説明

燃焼遅延剤、添加剤組成物、および燃焼遅延性ポリウレタン

新規燃焼遅延剤、および可撓性のポリウレタン発泡体に使用するための低粘度の液体の燃焼遅延性添加剤組成物が提供される。この新規燃焼遅延剤は少なくとも1種の臭素化された芳香族ジエステルジオールと少なくとも1種のアルコール反応性試薬との反応生成物である。好適な液体の燃焼遅延性添加剤組成物はそれを製造する際目に見えるスコーチ(焼け)を最低限度に抑制することができる。可撓性の燃焼遅延性発泡体およびその製造法も提供される。この燃焼遅延性添加剤組成物は(a)臭素化された芳香族ジエステルジオールとアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物:(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤を含んで成っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規燃焼遅延剤、可撓性のポリウレタン発泡体の製造に使用するための新規燃焼遅延性添加剤組成物、およびこのような発泡体の製造の際このような組成物またはその成分を用いてつくられた可撓性の燃焼遅延性ポリウレタン発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造には、成分(例えばイソシアネートおよびポリオール、並びに製造すべき発泡体、その密度、および細孔構造に依存して種々の表面活性剤、水、補助的な発泡剤、または触媒)を混合し、これを反応させるか反応できるようにすることが必要である。近代的な装置または方法では成分を反応室に計量して導入し、ここでこれらの成分を混合し、これをコンベヤまたは成形型に通し、ここでこの混合物を発泡させる。燃焼遅延剤は、混合するための他の成分と一緒に計量して反応室の中に導入される。
【0003】
ポリウレタン発泡体は二つの主要液体成分、即ちイソシアネートおよびポリオールを反応させてつくられるから、燃焼遅延剤組成物は低粘度の液体の形態をしており、通常の周囲温度において容易に且つ十分に反応原料と混合することが望ましい。
【0004】
可撓性の発泡体の製造時においては発泡体の大型のビレットまたはバン(bun)をつくった後、硬化または重合反応を完結させるためにそのまま保存しておく。ビレットの発泡体の内部の温度は150〜180℃またはそれ以上に達することがある。発泡体の断熱効果のためにビレットの内部はこの温度に長時間保たれる。従って発泡体の内部に導入された燃焼遅延剤を含む成分はできるだけ高温に耐えことができ、発泡体の中でのスコーチ(scorch、焼け)または炭化が認められないようにしなければならない。酸化防止剤は典型的には燃焼遅延剤成分より高価であるから、酸化防止剤の装入量を発泡体の1重量%以下とすることが極めて望ましい。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一具体化例に従えば、新規燃焼遅延剤が提供され、また可撓性のポリウレタン発泡体に対する新規燃焼遅延性添加剤組成物が提供される。本発明の一好適具体化例に従えば、必要な酸化防止剤の必要量を最低限度に抑制し、製造中の発泡体の目に見えるスコーチを最低限度に抑制できる可撓性のポリウレタン発泡体に対する新規燃焼遅延性添加剤組成物が提供される。この発泡体はビレットまたはバンを通常の室温に冷却する際またはその後において、ビレットまたはバンの形で目に見えるスコーチの兆候を殆ど示さない。例えば、SAYTEX(R)RB−79燃焼遅延剤(テトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステル:Albemarle Corporation)を酢酸無水物と反応させたものは、スコーチの値が低い発泡体を与えるが、この場合発泡体の中には1重量%しか酸化防止剤が使用されていない。
【0006】
本発明の他の具体化例では、可撓性の燃焼遅延性ポリウレタン発泡体、好ましくはスコーチの目に見える兆候をビレット又はバンの形態においてほとんど示さない可撓性のポリウレタン発泡体が提供される。さらにまた本発明の具体化例には上に述べたそれぞれの可撓性ポリウレタン発泡体の製造法が含まれる。
【0007】
本発明の新規燃焼遅延剤は少なくとも1種の臭素化された芳香族ジエステルジオールと少なくとも1種のアルコール反応性試薬との反応生成物を含んで成っている。アルコール反応性試薬は(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシ
