説明

燃焼炉

【課題】 簡易な構造でありながら、燃焼効率が良く、また燃焼継続後も多量の灰が発生せず燃焼効率を維持することができ、さらにメンテナンスの容易な燃焼室の燃焼炉を提供することを課題とする。ひいては、木質バイオマス資源の有効利用を果たすことのできる燃焼炉を提供すること。
【解決手段】 本発明の燃焼炉は、燃焼床11の周縁に立設する燃焼側壁12によって構成される燃焼室と、前記燃焼側壁12の上下複数箇所を貫通して燃焼側壁12の内側及び外側を上下に循環し、その一端が燃焼室の中央軸1C方向を向くように開放されてなる複数本の空気供給管2と、を具備することを特徴とする。更に、煤塵処理床31の周縁に縦方向中央軸3C周りに立設する煤塵処理側壁32によって構成され天井の一部分に排煙口30を有する煤塵処理室3と、前記燃焼室及びこの煤塵処理室3を、各壁面に設けた連結口にて水平連結する連結路4と、を具備するものとしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材をはじめとする燃焼材を焼却処分する燃焼炉のうち、特に小規模の高温焼却炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼炉として、図5に示すような、燃焼室1´下方に火格子L´(ロストル)を設け、この火格子L´間から燃焼空気を取り込んで燃焼させるものが存在する(例えば、特許文献1参照)。特に図5に示す燃焼炉では、燃焼室1´床面を火格子L(ロストル)で構成すると共に、その下部へ外部空気を取り入れる空気供給室2´を設けることで、灰等の燃焼滓が燃焼室内へ堆積することを防ぎ、燃焼効率を維持するものとしている。
【0003】
しかし上記燃焼炉では、下部の空気供給室2´によって簡易な構造とはいえず、また火格子L´(ロストル)間に燃焼材や燃焼滓が挟まると、空気供給が遮られて、燃焼効率が悪化し、また燃焼継続によって、下部の空気供給室に灰等の燃焼滓が多量に堆積し、メンテナンスの手間がかかるものであった。
【0004】
このような従来の燃焼炉では、木質バイオマス資源からのエネルギー回収が十分にできず、石油、石炭などの化石資源に代替しうる程、木質バイオマス資源の有効利用を十分に果たすことができなかった。
【特許文献1】実開平5−96729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、簡易な構造でありながら、燃焼効率が良く、また燃焼継続後も多量の灰が発生せず燃焼効率を維持することができ、さらにメンテナンスの容易な燃焼室の燃焼炉を提供することを課題とする。ひいては、木質バイオマス資源の有効利用を果たすことのできる燃焼炉を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく以下(1)ないし(4)の手段を採用するものとしている。
【0007】
(1)すなわち、本発明の燃焼炉は、燃焼床11の周縁に立設する燃焼側壁12によって構成される燃焼室と、前記燃焼側壁12の上下複数箇所を貫通して燃焼側壁12の内側及び外側を上下に循環し、その一端が燃焼室の中央軸1C方向を向くように開放されてなる複数本の空気供給管2と、を具備することを特徴とする。
【0008】
これにより、空気供給管2の燃焼室内外の上下循環によって、管内部で燃焼室内の加熱と燃焼室外の冷却とが連続的に行われる。このとき空気供給管2内を通って供給される燃焼空気は、複数本の空気供給管2が燃焼室内部を直接通ることで極めて高温に加熱され、比較的小さい流通断面内で温度差の大きい高速の熱対流が起こる。よって、空気供給ファンを必要としない簡易な構造でありながら、熱せられた流量の大きい燃焼空気が、高速流として燃焼室内へ連続的に供給される。
【0009】
また、高温の燃焼空気が、燃焼床11周縁の複数方向から中心方向へ高速で燃焼室内へ吸引されるため、空気供給管2外の燃焼室内部においても、中央部で上昇し周囲部で下降する上下熱対流が起こる。これによって、極めて高温の炉となって燃焼効率の良いものとなる。
