説明

燃料電池装置

【課題】複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールに高温の酸素含有ガスを供給し、発電効率を向上できる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】外装ケース2と外装ケース2の内部に設けられた仕切板7とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュール3が配置された燃料電池モジュール収納室4と、燃料電池モジュール3に酸素含有ガスを供給するためのブロアー5が配置された補機収納室6とが上下に区画して形成された燃料電池装置1であって、燃料電池モジュール収納室4を構成する外装ケース2が内壁8と外壁9とからなる二重壁構造であるとともに、ブロアー5が内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガスを燃料電池モジュール3に供給することから、内壁8と外壁9との間を流通して暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュール3に供給することができ、燃料電池モジュール3の発電効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池セルを収納する燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するブロアーを具備する燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、水素ガスと酸素含有ガス(通常、空気である)とを用いて電力を得ることができる燃料電池(モジュール)と、この燃料電池を稼動するための補機類とを外装ケースに収納してなる燃料電池装置およびその運転方法が種々提案されている。
【0003】
このような燃料電池装置においては、発電を行なう燃料電池セルが収納された燃料電池モジュールと、この燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するブロアーを具備する。
【0004】
そして、例えば、外装ケースに設けられた外気取入口の近傍にブロアーが設けられ、空気を常温に近い状態で燃料電池モジュール内に供給する燃料電池装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−231292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高温で発電を行なう固体酸化物形燃料電池セルを収納する燃料電池モジュールにおいては、ブロアーにより常温の空気が燃料電池モジュール内に供給されると、燃料電池モジュール内の温度が低下し、燃料電池モジュールの発電効率が低下するという問題があった。
【0006】
したがって、本発明は、燃料電池モジュール内に高温の空気を供給することができる燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の燃料電池装置は、外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記ブロアーが前記内壁と前記外壁との間を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする。
【0008】
このような燃料電池装置においては、燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室を構成する外装ケースが、内壁と外壁との二重壁から構成されていることから、燃料電池モジュールの発電により生じる高温の輻射熱により、内壁と外壁との間を流通する酸素含有ガス(空気)が暖められることとなる。
【0009】
そして、補機収納室に配置されたブロアーが、この内壁と外壁との間を流通する暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給する。それゆえ、燃料電池モジュール内の温度が低下することを抑制でき、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【0010】
またあわせて、ブロアーが内壁と外壁との間を流通する暖められた酸素含有ガスを吸気して燃料電池モジュールに供給することから、内壁と外壁とで形成される空間の温度を下げることができる。それゆえ、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱により、外壁の温度が高くなることを抑制できる。
【0011】
本発明の燃料電池装置は、外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記ブロアーが前記燃料電池モジュールと前記内壁との間を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする。
【0012】
