説明

燃焼挙動の時間領域での解析法及びシステム

【課題】 ガスタービンエンジンの燃焼器系の燃焼挙動を時間領域で解析する方法を提供する。
【解決手段】 燃焼挙動解析システム(410)は、ガスタービンエンジン(100)における燃焼室(106)と流体連通して接続した入口管を備える燃焼器系に関する情報を含むデータベース(420)と、データベースと通信可能に接続されたプロセッサとを備えており、上記プロセッサは、データベース内の情報の少なくとも一部を読取り、次いで入口管内を移動する波の特性方程式を決定し、燃焼室内の音圧振動を測定し、上記特性方程式と測定音圧振動を用いて入口管内の圧力変動を測定し、測定した圧力変動の表示を出力するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義には燃焼挙動解析に関し、具体的には、燃焼挙動を時間領域で解析するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、燃焼挙動解析は、ラージエディシミュレーション(LES)を用いた、化学反応と三次元過渡的計算流体力学と、一次元化した燃焼配置のモード解析を始めとする様々なアプローチによって行われている。従前、燃焼挙動の振幅を計算するためのツールは知られておらず、燃焼挙動解析に現在用いられているツールは一次元のみであるという幾つかの重大な問題がある。最近の試験では、低振動数であっても熱音響効果が真の三次元性を示し、このツールの基本的仮定の一つが誤っていることが実証されている。また、燃焼挙動解析に現在用いられているツールは、高振幅力学で生じる非線形性を取り扱うことができず、振幅を計算することもできない。
【特許文献1】米国特許第7113873号明細書
【特許文献2】米国特許第6898547号明細書
【特許文献3】米国特許第6843061号明細書
【特許文献4】米国特許第6742341号明細書
【特許文献5】米国特許第6205764号明細書
【特許文献6】米国特許第5809769号明細書
【特許文献7】米国特許第5544478号明細書
【特許文献8】米国特許第5182513号明細書
【特許文献9】米国特許第4924182号明細書
【特許文献10】米国特許第4922201号明細書
【特許文献11】米国特許第4303885号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、一実施形態では、燃焼器系の燃焼挙動を時間領域で解析する方法を提供する。燃焼器系は、燃焼室と流体連通して接続した入口管を備える。本方法は、入口管内を移動する波の特性方程式を決定し、燃焼室内の音圧振動を測定し、上記特性方程式と測定音圧振動を用いて入口管内の圧力変動を測定することとを含む。
【0004】
本発明の別の実施形態では、燃焼挙動解析システムは、ガスタービンエンジンにおける燃焼室と流体連通して接続した入口管を備える燃焼器系に関する情報を含むデータベースと、データベースと通信可能に接続されたプロセッサとを備えており、上記プロセッサは、データベース内の情報の少なくとも一部を読取り、次いで、入口管内を移動する波の特性方程式を決定し、燃焼室内の音圧振動を測定し、上記特性方程式と測定音圧振動を用いて入口管内の圧力変動を測定し、測定した圧力変動の表示を出力するように構成される。
【0005】
本発明のさらに別の実施形態では、燃焼挙動解析システムは、ガスタービンエンジンにおける燃焼室と流体連通して接続した入口管を備える燃焼器系に関する情報を含むデータベースと、データベースと通信可能に接続されたプロセッサとを備えており、上記プロセッサは、データベース内の情報の少なくとも一部を読取り、次いで、入口管内を第1の方向に移動する波及び入口管内を第2の反対方向に移動する波に関する特性方程式を決定するように構成される。プロセッサは、さらに、燃焼器内の音圧振動を測定し、上記特性方程式と測定音圧振動を用いて入口管内の圧力変動を測定するように構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書では、産業用ガスタービンエンジンに関して上記方法及びシステムを説明するが、本発明の方法及びシステムは、航空機のタービンを始めとする他の燃焼タービンシステムにも有用性である。また、本明細書に開示する原理及び教示内容は、特に限定されないが、天然ガス、液化天然ガス(LNG)、ガソリン、灯油、ディーゼル燃料、ジェット燃料及びそれらの混合物のような様々な可燃性燃料を用いたガスタービンエンジンにも適用できる。従って、本明細書の以下の記載は、限定的なものではなく、例示を目的としたものにすぎない。
【0007】