【0010】
また、高温炉となることで多量の灰は発生せず、火格子(ロストル)が不要となる。よって、簡易構造をもってさらに高速熱対流可能でかつメンテナンスの容易な燃焼室が形成される。また、高温炉となることで小形化あるいは粉砕化の手間をかけずに容易に燃焼材Coを燃焼できる。
【0011】
(2)前記燃焼炉において更に、煤塵処理床31の周縁に立設する煤塵処理側壁32によって構成され天井の一部分に排煙口30を有する煤塵処理室3と、前記燃焼室及びこの煤塵処理室3を、各壁面に設けた連結口(41、42)にて水平連結する連結路4と、を具備するものとしてもよい。
【0012】
これにより、燃焼後の煙を含む排気空気は、水平な連結路4内を加速しながら通って煤塵処理室3の側壁面や天井面にぶつかることで、中央部で上昇し周囲部で下降する上下熱対流が起こる。これによって、排気空気が燃焼室内の燃焼空気を引っ張ることで、空気供給管2を経た燃焼空気がさらに高速化され、燃焼効率の良いものとなる。
【0013】
(3)前記いずれかの燃焼炉において、燃焼室内に、前記連結路4の連結口(燃焼室連結口41)側を背として立設し燃焼室を区画する区画壁14と、燃焼室天井13に設けられてこの区画壁14の一側面の側(部分円筒の凹面からなる腹側、すなわち燃焼室連結口41側と平面視反対方向)へ燃焼材Coを供給する燃焼材供給口15と、を具備してなるものとしてもよい。
【0014】
このような部分円筒壁によって、空気供給管2からの燃焼空気が直接連結路4へ流れ込むことを防止し、また、外部から投入される燃焼材Coを、常に、高速熱対流部である部分円筒壁の腹部(内凹部)側に位置させるようにすることができる。これにより、燃焼効率を上げると共に不完全燃焼を抑制することができる。
【0015】
(4)前記いずれかの燃焼炉において、蒸気発生装置5を燃焼室の天井面に隣設してなるものとすれば、燃焼材Coの処分と共に蒸気を得ることができる。これにより、燃焼材Coとなる木材を初めとする一般木材の加熱その他一般のエネルギー源として利用することができ、ひいては、石油資源に代替する木質バイオマスの有効利用を果たすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述のような構成としたことで、簡易な構造でありながら、燃焼効率が良く、また燃焼継続後も多量の灰が発生せず燃焼効率を維持することができ、さらにメンテナンスの容易な燃焼炉を得ることができる。このような燃焼炉によって、木質バイオマスの有効利用を果たすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例として示す図と共に説明する。図1及び図2はそれぞれ実施例1の燃焼炉の正面視及び平面視概観図を、図3及び図4はそれぞれ図1及び図2に対応する正面視B−B及び平面視A−A断面図を示す。なお、図5は、従来の燃焼炉の断面図である。
【0018】
以下の実施例を含む本発明の燃焼炉は、側周を燃焼側壁12に覆われて構成される燃焼室1と、(前記燃焼側壁12の外部に開放された外部開放端21から)前記燃焼側壁12の上下複数箇所を貫通して燃焼側壁12の内側及び外側を上下に循環し、その一端が(燃焼床11に沿う)燃焼室1の中央軸1C方向を向くように開放されてなる複数本の空気供給管2(2a、2b、2c)と、を具備する。
【0019】
また更に、煤塵処理床31の周縁に(縦方向中央軸3C周りに)立設する煤塵処理側壁32によって(中央軸3C対称に)構成され煤塵処理室天井33の一部分たる面中央に排煙口30を有する煤塵処理室3と、前記燃焼室1及び煤塵処理室3を、各壁面に設けた連結口(燃焼室連結口41、煤塵処理室連結口43)にて(煤塵処理室3側に行くに従って縮径しながら)水平連結する連結路4と、を具備する。
【0020】
(燃焼室1)
燃焼室1は、縦方向の中央軸1C周りに立設する燃焼側壁12によって、中央軸1C対称に構成される。具体的には、縦方向中央軸1Cを通る回転対称の平面視形状をした燃焼床11と、その周縁に立設する燃焼側壁12と、燃焼床11と略同一形状の燃焼室天井13とから構成され、これらによって燃焼材Coの一次燃焼および二次燃焼を行うスペースが確保される。
