説明

燃焼器具

【課題】給気通路と排気通路とが隣接する場合であっても、排気通路内でのドレンの発生を好適に防止する。
【解決手段】給排気筒20において、排気通路5に、給気通路18と連通する連通孔21を形成すると共に、連通孔21よりも燃焼排気の流れの上流側に、給気通路18の内圧よりも排気通路5の内圧を低くして給気通路18内の燃焼用空気の一部を連通孔21を介して排気通路5に導くベンチュリー22を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強制給排気型(いわゆるFF式)を採用した給湯器等の燃焼器具に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器等の燃焼器具には、ファンを設けて給気通路からバーナへの燃焼用空気を強制的に取り込んでバーナへ供給し、バーナの燃焼排気を排気通路から器具外部へ排出する強制給排気型のものが知られている。
例えば特許文献1には、バーナの燃焼排気を排出する排気通路の外周に給気通路を形成した二重管構造の給排気筒を形成し、給排気筒を屋外に突出させて、燃焼用空気の取り込みと燃焼排気の排出とを行うようにした発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−13062号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の発明のように、給気通路と排気通路とが隣接して設けられると、温度の高い燃焼排気と温度の低い外気とが熱交換するため、排気通路内にドレンが発生して白煙化する場合がある。また、ドレンの発生により給排気筒の劣化や腐食の促進に繋がるおそれもある。このドレンは特に温度差が大きくなる冬季に発生しやすい。
【0005】
そこで、本発明は、給気通路と排気通路とが隣接する場合であっても、排気通路内でのドレンの発生を好適に防止することができる燃焼器具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、排気通路に、給気通路と連通する連通孔を形成すると共に、排気通路と給気通路との間に、給気通路内の燃焼用空気の一部を連通孔から排気通路へ移動させる空気導入手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、空気導入手段を、給気通路内の燃焼用空気の流速よりも排気通路内の燃焼排気の流速を速くするものとしたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、空気導入手段を、排気通路の連通孔付近に設けられ、燃焼排気の流れの上流から下流へ行くに従って通路面積が小さくなるベンチュリーとしたことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、連通孔及び空気導入手段が、排気通路の外周に給気通路が形成される二重管構造の給排気筒に設けられることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、熱交換器が、バーナの燃焼排気から顕熱を回収する主熱交換器と、その主熱交換器を通過した燃焼排気から潜熱を回収する副熱交換器とからなり、副熱交換器を通過した燃焼排気が排気通路から排出されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、空気導入手段によって燃焼排気に燃焼用空気を混合することで、燃焼排気の温度を低下させ湿度を下げることができる。よって、給気通路と排気通路とが隣接する場合であっても、排気通路内でのドレンの発生を好適に防止可能となり、白煙防止にもなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、燃焼用空気と燃焼排気との流速の調整によって空気導入手段を簡単に形成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、ベンチュリーによって空気導入手段を簡単に形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、排気通路と給気通路とが隣接する給排気筒を利用して連通孔及び空気導入手段を簡単に設けることができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、本来排気温度が低い潜熱回収型の燃焼器具において燃焼排気の温度をさらに低下させることができる。よって、排気通路の材料に合成樹脂を使用することができ、低コストに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】給湯器の概略構成図である。
