説明

燃料電池用改質装置

【課題】簡易な構成の燃料電池用改質装置を提供する。
【解決手段】原燃料を水素リッチな改質ガスに改質する燃料電池用改質装置において、改質部12は、原燃料から改質ガスを生成する。シフト変成部14は、改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により低減する。選択酸化部16は、シフト変成部14を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化して低減する。改質反応筒18は、改質部12と、シフト変成部14と、選択酸化部16とをこの順番に直線状に収納する。燃焼手段は、原燃料を燃焼して燃焼排ガスを生成する。外筒22は、改質反応筒18の外周に配置され、該改質反応筒18より径が大きい。改質反応筒18と外筒22との間には、改質反応筒18を加熱するために燃焼排ガスが通過する加熱流路32が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原燃料を、燃料電池システムにおいて使用される改質ガスに改質する燃料電池用改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池は、水素が有する化学エネルギーを電気エネルギーに変換して電力を発生する。実用的には、固体高分子形燃料電池の燃料となる水素は、比較的容易かつ安価に入手可能な天然ガス、ナフサ等の炭化水素系ガスまたはメタノール等のアルコール類の原燃料ガスと水蒸気とを混合して、改質器で改質することで得ている。改質により得られた水素ガスは燃料電池の燃料極に供給され、発電に用いられる。
【0003】
一般に、改質器は、水蒸気による原燃料ガスの改質反応に必要な熱を供給するためのバーナを備える。バーナで燃料を燃焼させて生じた燃焼ガスを、燃焼筒から改質反応部の近傍に設けられた経路に導くことにより、燃焼ガスの熱エネルギーが改質反応に利用される(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2007−15911号公報
【特許文献2】国際公開第03/078311号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2記載の改質器は、バーナで燃料を燃焼して発生した燃焼排ガスを改質部の内側に流すことで、燃焼排ガスの熱エネルギーを高温の水蒸気の生成や改質部の昇温に用いているため、改質部を燃焼排ガス流路の外側に配置しなければならない。また、改質部により生成された改質ガスに含まれている一酸化炭素を低減するための一酸化炭素変成部や一酸化炭素除去部が、改質部を備えている流路の更に外側に配置されているため、流路が複雑となっている。その結果、改質部の径が大径化してしまうとともに、改質装置全体の複雑化、大型化を招く一因となっている。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成の燃料電池用改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の燃料電池用改質装置は、原燃料を水素リッチな改質ガスに改質する燃料電池用改質装置であって、原燃料から改質ガスを生成する改質部と、前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により低減するシフト変成部と、前記シフト変成部を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化して低減する選択酸化部と、前記改質部と前記シフト変成部と前記選択酸化部とをこの順番に直線状に収納する改質反応筒と、原燃料を燃焼して燃焼排ガスを生成する燃焼手段と、前記改質反応筒の外周に配置され、該改質反応筒より径が大きい外筒と、を備える。前記改質反応筒と前記外筒との間には、前記改質反応筒を加熱するために前記燃焼排ガスが通過する加熱流路が形成されている。
【0007】