【0021】
燃焼室1内には、前記連結路4の燃焼室連結口41側を背として立設した燃焼室1を区画する区画壁14と、燃焼室天井13に設けられてこの区画壁14の一側面(部分円筒の凹面からなる腹側、すなわち燃焼室連結口41側と平面視反対側の方向)へ燃焼材Coを供給する燃焼材供給口15と、を具備してなる。
【0022】
(燃焼床11)
燃焼床11の平面視形状は、好ましくは4回以上の複数回転対称形状である。複数回転対称とは、正四角形、正五角形、正六角形などの正多角形或いは円形のことをいう。これにより燃焼スペースが、燃焼床11の図心を通る縦方向中央軸1C周りに均等に確保される。そして、燃焼室1内での熱対流による循環気流が起こりやすいものとなる。
【0023】
(燃焼側壁12)
燃焼側壁12は厚さ方向に3層構造となっており、内側から順に耐火キャスター12aと、断熱材12bと、鋼管曲板12cとから構成される。耐火キャスター12aは主として熱反射によって燃焼室1内の保熱を行う炉の主壁であり、厚さ数十mm以上(実施例では30mm程度)の、コンクリート或いは耐熱合金からなる構造体である。断熱材12bは主として熱吸収によって燃焼室1外部への放熱を防ぐ層を構成し、厚さ数十mm以上(実施例では3層のうち最も厚い35mm程度)の、耐火キャスター12aよりも多くの空気泡を含む繊維性構造等からなる。鋼管曲板12cは断熱材12bの形状保持及び炉の外側面を形成するものであり、厚さ数mm程度(実施例では3層のうち最も薄い10〜15mm)である。
【0024】
また燃焼側壁12の内側面の上方の一部分には、燃焼側壁12を貫通する連結路4によって、連結路4の燃焼室連結口41が設けられる。燃焼後の煤煙は、この燃焼室連結口41から燃焼室1外部へ排出される。排出された煤煙は、連結路4を通って煤塵処理室3へ流通する。
【0025】
燃焼側壁12にはまた、下端に横長矩形の点検口16が設けられ、その上方に縦長の内部視認窓17が設けられ、また内部確認窓の横であって燃焼側壁12の中間高さ付近に計器挿入用孔18が設けられる。
【0026】
点検口16は人通口であり、観音開き式の扉で覆われる。燃焼床11に沿うように燃焼側壁12の下端に設けられることで、着火時やメンテナンスの際の内部点検に用いられる。
【0027】
内部視認窓17は、燃焼側壁12のうち、区画壁14の内部側面(さらには、その幅方向中央位置)と対面する位置に鉛直方向に設けられる。これは、細幅で上下縦長の長方形の透視窓によって燃焼室1の内部たる一次燃焼室1Aの燃焼具合を視認して、その色や発光量を確認するものである。また、計器挿入用孔18は、温度計、圧力計、酸素計或いはガス(CO)測定計等の計器を挿入するための孔である。燃焼時には、これら内部視認窓17及び計器挿入用孔18に挿入した計器によって燃焼室1の内部の燃焼状況を把握し、一次燃焼空気及び二次空気の供給量や燃焼材Co供給量を調整する。
【0028】
(区画壁14)
区画壁14は縦割りの部分円筒からなり、連結路4の燃焼室連結口41を背にして燃焼床11の周縁よりも内側に立設する。すなわち、部分円筒側面のうち凸面側(背側)に燃焼室連結口41が位置すると共に、凹面側(腹側)に後述する燃焼材供給口15が位置するものとしている。この区画壁14によって燃焼室1内が一次燃焼室1Aと二次燃焼室1Bとに区画される。また、主に一次燃焼室1A内の上下の熱対流を促すものである。
【0029】
実施例では縦に二分割された、厚みのある半円筒である。この半円筒の内側面の平面視形状は、図に示すように、燃焼床11の円形と同一中心であって略半分の径の半円を形成する。半円筒の厚さは、例えば前記耐火キャスター12aと略同一またはこれ以下である。
【0030】
区画壁14の高さは燃焼室1と同様、すなわち燃焼室天井13まで及ぶものであるか、或いはその近傍まで及ぶものである。これによって高さ方向へ完全に区画され、一次燃焼室1A内で区画壁14、燃焼室天井13及び燃焼床11に沿う上下の熱対流が起こる。