ル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)2種またはそれ以上の上記アルコール反応性試薬の混合物である。
【0008】
本発明の新規燃焼遅延性添加剤組成物は、次の成分または構成材料、即ち
(a)臭素化されたジエステルジオールとアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミンの酸化防止剤;および
(c)フェノール環がアルカン酸アルキルエステルで置換され、ここでアルカン酸の部分は炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数は6〜16の範囲にある少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤からつくられた液体混合物を含んで成っている。この混合物をつくる際、典型的にはこれらの成分または構成材料は重量基準で(1)(b)対(c)の割合が3:1〜1:3であり、(2)(a)対(b)+(c)の重量比が5:1〜25:1、好ましくは7:1〜15:1になるような割合で使用される。
【0009】
本発明の可撓性のポリウレタン発泡体は典型的にはポリウレタン発泡体をつくるのに使用されるポリオール100重量部当たり(a)を約2.5〜10.5重量部、(b)を約0.05〜0.4重量部、(c)を約0.05〜0.4重量部使用してつくられる。本発明の好適なポリウレタン発泡体はポリウレタン発泡体をつくるのに使用されるポリオール100重量部当たり(a)を約4.0〜8.4重量部、(b)を約0.09〜0.2重量部、(c)を約0.09〜0.2重量部使用してつくられる。好ましくは、これらの成分は予めつくられた液体の燃焼遅延性添加剤組成物の形でつくられる。何故ならこれによって配合段階が簡単化され、配合の際に誤りが生じる可能性を最低限度に抑制できるからである。しかし、必要に応じ成分または構成材料(a)、(b)および(c)は個別的におよび/または一つまたはそれ以上の部分的な組合わせとしてポリウレタンをつくるのに使用される混合物に加えられる。
【0010】
必要または望ましいと考えられる場合には何時でも上記量および割合を変更することが可能であり、これは本発明の範囲内に入るものとする。
【0011】
本発明の上記のおよび他の具体化例および特徴は下記の説明からさらに明らかになるであろう。
【0012】
新規燃焼遅延剤
臭素化された芳香族ジエステルジオールとアルコール反応性試薬とを反応させた結果本発明の新規燃焼遅延剤が得られる。
【0013】
種々の液体の臭素化された芳香族ジエステルジオールを使用することができる。典型的にはこれらの化合物はブロモ芳香族の1,2−ジカルボン酸またはその無水物で、1分子当たり1〜4個、好ましくは2〜4個の臭素原子を有する化合物である。このような臭素化されたジオールエステルの本発明を限定しない例には、1,4−ブタンジオールおよびプロピレンオキシドとテトラブロモフタル酸無水物との反応生成物、トリプロピレングリコールおよびエチレンオキシドとトリブロモフタル酸無水物との反応生成物、1,3−ブタンジオールおよびプロピレンオキシドとテトラブロモフタル酸無水物との反応生成物、ジプロピレングリコールおよびエチレンオキシドとジブロモ琥珀酸無水物との反応生成物、2モルのエチレンオキシドとジブロモフタル酸無水物との反応生成物、および同様な化
合物が含まれる。
【0014】
この種のもっと好適な化合物はポリブロモフタル酸または無水物の液体のジオールエステル、特に芳香族部分に4個の臭素原子を有するものである。このようなもっと好適な化合物の例はSAYTEX(R)B−79燃焼遅延剤(Albemarle Corporation)、およびPHT4−Diol(Great Lakes Chemical
Corporation)である。このような化合物の製造法は「ハロゲン化されたポリオール−エステル中和剤」と題する1986年1月14日付けのBurton J.Sutkerに対する米国特許第4,564,697号明細書に記載されている。
【0015】
上記のように、アルコール反応性試薬は炭素数4〜約8の無水物、炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、各ハロゲンが塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、各ハロゲンが塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、各ハロゲンが塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル、または2種またはそれ以上の上記アルコール反応性試薬の混合物であることができる。アルコール反応性試薬は通常、そして好ましくは一つの種類の単一の試薬である。燃焼遅延剤生成物の反応をより良くコントロールするためには、通常唯1種のアルコール反応性試薬を使用することが好ましい。
