説明

燃焼炉

【課題】植物系の再生燃料を燃焼する燃焼炉に関し、燃料の供給に伴う部品の劣化を防止できて、耐久性の向上を図ることができる燃焼炉を提供すること。
【解決手段】燃焼炉1は、円筒形状の燃焼室2と、燃焼室2の外側を取り囲むように形成された水ジャケット3と、水ジャケット3の外周側に配置された円筒環形状の上部空気室4を備える。燃焼室壁21と上部ケーシング31には、上部空気室4の燃焼空気を燃焼室2に導く2次空気供給部としての複数の空気供給管71,72,73が貫通して固定されている。燃焼室2の底面には、1次空気供給部としての複数の貫通孔61,61,・・・と、燃料Fの受容部62を有する円盤状の底面板6が配置されている。燃焼室壁21には、燃焼室2に燃料Fを供給するスクリューコンベヤ9の燃料供給口91aが開口している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質チップや木質ペレットを燃焼する燃焼炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木質チップや木質ペレットを燃焼してボイラ等に熱を供給する燃焼炉として、円筒形状の燃焼室に、燃焼空気の旋回流を形成するように構成されたものがある。
【0003】
この種の燃焼炉としては、図11に示すように、内部に円筒形状の燃焼室202を形成する筒状の内壁221と、内壁221の外周側に配置されて内壁221との間に空気室204を形成する外壁241と、内壁221に周方向に配列して形成され、空気室204から燃焼室202へ燃焼空気を供給する複数の空気通路207を備えたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
この燃焼炉201は、燃料210を供給するスクリューコンベヤ209が燃焼室202の中心軸に沿って略鉛直に設置され、このスクリューコンベヤ209の先端の燃料供給口291が、燃焼室202の底面から突出して配置されている。スクリューコンベヤ209の燃料供給口291には、スクリューコンベヤ209の駆動軸292に連結されて回転駆動される燃料拡散棒293が設けられている。
【0005】
上記内壁221に形成された空気通路207は、燃焼室202の径方向に対して水平面内と鉛直面内で傾斜して形成されている。これにより、燃焼空気を、燃焼室202の中心軸に対して偏心した方向に供給し、燃焼室202内に燃焼空気の旋回流を形成する。また、スクリューコンベヤ209で導いた燃料210を、スクリューコンベヤ209の先端の燃料供給口291から吐出して燃料拡散棒293で燃焼室202の底面に分散させる。こうして、燃料210と燃焼空気を燃焼室202の中心軸周りに回転対称に供給することにより、化石燃料よりも燃焼し難い木質チップ等を、安定に燃焼させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−341409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の燃焼炉201は、燃料210の木質チップや木質ペレットが間伐材や建築廃材等から形成される。したがって、燃料210に、砂や建築金物の破片等のような硬質の不燃物が混入していることが多い。燃料210に混入した硬質の不燃物は、スクリューコンベヤ209内を燃料210が通過するに伴って分離され、スクリューコンベヤ209の下端に滞留し、スクリューコンベヤ209の搬送羽根294やケーシング295の内側面の摩耗を促進するという不都合がある。
【0008】
このような不都合を解消するため、図12に示す燃焼炉211のように、燃料210を供給するスクリューコンベヤ209を、燃焼室202の中心軸に対して傾斜した状態で燃焼室202の下方に配置し、このスクリューコンベヤ209の先端と、燃焼室202の底面に設けた燃料供給口202aとの間を、湾曲した導管212で接続する構成が考えられる。この燃焼炉211によれば、燃料210がスクリューコンベヤ209を通過する際に不燃物が分離され難くなるので、硬質の不燃物によりスクリューコンベヤ209の搬送羽根294やケーシング295の内側面が摩耗する不都合を低減できる。
【0009】
しかしながら、上記燃焼炉211は、不燃物を含んだ燃料が導管212を通過する際に、導管212の湾曲面に硬質の不燃物が摺擦するので、導管212の摩耗が進行し易いという不都合がある。
【0010】
そこで、本発明の課題は、植物系の再生燃料を燃焼する燃焼炉に関し、燃料の供給に伴う部品の劣化を防止できて、耐久性の向上を図ることができる燃焼炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の燃焼炉は、
植物系再生燃料を燃焼するための燃焼炉であって、
円筒形状の燃焼室と、
上記燃焼室の側面から燃焼室内に燃料を供給する燃料供給部と、
上記燃焼室の底面から燃焼空気を供給する1次空気供給部と、
