説明

燃料電池装置、メンテナンス用カートリッジ及び燃料電池装置の制御手段

【課題】燃料カートリッジ内の生成物の量が満タンになったり、空になったりしても、燃料を使い切るまで燃料カートリッジを使用することができる。
【解決手段】複数のカートリッジが接続された状態で発電可能な燃料電池装置である。接続された複数のカートリッジのうち、一のカートリッジの内容物を、他のカートリッジに送る第1送り手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置、メンテナンス用カートリッジ及び燃料電池装置の制御手段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコンなどの電子機器に対して燃料電池装置を適用させる技術が開発されている。燃料電池装置を適用した電子機器であると、燃料カートリッジが交換可能に搭載されており、この燃料カートリッジから燃料電池に燃料が供給されるようになっている。また、燃料カートリッジはこれ以外にも発電に用いられる水も貯留されている。燃料カートリッジ内では、燃料と水とはそれぞれ個別に収納されている。
【0003】
ところで、発電時においては燃料と水とが化学反応することで、例えば水等の生成物が生成されるために、その生成物を燃料カートリッジ内に回収するものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−226887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、生成物の回収量は外部環境によって変化するものである。例えば、通常より高温・低湿である場合は生成物の回収量は低減し、通常より低温・多湿である場合は生成物の回収量は増加する。このため、環境によっては燃料カートリッジに燃料が残っていたとしても、燃料カートリッジ内の生成物回収部が満タンになってしまったり、生成物回収部が空になってしまうおそれがある。こうなってしまうと、これ以降は生成物を回収できなくなるために、新たな燃料カートリッジに交換しなければならず、古い燃料カートリッジに残存している燃料を使い切るまで使用することができなくなってしまう。
このような実状に鑑み、本発明の課題は、燃料カートリッジ内の生成物の量が満タンになったり、空になったりしても、燃料を使い切るまで燃料カートリッジを使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様によれば、
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置であって、
接続された前記複数のカートリッジのうち、一のカートリッジの内容物を、他のカートリッジに送る第1送り手段を備えることを特徴とする燃料電池装置が提供される。
【0006】
好ましくは、前記第1送り手段は、前記燃料電池装置の停止時に、前記一のカートリッジの内容物を、前記他のカートリッジに送る。
好ましくは、前記複数のカートリッジは、燃料及び水がそれぞれ個別に収容された燃料カートリッジと、少なくとも水が収容されたメンテナンス用カートリッジとを含み、
前記第1送り手段は、
前記燃料カートリッジ又は前記メンテナンス用カートリッジのうち一方のカートリッジ内の水を、他方のカートリッジに送る。
好ましくは、燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、
前記反応装置で生成された水を含む生成物を、前記複数のカートリッジのうち、いずれか1つのカートリッジに選択的に送る第2送り手段とを備える。
好ましくは、前記第2送り手段による送り先の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り先であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサを備える。
好ましくは、燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、
前記複数のカートリッジのうち、いずれか1つのカートリッジから前記反応装置に水を供給する供給手段とを備える。
好ましくは、前記供給手段による送り元の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り元であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサを備える。
好ましくは、前記第1送り手段の送り量を決定する上で基準となる前記燃料カートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを備える。
好ましくは、前記複数のカートリッジがそれぞれ個別に接続される複数の接続手段を備え、
前記複数の接続手段は、前記一のカートリッジ及び前記他のカートリッジのいずれとも接続可能である。
好ましくは、前記複数のカートリッジがそれぞれ個別に接続される複数の接続手段を更に備え、
前記燃料カートリッジは、
燃料を流出させる燃料流出口と、水を流出させる燃料カートリッジ用水流出口と、前記反応装置で生成された水を含む生成物が流入される燃料カートリッジ用水流入口とを備え、
前記複数の接続手段はそれぞれ、前記燃料流出口が接続される第1接続部と、前記燃料カートリッジ用水流出口が接続される第2接続部と、前記燃料カートリッジ用水流入口が接続される第3接続部とを備え、
前記メンテナンス用カートリッジは、前記第1接続部に連通しないように接続されるダミー接続部と、前記第2接続部に接続され、水を流出させるメンテナンス用流出口と、前記第3接続部に接続され、前記生成物が流入されるメンテナンス用流入口とを備える。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置に対して着脱可能であり、水が収容されることを特徴とするメンテナンス用カートリッジが提供される。
【0008】
好ましくは、前記燃料電池装置に対して接続された状態で、外部から送られた水を内部に収容するとともに、内部に収容された水を外部に送る。
好ましくは、前記複数のカートリッジは、燃料及び水がそれぞれ個別に収容された燃料カートリッジと、前記メンテナンス用カートリッジとを含み、
前記燃料電池装置は、前記燃料カートリッジの燃料流出口が接続される第1接続部と、前記燃料カートリッジの燃料カートリッジ用水流入口が接続される第2接続部と、燃料電池装置本体から送られた水を含む生成物が流入される燃料カートリッジ用水流入口が接続される第3接続部とを有する接続手段を複数備え、
前記メンテナンス用カートリッジは、前記第1接続部に連通しないように接続されるダミー接続部と、前記第2接続部に接続され、水を流出させるメンテナンス用流出口と、前記第3接続部に接続され、前記生成物が流入されるメンテナンス用流入口とを備える。
好ましくは、メンテナンス用カートリッジの内部には、
外部に供給するための水を収容する水収容袋と、前記水収容袋の外側に外部から流入した水を収容する水収容部とが設けられている。
【0009】
本発明に係る他の態様によれば、
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置の制御手段であって、
前記燃料電池装置は、供給された燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、前記反応装置で生成された水を収容する複数のカートリッジのうち一のカートリッジ内の水を他のカートリッジに送る第1送り手段とを備え、
前記燃料電池装置の停止時に、前記第1送り手段により前記一のカートリッジ内の水を、前記他のカートリッジに送る水送りステップを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段が提供される。
【0010】
好ましくは、前記反応装置で生成された水を含む生成物を複数のカートリッジのうち一のカートリッジ及び他のカートリッジ内に選択的に送る第2送り手段と、前記一のカートリッジ内の水量を検知するための水センサとを更に備え、
前記燃料電池装置の発電時に、前記水センサの検知結果に基づいて前記一のカートリッジ内の水量が満タンであると判断した場合には、前記第2送り手段による水の送り先を前記一のカートリッジから前記他のカートリッジに切り替える送り先切替ステップを実行する。
