説明

燃焼装置

【課題】給湯停止後の再出湯時の給湯熱交換器のパイロット後沸きを抑制する。
【解決手段】給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39との間隔に、口火用のパイロットバーナ38を設けて、その口火をメインバーナ10,39に着火する。メインバーナ10,39の燃焼停止後も消火動作が行われるまでの間はパイロットバーナ38の燃焼を継続する。給湯熱交換器7内の主熱交換管路4には、主熱交換管路4の長手方向に互いに間隔を介し複数のフィン3を配設する。主熱交換管路4を、パイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部を入水口1として、この端部を通した後に、パイロットバーナ38から離れた反対側の給湯熱交換器7の端部側の出水口2側へ向けて給湯熱交換器7内を蛇行する形態で配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口火用のパイロットバーナと、パイロットバーナにより着火する給湯メインバーナおよび風呂メインバーナとを備えた燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4には、燃焼装置の一例が模式的なシステム図により示されている。この燃焼装置は、例えば浴室に配置されるバランス型風呂釜であり、ファンを用いた強制燃焼方式ではない自然燃焼式の燃焼装置である。この燃焼装置は、給湯メインバーナ10と、該給湯メインバーナ10により加熱される給湯熱交換器7とを有している。給湯熱交換器7は銅製であり、給湯メインバーナ10の上側に、該給湯メインバーナ10と間隔を介して配設されている。給湯熱交換器7は水を通す管路を有しており、この管路は、主熱交換管路4と巻水管(巻水管路)57とを有している。給湯熱交換器7には、これらの管路4,57に水を導入する給水導入通路19と管路4,57を通って加熱された水を給湯先に導く給湯通路11とが接続されている。
【0003】
給湯通路11の先端側には、給湯栓9が設けられており、この例では、給湯栓9が切り替えレバー方式の栓で形成されている。この種の給湯栓9は、レバーの切り替えによって、給湯通路11を通った湯を、カラン側の出湯管30側とシャワー側通路31のいずれかから選択的に出湯させるものであり、同図では、出湯管30側から出湯されるように選択した状態が示されている。
【0004】
前記給水導入通路19には、水量調節機構21が接続されており、水量調節機構21には、水ガバナー15、ダイヤフラムケース13、水量調節室20が設けられている。ダイヤフラムケース13には、ダイヤフラム14が設けられており、このダイヤフラム14によって、ダイヤフラムケース13内が、一次室13aと二次室13bとに区分けされている。水量調節室20には温度調節子23が設けられており、温度調節子23は、温度調節つまみ22に接続されている。
【0005】
水量調節機構21には、水量調節機構21に水を供給する給水通路8と、水量調節機構21から水を導出する通路16,18と、排水通路24とが接続されている。給水通路8にはフィルタ25が介設されており、排水通路24には水抜き栓26が設けられている。出湯時に給湯熱交換器7を通水する時の圧力損失に相当する分、給水導入通路19と給湯通路11とは差圧を生じるが、この圧力損失による低圧力は、通路16によりダイヤフラム2次室13bへ伝えられる。
【0006】
前記給湯メインバーナ10には能力切り替えつまみ49が設けられており、また、給湯メインバーナ10にはガス通路32が接続されている。ガス通路32は、水圧自動ガス弁33と、器具栓34とを介し、ガス導入通路35に接続されている。水自動ガス弁33は、前記ダイヤフラム14に連結して設けられ、前記器具栓34は、器具栓つまみ(操作つまみ)48と、シャフト70と、手動開閉通路である閉子53を有して形成されている。ガス導入通路35は、燃料ガスを燃焼装置に外部から導入するものであり、ガス導入通路35から導入される燃料ガスが、器具栓34を介してガス通路32を通り、給湯メインバーナ10に供給される。
【0007】