【0031】
(燃焼補助孔14h)
また、区画壁14には上下左右に複数の燃焼補助孔14hが列設される。この燃焼補助孔14hは、一次燃焼室1Aと二次燃焼室1Bとを連通させることで、空気の流れのよどみを防ぐものである。区画壁14に略等間隔に列設することによって、不完全燃焼を防止することができる。
【0032】
実施例では区画壁14の幅方向略中央位置の上下(縦)一列に3つ、等間隔に列設される。高さ方向の複数個のうち真ん中の高さの燃焼補助孔14hは、区画壁14の高さの半分である。
【0033】
(燃焼材供給口15)
燃焼材供給口15は、燃焼室天井13から、燃焼室1内たる一次燃焼室1Aへ燃焼材Coを供給するものである。供給された燃焼材Coは一次燃焼室1Aの燃焼床11に堆積し、区画壁14に囲まれることで一次燃焼が効率良く行われる。このとき燃焼補助孔14hによって一次燃焼室1Aの不完全燃焼が効率的に防止できる。
【0034】
(空気供給管2(2a、2b、2c))
空気供給管2は燃焼室1内部へ燃焼空気を供給するものであり、燃焼側壁12の内外を両端として前記燃焼側壁12を貫通する複数本の空気供給管2(2a、2b、2c)からなる。各空気供給管2は、その一端を燃焼側壁12の内部の燃焼室1内に解放された内部開放端21eとし、他端を燃焼側壁12の外部に開放された外部開放端22とする。そして、外部開放端22から燃焼側壁12の上下複数箇所を貫通して燃焼側壁1221の内側及び外側を上下に循環し、内部開放端21eが、燃焼床11に沿う燃焼室1の中央軸1C方向を向くように開放されてなる。
【0035】
具体的には、一巡の循環の場合、外部開放端から燃焼側壁12下方を外側から内側へ貫通する外部開放水平管22と、燃焼側壁12内側の下方から上方へ垂直に伸びる内部縦管23と、燃焼側壁12上方を内側から外側へ貫通する上方循環水平管24と、燃焼側壁12外側の上方から下方へ垂直に伸びる外部縦管25と、そして、前記外部開放水平管22の下方の燃焼側壁12を外側から内側へ貫通し、内部開放端21eに連なる内部開放水平管21とが、順に連なって構成される。
【0036】
上下の循環は一巡でも複数巡でもよい。例えば2巡の循環の場合、上記外部縦管25の後に、外部開放水平管22の下方の燃焼側壁12を外側から内側へ貫通する下方循環水平管(図示せず)と、内部循環縦管と、燃焼側壁12上方を内側から外側へ貫通する第2上方循環水平管24と、外部循環縦管と、内部開放水平管21の僅か上方の燃焼側壁12を内側から外側へ貫通する下方循環水平管(図示せず)とが連なって、その後に内部開放水平管21へ連なる。
【0037】
各空気供給管2は、円筒管によって燃焼空気の流通方向側方の全周を覆いながら、燃焼室1の内外を、燃焼側壁12の上下方向たる鉛直方向に沿って走る。燃焼空気は燃焼室1内部(燃焼側壁12内側)で加熱と共に上方に流れ、燃焼室1外部(燃焼側壁12の外側)で冷却とともに下方に流れる。燃焼側壁12内外で温度差の大きな鉛直方向の縦管を比較的長い距離だけ設けたことで、燃焼空気の熱対流が効率的に行われる。これに加えて、従来炉の空気供給口よりも比較的小さい管断面積の管を複数本設けることで、燃焼空気は流速の比較的大きい高速気流として燃焼室1内へ流れ込むこととなる。
【0038】
各空気供給管2(2a、2b、2c)の一部を構成する各水平管(内部開放水平管21、上方循環水平管24、下方循環水平管(図示せず)、および外部開放水平管22)は、燃焼側壁12を複数の上下貫通箇所で貫通する。この上下貫通箇所は、複数箇所の上下方向たる鉛直方向に縦一列に並ぶことが好ましく、特に外部開放端22に近接する貫通箇所は、内部開放端21eに近接する貫通箇所に近接した直上にあることが好ましい(図3の平面視断面図を参照)。
【0039】
