説明

燃料電池発電システムおよびその運転方法

【課題】ラジエータを持たない燃料電池発電システムであっても、貯湯タンクが満蓄熱になった後に発電停止を可能とする。
【解決手段】燃料電池発電システムに、改質器2から燃料電池5までの流路を通過する気体を冷却する冷却熱交換器4と、貯湯タンク8の下部から冷却熱交換器4の低温側を経由して貯湯タンク8に戻る循環配管52の途中に設けられた温水循環ポンプ9と、外部の水源を貯湯タンク8よりも下流側かつ冷却熱交換器4よりも上流側で循環配管52に接続する給水配管51と、冷却熱交換器4よりも下流側かつ貯湯タンク8よりも上流側で循環配管52から分岐して排水制御弁16が設けられた排水配管53と、制御装置11とを備える。制御装置は、燃料電池5の発電停止後のクールダウン中に、貯湯タンク8から冷却熱交換器4に供給可能な水の温度が所定温度より高いときに、排水制御弁を開いている状態に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池発電システムおよびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電システムは、発電停止の過程で燃料改質装置内の改質ガスを水蒸気で置換する場合がある。置換に用いた水蒸気が反応器中で凝縮すると、次回の起動時に反応触媒の割れや粉化を引き起こす可能性がある。そこで、燃料改質装置内や燃料改質装置の下流で、この水蒸気を冷却水によって積極的に凝縮させ、水を回収する。
【0003】
ラジエータを持たない燃料電池発電システムでは、水蒸気の冷却源に、温水タンクの下部に残った冷水を用いている。このため、貯湯タンクが満蓄熱に近づいた場合には、システムの降温に必要な冷水を貯湯タンク内に確保できている範囲で発電を停止するのが一般的である。
【0004】
たとえば特許文献1には、給湯需要が生じるまで貯湯タンクが満蓄熱になるのを遅延させるために、蓄熱温度を変化させる方法が開示されている。この方法では、貯湯タンクの満蓄熱を遅延させても熱需要が発生せず、満蓄熱が避けられないと判断した場合、貯湯タンクが完全に満蓄熱になる前に発電を停止し、貯湯タンクに残った冷水でシステムの降温を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4133628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ラジエータを持たない燃料電池発電システムでは、貯湯タンクが完全に満蓄熱になる前に発電を停止し、貯湯タンクに残った冷水でシステムの降温を行うと、貯湯タンクの蓄熱容量を十分に活用できない。
【0007】
そこで、本発明は、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであっても、貯湯タンクが満蓄熱になった後に発電停止を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、燃料電池発電システムにおいて、炭化水素系の原燃料から水素を生成する改質器と、前記改質器から水素を供給されて発電する燃料電池と、前記改質器から前記燃料電池までの流路を通過する気体を冷却する冷却熱交換器と、外部の水源から給水される貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部から前記冷却熱交換器の低温側を経由して前記貯湯タンクに戻る循環配管と、前記循環配管の途中に設けられた温水循環ポンプと、前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側で前記循環配管から分岐した排水配管と、前記排水配管に設けられた排水制御弁と、前記燃料電池の発電停止後のクールダウン中に前記貯湯タンクから前記冷却熱交換器に供給可能な水の温度が第1の所定温度より高いときに前記排水制御弁を開いている状態に保持する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、炭化水素系の原燃料から水素を生成する改質器と、前記改質器から水素を供給されて発電する燃料電池と、前記改質器から前記燃料電池までの流路を通過する気体を冷却する冷却熱交換器と、外部の水源から給水される貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部から前記冷却熱交換器の低温側を経由して前記貯湯タンクに戻る循環配管と、前記循環配管の途中に設けられた温水循環ポンプと、前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側で前記循環配管から分岐した排水配管と、前記排水配管に設けられた排水制御弁と、を持つ燃料電池発電システムの運転方法において、前記燃料電池の発電停止後のクールダウン中に前記貯湯タンクから前記冷却熱交換器に供給可能な水の温度が第1の所定温度より高いときに前記排水制御弁を開いている状態に保持する工程、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであっても、貯湯タンクが満蓄熱になった後に発電停止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【図2】本発明に係る燃料電池発電システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。
