導電性の高い材料としては、例えば、金属板、金属フィルム、導電性高分子、カーボン材料等が挙げられ、カーボンクロス、カーボンペーパ、ガラス状カーボン等のカーボン材料が好ましく、カーボンクロス、カーボンペーパ等の多孔質カーボン材料であることがより好ましい。拡散層16の膜厚は例えば、50μm〜1000μm、好ましくは100μm〜600μmの範囲である。
【0030】
また、拡散層16は、拡散層16の撥水性の向上のために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の撥水性樹脂と、電子伝導性を有する、例えばカーボンブラック等との混合溶液である撥水ペーストにより撥水処理がされてもよい。
【0031】
さらに、拡散層16の表面には、図2に示すように集電用の金属多孔板26が形成されてもよい。金属多孔板26としては、ニッケル、チタン等の金属の多孔板を用いることができる。金属多孔板26の厚みは通常100μm〜500μmである。
【0032】
セパレータ18は、耐食処理が施された金属板または焼成カーボン等のカーボン系材料等で構成され、櫛形形状である。櫛型形状のセパレータ18の空洞部は、燃料極12及び空気極14にそれぞれ水素ガス、空気等の原料を供給するための原料供給路22,24となっている。
【0033】
本実施形態において、電解質膜10、触媒層28(燃料極12、空気極14)、拡散層16及び金属多孔板26のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子が溶融されて形成された加熱部を有する。
【0034】
図3(a)〜図6(a)に本実施形態に係る加熱部を設けた層の一例の概略上面図を示す。また、図3(b)〜図6(b)に本実施形態に係る加熱部を設けた燃料電池の構成の一例の、図3(a)〜図6(a)のA−A’線における概略断面図を示す。図3(a),(b)は加熱部30を電解質膜10の空気極14側に設けた例、図4(a),(b)は加熱部30を空気極14に設けた例、図5(a),(b)は加熱部30を空気極14側の拡散層16に設けた例、図6(a),(b)は加熱部30を空気極14側の金属多孔板26に設けた例である。加熱部30の配置位置はこれらに限定されない。また、複数の層に加熱部30が配置されてもよい。なお、図3(a)〜図6(a)において、加熱部を設けた層以外の層は図示していない。
【0035】
このように配置された加熱部30をヒータとして使用して、外部電源により加熱し、発熱させて、電解質膜10、触媒層28、拡散層16、電解質膜10中の水、及び反応生成水等の温度を上昇させることにより、外部環境温度が低い場合でも燃料電池内において電解質膜10に含まれる水分や反応生成水等の水分が凍結することを防止することができ、燃料電池の機能の低下を抑制することができる。また、燃料電池の起動ができなくなったり、燃料電池が起動するまでに時間がかかったり、起動後の電圧降下が大きいという問題を解決することができる。さらに、反応生成水の凍結により、触媒層28と電解質膜10との間の剥離が発生し、触媒層28と電解質膜10との密着度が低下し、接触抵抗が大きくなり、電圧が降下するという問題を解決することができる。また、迅速に燃料電池を暖機して、燃料電池の起動が可能な温度まで燃料電池内部の温度を上昇させることができる。すなわち、燃料電池の暖機時間をより短くすることができる。また、各層内の隙間を利用することができ、各層の膜厚を必要以上に厚くすることなく加熱部を形成することができる。また、各層の凍結が起こりやすい場所等、必要な箇所だけに加熱部を形成すれば、従来の外部設置ヒータ(セパレータ内部ヒータやセパレータの外部流路加熱媒体等)に比べて、効率的に加熱をすることができる。さらに、加熱部30として従来の電熱線等を用いる場合に比べて、金属粒子を使用することにより、薄膜かつ細線という利点がある。
【0036】
加熱部30による加熱は、常時行ってもよいし、外気温度、燃料電池内部の温度等に応じて適宜行ってもよい。加熱温度は例えば20〜80℃の範囲とすればよい。
【0037】
金、銀、銅等の金属は、その粒子径が1μm以下にまで微細化されると、粒子を構成する金属原子が表面に露出する割合が著しく増大し、融点が常温近傍にまで降下する、いわゆるサイズ効果と呼ばれる融点降下現象が発現する。その融点降下現象を利用して、電解質膜10、触媒層28(燃料極12、空気極14)、拡散層16及び金属多孔板26のうち少なくとも1つに、加熱部30を形成することができる。
【0038】
本実施形態における金属粒子としては、上記融点降下現象を発現する金属であればよく特に制限はないが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)等から選択される少なくとも1つの金属であって、体積平均粒子径が1μm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である金属粒子が挙げられる。これらを複数組み合わせて使用してもよい。これらのうち、金、銀、銅及びそれらの組み合わせが好ましい。金、銀、銅のうちでは、銅は酸化されやすいので金または銀が好ましく、コスト面からは銀または銅が好ましく、銀がより好ましい。最も好ましいのは、金あるいは銀のうちの少なくとも1つであって、体積平均粒子径が100nm以下のものである。金、銀、銅の組み合わせとしては、混合して使用してもよいし、それぞれを使用した加熱部を積層あるいは並べて使用してもよい。