好ましくは、前記複数のカートリッジのうち、一のカートリッジ及び他のカートリッジ内の水を前記反応装置に選択的に供給する供給手段と、前記一のカートリッジ内の水量を検知するための水センサとを更に備え、
前記燃料電池装置の発電時に、前記水センサの検知結果に基づいて前記一のカートリッジ内の水量が空であると判断した場合には、前記供給手段による水の送り元を前記一のカートリッジから前記他のカートリッジに切り替える供給元切替ステップを実行する。
好ましくは、前記一のカートリッジには燃料及び水がそれぞれ個別に収容され、前記一のカートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを更に備え、
前記燃料センサで検知された前記燃料残量に基づいて、燃料の単位量あたりに生成される水量を算出する生成量算出ステップと、
前記生成量算出ステップで算出された水量に基づいて、前記第1送り手段の送り量を決定する決定ステップとを実行する。
好ましくは、前記他のカートリッジには燃料及び水がそれぞれ個別に収容され、前記他のカートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを更に備え、
前記燃料センサで検知された前記燃料残量に基づいて、燃料の単位量あたりに消費される水量を算出する消費量算出ステップと、
前記消費量算出ステップで算出された水量に基づいて、前記第1送り手段の送り量を決定する決定ステップとを実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、燃料カートリッジ内の生成物の量が満タンになったり、空になったりしても、燃料を使い切るまで燃料カートリッジ内の燃料を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
〔電子機器〕
図1は、燃料電池装置1を搭載した電子機器100の概略構成を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)を後面側からみた後面図、(c)は(a)を右側からみた右側面図である。本実施形態では、電子機器100として例えばノート型パーソナルコンピュータを例示して説明する。なお、電子機器はこれに限定されるものでなく、これ以外にもPDA、電子手帳、デジタルカメラ、携帯電話機、腕時計、レジスタ及びプロジェクタ等が挙げられる。
【0014】
図1に示すように、電子機器100は、電子機器本体110と、燃料電池部120と、カートリッジ130とを備える。
【0015】
電子機器本体110は、キーボードを備え付けた下筐体111と、液晶ディスプレイを備え付けた上筐体112とを備える。上筐体112は下筐体111にヒンジ113により結合されており、上筐体112を下筐体111に重ねてキーボードに液晶ディスプレイを相対させた状態で電子機器本体110を折り畳むことができるように構成されている。下筐体111には、燃料電池装置1が内蔵された燃料電池部120がヒンジ113よりも後方に一体的に設けられている。
【0016】
燃料電池部120は燃料電池装置1を内部に収容する筐体を備え、この筐体には、複数のカートリッジ130がそれぞれ個別に接続される一対の接続部121A,121Bが左右対称となるように設けられている。また、一対の接続部121A,121Bの間における上面には、第1LED122及び第2LED123が配置されている。第1LED122及び第2LED123は、一対の接続部121A,121Bにそれぞれ接続された各カートリッジ130の状態を報知するものである。
【0017】
接続部121A,121Bは、カートリッジ130を収納できるように凹部124A,124Bをそれぞれ有している。凹部124A,124Bは、上面、後面及び側面が開放されている。凹部124A,124Bの底部には、カートリッジ130の着脱を案内するためのガイド溝125A,125Bがそれぞれ幅方向に沿って設けられている。また、ガイド溝125A,125Bによって案内されたカートリッジ130の先端部が接触する部分には、カートリッジ130が接続されるカートリッジI/F126A,126B(図2,3参照)がそれぞれ設けられている。
【0018】
ここで、接続部121A,121Bと、カートリッジ130との接続構造について説明する。
まずカートリッジ130について説明する。カートリッジ130には、燃料及び水がそれぞれ個別に収容された燃料カートリッジ130aと、水が収容されたメンテナンス用カートリッジ130bとが用いられている。
【0019】
図2は燃料カートリッジ130aの概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のIIB−IIB断面図である。この図2に示すように燃料カートリッジ130aは、中空のケース131と、ケース131に内蔵されて燃料を収容する燃料袋132とを備える。燃料袋132は可撓性を有し、内部に収容する燃料の量に応じて変形する。ケース131内における燃料袋132以外の領域が水の収容領域133となる。
【0020】
ケース131の一端部には、燃料を流出させる燃料流出口134と、水を流出させる燃料カートリッジ用水流出口135と、燃料電池装置1から送られた水を含む生成物が流入される燃料カートリッジ用水流入口136とが設けられている。
【0021】
燃料流出口134、燃料カートリッジ用水流出口135及び燃料カートリッジ用水流入口136は、弾性体から形成されていて、その中央部には通常自らの弾性復帰力により封止されている貫通孔(図示省略)がケース131の外部と内部を連通するように長手方向に沿って形成されている。
【0022】
燃料流出口134は燃料袋132と連通している。燃料カートリッジ用水流出口135及び燃料カートリッジ用水流入口136は収容領域133と連通している。ここで、燃料カートリッジ用水流出口135にはフィルタ137(図4参照)が設けられているため、収容領域133内の水は、燃料カートリッジ用水流出口135からフィルタ137を介して外部に流出することになる。
【0023】
ケース131の上部には、燃料カートリッジ用水流入口136から収容領域133までを結ぶ冷却流路138が設けられている。冷却流路138は、熱伝導率の高い金属(例えばアルミニウム等)により形成されている。また、冷却流路138は、蛇行形状に形成されている。これにより、冷却流路138に流入した生成物を効率的に冷却することができ、生成物に含まれた水蒸気を液化することができる。
【0024】
ケース131の他端部における上部には、液化しなかった生成物を外部に放出するための気液分離膜139が設けられている。また、ケース131の他端部における下部には、接続部121A,121Bの各ガイド溝125A,125Bに係合するガイド片140が設けられている。
【0025】
図3はメンテナンス用カートリッジ130bの概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のIIIB−IIIB断面図である。なお、メンテナンス用カートリッジ130bは、燃料カートリッジ130aと基本的な構造は同じであるため、同一部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0026】
メンテナンス用カートリッジ130bのケース131には、水を収容する水収容袋142が内蔵されている。水収容袋142は可撓性を有し、内部に収容する水の量に応じて変形する。ケース131内における水収容袋142以外の領域が、生成物から抽出された水の収容領域143となる。
【0027】
ケース131の一端部には、ダミー接続部144と、水を流出させるメンテナンス用流出口145と、生成物が流入されるメンテナンス用流入口146とが設けられている。
【0028】
メンテナンス用カートリッジ130bのケース131におけるダミー接続部144が配置された位置は、燃料カートリッジ130aのケース131における燃料流出口134が配置された位置と同位置である。同様に、メンテナンス用カートリッジ130bのケース131におけるメンテナンス用流出口145及びメンテナンス用流入口146がそれぞれ配置された位置は、燃料カートリッジ130aのケース131における燃料カートリッジ用水流出口135及び燃料カートリッジ用水流入口136がそれぞれ配置された位置と同位置である。
【0029】