上記燃焼室の側面から燃焼空気を供給する2次空気供給部とを備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、燃料供給部により、円筒形状の燃焼室の側面から燃料が供給されると共に、1次空気供給部により、燃焼室の底面から燃焼空気が供給され、かつ、2次空気供給部により、燃焼室の側面から燃焼空気が供給される。1次空気供給部からの燃焼空気と、2次空気供給部からの燃焼空気により、燃料供給部から供給された燃料が燃焼室内で偏りなく燃焼する。上記燃料供給部は、燃焼室の側面から燃料を供給するので、例えば、燃焼室の中心軸に対して傾斜して配置されたスクリューコンベヤ等から、燃焼室に燃料を直接供給するように構成できる。したがって、燃料供給部の燃料供給経路に起因する耐久性の低下を防止できる。具体的には、燃焼室の底面から燃料を供給する従来の燃焼炉のように、鉛直向きに配置されたスクリューコンベヤ内で、燃料から硬質の不燃物が分離されてスクリューコンベヤの部品が摩耗する不都合を防止できる。また、傾斜して配置されたスクリューコンベヤと燃料の吐出口を接続する導管の内側面に、硬質の不燃物が摺擦して導管が摩耗する不都合を防止できる。その結果、硬質の不燃物が含まれる植物系再生燃料を燃焼する燃焼炉において、構成部品の劣化を防止でき、燃焼炉の耐久性を向上できる。
【0013】
ここで、植物系再生燃料としては、例えば木質チップのように植物系の材料を破砕したものや、木質ペレットのように植物系の材料を成型したものがある。植物系の材料としては、オガ屑、木屑、間伐材及び剪定材等の木質系材料や、稲藁、籾殻、雑草及びバガス等の農業系材料や、建設廃材等の廃棄物系材料や、古紙や廃パルプ等の紙系材料がある。また、植物系再生燃料は、例えばRPF(Refuse Paper and Plastic Fuel)のように、一部に植物系の材料を用いた燃料であってもよい。
【0014】
一実施形態の燃焼炉は、上記燃料供給部は、上記燃焼室の中心軸に対して傾斜して配置されたスクリューコンベヤと、このスクリューコンベヤの端部に連通して燃焼室の側面に開口する燃料供給口を有する。
【0015】
上記実施形態によれば、燃焼室の中心軸に対して傾斜して配置されたスクリューコンベヤで運搬された燃料が、このスクリューコンベヤの端部に連通する燃料供給口を通して、燃焼室の側面から燃焼室内に供給される。したがって、植物系再生燃料に含まれる硬質の不燃物による劣化を生じることなく、燃焼室に燃料を供給できる。
【0016】
一実施形態の燃焼炉は、上記燃焼室の底面に、上記燃料供給部から供給された燃料を受ける受容部を備える。
【0017】
上記実施形態によれば、燃焼室の側面から供給された燃料が、底面の受容部に受けられることにより、燃焼室内で燃料が安定して燃焼する。
【0018】
一実施形態の燃焼炉は、上記1次空気供給部は、上記燃焼室の底面に設けられた複数の孔を有する。
【0019】
上記実施形態によれば、1次空気供給部が有する複数の孔を通して、燃焼室の底面から燃焼空気が燃焼室に供給され、燃料の燃焼が促進される。ここで、燃焼室の底面において、1次空気供給部が有する複数の孔が、燃料を受ける受容部の外周側に配置されるのが好ましい。
【0020】
一実施形態の燃焼炉は、上記2次空気供給部は、上記燃焼室の側面に開口する燃焼空気の複数の吹出口を有し、
上記2次空気供給部の複数の吹出口の一部が、上記燃料供給部の燃料供給口よりも、上記燃焼室の底面から遠い位置に配置されている。
【0021】
上記実施形態によれば、燃料供給部の燃料供給口から供給されて底面に向かう燃料に、2次空気供給部の複数の吹出口から適量の燃焼空気が供給される。したがって、燃焼空気の量が過剰となって燃料が溶融してクリンカが生じる不都合を防止できると共に、燃焼空気の量が不足して燃料が不完全燃焼する不都合を防止できる。
【0022】
一実施形態の燃焼炉は、上記2次空気供給部は、上記燃焼室に燃焼空気の旋回流を形成する。
【0023】
上記実施形態によれば、燃焼空気の旋回流により、燃焼室内に十分な量の燃焼空気が供給されて燃料が安定して完全燃焼をする。
【0024】
一実施形態の燃焼炉は、上記2次空気供給部は、上記燃焼室に燃焼空気の乱流を形成する。
【0025】
上記実施形態によれば、燃焼空気の乱流により、燃料の燃焼成分と燃焼空気との混合が促進されて燃料の完全燃焼が促進される。
【0026】
一実施形態の燃焼炉は、上記2次空気供給部は、上記燃焼室の中心軸と直角の面内において、上記燃焼室の径方向と傾斜した方向を向く空気供給路を有する。
【0027】
上記実施形態によれば、2次空気供給部の空気供給路を通った燃焼空気が、燃焼室内に、この燃焼室の中心軸と直角の面内で偏心した方向に吹き出される。これにより、燃焼室内に、効果的に燃焼空気の旋回流が形成される。
【0028】
一実施形態の燃焼炉は、上記2次空気供給部は、上記燃焼室の中心軸を含む面内において、上記燃焼室の径方向と傾斜した方向を向く空気供給路を有する。
【0029】
上記実施形態によれば、2次空気供給部の空気供給路を通った燃焼空気が、燃焼室内に、この燃焼室の中心軸を含む面内において、燃焼室の底面側又は天面側に傾斜した方向に吹き出される。これらの燃焼空気が、他の方向に流れる燃焼空気と混ざることにより、燃焼室内に、効果的に燃焼空気の乱流が形成される。
【0030】
一実施形態の燃焼炉は、上記燃料供給部と、上記燃焼室に燃焼空気を供給する送風機とを制御する制御部を備え、
上記制御部は、上記燃料供給部による燃料供給量と上記送風機による送風量を制御して、上記燃焼室で生成すべき熱量を調節する燃焼モードと、上記燃料供給部による燃料供給量と上記送風機による送風量を上記燃焼モードにおけるよりも少ない量に制御して、上記燃焼室に種火を保持する待機モードとを有する。
【0031】