また、器具栓34には、ガス通路36,37が接続されており、ガス導入通路35から器具栓34まで導入された燃料ガスが、ガス通路36を通して口火用のパイロッバーナ38に導入され、ガス通路37を通して風呂メインバーナ(風呂の追い焚き用の追い焚きメインバーナ)39に供給される構成と成している。風呂メインバーナ39の上部側には、風呂メインバーナ39によって加熱される風呂熱交換器(追い焚き熱交換器)40が風呂メインバーナ39と間隔を介して設けられている。風呂熱交換器40は、浴槽(図示せず)との接続口径がφ45mmの接続部を持つ、自然循環型風呂釜(ポンプを用いずに、浴槽に水を張ると、自然に熱交換器に水が入り、ガス等で熱を加えると、温度差(浮力)によって浴槽水を吸い込み、湯を浴槽に吐出し、浴槽から水を抜くと熱交換器から水が抜けるタイプの風呂釜)である。風呂熱交換器40には、空焚き安全装置46が設けられており、前記給湯熱交換器7の出側には給湯過熱防止装置47が設けられている。給湯過熱防止装置47と空焚き安全装置46は、過熱防止装置45と電気的に接続されている。
【0008】
また、パイロットバーナ38の炎口近傍には、点火電極43と熱電対44が設けられている。点火電極43は、パイロットバーナ38への点火用の電極であり、点火電極43は点火ハンドル65を備えた圧電点火装置50に接続されている。熱電対44は、パイロットバーナ38の炎口から出る炎の熱を、その熱による起電力により検出するものであり、電磁弁54に電気的に接続されている。そして、器具栓つまみ48を下側に押し下げた状態で、熱電対44の起電力が予め定められる電磁弁維持電圧(L)以上になると、器具栓つまみ48を離しても電磁弁54が開状態に保たれ、熱電対の起電力が前記電磁弁維持電圧より下がると、電磁弁54が閉じる方向に動作する。
【0009】
なお、図4はシステム構成図であり、追い焚きバーナ39と前記給湯バーナ10とは離れた位置に記載されているが、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10とは、実際には互いに間隔を介して隣り合わせに並設配置されている。そして、追い焚きバーナ39と給湯バーナ10の間隔に、パイロットバーナ38が設けられ、パイロットバーナ38の口火を利用して追い焚きバーナ39と給湯バーナ10の少なくとも一方の炎口に着火し、メインバーナ燃焼を行うように構成されている。
【0010】
また、例えば図5に示すように、前記給湯熱交換器7は、給湯メインバーナ10上に間隔を介して立設配置された筒体(管体)56を有しており、この筒体56は断面が略矩形状と成している。筒体56の外周側には巻水管57が設けられており、巻水管57は、筒体56の筒壁の外周側に沿って略水平斜め方向に巻回しながら、筒体56の下部側から上部側に向けて螺旋状に周回する。図中、符号59が巻水管57の入口部であり、巻水管57の終端部は、筒体56の上端部におけるパイロットバーナ38から離れたパイロットバーナ38の反対側の給湯熱交換器7の端部で、主熱交換管路4の入水口1に接続されている。
【0011】
主熱交換管路4は、その入水口1側からパイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部側へ向けて蛇行する形態で配設されており、主熱交換管路4の出水口2は、パイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部に形成されている。筒体56の上部側には、主熱交換管路4の長手方向に互いに間隔を介し、複数のフィン3が配設されている。なお、同図において、フィン3は一部省略して示されているが、フィン3は、フィン部61の一端側から他端側に至る領域に等間隔で配設されている。図中、符号58は接続管、符号60は、給水接続口をそれぞれ示す。
【0012】
また、給湯メインバーナ10は、給湯メインバーナ10とパイロットバーナ38と風呂メインバーナ39(図5には、図示されていないが、パイロットバーナ38の右隣に配設されている)の並設方向に並設された複数の燃焼面10A,10B,10Cを有している。給湯メインバーナ10の燃焼時には複数の燃焼面10A,10B,10Cのうち少なくともパイロットバーナ38に最も近い側の燃焼面10Aの燃焼が行われる。なお、図5では、給湯栓9を、出湯管30側とシャワー側通路31とに設けた態様で示しているが、給湯栓9の配設態様は特に限定されない(図4に示したように、1つの給湯栓9で出湯管30側とシャワー側通路31の出湯操作を適宜行えるようにしてもよい)。