本発明の様々な実施形態では、流体の流動抵抗をもつ通路内の高度振動流に付随した非線形エネルギー損失と併せて、波の基本物理を含む時間領域アプローチを用いる。空気及び燃料の振動流に付随する熱音響効果が、空気及び燃料を火炎領域に送る複数のスウォズルの下流の燃焼室内での三次元クロストーク、並びに燃料振動に起因する圧力振動(これは、燃料回路のポストオリフィスでの経時的に変動する圧力降下のためさらに燃料振動を生じる)によって影響される燃料回路を通る燃料側での相互作用と共に挙げられる。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る例示的なガスタービンエンジン100の概略図である。エンジン100は圧縮機102と燃焼器アセンブリ104とを備える。燃焼器アセンブリ104は、燃焼室106を少なくとも部分的に画成する燃焼器アセンブリ内壁105を有する。燃焼室106は中心線107を有する。例示的な実施形態では、エンジン100は複数の燃焼器アセンブリ104を有する。燃焼器アセンブリ104、特に燃焼室106は、圧縮機102の下流で圧縮機と流体連通して接続している。また、エンジン100は、タービン108と圧縮機/タービンシャフト110(ロータ110とも呼ばれる)とを備える。例示的な実施形態では、燃焼室106は実質的に円筒形であり、タービン108と流体連通して接続している。タービン108はロータ110と回転可能に結合していて、ロータを駆動する。圧縮機102もシャフト110と回転可能に結合している。
【0009】
作動中、空気が圧縮機102に流され、かなりの量の圧縮空気が燃焼器アセンブリ104に供給される。燃焼器アセンブリ104は燃料源(図1には示さず)とも流体連通していて、燃料と空気が燃焼室106に送られる。例示的な実施形態では、燃焼器アセンブリ104は燃焼室106内で合成ガスのような燃料を点火燃焼させ、約1316〜1593℃(2400〜2900°F)の高温燃焼ガス流(図1には示さず)を発生させる。或いは、アセンブリ104は、特に限定されないが、天然ガス及び/又は燃料油を始めとする燃料を燃焼させる。燃焼器アセンブリ104は燃焼ガス流をタービン108へと送り、そこでガス流の熱エネルギーが機械的な回転エネルギーに変換される。
【0010】
図2は、燃料ノズル122を有する燃焼器104の概略断面図である。例示的な実施形態では、二元燃料性能を与えるため燃焼ノズル122に空気噴霧式液体燃料ノズル(図示せず)が接続しているが、簡略化のため図示していない。さらに、燃料ノズル122は中心軸を有していて、燃料ノズルフランジを介してエンドカバーと結合している。
【0011】
例示的実施形態では、燃料ノズル122は、燃料ノズルフランジと結合した先細管を備える。先細管は半径方向外面を有する。燃料ノズル122は、管−フランジベローズを介して燃料ノズルフランジに結合した半径方向内側管も有している。管−フランジベローズは、先細管と燃料ノズルフランジとの間で変動する熱膨張率の補填に役立つ。例示的な実施形態では、先細管と半径方向内側管は、実質的に環状の第1の予混合燃料供給通路を画成する。例示的な実施形態では、燃料ノズル122は環状内管も有していて、半径方向内側管と共に第2の予混合燃料供給通路を画成する。環状内管は拡散燃料通路を部分的に画成し、環状内管と燃料ノズルフランジとの間で変動する熱膨張率の補填に役立つ管−フランジベローズを介して燃料ノズルフランジと結合している。上述の通路は、燃料源と流体連通して接続している。例えば、一実施形態では、拡散燃料通路には、空気噴霧式液体燃料ノズルが収容される。
【0012】
例示的な実施形態では、燃料ノズル122は、実質的に環状の入口流調整装置(IFC)を備える。IFCは、複数の孔を有する半径方向外壁と、IFCの後方端部に配置されて外壁と先細管の半径方向外面の間に延在する端壁とを有する。IFCの半径方向外壁及び端壁並びに先細管の半径方向外面は、その内部に実質的に環状のIFCチャンバを画成する。IFCチャンバは、孔を介して冷却通路と流体連通している。例示的な実施形態では、燃料ノズル122は、IFCの外壁と接続した管状トランジションピースも有している。トランジションピースは実質的に環状のトランジションチャンバを画成し、トランジションチャンバはIFCチャンバと実質的に同心に整列して、IFC出口通路がIFCチャンバと環状トランジションチャンバの間に延在するように配置される。
【0013】
例示的な実施形態では、燃料ノズル122は、ガス状燃料噴射のための空気スワーラーアセンブリ又はスウォズルアセンブリも備えている。スウォズルはスワーラーとノズルの組合せであって、中央に追加のノズルを備えている。スウォズルは、管状トランジションピースと接続した実質的に管状のシュラウドと、先細管、半径方向内側管及び環状内管と接続した実質的に管状のハブとを備える。シュラウド及びハブは、その内部に環状チャンバを形成し、そこでは、複数の中空旋回翼がシュラウドとハブの間に延在している。環状チャンバは、IFCの環状トランジションチャンバと流体連通して接続している。ハブは、予混合燃料供給通路と流体連通した複数の第1の旋回翼通路を画成する。中空旋回翼内に複数の予混合ガス噴射ポートが画成される。同様に、ハブは、予混合燃料供給通路と流体連通した複数の第2の旋回翼通路と、旋回翼内に画成された複数の第2のガス噴射ポートとを画成する。入口チャンバ並びに第1及び第2のガス噴射ポートは、出口チャンバと流体連通している。