上記実施形態によれば、制御部により、燃焼室に燃料を供給する燃料供給部の動作と、燃焼室に燃焼空気を供給する送風機の動作が制御される。制御部は、燃焼モードにおいて、燃料供給部による燃料供給量と送風機による送風量を制御して、燃焼室で生成される熱量を所定の熱量に調節する。これにより、燃焼室で生成する熱を、例えばボイラ等の熱機器に供給すべき量に調節し、熱機器を適切に作動させる。一方、待機モードにおいて、制御部は、燃料供給部による燃料供給量と送風機による送風量を燃焼モードよりも少ない量に制御して、燃焼室に種火を保持する。このとき、熱機器への熱の供給を実質的に停止する。この待機モードにおいて、燃焼室への燃焼空気の送風量と燃料の供給量を増大させれば、迅速に所定の熱量が得られるので、迅速に燃焼モードに移ることができる。したがって、化石燃料と比較して着火しにくい植物系再生燃料を用いるにもかかわらず、要求される熱量の変化に速やかに対応できる燃焼炉が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態の燃焼炉を用いたボイラ装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態の燃焼炉を示す縦断面図である。
【図3】上部空気室及び下部空気室を示す平面図である。
【図4】底面板を示す斜視図である。
【図5A】他の底面板を示す斜視図である。
【図5B】他の底面板を用いた場合の燃焼室の底部を示す断面図である。
【図6】スクリューコンベヤのケーシングへの取り付け部を示す縦断面図である。
【図7A】2次空気供給部を形成する空気供給管の配置を示す縦断面図である。
【図7B】空気供給管のうちの第1旋回気流管の配置を示す平断面図である。
【図7C】空気供給管のうちの下降気流管の配置を示す平断面図である。
【図7D】空気供給管のうちの第2旋回気流管の配置を示す平断面図である。
【図8】他の空気供給管の配置を示す縦断面図である。
【図9】ボイラ装置の制御系統を示す模式図である。
【図10】水熱交換器を示す模式断面図である。
【図11】従来の燃焼炉の燃料供給部を示す断面図である。
【図12】従来の燃焼炉の燃料供給部を改良した様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施形態の燃焼炉を用いて構成されたボイラ装置を示す模式図であり、図2は、上記ボイラ装置に用いられた燃焼炉を示す図である。このボイラ装置10に用いられた燃焼炉1は、植物系再生燃料である木質チップを燃料とし、ボイラ装置10の熱源として機能する。
【0035】
この燃焼炉1は、円筒形状の燃焼室2と、燃焼室2の外側を取り囲むように形成された水ジャケット3と、水ジャケット3の外周側に高さ方向の略中央に配置された円筒環形状の上部空気室4を備える。燃焼室2は、キャスタブル耐火物を用いて形成された円筒形状の燃焼室壁21で取り囲まれている。なお、燃焼室壁21は、耐火レンガ等の他の耐火性を有する材料を用いて形成されてもよい。燃焼室2の外側の水ジャケット3は、燃焼室壁21と上部ケーシング31との間に形成されている。
【0036】
燃焼室壁21と上部ケーシング31には、上部空気室4の燃焼空気を燃焼室2に導く2次空気供給部としての複数の空気供給管71,72,73が貫通して固定されている。空気供給管71,72,73は、内部に空気供給路が形成され、後に詳述するように、燃焼室2の径方向に対して所定方向に傾斜して固定されている。上部空気室4には、空気室壁41に設けられた上部給気管42を通って、矢印A1で示すように燃焼空気が供給される。上部空気室4に供給された燃焼空気は、空気供給管71,72,73を通って燃焼室2に供給される。燃焼室2内で燃料Fが燃焼して生成された高温の燃焼ガスは、燃焼室壁21の上部に設けられた排気管22を通って水熱交換器14に供給される。
【0037】
燃焼室2の底面には、燃焼室壁21の下端に嵌合する円盤状の底面板6が配置され、この底面板6の下方に下部空気室5が配置されている。下部空気室5は、円筒形状の下部ケーシング51内に形成されている。底面板6には、燃焼空気を下部空気室5から燃焼室2に導く1次空気供給部を形成する複数の貫通孔61,61,・・・が、外径部分に形成されている。底面板6の内径部分の燃焼室2側には、燃料Fを受け取る受容部62が形成されている。下部空気室5には、下部ケーシング51に設けられた下部給気管52を通って、矢印A2で示すように燃焼空気が供給される。
【0038】
図3は、平面視における上部空気室4と下部空気室5の形状を重ねて示した模式図である。図3に示すように、上部空気室4の側面に設けられた上部給気管42は、空気室4の側面の接線方向に延在している。上部給気管42を通して上部空気室4に接線方向に空気を供給することにより、円筒環形状の上部空気室4内に、周方向における偏りの少ない空気の流れを形成することができる。一方、下部空気室5の側面に設けられた下部給気管52は、平面視において下部空気室5の径方向に延在している。下部給気管52を通して下部空気室5に径方向に空気を供給することにより、円筒形状の下部空気室5に、偏りの少ない空気の流れが形成される。上部空気室4と下部給気管52には、上部給気管42と下部給気管52の上流側に接続された送風機20により、燃焼空気が供給される、
【0039】
図4は、底面板6を示す斜視図である。底面板6は、キャスタブル耐火物を円盤状に成型してなり、平面視において外径部分の環状の領域に、複数の貫通孔61,61,・・・が形成されている。この貫通孔61,61,・・・が形成された領域の径方向の内側である内径部分に、受容部62が設けられている。受容部62は、燃焼室2に臨む面に形成された円形の浅い凹部で構成されている。この受容部62に、燃料供給部としてのスクリューコンベヤ9から供給された燃料Fが受け取られる。受容部62は、燃焼炉1が水熱交換器14に熱を供給する燃焼運転を行う場合に、燃焼する燃料Fを保持する。一方、燃焼炉1が水熱交換器14に熱を供給しない待機運転を行う場合に、着火した状態の燃料Fを種火として保持する。待機運転時に受容部62が種火を保持することにより、燃焼室2への燃料Fと燃焼空気の供給量が増大すれば、迅速に燃焼運転に移行することができる。なお、燃料Fは、受容部62のみでなく、底面板6の受容部62の外径側に位置する部分で支持してもよい。