【0013】
この燃焼装置において、給水栓(図示せず)を開くと、図4に示すように、水は、給水通路8を通って水ガバナー15を通り、ダイヤフラムケース13の一次室13aへと流れ、水量調節子23により分岐して、その一方は、通路16,18を通り、給湯通路11側に導かれる。他方は、給水導入通路19、給湯熱交換器7を通って給湯通路11側に導かれ、給湯通路11から出湯管30(またはシャワー側通路31)へ流れて出水される。
【0014】
また、器具栓つまみ48を押し下げると電磁弁54が開き、器具栓つまみ48を「口火」の位置に操作することにより、燃料ガスはガス導入通路35を通って器具栓34の入口まで流入する。そして、燃料ガスは器具栓34を通り、パイロットバーナ38に流れるので、その状態で、圧電点火装置50の点火ハンドル65を回すことによって点火電極43に火花放電をさせることによりパイロットバーナ38への点火が行われる。
【0015】
さらに、器具栓つまみ48を「給湯・シャワー」の位置に合わせることにより、燃料ガスは、水圧自動ガス弁33の配設位置まで流れる。そして、この状態で給湯栓9を開き、給水通路8を通して水が流れ始めると、この水がダイヤフラムケース13の一次室13aから通路16,18を通り、通水する時に生じる圧力損失による低圧力が通路16によりダイヤフラム二次室13bに伝えられ、一次室13a(高圧)との差圧がダイヤフラム14の面積により荷重として働き、ダイヤフラム14が二次室13b側へと移動する。
【0016】
この結果、ダイヤフラム14と連結された水圧自動ガス弁33が開き、燃料ガスがガス通路32を通って給湯メインバーナ10に供給され、パイロットバーナ38の口火から給湯メインバーナ10に着火する。つまり、給湯メインバーナ10は、前記給湯栓9が開かれることにより流れる(燃焼装置に導入される)水の量により、前記ダイヤフラム一次室13aと二次室13bとの差圧が所定以上となったときに燃焼を開始する。そして、この給湯メインバーナ10の燃焼によって、給湯熱交換器7を通る水が加熱され、出湯管30(またはシャワー側通路31)から出湯される。
【0017】
なお、図6の特性線aには、給水接続口60から巻水管57の入口部59を通り、主熱交換管路4の入水口1を経て主熱交換管路4の出水口2へと流れる水の流れ方向に添った給湯熱交換器7内の湯温が模式的に示されている。この特性線aに示されるように、給湯熱交換器7を通って加熱される水は、巻水管57を通っても吸熱(加熱)されるが、その多く(例えば80%程度)は、フィン3が配設された主熱交換管路4を通って吸熱される。
【0018】
また、この燃焼装置において、浴槽への浴槽湯水循環管路の接続部(上部循環口)よりも例えば10cm以上高い位置まで湯または水を入れた状態で、図4に示した器具栓つまみ48を「ふろ」の位置に合わせることにより、燃料ガスが通路36を通って風呂メインバーナ39に供給され、パイロットバーナ38の口火から風呂メインバーナ39に着火し、風呂熱交換器40を循環して浴槽内の湯水の加熱が行われる。
【0019】
なお、この種の燃焼装置においては、給湯メインバーナ10や風呂メインバーナ39の燃焼停止後も、消火動作が行われるまでの間、つまり、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「消火」の位置に戻すまでの間は、パイロットバーナ38の燃焼は継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第368979号公報
【特許文献2】特開昭55−65885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、前記のような燃焼装置において、給湯栓9を閉じて出湯を停止すると、その給湯待機時に、筒体56やフィン3の保有熱量が主にフィン3から主熱交換管路4に伝わり、主熱交換管路4内の湯水が加熱されるいわゆる後沸き現象が生じる。なお、この後沸きの程度(温度上昇)や後沸きの生じている時間は、出湯停止前の出湯温度や出湯時間等により異なるものであるが、燃焼停止直後から例えば1分といった短い時間経過時(短時間待機時)においては、図6の特性線bに示すように、主熱交換管路4全体がフィン3から熱を吸収し、主熱交換管路4内の湯水温が出湯中(特性線a、参照)よりも高くなる(給湯熱交換器7全体の保有熱量に起因する後沸きが生じる)。
