説明

燃料電池

酸化還元燃料電池であって、イオン選択性ポリマー電解質膜によって分離されたアノードおよびカソードと;電池のアノード領域に燃料を供給するための手段と;電池のカソード領域に酸化剤を供給するための手段と;電池のアノードおよびカソードのそれぞれの間に電気回路を設けるための手段と;少なくとも1種のカソード液成分を含み、酸化還元メディエーター対を含むカソード溶液と;カソード液チャネル、および活性表面を有する多孔質部材を含む再生ゾーンとを含み、カソード液チャネルは、活性表面に隣接してまたは活性表面に向かってカソード溶液の流れの方向を定めるように配置されており、電池に酸化剤を供給するための手段は、多孔質部材に酸化剤を供給するように適合されている、酸化還元燃料電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池に関し、詳細には、定置式バックアップ用熱電併給システム(chp)関連で用途のある間接型または酸化還元型の燃料電池、ならびに自動車産業用の燃料電池と、電子デバイスおよび可搬式電子デバイス用のマイクロ燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、何年にもわたり、自動車および可搬式エレクトロニクス技術などの可搬的用途があることで知られているが、燃料電池が深刻な現実的課題となったのはごく最近のことである。その最も簡単な形では、燃料電池は、燃料および酸化剤を、(1種または複数の)反応生成物に変換し、そのプロセスで電気および熱を生成する電気化学エネルギー変換デバイスである。そのような電池の一例では、水素が燃料として使用され、空気または酸素が酸化剤として使用され、反応生成物は水である。気体はそれぞれ、2つの電極間で帯電粒子を運ぶ固体または液体の電解質で分離された、触媒作用を引き起こす拡散型の電極に供給される。間接型または酸化還元型の燃料電池では、酸化剤(および/または場合によっては燃料)は電極で直接反応せず、代わりに還元形態(燃料にとっては酸化形態)の酸化還元対と反応してそれを酸化し、この酸化された化学種がカソードに供給される。
【0003】
酸化還元対を酸化するこのステップには、いくつかの制約がある。酸化還元対の酸化は、カソードを通るカソード液の流量の減少によってエネルギー生成速度が低下することになるので、できる限り急速に生じるべきである。エネルギー生成速度は、酸化還元対の酸化ができる限り完全な状態にはなっていない場合、即ち酸化還元対がかなりの割合で酸化されていない場合も、低下することになる。カソード溶液中に存在する酸化還元対を急速にかつ完全に酸化する装置の提供は、酸化ステップがなされるときに消費されるエネルギーを確実に比較的低くするという要求によって挑戦的なものになっているが、低くない場合には、燃料電池の全体的な発電性能が低下する。さらに、酸化還元対を酸化するのに使用される装置は、特に燃料電池が可搬的なまたは自動車の適用例での使用が意図される場合、できる限りコンパクトであるべきである。
【0004】
これらの矛盾する要件のバランスをとる必要があるため、特に自動車の適用例および熱電併給システムでは、電池性能が非効率的になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前述の欠点の1つまたは複数を克服し改良することである。本発明のその他の目的は、酸化還元対の効率的な酸化のために、改善された酸化還元燃料電池構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、酸化還元燃料電池であって、
イオン選択性ポリマー電解質膜によって分離されたアノードおよびカソードと;
電池のアノード領域に燃料を供給するための手段と;
電池のカソード領域に酸化剤を供給するための手段と;
電池のアノードおよびカソードのそれぞれの間に電気回路を設けるための手段と;
少なくとも1種のカソード液成分を含み、酸化還元メディエーター対を含むカソード溶液と;
カソード液チャネル、および活性表面を有する多孔質部材を含む再生ゾーンとを含み、このカソード液チャネルは、活性表面に隣接してまたはこの活性表面に向かってカソード溶液の流れの方向を定めるように配置されており、電池に酸化剤を供給するための手段が、多孔質部材に酸化剤を供給するように適合されている、
酸化還元燃料電池が提供される。
【0007】
「カソード領域」とは、その片側が膜電極アセンブリーのカソード側と境界を接している、電池の部分を意味する。あるいは、または同様に、「カソード領域」は、電池の動作中に内部を流れるカソード液の少なくとも一部が膜電極アセンブリーのカソード側に接触する、電池の部分と考えてもよい。
【0008】
同様に、「アノード領域」とは、その片側が電極アセンブリーのアノード側に境界を接している電池の部分を意味する。
【0009】
電池の動作中、カソード液は、電池のカソード領域内を、カソードと流体連絡した状態で流れるように供給される。酸化還元メディエーター対は、電池の動作中にカソードで少なくとも部分的に還元され、カソードでのそのような還元の後に、酸化剤との反応によって少なくとも部分的に再生される。酸化還元メディエーター対の少なくとも部分的な再生は、再生ゾーンで行われる。特に、多孔質部材の活性表面を通過する酸化剤と、多孔質部材に向かってまたは隣接して流れるカソード液との界面面積は、広い。酸化還元メディエーター対の再生は、この点で開始され、カソード液がその内部に取り込まれた酸化剤と共に再酸化ゾーンを通過するときに継続して行われる。
【0010】
好ましい配置構成では、チャネル壁の少なくとも一部が開放されて、カソードチャネルの内部が多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に曝された状態となる。
【0011】
多孔質部材は、少なくとも部分的に還元された酸化還元対を少なくとも部分的に再生できるように、即ち酸化できるように、十分な量での酸化剤の貫通流を可能にする任意の多孔質材料で形成されてもよい。適切な材料の例には、焼結ガラスまたは金属粉、多孔質または半透過膜、メッシュ、および穴開けされまたは穿孔されたシートが含まれる。
【0012】
多孔質部材の性能を高めるには、内部を通過する酸化剤の表面積が最大限になるように、特に形成されまたは修正されてもよい。例えば、細孔の位置およびサイズは、小さな気泡の放出が促進されるように制御することができる。さらに、多孔質部材に向かいまたは多孔質部材を通るカソード液の流れによって、小さな泡の放出は、それらが大きくなる時間に達する前に促進されることになる。泡の急速な除去は、真新しいカソード液を多孔質部材の活性表面に接触させることができるので、有利である。
【0013】
典型的には、平均的な泡のサイズの直径は、1から1000ミクロンの範囲である。好ましくは、形成された泡のサイズはより小さく、例えば直径150ミクロン以下であり、1から100ミクロンであり、または最も好ましくは25から50ミクロンの直径である。これらの好ましい範囲に包含される平均直径を有する泡の流れを実現するには、目標とする泡の直径の1/3から1/10の直径を有する細孔を設けるべきである。
【0014】
泡の急速な除去は、多孔質部材を親水性材料でコーティングすることにより、または多孔質部材の活性表面を親水性材料で形成することにより、多孔質部材の表面を親水性にすることによっても促進させることができる。多孔質部材の活性表面に親水性材料が存在することにより、形成された泡は、疎水性表面から放出されるよりも容易に放出されることになる。好ましくは、そのような材料は、46ダイン/cmよりも大きな表面エネルギーを有することになり、かつ/または、ヒドロキシル基などの親水性基を含むことになる。そのような材料の例は、アセテートレーヨンである。さらに、または代わりに、許容される親水性は、金属表面を処理することによって実現することができる。そのような処理された金属表面には、アニールされたオーステナイトステンレス鋼、レーザーまたはプラズマコーティングされたステンレス鋼、または酸化物もしくは窒化物で変性させた表面コーティングが含まれる。
【0015】
多孔質部材へのカソード液の浸入は、酸化剤の貫通流を遮断するので、即ちそのカソード液の酸化速度を低下させることを意味するので、好ましくないことが理解されよう。この問題を克服するために、多孔質部材を疎水性の材料で形成し、表面のコーティングを、親水性のカソード液チャネルに曝した状態にしてもよい。多孔質部材を形成することができる疎水性材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲン化有機ポリマー、シリコーンポリマー、およびポリテンやポリプロピレンなどの炭化水素ポリマーが含まれる。さらに、または代わりに、最大孔径は、多孔質部材を通過する酸化剤がない場合であっても、カソード液の表面張力によって多孔質部材への進入が防止されるように、十分小さくすることができる。
【0016】
多孔質部材、特にその活性表面の細孔は、当業者に公知の任意の技法を使用して形成されてもよい。好ましい実施形態では、細孔は、レーザー加工によって生成される。
【0017】
カソード液チャネルおよび多孔質部材は、カソード溶液中の酸化還元対が少なくとも部分的に再生されることを条件に、任意の方法で配置構成されてもよい。
【0018】
ある配置構成では、多孔質部材は細長い部材であってもよい。好ましい実施形態では、多孔質部材は実質的に円筒状または管状である。1つまたは複数の多孔質部材を、本発明の燃料電池で用いてもよい。
【0019】
あるいは、カソード液チャネルは、多孔質部材の周りに巻き付くチューブとして、多孔質部材と同軸のチャネルとして、または多孔質部材の周りの環として設けてもよい。そのような配置構成では、チャネル壁は、その長さの実質的に全てに沿ってまたはその長さの一部に沿って開放されて、カソード液チャネルの内部が多孔質部材の活性表面の一部に曝された状態になっていてもよい。酸化剤は、陽圧で多孔質部材の内部に供給されて、酸化剤を、多孔質部材の外側表面を通過させてカソード液チャネル内に入れることができる。
【0020】
代替の配置構成では、カソード液チャネルは、多孔質部材内に形成されてもよい。カソード液チャネルは、線形であっても螺旋形であってもよい。これらの配置構成では、多孔質部材の活性表面が多孔質部材の内面に設けられ、酸化剤は多孔質部材内を内向きに、内側の活性表面を通ってカソード液チャネル内へと通過する。