このような燃料電池装置においては、燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室を構成する外装ケースが、内壁と外壁との二重壁から構成されていることから、燃料電池モジュールの発電により生じる高温の輻射熱により、燃料電池モジュールと内壁との間を流通する酸素含有ガス(空気)が暖められることとなる。
【0013】
そして、補機収納室に配置されたブロアーが、燃料電池モジュールと内壁との間を流通して暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給する。それゆえ、燃料電池モジュール内の温度が低下することを抑制でき、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【0014】
またあわせて、ブロアーが燃料電池モジュールと内壁との間を流通して暖められた酸素含有ガスを吸気して燃料電池モジュールに供給することから、燃料電池モジュールと内壁とで形成される空間の温度を下げることができる。それゆえ、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱により、外壁の温度が高くなることを抑制できる。
【0015】
本発明の燃料電池装置は、外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記仕切板は内部が空洞の板材であって、前記ブロアーが前記仕切板の前記空洞を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする。
【0016】
このような燃料電池装置においては、燃料電池モジュール収納室を区画する仕切板が、内部が空洞の板材から構成されていることから、その空洞を流通する酸素含有ガスは、燃料電池モジュールの底面からの輻射熱により暖められることとなる。
【0017】
そして、補機収納室に配置されたブロアーが、この仕切板の空洞を流通する暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給する。それゆえ、燃料電池モジュール内の温度が低下することを抑制でき、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【0018】
またあわせて、ブロアーが仕切板の空洞を流通して暖められた酸素ガスを吸気して燃料電池モジュールに供給することから、仕切板内部(空洞)の温度を下げることができる。それゆえ、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱が、補機収納室へ伝熱することを抑制することができる。
【0019】
本発明の燃料電池装置は、外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた内部が空洞の板材からなる仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記内壁と前記外壁との間を流通する酸素含有ガス、または前記燃料電池モジュールと前記内壁との間を流通する酸素含有ガスが、前記仕切板の前記空洞に供給されるとともに、前記ブロアーが前記仕切板の前記空洞を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする。
【0020】
このような燃料電池装置においては、仕切板の内部(空洞)に、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱により暖められた、内壁と外壁との間を流通する酸素含有ガス、または燃料電池モジュールと内壁との間を流通する酸素含有ガスが供給される。
【0021】
そして、その仕切板の空洞に供給された酸素含有ガスは、燃料電池モジュールの底面からの輻射熱によりさらに暖められるとともに、補機収納室に配置されたブロアーが、その暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給する。それゆえ、燃料電池モジュール内の温度が低下することを抑制でき、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【0022】
またあわせて、ブロアーが仕切板の空洞を流通して暖められた酸素ガスを吸気して燃料電池モジュールに供給することから、仕切板の温度を下げることができる。それゆえ、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱が、補機収納室へ伝熱することを抑制することができる。
【0023】
また、本発明の燃料電池装置は、前記燃料電池モジュール収納室内または前記仕切板の前記空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを前記ブロアーが吸入するための酸素含有ガス吸入管と、前記補機収納室の酸素含有ガスを前記ブロアーが吸入するための補機収納室酸素含有ガス吸入管とが、前記ブロアーが吸入する酸素含有ガスの流量を調整するための酸素含有ガス流量調整手段に接続されるとともに、前記ブロアーが吸入する前記酸素含有ガスの温度が、予め設定された所定の温度となるよう前記酸素含有ガス流量調整手段を制御する制御装置を有することが好ましい。