【0022】
しかも、前記バランス型風呂釜等の燃焼装置は、出湯停止に伴う給湯メインバーナ10の燃焼停止後も、パイロットバーナ38は燃焼を継続するので、給湯熱交換器7のフィン3のうち、図5に示すパイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上(真上)部のフィン部Pは、パイロットバーナ38の火炎によって加熱し続けられ、このフィン部Pのフィン3から主熱交換管路4に熱が伝わって主熱交換管路4内の湯水が加熱されることから、主熱交換管路4の出水口2側の湯水温は、さらに高くなる(パイロット後沸きが生じ、図6の特性線bのピークPbのように、フィン部Pの主熱交換管路4内の湯水温は高くなる)。
【0023】
そして、この主熱交換管路4の出水口2側の高温の湯(ピーク温度がPbの高温の湯)は、出水口2に近いところに滞留しているため、そのまま再出湯直後に出水口2側から出湯されることになり、利用者が火傷を負うといった可能性がある。なお、パイロットバーナ38の燃焼継続による温度上昇分は、パイロットバーナ38からの入熱量と排気ガスとして排出される放熱量とのバランスによって定まるものである。
【0024】
また、出湯停止から60分といった長い時間が経過すると、フィン部61のフィン3の熱は全体としては冷めるが、前記のように、給湯メインバーナ10の燃焼停止後もパイロットバーナ38の燃焼を継続するタイプの燃焼装置においては、パイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上部のフィン部Pのフィン3がパイロットバーナ38の火炎によって加熱し続けられるため、そのフィン3から主熱交換管路4への吸熱が長い間行われる(パイロット後沸きが長い間行われる)。そして、その吸熱により温度が高くなった湯が、前記と同様に、主熱交換管路4の出水口2側からそのまま、再出湯直後に出湯されてしまうため、この場合も、利用者が火傷を負うといった可能性がある。
【0025】
また、いずれの場合においても、利用者が火傷を負うまでいかなくとも、設定温度よりも大幅に高い温度の湯が出湯されると利用者に不快感を与えることとなり、再出湯時における(設定温度よりも高い)出湯湯温のピークをできるだけ低くすることが望まれている。
【0026】
さらに、従来の燃焼装置において、給湯メインバーナ10は、給湯メインバーナ10とパイロットバーナ38と風呂メインバーナ39の並設方向に並設された複数の燃焼面10A,10B,10Cを設けて形成されており、必要に応じて燃焼させる燃焼面を選択制御することが行われるが、例えば全部の燃焼面10A,10B,10Cの燃焼を行うといったように、複数の燃焼面の燃焼を行って主熱交換管路4全体(または主熱交換管路4の多く)を加熱する場合に比べ、燃焼面10Aのみの燃焼を行う場合には、その燃焼によって加熱される主熱交換管路4の領域(図7の斜線部分、参照)内の湯水温を高くすることがある。
【0027】
図8(a)に示すように、主熱交換管路4には、例えば沸騰防止用のスプリング17を挿入し、主熱交換管路4内に乱流を形成して湯水を攪拌し、湯水温を均一化して出湯することが行われているが、従来の燃焼装置においては、パイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側に主熱交換管路4の出水口2が設けられているので、前記のように、パイロットバーナ38に最も近い側の燃焼面10Aのみの燃焼を行った場合には、燃焼面10Aによって加熱されて高温になった湯が主熱交換管路4の出水口2に近い位置にあるために、前記攪拌の効果が十分に発揮できず(攪拌の長さが足りず)に、例えば図8(b)に示すように、加熱された熱い湯Hは主熱交換管路4の内壁面側を通り、加熱されない冷たい水Cが主熱交換管路4の入水口1側から主熱交換管路4の中心部を通ってその出水口2側に流れる可能性がある。
【0028】
そうなると、図8(c)の矢印Cに示すように、シャワー側通路31の先端のシャワーヘッド72の中心部からは、例えば18℃といった入水温度の冷たい水が出て、その周りからは、矢印Hに示すように、熱い湯が出湯される可能性があり、利用者に不快感を与えることになる。
【0029】