【0039】
体積平均粒子径が1μm以下の金属粒子の製造方法としては、バルク状の原料を機械的な粉砕等により所望の粒径まで微細化する方法や、原子、分子もしくはクラスター状の原料を所望の粒径にまで構築していく方法等が挙げられる。一般的には、後者が用いられ、具体的には、スパッタリング法やガス中蒸発法等の物理的方法、金属化合物溶液を表面保護剤等の存在下、液相で還元して微粒子を析出させる液相還元法等の化学的方法が挙げられる。
【0040】
また、加熱部30は、電解質膜10、燃料極12、空気極14、燃料極12側の拡散層16、空気極14側の拡散層16、燃料極12側の金属多孔板26、空気極14側の金属多孔板26の少なくともいずれかに設けられればよいが、電解質膜10の損傷防止、反応生成水の凍結防止、形成のし易さ等の点から、加熱部30は触媒層28及び拡散層16の少なくともいずれかに設けられることが好ましく、反応水が生成される空気極(カソード触媒層)14、及び空気極14側の拡散層16の少なくともいずれかに設けられることがより好ましい。また、加熱部30が触媒層28に形成される場合は、触媒層28の電解質膜10側に形成されることが好ましい。また、拡散層16、金属多孔板26に形成される場合は、拡散層16の金属多孔板26側、あるいは、金属多孔板26の拡散層16側に形成されることが好ましい。また、電解質膜10と触媒層28との界面はプロトン導電性を有することが好ましいため、電解質膜10あるいは触媒層28に加熱部30が形成される場合には、電解質膜10と触媒層28との界面ではなく、それらの内部に形成されることが好ましい。
【0041】
加熱部30の形状は、特に制限はないが、上記少なくともいずれかの層の面内に薄膜状に形成されることが好ましい。また、各層の面内で網目状、線状、丸状、多角形状等に形成してもよい。図3〜図6の例は、加熱部30を各層の面内で網目状に形成した例である。網目状あるいは線状の場合、必ずしも直線状である必要もない。また、層内に均一に形成される必要もなく、生成水等の凍結量が多い箇所のみに形成されてもよいし、生成水等の凍結量が多い箇所において配置密度を高くしてもよい。さらに、燃料極12側と、空気極14側とで形状、幅、厚さ等を変えても良く、燃料極12側と空気極14側とのバランスを考慮して決めればよい。具体的には、反応水が生成される空気極14側をより加熱できるように配置することができる。
【0042】
加熱部30が線状あるいは網目状である場合、加熱部30の幅は例えば、20μm〜200μmの範囲、1層の厚さは5μm〜10μmの範囲、加熱部30の設置間隔は例えば、50μm〜1000μm、または50μm〜500μmの範囲である。また、電解質膜10、触媒層28、拡散層16内で、特に膜厚の大きい拡散層16内で、加熱部30を多層構造として50μm〜200μmの厚さとしても良い。
【0043】
加熱部30付近には、熱電対等の温度センサを1つまたは複数具備して、加熱部30付近の温度を測定してもよい。温度センサからの信号は例えば、自動車等の車両の場合、ECU等に送られる。加熱部30は、接続部を介して外部電源等と接続することができる。また、ECU等の制御部と接続して、外部温度あるいはセンサによる検出温度等に応じて加熱温度を制御することができる。
【0044】
このようにして製造された燃料電池1において、燃料極12側の拡散層16と空気極14側の拡散層16とを外部回路に電気的に接続し、燃料極12及び空気極14にそれぞれ原料を供給して運転すれば、電池として機能させることができる。
【0045】
燃料極12側に供給する原料としては、水素やメタン等の還元性ガス(燃料ガス)あるいはメタノール等の液体燃料等が挙げられる。空気極14側に供給する原料としては、酸素や空気等の酸化性ガス等が挙げられる。
【0046】
<燃料電池の製造方法>
本実施形態に係る膜−電極接合体及び燃料電池は、例えば以下のようにして製造することができる。電解質膜の両面に、触媒として白金を担持したカーボン等を含むカソード側触媒層及びアノード側触媒層をスプレー法、転写法、浸漬法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法等により形成し、その後、各触媒層の表面上に拡散層及び必要に応じて金属多孔板を、熱プレス等により積層して、膜−電極接合体を得ることができる。更に、この膜−電極接合体を、1組のセパレータにより挟持して、燃料電池(単セル)とすることができる。
【0047】