このようなものであれば、燃焼側壁12の内外面に沿う縦管による熱対流だけでなく、燃焼側壁12の厚さ方向に貫通する複数本の水平管による熱対流も行われる。すなわち、図3に示すように、外部開放端22により近い貫通箇所の外部開放水平管22と、内部開放端21eにより近い貫通箇所の内部開放水平管21とがそれぞれ上下に隣設することで、外部開放水平管22内の比較的冷たい空気が高温の内部開放水平管21によって熱せられて、熱対流によって上方に向かう。これにより、外部開放水平管22とつながる内部縦管23への自然流動が促進される。
【0040】
縦管の距離を効率的に確保するには、内部開放水平管21(及び下方循環水平管(図示せず))は燃焼側壁12下端付近に位置し、上方循環水平管24は燃焼側壁12上端付近に位置することが好ましい(図3)。中でも、内部開放水平管21は燃焼床11上に接することが好ましく、また外部開放水平管22は燃焼室天井13に接することが好ましい。また、内部開放水平管21は平面視において、燃焼室1内の中央軸1Cを向いて、好ましくは一次燃焼室Aの中央付近を向いて開放されることが好ましい。
【0041】
外部開放水平管22には、ゲートバルブによる流量調整手段22vが設けられている。これは燃焼の状況に応じて流量や流速を調整するものである。外部開放端22eの端面には、固形異物の吸入を防止する防護網が張られている。
【0042】
(第一、二の空気供給管2a、2b)
実施例では第一、第二、第三の3本の空気供給管2(2a、2b、2c)が、燃焼側壁12へ平面視等間隔に設けられる。このうち第一及び第二の空気供給管2a、2bは、主として一次燃焼室1A内の燃焼空気を供給する一次燃焼空気供給管2である。第一及び第二の空気供給管2a、2bは、図4の平面視断面図に示すように、燃焼室1縁の約三分の一周の距離を開けて、半円筒の区画壁14の両端側面(凹面と凸面との側面)の法線上よりも平面視にてわずかに外側に配置される。一次燃焼室1Aと二次燃焼室1Bとの境に第一及び第二の空気供給管2a、2bを配置することで、一次燃焼室1Aへの距離を最大限長いものとして一次燃焼空気の供給管を確保し、燃焼空気の区画壁14までの到達経路における流速を高めるものである。
【0043】
(第三の空気供給管2c)
一方、第三の空気供給管2cは、区画壁14の背側(凸面側)であって燃焼室連結口41の側方近傍に設けられる(図4の平面視断面図を参照)。第三の空気供給管2cは、二次燃焼室1Bの不完全燃焼を防止し、また、煤塵処理室3と燃焼室間の圧力或いは流量バランスの偏りを防止するものである。主として二次燃焼室1Bへの燃焼空気を供給する二次燃焼空気供給管2であって、かつ煤塵処理室3からの余分な吸引に対する空気の調節を行う空気調整管である。
【0044】
(煤塵処理室3)
煤塵処理室3は、煤塵処理床31と、煤塵処理側壁32と、煤塵処理室天井33とによって縦方向中央軸3C対称に構成される。また、煤塵処理室天井33の一部分たる面中央に排煙口30を有する。
【0045】
(煤塵処理側壁32)
煤塵処理側壁32は、煤塵処理床31の周縁に縦方向中央軸3C周りに立設してなる円筒壁である。燃焼室1で発生した排煙は、連結路4を通じて煤塵処理室3へ流れ込み、煤塵処理室天井33と煤塵処理側壁32にぶつかって正面視下方へ回り込む。これによって図3に示すような、煤塵処理側壁32付近の外周で下降し中央軸3C付近で上昇する上下の対流が発生する。また同時に平面視でも、図4の矢印で示すように、煤塵処理側壁32の内円筒側面に沿う渦巻きが発生する。これは、連結路4の連結角度及び煤塵処理側壁32の内側面の円筒形状によるものである。これによって、煤塵が煤塵処理床31に堆積し、排煙から煤塵を分離させることができる。煤塵が分離した排煙は、平面視渦巻き状にまかれながら中央軸3C付近で上昇し、排煙口30から排出される(図3)。
【0046】
(連結路4)
連結路4は、前記燃焼室1及び煤塵処理室3を、各壁面に設けた連結口(燃焼室連結口41、煤塵処理室連結口43)にて、煤塵処理室3側に行くに従って縮径しながら水平連結する。縮径することで煤塵処理室3への吹き込み流速が次第に大きくなり、迅速でよどみない排煙を促すことができる。
【0047】