本発明は、前記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、給湯メインバーナに隣接したパイロットバーナの燃焼を給湯メインバーナの燃焼停止後も継続させる構成を有する燃焼装置において、給湯停止後の再出湯時に高温の湯が出湯されたり、給湯先にシャワー通路を設けた場合に、そのシャワーヘッドから出湯される湯のシャワーヘッド内の場所による温度ばらつきが生じたりすることを防ぐことができ、快適に利用できるようにする燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、給湯メインバーナと風呂メインバーナとが互いに間隔を介して並設され、該間隔に口火用のパイロットバーナが設けられており、該パイロットバーナに点火してそのパイロットバーナの炎によって前記給湯メインバーナと前記風呂メインバーナの少なくとも一方の炎口に着火してそのメインバーナ燃焼を行い、該メインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間は前記パイロットバーナの燃焼を継続する燃焼装置であって、前記給湯メインバーナの上部側には給湯熱交換器が設けられ、前記風呂メインバーナの上部側には風呂熱交換器が設けられており、前記給湯熱交換器内の主熱交換管路には該主熱交換管路の長手方向に互いに間隔を介し複数のフィンが配設されており、前記主熱交換管路は前記パイロットバーナ寄りの前記給湯メインバーナの直上側の給湯熱交換器の端部を通した後に、前記パイロットバーナから離れた反対側の前記給湯熱交換器の端部側へ向けて該給湯熱交換器内を蛇行する形態で配設されており、前記主熱交換管路の入水口が前記パイロットバーナ寄りの前記給湯メインバーナの直上側の給湯熱交換器の端部に形成され、前記主熱交換管路の出水口が前記パイロットバーナから離れた反対側の前記給湯熱交換器の端部に形成されている構成をもって課題を解決する手段としている。
【0031】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記給湯メインバーナは、該給湯メインバーナとパイロットバーナと風呂メインバーナの並設方向に並設された複数の燃焼面を有し、前記給湯メインバーナの燃焼時には前記複数の燃焼面のうち少なくとも前記パイロットバーナに最も近い側の燃焼面の燃焼を行う構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明よれば、給湯メインバーナの上部側に設けられた給湯熱交換器内の主熱交換管路には、該主熱交換管路の長手方向に互いに間隔を介し、複数のフィンが配設されているが、主熱交換管路はパイロットバーナ寄りの前記給湯メインバーナの直上側の給湯熱交換器の端部(入水口側)を通した後に、前記パイロットバーナから離れた反対側の前記給湯熱交換器の端部側(出水口側)へ向けて、該給湯熱交換器内を蛇行する形態で配設されているので、給湯メインバーナ燃焼の停止後、消火動作が行われるまでの間にパイロットバーナの燃焼が継続して、その熱によりパイロットバーナの直上側の給湯熱交換器が加熱されても、その熱によって加熱されるのは主熱交換管路の入水口側である。
【0033】
この主熱交換管路の入水口側の湯水は、出湯停止前にフィンの配設部の一部しか通過していない状態で出湯が停止されて滞留していることになるため、もともと湯水温が低く、出湯停止以降に、主熱交換管路全体がフィンから熱を吸収し、主熱交換管路内の湯水温が各位置において出湯中よりも高くなる後沸きが生じても、その温度は主熱交換管路の出水口側の湯水の温度に比べて低い。そして、その低めの温度の湯水(主熱交換管路の入水口側の湯水)がパイロットバーナの燃焼継続によりフィンから吸熱しても、そのピークの温度は、従来のように、主熱交換管路の出水口側がパイロットバーナ寄りに形成されている構成に比べて低い。しかも、主熱交換管路の入水口側の湯水は主熱交換管路を蛇行しながら通り、主熱交換管路の出水口側に至るまでにパイロットバーナの加熱による後沸きの熱は拡散されて冷めて出湯されるので、主熱交換管路の出水口側がパイロットバーナ寄りに形成されていて、パイロットバーナにより加熱された高温の湯が冷めずにそのまま出湯する従来例に比べ、格段に再出湯温度を低くすることができる。
【0034】