この態様によると、改質部とシフト変成部と選択酸化部とがこの順番に一つの改質反応筒に収納されているため、複雑な形状の流路を形成することなく、改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減することができる。また、改質反応筒と外筒との間の加熱流路に燃焼排ガスを通過させることで、反応改質筒の内部における改質反応に必要な熱を供給することができ、ヒータ等の加熱手段が不要となる。また、改質反応筒と外筒との間を加熱流路とすることで、折り返しや多くの筒を要する流路を必要とせずに簡素な構成で燃料電池用改質装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、燃料電池用改質装置の構成を簡易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の都合上、図の上下左右と対応させて各部材間の位置関係を説明するが、あくまでも相対的な位置関係でありこれに限定されるものではない。例えば、上下を反転した態様にすることも可能である。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る燃料電池用改質装置10の構成を示す断面図である。燃料電池用改質装置10は、原燃料であるメタンやプロパン、ブタン等を水蒸気改質により水素リッチな改質ガスを生成する。
【0011】
燃料電池用改質装置10は、原燃料から改質ガスを生成する改質部12と、改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により低減するシフト変成部14と、シフト変成部14を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化反応により選択酸化し低減する選択酸化部16と、改質部12とシフト変成部14と選択酸化部16とをこの順番に直線状に収納する改質反応筒18と、原燃料を燃焼して燃焼排ガスを生成する燃焼手段としてのバーナ20と、改質反応筒18の外周に同軸に配置され、改質反応筒18より径が大きい外筒22と、を備える。外筒22の周囲は、複数の配管が外部と連通している箇所を除いて断熱材24で覆われている。
【0012】
バーナ20は、空気取入口26から取り入れた空気と燃料取入口28から取り入れた原燃料オフガスとを混合して燃焼させる。バーナ20で原燃料ガスが燃焼することによって、1200〜1300℃の高温の燃焼排ガスが発生する。バーナ20は、改質反応筒18の改質部12側の端部に形成された燃焼室30に配置されているとともに、外筒22の下部に固定されている。これにより、バーナ20で生成された燃焼排ガスの熱をすぐに改質部12における改質反応に用いることができるので、熱効率を向上することができる。
【0013】
改質反応筒18と外筒22との間には、改質反応筒18を加熱するために前述の燃焼排ガスが通過する加熱流路32が形成されている。
【0014】
改質部12は、改質反応筒18の底部に設けられている改質反応筒18より外径の小さいケース34と、ケース34の下方に収納された、ニッケルやルテニウム等の金属粒子をアルミナに担持した改質触媒を含む触媒層36とを有する。ケース34の上面には、原燃料と水蒸気とが混合された状態で流入する開口部38が形成されている。また、ケース34は、触媒層36の側面から改質ガスが通過できるように、側面に通気口が設けられている。
【0015】
原燃料は、改質反応筒18、外筒22、断熱材24とを貫通する原燃料供給路40を経由して燃料電池用改質装置10の外部から改質部12の触媒層36に供給される。この際、原燃料は、加熱流路32を流れる燃料排ガスや改質反応筒18の内部の改質ガスにより昇温されるとともに、改質ガスの温度を低下させる。
【0016】
また、改質部12における改質反応に必要な水蒸気は、水蒸気供給路42を経由して燃料電池用改質装置10の外部から供給された改質水から生成される。外部から供給された液体である改質水は、燃焼排ガスや改質反応筒18の内部で昇温されている改質ガスにより気化され、水蒸気として触媒層36に供給されるとともに、シフト変成部14や選択酸化部16の温度を低下させる。
【0017】
本実施の形態に係る燃料電池用改質装置10において、原燃料供給路40は、水蒸気供給路42と、水蒸気供給路42において通過する水が気化される箇所より下流側の合流部44で合流している。水蒸気供給路42は、外筒22および改質反応筒18の内部において、その一部が螺旋状に巻かれたコイル形状を有しており、表面積が増すことで水が気化し易くなっているため、合流部44より上流側の少なくともコイルの下端では水蒸気が生成されている。
【0018】
本実施の形態に係る燃料電池用改質装置10のように、燃焼排ガスの加熱による原燃料の昇温と水の気化とが別々の原燃料供給路40および水蒸気供給路42で行われた後に原燃料と水蒸気とが合流することで、各供給路における原燃料の昇温や水の気化による水蒸気の供給の制御が容易となる。
【0019】
シフト変成部14は、例えば、酸化銅や酸化亜鉛のペレットからなる触媒層46と、触媒層46を担持するとともに下方から上方へ改質ガスが透過するように孔が形成されている仕切り板48とを有する。シフト変成部14は、触媒層46の働きにより改質ガスに含まれる水蒸気を用いたシフト反応により一酸化炭素を低減することができる。