また、メンテナンス用流出口145及びメンテナンス用流入口146は、弾性体から形成されていて、その中央部には通常自らの弾性復帰力により封止されている貫通孔(図示省略)がケース131の外部と内部を連通するように長手方向に沿って形成されている。一方、ダミー接続部144は、弾性体から形成されていて、その中央部には貫通していない穴(図示省略)がケース131の外部に連通するように長手方向に沿って形成されている。
【0030】
メンテナンス用流出口145は、水収容袋142に連通している。一方、メンテナンス用水流入口146は冷却流路138を介して収容領域143に連通している。
【0031】
接続部121A,121Bの各カートリッジI/F126A,126Bには、図2,3に示すように、燃料流出口134若しくはダミー接続部144が接続される第1接続部126aと、燃料カートリッジ用水流出口135若しくはメンテナンス用流出口145が接続される第2接続部126bと、燃料カートリッジ用水流入口136若しくはメンテナンス用流入口146が接続される第3接続部126cとが、それぞれ設けられている。第1接続部126a、第2接続部126b、第3接続部126cは、所定の剛性を有する細い管状の部材である。
【0032】
第2接続部126bは、燃料カートリッジ用水流出口135若しくはメンテナンス用流出口145に接続されると貫通孔内に進入し封止を解除する。同様に、第3接続部126cは燃料カートリッジ用水流入口136若しくはメンテナンス用流入口146が接続されると貫通孔内に進入し封止を解除する。さらに、第1接続部126aも、燃料流出口134に接続されると貫通孔内に進入し封止を解除する。なお、ダミー接続部144は、第1接続部126aが進入する方向に沿った長さが、第1接続部126aよりも長いため、第1接続部126aがダミー接続部144に接続された場合には封止は解除できず穴内に進入するのみである。
【0033】
図4は燃料電池装置1を搭載した電子機器100を示すブロック図である。
【0034】
図4に示すように、燃料電池部120は、DC/DCコンバータ902、二次電池903、制御部70等と、燃料電池装置1とを備える。
電子機器本体110はDC/DCコンバータ902または二次電池903により供給される電力により駆動する。DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器本体110に供給する。また、DC/DCコンバータ902は燃料電池装置1により生成された電気エネルギーを二次電池903に充電し、燃料電池装置1が動作していない時に、二次電池903に蓄電された電気エネルギーを電子機器本体110に供給する。
【0035】
燃料電池装置1は、反応装置10と、複数のカートリッジ130,130から反応装置10に原燃料及び水を供給したり、反応装置10で生成された生成物を回収してカートリッジ130に送ったりする供給回収部30と、反応装置10に空気を供給する空気供給部90とを有する。
【0036】
反応装置10は、図示しない断熱容器と、断熱容器の内部に収容された第1蒸発器11、第2蒸発器12、改質器13、発電セル14、触媒燃焼器15、第1熱交換器21、第2熱交換器22及び第3熱交換器23といった複数の反応器とを含む。断熱容器は、複数の反応器で生じた熱量が断熱容器の外部に伝導しにくい構造となっている。例えば、断熱容器内が内部空間が大気圧より低い低気圧(例えば、10Pa以下)に保たれている。また、断熱容器の壁部材が低気圧に保たれた内部空間を有し、この壁部材により断熱容器を形成してもよい。
第1蒸発器11、第2蒸発器12、改質器13、発電セル14には、それぞれ電気ヒーター兼温度センサ11a,12a,13a,14aが設けられている。電気ヒーター兼温度センサ11a,12a,13a,14aの電気抵抗値は温度に依存するので、この電気ヒーター兼温度センサ11a,12a,13a,14aが第1蒸発器11、第2蒸発器12、改質器13、発電セル14の温度を測定する温度センサとしても機能する。
【0037】
第3熱交換器23は、発電セル14で生成された生成物、空気供給部90から供給された空気、供給回収部30から供給された水及び原燃料が通過するものである。これらの通過時に、生成物と、空気、水及び原燃料との間で熱交換が行われることによって、生成物が降温される一方で、空気、水及び原燃料がそれぞれ昇温される。
【0038】
第1蒸発器11は、供給回収部30から第3熱交換器23を介して供給された水を、発電セル14からの伝熱により気化して、第2熱交換器22に送るようになっている。
【0039】
第2蒸発器12は、供給回収部30から第3熱交換器23を介して供給された原燃料を、発電セル14からの伝熱により気化して、第2熱交換器22に送るようになっている。
【0040】
第2熱交換器22は、発電セル14で生成された生成物、第3熱交換器23を通過した空気、第1蒸発器11から送られた水蒸気及び第2蒸発器12から送られた気化燃料が通過するものである。これらの通過時に、生成物と、空気、水蒸気及び気化燃料との間で熱交換が行われることによって、生成物が降温される一方で、空気、水蒸気及び気化燃料がそれぞれ昇温される。また、第2熱交換器22を通過することで、水蒸気と気化燃料が混ざり混合気が生成される。
【0041】
改質器13の内部には流路が形成され、その流路の壁面に触媒が担持されている。改質器13に送られた混合気は、改質器13の流路を流れ、電気ヒーター兼温度センサ13aの熱及び発電セル14からの伝熱により約300〜400℃程度に加熱されて、触媒により改質反応を起こす。気化燃料と水蒸気の改質反応によって水素、二酸化炭素及び副生成物である微量な一酸化炭素等を含む混合気体(改質ガス)が生成される。なお、原燃料がメタノールの場合、改質器13では主に次式(1)に示すような水蒸気改質反応が起こる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 …(1)
【0042】
一酸化炭素は化学反応式(1)についで逐次的に起こる次式(2)のような式によって微量に副生される。
2+CO2→H2O+CO …(2)
化学反応式(1),(2)により生成した改質ガスは第1熱交換器21に送られる。
【0043】
第1熱交換器21は、発電セル14で生成された生成物、空気供給部90から供給された空気、改質器13から送られた改質ガスが通過するものである。これらが通過する際時に、生成物と、空気及び改質ガスとの間で熱交換が行われることによって、生成物が降温される一方で、空気及び改質ガスがそれぞれ昇温される。
【0044】
発電セル14は、固体酸化物型電解質と、固体酸化物型電解質の両面に形成された燃料極(アノード)及び空気極(カソード)と、燃料極に接合してその接合面に流路を形成したアノード集電極と、空気極に接合してその接合面に流路を形成したカソード集電極とを備える。
【0045】
固体酸化物型電解質には、ジルコニア系の(Zr1−x)O2−x/2(YSZ)等が用いられる。空気極にはLa1−xSrMnO(LSM)やLa1−xSrCoO(LSC)等が用いられる。燃料極にはNi+YSZ等を用いる。アノード集電極及びカソード集電極にはLaCr(Mg)O、(La,Sr)CrO、NiAl+Al等が用いられる。
【0046】
発電セル14は電気ヒーター兼温度センサ14aや触媒燃焼器15の熱により約500〜1000℃程度に加熱され、後述する反応が起こる。
【0047】
空気極にはカソード集電極の流路を介して空気が送られる。空気極では酸素とカソード出力電極より供給される電子により、次式(3)に示すように酸素イオンが生成される。
【0048】
+4e→2O …(3)
【0049】
固体酸化物型電解質は酸素イオンの透過性を有し、空気極で化学反応式(3)により生成された酸素イオンを透過させて燃料極に到達させる。
燃料極にはアノード集電極の流路を介して第1熱交換器21から改質ガスが送られる。空気極では固体酸化物型電解質を透過した酸素イオンと改質ガスとの次式(4)、(5)のような反応が起こる。
【0050】
+O→HO+2e …(4)
CO+O→CO+2e …(5)
【0051】
化学反応式(4)、(5)により放出される電子は、燃料極、アノード出力電極、DC/DCコンバータ902等の外部回路を経てカソード出力電極より空気極に供給される。
【0052】
アノード集電極及びカソード集電極には、アノード出力電極、カソード出力電極が接続されている。アノード出力電極及びカソード出力電極は、例えばDC/DCコンバータ902に接続される。
【0053】