また、出湯停止から60分といった長い時間が経過して、給湯熱交換器に配設されている複数のフィンの熱が全体としては冷めた場合にも、給湯メインバーナの燃焼停止後のパイロットバーナの燃焼継続により、パイロットバーナ側の給湯メインバーナの直上部のフィンは加熱し続けられて、そのフィンから主熱交換管路への吸熱が行われて温度が高くなるが、この場合も、主熱交換管路の入水口側の湯水が主熱交換管路を蛇行しながら通って主熱交換管路の出水口側に至るまでに、パイロットバーナの加熱による後沸きの熱は拡散されて冷め、出湯されるので、再出湯時に高温の湯が出湯されることを抑制できる。
【0035】
さらに、給湯メインバーナを、該給湯メインバーナとパイロットバーナと風呂メインバーナの並設方向に並設された複数の燃焼面を設けて形成し、給湯メインバーナの燃焼時には前記複数の燃焼面のうち少なくとも前記パイロットバーナに最も近い側の燃焼面の燃焼を行う構成とした場合には、前記の如く、必要に応じ、複数の燃焼面の燃焼を行ったり、パイロットバーナに最も近い側の燃焼面のみの燃焼を行ったりすることがあり、パイロットバーナに最も近い側の燃焼面のみの燃焼の場合に、その燃焼によって加熱される領域の主熱交換管路内の湯水温を高くすることがあるが、この場合も、本発明においては、パイロットバーナに最も近い側の燃焼面のみの燃焼によって高温になった湯は、再出湯時には、主熱交換管路を蛇行して主熱交換管路の出水口側に向かう間に(例えば主熱交換管路内に設けられるスプリング等の作用で)攪拌され、温度が均一化されて主熱交換管路の出水口から出湯することができる。
【0036】
つまり、主熱交換管路に例えばスプリングを挿入して主熱交換管路を通る湯水を攪拌し、湯水温を均一化して出湯することを行っても、従来例のように、パイロットバーナ寄りの給湯メインバーナの直上側に主熱交換管路の出水口を設けた構成において、パイロットバーナに最も近い側の燃焼面のみの燃焼を行った場合には、前記攪拌の効果が十分に発揮できず(攪拌の長さが足りず)に、例えば加熱された熱い湯が主熱交換管路の内壁面側を通り、加熱されない水が主熱交換管路の入水口側から主熱交換管路の中心部を通って主熱交換管路の出水口側に流れ、シャワーヘッドの中心部からは冷たい水が出て、その周りからは熱い湯が出湯される可能性があるが、本発明においては、このような温度ムラを抑制でき、利用者が快適に利用できる燃焼装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る燃焼装置の一実施例における給湯熱交換器の構成をその周辺構成と共に示す模式的な構成図である。
【図2】実施例の燃焼装置に設けられている給湯熱交換器を通る湯水の温度と給湯待機時および再出湯時の温度を説明するためのグラフである。
【図3】実施例の燃焼装置における出湯温度の時間変化を従来例と比較して説明するためのグラフである。
【図4】燃焼装置のシステム構成例を示す説明図である。
【図5】従来の燃焼装置に設けられている給湯熱交換器の構成をその周辺構成と共に示す模式的な構成図である。
【図6】従来の燃焼装置に設けられている給湯熱交換器を通る湯水の温度と給湯待機時および再出湯時の温度を説明するためのグラフである。
【図7】給湯メインバーナにおけるパイロットバーナに最も近い側の燃焼面の燃焼により加熱される、主熱交換管路の領域を説明するための模式図である。
【図8】従来の燃焼装置に複数の燃焼面を持つ給湯メインバーナを適用し、パイロットバーナよりの燃焼面のみの燃焼を行うときに生じる問題を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、以下の実施例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0039】
本実施例の燃焼装置は、図4に示した燃焼装置と同様のシステム構成を有し、従来の燃焼装置とほぼ同様に形成されているが、本実施例では、図1に示す特徴的な給湯熱交換器7の構成を有している。つまり、本実施例では、給湯熱交換器7内の主熱交換管路4の入水口1がパイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部に形成され、主熱交換管路4の出水口2がパイロットバーナ38から離れた反対側の給湯熱交換器7の端部に形成されており、主熱交換管路4は、パイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部を通した後に、パイロットバーナ38から離れた反対側の給湯熱交換器7の端部側へ向けて、給湯熱交換器7内を蛇行する形態で配設されている。