【図3】本発明に係る燃料電池発電システムの第3の実施の形態におけるブロック図である。
【図4】本発明に係る燃料電池発電システムの第3の実施の形態におけるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る燃料電池発電システムの実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明に係る燃料電池発電システムの第1の実施の形態におけるブロック図である。
【0014】
本実施の形態の燃料電池システムは、改質器2と、燃料電池5と、冷却熱交換器4と、貯湯タンク8と、循環配管52と、温水循環ポンプ9と、給水配管51と、排水配管53と、制御装置11とを有している。貯湯タンク8は、温水を貯える。
【0015】
循環配管52は、貯湯タンク8の下部から延びて、冷却熱交換器4の低温側を経由し、貯湯タンク8に戻る。温水循環ポンプ9は、循環配管52の途中に設けられている。給水配管51は、外部の水源を貯湯タンク8よりも下流側かつ冷却熱交換器4よりも上流側で循環配管52に接続する。給水配管51は、貯湯タンク8のたとえば下部に直接接続されていてもよい。排水配管53は、冷却熱交換器4よりも下流側かつ貯湯タンク8よりも上流側で循環配管52から分岐して、開放端まで延びている。排水制御弁16は、排水配管に設けられている。
【0016】
燃料電池5は、アノード極24、カソード極25を備えている。アノード極24とカソード極25とは、固体高分子電解質膜(図示せず)を挟んで設けられる。改質器2と燃料電池5のアノード極24との間には、水素を含有する気体が通過する流路26が形成されている。この流路30は、冷却熱交換器4の高温側を通過している。
【0017】
改質器2は、外部の燃料供給源21と接続されている。都市ガスやプロパンなどの炭化水素系の原燃料は、ブロワ31によって、燃料供給源21から弁41、脱硫器1、弁42および熱交換器27の低温側を通過して改質器2に送られる。脱硫器1の内部では、都市ガスなどの燃料から硫黄分が取り除かれる。
【0018】
また、改質器2には、改質用の水蒸気が供給される。この水蒸気は、凝縮熱交換器10に形成された液相から改質用水ポンプ35で送出された水を蒸発器6の低温側を通過させて気化させたものである。脱硫された原燃料と水蒸気とは、たとえば熱交換器27の上流側で混合される。
【0019】
改質器2の内部では、触媒により原燃料と水蒸気とを用いた水蒸気改質反応が起きる。この水蒸気改質反応によって、水素リッチな改質ガスが生成される。この改質ガスは、流路30を通過して、改質器2から燃料電池5のアノード極24に送られる。
【0020】
水蒸気改質反応では、水素とともに一酸化炭素が生成される。改質ガス中のCO濃度は、改質ガスの流路30の途中に設けられ、ブロワ33で空気が供給された複合CO変成・除去器3で低減される。
【0021】
また、改質ガスの流路30は、複合CO変成・除去器3の上流側、内部、下流側にそれぞれ設けられた熱交換器27,28,29の高温側を通過している。冷却熱交換器4は、複合CO変成・除去器3の内部に設けられている。
【0022】
改質ガスの流路30の複合CO変成・除去器3の上流側に設けられた熱交換器27の低温側には原燃料と水蒸気の混合ガスが流れ、この混合ガスはこの熱交換器27で加熱される。改質ガスの流路30の複合CO変成・除去器3の内部に設けられた熱交換器28の低温側には、蒸発器6で発生した水蒸気が通過し、この水蒸気はこの熱交換器28で加熱される。改質ガスの流路30の複合CO変成・除去器3の下流側に設けられた熱交換器29の低温側には改質水が流れ、この改質水はこの熱交換器29で加熱される。
【0023】
燃料電池5では、このようにしてアノード極24に供給された水素と、カソード極用空気ブロア34でカソード極25に供給された空気中の酸素とを用いて発電する。アノード極24に送り込まれた水素ガスは、触媒層を経てプロトンHが電解質膜を通過し、カソード極用空気ブロア34によってカソード極25を通過する空気中の酸素および電子と結びついて水が生成される。したがって、アノード極24は−極、カソード極25は+極となり、電位を持って直流電圧を発電する。この電位間に電気負荷が接続されれば、本システムは電源としての機能を持つことになる。
【0024】
また、燃料電池5には、燃料電池5を冷却するための冷却流路26が形成されている。この冷却流路26には、凝縮熱交換器10の液相から冷却水ポンプ36によって冷却水が供給される。燃料電池5は、この冷却水によって冷却される。
【0025】
カソード極25からの排気は凝縮熱交換器10に送られ、電池反応で生じた水分などが凝縮される。発電に用いられずに残った水素を含有するアノード極24の排気は、改質器2に送られる。さらに、改質器2には、ブロワ32によって空気が供給され、アノード極24の排気に含まれる水素は改質器2の加熱用燃料ガスとして用いられる。また、必要に応じて原燃料の一部は、弁43を介して改質器2に送られる。この改質器6の内部での加熱によって、吸熱反応である水蒸気改質反応が維持されている。改質器2の排気は、蒸発器6の高温側を通って低温側を流れる水を蒸発させた後、凝縮熱交換器10に送られる。
