説明

燃焼器内に希釈流を導入する方法及び装置

【課題】燃焼器における吹消えを起こさない希釈剤の供給方法の提供。
【解決手段】1以上の貫通バッフル穴14を有するバッフルプレート12と、1以上の貫通バッフル穴14を貫通して延在する1以上の燃料ノズル16を含む燃焼器を開示する。1以上のシュラウド26は、バッフルプレート12に固定されるとともに、シュラウド26に配設される1以上のピストンリング42を含む。この1以上のピストンリング42は、1以上のシュラウド26と1以上の燃料ノズル16との間において希釈剤22の流量を調量するよう構成される。さらに、希釈剤22を燃焼器に供給する方法が開示され、バッフルプレート12に配設される1以上のピストンリング42とバッフルプレート12の貫通穴を貫通して延在する燃料ノズル16によって形成されるピストンリング間隙を設ける段階を含む。希釈剤22は、ピストンリング間隙を通って燃料ノズル16の空気流穴へと流れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に燃焼器に関する。具体的に、本発明は、燃料ノズルを介した燃焼器内への希釈流の送給に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼器は、一般に、燃焼室内で点火される燃料又は燃料と空気との混合物を該燃焼室に導入する1つ以上の燃料ノズルを含む。一部の燃焼器において、燃料ノズルは、燃焼器のバッフルプレート内に設けられる穴を貫通して延在する。これらの燃焼器においては、ある量の窒素又は蒸気であることが多い希釈剤を燃焼器に導入してNOx排出を低減し、且つ/又は燃焼器の出力を高めることが有利であることがよくある。希釈剤は、チャンバからバッフルプレートと各燃料ノズルとの間の間隙を介して送り込まれるとともに、しかる後に燃料ノズルの周辺部に沿って流れて、ここで希釈剤の一部分が燃料ノズルの空気カラー内の穴を介して燃料ノズルに進入する。しかし、バッフルプレートと燃料ノズルとの間の間隙は、バッフルプレートと燃料ノズルとの間における累計組立公差によって変動する。間隙の変動の結果として、各ノズルの周り及び燃焼器組立体全体における希釈流量の変動が引き起こされる。さらに、間隙と燃料ノズルの空気カラー穴との間における軸方向距離は、希釈剤が燃料ノズルを通過することなく、また燃料及び空気と直接混じり合うことなく、燃焼反応域に到達することを可能にする。これらのいずれの効果も希釈効率を低下させ、従って、燃料ノズル内に等価量の希釈流を流入させるためには、より大量の希釈剤が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3704762号明細書
【特許文献2】米国特許第5946917号明細書
【特許文献3】米国特許第3747336号明細書
【特許文献4】米国特許第6293088号明細書
【特許文献5】米国特許第5930990号明細書
【特許文献6】米国特許第6782703号明細書
【特許文献7】米国特許第7228682号明細書
【特許文献8】米国特許第6530224号明細書
【特許文献9】米国特許第6405521号明細書
【特許文献10】米国特許第6748733号明細書
【特許文献11】米国特許第4928478号明細書
【特許文献12】米国特許第6422022号明細書
【特許文献13】米国特許第6089024号明細書
【特許文献14】米国特許第5793831号明細書
【特許文献15】米国特許第6499303号明細書
【特許文献16】米国特許第5457721号明細書
【特許文献17】米国特許第6526758号明細書
【特許文献18】米国特許第6047539号明細書
【特許文献19】米国特許第5873234号明細書
【特許文献20】米国特許第5329758号明細書
【特許文献21】米国特許第4421989号明細書
【特許文献22】米国特許第3724229号明細書
【特許文献23】米国特許第5331806号明細書
【特許文献24】米国特許第5375409号明細書
【特許文献25】米国特許第6003299号明細書
【特許文献26】米国特許第4948055号明細書
【特許文献27】米国特許第6189310号明細書
【特許文献28】米国特許第6094916号明細書
【特許文献29】米国特許第5271216号明細書
【特許文献30】米国特許第5813232号明細書
【特許文献31】米国特許第5794449号明細書
【特許文献32】米国特許第6370862号明細書
【特許文献33】米国特許第5271218号明細書
【特許文献34】米国特許第4893468号明細書
【特許文献35】米国特許第6983605号明細書
【特許文献36】米国特許第6389800号明細書
【特許文献37】米国特許第7104069号明細書
【特許文献38】米国特許第6928821号明細書
【特許文献39】米国特許第6192688号明細書
【特許文献40】米国特許第6393823号明細書
【特許文献41】米国特許第5361578号明細書
【特許文献42】米国特許第7395670号明細書
【特許文献43】米国特許第6434945号明細書
【特許文献44】米国特許第5634329号明細書
【特許文献45】米国特許第4085708号明細書
【特許文献46】米国特許第5054279号明細書
【特許文献47】米国特許第5867977号明細書
【特許文献48】米国特許第5058374号明細書
【特許文献49】米国特許第5526386号明細書