【0040】
本実施例は、以上のように構成されており、図2の特性線aに、給水接続口60から巻水管57の入口部59を通り、主熱交換管路4の入水口1を経て主熱交換管路4の出水口2へと流れる水の流れ方向に添った給湯熱交換器7内の湯温が模式的に示されている。この図2の特性線aは図6に示した特性線aと同様であるが、本実施例では、図2の特性線bに示されるように、出湯停止後の待機中の給湯熱交換器7内の場所による湯温と再出湯時のピークは、従来例と異なる状態となる。
【0041】
つまり、本実施例でも、燃焼停止直後から例えば1分といった短い時間経過時(短時間待機時)においては、図2の特性線bに示すように、主熱交換管路4全体がフィン3から熱を吸収し、主熱交換管路4内の湯水温が出湯中(特性線a、参照)よりも高くなるが、出湯停止に伴う給湯メインバーナ10の燃焼停止後のパイロットバーナ38の燃焼継続によって加熱されるフィン部Pは、主熱交換管路4の入水口1に近い側であるため、もともと滞留している湯水温が低く(図2の特性線a、参照)、後沸きにより高められても、その温度は主熱交換管路4の出水口2側に比べて低い。したがって、その低めの温度の湯水がパイロットバーナ38の燃焼継続によりフィン部Pのフィン3から吸熱しても、そのピークの温度Pbも低い(パイロット後沸きが小さい)。
【0042】
しかも、本実施例では、主熱交換管路4の入水口側の湯水は主熱交換管路4を蛇行しながら通って主熱交換管路4の出水口2側に至るので、それまでの間にパイロットバーナ38の加熱による後沸きの熱は拡散されて冷めて出湯されることになり、再出湯時の湯温上昇(設定温度との差)を低く抑えることができる。つまり、本実施例は、従来例のように、主熱交換管路4の出水口2側においてパイロットバーナ38の燃焼継続によりフィン3から吸熱して高められて、その湯がそのまま冷めずに出湯される構成に比べ、格段に再出湯温度を低くすることができる。
【0043】
例えば、図3には、本実施例の燃焼装置における出湯温度の時間経過の一例が、特性線Aに、従来例(特性線B)と比較して示されており、同図に示すように、従来は、パイロット後沸きに起因すると考えられる後沸きの一次ピークが設定温度(ここでは41℃)よりも24℃高かったのに対し(Bp、参照)、本実施例では、前記一次ピークが設定温度より6℃高いだけに抑制でき(Ap、参照)、前記一次ピークの温度を従来例に比べて18℃も低くすることができた。なお、図3において、Pバーナはパイロットバーナ38のことを示しており、同図に示す2次ピーク(二次ピーク)は、再出湯時の給湯メインバーナ10への着火によるものである。
【0044】
さらに、本実施例のように、給湯メインバーナ10の並設された燃焼面10A,10B,10Cのうち、燃焼面10Aのみの燃焼を行う際、その加熱温度(図7の斜線部分に示したような、燃焼面10Aに対応する位置に配設されている主熱交換管路4内の湯水温)を高くする場合、従来例においては、前記の如く、図8(a)、(b)に示したように、主熱交換管路4にスプリング17を挿入して主熱交換管路4を通る湯水を攪拌しようとしても、その攪拌の効果が十分に発揮できず(攪拌の長さが足りず)に、加熱された熱い湯Hが主熱交換管路4の内壁面側を通り、加熱されない冷たい水Cが主熱交換管路4の中心部を通ってその出水口2側に流れ、シャワーヘッド72から出湯される湯水温に、そのシャワーヘッド72内の出水口の位置による温度ムラが生じたが、本実施例では、そのような温度ムラを抑制できる。
【0045】
つまり、本実施例では、主熱交換管路4はパイロットバーナ38寄りの給湯メインバーナ10の直上側の給湯熱交換器7の端部(入水口側)を通した後に、パイロットバーナ38から離れた反対側の給湯熱交換器7の端部側(出水口側)へ向けて給湯熱交換器7内を蛇行する形態で配設しているので、パイロットバーナ38に最も近い側の一つの燃焼面10Aのみの燃焼により、その燃焼面10Aの燃焼によって加熱される領域の主熱交換管路4(図7の斜線部分、参照)内の湯水温が高くなったとしても、その湯水が主熱交換管路4の出水口側まで蛇行しながら流れる際に十分に攪拌されて温度が均一化した湯水が出湯されることになり、利用者が快適に利用できるようにすることができる。