【0026】
貯湯タンク8の下部の冷水は、温水循環ポンプ9によって送出される。温水循環ポンプ9によって送出されて循環配管52を流れる水は、冷却熱交換器4および凝縮熱交換器10で加熱された後、再び貯湯タンク8に貯えられる。貯湯タンク8に貯えられた温水は、外部で熱利用される。この熱利用によって貯湯タンク8から減少した量に相当する水は、外部の水源から給水配管51を介して供給される。
【0027】
燃料電池5が発電を停止した際には、クールダウンが行われる。このクールダウンでは、改質器2および複合CO変成・除去器3から改質ガスを蒸気でパージする。この蒸気は、改質器2から燃料電池5までの流路30を通過する気体を冷却する冷却熱交換器4によって凝縮される。
【0028】
貯湯タンク8が満蓄熱の場合など、貯湯タンク8から冷却熱交換器4に所定の温度以下の冷水を供給できない場合がある。そこで、本実施の形態の燃料電池発電システムでは、このような場合に、排水制御弁16を開いている状態に保持して、外部の水源から水を冷却熱交換器4に供給する。尚、ここで所定の温度以下とは貯湯タンク8に蓄えられるお湯の温度よりは低く、43℃(例えば夏場の最も暑い時間帯に外気温で水道水からの水が配管が温められ、それが貯湯タンク8に供給された場合の温度)以下であれば良いが、水温は低いほど望ましい。
【0029】
具体的には、制御装置11は、燃料電池5の発電停止後のクールダウン中、排水制御弁を開いている状態に保持する。これにより冷却熱交換器4で加温された水は、排水制御弁16から系外に排水される。これに伴って、排水制御弁16から排出された量に相当する水は、外部の水源から給水配管51を介して供給される。この結果、たとえば水道水など、外部の水源から供給される冷水が冷却熱交換器4に供給される。
【0030】
これにより、冷却熱交換器4は、パージ蒸気を凝縮させることができる。この結果、改質器2や複合CO変成・除去器3内の触媒層で、パージ蒸気が凝縮することが抑制される。
【0031】
このとき、貯湯タンク8には、水あるいは空気などは流入しないため、貯湯タンク8に貯えられた水は、循環配管52を流れない。したがって、貯湯タンク8が満蓄熱の状態、すなわち、貯湯タンク8から冷水を供給できない状態であっても、パージ蒸気を冷却熱交換器4で凝縮させることができる。
【0032】
このように本実施の形態では、システムのクールダウン中の冷熱源が水道水から供給されることになる。その結果、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであるにもかかわらず、貯湯タンク8が満蓄熱になった後でもクールダウンが可能となる。
【0033】
改質器2および複合CO変成・除去器3から改質ガスをパージしてクールダウンが終了したら、排水制御弁16を閉じる。これにより、排水制御弁16からの排水は停止し、外部の水源からの水の供給も停止する。排水制御弁16からの排水量は、200cc/min〜600cc/min程度で運用される。そこで、オリフィスなどの流路絞りを排水制御弁16に併用してもよい。
【0034】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明に係る燃料電池発電システムの第2の実施の形態におけるブロック図である。
【0035】
本実施の形態の燃料電池発電システムは、凝縮熱交換器10の下流側に設けられた排熱回収温度検出器17を有している。システムのクールダウン中に貯湯タンク8から冷たい水が供給される間は、排水制御弁16は閉じたまま、貯湯タンク8に貯えられた水が冷却熱交換器4に供給される。冷却熱交換器4で熱を回収することによって、貯湯タンク8と冷却熱交換器4との間を循環する水の温度は上昇する。この循環する水の温度は、排熱回収温度検出器17で測定される。
【0036】
貯湯タンク8から冷却熱交換器4に供給可能な水の温度が上昇すると、排熱回収温度検出器17が測定する温度が上昇する。このため、貯湯タンク8から冷却熱交換器4に供給可能な水の温度が所定温度より高くなったことは、排熱回収温度検出器17が測定する温度がある基準値を超えたことによって把握することができる。そこで、この燃料電池発電システムでは、排熱回収温度検出器17が測定した温度がある基準値以上となったときに、排水制御弁16を開動作させる。この基準値は、第1の実施の形態における所定の温度よりも高い温度である。
【0037】
これにより、貯湯タンク8から冷却熱交換器に供給可能な水の温度が所定の温度より高くなって、排熱回収温度検出器17が測定した温度が基準値以上となったときに排水制御弁16を開いている状態に保持する。制御装置11が排水制御弁16を閉動作させる温度は、基準値以下であればよいが、頻繁な排水制御弁の開閉を抑制するためには、その基準値よりある程度低い値を設定するとよい。
【0038】