【特許文献50】米国特許第6499303号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料ノズルを通過することなく燃焼反応域の方へと流れる過剰な希釈剤は、燃焼器における動態及び希薄吹消え等の運転性の問題をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、燃焼器は、1以上の貫通バッフル穴と、この1以上のバッフル穴を貫通して延在する1以上の燃料ノズルとを有するバッフルプレートを含む。1以上のシュラウドは、バッフルプレートに固定されるとともに、該1以上のシュラウドに配設される1以上のピストンリングを含む。この1以上のピストンリングは、1以上のシュラウドと1以上の燃料ノズルとの間において希釈剤の流量を調量する。
【0006】
本発明の他の態様によれば、希釈剤を燃焼器に供給する方法は、バッフルプレートに配設される1以上のピストンリングとバッフルプレートの貫通穴を貫通して延在する燃料ノズルとによって形成されるピストンリング間隙を設ける段階を含む。希釈剤は、ピストンリング間隙を通って燃料ノズルの1以上の空気流穴の方へと流れる。
【0007】
上記及びその他の利点と特徴とは、図面と併せた以下の説明により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】燃焼器の実施形態の断面図である。
【図2】燃焼器のバッフルプレート組立体の実施形態の端面図である。
【図3】図2のバッフルプレート組立体の燃料ノズルの部分断面図である。
【図4】図2のバッフルプレート組立体により形成されるプレナムに希釈剤を供給するカバーリングの実施形態の斜視図である。
【図5】図2のバッフルプレート組立体のピストンリング機構の実施形態を示す断面図である。
【図6】図5のピストンリング機構の位置決め装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、本明細書の最後の特許請求の範囲において特に指摘され、且つ明瞭に記載されている。本発明の上記及びその他の特徴と利点とは、以下の詳細な説明を添付図面とともに読むことにより明らかになる。
【0010】
図面を参照した一例として、本発明の実施形態を以下の詳細な説明に利点及び特徴と併せて説明する。
【0011】
図1に、燃焼器10を示す。この燃焼器10は、6つのバッフル穴14を有するバッフルプレート12を含み、6つの燃料ノズル16はその穴を貫通して延在し、例えば図2に最も分かり易く示すように、1つの燃料ノズル16が各バッフル穴14を貫通して延在する。図2に6つの燃料ノズル16を示すが、その他の個数の燃料ノズル16、例えば1つ又は4つの燃料ノズル16が用いられて良いことが理解される。図3に示すように、バッフルプレート12とカバーリング18とは、希釈流22がカバーリング18内の配列状のオリフィス24(図4に最も分かり易く図示)を介してその中に導かれるプレナム20を形成する。一部の実施形態では、希釈流22は、蒸気又は窒素等のその他の希釈剤からなる。
【0012】
各燃料ノズル16には、図3に示すように、シュラウド26がバッフルプレート12と燃料ノズル16との間においてバッフル穴14に配設される。このシュラウド26は、溶接又は1つ以上の機械的締結具等のその他の取り付け手段、ろう付け又は接着剤によりバッフルプレート12に固定される。シュラウド26は、燃料ノズル16の周りにおいて周方向に延在するとともに、シュラウド26と燃料ノズル16との間においてシュラウド間隙28を残存させて、燃料ノズル16からある半径距離に配設される。一部の実施形態では、シュラウド26は、該シュラウド26をバッフルプレート12に取り付ける取付けフランジ30と、燃料ノズル16に沿って長手方向に延在して、自身と燃料ノズル16との間に流路34を形成する環状の流動部32とからなる。一部の実施形態において、流動部32は、燃料ノズル16に対して略平行であり、流路34がノズル軸36に沿って略一定の断面積を有するようになっている。図5に示すように、シュラウドは、流動部32の内面40において、燃料ノズル16の周りに周方向に延在するピストンリングスロット38を含む。1つ以上のピストンリング42がピストンリングスロット38内に配設されるとともに、半径方向内方に燃料ノズル16の方へと延在して、燃料ノズル16と1つ以上のピストンリング42の内側部分46との間においてピストンリング間隙44を形成する。図5の実施形態には2つのピストンリング42を示すが、その他の個数のピストンリング42、例えば1つ又は3つのピストンリング42が用いられて良いことが理解される。
【0013】
図6に示すように、ピストンリング42は、半径方向内方に内側部分46から燃料ノズル16の方へと延在する1以上の位置決めタブ48を含む。各位置決めタブ48は、燃料ノズル16の対応する位置決めスロット50内において受けられるように構成される。バッフルプレート12と取り付けられたピストンリング42とが燃料ノズル16に組み付けられると、位置決めタブ48は位置決めスロット50と整合するとともに、該スロットに取り付けられて、燃料ノズル16の周りにおけるピストンリング42の周方向の配向を設定し、且つ各位置決めタブ48の位置において中断される所望のピストンリング間隙44を確定する。位置決めタブ48と位置決めスロット50との組合せによって位置決めされるピストンリング42を用いることにより、各燃料ノズル16の周りにおいて一貫したピストンリング間隙44が確定される。