【0040】
なお、図5Aに示すように、平面視において全面に貫通孔61,61,・・・を形成した底面板106を用いてもよい。この底面板106を用いる場合、燃焼室2の底部に、底面板106の貫通孔61,61,・・・を開閉する開閉機構を設ける。開閉機構は、図5Bに示すように、底面板106の中央に同心に配置された円盤状の遮蔽板64と、この遮蔽版64を底面板106の下部空気室5側の貫通孔61,61,・・・の開口に向かって矢印Sで示すように接離駆動するリニアアクチュエータ65を含んで構成することができる。燃焼炉1が水熱交換器14に熱を供給する燃焼運転を行う場合、リニアアクチュエータ65で遮蔽板64を底面板106から遠ざけて、底面板106の全ての貫通孔61,61,・・・を、下部空気室5と燃焼室2との間で連通状態にする。これにより、全ての貫通孔61,61,・・・を通して、燃焼室2に燃焼空気を供給する。一方、燃焼炉1が水熱交換器14に熱を供給しない待機運転を行う場合は、リニアアクチュエータ65で遮蔽板64を底面板106に接触させて、底面板106の中央部の貫通孔61,61,・・・を閉じる。これにより、底面板106の中央部は、燃焼空気の吹き出しが停止するので燃料Fを保持することが可能となり、受容部として機能する。これにより、待機運転時に、底面板106の中央部に種火を保持することができる。なお、開閉機構は、遮蔽板64及びリニアアクチュエータ65による以外に、底面板106の表面や裏面に設置された回転駆動式のシャッター等のように他の機構を用いてもよく、要は、底面板106の中央部の貫通孔61,61,・・・を開閉可能であればよい。
【0041】
燃焼室2の側面には、燃料Fを供給する燃料供給部としてのスクリューコンベヤ9が設置されている。スクリューコンベヤ9は、筒状のケーシング91と、ケーシング91内に配置された回転駆動軸92及び搬送スクリュー93で形成され、燃料Fを投入する投入管94に一端が接続されている。投入管94は、燃料Fの貯留及び供給を行う定量供給機11の供給コンベヤ12に、遮断弁13を介して接続されている。スクリューコンベヤ9の他端には、燃焼室2の側面に開口する燃料供給口91aが設けられている。燃料供給口91aの高さ方向の中心は、複数の空気供給管71,72,73が配列された領域よりも低い位置に設置されている。なお、燃料供給口91aの高さ方向の中心は、複数の空気供給管71,72,73が配列された領域の高さ方向の中心よりも低い位置に設置されていればよい。ここで、高さ方向とは、燃焼室2の中心軸の延在方向と実質的に同じであり、高さの低い側は下部ケーシング51の底面に近い側であり、また、高さの高い側は上部ケーシング31の天面に近い側である。上記スクリューコンベヤ9は、一端から他端に向かうにつれて位置が高くなるように傾斜しており、これにより、高温の燃焼空気がスクリューコンベヤ9の内部を逆流し難くなっている。
【0042】
上記スクリューコンベヤ9は直線状をなし、燃焼室2の中心軸に対して傾斜して燃焼室2の側面に燃料供給口91aを開口するように配置されている。したがって、従来の燃焼炉201におけるような、鉛直方向のスクリューコンベヤ209の内部が、分離した硬質の不燃物によって摩耗する不都合を防止できる。また、従来の燃焼炉211におけるような、傾斜して配置されたスクリューコンベヤ209と燃料供給口202aとの間を接続する導管212が、硬質の不燃物で摩耗する不都合を防止できる。したがって、この燃焼炉1は、硬質の不燃物が含まれる植物系再生燃料を燃焼しても、構成部品の劣化が少なく、高い耐久性を有する。
【0043】
図6は、スクリューコンベヤ9の他端部の近傍を示す断面図である。図6に示すように、スクリューコンベヤ9の他端部は、水ジャケット3を貫通して設置されており、燃焼室壁21と上部ケーシング31に固定された鞘管95の内側に、スクリューコンベヤ9のケーシング91が連結されている。鞘管95の上部ケーシング31の外側の端に設けられたフランジ95aに、スクリューコンベヤ9のケーシング91の外周面に設けられたフランジ91bがボルトで固定されている。これにより、スクリューコンベヤ9を燃焼炉1の本体に容易に着脱でき、スクリューコンベヤ9の保守点検が容易に行われるようになっている。また、水ジャケット3や燃焼室2からスクリューコンベヤ9内への熱の伝達を緩和することができる。
【0044】
水ジャケット3は、貯湯タンク15から供給された水を加熱するものであり、上部ケーシング31の下部に接続された加熱送り管33に、矢印W1で示すように、貯湯タンク15からの水が導入される。水ジャケット3で燃焼室2からの熱を受けて加熱された水は、上部ケーシング31の上部に接続された排水管32から、矢印W2で示すように水熱交換器14に向けて排出される。
【0045】