【0020】
選択酸化部16は、例えば、アルミナで担持した一酸化炭素選択酸化触媒からなる触媒層50と、触媒層50を担持するとともに下方から上方へ改質ガスが透過するように孔が形成されている仕切り板52とを有する。選択酸化部16では、触媒層50の働きにより酸素で一酸化炭素を酸化し二酸化炭素にすることで、一酸化炭素の濃度が更に低減される。
【0021】
シフト変成部14と選択酸化部16との間の領域には、選択酸化部16で消費される酸素を供給するために、燃料電池用改質装置10の外部と連通している空気供給路54の先端部56が配置されている。これにより、先端部56から流入する空気は、シフト変成部14で一酸化炭素が低減された改質ガスとともに上昇し、選択酸化部16における反応に寄与する。
【0022】
選択酸化部16の上方の、改質反応筒18の上面には、開口部58が形成されている。開口部58には、一酸化炭素が十分低減された改質ガスを不図示の燃料電池の燃料極へ送出する改質ガス送出管60が接続されている。
【0023】
次に、本実施の形態に係る燃料電池用改質装置10の動作について説明する。バーナ20で生成された燃焼排ガスは、改質反応筒18の下面を加熱した後に加熱流路32を上昇しながら改質反応筒18を側面から加熱する。この際、触媒層36は、改質反応筒18を介して改質反応に必要な温度、例えば、600〜700℃の範囲に加熱される。また、水蒸気供給路42は、直接的または改質反応筒18を介して間接的に燃料排ガスにより加熱され、内部を通る改質水が気化される。一方、燃料排ガスは、加熱流路32を上昇するに従い水蒸気供給路42により冷却され徐々に温度が低下する。なお、加熱流路32を通過した燃焼排ガスは、外筒22の上部に形成された排出口62から外部へ排出される。
【0024】
水蒸気供給路42で気化された水蒸気と原燃料供給路40で昇温された原燃料とは合流部44で混合され、ケース34の内部を下方に送り出される。水蒸気を含む原燃料ガスは、触媒層36の内部を通過する際に燃焼排ガスの熱により徐々に加熱され、改質反応により水素リッチな改質ガスに変化する。
【0025】
原燃料ガスを改質することにより得られた改質ガスは、供給される原燃料ガスの流れによって改質反応筒18の内部を上昇し、シフト変成部14に到達する。ここで、改質部12における改質反応は吸熱反応であるため、水蒸気供給路42の熱回収により温度が低下した改質ガスがシフト変成部14に到達することになる。シフト変成部14におけるシフト反応は、例えば、200〜300℃の範囲で行われ、水蒸気供給路42の熱回収で熱バランスをとっているので、特段の温度制御をしなくても適度な温度を維持することが可能である。これにより、改質ガスはシフト変成部14において一酸化炭素が低減される。
【0026】
なお、シフト変成部14における温度が適温とならない装置の場合、バーナ20での原燃料の燃料量を調整したり、シフト変成部14近傍の水蒸気供給路42のコイルの巻き数を増減させたりすることで調整可能である。
【0027】
シフト変成部14で一酸化炭素が低減された改質ガスは更に、供給される原燃料ガスの流れによって改質反応筒18の内部を整流板64に流れを規制されながら上昇し、選択酸化部16に到達する。その際、空気供給路54から供給された空気も改質反応筒18内を上昇し、選択酸化部16に到達する。
【0028】
選択酸化部16は、水蒸気供給路42の流入口66近傍に配置されているため、改質ガスの温度は改質水による冷却によりシフト変成部14における改質ガスの温度より低温となっている。選択酸化部16における選択酸化反応は、シフト変成部14におけるシフト反応より低温な、例えば、70〜200℃の範囲で行われ、水蒸気供給路42の熱回収で熱バランスをとっているので、特段の温度制御をしなくても改質ガスを適度な温度に維持することが可能である。これにより、改質ガスは選択酸化部16において更に一酸化炭素が低減される。
【0029】
上述のように、燃料電池用改質装置10は、改質部12とシフト変成部14と選択酸化部16とがこの順番に一つの改質反応筒18に収納されているため、複雑な形状の流路を形成することなく、改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減することができる。また、改質反応筒18と外筒22との間の加熱流路32を燃焼排ガスが通過するので、改質反応筒18の内部の改質部12における改質反応に必要な熱を供給することができ、ヒータ等の加熱手段が不要となる。また、改質反応筒18と外筒22との間を加熱流路32とすることで、折り返しや多くの筒を要する流路を必要とせずに簡素な構成で燃料電池用改質装置10を実現することができる。