【図2】給排気筒の拡大断面図である。
【図3】変更例の説明図である。
【図4】変更例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、燃焼器具の一例である給湯器の概略構成図で、給湯器1は、器具本体2内に、下方に給気ファン4を、上方に排気通路5を夫々備えた燃焼室3を形成して、燃焼室3の内部に、燃料ガスと給気ファン4からの燃焼用空気との混合ガスを燃焼させるバーナ6を備えると共に、バーナ6からの燃焼排気中の顕熱を主に回収するフィンチューブ式の主熱交換器7と、主に潜熱を回収する副熱交換器8とを内設している。ここでは、器具内へ導かれる給水管9を副熱交換器8の伝熱管の入水側に接続して副熱交換器8を主熱交換器7の通水の上流側に配置し、副熱交換器8の伝熱管の出水側を主熱交換器7の伝熱管の入水側に接続して、出湯管10を主熱交換器7の伝熱管の出水側に接続している。
【0010】
また、バーナ6へのガス管11には、ガス比例弁12及び主電磁弁13A、副電磁弁13Bが、給水管9には水量センサ14がそれぞれ設けられて何れもコントローラ15に電気的に接続されている。このコントローラ15には、給気ファン4を駆動させるモータや出湯管10に設けられた温度センサ16も電気的に接続されている。
一方、副熱交換器8の下方には、発生したドレンを受けるためのドレン受皿17が設けられる。このドレン受皿17は、底部を前方へ下り傾斜させたもので、集めたドレンを図示しないドレン排出管から器具外へ排出可能となっている。
【0011】
そして、燃焼室3の外部には、給気ファン4が燃焼用空気を導入するための給気通路18が形成されている。この給気通路18は、燃焼室3の上部では排気通路5の外周で筒状に形成されて、排気通路5を中心とした二重管構造の給排気筒20を形成している。
この給排気筒20は、L字状に折れ曲がって先端を屋外へ突出させるもので、これにより、排気通路5からの燃焼排気の屋外への排出と、給気通路18からの外気(燃焼用空気)の取り込みとが行われるが、ここでは図2に示すように、排気通路5と給気通路18とが完全に分離されず、途中で給気通路18内の外気の一部が排気通路5の燃焼排気に混合されるようになっている。
【0012】
すなわち、排気通路5の途中に、半径方向に一対の連通孔21,21が形成されるもので、この連通孔21,21により、排気通路5は給気通路18と連通している。しかし、通常の給排気筒20では排気側が正圧、給気側が負圧となるため、連通孔21のみの形成では外気は排気通路5に導入されない。そこで、排気通路5における連通孔21,21より上流側の内面には、上流から連通孔21との連通部分へ向かって先絞りとなる空気導入手段としてのベンチュリー22が設けられている。また、排気通路5における連通孔21,21より下流側の内面には、ベンチュリー22の最小径と同じ透孔24を中央に穿設した円盤状の導入部23が設けられている。
【0013】
以上の如く構成された給湯器1においては、出湯管10の下流側に接続された給湯栓を開いて器具本体2内に通水させると、コントローラ15は水量センサ14からの検出信号を得て、図示しないイグナイタを作動させると共に、主電磁弁13A、副電磁弁13B及びガス比例弁12を開いてバーナ6にガスを供給してバーナ6の点火制御を行う。バーナ6の点火後、コントローラ15は、温度センサ16で検出された出湯温度と、コントローラ15に接続された図示しないリモコンで設定された設定温度との差に応じて、ガス比例弁12の開度を制御してガス量を連続的に変化させ、出湯温度を設定温度に一致させる。また、このガス量の変化に応じて給気ファン4の回転数も変化させて、ガス量と空気量との比率を制御する。
【0014】
バーナ6の燃焼により、燃焼排気は主熱交換器7と副熱交換器8とを順に通過して排気通路5から排出されるが、まず高温の燃焼排気が主熱交換器7で熱交換されて顕熱が主に回収される。その後、燃焼排気は副熱交換器8を通過し、この際に副熱交換器8を流れる水と熱交換されることで、主熱交換器7で回収されなかった顕熱が回収される。このとき、燃焼排気の温度が露点以下になるとドレンが発生するため、潜熱も回収可能となる。発生したドレンは、ドレン受皿17で受けられてドレン排出管を介して下水道等へ排出される。