また、本発明の実施形態に係る加熱部は、前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに形成される。当該加熱部は、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子と溶媒とを容器中で混合、分散してインク(ペースト)を作製するインク作製工程と、塗工装置を用いて当該インクを塗布することにより、塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱、焼成して金属粒子を溶融する工程と、を含む方法により製造される。
【0048】
金属粒子と溶媒との混合、分散は、ボールミル、ジェットミル、ビーズミル等の各種ミルによる分散方法や、超音波分散法等により行うことができる。
【0049】
インクを塗布する方法としては、スプレー法、浸漬法、転写法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられるが、インクジェット印刷法及びスクリーン印刷法から選択される少なくとも1つであることが好ましい。インクジェット印刷法あるいはスクリーン印刷法によれば、微細な領域への塗布が可能であり、必要な箇所にだけ塗布印刷することができ、材料の利用効率が高い。また、インクジェット印刷法によれば、自由な形状での塗布が可能であり、マスク等も不要であり、材料の利用効率がより高い。これにより、細部の複雑な形状で加熱部30を形成することが可能であり、各層内で生成水等が凍結し易い領域に合わせて加熱部30の形状(例えば、細線状、網目状)を制御することができる。
【0050】
金属粒子と溶媒とを含むインクにおいて、金属粒子の体積平均粒径は10nm〜50nm、金属粒子の最大粒径は20nm〜200nmまたは30nm〜200nm、粘度は3mPa・s〜20mPa・s、表面張力は20mN/m〜40mN/m、固形分濃度は3重量%〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0051】
インクに使用する溶媒としては、金属粒子を良好に分散することができればよく特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル等のブチル系溶媒等の有機溶媒、水、ポリエステル系ポリマ等の樹脂、及びこれらの混合溶媒等が挙げられるが、取り扱い性、金属粒子の分散性等の点からアルコール系溶媒が好ましい。
【0052】
インクジェット印刷法において、ノズル径はノズル詰まり対策(吐出安定性確保)等の点から30〜50μmの範囲、吐出周波数は塗面精度等の点から1.5〜20kHzの範囲であることが好ましい。また、ヘッド速度は生産性等の点から20〜60mm/secの範囲が好ましく、ヘッド先端から塗布対象物への距離は着弾精度等の点から1〜5mmの範囲が好ましい。
【0053】
塗膜の乾燥時の温度は、使用する溶媒の沸点等に応じて決めればよいが、通常80℃〜150℃の範囲である。
【0054】
塗膜の焼成は通常、130℃〜200℃の温度範囲で、60分〜120分間行う。焼成を行うことにより、金属粒子の溶融、融着が起こり、導電性が向上する。金属粒子として銅を使用する場合は焼成条件を200〜250℃にして還元してもよい。ただし、焼成温度が200℃を超えると電解質膜等の損傷が起こる場合があるので好ましくない。また、焼成温度にもよるが、焼成時間が120分を超えると電解質膜等の損傷が起こる場合があるので好ましくない。
【0055】
図3のように電解質膜10中に加熱部30を設ける場合、電解質膜10は、例えば、電解質膜上に上記方法により加熱部30を形成した後、加熱部30のない場所に電解質樹脂を流し込み乾燥すればよい。
【0056】
図4〜6のように触媒層28、拡散層16、金属多孔板26中に加熱部30を設ける場合、例えば、触媒層28は、触媒担持カーボンと電解質と溶媒等を含む触媒層用インクを使用して加熱部30と同様の方法により、好ましくはインクジェット印刷法及びスクリーン印刷法から選択される少なくとも1つにより加熱部30の形状に合わせて形成することができる。また必要に応じて、触媒層28を電解質膜10上に形成した後、加熱、圧着して、燃料極12及び空気極14と電解質膜10との接合面を強固にしてもよい。
【0057】
各層における加熱部30とその他の部分の形成順序は、加熱部30を先に形成してもよいし、加熱部を後から形成してもよいし、加熱部とその他の部分を同時に形成してもよい。
【0058】
本実施形態に係る燃料電池としては、図1のような平板状に限らず、チューブ状等であってもよい。また、本実施形態に係る燃料電池は、1つの燃料電池(単セル)を複数個集合させて、直列に接続することにより、必要とする電流、電圧を得ることができる。また、1つの燃料電池(単セル)を複数個集合させて、並列に接続してもよい。
【0059】
本実施形態に係る燃料電池は、例えば、携帯電話、携帯用パソコン等のモバイル機器用小型電源、自動車用電源、家庭用電源等として用いることができる。
【実施例】
【0060】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】
<実施例1>
(金属粒子含有インクの作製)