アノード集電極の流路を通過した改質ガス(オフガス)には、未反応の水素も含まれている。オフガスは触媒燃焼器15に供給される。
【0054】
触媒燃焼器15には、オフガスとともに、カソード集電極の流路を通過した空気が供給される。触媒燃焼器15の内部には流路が形成され、その流路の壁面にPt系の触媒が担持されている。
【0055】
オフガスと空気の混合気体(燃焼ガス)は触媒燃焼器15の流路を流れる。触媒燃焼器15の流路を流れている燃焼ガスのうち水素、一酸化炭素、燃料などの可燃性ガスが触媒により燃焼され、これにより燃焼熱が発生する。燃焼後の生成物は、触媒燃焼器15から第1熱交換器21、第2熱交換器22及び第3熱交換器23を通過して反応装置10の外部に放出される。この生成物は、水蒸気を含む。
【0056】
この触媒燃焼器15で発生した燃焼熱は発電セル14の温度を高温(約500〜1000℃程度)に維持するのに用いられる。
【0057】
供給回収部30は、燃料供給部31と、水送り部41とを備える。
燃料供給部31は、第1燃料ポンプ311、第2燃料ポンプ312、逆止弁32,33、第1バルブ35、第1流量計36、及び逆止弁37を含み、これらの間は配管によって接続されている。
【0058】
燃料供給部31は、一対の接続部121A,121Bのうちいずれか一方に接続された燃料カートリッジ130aから反応装置10まで燃料を供給するものである。燃料供給部31は、カートリッジI/F126A,126Bの各第1接続部126aを最上流とし、反応装置10を最下流としている。燃料供給部31には、一対の接続部121A,121Bのうち、一方の接続部121Aに燃料カートリッジ130aが接続された場合に、接続された燃料カートリッジ130aから燃料を送り出す第1燃料ポンプ311と、他方の接続部121Bに燃料カートリッジ130aが接続された場合に、接続された燃料カートリッジ130aから燃料を送り出す第2燃料ポンプ312とが設けられている。
第1燃料ポンプ311及び第2燃料ポンプ312それぞれの下流側には、逆止弁32,33が配設されている。そして逆止弁32,33の下流側には合流点34が設けられていて、その合流点34以降、第1バルブ35、第1流量計36及び逆止弁37を介して、反応装置10に接続されている。
【0059】
一方の接続部121Aに燃料カートリッジ130aが接続された場合、第1バルブ35が開状態で、第1燃料ポンプ311が駆動すると、燃料カートリッジ130aから反応装置10に燃料が供給されることになる。また、他方の接続部121Bに燃料カートリッジ130aが接続された場合、第1バルブ35が開状態で、第2燃料ポンプ312が駆動すると、燃料カートリッジ130aから反応装置10に燃料が供給されることになる。つまり、燃料供給部31は、複数の接続部121A,121Bに接続された複数のカートリッジ130のうち、いずれか1つのカートリッジ130から反応装置10に、水を供給する供給手段である。
【0060】
水送り部41は、水供給部42、水回収部50及び切替部60を備える。
水供給部42は、第1水ポンプ411、第2水ポンプ412、逆止弁42,43、第2流量計45、第2バルブ46、及び逆止弁47を含み、これらの間は配管によって接続されている。水回収部50は、第3バルブ55、第4バルブ56、圧力センサ53、冷却器52、及び逆止弁51を含み、これらの間は配管によって接続されている。
【0061】
水供給部42は、一対の接続部121A,121Bのうちいずれか一方に接続されたカートリッジ130(燃料カートリッジ130a又はメンテナンス用カートリッジ130b)から反応装置10まで水を供給するものである。水供給部42は、カートリッジI/F126A,126Bの各第2接続部126bを最上流とし、反応装置10を最下流としている。水供給部42には、一対の接続部121A,121Bのうち、一方の接続部121Aに燃料カートリッジ130a又はメンテナンス用カートリッジ130bのうちいずれか一方が接続された場合に、接続されたカートリッジ130から水を送り出す第1水ポンプ411と、他方の接続部121Bに燃料カートリッジ130a又はメンテナンス用カートリッジ130bのうちいずれか他方が接続された場合に、接続されたカートリッジ130から水を送り出す第2水ポンプ412とが設けられている。
第1水ポンプ411及び第2水ポンプ412それぞれの下流側には、逆止弁43が配設されている。そして逆止弁43の下流側には合流点44が設けられていて、その合流点34以降、第2流量計45、第2バルブ46及び逆止弁47を介して、反応装置10に接続されている。
【0062】
水回収部50は、反応装置10から排出された生成物を、一対の接続部121A,121Bのいずれかに接続されたカートリッジ130(燃料カートリッジ130a又はメンテナンス用カートリッジ130b)に回収させるものである。水回収部50は、反応装置10を最上流とし、カートリッジI/F126A,126Bの各第3接続部126cを最下流としている。水回収部50には、反応装置10側から順に、逆止弁51、冷却器52、圧力センサ53が配設されている。圧力センサ53の下流側には分岐点54が設けられている。一方の分岐路は第3バルブ55を介して一対の接続部121A,121Bのうち一方の接続部121Aに接続されている。また、他方の分岐路は第4バルブ56を介して一対の接続部121A,121Bのうち他方の接続部121Bに接続されている。第3バルブ55が開状態、第4バルブ56が閉状態であると、反応装置10で排出された生成物は、一対の接続部121A,121Bのうち一方に接続されたカートリッジ130に送られることになる。第3バルブ55が閉状態、第4バルブ56が開状態であると、反応装置10で排出された生成物は、一対の接続部121A,121Bのうち他方に接続されたカートリッジ130に送られることになる。つまり、水回収部50は、反応装置10から一対の接続部121A,121Bに接続された複数のカートリッジ130のうち、いずれか1つのカートリッジ130に、生成物を選択的に送る第2送り手段である。
【0063】
切替部60は、水供給部42による水の送り先を、反応装置10から水回収部50に切り替えるためのものである。切替部60は、水供給部42の第2流量計45の直下流を最上流とし、水回収部50の分岐点54を最下流としている。切替部60には第5バルブ61が配設されている。
第2バルブ46が閉状態となって、第5バルブ61が開状態となると、水供給部42の送り先が、反応装置10から水回収部50に切り替わることになる。この状態で、第3バルブ55が閉状態、第4バルブ56が開状態、第1水ポンプ411が駆動すると、一方の接続部121Aに接続されたカートリッジ130から他方の接続部121Bに接続されたカートリッジ130に水が供給される。同様に、第3バルブ55が開状態、第4バルブ56が閉状態、第2水ポンプ412が駆動すると、他方の接続部121Bに接続されたカートリッジ130から一方の接続部121Aに接続されたカートリッジ130に水が供給される。
つまり、第5バルブを含む切替部60と、第1水ポンプ411、第2水ポンプ412、第2バルブ46、第3バルブ55、及び第4バルブ56とが、複数のカートリッジ130のうち、一のカートリッジ130の内容物を、他のカートリッジ130に送る第1送り手段である。
【0064】
空気供給部90は、外部の空気を反応装置10に供給するものである。空気供給部90には、外部の空気をフィルター91を介して送り出す空気ポンプ92、空気流量を調整する可変バルブ93、第3流量計94及び逆止弁95が設けられている。
【0065】
制御部70は、I/F71を介して電子機器本体110に電気的に接続されている。また、制御部70は、DC/CDコンバーター、第1LED122、第2LED123、電気ヒーター兼温度計11a,12a,13a,14a、第1燃料ポンプ311、第2燃料ポンプ312、第1水ポンプ411、第2水ポンプ412、空気ポンプ92、第1バルブ35、第2バルブ46、第3バルブ55、第4バルブ56、第5バルブ61、可変バルブ93、第1流量計36、第2流量計45、第3流量計94、圧力センサ53に電気的に接続されていて、これらを制御するようになっている。図4では、簡略化のため、制御部70と、電気ヒーター兼温度計11a,12a,13a,14a、第1燃料ポンプ311、第2燃料ポンプ312、第1水ポンプ411、第2水ポンプ412、空気ポンプ92、第1バルブ35、第2バルブ46、第3バルブ55、第4バルブ56、第5バルブ61、可変バルブ93、第1流量計36、第2流量計45、第3流量計94、及び圧力センサ53との電気的接続を示す実線を不図示とした。