【0014】
例示的な実施形態では、燃料ノズル122は、管状シュラウド延長部と管状ハブ延長部とによって画成される実質的に環状の燃料空気混合通路も有している。環状燃料空気混合通路は出口チャンバと流体連通していて、管状シュラウド延長部及び管状ハブ延長部はそれぞれシュラウド及びハブと接続している。
【0015】
例示的な実施形態では、管状拡散火炎ノズルアセンブリがハブと接続していて、環状拡散燃料通路を部分的に画成する。管状拡散火炎ノズルアセンブリは、ハブ延長部と共に環状空気通路も画成する。燃料ノズル122はスロット付ガスチップも備えており、スロット付ガスチップはハブ延長部及び管状拡散火炎ノズルアセンブリと接続しているとともに、複数のガス噴射器及び空気噴射器を備えている。チップは、燃焼室128と流体連通しており、燃焼室128内での燃料と空気の混合を促進する。
【0016】
作動中、燃料ノズル122は、燃料ノズル122を囲繞するプレナムを介して、冷却通路から圧縮空気を受け取る。燃焼に用いられる空気の大部分は、IFCを介して燃料ノズル122に入り、各成分を予混合するために送られる。具体的には、空気は孔を介してIFCに入り、IFCチャンバ内で混合され、IFC出口通路を介してIFCから出て、トランジションピースチャンバを介してスウォズル入口チャンバに入る。冷却通路に入る高圧空気の一部も、空気噴霧式液体燃料カートリッジに送られる。
【0017】
燃料ノズル122には、燃料源から予混合燃料供給通路を介して燃料が送られる。燃料は、第1の予混合燃料供給通路から、旋回翼内に画成された複数の第1のガス噴射ポートに送られる。同様に、燃料は、第2の予混合燃料供給通路から、旋回翼内に画成された複数の第2のガス噴射ポートに送られる。
【0018】
トランジションチャンバからスウォズル入口チャンバに送られた空気は、旋回翼でスワールされて燃料と混合され、燃料/空気混合物はさらに混合するためスウォズル出口チャンバに送られる。燃料と空気の混合物は次いで混合通路に送られ、燃料ノズル122から燃焼室へと排出される。さらに、拡散燃料通路からの拡散燃料もガス噴射器から燃焼室に排出され、そこで空気噴射器から排出された空気と混合・燃焼させる。
【0019】
図3は、オリフィスのような配管装置の多次元配置における非線形挙動を測定することができ、燃焼挙動の時間領域での計算を促進する例示的な方法300の流れ図である。
【0020】
例示的な実施形態では、特性曲線法を用いて流体の過渡現象を計算し、基本的熱力学を用いて燃料/空気の流れ振動に付随する火炎の圧力振動を計算する。
【0021】
特性曲線法は、水撃作用のような管内の過渡的流れの解析などに用いられる標準的な一次元計算法である。異なる方向の一次元要素を重ね合わせ、これらの異なる方向での要素の中で適切に分岐して、多次元過渡現象を解析する。一階偏微分方程式(PDE)については、特性曲線法で、線(特性線又は特性と呼ばれる)を求め、この線と共にPDEを常微分方程式(ODE)に変換する。ODEが求まれば、これを解いて元のPDEの解に変換することができる。
【0022】
例示的な実施形態では、ラージエディシミュレーション(LES)を用いた大規模CFDモデルに頼らずに(付随計算機での非常に細かいメッシュが必要とされる)、ガスタービンエンジンの燃焼器の基本的な物理学を利用する。本方法は、燃焼器内での音圧振動と相互作用するスウォズル内の燃料通路間での音響相互作用を取得する。
【0023】
一般的な流体過渡現象についての特性曲線法に関する詳細については他の刊行物に記載されている。例示的な実施形態では、振動する燃料及び空気の流れを火炎前面(flame front)での温度/圧力の振動と関連付け、併せて、後で起こる燃料、空気及び燃焼生成物の圧力と流量の間のフィードバック効果を、流体過渡現象/音響波が燃焼器に伝播して燃焼器と相互作用しかねないはるかに上流及び下流での上記効果も含めて、計算することによって、流体過渡現象技術を燃焼器と関連して用いる。
【0024】
各スウォズルはそれ自身の火炎を有しており、これらの火炎は、他のスウォズル火炎との分岐をモデリングすることによって、互いに音響相互作用すると考えられる。火炎前面は、燃料系における質量流量変動の受容体であり、温度及び圧力変動に反応する。例示的な実施形態では、比較的高いダムケラー数、つまり流量の変動に対して化学反応が非常に速いと仮定される。
【0025】