【0024】
このような燃料電池装置においては、ブロアーが燃料電池モジュール収納室や仕切板の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給するが、その暖められた酸素含有ガスが特に高温となっている場合には、ブロアーの耐久性に悪影響を及ぼし、ブロアーの寿命が短くなるおそれがある。
【0025】
それゆえ、補機収納室の酸素含有ガス(常温)をブロアーが吸入するための酸素含有ガス吸入管と、燃料電池モジュール収納室内または仕切板の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスをブロアーが吸入するための酸素含有ガス吸入管とを、酸素含有ガス流量調整手段に接続する。そして、ブロアーが吸入する酸素含有ガスの温度が、予め設定された所定の温度になるよう酸素含有ガス流量調整手段を制御することにより、ブロアーの耐久性を向上することができるとともに、所定の温度の酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給することで、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の燃料電池装置は、補機収納室に設けたブロアーが、燃料電池モジュールの発電により生じる輻射熱で暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給することから、燃料電池モジュールの発電効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の燃料電池装置1を概略的に示した概略図である。なお、以降の図において、同一の部材については同一の番号を付するものとする。なお、図中において破線は、後述する制御装置に伝送される主な信号経路、または制御部より伝送される主な信号経路を示している。また、矢印は酸素含有ガスの流れを、破線矢印は燃料電池モジュールの発電により生じる排ガスの流れを示している。
【0028】
図1において、燃料電池装置1は、外装ケース2と外装ケース2の内部に設けられた仕切板7とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュール3(以下、モジュールと略す)が配置された燃料電池モジュール収納室4(以下、モジュール収納室と略す)と、モジュール3に酸素含有ガスを供給するブロアー(送風機)5を配置する補機収納室6とが上下に区画して形成されている。なお、図1は断面図であるため、モジュール3を便宜的に斜線で示しており、以降の図面においても同様である。
【0029】
また、モジュール収納室4を構成する外装ケース2は、内壁8と外壁9とからなる二重構造であり、図1においては、内壁8と外壁9との間に、ブロアー5に接続される酸素含有ガス吸入管10が接続されている。そしてブロアー5は、酸素含有ガス吸入管10を介して吸気した酸素含有ガスをモジュール3に供給する。
【0030】
なお、図1においては、外装ケース2に外気を取り込むための外気取込口11を設け、また補機収納室6内に、ブロアー5を制御する制御装置12、モジュール3の排ガスから排熱を回収する熱交換器13、排熱を回収した後の排ガスを外装ケース2の外部に排気するための排気管14が設けられている。
【0031】
ところで、モジュール3に収納される燃料電池セルが、高温で発電を行なう固体酸化物形燃料電池セルの場合、ブロアー5により補機収納室6の常温の酸素含有ガス(通常は空気)がモジュール3内に供給されると、モジュール3内の温度が低下し、モジュール3の発電効率が低下するおそれがある。
【0032】
それゆえ、ブロアー5よりモジュール3内に供給される酸素含有ガス(通常は空気)は、モジュール3に供給される前に加熱されている(暖められている)ことが好ましい。
【0033】
また、モジュール3内に収納される燃料電池セルが、固体酸化物形燃料電池の場合においては、モジュール3の発電により生じる高温の熱が、輻射熱として熱拡散され、モジュール収納室4の温度が高温となり、ひいては、外装ケース2の温度が高温となるおそれがある。したがって、外装ケース2の温度が高温とならないよう、外装ケース2の内側に断熱材等が設けられる場合がある。
【0034】
それゆえ、図1に示す燃料電池装置においては、モジュール3の輻射熱を有効に利用し、ブロアー5によりモジュール3内に供給される酸素含有ガスを暖めるとともに、外装ケース2の温度上昇を抑制するため、モジュール収納室4を構成する外装ケース2を、内壁8と外壁9との二重壁から構成した例を示している。
【0035】
このような構造においては、モジュール3の発電により生じる輻射熱により、内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガス(空気)が暖められる。そして、ブロアー5は、暖められた酸素含有ガスを酸素含有ガス吸入管10を介して吸気した後モジュール3内に供給する。
【0036】
したがって、モジュール3内の温度が低下することを抑制でき、モジュール3の発電効率を向上することができる。