銀粒子(体積平均粒径10nm)をポリエステル系ポリマに固形分濃度5重量%となるように添加し、分散装置(ビーズミル)を使用して、30℃で60分間混合、分散し、金属粒子含有インク(銀ナノインク)を作製した。この金属粒子含有インク中の金属粒子の体積平均粒径は10nm、最大粒径は20nm、粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。なお、金属粒子含有インク中の金属粒子の体積平均粒径及び最大粒径は粒度分布測定装置(日機装、マイクロトラックMT3000シリーズ)を使用して、25℃、大気圧下の条件で、インクの粘度は粘度測定装置を使用して、25℃、大気圧下の条件で、インクの表面張力は表面張力測定装置(協和界面科学製、CBVP−Z)を使用して、25℃、大気圧下の条件でそれぞれ測定した。
【0062】
(触媒層用インクの作製)
白金担持カーボン(体積平均粒径30nm)及びパーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜(ナフィオン、登録商標、デュポン社製)を溶媒(水とエタノールとの混合溶液)にそれぞれ固形分濃度5重量%となるように添加し、分散装置(ビーズミル)を使用して、30℃で60分間混合、分散し、触媒層用インクを作製した。この触媒層用インク中の白金担持カーボンの体積平均粒径は0.3μm、最大粒径は5μm、粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。なお、触媒層用インク中の白金担持カーボンの体積平均粒径、白金担持カーボンの最大粒径、粘度及び表面張力は実施例1の金属粒子含有インクと同様にして測定した。
【0063】
(拡散層用インクの作製)
カーボンブラック、PTFE微粒子(体積平均粒径0.25μm)を溶媒(水とエタノールとの混合溶液)にそれぞれ固形分濃度5重量%、20重量%となるように添加し、分散装置(ビーズミル)を使用して、30℃で60分間混合、分散し、拡散層用インクを作製した。この拡散層用インク中のPTFE微粒子の体積平均粒径は0.25μm、最大粒径は5μm、粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。なお、拡散層用インク中のPTFE微粒子の体積平均粒径、PTFE微粒子の最大粒径、粘度及び表面張力は金属粒子含有インクと同様にして測定した。
【0064】
(拡散層内に加熱部を有する燃料電池セルの作製)
図5(a),(b)に示すように、電解質膜10(パーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜、ナフィオン、登録商標、デュポン社製、150mm×200mm、厚み30μm)の両面に、上記触媒層用インクを使用して、インクジェット法により白金含有量として0.5mg/cmとなるように塗布し、100℃で240分間乾燥して触媒層28(燃料極12及び空気極14)を形成した。各触媒層28の膜厚は15μmであった。インクジェット塗布装置の条件は、ノズル径50μm、吐出周波数1.5kHz、ヘッド速度60mm/sec、ノズル先端と塗布対象物との距離3mmとした。その後、上記金属粒子含有インクを使用して、インクジェット法により触媒層28と同様の条件で空気極14上にヒータの幅100μm、ヒータ間隔1000μm、厚さ10μmで網目状形状に塗布膜を形成した。塗布後、130℃で60分間加熱、焼成し、加熱部30を形成した。その後、上記拡散層用インクを使用して、触媒層28と同様の条件でインクジェット法により加熱部30の形状に合わせて空気極14上に塗布し、100℃で300分間乾燥して厚さ200μmの拡散層16を形成した。同様にして燃料極12上に拡散層16を形成した。触媒層28、加熱部30及び拡散層16の厚みは、膜厚測定装置を使用して、25℃、大気圧下の条件で測定した。更に、カーボンを圧縮成形して製造した1組のセパレータで挟持して、燃料電池(単セル)とした。燃料電池セルの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)により観察したところ、金属粒子が溶融して加熱部30が形成されていることを確認した。なお、加熱部30は低融点金属または銀ナノインクにより外部電源と接続した。
【0065】
この燃料電池セルを起動させ、加熱部を外部電源により加熱することにより、0℃以下の環境下での生成水の凍結を防止することができた。
【0066】
<実施例2>
(空気極内に加熱部を有する燃料電池セルの作製)
図4(a),(b)に示すように、電解質膜10(パーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜、ナフィオン、登録商標、デュポン社製、150mm×200mm、厚み30μm)の一方の面に、上記金属粒子含有インクを使用して、インクジェット法によりヒータの幅100μm、ヒータ間隔1000μm、厚さ10μmで網目状形状に塗布した。インクジェット塗布装置の条件は、ノズル径50μm、吐出周波数1.5kHz、ヘッド速度60mm/sec、ノズル先端と塗布対象物との距離3mmとした。塗布後、130℃で60分間加熱、焼成し、加熱部30を形成した。その後、上記触媒層用インクを使用して、加熱部30と同様の条件でインクジェット法により加熱部30の形状に合わせて塗布し、100℃で240分間乾燥して空気極14を白金含有量として0.5mg/cmとなるように形成した。同様にして燃料極12を電解質膜10のもう一方の面に形成した。各触媒層28の膜厚は15μmであった。その後、上記拡散層用インクを使用して、加熱部30と同様の条件でインクジェット法により各触媒層28上に塗布し、100℃で300分間乾燥して厚さ200μmの拡散層16を形成した。更に、カーボンを圧縮成形して製造した1組のセパレータで挟持して、燃料電池(単セル)とした。なお、加熱部30は低融点金属または銀ナノインクにより外部電源と接続した。