化学反応が無限に速く、ある長さΔx=aΔt(aは火炎条件での局所的音速)未満の距離内に含まれる火炎厚さの火炎が一平面に固定されているとして、ライナーの断面積ALinerをスウォズルの個数Nozzle_Countで除算した断面積と長さΔxの対照体積について検討する。情報の伝達速度つまり音速から、この解析法では、(主要な寄与因子とは思われない輻射を除いて)この対照体積の範囲外のものはこの対照体積に影響しない。音速は絶対温度の平方根に比例するので、この対照体積内での温度変化は音速を変化させ、対照体積の長さに影響を与える。
【0026】
この対照体積の熱容量HC(エネルギー放出変化による温度変化)は、以下の通り表される。
【0027】
【数1】

ここで、ρは密度であり、Cは定積比熱である。名目値からのエネルギー変化ΔEは、以下の通りであり、すなわち、質量流量の平均からの差分に、反応エンタルピーhと経過時間Δtを乗算したものである。
【0028】
【数2】

Δx=aΔtとすると、温度上昇は以下の通りとなる。
【0029】
【数3】

圧力は温度に比例するので、以下の式が得られる。
【0030】
【数4】

ただし、Pnew=現在の圧力であり、P0=前の時間ステップでの圧力であり、T0=前の時間ステップでの温度であり、ΔT=時間ステップでの温度変化である。
【0031】
これは、各時間ステップにおける各スウォズルの下流の火炎前面の圧力を与える。火炎が、空気速度と上流の断面積によって求めた多数の以前の時間ステップからの燃料振動に応答することが分かる。名目上は、時間遅延は一例では典型的には約6ミリ秒と算出されるが、これは/インチΔxで約220時間ステップに換算される。
【0032】
このモデルは、互いに接続した3つの部分を含む。燃料回路と、入口流調整装置を介してスウォズルに入って火炎前面に至る空気と、火炎前面からトランジションピースの端部(ここでは圧力は開放端として一定であると仮定される)までの反応体の領域とである。
【0033】
例示的な実施形態では、燃料回路は、Frame 9FBガスタービンエンジンで用いられているようなDLN 2.6用の生成物エンドカバーの外側回路を、複数のプレオリフィス、翼への環状流通路及び翼内の複数のポストオリフィスと共に備える。空気回路では、各スウォズルの上流圧力は、圧縮機排出圧(PCD)に固定されているとされる。
【0034】
図4は燃焼挙動解析システム(CDAS)410の簡略化したブロック図であり、サーバーシステム412と、サーバーシステム412に接続した複数のクライアントサブシステム(クライアントシステム414とも呼ばれる)とを備えている。一実施形態では、クライアントシステム414はウェブブラウザを有するコンピュータであり、サーバーシステム412はインターネットを用いてクライアントシステム414にアクセスできる。クライアントシステム414は、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)のようなネットワーク、ダイヤルイン接続、ケーブルモデム及び専用の高速ISDN回線を始めとする多くのインターフェースを介してインターネットに接続している。クライアントシステム414は、インターネット電話、携帯情報端末(PDA)その他のウェブベースの接続可能な装置を始めとするインターネットに接続可能な装置であればよい。データベースサーバー416は、本明細書で詳細に説明した様々な事柄に関する情報を収容したデータベース420に接続している。一実施形態では、集中データベース420はサーバーシステム412に格納されており、クライアントシステム414のいずれかからサーバーシステム412にログオンすることによって、クライアントシステム414のいずれかの潜在的ユーザーがアクセスできる。代替的な実施形態では、データベース420は、サーバーシステム412とはリモート格納されており、集中化されていなくてもよい。
【0035】
上述のシステム410のアーキテクチャとシステム410の様々なコンポーネントは例示にすぎない。その他のアーキテクチャも可能であり、上述のプロセスの実施に関して利用できる。
【0036】
本明細書に記載したシステム及び方法の様々な実施形態の技術的効果としては、ラージエディシミュレーション(LES)を用いた大規模CFDモデルに頼らずに(付随計算機での非常に細かいメッシュが必要とされる)、ガスタービンエンジンの燃焼器の基本的な物理学を利用することによって、ガスタービンエンジンの設計及び作動を促進することが挙げられる。
【0037】
燃料と空気の振動及び燃焼挙動の時間領域相互作用に関する上述の解析法は、コスト効率がよく、信頼性が高い。本方法は、燃焼器につながる配管内での流体過渡現象を計算するのに特性曲線法を用いることができ、基本的熱力学を用いて燃料/空気の流れ振動に付随する燃焼器火炎の圧力振動を計算する。従って、本解析法は、コスト効率がよく、信頼性の高いガスタービンエンジン燃焼器の設計及び作動に役立つ。
【0038】