図7Aは、2次空気供給部としての複数の空気供給管71,72,73の配置状態を示す縦断面図である。図7Aは、空気供給管71,72,73の設置位置において、燃焼室壁21と上部ケーシング31を、燃焼室2の中心軸を含む面内で切断した様子を示す断面図である。なお、図7Aでは、空気供給管71,73の径方向に対する傾斜は表現していない。図7Aに示すように、本実施形態の燃焼炉1には、燃焼室2の中心軸の延在方向に3段の空気供給管71,72,73が配列されている。これらの空気供給管71,72,73のうち、燃焼室2の最も天面側に位置する空気供給管は、燃焼室2の中心軸と直角をなす面に平行の第1旋回気流管71である。この第1旋回気流管71は、図7Bの平断面図に示すように、燃焼室2の中心軸方向視において、径方向に対して時計回りに傾斜角αを成して配置されている。これにより、上部空気室4から第1旋回気流管71を通って導かれた燃焼空気は、燃焼室2内に中心軸の偏心方向に吹き出される。この第1旋回気流管71に対して燃焼室2の底面側に位置する空気供給管は、燃焼室2の中心軸の直角面に対して、燃焼室2に臨む側が燃焼室2の底面に向かって傾斜した下降気流管72である。この下降気流管72は、図7Aの縦断面図に示すように、燃焼室2の軸直角方向に対して傾斜角θを成して配置されていると共に、図7Cの平断面図に示すように、燃焼室2の中心軸方向視において径方向に配置されている。これにより、上部空気室4から下降気流管72を通って導かれた燃焼空気は、燃焼室2内に底面方向に吹き出される。この下降気流管72に対して燃焼室2の底面側に位置する空気供給管は、燃焼室2の中心軸と直角をなす面に平行の第2旋回気流管73である。この第2旋回気流管73は、図7Dの平断面図に示すように、燃焼室2の中心軸方向視において、径方向に対して反時計回りに傾斜角βを成して配置されている。第2旋回気流管73の径方向に対する傾斜角βは、第1旋回気流管71の径方向に対する傾斜角αと、径方向に関して逆向きの角度を成している。これにより、上部空気室4から第2旋回気流管73を通って導かれた燃焼空気は、燃焼室2内に、中心軸に関して第1旋回気流管71と逆向きの偏心方向に吹き出される。上記第1旋回気流管71により偏心方向に吹き出される燃焼空気と、上記下降気流管72により底面方向に吹き出される燃焼空気と、上記第2旋回気流管73により偏心方向に吹き出される燃焼空気とが衝突して、燃焼室2の空気供給管71,72,73の設置位置に、燃焼空気の乱流が形成される。
【0046】
ここで、第1旋回気流管71の径方向に対する傾斜角αは、0°よりも大きく50°以下であり、好ましくは、1°以上30°以下である。また、下降気流管72の軸直角方向に対する傾斜角θは、0°よりも大きく50°以下であり、好ましくは、1°以上30°以下である。また、第2旋回気流管73の径方向に対する傾斜角βは、0°よりも大きく50°以下であり、好ましくは、1°以上30°以下である。
【0047】
なお、燃焼室2の空気供給管71,72,73は、図7Aの縦断面図のように、燃焼室2の天面側を第1旋回気流管71とし、中央の一段を下降気流管72とすると共に燃焼室2の底面側を第2旋回気流管73とするほか、図8の縦断面図のように、燃焼室2の天面側を下降気流管72とし、中央の1段を旋回気流管71とすると共に燃焼室2の底面側を上昇気流管74としてもよい。上昇気流管74は、燃焼室2の中心軸の直角面に対して、燃焼室2に臨む側が燃焼室2の天面に向かって傾斜すると共に、燃焼室2の中心軸方向視において径方向に配置される。この上昇気流管74により、上部空気室4から下降気流管72を通って導かれた燃焼空気が、燃焼室2内に天面方向に吹き出される。また、旋回気流管71と下降気流管72と上昇気流管73の設置段数は、燃焼室2内に形成すべき流れに応じて適宜設定できる。また、全体の空気供給管71,72,73の段数は3段以外の何段でもよい。また、全ての段を第1又は第2旋回気流管71,73のみで形成し、燃焼室2内に旋回流のみを形成してもよい。
【0048】
また、2次空気供給部は、内部が空気供給路となる空気供給管を用いて形成するほか、厚みのある壁体に貫通孔を設けて空気供給路を形成してもよい。この場合、貫通孔の延在方向を、燃焼室2の中心軸と直角の面や、中心軸を通る面に対して傾斜させ、あるいは、径方向に向けて、傾斜通路や旋回通路を形成してもよい。
【0049】
図9は、ボイラ装置10の制御系統を示すブロック図である。このボイラ装置10は、図1及び10に示すように、上記燃焼炉1と、燃焼炉1から燃焼ガスが供給される熱機器としての水熱交換器14と、水熱交換器14及び燃焼炉1で加熱された高温水を貯留する貯湯タンク15と、水熱交換器14から導かれた排気の集塵を行うサイクロン集塵装置17と、サイクロン集塵装置17の排気口に連なる誘引ファン18を備える。
【0050】
燃焼炉1には、燃料としての木質チップが定量供給機11の供給コンベヤ12から巻き出され、燃焼室2内の気圧を保持するための遮断弁13を介してスクリューコンベヤ9に供給される。定量供給機11のサイロ部内には、径方向に延びる複数の攪拌棒が回転軸に固定されて成る攪拌装置114が設けられている。この攪拌装置114は、定量供給機11の側部に設置された駆動手段115で回転駆動され、定量供給機11のサイロ部に貯留された燃料Fを攪拌する。定量供給機11のサイロ部には、貯留する燃料Fの表面位置を検出して残量を検知するレベルセンサL1が設けられている。スクリューコンベヤ9には温度センサT1が設けられており、温度センサT1の検出温度に基づいて、スクリューコンベヤ9の搬送する燃料Fが燃焼室2からの高温空気によって着火していないかを監視している。温度センサT1が異常温度を検出して燃料Fの着火を検知すると、スクリューコンベヤ9に接続された給水管の開閉バルブV1を開いて消火を行うようになっている。
【0051】
燃焼炉1の燃焼室2から燃焼ガスを導く排気管22は、水熱交換器14に接続され、水熱交換器14の燃焼ガス通路の始端に連通している。燃焼室2から水熱交換器14に送られる燃焼ガスの温度は、燃焼室2のガス温度センサT2で検出され、このガス温度センサT2の検出値に基づいて、燃焼空気及び燃料Fの供給量が制御される。