【0016】
炭素数4〜約8の無水物は本発明を実施する際のアルコール反応性試薬として使用することができる。適当な無水物の例としては酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、n−酪酸無水物、イソ酪酸無水物、イソ吉草酸無水物(3−メチル酪酸無水物)、マレイン酸無水物、ジクロロマレイン無水物、琥珀酸無水物が含まれる。無水物はアルコール反応性試薬の好適な種類である。酢酸無水物が特に好適な無水物である。
【0017】
使用できる他の種類のアルコール反応性試薬は炭素数2〜約8のハロゲン化アシルである。適当なハロゲン化アシルには塩化アセチル、臭化アセチル、塩化クロロアセチル、臭化ブロモアセチル、塩化プロパノイル、塩化3−ブロモプロパノイル、塩化3−ブテノイル、塩化3−メチル−2−ブテノイルが含まれる。
【0018】
燐酸ジヒドロカルビルに対しては、ヒドロカルビル基は同一または相異なり、例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。適当な燐酸ジヒドロカルビルには燐酸ジメチル、燐酸メチルエチル、燐酸ジエチル、燐酸ジビニル、燐酸ジイソロピル、燐酸ジシクロプロピル、燐酸ジアリル、燐酸ジt−ブチル、燐酸ジシクロブチル、燐酸ビス(2−ブテニル)、燐酸ジペンチル、燐酸ジシクロペンチル、燐酸ビス(4−ペンテニル)、燐酸エチルペンチル、燐酸ジシクロヘキセニル、燐酸ジ(メチルシクロヘキシル)、燐酸ジオクテニル、燐酸ジフェニル、燐酸ジベンジル、燐酸ジ−p−トリル、燐酸ジ−m−トリル、燐酸ジ−o−トリル、燐酸ビス(2,5−ジメチルフェニル)、燐酸ビス(2−イソプロピルフェニル)、燐酸ジナフチルが含まれる。
【0019】
燐酸ジハロヒドロカルビルでは各ハロゲン原子は塩素または臭素であり、ハロヒドロカルビル基は同一または相異なることができ、そのヒドロカルビル部分は例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。アルコール反応性試薬として使用できる燐酸ジハロカルビルには、これだけには限定されないが、燐酸ジ(クロロメチル)、燐酸ビス(ジブロモメチル)、燐酸ビス(トリクロロメチル)、燐酸ビス(
トリブロモメチル)、燐酸ビス(2−ブロモエチル)、燐酸ビス(1、2−ジブロモエチル)、燐酸ビス(2,2,2−トリクロロエチル)、燐酸ビス(2−ブロモビニル)、燐酸ビス(3−ブロモプロピル)、燐酸ビス(2,3−ジクロロプロピル)、燐酸ビス(1−ブロモメチル−2−クロロエチル)、燐酸ビス(2,3−ジクロロアリル)、燐酸ビス(4,4,4−トリブロモブチル)、燐酸ビス(2,3,4−トリクロロブチル)、燐酸ビス(2−クロロペンチル)、燐酸ビス(3−ブロモシクロペンチル)、燐酸ビス(2,2−ジクロロシクロヘキシル)、燐酸ビス(2−クロロフェニル)、燐酸ビス(4−ブロモフェニル)、燐酸ビス(2、5−ジクロロフェニル)、燐酸ビス(2、4−ジブロモフェニル)、燐酸ビス(トリクロロメチルフェニル)、燐酸ビス(3,5−ジブロモメチルフェニル)、燐酸ビス(2,6−クロロメチルフェニル)、燐酸ビス(2−クロロ−1−ナフチル)、および燐酸ビス(1,4−ジブロモ−2−ナフチル)が含まれる。
【0020】
クロロ燐酸ジヒドロカルビルのヒドロカルビル基は同一または相異り、例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。適当なクロロ燐酸ジヒドロカルビルにはクロロ燐酸ジメチル、クロロ燐酸ジエチル、クロロ燐酸ジビニル、クロロ燐酸ジシクロプロピル、クロロ燐酸n−ブチルエチル、クロロ燐酸ジ−n−プロピル、クロロ燐酸ジアリル、クロロ燐酸−ジ−n−ブチル、クロロ燐酸ビス(3−ブテニル)、クロロ燐酸ジシクロペンチル、クロロ燐酸ビス(5−ペンテニル)、クロロ燐酸ジメチルシクロヘキシル、クロロ燐酸ジヘキシル、クロロ燐酸ジヘプチル、クロロ燐酸ジシクロヘプテニル、クロロ燐酸ジオクテニル、クロロ燐酸ジノニル、クロロ燐酸エチルフェニル、クロロ燐酸ジフェニル、クロロ燐酸ジ−o−トリル、クロロ燐酸ジ−p−トリル、クロロ燐酸フェニル(p−トリル)、クロロ燐酸ビス(3,5−ジメチルフェニル)、クロロ燐酸ビス(4−イソプロピルフェニル)が含まれる。クロロ燐酸ジヒドロカルビルは好適な種類のアルコール反応性試薬である。好適なクロロ燐酸ジヒドロカルビルはクロロ燐酸ジアリールである。特に好適なクロロ燐酸ジアリールはクロロ燐酸ジフェニルである。