様々な特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、特許請求の範囲に記載された技術的思想及び技術的範囲内で修正を加えて本発明を実施できることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【図2】スウォズルを備える燃焼器の簡略化した概略図。
【図3】オリフィスのような配管装置の多次元配置における非線形挙動を測定することができる、燃焼挙動の時間領域での計算を促進する例示的な方法の流れ図。
【図4】サーバーシステムとサーバーシステムに接続した複数のクライアントサブシステムとを備える燃焼挙動解析システム(CDAS)の簡略化したブロック図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼挙動解析システム(410)であって、当該システムが、
ガスタービンエンジン(100)における燃焼室(106)と流体連通して接続した入口管を備える燃焼器系に関する情報を含むデータベース(420)と、
データベースと通信可能に接続されたプロセッサと
を備えており、上記プロセッサが、データベース内の情報の少なくとも一部を読取り、次いで、
入口管内を移動する波の特性方程式を決定し、
燃焼室内の音圧振動を測定し、
上記特性方程式と測定音圧振動を用いて入口管内の圧力変動を測定し、
測定した圧力変動の表示を出力するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、さらに、上記の測定した変動に基づいて制御信号を出力して測定した変動の大きさ及び振動数の少なくとも一方の低減を促進するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサが、さらに、入口管の寸法を変更する装置に制御信号を出力するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、さらに、第1の位置での第1の圧力を第2の位置での第2の圧力と関連付ける特性方程式及び第1の位置と第2の位置の間での質量流量を用いて、入口管内を移動する波の圧力を測定するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、さらに、波の第1の一次元要素を異なる方向の波の第2の一次元要素に重ね合わせて、入口管内の多次元過渡現象を解析するように構成されている、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記燃焼器系が、燃焼室(106)と流体連通して接続した複数の入口管を備えており、前記プロセッサが、さらに、複数の入口管の各々についての特性方程式を用いて複数の入口管内の音響相互作用を測定するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記燃焼器系が、複数の燃料通路を有する1以上のスウォズル(180)を備えおり、前記プロセッサが、さらに、1以上のスウォズル(180)における複数の燃料通路間の音響相互作用を測定するように構成されている、請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記燃焼器系が、複数の燃料通路を有する1以上のスウォズル(180)を備えており、前記プロセッサが、さらに、1以上のスウォズル(180)における複数の燃料通路間の音響相互作用と燃焼室(106)における音圧振動とを測定するように構成されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、さらに、第1方向に移動する波及び第2の反対方向に移動する波に関する方程式を決定するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記燃焼器系が、複数の燃料通路を有する1以上のスウォズル(180)を備えており、前記プロセッサが、さらに、以下の方程式を用いて、各スウォズル(180)の下流の火炎前面の各時間ステップでの圧力を測定するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【数1】

式中、Pnew=現在の圧力
P0=前の時間ステップでの圧力
T0=前の時間ステップでの温度
ΔT=時間ステップでの温度変化。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−107346(P2008−107346A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265057(P2007−265057)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】