【0021】
ある実施形態では、カソード液チャネルの内部が、その円周の全体ではないとしてもその大部分に沿って多孔質部材の活性表面に曝されている場合、活性表面へのカソード液の曝露が最大限になるように、したがって酸化還元対の酸化が最大限になるように、好ましくは再生ゾーンがカソード液回転手段を含んでいてもよいことが、最も好ましい。回転手段は、チャネル内にカソード液の螺旋流を通すために、オフセット液体入口を含むことができる。さらに、または代わりに、回転手段は、例えば螺旋状の突起物を用いた、チャネル内を通る回転流を誘導するための分岐部材を含んでいてもよい。
【0022】
本発明のある配置構成では、カソード液チャネルは、好ましくは、カソード液流の方向に断面積を増加させる。これは、カソード液および酸化剤の体積の増加に適応させるためであり、したがって流量の加速が防止される。断面積の増加は、分岐テーパーを有するチャネルによって実現することができる。
【0023】
他の配置構成では、再生ゾーンは、チャンバーの1つまたは複数の壁を画定する略平面状の多孔質部材を含んでいてもよい。カソード液チャネルの開放端は、カソード液チャネルから出て行くカソード液の流れが、確実に、多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に向かって方向が定められまたその少なくとも一部を通って流れるように、設けられる。これは、カソード液チャネルの開放端を、平面状多孔質部材に実質的に隣接させて、または多孔質部材から少し離すがこの多孔質部材に向かうよう位置付けることによって、実現することができる。
【0024】
平面状再生ゾーンの利点は、同数の電池および再生ユニットが存在するように、個々の燃料電池の延長部として付加できることである。これにより、単一のアセンブリーで電力の発生および再生の両方の機能を実現して、システムのコストを削減することが可能となるべきである。
【0025】
そのような配置構成は、泡カラム反応器と区別することができ、即ち、入口ポートが、そのような反応器で従来使用されてきた泡形成ベースに実質的に隣接して設けられておらずまたはこの泡形成ベースに向かって設けられてもいない、泡カラム反応器と区別することができる。代わりに、そのような反応器の入口ポートは、泡の形成を妨げないように泡形成ベースからある距離だけ離れて設けられることになる。さらに、入口ポートは、同じ理由で液体を泡形成ベースに向けて方向を定めない。
【0026】
本発明で用いられる泡カラム反応器と再生ゾーンとは区別されるが、それはそのような反応器の性能が、本発明の燃料電池で用いられる再生ゾーンの性能と比べたときに好ましくないことを本発明者らが見出したからである。より具体的には、酸化剤の気体の粒子をカソード液に取り込ませるのに泡カラム反応器を利用した場合、システムにおける気体:カソード液の滞留比(体積による)は、1:1よりも著しく小さいことが見出され、即ちカソード液中の酸化還元対の酸化が不完全であることが見出された。
【0027】
用いられる特定の配置構成とは無関係に、かなりの量の酸化剤が、本発明の燃料電池の再生器内でカソード液に曝される。本発明の好ましい実施形態では、再生ゾーンを通過するあらゆる体積のカソード液が、同じ体積の酸化剤に曝される。特に好ましい実施形態では、再生ゾーンを通過するあらゆる体積のカソード液は、酸化剤の体積の2倍、3倍、または4倍もの体積に曝される。
【0028】
カソード液が、そのような高い体積の気状酸化剤に曝される場合、通常はフォームが形成されることになる。
【0029】
このフォーム中の酸化還元対の酸化を最大限にするために、再生ゾーンに膨張領域を設けてもよい。膨張領域は、好ましくは、フォーム状になったカソード液が流入し、その結果流量が低下するチャンバーである。この流速の低下は、滞留時間の増大、したがって物質移動の増大をもたらし、したがって、酸化還元対の酸化の速度を増大させる。膨張チャンバーの最適な形状およびサイズは、液体の流動特性および利用可能な反応速度に応じて変わることになる。
【0030】
酸化剤が気体として提供される配置構成では、フォーム状の混合物が、膨張領域から、好ましくはチャンバーの形をとる分離領域へと流れることが好ましい。膨張領域と同様に、分離領域での流量は低いことが好ましい。残留する酸化剤の気体は、フォーム中の泡の自然な崩壊によって、現在再生されているカソード液から分離される。崩壊速度を増大させるため、キャビテーション手段を設けてもよい。キャビテーション手段は、気相と液相との高速分離を行うサイクロン分離器を含んでいてもよい。
【0031】
再生ゾーンを通るカソード液の流量は、好ましくは比較的高い。好ましい実施形態では、カソード液の流量は、多孔質部材の活性表面に接触するときまたはこの活性表面に隣接して通過するとき、少なくとも約0.2m/sである。特に好ましい実施形態では、カソード液の流量は、多孔質部材の活性表面に接触するときまたはこの活性表面に隣接して通過するとき、約0.5から約1.5m/sである。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、再生ゾーンは、膜アセンブリーから分離される。したがって本発明の燃料電池は、好ましくは、少なくとも部分的に還元された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域から再生ゾーンに供給するための手段を含む。
【0033】
さらに、本発明の燃料電池は、好ましくは、少なくとも部分的に再生された酸化還元メディエーター対を、再生ゾーンからカソード領域に供給するための手段を含む。
【0034】
したがって、酸化還元メディエーター対を含むカソード溶液は、電池の動作中に、少なくとも部分的に再生された(酸化した)形で再生ゾーンからカソード領域に循環し、その領域で少なくとも部分的に還元され、その後、再生ゾーンに戻り、酸化剤と反応し(酸化還元触媒が存在する場合は、直接または間接的に)、その後、このサイクルに戻る。
【0035】
このサイクルの任意の都合の良い位置に、カソード溶液の循環を推進させる1つまたは複数のポンプを設けてもよい。好ましくは、少なくとも1つのポンプを、再生ゾーンの下流端とカソード領域の上流端との間に据える。
【0036】
カソード領域は、好ましくは:少なくとも部分的に再生された酸化還元メディエーター対を再生ゾーンから受容するための入口ポートと;少なくとも部分的に還元された酸化還元メディエーター対を再生ゾーンに供給するための出口ポートとの、1つまたは複数を含む。
【0037】
再生ゾーンは、好ましくは:再生反応が行われるチャンバーと;電池のカソード領域から、還元された酸化還元メディエーター対をチャンバー内に受容するための第1の入口ポートと;酸化された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域に供給するための第1の出口ポートと;酸化剤の供給を受容するための第2の入口ポートと;チャンバーから気体、水、蒸気、および/または熱をベントするための第2の出口ポートとの、1つまたは複数を含む。
【0038】
カソード溶液のいかなる損失も低減させ、おそらくは無くすために、1つまたは複数のデミスターを、第2の出口ポート内またはこの出口ポートの上流に設けてもよい。
【0039】
さらに、カソード液からの水の過剰な蒸発を防止するために、第2の出口ポートの内部または上流に、凝縮器を設けてもよい。凝縮器を本発明の燃料電池に用いる場合、所定量の凝縮物がシステムに戻るように配置構成することが好ましい。元のカソード液に戻す前に、凝縮物をデミスター内に通すことが好ましい。
【0040】
本発明の燃料電池には、chpの適用例で使用する場合、再生ゾーンで発生した熱を、例えば家庭用のまたは商用のボイラーなどの外部の目標に伝達するために、再生ゾーンに関連付けられた熱伝達手段を設けてもよい。熱伝達手段は、熱交換の標準的な原理の下、例えば低温パイプと高温パイプとの間の表面積の接触を増大させるための密接に接触した配管、フィン、および羽根と共に働くことができる。
【0041】
上記にて「アノード」および「カソード」(単数形で)に言及したが、本発明の燃料電池は、燃料電池スタックとして当技術分野で一般に知られている、それぞれが双極性分離プレートにより分離されている複数の膜電極アセンブリーを、典型的には含むことが理解されよう。本発明の範囲内で、複数の再生ゾーンを提供することが企図され、各再生ゾーンは、スタックの1つまたは複数の部分から、還元された酸化還元メディエーター対を受容し、かつ酸化した酸化還元メディエーター対をスタックの同じまたは異なる1つまたは複数の部分に戻すものである。しかし一般に、全スタックまたはその一部には、単一の再生ゾーンで十分である。
【0042】
本発明の燃料電池の酸化還元から見た動作は、下記のスキーム:
【0043】
【化1】


によるカソード領域(スタック)と再生ゾーン(再生器)との間と特徴付けることができ、酸化還元触媒の存在および機能は任意選択であると理解すべきである。
【0044】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2007/050151に記載されているポリオキソメタレート化合物を含んでいてもよい。
【0045】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2008/050857に記載されている、2価の対イオンを有するポリオキソメタレート化合物を含んでいてもよい。
【0046】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2007/050421に記載されているN−ドナー化合物を含んでいてもよい。
【0047】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2009/050065に記載されている、ピロール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンから、および前述の複素環基の1個または複数で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリル、アルケナリル、アラルキル、アラルケニル基から選択された、少なくとも1個の複素環置換基を含む、多座N−ドナー配位子を含んでいてもよい。