【0067】
この燃料電池セルを起動させ、加熱部を外部電源により加熱することにより、0℃以下の環境下での生成水の凍結を防止することができた。
【0068】
<実施例3>
(電解質膜内に加熱部を有する燃料電池セルの作製)
図3(a),(b)に示すように、電解質膜(パーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜、ナフィオン、登録商標、デュポン社製、150mm×200mm、厚み30μm)の一方の面に、上記金属粒子含有インクを使用して、インクジェット法によりヒータの幅100μm、ヒータ間隔1000μm、厚さ10μmで網目状形状に塗布した。インクジェット塗布装置の条件は、ノズル径50μm、吐出周波数1.5kHz、ヘッド速度60mm/sec、ノズル先端と塗布対象物との距離3mmとした。塗布後、130℃で60分間加熱、焼成し、加熱部30を形成した。その後、加熱部30の形状に合わせて、電解質樹脂(パーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質、ナフィオン、登録商標、デュポン社製)を流し込み、60℃で360分間乾燥し、電解質膜10を形成した。その後、電解質膜10の両面に上記触媒層用インクを使用して、加熱部30と同様の条件でインクジェット法により塗布し、100℃で240分間乾燥して触媒層28(燃料極12及び空気極14)を白金含有量として0.5mg/cmとなるように形成した。各触媒層28の膜厚は15μmであった。さらに、上記拡散層用インクを使用して、加熱部30と同様の条件でインクジェット法により各触媒層28上に塗布し、100℃で300分間乾燥して厚さ200μmの拡散層16を形成した。更に、カーボンを圧縮成形して製造した1組のセパレータで挟持して、燃料電池(単セル)とした。なお、加熱部30は低融点金属または銀ナノインクにより外部電源と接続した。
【0069】
この燃料電池セルを起動させ、加熱部を外部電源により加熱することにより、0℃以下の環境下での生成水の凍結を防止することができた。
【0070】
<実施例4>
(金属多孔板用インクの作製)
PTFE微粒子(体積平均粒径0.25μm)を溶媒(水とエタノールとの混合溶液)に固形分濃度20重量%となるように添加し、分散装置(ビーズミル)を使用して、30℃で60分間混合、分散し、金属多孔板用インクを作製した。この金属多孔板用インク中のPTFE微粒子の体積平均粒径は0.25μm、最大粒径は5μm、粘度は10mPa・s、表面張力は30mN/mであった。なお、金属多孔板用インク中のPTFE微粒子の体積平均粒径、PTFE微粒子の最大粒径、粘度及び表面張力は金属粒子含有インクと同様にして測定した。
【0071】
(金属多孔板内に加熱部を有する燃料電池セルの作製)
図6(a),(b)に示すように、電解質膜10(パーフルオロスルホン酸系固体高分子電解質膜、ナフィオン、登録商標、デュポン社製、150mm×200mm、厚み30μm)の両面に、上記触媒層用インクを使用して、インクジェット法により塗布し、100℃で240分間乾燥して触媒層28(燃料極12及び空気極14)を白金含有量として0.5mg/cmとなるように形成した。各触媒層28の膜厚は15μmであった。インクジェット塗布装置の条件は、ノズル径50μm、吐出周波数1.5kHz、ヘッド速度60mm/sec、ノズル先端と塗布対象物との距離3mmとした。さらに、上記拡散層用インクを使用して、触媒層28と同様の条件でインクジェット法により各触媒層28上に塗布し、100℃で300分間乾燥して厚さ200μmの拡散層16を形成した。次に、上記金属粒子含有インクを使用して、インクジェット法により触媒層28と同様の条件でヒータの幅100μm、ヒータ間隔1000μm、厚さ10μmで網目状形状に塗布膜を形成した。塗布後、130℃で60分間加熱、焼成し、加熱部30を形成した。その後、上記金属多孔板用インクを使用して、触媒層28と同様の条件でインクジェット法により加熱部30の形状に合わせて各拡散層16上に塗布し、厚さ300μmの金属多孔板26を形成した。更に、カーボンを圧縮成形して製造した1組のセパレータで挟持して、燃料電池(単セル)とした。なお、加熱部30は低融点金属または銀ナノインクにより外部電源と接続した。
【0072】