連結路4の平面視の配設方向は、燃焼室1及び煤塵処理室3の平面視周縁形状の両方の接線方向と略同一であるか、或いは当該接線方向に沿うものである。煤塵処理室3の平面視周縁形状の接線方向と略同一方向へ(或いはこれに沿って)連結することにより、煤塵処理室3内部では、周縁の煤塵処理壁32に沿った平面視渦巻き流が発生する(図4)。これによっても迅速でよどみない排煙を促すこととなる。
【0048】
(蒸気発生装置5)
燃焼室天井13面には、蒸気発生装置5を隣設してなる。これにより、燃焼材Coの焼却処分と共に排出蒸気を得ることで木質バイオマスエネルギーを回収できる。蒸気発生装置5は、蒸気発生水を保有する蒸気発生水槽と、これに自動給水する自動給水装置と、蒸気発生水槽と連通して発生蒸気を導く蒸気導出路と、蒸気導出路に設けられて蒸気の流通量ないし圧力を調整する蒸気調整装置と、から構成される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
このようにして得られた本発明の燃焼炉は、種々燃焼材の廃棄や、燃焼熱或いはこれによる発生蒸気の有効利用に用いることができる。特に、木質バイオマス資源の有効活用として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の燃焼炉の実施例1の正面視概観図である。
【図2】実施例1の燃焼炉の平面視概観図である。
【図3】図1に対応する実施例1の正面視B−B断面図である。
【図4】図2に対応する実施例1の平面視A−A断面図である。
【図5】従来の燃焼炉の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1 燃焼室
11 燃焼床
12 燃焼側壁
12a 耐火キャスター
12b 断熱材
12c 鋼管曲板
13 燃焼室天井
14 区画壁
15 燃焼材供給口
16 点検口
17 内部視認窓
18 計器挿入孔
1A 一次燃焼室
1B 二次燃焼室
1C (燃焼室の)中央軸
2 空気供給管
2a 第一の空気供給管
2b 第二の空気供給管
2c 第三の空気供給管
21 外部開放水平管
21e 内部開放端
22 内部開放水平管
22e 外部開放端
23 内部縦管
24 上方循環水平管
25 外部縦管
3 煤塵処理室
30 排煙口
31 煤塵処理床
32 煤塵処理側壁
33 煤塵処理室天井
3C (煤塵処理室の)中央軸
4 連結路
41 燃焼室連結口
43 煤塵処理室連結口
5 蒸気発生装置
Co 燃焼材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼床の周縁に立設する燃焼側壁によって構成される燃焼室と、前記燃焼側壁の上下複数箇所を貫通して燃焼側壁の内側及び外側を上下に循環し、その一端が燃焼室の中央軸方向を向くように開放されてなる複数本の空気供給管と、を具備することを特徴とする燃焼炉。
【請求項2】
煤塵処理床の周縁に立設する煤塵処理側壁によって構成され天井面の一部分に排煙口30を有する煤塵処理室と、前記燃焼室及びこの煤塵処理室を、各壁面に設けた連結口にて水平連結する連結路と、を具備する請求項1記載の燃焼炉。
【請求項3】
燃焼室内に、前記連結路の連結口側を背として立設されて燃焼室を区画する区画壁と、燃焼室天井に設けられてこの区画壁の一側面の側へ燃焼材を供給する燃焼材供給口と、を具備してなる請求項1または2記載の燃焼炉。
【請求項4】
燃焼室の天井面に隣設した蒸気発生水槽を具備してなる請求項1、2または3記載の燃焼炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−118805(P2006−118805A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307769(P2004−307769)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(591163731)池川木材工業有限会社 (1)
【Fターム(参考)】