【0048】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2009/050067に記載されている多座大環状N−ドナー配位子を含んでいてもよい。
【0049】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2007/050420に記載されている修飾フェロセン種を含んでいてもよい。
【0050】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒は、存在する場合、本発明者らの同時係属のPCT/GB2009/050066に記載されている、シクロペンタジエニル環同士の間に架橋単位を含む修飾フェロセン種を含んでいてもよい。
【0051】
一般に、酸化還元メディエーター対は、連結された遷移金属錯体を含むことになる。そのような錯体を形成することができる適切な遷移金属イオンの特定の例には、酸化状態にあるマンガンII〜V、鉄I〜IV、銅I〜III、コバルトI〜III、ニッケルI〜III、クロム(II〜VII)、チタンII〜IV、タングステンIV〜VI、バナジウムII〜V、およびモリブデンII〜VIが含まれる。配位子は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン化物、およびリンを含有することができる。配位子は、キレート錯体であってもよく、Fe/EDTAおよびMn/EDTA、NTA、2−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、またはシアン化物などの非キレート化物が含まれる。
【0052】
本発明の燃料電池は、燃料電池の動作中に、カソード領域の酸化剤の還元を触媒する酸化還元対により、端的に動作することができる。しかし、ある場合には、また一部の酸化還元対によれば、触媒メディエーターをカソード液に組み込むことが必要でありかつ/または望ましいと考えられる。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施形態では、イオン選択性PEMは、他の陽イオンに対してプロトンを好んで選択する陽イオン選択性膜である。
【0054】
陽イオン選択性ポリマー電解質膜は、任意の適切な材料から形成されていてもよく、しかし好ましくは、陽イオン交換能を有するポリマー基材を含む。適切な例には、フッ素樹脂型イオン交換樹脂、および非フッ素樹脂型イオン交換樹脂が含まれる。フッ素樹脂型イオン交換樹脂には、パーフルオロカルボン酸樹脂およびパーフルオロスルホン酸樹脂などが含まれる。パーフルオロカルボン酸樹脂が好ましく、例えば、「Nafion」(Du Pont Inc.:登録商標)、「Flemion」(Asahi Gas Ltd:登録商標)、および「Aciplex」(Asahi Kasei Inc:登録商標)などがある。非フッ素樹脂型イオン交換樹脂には、ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキシド、およびスチレン−ジビニルベンゼンイオン交換樹脂などと、これらの金属塩が含まれる。好ましい非フッ素樹脂型イオン交換樹脂には、ポリアルキレンオキシド−アルカリ金属塩錯体が含まれる。これらは、例えば塩素酸リチウムまたは別のアルカリ金属塩の存在下、エチレンオキシドオリゴマーを重合することによって得ることが可能である。その他の例には、フェノールスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸、スルホン化トリフルオロスチレン、α,β,βトリフルオロスチレンモノマーをベースにしたスルホン化コポリマー、放射線グラフト膜が含まれる。非フッ素化膜には、スルホン化ポリ(フェニルキノキサリン)、ポリ(2,6ジフェニル−4−フェニレンオキシド)、ポリ(アリールエーテルスルホン)、ポリ(2,6−ジフェニルエノール);酸ドープ型ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリイミド;スチレン/エチレン−ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー;部分スルホン化ポリアリーレンエーテルスルホン;部分スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);およびポリベンジルスホン酸シロキサン(PBSS)が含まれる。
【0055】
ある場合には、イオン選択性ポリマー電解質膜に関し、本発明者らの同時係属のPCT/EP2006/060640に記載されている二重膜を含むことが望ましいと考えられる。
【0056】
本発明のその他の態様によれば:
イオン選択性ポリマー電解質膜により分離されたアノードおよびカソードを設けるステップ;
少なくとも1種のカソード液成分を含み、酸化還元メディエーター対を含んでいるカソード溶液を提供するステップ;および
カソード液チャネル、および活性表面を有する多孔質部材を含む、再生ゾーンを設けるステップ;
カソード溶液の流れを、カソード液チャネルを用いて活性表面に隣接させてまたは活性表面に向けて方向を定めるステップ;
酸化剤を、再生ゾーンの多孔質部材に供給するステップ;
燃料を、電池のアノード領域に供給するステップ;
電池のアノードおよびカソードのそれぞれの間に電気回路を設けるステップ
を含む、酸化還元燃料電池を動作させるための方法が提供される。
【0057】
本発明の方法は、その様々な実施形態、好ましい例、および代替例の全ての形にある本発明の燃料電池を動作させるのに使用してもよく、本明細書がそのような燃料電池の任意の特徴について記述する場合は、その特徴が、本発明の方法における好ましいまたは代替の方法の特徴であってもよいことが、特に思い描かれることが理解されよう。
【0058】
本発明の燃料電池は、LPG、LNG、ガソリン、または低分子量アルコールなどの利用可能な燃料前駆体を、水蒸気改質反応を通して燃料ガス(例えば、水素)に変換するように構成された、改質器を含んでいてもよい。次いで電池は、改質された燃料ガスをアノード領域に供給するよう構成された燃料ガス供給デバイスを含んでいてもよい。
【0059】
電池のある適用例では、燃料、例えば水素を加湿するように構成された燃料加湿器を設けることが望ましいと考えられる。次いで電池は、加湿された燃料をアノード領域に供給するよう構成された燃料供給デバイスを含んでいてもよい。
【0060】
電力を導入するように構成された電力導入デバイスを、本発明の燃料電池に関連付けて設けてもよい。
【0061】
好ましい燃料には、水素;金属水素化物(例えば、燃料そのものとしてまたは水素の提供元として働くことができる、ホウ化水素)、アンモニア、低分子量アルコール、アルデヒド、およびカルボン酸、糖、および生物燃料、ならびにLPGLNGまたはガソリンが含まれる。
【0062】
好ましい酸化剤には、空気、酸素、および過酸化物が含まれる。
【0063】
本発明の酸化還元燃料電池のアノードは、例えば、水素ガスアノードまたは直接メタノールアノード;エタノール、プロパノール、ジプロピレングリコールなどのその他の低分子量アルコール;エチレングリコール;またこれらと、ギ酸、エタン酸などの酸種から形成されたアルデヒドであってもよい。さらにアノードは、細菌種が燃料を消費しかつ電極で酸化されるメディエーターを生成し、または、細菌そのものが電極に吸着されかつ電子をアノードに直接供与する、生物燃料電池型システムから形成されてもよい。
【0064】
本発明の酸化還元燃料電池のカソードは、カソード材料として、炭素、金、白金、ニッケル、金属酸化物種を含んでいてもよい。しかし、費用のかかるカソード材料は避けることが好ましく、したがって好ましいカソード材料には、炭素、ニッケル、および金属酸化物が含まれる。カソードに関するある好ましい材料は、網状ガラス質炭素または炭素繊維、例えば炭素フェルトをベースにした電極である。別の材料は、ニッケルフォームである。カソード材料は、粒状カソード材料の微細分散体から構成されてもよく、この粒状分散体は、適切な接着剤によってまたはプロトン伝導性ポリマー材料によって一まとめに保持されている。カソードは、カソード表面へのカソード溶液の最大限の流れを生成するように設計される。したがってカソードは、成形された流れ制御器または三次元電極からなってもよく;液体流は、電極に隣接して液体チャネルが存在しまたは三次元電極の場合には液体が電極内を流れるように強制される、フローバイ配置構成で管理されてもよい。電極の表面は電極触媒であることも意図されるが、電極表面に堆積した粒子の形をした電極触媒を接着することが有益と考えられる。
【0065】
本発明の燃料電池で利用される、酸化還元対、および任意のその他の補助的な酸化還元対または触媒は、不揮発性であるべきで、好ましくは水性溶媒に可溶である。好ましい酸化還元対は、燃料電池の電気回路で有用な電流を発生させるのに有効な速度で酸化剤と反応すべきであり、かつ水が反応の究極の最終生成物になるように酸化剤と反応すべきである。
【0066】
また、本発明によれば:チャンバーと;電池のカソード領域から、還元された酸化還元メディエーター対をチャンバー内に受容するための第1の入口ポートと;酸化された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域に供給するための第1の出口ポートと;酸化剤の供給を受容するための第2の入口ポートと;チャンバーからの気体、水蒸気、および/または熱をベントするための第2の出口ポートと、第1の入口ポートに流体連絡しているカソード液チャネルと、活性表面を有している多孔質部材とを含み、カソード液チャネルの内部の少なくとも一部は、多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に曝されており:
a)多孔質部材は、5から100ミクロン、またはより好ましくは20から50ミクロンの平均直径を有する細孔を含み;
b)活性表面の少なくとも一部は、親水性材料で形成されまたはコーティングされ;かつ/または
c)多孔質部材の少なくとも一部は、活性表面を除き疎水性材料で形成されている、
カソード液再生システムも提供される。
【0067】
いかなる疑念も回避するために、上記にて提供された本発明の燃料電池の再生ゾーンの特徴のいずれも、本発明のカソード液再生システムで用いることができる。
【0068】