この燃料電池セルを起動させ、加熱部を外部電源により加熱することにより、0℃以下の環境下での生成水の凍結を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池の構成の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る燃料電池の構成の他の例を示す概略断面図である。
【図3】(a)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の一例を示す概略上面図である。(b)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の一例を示す概略断面図である。
【図4】(a)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略上面図である。(b)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略断面図である。
【図5】(a)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略上面図である。(b)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略断面図である。
【図6】(a)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略上面図である。(b)本発明の実施形態に係る燃料電池における加熱部の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
1 燃料電池、10 電解質膜、12 燃料極(アノード触媒層)、14 空気極(カソード触媒層)、16 拡散層、18 セパレータ、20 膜電極複合体(MEA)、22,24 原料供給路、26 金属多孔板、28 触媒層、30 加熱部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層とを有する燃料電池であって、
前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層と、前記拡散層上に形成された金属多孔板とを有する燃料電池であって、
前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含んで形成された加熱部を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池であって、
前記金属粒子は、金、銀及び銅から選択される少なくとも1つの金属粒子であることを特徴とする燃料電池。
【請求項4】
電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層とを有し、前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに加熱部を備える燃料電池の製造方法であって、
前記電解質膜、触媒層及び拡散層のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含むインクを塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱、焼成して前記加熱部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする燃料電池の製造方法。
【請求項5】
電解質膜と、前記電解質膜を挟んで対向するように形成された触媒層と、前記触媒層上に形成された拡散層と、前記拡散層上に形成された金属多孔板とを有し、前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに加熱部を備える燃料電池の製造方法であって、
前記電解質膜、触媒層、拡散層及び金属多孔板のうち少なくとも1つに、体積平均粒子径が1μm以下である金属粒子を含むインクを塗布して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を加熱、焼成して前記加熱部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする燃料電池の製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記塗布を、インクジェット印刷法及びスクリーン印刷法から選択される少なくとも1つにより行うことを特徴とする燃料電池の製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の燃料電池の製造方法であって、
前記金属粒子は、金、銀及び銅から選択される少なくとも1つの金属粒子であることを特徴とする燃料電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−280888(P2007−280888A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108933(P2006−108933)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】