【0066】
制御部70は、一方の接続部121Aに接続された燃料カートリッジ130aから燃料を供給する場合には、第1バルブ35、第2バルブ46及び第3バルブ55を開状態とし、第4バルブ56及び第5バルブ61を閉状態として、第1燃料ポンプ311及び第1水ポンプ411を駆動する。これにより、一方の接続部121Aに接続された燃料カートリッジ130a内の燃料と水は、反応装置10に送られる。また、反応装置10で発生した生成物は、一方の接続部121Aに接続された燃料カートリッジ130aに送られる。この状態を第1供給状態と称す。
【0067】
また、他方の接続部121Bに接続された燃料カートリッジが130aから燃料を供給する場合には、第1バルブ35及び第2バルブ46及び第4バルブ56を開状態とし、第3バルブ55及び第5バルブを閉状態として、第2燃料ポンプ312及び第2水ポンプ412を駆動する。これにより、他方の接続部121Bに接続された燃料カートリッジ130a内の燃料と水は、反応装置10に送られる。また、反応装置10で発生した生成物は、他方の接続部121Bに接続された燃料カートリッジ130aに送られる。この状態を第2供給状態と称す。
【0068】
いずれの供給状態でも、制御部70は、第1流量計36の検知結果を積算することで燃料供給中の燃料カートリッジ130aの燃料残量を概算で検知している。また、制御部70は、駆動中の燃料ポンプ311,312の電圧と周波数を一定以上にしても流量が確保できなくなると、燃料を使い切ったと判断する。
制御部70は、燃料を使い切ったと判断すると、その判断を行った時点に燃料電池装置1が第1供給状態であれば第2供給状態に切り替え、燃料電池装置1が第2供給状態であれば第1供給状態に切り替える。
【0069】
また、制御部70は、いずれの供給状態でも、圧力センサ53の検知結果から燃料カートリッジ130a内の水量を検知している。具体的には、圧力センサ53の検知結果が所定値を上回ったら、制御部70は燃料カートリッジ130a内の水量が満タンとなったと検知する。制御部70は、水量の満タンを検知し、なおかつ燃料カートリッジ130aの燃料残量が空でない場合には、水の送り先を切り替えることを決定する。つまり、圧力センサ53が、第2送り手段による送り先の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り先であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサである。
【0070】
なお、以下の説明では、図5〜8に基づいて、一方の接続部121Aに燃料カートリッジ130aが接続され、他方の接続部121Bにメンテナンス用カートリッジ130bが接続される場合を例示する。
【0071】
まず、制御部70は、他方の接続部121Bにメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、第2LED123を点滅させる。ここで、図5〜8では、第2LED123を破線で示したが、これは第2LEDが点滅していることを示す。そして、制御部70は、送り先を切り替えることを決定すると、第1LED122を点灯させたり、電子機器本体110の液晶ディスプレイに所定の表示を行ったりすることで、他方の接続部121に接続された燃料カートリッジ130aをメンテナンス用カートリッジ130bに交換することをユーザに促す(交換報知)。この交換報知とともに、制御部70は、燃料供給中の燃料カートリッジ130aの水が満タンである旨と、電子機器100を停止するか否かを促す旨との表示を液晶ディスプレイに表示させる。
【0072】
下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止せず継続して使用する旨が入力されると、制御部70は、第2燃料ポンプ312及び第2水ポンプ412を停止して、メンテナンス用カートリッジ130bを交換することを促す旨の表示を液晶ディスプレイに表示させる。そして、他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は生成物の送り先のみを切り替える。具体的には、制御部70は、生成物の送り先がメンテナンス用カートリッジ130bとなるように、第1供給状態に対して、第3バルブ55を閉状態、第4バルブ56を開状態にする(図5の点線L1参照)。この状態を第3供給状態と称す。
【0073】
一方、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は発電を停止した後に、燃料カートリッジ130a内の水の送り先を切り替える。具体的には、制御部70は、燃料カートリッジ130a内の水の送り先がメンテナンス用カートリッジ130bとなるように、第1供給状態に対して、第1燃料ポンプ311を停止して、第2バルブ46及び第3バルブ55を閉状態、第4バルブ56及び第5バルブ61を開状態にする(図6の線L2参照)。この状態を第4供給状態と称す。
【0074】
第4供給状態では、燃料カートリッジ130a内に残った燃料で再度発電した場合に生成されると予想される、燃料残量に対応した分量だけ、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに水を送る。水の送り量は以下の式(1)〜(3)により算出される。
【0075】
既発生水量=燃料カートリッジ容積−燃料残量−初期水量−燃料袋体積・・・(1)
予想発生水量=既発生水量/(初期燃料残量−燃料残量)×燃料残量・・・(2)
送り量=予想発生水量×(1+α)・・・(3)
なお、αは、0〜1の値に設定された安全係数である。
燃料残量は、上述したように第1流量計36の検知結果を積算することで求められている。つまり、第1流量計36が、水量を決定する上で基準となる燃料カートリッジ130a内の燃料残量を検知するための燃料センサである。
また、式(2)の算出工程は発生量算出ステップであり、式(3)の算出工程は決定ステップである。
【0076】
制御部70は、第4供給状態の際に、第2流量計45の検知結果が水の送り量となると、第1水ポンプ411を停止し、第2バルブ46及び第3バルブ55を開状態、第4バルブ56及び第5バルブ61を閉状態にして、再度、第1供給状態に切り替える。これにより、制御部70は、電子機器100の運転状態や二次電池903の充電量等の諸条件に応じて、発電を再開することができる。このように、燃料電池装置1は、燃料カートリッジ130aに残った燃料及び水を用いて発電することが可能となる。
【0077】
このように、残っている燃料で今後発生するであろう水の量を予測してその分だけ送るようにすると、大抵の場合、送る水の量が僅かであるため、1つのメンテナンス用カートリッジ130bを繰り返し利用することが可能である。
【0078】
また、通常の外部環境下で使用を続けた場合には、予め燃料袋132に収容された燃料を使い切るまでに、燃料カートリッジ130aの水の収容領域が満タンにならないように、
これらの容積が設計される。一方、燃料カートリッジ130aの水の収容領域が満タンになってしまう場合には、燃料電池装置1が動作するときに、水が多く生成されやすい外部環境下で動作している可能性が高い。このため、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに水を送る際には、上式(3)に示すように、予想発生水量よりも多くの水を送ることが望ましい。
【0079】
また、外部環境が通常よりも高温であったり、低湿度である場合には、燃料よりも先に水がなくなってしまうこともある。これを判定すべく、制御部70は、いずれの供給状態でも、第2流量計45の検知結果から燃料カートリッジ130a内の水量が空になったか否かを検知している。具体的には、第2流量計45の検知結果が所定の流量を下回っている場合には、制御部70は燃料カートリッジ130a内の水量が空となったと検知する。制御部70は、水量の空を検知し、なおかつ燃料カートリッジ130aの燃料残量が空でない場合には、水の送り元を切り替えることを決定する。つまり、第2流量計45が、供給手段による送り元の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り元であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサである。