このようにして、本実施の形態では、システムのクールダウン中に必要に応じて外部の水源から冷水が供給されることになる。その結果、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであるにもかかわらず、貯湯タンク8が満蓄熱になった後でもクールダウンが可能となる。また、システムのクールダウン中の排水制御弁16からの排水流量を抑制できる。
【0039】
さらに、この燃料電池発電システムでは、貯湯タンク8をバイパスさせる温水流路切替弁7およびバイパス配管54を設けている。システムのクールダウン中に温水流路切替弁7で貯湯タンク8をバイパスし、温水循環ポンプ9により冷水を循環させる。これにより、循環配管52およびバイパス配管54を循環する水の温度が、冷却熱交換器4で蒸気を凝縮できる程度に低い場合には、排水制御弁16を閉じて排水流量を抑制することができる。
【0040】
[第3の実施の形態]
図3は、本発明に係る燃料電池発電システムの第3の実施の形態におけるブロック図である。
【0041】
本実施の形態の燃料電池発電システムは、冷却熱交換器4の作動温度を検出する動作温度検出器18を有している。システムのクールダウン中に貯湯タンク8から冷たい水が供給される間は、排水制御弁16は閉じたまま、貯湯タンク8に貯えられた水が冷却熱交換器4に供給される。冷却熱交換器4で熱を回収することによって、貯湯タンク8と冷却熱交換器4との間を循環する水の温度は上昇する。この循環する水の温度は、動作温度検出器18で測定される。
【0042】
貯湯タンク8から冷却熱交換器4に供給可能な水の温度が上昇すると、排熱回収温度検出器17が測定する温度が上昇する。このため、貯湯タンク8から冷却熱交換器4に供給可能な水の温度が所定温度より高くなったことは、動作温度検出器18が測定する温度がある基準値を超えたことによって把握することができる。そこで、この燃料電池発電システムでは、動作温度検出器18が測定した温度がある基準値以上となったときに、排水制御弁16を開動作させる。この基準値は、第1の実施の形態における所定の温度よりも高い温度である。
【0043】
これにより、貯湯タンク8から冷却熱交換器に供給可能な水の温度が所定の温度より高くなって、動作温度検出器18が測定した温度が基準値以上となったときに排水制御弁16を開いている状態に保持する。制御装置11が排水制御弁16を閉動作させる温度は、基準値以下であればよいが、頻繁な排水制御弁の開閉を抑制するためには、基準値よりある程度低い値を設定するとよい。
【0044】
このようにして、本実施の形態では、システムのクールダウン中に必要に応じて外部の水源から冷水が供給されることになる。その結果、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであるにもかかわらず、貯湯タンク8が満蓄熱になった後でもクールダウンが可能となる。また、システムのクールダウン中の排水制御弁16からの排水流量を抑制できる。
【0045】
さらに、この燃料電池発電システムでは、貯湯タンク8をバイパスさせる温水流路切替弁7およびバイパス配管54を設けている。システムのクールダウン中に温水流路切替弁7で貯湯タンク8をバイパスし、温水循環ポンプ9により冷水を循環させる。これにより、循環配管52およびバイパス配管54を循環する水の温度が、冷却熱交換器4で蒸気を凝縮できる程度に低い場合には、排水制御弁16を閉じて排水流量を抑制することができる。
【0046】
[第4の実施の形態]
図4は、本発明に係る燃料電池発電システムの第3の実施の形態におけるブロック図である。
【0047】
本実施の形態の燃料電池発電システムは、凝縮熱交換器10の下流側に排熱回収温度検出器17を設けている。この燃料電池発電システムでは、排熱回収温度検出器17が測定した温度が第2の所定の温度以上となったときに、排水制御弁16を開動作させる。これにより、貯湯タンク8から冷却熱交換器に供給可能な水の温度が第1の所定温度より高くなって、排熱回収温度検出器17が測定した温度が第2の所定温度以上となったときに排水制御弁16を開いている状態に保持する。制御装置11が排水制御弁16を閉動作させる温度は、第2の所定温度以下であればよいが、頻繁な排水制御弁の開閉を抑制するためには、第2の所定温度よりある程度低い値を設定するとよい。
【0048】
本実施の形態では、システムのクールダウン中に必要に応じて外部の水源から冷水が供給されることになる。その結果、ラジエータを持たない燃料電池発電システムであるにもかかわらず、貯湯タンク8が満蓄熱になった後でもクールダウンが可能となる。また、システムのクールダウン中の排水制御弁16からの排水流量を抑制できる。
【0049】
さらに、本実施の形態の燃料電池発電システムは、排水配管53と貯湯タンク8との間に設けられた逆止機構19を有している。このため、貯湯タンク8と循環配管52との間の系に、外部の水源の水圧がかかっても、水が逆流することがない。このため、システムのクールダウン中に排水制御弁16を開動作させると、温水循環ポンプ9を動作させなくても冷水が冷却熱交換器4に導入される。これにより、システムのクールダウン中に温水循環ポンプ9を動作させる必要がなくなり、エネルギーの消費が抑制される。
【0050】
[他の実施の形態]