【0037】
またあわせて、ブロアー5が内壁8と外壁9との間を流通して暖められた酸素含有ガスを吸気してモジュール3に供給することから、内壁8と外壁9とで形成される空間の温度を下げることができ、外装ケース2(外壁9)の温度が高温となることを抑制できる。それゆえ、外装ケース2の内側に断熱材を設ける必要がない、または外装ケース2の内側に設ける断熱材の量を減らすことができる。
【0038】
なお図1においては、内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガスを、外装ケース2に設けた外気取込口11より取り込む場合を示したが、例えば、補機収納室6の酸素含有ガス(常温)を、内壁8と外壁9との間に取り込むこともできる。この場合、補機収納室6より取り込まれる酸素含有ガスを効率よく暖めるため、内壁8と外壁9との間に設ける補機収納室内酸素含有ガスの取込口は、酸素含有ガス吸入管10と対極の位置に設けることが好ましい。なお、外気取込口11も同様に、酸素含有ガス吸入管10と対極となる位置に設けることが好ましい。
【0039】
またモジュール3からの輻射熱が特に高温となる場合には、モジュール3に断熱材を取り付けることにより、輻射熱の温度を下げて、外装ケース2や内壁8と外壁9の間の酸素含有ガスが特に高温とならないようにすることもできる。
【0040】
このような燃料電池装置1の運転方法としては、例えば、モジュール3の発電に必要な酸素含有ガス量が制御装置12に伝送される。制御装置12はその情報に基づき、ブロアー5の吸気量を制御する。ブロアー5は吸気した酸素含有ガスをモジュール3に供給する。それにより、モジュール3の発電で必要な酸素含有ガスを、暖められた酸素含有ガスとして、モジュール3内に供給することができる。
【0041】
そして上述したように、本発明の燃料電池装置は、モジュール3の発電による輻射熱により暖められた酸素含有ガスを、モジュール3に供給することで、モジュール3内の温度が低下することを抑制でき、モジュール3の発電効率を向上することができることから、燃料電池セルを固体酸化物形燃料電池セルとした場合に特に有用である。
【0042】
図2は、ブロアー5にて、モジュール3と内壁8との間を流通する酸素含有ガスをモジュール3内に供給する燃料電池装置の一例を示したものである。
【0043】
例えば、モジュール3の輻射熱の温度を下げる目的で、モジュール3に高性能の断熱材を設ける場合があり、その場合にモジュール3の輻射熱の熱拡散を抑えることができる場合がある。
【0044】
この場合、モジュール3からの輻射熱は温度が低くなるため、内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガスの温度が低下し(常温に近づき)、内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガスをモジュール3内に供給した場合に、モジュール3内の温度が低下し、モジュール3の発電効率が低下するおそれがある。
【0045】
したがって、このような場合においては、モジュール3の輻射熱を効率よく利用する目的で、モジュール3の発電により生じる輻射熱により暖められたモジュール3と内壁8との間を流通する酸素含有ガスを、ブロアー5が酸素含有ガス吸入管10を介して吸気した後モジュール3内に供給する。それにより、モジュール3内の温度が低下することを抑制でき、モジュール3の発電効率を向上することができる。なお、モジュール3と内壁8との間に供給される酸素含有ガスは、例えば補機収納室6の酸素含有ガスを取り込むことができ、図2においては補機収納室6より酸素含有ガスを取り込み、取り込んだ酸素含有ガスがモジュール3と内壁8との間を流通する例を示している。
【0046】
また、あわせてモジュール3と内壁8との間の暖められた空気をブロアー5が吸気することから、モジュール3と内壁8とで形成される空間の温度を下げることができ、外装ケース2(外壁9)の温度が高温となることを抑制できる。あわせて、外気取込口11より取り込まれる酸素含有ガス(常温の空気)を、内壁8と外壁9との間を流通させることにより、より効率よく外装ケース2(外壁9)の温度が高温となることを抑制できる。
【0047】
図3は、モジュール収納室4と補機収納室6とを区画する仕切板7を内部が空洞の板材とし、仕切板7の空洞を流通する酸素含有ガスを、ブロアー5にてモジュール3内に供給する燃料電池装置の一例を示したものである。
【0048】
上述したように、モジュール3の発電により生じる輻射熱により暖められた酸素含有ガスをモジュール3内に供給するが、モジュール3の輻射熱は、モジュール3の底面に接して配置される仕切板7に最も伝熱されることとなる。またモジュール3の底面からの輻射熱が特に高温の場合には、仕切板7を介して補機収納室6に伝熱され、補機類に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0049】
それゆえ、図3に示した燃料電池装置18においては、モジュール収納室4と補機収納室6とを区画する仕切板7を内部が空洞の板材とすることにより、仕切板7の空洞を流通する酸素含有ガスは、モジュール3の底面からの輻射熱により暖められることとなる。