本発明によれば、原動力を車両に提供するための、本明細書に記述される燃料電池の使用も提供される。
【0069】
本発明によれば、電子部品で電力を発生させるための、本明細書に記述される燃料電池の使用も提供される。
【0070】
本発明は、本明細書に記述される少なくとも1つの燃料電池を含む、熱電併給システムも提供する。
【0071】
本発明は、本明細書に記述される少なくとも1つの燃料電池を含む車両も提供する。
【0072】
本発明は、本明細書に記述される少なくとも1つの燃料電池を含む電子部品も提供する。
【0073】
多孔質部材の主な目的の1つは、酸化剤がそこに供給されたときに微細な泡を発生させることである。次いで多孔質部材は、効率的な手法で燃料電池に利用することができる。多孔質部材は、少なくとも部分的に還元された酸化還元対を少なくとも部分的に再生できるような、十分な体積での酸化剤の貫通流が可能であることが意図される。当然ながら、気泡を形成するその他の手段がある。
【0074】
気泡を形成するのに使用される一般的な技法のいくつかには:空気を圧縮して空気を液体流に溶解し、次いでノズルを通して放出し、キャビテーションによって泡を形成し;空気流を液体表面下に送出し、そこで泡を機械的に、例えば撹拌または剪断力によって破壊し;および超音波誘導キャビテーションが含まれる。
【0075】
羽根および気泡噴流を使用して、剪断力により空気を水の流れに導入することによって気泡を発生させるシステムでは、キャビテーションを発生させるためにより高い回転数を用いることがしばしば必要とされる。しかし、電力消費の増加および羽根の腐食またはキャビテーションの発生により引き起こされる振動などの問題が生じる。さらに、そのような技法は、大量の微細な泡を発生させるのに適していない。
【0076】
小さな泡に対する要求とは、植物栽培、養殖、および廃水処理などの多くの工業分野で利用されてきた様々な優れた効果を発揮することである。泡の直径は、その体積に対してその表面積を増加させるため、縮小することが有効であり、それによって、泡とそれを取り囲む液体との間の接触面積が大きくなり;したがって、泡のサイズが縮小されたときに、より急速な物質移動プロセスを行うことができる。
【0077】
しかし、従来型の微細な泡の発生システムを使用するエアレーションシステム、例えば噴射をベースにした拡散システムでは、微細な孔が設けられた場合であっても、気泡が加圧下で細孔を通して噴射されるとき、噴射中の気泡の表面張力によって各泡の体積は膨張しかつ各泡の直径は数ミリメートルにまで増加する。そのような方法は、小さな直径の微細な泡を発生させることの難しさに直面する。そのような方法に関連した別の問題は、細孔の目詰まりであり、システムの効率を低下させる。
【0078】
したがって、これまで知られてきたものよりも、より都合良くかつ効率的な手法で、微細な泡を発生させることが望ましい。
【0079】
一般的な認識は、泡のサイズを縮小するために、そこを通って泡が形成される細孔のサイズを縮小するという単一の要件である。しかし、この認識がなぜ不十分であるかといういくつかの理由がある。
【0080】
これらの理由の第1は、そこを通して泡が形成される基材材料に泡が「固着され」、いくらかの破壊力によって解放されるまで泡は膨らむことである。力は、例えば、泡が発生するときに泡に加えられる浮力、慣性力、または剪断力とすることができる。界面張力は、表面に固着されている泡によって、泡が保持される力を制御する。このように、考慮する必要がある3つの相互作用:
− 液体と固体基材との間の相互作用、γls、[mN/m];
− 液体と気体(即ち、空気)との間の相互作用、γlg、[mN/m];および
− 固体基材と気体(即ち、空気)との間の相互作用、γsg、[mN/m]
がある。
【0081】
これらの力の相対的寄与は、泡の成長の性質、および泡を表面から離脱させる容易さを制御する。
【0082】
上記に加え、泡の成長の速度
【0083】
【数1】


は、穴のサイズとは無関係であるが、下式
【0084】
【数2】

式(1)
のように表すことができる。上式で、Fは、穴を通過する気体の流量であり、rは泡の半径である。これは、泡が小さくなるほど成長速度が速くなることを示唆しており、このことは、直径30ミクロンの単一の穴を通る泡の急速な成長を示す図1から明らかにわかる。
【0085】
泡は、穿刺されまたは焼結された材料の表面で、ほぼ瞬間的に形成されることが観察された。気泡が穴から液体中に現れるにつれ、泡の形状は、図1に見られるような半径(r)、高さ(h)の球状のキャップの形を帯びる。したがって泡の体積は:
【0086】
【数3】

式(2)
によって与えられる。
【0087】
二分コード間には幾何学的関係が存在し、
【0088】
【数4】

式(3)
のように式(2)を単一変数hに変換することが可能である。
【0089】
泡の体積成長速度dV/dtは、一定の差圧ΔP=P−Pであるとすると、穴を通る気体の流量Fに等しい。
【0090】
微分恒等式:
【0091】
【数5】

式(4)
【0092】
式(4)は、泡の線形成長速度を与えるのに使用することができる:
【0093】
【数6】

式(5)
【0094】
式(5)の数値解は、図2に見られるように、泡の半径の成長速度を与える。図2に示される分析は、穿刺されまたは焼結された材料の表面で泡がほぼ瞬間的に形成されるという観察内容と矛盾がない。初期条件r=15μmから0.01秒での半径250μm(直径0.5mm)に至る、泡の半径の極めて急速な成長を見ることができる。この後、比較的安定した成長速度が得られる。したがって式(5)の解も、観察内容と矛盾がない。
【0095】
ヤング−ラプラス方程式から、泡の内部での最大圧力ΔPは、泡がその最小半径rにあるときに実現されることがわかる:
【0096】
【数7】

式(6)
上式で、γは、液/気界面張力である。
【0097】
泡の最小半径は、泡が、この泡が通過する穴と同じ半径の半球である場合に生じ、したがって泡の中の最大圧力点を構成し;これは、ブレークスルー圧力として知られている。
【0098】
泡が大きく成長し過ぎる前に、基材の表面から液体中に泡を除去するための、手段および方法を提供することが望ましい。例えば、100ミクロン以下、好ましくは50ミクロン以下の直径を有する微細な泡を発生させることが望ましいと考えられる。
【0099】
本発明者らは、泡のブレークスルー圧力に到達したときに空気の流れFを停止した場合、穴の残留圧力が泡を小さなサイズに膨らませ、その後、表面から切断され、その後、流れが再開すると仮定した。
【0100】
空気のリザーバーは、深さδおよび半径rの、泡を供給する細孔内に形成されると考えられる。ボイルの法則から、初期状態および泡のブレークスルー、添え字「0」は、最終状態、添え字「1」に関連付けることができる:
=p 式(7)
【0101】
初期および最終状態の体積は:
【0102】
【数8】

式(8)
によって与えられる。
【0103】
可能性ある泡のサイズは、式(6)、(7)、および(8)を組み合わせることによって決定することができ、単純化によって、不完全三次式:
【0104】
【数9】

式(9)
の形を取る関係が与えられる。上式で、δは穴の長さ/深さ(即ち、基材の厚さ)であり、rは、そこを通って泡が形成される穴の半径であり、rは最終的な泡のサイズである。
【0105】
式(9)の解は、rおよびδの値に明らかに依存する。r=15μmおよびδ=70μmという典型的な値では、式(9)の解は、r=30μm、穴のサイズの2倍であるが所望の範囲内にある泡を与える。表1は、平衡に達したときに泡が形成されることになる、解の範囲を示す。これらの最終的な値は、大量に形成された場合に良好な物質移動をもたらす可能性があるサイズの全てである。
【0106】
【表1】

【0107】
本発明者らは、泡のブレークスルー点で気体流を停止するための手段について検討した。典型的な多孔質要素には何万もの穴があるので、各穴において個々に流れを停止されることは極めて複雑に見える可能性がある。
【0108】
− 振動またはパルス化気体流;
− 圧力のピークおよびトラフを引き起こす、スピーカーなどの可聴周波数アクチュエーターの使用;
− 気体が流れたときに穴の後方を開放し閉鎖することができる柔軟な膜;および
− 成長の膨張段階中に流れを制限するオリフィスプレートの使用
を含む、いくつかの代替経路が考慮された。
【0109】
多孔質部材および/またはデバイスは、内部を通過する複数の穴を有する基材を含んでいてもよく、各穴は気体入口および気体出口を含むものであり、気体出口の幅は、気体入口の幅よりも大きい。
【0110】
流れを制限する目的で入口サイズよりも大きい出口サイズを有するオリフィスの使用は、求められている性質を提供することがわかった。泡はブレークスルー圧力を超えて膨張するので、空気の供給はオリフィスの制限によって限定される可能性があり、したがって式(1)における流れの項Fは減少し、その結果、泡の成長速度が減速する。このように、大量の微細な泡を発生させる能力を保持しながら泡のサイズを最小限に抑える方法が、提供される。デバイスの複雑さは、微細な泡を発生させるための主要な技法としてキャビテーションを用いるような、公知のデバイスの場合よりもずっと少ない。
【0111】
デバイスに関しては、各穴の断面形状は、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、および十角形から選択される1種であってもよい。当然ながら、本発明の機能を発揮するには、その他の幾何形状も等しく有効となり得ることが理解されよう。円形断面は、いくつかの実施形態において、微細な泡を発生させる際に特に有効である。
【0112】
デバイスは、多孔質部材であってもよく、またはそのように見なしてもよい。多孔質部材は、酸化還元燃料電池などの適用例、特にそのような電池の再生システムで利用されてもよい。
【0113】
気体出口の幅は、気体入口の幅より一桁大きくてもよい。典型的には、出口の直径は、所望の泡の直径の半分の直径より小さくてもよい。入口の直径は、気体流が阻止されるように十分小さくあるべきである。この作用は、入口の直径が出口の穴の直径の1/10(0.1)から1/5(0.2)である場合に特に見られる。直径が、2ミクロンから10ミクロンの範囲にある気体入口の幅と、20ミクロンから50ミクロンの範囲にある気体出口の幅が、特に有効である。穴の開いた表面の端から端までの幾何形状が一貫していることは、デバイスの有効な性能に極めて重要と考えられ;したがって、10%以下のばらつきが好ましく;より具体的には1%未満のばらつきが望ましいと考えられる。