【0080】
制御部70は、送り元を切り替えることを決定すると、第1LED122を点灯させたり、電子機器本体110の液晶ディスプレイに所定の表示を行ったりすることで、他方の接続部121に接続された燃料カートリッジ130aをメンテナンス用カートリッジ130bに交換することをユーザに促す(交換報知)。この交換報知とともに、制御部70は、燃料供給中の燃料カートリッジ130aの水が空である旨と、電子機器100を停止するか否かを促す旨との表示を液晶ディスプレイに表示させる。
【0081】
下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止せず継続して使用する旨が入力されると、制御部70は、第2燃料ポンプ312及び第2水ポンプ412を停止して、メンテナンス用カートリッジ130bを交換することを促す旨の表示を液晶ディスプレイに表示させる。そして、他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は水の送り元を切り替える。具体的には、制御部70は、水の送り元がメンテナンス用カートリッジ130bとなるように、第1供給状態に対して、第1水ポンプ411を停止するとともに、第2水ポンプ412を駆動する(図7の点線L3参照)。この状態を第5供給状態と称す。
【0082】
一方、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は発電を停止した後に、メンテナンス用カートリッジ130b内の水の送り先を切り替える。具体的には、制御部70は、メンテナンス用カートリッジ130b内の水の送り先が燃料カートリッジ130aとなるように、第1供給状態に対して、第1燃料ポンプ311及び第1水ポンプ411を停止して、第2バルブ46及び第4バルブ56を閉状態、第3バルブ55及び第5バルブ61を開状態し、その後第2水ポンプ412を駆動する(図8の線L4参照)。この状態を第6供給状態と称す。
【0083】
第6供給状態では、燃料カートリッジ130a内に残った燃料で再度発電した場合に必要と予想される、燃料残量に対応した分量だけ、メンテナンス用カートリッジ130bから燃料カートリッジ130aに水を送る。水の送り量は以下の式(4)〜(6)により算出される。
【0084】
既消費水量=初期水量−β・・・(4)
予想消費水量=既消費水量/(初期燃料残量−燃料残量)×燃料残量・・・(5)
送り量=予想消費水量×(1+α)・・・(6)
なお、αは0〜1の値に設定された安全係数である。βは、設計上燃料カートリッジ130a内に残ってしまう使い切れない水の量である。
また、式(5)の算出工程は消費量算出ステップであり、式(6)の算出工程は決定ステップである。
【0085】
制御部70は、第6供給状態の際に、第2流量計45の検知結果が水の送り量となると、第2水ポンプ412を停止し、再度、第2バルブ46及び第4バルブ56を開状態、第3バルブ55及び第5バルブ61を閉状態にして、第1供給状態に切り替える。これにより、制御部70は、電子機器100の運転状態や二次電池903の充電量等の諸条件に応じて、発電を再開することができる。このように、燃料電池装置1は、燃料カートリッジ130aに残った燃料及び水を用いて発電することが可能となる。
【0086】
このように、残っている燃料で今後必要であろう水の量を予測してその分だけ送るようにすると、大抵の場合、送る水の量が僅かであるため、1つのメンテナンス用カートリッジ130bを繰り返し利用することが可能である。
【0087】
また、通常の外部環境下で使用を続けた場合には、予め燃料袋132に収容された燃料を使い切るまでに、燃料カートリッジ130aの水の収容領域が空にならないように、
これらの容積が設計される。一方、燃料カートリッジ130aの水の収容領域が空になってしまう場合には、燃料電池装置1が動作するときに、水が生成されにくい外部環境下で動作している可能性が高い。このため、メンテナンス用カートリッジ130bから燃料カートリッジ130aに水を送る際には、上式(6)に示すように、予想消費水量よりも多くの水を送ることが望ましい。
【0088】
なお、燃料供給時においては、制御部70は空気ポンプ92を駆動して、可変バルブ93により空気流量を所定量に調整しながら、反応装置10に空気を送っている。
【0089】
次に本実施形態の作用について説明する。
通常の発電時においては、制御部70は、第1供給状態若しくは第2供給状態にするとともに、空気ポンプ92を駆動して、反応装置10に燃料、水、空気を送って発電を行わせる。
【0090】
発電中に、燃料供給中の燃料カートリッジ130aの収容領域133の水量が満タンであることを検知し、なおかつ燃料カートリッジ130aの燃料残量が空でないことを検知すると、制御部70は、水の送り先を燃料カートリッジ130aから他のカートリッジ130に切り替えることを決定する。送り先を切り替えることを決定すると、制御部70は交換報知を実行する。
【0091】
交換報知後、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止せず継続して使用する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は第1供給状態から第3供給状態に切り替えることで、生成物の送り先を、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに切り替える(送り先切替ステップ)。
【0092】
一方、交換報知後、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は第1供給状態から第4供給状態に切り替えることで、発電を停止した後に、燃料カートリッジ130a内の水の送り先を、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに切り替える(水送りステップ)。
【0093】
発電中に、燃料供給中の燃料カートリッジ130aの収容領域133の水量が空であることを検知し、なおかつ燃料カートリッジ130aの燃料残量が空でないことを検知すると、制御部70は、水の送り元を燃料カートリッジ130aから他のカートリッジ130に切り替えることを決定する。送り元を切り替えることを決定すると、制御部70は交換報知を実行する。
【0094】
交換報知後、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止せず継続して使用する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は第1供給状態から第5供給状態に切り替えることで、水の送り元を、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに切り替える(送り元切替ステップ)。
【0095】
一方、交換報知後、下筐体111のキーボードから、電子機器100を停止する旨が入力され、なおかつ他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bが接続されると、制御部70は第1供給状態から第6供給状態に切り替えることで、発電を停止した後に、燃料カートリッジ130aに対する水の送り元を、燃料カートリッジ130aからメンテナンス用カートリッジ130bに切り替える(水送りステップ)。
【0096】
以上のように、本実施形態によれば、一のカートリッジ130の収容領域133が水で満タンとなった場合に、一のカートリッジ130の収容領域133内の水を他のカートリッジ130であるメンテナンス用カートリッジ130bの収容領域143に送ることができる。このため、一のカートリッジ130である燃料カートリッジ130aに燃料が残存しているにもかかわらず、収容領域133が水で満タンとなった場合には、メンテナンス用カートリッジ130bに水を送って、そのまま燃料カートリッジ130aの燃料を発電に用いることができる。したがって、燃料カートリッジ130aの収容領域133が水で満タンとなった後も、燃料を使い切るまで燃料カートリッジ130aを使用することが可能になる。
【0097】