【0050】
そして、仕切板7の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを、ブロアー5が仕切板吸入口16に接続された酸素含有ガス吸入管17を介して吸気した後モジュール3内に供給する。それにより、モジュール3内の温度が低下することを抑制でき、モジュール3の発電効率を向上することができる。なお、仕切板7の空洞を流通する酸素含有ガスは、図3に示したように外気取入口11を仕切板7に付設して空洞の内部に取り込んでもよく、また補機収納室6の酸素含有ガスを取り込むようにしてもよい。
【0051】
またあわせて、仕切板7の空洞を流通する酸素含有ガスをモジュール3に供給することから、仕切板7の温度を下げることができ、モジュール3の発電により生じた輻射熱が、モジュール3の底面より補機収納室6に伝熱することを抑制することができ、それゆえ補機類に対して悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0052】
図4は、モジュール3の発電により生じる輻射熱を、さらに効率よく利用する燃料電池装置の一例を示したものである。
【0053】
上述したように、モジュール3の発電により生じる輻射熱により暖められた酸素含有ガスをモジュール3内に供給するが、より効率よく暖められた酸素含有ガスを供給するにあたっては、モジュール3全面の輻射熱を利用することが好ましい。
【0054】
それゆえ、図4に示した燃料電池装置20においては、モジュール収納室4と補機収納室6とを区画するための仕切板7を内部が空洞の板材とし、またモジュール収納室4を構成する外装ケース2を内壁8と外壁9とからなる二重構造とする。そして、内壁8と外壁9との間を流通する酸素含有ガス、またはモジュール3と内壁8との間を流通する酸素含有ガスを、仕切板7に設けた取入口15を介して仕切板7の空洞に供給する。それにより、内壁8と外壁9との間を流通して暖められた酸素含有ガスやモジュール3と内壁8との間を流通して暖められた酸素含有ガスは、仕切板7の空洞を流通することで、モジュール3の底面からの輻射熱によりさらに温められることとなる。
【0055】
そして、仕切板7の空洞を流通してさらに暖められた酸素含有ガスは、ブロアー5により仕切板吸入口16に接続された酸素含有ガス吸入管17を介して吸気した後モジュール3内に供給される。それにより、モジュール3内の温度が低下することを抑制でき、モジュール3の発電効率を向上することができる。
【0056】
また、あわせて内壁8と外壁9とで形成される空間の温度、モジュール3と内壁8とで形成される空間の温度、さらには仕切板7の温度をそれぞれ下げることができることから、外装ケース2(外壁9)の温度が高温となることを抑制でき、またモジュール3から補機収納室6への伝熱を抑制でき、補機類に対して悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0057】
また図5は、モジュール収納室4や仕切板7を流通して暖められた酸素含有ガスの温度を調整してモジュール3に供給する燃料電池装置の一例を示したものである。
【0058】
モジュール3が効率よく発電する目的で、モジュール収納室4内を流通して暖められた酸素含有ガス(具体的には、内壁8と外壁9との間、モジュール3と内壁8との間を流通して暖められた酸素含有ガス)や、仕切板7の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを、ブロアー5によりモジュール3内に供給するが、その暖められた酸素含有ガスが、例えば50℃〜70℃といった高温となっている場合には、ブロアー5の耐久性に悪影響を及ぼしブロアー5の寿命が短くなるおそれがある。それゆえ、ブロアー5の種類にもよるが、暖められた酸素含有ガスは所定の温度(50℃〜70℃よりも低い温度)となるように調整した後、ブロアー5が吸気してモジュール3内に供給することが好ましい。
【0059】
それゆえ、モジュール収納室4内または仕切板7の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスをブロアー5が吸入するための酸素含有ガス吸入管22と、補機収納室の酸素含有ガス(常温)をブロアー5が吸入するための補機収納室酸素含有ガス吸入管23とを、酸素含有ガス流量調整手段24に接続する。そして、酸素含有ガス吸入管22を流れる酸素含有ガスの流量と補機収納室酸素含有ガス吸入管23を流れる酸素含有ガスの流量とを、ブロアー5に供給する酸素含有ガスの温度が、予め設定された所定の温度となるよう酸素含有ガス流量調整手段24を制御装置12にて制御して調整する。
【0060】
具体的には、酸素含有ガス吸入管22を介して吸入される暖められた空気の温度を、温度センサ25で計測し、計測された温度情報が制御装置12に伝送される。制御装置12は、伝送された温度情報が予め設定された所定の温度を超えている場合に、酸素含有ガス調整手段24に対し、温度センサ25で計測される温度情報が所定の温度となるよう、酸素含有ガス吸入管22を介して吸入される酸素含有ガスの量と補機収納室酸素含有ガス吸入管23を介して吸入される酸素含有ガスの量を調整するよう信号を伝送する。