【0015】
このとき給排気筒20においては、給気ファン4の回転に伴い給気通路18を燃焼用空気が流れ(図2の実線矢印)、排気通路5では副熱交換器8を通過した燃焼排気が流れる(図2の点線矢印)。ここで、排気通路5を流れる燃焼排気は、ベンチュリー22を通過する際に速度を増し、連通孔21,21の間から導入部23の透孔24を通って下流側へ流れる。この燃焼排気の増速により、連通孔21,21の間付近での排気通路5の内圧が給気通路18の内圧よりも低くなるため、給気通路18を流れる外気の一部が連通孔21,21から排気通路5内に導入され、そのまま燃焼排気と混合されて下流へ流れる。よって、燃焼排気の温度が低下することになる。
【0016】
このように、上記形態の給湯器1によれば、排気通路5に、給気通路18と連通する連通孔21を形成すると共に、排気通路5と給気通路18との間に、給気通路18内の燃焼用空気の一部を連通孔21から排気通路5へ移動させる空気導入手段(ベンチュリー22)を設けたことで、燃焼排気に燃焼用空気を混合して燃焼排気の温度を低下させると共に、燃焼排気の相対湿度を効率的に低下させることができる。よって、給気通路18と排気通路5とが隣接する場合であっても、排気通路5内でのドレンの発生を好適に防止することができる。従って、ドレンによる劣化や腐食を抑えて長寿命化を図ることができ、白煙防止も期待できる。
【0017】
特にここでは、空気導入手段を、給気通路18内の燃焼用空気の流速よりも排気通路5内の燃焼排気の流速を速くするものとしているので、燃焼用空気と燃焼排気との流速の調整によって空気導入手段を簡単に形成することができる。
また、空気導入手段を、排気通路5の連通孔21付近に設けられ、燃焼排気の流れの上流から下流へ行くに従って通路面積が小さくなるベンチュリー22としたことで、空気導入手段を簡単に形成することができる。
【0018】
さらに、連通孔21及びベンチュリー22が、排気通路5の外周に給気通路18が形成される二重管構造の給排気筒20に設けられるため、排気通路5と給気通路18とが隣接する給排気筒20を利用して連通孔21及びベンチュリー22を簡単に設けることができる。
加えて、熱交換器が、バーナ6の燃焼排気から顕熱を回収する主熱交換器7と、その主熱交換器7を通過した燃焼排気から潜熱を回収する副熱交換器8とからなり、副熱交換器8を通過した燃焼排気が排気通路5から排出されるため、本来排気温度が低い潜熱回収型の給湯器1において燃焼排気の温度をさらに低下させることができる。よって、排気通路5を含む給排気筒20の材料に合成樹脂を使用することができ、低コストに繋がる。
【0019】
なお、連通孔の数や形状、ベンチュリーの形状等は適宜変更可能である。また、上記形態では、連通孔とベンチュリーとの組み合わせを排気通路の一箇所に設けているが、複数箇所に設けてそれぞれの箇所で燃焼用空気の導入を図ってもよい。
さらに、ここでは連通孔とベンチュリーとを二重管構造の給排気筒に設けているが、これに限らず、排気通路と給気通路とが隣接する燃焼器具であれば、本発明は採用可能である。
【0020】
図3はその一例を示すもので、この給湯器1Aでは、器具本体2内で排気通路5と給気通路18とが隣接しており、副熱交換器8の下流側となる排気通路5に、給気通路18と連通する連通孔30が穿設されて、その連通孔30の上流側に、ベンチュリー31が形成されている。
よって、この場合も排気通路5を流れる燃焼排気がベンチュリー31を通過する際に増速し、この燃焼排気の増速により排気通路5の内圧が給気通路18の内圧よりも低くなるため、給気通路18を流れる燃焼用空気の一部が連通孔30から排気通路5内に導入され、そのまま燃焼排気と混合されて下流へ流れる。よって、燃焼排気の温度が低下することになる。
【0021】
但し、ベンチュリーは連通孔の上流側に設けるものに限らず、例えば図4に示すように、ベンチュリー22aが連通孔21を越えて下流側へ突出して形成される場合も、燃焼排気の増速による給気の導入は可能である。これは、図3で説明したように排気通路と給気通路とが隣接して設けられる場合でも同様である。
【0022】