【0114】
穴は、気体入口から気体出口に向かって一様にテーパー状にされていてもよい。液−固界面張力に応じて、穴の形状は、穴への液体の進入を防ぐことができる。例えば、開放円錐構造を有する疎水性基材は、液体の進入を防ぐことが望ましいと考えられる。
【0115】
穴は、気体入口から気体出口に向かって不規則にテーパー状にされていてもよい。
【0116】
基材上の穴の密度は、400から10000穴/cmに及んでいてもよい。穴の密度は、圧力降下と泡の合体との間のバランスをとった結果である。泡の発生頻度が高くなるほど、泡は、穴の充填密度が高い場合により合体し易くなる。1,000から2,500穴/cmという穴の密度は、正方形のピッチを使用する場合に特に好ましい。千鳥形のピッチも、泡の分離を最大限にするのに使用されている。六角形およびその他のピッチが有効である。当然ながら、その他の幾何形状のピッチは、本発明の機能を発揮するのに等しく有効と考えられることが理解されよう。
【0117】
基材の厚さは20から1,000ミクロンに及んでもよく;この厚さは、空気のリザーバーが増加するにつれて最終的な泡の直径に影響を及ぼすことになる。好ましい範囲は50から100ミクロンであってもよい。当然ながら、本発明の異なる適用例では、基材のその他の厚さがより適切である可能性があることが理解されよう。
【0118】
気体出口の幅は、所望の泡のサイズの幅の約半分であってもよく、所望の泡のサイズは、50から100ミクロンに及んでいてもよい。
【0119】
基材は、穴の気体出口に向かって活性表面を有していてもよい。活性表面は、泡が分散されている液相に接触している表面である。液相を引き付ける活性表面、例えば水性液体の場合に親水性表面を有することは、液体が小さな泡を生成するのに有利であるが、それは形成される泡の下を液体が好ましく流れ、かつ液体が泡を表面から持ち上げ、それによって微細な泡の発生が増強されるからである。
【0120】
泡が形成される表面を湿潤させることは、有意であるとすることができる。このために、活性表面の少なくとも一部を親水性材料で形成しまたはコーティングしてもよい。親水性表面は、泡が成長すると液体を泡の「下に進入」させ、泡が持ち上がるように、したがってより小さな泡が発生するようになされる。
【0121】
穴の気体入口に向かう表面の少なくとも一部は、疎水性材料で形成されまたはコーティングされてもよい。さらに、または代わりに、穴の内部の少なくとも一部は、疎水性材料でコーティングされていてもよい。疎水性材料は湿潤状態にならず、したがって、デバイスが活動状態にない場合の穴への液体の進入または気体側への液体の横断は、気体の圧力下で妨げられ、最小限に抑えられたブレークスルー圧力要件で急速な始動が可能になる。
【0122】
基材は、細長い部材であってもよい。細長い部材は、酸化還元燃料電池におけるカソード溶液の再生などの適用例に、特に適切である可能性がある。
【0123】
気体出口は、活性表面から突出しているリップを含んでいてもよい。リップは、出て来る泡を、液体流の層状境界層でより高く持ち上げるように、かつ泡を固体基材から剥離する剪断応力を増大させるように、作用することができる。当然ながら、基材は、その泡の剥離能力を改善することができるよう柔軟であってもよい。
【0124】
デバイスは、焼結ガラスまたは金属粉、プラスチック、多孔質膜、メッシュ、および穴開けされまたは穿刺されたシートの1種または複数を含んでいてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、デバイスは、ステンレス鋼箔および/またはポリイミドフィルムを含むことが好ましいと考えられる。これらの材料は、その能力/性質が本発明の意図される機能に適している薄いシート/基材として、容易に形成することができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、気体入口から気体出口に向かうテーパーの角度は、各穴の長軸に対するものであり、約6°から26°に、好ましくは約10°から15°に及ぶと考えられる。そのような角度は、オリフィスの直径と組み合わせれば、泡の形成に利用可能な気体のリザーバーを限定することによって、泡のサイズの形成に対して優れた制御をもたらす。
【0127】
各穴は、切頭円錐形であることが特に有利と考えられる。
【0128】
− 基材を提供するステップと;
− 基材の所定の位置に、所定の幅の穴を穿孔するステップと
を含む、微細な泡を発生させるためのデバイスを製造する方法が開示される。
【0129】
基材における穴の位置の選択は、基材表面の泡の合体を防止するのに重要と考えられる。十分に設計された分布パターンによって、泡を形成しかつ液体中に放出することが可能になり、形成プロセス中にその他の泡は衝突することがない。穴のランダムな分布は、設計製作されたこのレベルの制御を必ずしも可能にするわけではない。
【0130】
基材を穿孔するステップでは、レーザーを使用してもよい。レーザーは、穴の位置およびサイズに関して基材を穿孔する精密な方法を提供する。これは、レーザー加工を使用したマスターテンプレートの形成、次いで電気メッキまたは電着によるスパージ要素の大量生産よると考えられる。
【0131】
− 請求項(本明細書に定義される)のいずれかによるデバイス/多孔質部材を提供するステップ;
− 穴に液体を供給するステップ;および
− 各穴の気体入口を介して穴の内部に気体を送り出すステップ
を含む、微細な泡を発生させる方法も開示される。
【0132】
いくつかの実施形態では、液体は、液体の流れが誘導されるように、穴を横断して供給されることが好ましいと考えられる。これは、得られる泡のサイズを著しく縮小することができる。液体流によって提供された、形成された泡に対する粘性抵抗は、気体と液体との間の浮力よりも著しく大きな力である。粘性抵抗は、接着形態の界面張力をより急速に克服し、したがって、より小さい泡が形成される。
【0133】
上述の泡を発生させるためのデバイスには様々な適用例があるが、特に有効な適用例は、例えば酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムでの、デバイスの使用である。
【0134】
間接型または酸化還元型の燃料電池において、酸化剤(および/または、場合によっては燃料)は、電極で直接反応せず、代わりに還元形態(燃料に関しては酸化形態)の酸化還元対と反応して酸化され、この酸化種がカソードに送り出される。
【0135】
酸化還元対を酸化するこのステップには、いくつかの制約がある。酸化還元対の酸化は、カソードを通るカソード液の流量の低減によってエネルギー生成の速度が低下することになるので、できる限り急速に生じるべきである。エネルギー生成の速度は、酸化還元対の酸化ができる限り完全な状態にはなっていない場合、即ち、酸化還元対のかなりの割合が酸化されていない場合にも低下することになる。カソード溶液中に存在する酸化還元対を急速にかつ完全に酸化する装置の提供は、酸化ステップが行われるときに消費されるエネルギーが比較的少なくなることを確実にするという必要性によって取り組まれており、そうでない場合には、燃料電池の全体的な発電性能が低下することになる。さらに、酸化還元対を酸化するのに使用される装置は、特に燃料電池が可搬的なまたは自動車の適用例での使用が意図される場合、できる限りコンパクトであるべきである。
【0136】
これらの矛盾する要件のバランスをとる必要があるため、特に自動車の適用例および熱電併給システムでは、電池性能が非効率的になる。
【0137】
微細な泡を発生させるためのデバイスは、多孔質部材とすることができる。
【0138】
酸化還元燃料電池の動作中、カソード液は、電池のカソード領域内を、カソードと流体連絡をとる状態で流れることにより提供されてもよい。酸化還元メディエーター対は、電池の動作中にカソードで少なくとも部分的に還元され、かつカソードでのそのような還元後に酸化剤と反応することによって、少なくとも部分的に再生される。酸化還元メディエーター対の少なくとも部分的な再生は、再生ゾーンで行われる。特に、多孔質部材の活性表面を通過する酸化剤と、多孔質部材に向かってまたは隣接して流れるカソード液との界面面積は、広い。酸化還元メディエーター対の再生は、この点で開始され、カソード液がその内部に取り込まれた酸化剤と共に再酸化ゾーンを通過する際に継続する。
【0139】
好ましい配置構成では、チャネル壁の少なくとも一部は、カソード液チャネルの内部が多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に曝されるように開放していてもよい。
【0140】
多孔質部材は、少なくとも部分的に還元された酸化還元対を少なくとも部分的に再生できるように、即ち酸化できるように、十分な体積での酸化剤の貫通流を可能にする、任意の多孔質材料で形成されていてもよい。
【0141】
チャンバーと;電池のカソード領域から、還元された酸化還元メディエーター対をチャンバー内に受容するための第1の入口ポートと;酸化された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域に供給するための第1の出口ポートと;酸化剤の供給流を受容するための第2の入口ポートと;チャンバーからの気体、水蒸気、および/または熱をベントするための第2の出口ポートとを含み、カソード液チャネルは第1の入口ポートに流体連絡しており、本明細書に定義されるデバイスは活性表面を有しており、カソード液チャネルは、カソード液の流れを活性表面に隣接させてまたは向けてその方向を定めるものである、酸化還元燃料電池用のカソード液再生システムも開示される。
【0142】
デバイスは、5から100ミクロン、好ましくは20から50ミクロンの平均直径を有する穴を含んでいてもよい。
【0143】
「カソード領域」とは、その片側が膜電極アセンブリーのカソード側と境界を接している、電池の部分を意味する。あるいは、または同様に、「カソード領域」は、電池の動作中に内部を流れるカソード液の少なくとも一部が膜電極アセンブリーのカソード側に接触する、電池の部分と考えてもよい。
【0144】
同様に、「アノード領域」とは、その片側が膜電極アセンブリーのアノード側に境界を接している電池の部分を意味する。
【0145】