【0052】
図10は、上記水熱交換器14を詳細に示す模式断面図である。この水熱交換器14は、縦長のケーシング141内の上部が、管板を兼ねる上部仕切板142と、隔壁144とで仕切られて、前煙室145と後煙室146が形成されている。また、ケーシング141内の下部が、管板を兼ねる下部仕切板143で仕切られて、中間煙室147が形成されている。上記ケーシング141の上部仕切板142と下部仕切板143の間が、水缶149となっており、上部仕切板142と下部仕切板143とに端部が溶接された複数の煙管148,148,・・・が、水缶149の内部に配置されている。この水熱交換機14では、燃焼炉1から前煙室145に流入した燃焼ガスが、矢印Gで示すように煙管148に流入し、水缶149内の水と熱交換をした後、中間煙室147に流れる。燃焼ガスは、中間煙室147で折り返し、矢印Hで示すように煙管148に流入し、水缶149内の水と更に熱交換をした後、後煙室146に流れる。後煙室146の燃焼ガスは、矢印Iで示すように排気管164を通って排出され、下流側のサイクロン集塵装置17に受け取られる。水缶149には、ケーシング141の下部に設けられた給水口160を通して、燃焼炉1の水ジャケット3からの水が矢印W2で示すように流入する。水缶149内で煙管148,149内を通る燃焼ガスと熱交換をして温度が上昇した水は、水缶149の上部に連通する連通管161と、この連通管161の上部に設けられた排水口162を通して、矢印W3で示すように排出される。連通管161の上端には、水缶149内の水蒸気が所定の圧力に達したときに水蒸気を大気に放出する大気開放弁163が設けられている。
【0053】
水熱交換器14は、燃焼炉1の水ジャケット3で加熱された水を更に加熱し、貯湯タンク15に供給する。水熱交換器14の水缶149には、内部の水量を検出する水位センサL3が設けられている。水ジャケット3の排水管32には、水の温度を検出する温度センサT3が設けられている。貯湯タンク15には、貯留される水の温度を検出する温度センサT4と、内部の水量を検出する水位センサL2が設けられている。
【0054】
貯湯タンク15は、水熱交換器14から延びる加熱戻り管81と、循環ポンプ16に介設されて燃焼炉1の水ジャケット3に延びる加熱送り管33に接続されている。水熱交換器14と水ジャケット3と貯湯タンク15とで循環経路を構成している。更に、貯湯タンク15は、貯湯タンク15と水熱交換器14と水ジャケット3内の水位に応じて水を供給する給水管151と、矢印Dで示すように、温水を利用する利用設備に温水を供給する給湯管152と、矢印Eで示すように、利用設備から温水が戻る給湯戻り管153に接続されている。
【0055】
サイクロン集塵装置17は、側面に燃焼ガスの吸入口が設けられた円筒部171と、円筒部171の下方に連なって内部に旋回流が形成される逆円錐形の分離部172と、円筒部171内から上方に突出して配置された排気筒175を有する。分離部172の下端にはロータリーバルブ173が接続され、このロータリーバルブ173を介して塵収容器174が設けられている。このサイクロン集塵装置17は、水熱交換器14で熱交換を終えた燃焼ガスを円筒部171の吸入口から吸入し、円筒部171と分離部172で、矢印Y1で示すように燃焼ガスの旋回流を形成し、この旋回流の遠心力により燃焼ガスに含まれる粉塵を分離する。燃焼ガスから分離した粉塵はロータリーバルブ173から塵収容器174に排出する一方、粉塵が分離された燃焼ガスを、矢印Y2で示すように排気筒175から排出する。排気筒175に排出された燃焼ガスは、排気筒175に連なる排気管176を通して誘引ファン18に吸引される。
【0056】
誘引ファン18は、遠心式送風機で形成され、サイクロン集塵装置17から連なる排気管176に接続された吸気管181と、吸気管181の中心軸と同心に配置された回転翼を収容したファンケーシング182と、ファンケーシング182内の回転翼を駆動する駆動部183を有する。ファンケーシング182の側部に設けられた排気口に、鉛直方向に延びる煙突19が接続されている。
【0057】
このボイラ装置10は、上記レベルセンサL1、温度センサT1、ガス温度センサT2、水位センサL2,L3及び温度センサT3,T4の検出情報に基づいて、供給コンベヤ12、遮断弁13、スクリューコンベヤ9、開閉バルブV1、誘引ファン18、送風機20及び循環ポンプ16の動作を制御する制御部25を備える。この制御部25により、貯湯タンク15の温度が所定温度となり、また、貯湯タンク15の水位が所定水位となるように、燃焼室2で生成される熱量と、水ジャケット3と水熱交換器14と貯湯タンク15の水の循環量が制御される。
【0058】
上記構成の燃焼炉1及びボイラ装置10は、次のように動作する。まず、水位センサL2,L3の検出情報により、水熱交換器14及び貯湯タンク15内の水位を確認する。水熱交換器14及び貯湯タンク15内の水位が基準値よりも少ない場合は、矢印Cで示すように給水管151を通して貯湯タンク15に水を供給する。なお、給水管151を通した貯湯タンク15への給水は、浮き球を有するボールタップで給水量を調節してもよい。水熱交換器14及び貯湯タンク15内の水位が基準値を満たす場合は、誘引ファン18と送風機20を起動すると共に、遮断弁13を開いて供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9を起動する。送風機20を起動して、上部給気管42を通して上部空気室4に燃焼空気を供給すると共に、下部給気管52を通して下部空気室5に燃焼空気を供給する。遮断弁13を開いて供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9を起動して、定量供給機11から供給コンベヤ12で燃料Fの木質チップを巻き出し、遮断弁13を通ってスクリューコンベヤ9で燃焼室2に燃料Fを投入する。