【0030】
換言すると、本実施の形態に係る燃料電池用改質装置10においては、折り返しや多くの筒を要する流路が設けられていないため、部品点数の低減や製造工程の簡素化によりコストが低減される。また、外筒22の外周部を断熱材24で覆うことで装置全体の断熱性を容易に確保することができるので、断熱材24を装着する際の工程を簡素化することができる。
【0031】
また、加熱流路32は、燃焼排ガスが改質部12側から選択酸化部16側に向かって通過するように形成されているので、燃焼排ガスは、改質反応筒18や水蒸気供給路42と熱交換をしながら徐々に温度が低下する。そのため、燃焼排ガスは、反応温度が高い改質部から反応温度の低い選択酸化部へと適度に温度が低下しながら加熱流路32の内部を通過することになる。そのため、加熱流路32を直線的に形成することが可能となる。
【0032】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係る燃料電池用改質装置110の構成を示す断面図である。本実施の形態に係る燃料電池用改質装置110は、改質部12に水蒸気を供給するために燃焼排ガスによる加熱により水が気化される水蒸気供給路42と、改質部12に原燃料を供給するための原燃料供給路112とを備えている。原燃料供給路112は、水蒸気供給路42と、水蒸気供給路42において通過する水が気化される箇所より上流側の合流部114で合流している。これにより、燃焼排ガスの加熱による原燃料の昇温と水の気化とが水蒸気供給路42で一緒に行われるため、原燃料供給路を短くすることができる。
【0033】
また、原燃料供給路112は、改質反応筒18の外側の領域で水蒸気供給路42と合流しているため、改質反応筒18の内部に原燃料供給路112を水蒸気供給路42とは別に設ける必要がなくなる。そのため、改質反応筒18やそれを含む燃料電池用改質装置110の製造が容易となる。
【0034】
(第3の実施の形態)
上述の各実施の形態に係る燃料電池用改質装置では、水蒸気供給路42が改質反応筒18の内部を通過するとともにシフト変成部14の触媒層46や選択酸化部16の触媒層50を貫通するように設けられている。そのため、水蒸気供給路42が触媒層50に直接接触している部分では触媒温度が必要以上に低下し、反応が充分行われない可能性がある。そこで、本実施の形態では、水蒸気供給路の配置を工夫することで触媒層の温度が必要以上に低下することを防止している。
【0035】
図3は、第3の実施の形態に係る燃料電池用改質装置210の構成を示す断面図である。燃料電池用改質装置210は、第1の実施の形態に係る燃料電池用改質装置10と比較して、水蒸気供給路142が加熱流路32の内部に設けられている点が大きく異なる。このような構成により、シフト変成部14の触媒層46や選択酸化部16の触媒層50は、改質反応筒18を介して水蒸気供給路142により間接的に冷却されるため、各触媒層の一部の温度が極端に低下することが抑制される。その結果、例えば、選択酸化部16において一酸化炭素が十分に反応せずに未反応の一酸化炭素が燃料電池の燃料極へ送出されることが抑制される。また、水蒸気供給路142は、改質反応筒18に接触するように設けられていてもよい。これにより、燃焼排ガスからの熱回収だけでなく、触媒層46,50における反応熱をより多く回収するとともに、触媒層46,50をより冷却することが可能となる。また、改質反応筒18内部の改質ガスをより冷却することも可能となる。
【0036】
(第4の実施の形態)
上述の各実施の形態に係る燃料電池用改質装置では、シフト変成部14の触媒層46および選択酸化部16の触媒層50はともに円柱形状であるため、各触媒層の直径が大きくなった場合、触媒層の中心部分の除熱が充分に行われない可能性がある。このような場合、触媒層の中心部分が高温となり正常で効率のよい反応が困難となる。特に、第3の実施の形態に係る燃料電池用改質装置210のように水蒸気供給路142を改質反応筒18の外側に配置した場合、除熱が不十分となる傾向が強い。そのため、例えば、選択酸化部16の触媒層50の温度が適正な温度範囲を超えると、改質ガス中の水素を酸化する副反応が生じてしまう可能性がある。
【0037】
図4は、第4の実施の形態に係る燃料電池用改質装置310の構成を示す断面図である。燃料電池用改質装置310において、シフト変成部14の触媒層146および選択酸化部16の触媒層150は、ともにリング状に形成されている。これにより、各触媒層は、適正な温度範囲の制御が困難な中心部が中空となっているため、望ましくない副反応の発生が抑制される。
【0038】