【0014】
動作時において、希釈流22は、プレナム20からシュラウド間隙28に沿って、且つピストンリング間隙44を通って案内される。一旦ピストンリング間隙44を通ると、希釈流22は、燃料ノズル16の複数の空気流穴56に極めて接近して、燃焼器10の先端54においてバッフルプレート12の外側52に導入される。希釈流22の少なくとも一部分は、これらの複数の空気流穴56に進入するとともに、ノズル16内において空気及び燃料と混合する。希釈流22をシュラウド間隙28に沿って案内することにより、希釈流22を空気流穴56の近傍において噴射して、希釈流22の効率を高めることが可能になる。さらに、希釈流22は、ピストンリング間隙44により調量されるとともに、位置決めタブ48を用いて一貫したピストンリング間隙44を確定することにより、バッフルプレート12の周りにおいて一貫した量となる。このため、必要とされる希釈流22の量は、これによって減り、動態及び希薄吹消え等の運転性の問題が減少する。
【0015】
限られた数の実施形態に関連して本発明を詳細に記載してきたが、本発明はこの開示された実施形態に限定されないことは容易に理解されよう。正確に言えば、本発明は、本発明の精神及び範囲に相応する、前述されていない多数の変形、修正、置き替え又は同等の構成を含むように変更可能である。また、本発明の様々な実施形態を記載してきたが、本発明の態様は、記載したいくつかの実施形態のみを含んで良いことを理解されたい。従って、本発明は、前述の記載に限定されるものとして理解されるのではなく、添付の特許請求の範囲に限定されるだけである。
【符号の説明】
【0016】
10 燃焼器
12 バッフルプレート
14 バッフル穴
16 燃料ノズル
18 カバーリング
20 プレナム
22 希釈流
24 オリフィス
26 シュラウド
28 シュラウド間隙
30 取付けフランジ
32 環状の流動部
34 流路
36 ノズル軸
38 ピストンリングスロット
40 内面
42 ピストンリング
44 ピストンリング間隙
46 内側部分
48 位置決めタブ
50 位置決めスロット
52 外側
54 先端
56 空気流穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の貫通バッフル穴(14)を含むバッフルプレート(12)と、
前記1以上の貫通バッフル穴(14)を貫通して延在する1以上の燃料ノズル(16)と、
前記バッフルプレート(12)に固定される1以上のシュラウド(26)であって、1以上のシュラウド(26)と前記1以上の燃料ノズル(16)との間における希釈剤の流量を制御するように構成される1以上のピストンリング(42)を自身に配設されて含む1以上のシュラウド(26)とからなる燃焼器(10)。
【請求項2】
前記1以上のピストンリング(42)は、前記1以上の燃料ノズル(16)内の対応する位置決めスロット(50)に配置可能な1以上の位置決め装置(48)を含む、請求項1記載の燃焼器(10)。
【請求項3】
前記1以上の位置決め装置(48)は、前記1以上のピストンリング(42)と前記1以上の燃料ノズル(16)との間においてピストンリング間隙(44)を設定する、請求項2記載の燃焼器(10)。
【請求項4】
前記1以上のシュラウド(26)と前記1以上の燃料ノズル(16)とは、両者間において流路(34)を形成する、請求項1記載の燃焼器(10)。
【請求項5】
前記1以上のピストンリング(42)は、前記流路(34)の下流側の端部に配設される、請求項4記載の燃焼器(10)。
【請求項6】
燃焼器(10)に希釈剤を供給する方法において、
バッフルプレート(12)に配設される1以上のピストンリング(42)と、前記バッフルプレート(12)内の貫通穴を貫通して延在する燃料ノズル(16)とにより形成されるピストンリング間隙(44)を設ける段階と、
前記ピストンリング間隙(44)を介して前記希釈剤を前記燃料ノズル(16)内の1以上の空気流穴の方へと流す段階とからなる方法。
【請求項7】
前記希釈剤(22)は、前記ピストンリング間隙(44)の上流において、前記バッフルプレート(12)に固定されるシュラウド(26)と前記燃料ノズル(16)とにより形成される流路(34)を通って流れる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記1以上のピストンリング(42)は、前記シュラウド(26)内の1以上のピストンリングスロット(38)内に配設される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記希釈剤(22)の少なくとも一部分は、前記ピストンリング間隙(44)の下流において、前記燃料ノズル(16)内の前記1以上の空気流穴に進入する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記1以上のピストンリング(42)は、前記燃料ノズル(16)内の対応する位置決めスロット(50)に配置可能な1以上の位置決め装置(48)を含む、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−96177(P2010−96177A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234696(P2009−234696)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】