上述の各実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。また、各実施の形態の特徴を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1…脱硫器、2…改質器、3…複合CO変成・除去器、4…冷却熱交換器、5…燃料電池、6…蒸発器、7…温水流路切替弁、8…貯湯タンク、9…温水循環ポンプ、10…凝縮熱交換器、11…制御装置、16…排水制御弁、17…排熱回収温度検出器、18…動作温度検出器、19…逆止機構、21…燃料供給源、24…アノード極、25…カソード極、26…冷却流路、27…熱交換器、28…熱交換器、29…熱交換器、31…ブロワ、32…ブロワ、33…ブロワ、34…カソード極用空気ブロア、35…改質用水ポンプ、36…冷却水ポンプ、41…弁、42…弁、43…弁、51…給水配管、52…循環配管、53…排水配管、54…バイパス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系の原燃料から水素を生成する改質器と、
前記改質器から水素を供給されて発電する燃料電池と、
前記改質器から前記燃料電池までの流路を通過する気体を冷却する冷却熱交換器と、
外部の水源から給水される貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部から前記冷却熱交換器の低温側を経由して前記貯湯タンクに戻る循環配管と、
前記循環配管の途中に設けられた温水循環ポンプと、
前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側で前記循環配管から分岐した排水配管と、
前記排水配管に設けられた排水制御弁と、
前記燃料電池の発電停止後のクールダウン中に前記貯湯タンクから前記冷却熱交換器に供給可能な水の温度が所定温度より高いときに前記排水制御弁を開いている状態に保持する制御装置と、
を有することを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項2】
前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側に設けられた排熱回収温度検出器をさらに有し、
前記制御装置は、前記排熱回収温度検出器が測定した温度が前記所定温度より高い基準値以上のときに前記排水制御弁を開動作させるように構成されていること特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項3】
前記熱交換器の高温側の温度を検出する動作温度検出器をさらに有し、
前記制御装置は、前記動作温度検出器が測定した温度が前記所定温度より高い基準値以上のときに前記排水制御弁を開動作させるように構成されていること特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項4】
前記循環配管の前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側と前記循環配管の前記貯湯タンクの下流側かつ前記熱交換器よりも上流側とをバイパスさせるバイパス弁をさらに有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料電池発電システム。
【請求項5】
前記循環配管の前記排水配管と前記貯湯タンクとの間に設けられた逆止機構をさらに有し、
前記制御装置は、前記排水制御弁が開いているときに前記温水循環ポンプを停止させるように構成されていること特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム。
【請求項6】
炭化水素系の原燃料から水素を生成する改質器と、前記改質器から水素を供給されて発電する燃料電池と、前記改質器から前記燃料電池までの流路を通過する気体を冷却する冷却熱交換器と、外部の水源から給水される貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部から前記冷却熱交換器の低温側を経由して前記貯湯タンクに戻る循環配管と、前記循環配管の途中に設けられた温水循環ポンプと、前記冷却熱交換器よりも下流側かつ前記貯湯タンクよりも上流側で前記循環配管から分岐した排水配管と、前記排水配管に設けられた排水制御弁と、を持つ燃料電池発電システムの運転方法において、
前記燃料電池の発電停止後のクールダウン中に前記貯湯タンクから前記冷却熱交換器に供給可能な水の温度が所定温度より高いときに前記排水制御弁を開いている状態に保持する工程、
を有することを特徴とする燃料電池発電システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−182484(P2010−182484A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23572(P2009−23572)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(301060299)東芝燃料電池システム株式会社 (358)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】