(第5の実施の形態)
図5は、第5の実施の形態に係る燃料電池用改質装置410の構成を示す断面図である。前述のように選択酸化部における触媒反応は、適正な温度範囲で行われる必要がある。通常、選択酸化部の触媒層においては改質ガスが流入する入口側で最も反応が起こるため、触媒層の温度も入口側が高く出口側が低くなる傾向がある。そのため、選択酸化部の触媒層に流入する改質ガスの温度が高すぎると、触媒層の入口近傍における反応温度が適正な温度範囲を超えて高くなる可能性がある。
【0039】
そこで、燃料電池用改質装置410において、選択酸化部116は、折り返し流路118と折り返し流路118の途中に設けられたリング状の触媒層250とを有する。折り返し流路118は、シフト変成部14を通過した改質ガスが改質反応筒18の内面に沿って燃焼室30側と反対側へ向かう第1流路120と、第1流路120を通過した改質ガスが燃焼室30側に向かうように内側に折り返された第2流路122とからなる。また、触媒層250は、第2流路122に設けられている。
【0040】
これにより、改質ガスは、触媒層250の入口側に到達する前に、第1流路120においてその外周に配置されている水蒸気供給路142を流れる低温の改質水によって熱が奪われる。したがって、触媒層250の入口側における反応温度を適正な温度範囲まで低減することが可能となる。また、水蒸気供給路142は、第1流路120に接触するように設けられていてもよい。これにより、触媒層250の入口側に流入する改質ガスの温度をより低減することが可能となる。
【0041】
また、第1流路120と第2流路122は並んで配置されているため、触媒層250における反応熱を改質ガスを介して回収することも可能である。また、改質ガスは、第2流路において触媒層250を燃焼室30側に向かって流れるため、触媒層250の出口側における反応熱が少ない場合でも第1流路120に流入する改質ガスにより温度の低下を抑制することができる。その結果、触媒層250において入口側の反応温度より低くくなる傾向の出口側の反応温度の低下が抑制され、触媒層250全体が触媒反応に適正な温度範囲に維持される。
【0042】
ここで、触媒層250の反応温度は、100〜200℃の範囲に維持されているとよい。好ましくは、120〜180℃の範囲に維持されているとよい。より好ましくは、130〜170℃の範囲に維持されているとよい。温度が低すぎる領域では反応が不十分となる。また、温度が高すぎる領域では必要のない副反応が先行してしまう。
【0043】
なお、本実施の形態のように折り返し流路118を設けることで、選択酸化部16の触媒層250の入口側を、選択酸化部16のシフト変成部14より離れた側に配置することが可能となる。したがって、シフト変成部14と選択酸化部16との距離を長くしなくても、換言すれば改質反応筒18の長手方向を伸ばさなくても、実質的にシフト変成部14を通過した改質ガスが選択酸化部16の触媒層250に到達するまでの距離が長くなるため、触媒層250の入口側に到達する改質ガスの温度を下げることができる。その結果、燃料電池用改質装置410の長手方向をコンパクトにすることが可能となる。
【0044】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、これは例示であり、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0045】
上述の燃料電池用改質装置は、ガスと水との熱交換部において、ガス側の伝熱を促進させるために、ガス側通路にアルミナボールやマクマホンパッキン等の拡散により伝熱性を上げる物を充填してもよい。例えば、改質部12とシフト変成部14との間、シフト変成部14と選択酸化部16との間、選択酸化部16の上部、水蒸気供給路42の入口側における燃焼排ガスとの熱交換部、等に伝熱促進物が充填されていてもよい。
【0046】
また、上述の燃料電池用改質装置に用いられる原燃料としては、例示されているメタンやプロパン、ブタン等に限られるものではない。例えば、天然ガス、プロパン・ブタンを主成分とするLPG、ナフサ、灯油等の炭化水素や、メタノール、エタノール等のアルコール類や、ジメチルエーテル等のエーテル類、等を、原燃料として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料電池用改質装置の構成を示す断面図である。
【図2】第2の実施の形態に係る燃料電池用改質装置の構成を示す断面図である。
【図3】第3の実施の形態に係る燃料電池用改質装置の構成を示す断面図である。
【図4】第4の実施の形態に係る燃料電池用改質装置の構成を示す断面図である。