微細な泡の発生デバイス(多孔質部材)の性能を高めるため、具体的には内部を通過する酸化剤の表面積は、最大限になるように形成されまたは修正されてもよい。例えば、細孔(穴)の位置およびサイズは、小さな/微細な気泡の放出が促進されるように制御することができる。さらに、多孔質部材に向かうまたは通るカソード液/液体の流れは、気泡が成長する時間に達する前に、小さな気泡の放出を促進させることになる。泡の急速な除去は、真新しいカソード液を多孔質部材の活性表面に接触させることができるので有利である。
【0146】
典型的には、平均的な泡のサイズの直径は、1から1000ミクロンの範囲にある。好ましくは、形成された泡のサイズはより小さく、例えば直径が150ミクロン以下、1から100ミクロン、最も好ましくは直径が25から50ミクロンである。これらの好ましい範囲内に包含される平均直径を有する泡の流れを実現するには、目標とする泡の直径の1/3から1/10の直径を有する細孔が、提供されるべきである。
【0147】
泡の急速な除去は、多孔質部材の表面を親水性材料でコーティングすることによってまたは多孔質部材の活性表面を親水性材料で形成することによって、多孔質部材の表面を親水性にすることにより、促進させることもできる。多孔質部材の活性表面に親水性材料が存在することにより、形成された泡を、疎水性表面から放出されるよりも容易に放出させることになる。好ましくは、そのような材料は、46ダイン/cmよりも大きな表面エネルギーを有することになり、かつ/またはヒドロキシル基などの親水性基を含んでいてもよい。そのような材料の例は、アセテートレーヨンである。さらに、または代わりに、許容される親水性は、金属表面を処理することによって実現することができる。そのような処理された金属表面には、アニールされたオーステナイトステンレス鋼、レーザーまたはプラズマコーティングされたステンレス鋼、または酸化物もしくは窒化物で変性させた表面コーティングが含まれる。
【0148】
多孔質部材へのカソード液の進入は、酸化剤の貫通流を遮断することになるので、即ちそのカソード液の酸化速度が低下することになるので、好ましくないと考えられることが理解されよう。この問題を克服するために、多孔質部材は、疎水性の材料で形成されていてもよく、カソードチャネルに曝される表面のコーティングは親水性である。多孔質部材を形成することができる疎水性材料の例には、ポリテトラフルオロエチレン、ハロゲン化有機ポリマー、シリコーンポリマー、およびポリテンやポリプロピレンなどの炭化水素ポリマーが含まれる。さらに、または代わりに、最大細孔サイズは、多孔質部材を通過する酸化剤がない場合であっても、カソード液の表面張力によって多孔質部材に進入しないように十分小さくすることができる。
【0149】
多孔質部材、特にその活性表面の細孔は、当業者に公知の任意の技法を使用して形成されてもよい。好ましい実施形態では、細孔は、レーザー加工または電鋳によって生成される。
【0150】
カソード液チャネルおよび多孔質部材は、カソード溶液中の酸化還元対が少なくとも部分的に再生されることを条件に、任意の方法で配置構成されてもよい。
【0151】
ある配置構成では、多孔質部材は細長い部材であってもよい。好ましい実施形態では、多孔質部材は実質的に円筒状または管状である。1つまたは複数の多孔質部材を、本発明の燃料電池で用いてもよい。
【0152】
あるいは、カソード液チャネルは、多孔質部材の周りに巻き付くチューブとして、多孔質部材と同軸のチャネルとして、または多孔質部材の周りの環として設けてもよい。そのような配置構成では、チャネル壁は、その長さの実質的に全てに沿ってまたはその長さの一部に沿って開放されて、カソード液チャネルの内部が多孔質部材の活性表面の一部に曝された状態になっていてもよい。酸化剤は、陽圧で多孔質部材の内部に供給され、酸化剤を、多孔質部材の外面を通過させてカソード液チャネル内に入れることができる。
【0153】
代替の配置構成では、カソード液チャネルは、多孔質部材内に形成されてもよい。カソード液チャネルは、線形であっても螺旋形であってもよい。これらの配置構成では、多孔質部材の活性表面が多孔質部材の内面に設けられ、酸化剤は多孔質部材内を内向きに、内側の活性表面を通ってカソード液チャネル内へと通過する。
【0154】
ある実施形態では、カソード液チャネルの内部が、その円周の全体ではないとしてもその大部分に沿って多孔質部材の活性表面に曝されている場合、活性表面へのカソード液の曝露が最大限になるように、したがって酸化還元対の酸化が最大限になるように、燃料電池の再生ゾーンが好ましくはカソード液回転手段を含んでいてもよいことが、最も好ましい。回転手段は、チャネル内にカソード液の螺旋流を通すために、オフセット液体入口を含むことができる。さらに、または代わりに、回転手段は、例えば螺旋状の突起物を用いた、チャネル内を通る回転流を誘導するための分岐部材を含んでいてもよい。
【0155】
他の配置構成では、再生ゾーンは、チャンバーの1つまたは複数の壁を画定する略平面状の多孔質部材を含んでいてもよい。カソード液チャネルの開放端は、カソード液チャネルから出て行くカソード液の流れが、確実に、多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に向かって方向が定められまたその少なくとも一部を通って流れるように、設けられる。これは、カソード液チャネルの開放端を、平面状多孔質部材に実質的に隣接させて、または多孔質部材から少し離すがこの多孔質部材に向かうよう位置付けることによって、実現することができる。
【0156】
再生ゾーンを通るカソード液の流量は、好ましくは比較的高い。好ましい実施形態では、カソード液の流量は、多孔質部材の活性表面に接触するときまたはこの活性表面に隣接して通過するとき、少なくとも約0.2m/sである。特に好ましい実施形態では、カソード液の流量は、多孔質部材の活性表面に接触するときまたはこの活性表面に隣接して通過するとき、約0.5から約1.5m/sである。
【0157】
多孔質部材(デバイス)を通る液体への空気のスパージは、カソード液中に気泡を誘発させ、泡沫を形成することができる。微細な空気(酸化剤)の泡は、広い表面積を提供して酸素の移動を促進させ、液体触媒/メディエーター系の所望の酸化も提供する。
【0158】
デバイスは、所与の量の反応に関してより小さな接触体積しか必要とせず、したがってより小さくより可搬性のある再生器を構築することができるので、再生システムで有利に用いることができる。
【0159】
次に本発明の様々な態様について、本発明の実施形態を例示する以下の図を参照しながらより具体的に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】従来成形されていた穴から生じたときの気泡の概略図である(従来技術)。
【図2】固定された供給流(7μl/s)および直径30μmの穴のサイズに関する泡の成長のグラフである。
【図3】概略図(側面図)形をとる本発明の実施形態と、円錐形の穴を通した泡の形成に関する記述式を示す図である。
【図4】本発明の実施形態により形成されたデバイスの平面図である。
【図5】レーザーの入口(気体出口)から示される、基材に形成された穴の平面図である。
【図6】レーザーの出口(気体入口)から示される、基材に形成された穴の平面図である。
【図7】静水での、微細な泡の形成を示す写真である。
【図8】誘導された液体による、微細な泡の形成を示す写真である。
【図9】本発明を使用した、ポリオキソメタレート中の泡の形成を示す写真である。
【図10】本発明による、燃料電池を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0161】
図3を参照すると、円錐形の穴を通した穴の形成に関する概略図(側面図)および記述式が示されている。本発明者らは、円錐台形として作製された穴によって流れを制限するためのオリフィスの使用によって、本発明により求められる性質を生み出すことができることを見出した。泡がブレークスルー圧力を超えて膨張するにつれ、空気の供給は、オリフィスの制約によって限定されることになり、したがって、式(1)中の流れの項Fは減少し、成長速度は減速する。ブレークスルー点の概略的な表示は、オリフィスを通る流量および泡の成長速度に関する記述式と共に図3に示され、この式において:
F=気体の流量=泡における体積の変化率=dV/dt
=気体入口の穴の半径
=泡の半径
=気体出口の穴の半径
=気体の入口圧力
=泡の内部の圧力
ΔP=オリフィス圧力降下
ΔP=泡の両端間での圧力降下=内圧−外圧
ΔP=液体流圧力降下
=液体の流れの特徴的寸法
R=パイプ流の半径
d=パイプ流の直径
=オリフィス放出係数
t=時間
dU/dy=液体の歪み率=速度プロファイル
=オリフィス断面積
ρ=気体密度
γ=界面張力
τ=粘性剪断応力
μ=液体粘度
π=3.1415927
である。
【0162】
本発明を実用的なスパージプレート(デバイス)に具体化するために、上記設計式を使用して、円錐台形に穴開けされた入口および出口のサイズを計算し、空気の流量を得た。典型的な値を、以下の表2に示す。
【0163】
【表2】

【0164】
この概念を証明する試験片を、レーザー穴開け技法を使用して、70μmの316ステンレス鋼箔から作製した。穴開け技法の一部として、リップを、4μmの穴のレーザー進入側、気体出口側に形成した。気体出口側の周りのリップは、液体流の層状境界層で泡をより高く持ち上げるので有益なものであり、固体基材から泡を離脱させる剪断応力を増加させる。
【0165】
図3は、気体入口(7)および気体出口(9)を含む、内部を通過する少なくとも1つの穴(5)を有する細長い基材(3)を含む、一般に(1)で示される微細な泡を発生させるためのデバイスの側面図を示し、気体出口(9)の幅は、気体入口(7)の幅よりも大きいものである。
【0166】
穴(5)は、その構造が円錐状であり、気体入口(7)から気体出口(9)に延びる、傾斜の付いた壁(11)を有する。この実施形態の傾斜(穴のテーパー)は、一様である。図3の概略的表示において、壁(11)は、穴(5)の長軸に対して15°の角度で傾斜する。
【0167】
空気が穴(5)を通るにつれ、泡(13)が、穴(5)の気体出口(9)に形成される。
【0168】