また、一のカートリッジ130の収容領域133の水が空となった場合に、他のカートリッジ130であるメンテナンス用カートリッジ130bの水収容袋142内の水を一のカートリッジ130に送ることができる。このため、一のカートリッジ130である燃料カートリッジ130aに燃料が残存しているにもかかわらず、収容領域133の水が空となった場合には、メンテナンス用カートリッジ130bから水を送って、そのまま燃料カートリッジ130aの燃料を発電に用いることができる。したがって、燃料カートリッジ130aの収容領域133の水が空となった後も、燃料を使い切るまで燃料カートリッジ130aを使用することが可能になる。
【0098】
このように、カートリッジ130は、燃料カートリッジ130a又はメンテナンス用カートリッジ130bであるので、燃料カートリッジ130aの収容領域133内の水が空になった場合には、メンテナンス用カートリッジ130bの水収容袋142内の水を燃料カートリッジ130aの収容領域133に送って補充することができる。また、燃料カートリッジ130aの収容領域133内の水が満タンになった場合には、燃料カートリッジ130aの収容領域133内の水をメンテナンス用カートリッジ130bの収容領域143に送って抜き取ることもできる。
【0099】
反応装置10で生成された水を含む生成物は、いずれか1つのカートリッジ130に選択的に送られるので、水が満タンでないメンテナンス用カートリッジ130bに生成物を送ることができる。
【0100】
圧力センサ53の検知結果に基づいて、水の送り先の切り替えタイミングが決定されているので、送り先を自動で切り替えることが可能となる。
複数のカートリッジのうち、いずれか1つのカートリッジから水が供給されるので、水が空のカートリッジ130があったとしても、他のカートリッジ130から水を反応装置10に供給することが可能となる。
【0101】
第2流量計45の検知結果に基づいて、水の送り元の切り替えタイミングが決定されているので、送り元を自動で切り替えることが可能となる。
【0102】
第1流量計36の検知結果に基づいて燃料カートリッジ130a内の燃料残量を検知して、燃料残量から水の送り量が決定されているので、燃料カートリッジ130aに残存する燃料に適した送り量を決定することができる。
【0103】
接続部121には、燃料カートリッジ130a及びメンテナンス用カートリッジ130bが接続可能であるので、燃料カートリッジ130a及びメンテナンス用カートリッジ130bの構造を共通化することができる。構造が共通であるので、カートリッジ130の燃料袋132に燃料を収容することにより燃料カートリッジ130aとし、カートリッジ130の水収容袋142に水を収容することによりメンテナンス用カートリッジ130bとすることができる。
また、メンテナンス用カートリッジ130bには、ダミー接続部144が第1接続部126aと連通しないように設けられているので、第1燃料ポンプ311及び第2燃料ポンプ312によって反応装置10に水が送られたり、メンテナンス用カートリッジ130bに燃料が流入することが防止されている。
【0104】
また、メンテナンス用カートリッジ130bは、外部から送られた水を内部に収容するとともに、内部に収容された水を外部に送ることが可能であるために、発電に用いられる水を反応装置10に供給するだけでなく、反応装置10で生成された水も収容することができる。
そして、メンテナンス用カートリッジ130bのケース131内部には、外部に供給するための水を収容する水収容袋142と、水収容袋142の外側で外部から流入した水を収容する収容領域143とが設けられているので、発電用の水と、生成物である水とが混在してしまうことを防止することができる。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、発電セル14として固体酸化物型燃料電池を例示して説明したが、固体高分子型燃料電池であってもよい。
また、水センサや燃料センサに専用のセンサを用いることも可能である。
【0106】
本実施形態では、他方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130bを接続する場合を例示して説明したが、一方の接続部121にメンテナンス用カートリッジ130b、他方の接続部121に燃料カートリッジ130aを接続することも可能である。
また、接続部121は、3箇所以上であっても構わない。
【0107】
また、本実施形態では、メンテナンス用カートリッジ130b内に、水収容袋142と、収容領域143とが個別に設けられていて、発電用の水と、生成物である水とが別々に収容される場合を例示して説明したが、図9に示すように水収容袋142を省略して発電用の水と、生成物である水とを一括して収容するメンテナンス用カートリッジ130cを用いてもよい。なお、図9では、図3に示すメンテナンス用カートリッジ130bと同一の部分には同一符号を付してその説明を省略している。そして、このメンテナンス用カートリッジ130cでは、収容領域143がメンテナンス用流出口145及びメンテナンス用流入口146のそれぞれに連通している。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本実施形態の燃料電池装置を搭載した電子機器の概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態の燃料カートリッジの概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のIIB−IIB断面図である。
【図3】本実施形態のメンテナンス用カートリッジの概略構成を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のIIIB−IIIB断面図である。
【図4】図1の燃料電池装置を搭載した電子機器を示すブロック図である。
【図5】図4の燃料電池装置の第3供給状態を示すブロック図である。
【図6】図4の燃料電池装置の第4供給状態を示すブロック図である。
【図7】図4の燃料電池装置の第5供給状態を示すブロック図である。
【図8】図4の燃料電池装置の第6供給状態を示すブロック図である。
【図9】図3のメンテナンス用カートリッジの変形例を示す説明図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のIXB−IXB断面図である。
【符号の説明】
【0109】
1 燃料電池装置
10 反応装置
30 供給回収部
31 燃料供給部(供給手段)
35 第1バルブ(供給手段)
36 第1流量計(燃料センサ)
41 水送り部
42 水供給部
45 第2流量計(水センサ)
46 第2バルブ(第1送り手段)
50 水回収部(第2送り手段)
53 圧力センサ(水センサ)
55 第3バルブ(第1送り手段、第2送り手段)
56 第4バルブ(第1送り手段、第2送り手段)
60 切替部(第1送り手段)
61 第5バルブ(第1送り手段)
70 制御部(制御手段)
100 電子機器
110 電子機器本体
121A,121B 接続部
126a 第1接続部
126b 第2接続部
126c 第3接続部
130 カートリッジ
130a 燃料カートリッジ
130b メンテナンス用カートリッジ
131 ケース
134 燃料流出口
135 燃料カートリッジ用水流出口
136 燃料カートリッジ用水流入口
142 水収容袋
143 収容領域(水収容部)
144 ダミー接続部
145 メンテナンス用流出口
146 メンテナンス用流入口
311 第1燃料ポンプ(供給手段)
312 第2燃料ポンプ(供給手段)
411 第1水ポンプ(第1送り手段)
412 第2水ポンプ(第1送り手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置であって、
接続された前記複数のカートリッジのうち、一のカートリッジの内容物を、他のカートリッジに送る第1送り手段を備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記第1送り手段は、前記燃料電池装置の停止時に、前記一のカートリッジの内容物を、前記他のカートリッジに送ることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の燃料電池装置において、
前記複数のカートリッジは、燃料及び水がそれぞれ個別に収容された燃料カートリッジと、少なくとも水が収容されたメンテナンス用カートリッジとを含み、
前記第1送り手段は、