【図5】第5の実施の形態に係る燃料電池用改質装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 燃料電池用改質装置、 12 改質部、 14 シフト変成部、 16 選択酸化部、 18 改質反応筒、 20 バーナ、 22 外筒、 30 燃焼室、 32 加熱流路、 40 原燃料供給路、 42 水蒸気供給路、 44 合流部、 110 燃料電池用改質装置、 112 原燃料供給路、 114 合流部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原燃料を水素リッチな改質ガスに改質する燃料電池用改質装置であって、
原燃料から改質ガスを生成する改質部と、
前記改質ガスに含まれる一酸化炭素をシフト反応により低減するシフト変成部と、
前記シフト変成部を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素を選択酸化して低減する選択酸化部と、
前記改質部と前記シフト変成部と前記選択酸化部とをこの順番に直線状に収納する改質反応筒と、
原燃料を燃焼して燃焼排ガスを生成する燃焼手段と、
前記改質反応筒の外周に配置され、該改質反応筒より径が大きい外筒と、を備え、
前記改質反応筒と前記外筒との間には、前記改質反応筒を加熱するために前記燃焼排ガスが通過する加熱流路が形成されていることを特徴とする燃料電池用改質装置。
【請求項2】
前記燃焼手段は、前記改質反応筒の改質部側の端部に形成された燃焼室に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用改質装置。
【請求項3】
前記加熱流路は、前記燃焼排ガスが改質部側から選択酸化部側に向かって通過するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用改質装置。
【請求項4】
前記改質部に水蒸気を供給するために前記燃焼排ガスによる加熱により水が気化される水蒸気供給路と、
前記改質部に昇温された原燃料を供給するために前記燃焼排ガスによる加熱により原燃料が昇温される原燃料供給路と、を更に備え、
前記原燃料供給路は、前記水蒸気供給路と、該水蒸気供給路において通過する水が気化される箇所より下流側で合流していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用改質装置。
【請求項5】
前記改質部に水蒸気を供給するために前記燃焼排ガスによる加熱により水が気化される水蒸気供給路と、
前記改質部に原燃料を供給するための原燃料供給路と、を更に備え、
前記原燃料供給路は、前記水蒸気供給路と、該水蒸気供給路において通過する水が気化される箇所より上流側で合流していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用改質装置。
【請求項6】
前記原燃料供給路は、前記改質反応筒の外側の領域で前記水蒸気供給路と合流していることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用改質装置。
【請求項7】
前記水蒸気供給路は、前記加熱流路の内部に設けられていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の燃料電池用改質装置。
【請求項8】
前記水蒸気供給路は、前記改質反応筒に接触するように設けられていることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用改質装置。
【請求項9】
前記選択酸化部は、
前記シフト変成部を通過した改質ガスが前記改質反応筒の内面に沿って燃焼室側と反対側へ向かう第1流路と、該第1流路を通過した改質ガスが燃焼室側に向かうように内側に折り返された第2流路とを含む折り返し流路と、
前記第2流路に設けられている触媒層と、
を有することを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の燃料電池用改質装置。
【請求項10】
前記水蒸気供給路は、前記第1流路に接触するように設けられていることを特徴とする請求項9に記載の燃料電池用改質装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−96705(P2009−96705A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70054(P2008−70054)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】