勿論、空気導入手段としてはベンチュリーに限らない。例えば連通孔によって連通する排気通路と給気通路との間に通路面積の差(排気通路が小、給気通路が大)を設けることで内圧の差を設定し、排気通路への燃焼用空気の導入を図るようにしてもよい。
また、本発明の空気導入手段は、連通孔を挟んで流れる燃焼排気と燃焼用空気との分子間力において燃焼用空気を排気通路側へ引き込む力が働けばよい趣旨であるので、上記のような流速の差や内圧の差の設定にとどまらない。例えば給気通路を外側、排気通路を内側に配した二重構造の給排気筒であれば、給気通路内の空気をフィン等で旋回させることで給気通路内の空気を排気通路内に押し入れるように構成したり、給気通路を内側、排気通路を外側に配した二重構造の給排気筒であれば、給気通路内の空気を旋回させ、その遠心力により排気通路内に導くように構成したりすることが考えられる。さらに、隣接する排気通路と給気通路との何れか一方の通路内の流体分子にマイナスイオン発生器等を用いて電荷を印加し、他方の通路に設けた吸着板に通電させることで吸着力を発生させて燃焼用空気の一部を移動させたり、排気通路と給気通路とにコイル等を用いて磁界を発生させ、流体分子を磁化させて燃焼用空気の一部を移動させたりすることも考えられる。
【0023】
そして、上記形態では、主熱交換器と副熱交換器とを具備した潜熱回収型の給湯器に本発明を適用しているが、これに限らず、一つの熱交換器のみを備えた給湯器であっても差し支えない。
その他、燃焼器具も給湯器に限らず、排気通路と給気通路とが隣接して設けられるものであれば、ガスファンヒータ等の他の器具に対しても本発明は採用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1,1A・・給湯器、2・・器具本体、3・・燃焼室、4・・給気ファン、5・・排気通路、6・・バーナ、7・・主熱交換器、8・・副熱交換器、9・・給水管、10・・出湯管、15・・コントローラ、18・・給気通路、20・・給排気筒、21,30・・連通孔、22,22a,31・・ベンチュリー、23・・導入部、24・・透孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体内に、バーナと、そのバーナの燃焼排気に加熱される熱交換器と、その熱交換器を通過した燃焼排気を排出する排気通路と、前記バーナへ燃焼用空気を供給する給気ファンと、前記排気通路に隣接して設けられ、前記給気ファンに燃焼用空気を導く給気通路とを備えた燃焼器具であって、
前記排気通路に、前記給気通路と連通する連通孔を形成すると共に、前記排気通路と前記給気通路との間に、前記給気通路内の燃焼用空気の一部を前記連通孔から前記排気通路へ移動させる空気導入手段を設けたことを特徴とする燃焼器具。
【請求項2】
前記空気導入手段を、前記給気通路内の前記燃焼用空気の流速よりも前記排気通路内の前記燃焼排気の流速を速くするものとしたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼器具。
【請求項3】
前記空気導入手段は、前記排気通路の前記連通孔付近に設けられ、前記燃焼排気の流れの上流から下流へ行くに従って通路面積が小さくなるベンチュリーであることを特徴とする請求項2に記載の燃焼器具。
【請求項4】
前記連通孔及び空気導入手段が、前記排気通路の外周に前記給気通路が形成される二重管構造の給排気筒に設けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の燃焼器具。
【請求項5】
前記熱交換器が、前記バーナの燃焼排気から顕熱を回収する主熱交換器と、その主熱交換器を通過した燃焼排気から潜熱を回収する副熱交換器とからなり、前記副熱交換器を通過した燃焼排気が前記排気通路から排出されることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の燃焼器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44463(P2013−44463A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181818(P2011−181818)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000112015)株式会社パロマ (298)
【Fターム(参考)】