【0061】
それにより、ブロアー5によりモジュール3に供給される酸素含有ガスの温度が、ブロアー5に対して悪影響を及ぼす温度よりも低くすることができることから、ブロアー5の耐久性を向上することができるとともに、所定の温度の酸素含有ガスをモジュール3に供給することで、モジュール3の発電効率を向上することができる。
【0062】
なお、酸素含有ガス流量調整手段24としては、酸素含有ガス流量調整弁等を用いる事ができる。
【0063】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である
例えば、モジュール3からの輻射熱を効率よく得るために、モジュール3の外側面や内壁8の外壁9側面に、酸素含有ガス流路を内部に有する伝熱板等を付設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の燃料電池装置の一例を示す概略図である。
【図2】燃料電池モジュール収納室を構成する内壁と燃料電池モジュールとの間を流通する酸素含有ガスを、燃料電池モジュールに供給する燃料電池装置の一例を示す概略図である。
【図3】仕切板の内部に空洞を有し、その空洞を流通する酸素含有ガスを、燃料電池モジュールに供給する燃料電池装置の一例を示す概略図である。
【図4】外壁と内壁との間を流通し、さらに仕切板の内部の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを燃料電池モジュールに供給する燃料電池装置の一例を示す概略図である。
【図5】外壁と内壁との間を流通し、さらに仕切板の内部の空洞を流通して暖められた酸素含有ガスの流量と、補機収納室の酸素含有ガスとの流量とを調整して、燃料電池モジュールに供給する燃料電池装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0065】
1、15、18、20、21:燃料電池装置
2:外装ケース
3:燃料電池モジュール
4:燃料電池モジュール収納室
5:ブロアー
6:補機収納室
7:仕切板
8:内壁
9:外壁
10、17、22:酸素含有ガス吸入管
11:外気取入口
12:制御装置
16:仕切板吸入口
19:取入口
23:補機収納室酸素含有ガス吸入管
24:酸素含有ガス調整手段
25:温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記ブロアーが前記内壁と前記外壁との間を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記ブロアーが前記燃料電池モジュールと前記内壁との間を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項3】
外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記仕切板は内部が空洞の板材であって、前記ブロアーが前記仕切板の前記空洞を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項4】
外装ケースと該外装ケースの内部に設けられた内部が空洞の板材からなる仕切板とにより、複数の燃料電池セルを収納してなる燃料電池モジュールが配置された燃料電池モジュール収納室と、前記燃料電池モジュールに酸素含有ガスを供給するためのブロアーが配置された補機収納室とが上下に区画して形成された燃料電池装置であって、前記燃料電池モジュール収納室を構成する前記外装ケースが内壁と外壁とからなる二重壁構造であるとともに、前記内壁と前記外壁との間を流通する酸素含有ガス、または前記燃料電池モジュールと前記内壁との間を流通する酸素含有ガスが、前記仕切板の前記空洞に供給されるとともに、前記ブロアーが前記仕切板の前記空洞を流通する酸素含有ガスを前記燃料電池モジュールに供給することを特徴とする燃料電池装置。
【請求項5】
前記燃料電池モジュール収納室内または前記仕切板の前記空洞を流通して暖められた酸素含有ガスを前記ブロアーが吸入するための酸素含有ガス吸入管と、前記補機収納室の酸素含有ガスを前記ブロアーが吸入するための補機収納室酸素含有ガス吸入管とが、前記ブロアーが吸入する酸素含有ガスの流量を調整するための酸素含有ガス流量調整手段に接続されるとともに、前記ブロアーが吸入する前記酸素含有ガスの温度が、予め設定された所定の温度となるよう前記酸素含有ガス流量調整手段を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の燃料電池装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−192347(P2008−192347A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22931(P2007−22931)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】