【0059】
燃焼炉1では、上部空気室4に供給された燃焼空気が、空気供給管71,72,73を通って燃焼室に供給される。このとき、第1旋回気流管71から燃焼室2の中心軸の偏心方向に吹き出す燃焼空気と、下降気流管72から底面側に吹き出す燃焼空気と、第2旋回気流管73から燃焼室2の中心軸の偏心方向に、第1旋回気流管71と反対側の偏心方向に吹き出す燃焼空気とが混合して、燃焼室2の下部に燃焼空気の乱流が生成される。この乱流が形成される領域の下部に位置する燃料供給口91aから、矢印F1で示すように、スクリューコンベヤ9で供給された燃料Fが燃焼室2内に投入され、投入された燃料Fは燃焼室2の底面板6の上に保持される。
【0060】
底面板6の上に保持された燃料Fは、石油燃料で作動する図示しないバーナで着火され、下部空気室5から底面板6の貫通孔61,61,・・・を通して供給される1次燃焼空気と、上部空気室4から空気供給管71,72,73を通して供給される2次燃焼空気を受けて燃焼を開始する。燃料Fの燃焼に伴って生成された燃焼ガスは、燃焼室2内の乱流が生成される領域の上方を旋回状に流れる。燃料Fは、燃焼に伴う燃焼ガスが、燃焼室2内を乱流及び旋回流を形成して流れる過程で、貫通孔61及び空気供給管71,72,73により十分に燃焼空気が供給され、また、比較的長い時間をかけて加熱されるので、完全燃焼をする。したがって、植物系再生燃料である燃料Fを用いながら、安定した熱量が得られる。燃焼室2で燃焼が燃焼して生成された燃焼ガスは、排気管22を通って水熱交換器14に送られる。
【0061】
水熱交換機14に送られた燃焼ガスは、排気管22を通って水熱交換機14の前煙室145に導入され、煙管148,149を通る間に水缶149内の水と熱交換を行う。後煙室146に達した燃焼ガスは、サイクロン集塵装置17に導かれる。サイクロン集塵装置17では、円筒部171の吸入口から流入した燃焼ガスが分離部172に導かれ、分離部172内を旋回状に流れる際の遠心力で塵が分離する。燃焼ガスから分離した塵は、サイクロン集塵装置17の下部の塵収容器174に集められる。塵が分離された燃焼ガスは排気筒175を通り、排気塔175に連なる排気管176を通して誘引ファン18に吸引され、煙突19を通って排気される。なお、誘引ファン18の下流側に、燃焼ガスに含まれる微細な粒子を除去するバグフィルタを接続してもよい。
【0062】
貯湯タンク15内の水は、循環ポンプ16によって加熱送り管33を通して燃焼炉1の水ジャケット3に送られる。水ジャケット3で燃焼室2から伝わる熱を受けて加熱された水は、排水管32を通って水熱交換器14の水缶149に導かれ、水熱交換器14で燃焼ガスと熱交換を行って更に加熱される。水熱交換器14で加熱された水は、加熱戻り管81を通って貯湯タンク15に戻される。
【0063】
制御部25は、温度センサT4で検出された貯湯タンク15の水の温度に基づいて、供給コンベヤ12、遮断弁13及びスクリューコンベヤ9の動作を制御し、燃焼室2に供給する燃料Fの量を制御すると共に、誘引ファン18と送風機20の動作を制御し、燃焼室2に供給する燃焼空気の量を制御する。貯湯タンク15の水が利用設備で消費されるに伴い、給水管151からの低温の水の追加によって貯湯タンク15の水温が低下すると、制御部25は、貯湯タンク15の水の温度を上昇させる燃焼モードの制御を行う。すなわち、遮断弁13を開き、供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9による燃料Fの供給量を増大すると共に、送風機20の送風量を増大して燃焼室2への燃焼空気の供給量を増大する。また、誘引ファン18の吸引量を増大してサイクロン集塵装置17の水熱交換器14から吸引する燃焼ガス量を増大する。更に、循環ポンプ16の送水量を増大し、水ジャケット3及び水熱交換機14に送る水の量を増大する。これにより、燃焼室2内で燃料Fが燃焼して生成される熱量が増大し、水ジャケット3及び水熱交換機14で加熱される水の量が増大し、貯湯タンク15の水温が上昇する。貯湯タンク15の水が所定温度に達すると、制御部25は、供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9による燃料Fの供給量を減少させると共に、送風機20の送風量を減少させて燃焼室2への燃焼空気の供給量を減少させ、誘引ファン18の吸引量を減少させて水熱交換器14から吸引する燃焼ガス量を減少させ、循環ポンプ16の送水量を減少させる。供給コンベヤ12からスクリューコンベヤ9への燃料Fの供給を停止する場合は、遮断弁13を閉じて燃焼室2からの燃焼ガスや燃焼空気の逆流を防止する。
【0064】