図4を参照すると、図1のデバイス(1)の平面図が示される。デバイス(1)は、316ステンレス鋼から形成された基材(3)を含む。基材(3)は、それぞれが50ミクロンのサイズである36個の穴(5)を含む。この図は、縮尺に合わせて示されていない。穴(5)は、6×6の正方形のパターンで配置構成される。
【実施例】
【0169】
本発明の実用的な実施形態を、一定の空気供給を用いて、アクリルブロックに載置され封止されたレーザー穴開けステンレス鋼プレートの10mm×10mmの切片を使用して試験した。試験片の入口および出口の穴は、SEMを使用して検査した(図5および6を参照されたい)。気体入口(入口)の穴を3.3μmで測定し、気体出口(出口)の穴を19.1μmで測定した。
【0170】
試験プレートを水平に載置した。250mbarの空気圧力を試験プレート(小さい穴)に加え、蒸留水を加えて表面を覆った。泡の形成を観察し、写真に撮った。泡は表面に蓄積され合体した。穴を横断する水流を、洗浄ボトルの蒸留水を使用して誘発させ;再び泡の形成を観察し、写真に撮った。非常に微細な泡が、誘発された水流により観察された。
【0171】
これらの実験を、還元されたポリオキソメタレート(0.3M溶液)を使用して繰り返した。
【0172】
図7および8に示される写真から、相対スケールを使用して、誘発された水流下の泡が、直径50μm程度のものであると推定した。図7では、水泡が表面で崩壊しており、微小な水滴を水の表面上に見ることができる。図8では、1mmの表面の泡も見ることができる。
【0173】
図9に示される写真から、POMによる測定は、直径が75μmから100μm程度のより大きな泡を示した。しかし、POMの不透明な性質により、表面の泡だけしか観察できず、これらは水による実験の場合と矛盾がないものであった。
【0174】
図10を参照すると、本発明による燃料電池101が示される。電池は、2つの主な構成要素:燃料電池スタック201と、再生器セクション301とを含む。示される燃料スタック201は、4つの1/2膜電極アセンブリーおよびカソード401を含む。各膜電極アセンブリーおよびカソード401は、その隣接する膜電極アセンブリーおよびカソードから、双極性プレートによって分離され、このプレートは、燃料(アノード側の場合)を電池の動作中に電極表面の端から端まで拡散させる流動チャネルと、当技術分野で周知の手法でカソード電極およびカソード液(カソード側の場合)を位置付けるウェルとを含むことになる。燃料電池スタックの各端部には、単極性分離プレートが設けられている(拡散チャネルが、アノード用にその片側にのみ設けられ;その面は電極に面し、カソードウェルはカソード用に設けられることを意味する)。図10は、その構成、アセンブリー、および機能が当技術分野で周知であるので、これらのプレートを示そうとするものではない。
【0175】
カソード液チャネル601が図10に概略的に示され、矢印は、電池を巡る燃料の流れの方向を示す。
【0176】
カソード液は、再循環ポンプ701を通してライン501で燃料スタックに供給され、回収され、カソード液の酸化還元メディエーター対成分は、電池の動作中にカソードで少なくとも部分的に還元されている。少なくとも部分的に還元された酸化還元メディエーター対を含有するカソード液は、回収され、第1の入口ポート901を通して再生チャンバー801に供給される。再生チャンバー801には、第2の入口ポート1001で、酸化剤;この場合は空気の流れが、さらに供給される。酸化剤は、多孔質部材1201を通過して、隣接するチャネル(図示せず)の内部に入り、その中を通る少なくとも部分的に還元されたカソード液に接触する。電池の動作中に再生チャンバー内に溶液として流入する酸化還元対は、本発明では、下式(式中、Spは酸化還元対種である。):
+4Spred+4H→2HO+4Spox
に従って、酸素を還元するための触媒として使用される。
【0177】
再生されて酸化状態にある酸化還元対を含有するカソード溶液は、第1の出口ポート1101を通して再生チャンバー801から回収され、再循環ポンプ701を通してライン501に直接供給することができる。水蒸気の一部または全てを凝縮器で凝縮し、電池の湿度のバランスの維持を助けるためにデミスター(図示せず)を介してカソード溶液に戻すことができる。
【0178】
電池の動作中、燃料ガスの酸化によってアノードで発生した電子は、周知の手法で電気回路(図示せず)を流れ、カソードに戻る。
【0179】
下記の実施例は、本発明の燃料電池の可能性ある利益についてさらに示す。
【実施例1】
【0180】
30個の電池と、8個の並列再生器モジュールを含む再生器ゾーンと含む、燃料電池システムを調製した。各モジュールは、細孔サイズが50ミクロン程度である直径26mmの管状多孔質要素を含有していた。カソード液の流量は0.3m/sであった。カソード液が多孔質部材を通った後、カソード液は、内径32mmおよび長さ200mmの開放チューブの形をした膨張ゾーンに流入した。このシステムは、1.5kWの電気出力を生み出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元燃料電池であって、
イオン選択性ポリマー電解質膜によって分離されたアノードおよびカソードと;
電池のアノード領域に燃料を供給するための手段と;
電池のカソード領域に酸化剤を供給するための手段と;
電池のアノードおよびカソードのそれぞれの間に電気回路を設けるための手段と;
少なくとも1種のカソード液成分を含み、酸化還元メディエーター対を含むカソード溶液と;
カソード液チャネル、および活性表面を有する多孔質部材を含む再生ゾーンとを含み、カソード液チャネルが、活性表面に隣接してまたは活性表面に向かってカソード溶液の流れの方向を定めるように配置されており、電池に酸化剤を供給するための手段が、多孔質部材に酸化剤を供給するように適合されている、
酸化還元燃料電池。
【請求項2】
カソード液チャネルを画定する壁の少なくとも一部が開放されて、カソード液チャネルの内部が多孔質部材の活性表面の少なくとも一部に曝されている、請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
多孔質部材が、焼結ガラス、金属粉末、多孔質膜、メッシュ、および穴開けされまたは穿刺されたシートの1つまたは複数を含む、請求項1または2に記載の燃料電池。
【請求項4】
多孔質部材の活性表面の平均細孔サイズが5から100ミクロンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項5】
多孔質部材の活性表面の平均細孔サイズが20から50ミクロンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項6】
活性表面が、親水性材料で形成されまたはコーティングされている、請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項7】
活性表面を除く多孔質部材が疎水性材料で形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項8】
多孔質部材が細長い部材である、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項9】
多孔質部材が円筒状および/または管状である、請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項10】
多孔質部材が、内部を通る複数の穴を有する基材を含み、各穴が気体入口および気体出口を含んでおり、気体出口の幅は気体入口の幅よりも大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項11】
各穴の断面形状が、円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、および十角形から選択される1種である、請求項10に記載の燃料電池。
【請求項12】
気体出口の幅が、気体入口の幅よりも一桁大きい、請求項10または11に記載の燃料電池。
【請求項13】
穴が、気体入口から気体出口に向かって一様にテーパー状になっている、請求項10から12のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項14】
穴が、気体入口から気体出口に向かって不規則にテーパー状になっている、請求項10から12のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項15】
基材上の穴の密度が400から10000穴/cmに及ぶ、請求項10から14のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項16】
基材が正方形のピッチを有し、基材上の穴の密度が1000から2500穴/cmに及ぶ、請求項10から15のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項17】
基材の厚さが約20から1000ミクロンに及ぶ、請求項10から16のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項18】
基材の厚さが約50から100ミクロンに及ぶ、請求項10から17のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項19】
気体入口の幅が、気体出口の幅の約0.1から0.2倍に及ぶ、請求項10から18のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項20】
平均的な気体入口の幅が、約2から10ミクロンに及ぶ、請求項10から19のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項21】
平均的な気体出口の幅が、約5から100ミクロンに及ぶ、請求項10から20のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項22】
平均的な気体出口の幅が、約20から50ミクロンに及ぶ、請求項10から21のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項23】
気体出口および/または気体入口の幅のばらつきが、基材の長さの端から端までで10%以下、好ましくは1%未満である、請求項10から22のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項24】