前記燃料カートリッジ又は前記メンテナンス用カートリッジのうち一方のカートリッジ内の水を、他方のカートリッジに送ることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項4】
請求項3記載の燃料電池装置において、
燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、
前記反応装置で生成された水を含む生成物を、前記複数のカートリッジのうち、いずれか1つのカートリッジに選択的に送る第2送り手段とを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項5】
請求項4記載の燃料電池装置において、
前記第2送り手段による送り先の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り先であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項6】
請求項3記載の燃料電池装置において、
燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、
前記複数のカートリッジのうち、いずれか1つのカートリッジから前記反応装置に水を供給する供給手段とを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項7】
請求項6記載の燃料電池装置において、
前記供給手段による送り元の切り替えタイミングを決定する上で基準となる、切り替え前の送り元であるカートリッジ内の水量を検知するための水センサを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか一項に記載の燃料電池装置において、
前記第1送り手段の送り量を決定する上で基準となる前記燃料カートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の燃料電池装置において、
前記複数のカートリッジがそれぞれ個別に接続される複数の接続手段を備え、
前記複数の接続手段は、前記一のカートリッジ及び前記他のカートリッジのいずれとも接続可能であることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項10】
請求項3〜8のいずれか一項に記載の燃料電池装置において、
前記複数のカートリッジがそれぞれ個別に接続される複数の接続手段を更に備え、
前記燃料カートリッジは、
燃料を流出させる燃料流出口と、水を流出させる燃料カートリッジ用水流出口と、前記反応装置で生成された水を含む生成物が流入される燃料カートリッジ用水流入口とを備え、
前記複数の接続手段はそれぞれ、前記燃料流出口が接続される第1接続部と、前記燃料カートリッジ用水流出口が接続される第2接続部と、前記燃料カートリッジ用水流入口が接続される第3接続部とを備え、
前記メンテナンス用カートリッジは、前記第1接続部に連通しないように接続されるダミー接続部と、前記第2接続部に接続され、水を流出させるメンテナンス用流出口と、前記第3接続部に接続され、前記生成物が流入されるメンテナンス用流入口とを備えることを特徴とする燃料電池装置。
【請求項11】
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置に対して着脱可能であり、水が収容されることを特徴とするメンテナンス用カートリッジ。
【請求項12】
請求項11記載のメンテナンス用カートリッジにおいて、
前記燃料電池装置に対して接続された状態で、外部から送られた水を内部に収容するとともに、内部に収容された水を外部に送ることを特徴とするメンテナンス用カートリッジ。
【請求項13】
請求項12記載のメンテナンス用カートリッジにおいて、
前記複数のカートリッジは、燃料及び水がそれぞれ個別に収容された燃料カートリッジと、前記メンテナンス用カートリッジとを含み、
前記燃料電池装置は、前記燃料カートリッジの燃料流出口が接続される第1接続部と、前記燃料カートリッジの燃料カートリッジ用水流入口が接続される第2接続部と、燃料電池装置本体から送られた水を含む生成物が流入される燃料カートリッジ用水流入口が接続される第3接続部とを有する接続手段を複数備え、
前記メンテナンス用カートリッジは、前記第1接続部に連通しないように接続されるダミー接続部と、前記第2接続部に接続され、水を流出させるメンテナンス用流出口と、前記第3接続部に接続され、前記生成物が流入されるメンテナンス用流入口とを備えることを特徴とするメンテナンス用カートリッジ。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれか一項に記載のメンテナンス用カートリッジにおいて、
メンテナンス用カートリッジの内部には、
外部に供給するための水を収容する水収容袋と、前記水収容袋の外側に外部から流入した水を収容する水収容部とが設けられていることを特徴とするメンテナンス用カートリッジ。
【請求項15】
複数のカートリッジが同時に接続可能な燃料電池装置の制御手段であって、
前記燃料電池装置は、供給された燃料と酸素との化学反応により発電する反応装置と、前記反応装置で生成された水を収容する複数のカートリッジのうち一のカートリッジ内の水を他のカートリッジに送る第1送り手段とを備え、
前記燃料電池装置の停止時に、前記第1送り手段により前記一のカートリッジ内の水を、前記他のカートリッジに送る水送りステップを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段。
【請求項16】
請求項15記載の燃料電池装置の制御手段において、
前記反応装置で生成された水を含む生成物を複数のカートリッジのうち一のカートリッジ及び他のカートリッジ内に選択的に送る第2送り手段と、前記一のカートリッジ内の水量を検知するための水センサとを更に備え、
前記燃料電池装置の発電時に、前記水センサの検知結果に基づいて前記一のカートリッジ内の水量が満タンであると判断した場合には、前記第2送り手段による水の送り先を前記一のカートリッジから前記他のカートリッジに切り替える送り先切替ステップを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段。
【請求項17】
請求項15記載の燃料電池装置の制御手段において、
前記複数のカートリッジのうち、一のカートリッジ及び他のカートリッジ内の水を前記反応装置に選択的に供給する供給手段と、前記一のカートリッジ内の水量を検知するための水センサとを更に備え、
前記燃料電池装置の発電時に、前記水センサの検知結果に基づいて前記一のカートリッジ内の水量が空であると判断した場合には、前記供給手段による水の送り元を前記一のカートリッジから前記他のカートリッジに切り替える供給元切替ステップを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段。
【請求項18】
請求項15〜17のいずれか一項に記載の燃料電池装置の制御手段において、
前記一のカートリッジには燃料及び水がそれぞれ個別に収容され、前記一のカートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを更に備え、
前記燃料センサで検知された前記燃料残量に基づいて、燃料の単位量あたりに生成される水量を算出する生成量算出ステップと、
前記生成量算出ステップで算出された水量に基づいて、前記第1送り手段の送り量を決定する決定ステップとを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段。
【請求項19】
請求項15〜17のいずれか一項に記載の燃料電池装置の制御手段において、
前記他のカートリッジには燃料及び水がそれぞれ個別に収容され、前記他のカートリッジ内の燃料残量を検知するための燃料センサを更に備え、
前記燃料センサで検知された前記燃料残量に基づいて、燃料の単位量あたりに消費される水量を算出する消費量算出ステップと、
前記消費量算出ステップで算出された水量に基づいて、前記第1送り手段の送り量を決定する決定ステップとを実行することを特徴とする燃料電池装置の制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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