温水の利用が停止したこと等により、水熱交換器14による水の加熱動作を停止する場合、制御部25は、燃焼モードの制御を停止して待機モードの制御を行う。すなわち、供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9による燃料供給量を、燃焼モードにおけるよりも少なくすると共に、誘引ファン18の吸引量と送風機20の送風量を燃焼モードにおけるよりも少なくする。また、循環ポンプ16による水熱交換器14への送水を停止する。こにより、水熱交換器14への熱の供給を実質的に停止した状態で、燃焼室2に種火を保持する。このように、燃焼室2に臨む底面板6の受容部62に最小限の燃料Fを保持し、この燃料Fに種火を残すことにより、温水の使用が再開して水熱交換器14の動作が求められた場合に、供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9による燃料供給量と、送風機20の送風量を増大すれば、燃料Fを迅速に着火させて燃焼室2で生成する熱量を迅速に回復することができる。すなわち、待機モードから燃焼モードに迅速に移ることができ、温水の需要に迅速に対応することができる。なお、待機モードでは、供給コンベヤ12及びスクリューコンベヤ9による燃料Fの供給は、連続的に行ってもよく、あるいは、断続的に行ってもよい。要は、種火を保持できる程度の燃料Fを供給できればよい。
【0065】
上記実施形態において、植物系再生燃料として、木質チップからなる燃料Fを用いたが、木質ペレット等のように、植物系の材料を成型した再生燃料を用いてもよい。植物系の材料としては、オガ屑、木屑、間伐材及び剪定材等の木質系材料や、稲藁、籾殻、雑草及びバガス等の農業系材料や、建設廃材等の廃棄物系材料や、古紙や廃パルプ等の紙系材料がある。また、植物系再生燃料は、例えばRPFのように、一部に植物系の材料を用いた燃料であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、燃焼炉1は、熱機器としての水熱交換器14に熱を供給したが、他の熱機器に熱を供給してもよい。また、燃焼炉1は、燃焼室2の外周側に水ジャケット3を備えたが、水ジャケット3は無くてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 燃焼炉
2 燃焼室
6 底面板
7 空気供給管
9 スクリューコンベヤ
61 貫通孔
62 受容部
F 燃料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物系再生燃料を燃焼するための燃焼炉であって、
円筒形状の燃焼室と、
上記燃焼室の側面から燃焼室内に燃料を供給する燃料供給部と、
上記燃焼室の底面から燃焼空気を供給する1次空気供給部と、
上記燃焼室の側面から燃焼空気を供給する2次空気供給部とを備えることを特徴とする燃焼炉。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記燃料供給部は、上記燃焼室の中心軸に対して傾斜して配置されたスクリューコンベヤと、このスクリューコンベヤの端部に連通して燃焼室の側面に開口する燃料供給口を有することを特徴とする燃焼炉。
【請求項3】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記燃焼室の底面に、上記燃料供給部から供給された燃料を受ける受容部を備えることを特徴とする燃焼炉。
【請求項4】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記1次空気供給部は、上記燃焼室の底面に設けられた複数の孔を有することを特徴とする燃焼炉。
【請求項5】
請求項2に記載の燃焼炉において、
上記2次空気供給部は、上記燃焼室の側面に開口する燃焼空気の複数の吹出口を有し、
上記2次空気供給部の複数の吹出口の少なくとも一部が、上記燃料供給部の燃料供給口よりも、上記燃焼室の底面から遠い位置に配置されていることを特徴とする燃焼炉。
【請求項6】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記2次空気供給部は、上記燃焼室に燃焼空気の旋回流を形成することを特徴とする燃焼炉。
【請求項7】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記2次空気供給部は、上記燃焼室に燃焼空気の乱流を形成することを特徴とする燃焼炉。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の燃焼炉において、
上記2次空気供給部は、上記燃焼室の中心軸と直角の面内において、上記燃焼室の径方向と傾斜した方向を向く空気供給路を有することを特徴とする燃焼炉。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の燃焼炉において、
上記2次空気供給部は、上記燃焼室の中心軸を含む面内において、上記燃焼室の径方向と傾斜した方向を向く空気供給路を有することを特徴とする燃焼炉。
【請求項10】
請求項1に記載の燃焼炉において、
上記燃料供給部と、上記燃焼室に燃焼空気を供給する送風機とを制御する制御部を備え、
上記制御部は、上記燃料供給部による燃料供給量と上記送風機による送風量を制御して、上記燃焼室で生成すべき熱量を調節する燃焼モードと、上記燃料供給部による燃料供給量と上記送風機による送風量を上記燃焼モードにおけるよりも少ない量に制御して、上記燃焼室に種火を保持する待機モードとを有することを特徴とする燃焼炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−79732(P2013−79732A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218438(P2011−218438)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】