気体出口の幅が、所望の泡のサイズの幅の約半分であり、好ましくは所望の泡のサイズが50から100ミクロンに及ぶ、請求項10から23のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項25】
基材が、穴の気体出口に向かって活性表面を有する、請求項10から24のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項26】
活性表面の少なくとも一部が、親水性材料で形成されまたはコーティングされている、請求項10から25のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項27】
穴の気体入口に向かう表面の少なくとも一部が、疎水性材料で形成されまたはコーティングされている、請求項10から26のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項28】
穴の内部の少なくとも一部が疎水性材料でコーティングされている、請求項10から27のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項29】
気体出口が、活性表面から外に突出しているリップを含む、請求項10から28のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項30】
ステンレス鋼箔および/またはポリイミドフィルムを含む、請求項10から29のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項31】
各穴の断面形状が円形であり、気体入口および気体出口の幅が、気体入口および気体出口の直径である、請求項10から30のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項32】
気体入口から気体出口に向かうテーパーの角度が、各穴の長軸に対するものであり、約6°から26°、好ましくは10°から15°に及ぶ、請求項31に記載の燃料電池。
【請求項33】
各穴が切頭円錐形である、請求項31または請求項32に記載の燃料電池。
【請求項34】
カソード液チャネルが、多孔質部材の外面に隣接するチューブとして設けられる、請求項1から33のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項35】
カソード液チャネルが多孔質部材内に形成される、請求項1から33のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項36】
カソード液チャネルに回転手段が設けられている、請求項1から35のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項37】
回転手段が、カソード液チャネルへのオフセット液体入口または分岐部材を含む、請求項36に記載の燃料電池。
【請求項38】
カソード液チャネルが、カソード液の流れの方向で断面積を増加させる、請求項1から37のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項39】
再生ゾーンが、カソード液チャネルに流体連絡する膨張チャンバーをさらに含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項40】
再生ゾーンが、チャネルに流体連絡している分離チャンバーをさらに含む、請求項1から39のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項41】
分離チャンバーが、サイクロン分離器を含む、請求項40に記載の燃料電池。
【請求項42】
多孔質部材が略平面状である、請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項43】
再生ゾーンが、
内部で再生反応が生じるチャンバー;
還元された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域からチャンバー内に受容するための、第1の入口ポート;
酸化された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域に供給するための第1の出口ポート;および/または
酸化剤の供給を受容するための第2の入口ポート;およびチャンバーから気体、水蒸気、および/または熱をベントするための第2の出口ポート
を含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項44】
再生ゾーンの第2の出口ポートの内部または上流に設けられた少なくとも1つのデミスターをさらに含む、請求項42に記載の燃料電池。
【請求項45】
水蒸気を凝縮し、任意選択で、凝縮された蒸気を再生ゾーンに戻すために、再生ゾーンの第2の出口ポートの内部または上流に設けられた凝縮器をさらに含む、請求項44に記載の燃料電池。
【請求項46】
カソード溶液が、酸化剤と、少なくとも部分的に還元された酸化還元メディエーター対との間での電子移動を助けるための酸化還元触媒をさらに含む、請求項1から45のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項47】
酸化還元メディエーター対および/または酸化還元触媒が、存在する場合には:
ポリオキソメタレート化合物;
2価の対イオンを有するポリオキソメタレート化合物;
N−ドナー化合物;
ピロール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、テトラゾール、キノリン、イソキノリンから、および前述の複素環基の1個または複数で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、アルカリル、アルケナリル、アラルキル、アラルケニル基から選択された、少なくとも1個の複素環置換基を含む、多座N−ドナー配位子;
多座大環状N−ドナー配位子;
修飾フェロセン種;
シクロペンタジエニル環同士の間に架橋単位を含む、修飾フェロセン種;および/または
連結された遷移金属錯体
を含む、請求項1から46のいずれか一項に記載の燃料電池。
【請求項48】
イオン選択性ポリマー電解質膜により分離されたアノードおよびカソードを設けるステップ;
少なくとも1種のカソード液成分を含み、酸化還元メディエーター対を含んでいるカソード溶液を提供するステップ;
カソード液チャネル、および活性表面を有する多孔質部材を含む、再生ゾーンを設けるステップ;
カソード溶液の流れを、カソード液チャネルを用いて活性表面に隣接させてまたは活性表面に向けて方向を定めるステップ;
酸化剤を、再生ゾーンの多孔質部材に供給するステップ;
燃料を、電池のアノード領域に供給するステップ;および
電池のアノードおよびカソードのそれぞれの間に電気回路を設けるステップ
を含む、酸化還元燃料電池を動作させるための方法。
【請求項49】
カソード液チャネルを通るカソード溶液の流量が、少なくとも約0.2m/sである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
カソード液チャネルを通るカソード溶液の流量が、少なくとも約0.5から1.5m/sである、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
請求項1から47のいずれか一項に記載の燃料電池を動作させるための、請求項48から50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
熱および電力を組み合わせて発生させるための、請求項1から47のいずれか一項に記載の燃料電池の使用。
【請求項53】
原動力を車両に提供する、請求項1から47のいずれか一項に記載の燃料電池の使用。
【請求項54】
電子部品で電力を発生させる、請求項1から47のいずれか一項に記載の燃料電池の使用。
【請求項55】
請求項1から47のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料電池を含む、熱電併給システム。
【請求項56】
請求項1から47のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料電池を含む車両。
【請求項57】
請求項1から47のいずれか一項に記載の少なくとも1つの燃料電池を含む電子部品。
【請求項58】
チャンバーと;電池のカソード領域から、還元された酸化還元メディエーター対をチャンバー内に受容するための第1の入口ポートと;酸化された酸化還元メディエーター対を、電池のカソード領域に供給するための第1の出口ポートと;酸化剤の供給を受容するための第2の入口ポートと;チャンバーからの気体、水蒸気、および/または熱をベントするための第2の出口ポートと、第1の入口ポートに流体連絡しているカソード液チャネルと、活性表面を有している多孔質部材とを含み、カソード液チャネルは、カソード液の流れを活性表面に隣接させてまたは向けて定めるように配置構成されており:
a)多孔質部材は、5から100ミクロンの平均直径を有する細孔を含み;
b)活性表面の少なくとも一部は、親水性材料で形成されまたはコーティングされ;かつ/または
c)多孔質部材の少なくとも一部は、活性表面を除いて疎水性材料で形成されている、
カソード液再生システム。
【請求項59】
多孔質部材が、20から50ミクロンの平均直径を有する細孔を含む、請求項58に記載のカソード液再生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−521604(P2013−521604A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555492(P2012−555492)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050410
【国際公開番号】WO2011/107794
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512227074)アカル エネルギー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】