【0046】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、給湯熱交換器7の構成における主熱交換管路4の蛇行回数等は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。また、給湯熱交換器7における主熱交換管路4の入水口1側と出水口2側の位置構成を前記実施例のように形成すれば、それ以外の巻水管57の構成等は、特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0047】
また、前記実施例では、給湯メインバーナ10は3つの燃焼面10A,10B,10Cを有していたが、給湯メインバーナ10の燃焼面の数や形態は特に限定されるものでなく、1つでもよいし、複数でもよい。
【0048】
さらに、本発明は、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39とが互いに間隔を介して並設され、該間隔に口火用のパイロットバーナ38が設けられており、パイロットバーナ38からメインバーナ10,39の少なくとも一方に着火して燃焼を行い、そのメインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間はパイロットバーナ38の燃焼を継続する構成を有し、例えば前記実施例に適用したような特徴的な給湯熱交換器7を有していれば、燃焼装置のシステム構成の詳細は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0049】
さらに、前記実施例は、ガス燃焼式の燃焼装置としたが、本発明は、石油等の他の燃料を燃焼させる燃焼装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、再出湯時に高い温度の湯が出湯されたり、温度ムラが生じたりすることを抑制できるので、使い勝手が良好な燃焼装置として利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 入水口
2 出水口
3 フィン
4 主熱交換管路
7 給湯熱交換器
10 給湯メインバーナ
10A,10B,10C 燃焼面
38 パイロットバーナ
39 風呂メインバーナ
40 風呂熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯メインバーナと風呂メインバーナとが互いに間隔を介して並設され、該間隔に口火用のパイロットバーナが設けられており、該パイロットバーナに点火してそのパイロットバーナの炎によって前記給湯メインバーナと前記風呂メインバーナの少なくとも一方の炎口に着火してそのメインバーナ燃焼を行い、該メインバーナ燃焼の停止後も消火動作が行われるまでの間は前記パイロットバーナの燃焼を継続する燃焼装置であって、前記給湯メインバーナの上部側には給湯熱交換器が設けられ、前記風呂メインバーナの上部側には風呂熱交換器が設けられており、前記給湯熱交換器内の主熱交換管路には該主熱交換管路の長手方向に互いに間隔を介し複数のフィンが配設されており、前記主熱交換管路は前記パイロットバーナ寄りの前記給湯メインバーナの直上側の給湯熱交換器の端部を通した後に、前記パイロットバーナから離れた反対側の前記給湯熱交換器の端部側へ向けて該給湯熱交換器内を蛇行する形態で配設されており、前記主熱交換管路の入水口が前記パイロットバーナ寄りの前記給湯メインバーナの直上側の給湯熱交換器の端部に形成され、前記主熱交換管路の出水口が前記パイロットバーナから離れた反対側の前記給湯熱交換器の端部に形成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
給湯メインバーナは、該給湯メインバーナとパイロットバーナと風呂メインバーナの並設方向に並設された複数の燃焼面を有し、前記給湯メインバーナの燃焼時には前記複数の燃焼面のうち少なくとも前記パイロットバーナに最も近い側の燃焼面の燃焼を行う構成としたことを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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