【0021】
クロロ燐酸ジハロヒドロカルビルは同一または相異なるハロヒドロカルビル基をもち、各ハロヒドロカルビル基はそれぞれハロゲンとして塩素または臭素を有する例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。アルコール反応性試薬として使用できるクロロ燐酸ジハロヒドロカルビルには、これだけには限定されないが、クロロ燐酸ジ(ブロモメチル)、クロロ燐酸ビス(ジクロロメチル)、クロロ燐酸ジ(トリブロモメチル)、クロロ燐酸ジ(トリクロロメチル)、クロロ燐酸ビス(2−クロロエチル)、クロロ燐酸ビス(1,2−ジブロモエチル)、クロロ燐酸ビス(2,2,2−トリクロロエチル)、クロロ燐酸ビス(2,2−ジクロロビニル)、クロロ燐酸ビス(3−ブロモプロピル)、クロロ燐酸ビス(3,3−ジブロモプロピル)、クロロ燐酸ビス(2,3−ジクロロプロピル)、クロロ燐酸ビス(2,3−ジブロモアリル)、クロロ燐酸ビス(4,4,4−トリクロロブチル)、クロロ燐酸ビス(2,3,4−トリブロモブチル)、クロロ燐酸ビス(2−ブロモペンチル)、クロロ燐酸ビス(3−クロロシクロペンチル)、クロロ燐酸ビス(2,2−ジブロモシクロヘキシル)、クロロ燐酸ビス(トリブロモメチルフェニル)、クロロ燐酸ビス(ジクロロメチルフェニル)、クロロ燐酸ビス[2,5−ジ(トリブロモメチル)フェニル]、クロロ燐酸ビス(3,5−ジブロモメチルフェニル)、クロロ燐酸ビス(2,6−クロロメチルフェニル)、クロロ燐酸ビス(4−クロロフェニル)、クロロ燐酸ビス(2−ブロモフェニル)、クロロ燐酸ビス(2,4−ジクロロフェニル),クロロ燐酸ビス(2,5−ジブロモフェニル)、クロロ燐酸ビス(8−クロロ−1−ナフチル)、クロロ燐酸ビス(4,5−ジブロモ−2−ナフチル)、およびクロロ燐酸(2−クロロフェニル−2,2,2−トリクロロエチル)が含まれる。
【0022】
アルコール反応性試薬のさらに他の種類はクロロチオ燐酸ジヒドロカルビルである。ク
ロロチオ燐酸ジヒドロカルビルのヒドロカルビル基は同一または相異なることができ、例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。適当なクロロチオ燐酸ジヒドロカルビルの例には、これだけには限定されないが、クロロチオ燐酸ジメチル、クロロチオ燐酸ジエチル、クロロチオ燐酸ジビニル、クロロチオ燐酸ジイソプロピル、クロロチオ燐酸ジアリル、クロロチオ燐酸ジt−ブチル、 クロロチオ燐酸ジシクロブテニル、クロロチオ燐酸ビス(2−ブテニル、)、クロロチオ燐酸ジペンチル、クロロチオ燐酸ジシクロペンチル、クロロチオ燐酸ジヘキシル、クロロチオ燐酸ジメチルシクロヘキシル、クロロチオ燐酸ジヘプチル、クロロチオ燐酸ジヘプテニル、クロロチオ燐酸ジナフチル、クロロチオ燐酸ジフェニル、クロロチオ燐酸ジ−o−トリル、クロロチオ燐酸ジ−m−トリル、クロロチオ燐酸ジ−p−トリル、クロロチオ燐酸ビス(2,6−ジメチルフェニル)、およびクロロチオ燐酸ビス(3,5−ジエチルフェニル)が含まれる。
【0023】
クロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビルは同一または相異なるハロヒドロカルビル基をもち、各ハロヒドロカルビル基はそれぞれハロゲンとして塩素または臭素を有する例えば飽和の、分岐した、直鎖のヒドロカルビル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、不飽和のヒドロカルビル、アリール、またはアラルキルであることができる。アルコール反応性試薬として使用できるクロロチオ燐酸ハロヒドロカルビルの例には、クロロチオ燐酸ジ(ブロモメチル)、クロロチオ燐酸ビス(ジクロロメチル)、クロロチオ燐酸ビス(トリブロモメチル)、クロロチオ燐酸ビス(トリクロロメチル)、クロロチオ燐酸ビス(2−クロロエチル)、クロロチオ燐酸ビス(1,2−ジブロモエチル)、クロロチオ燐酸ビス(2,2,2−トリクロロエチル)、クロロチオ燐酸ビス(2−ブロモビニル)、クロロチオ燐酸ビス(2−ブロモプロピル)、クロロチオ燐酸ビス(2,3−ジクロロプロピル)、クロロチオ燐酸ビス(3,3−ジクロロプロピル)、クロロチオ燐酸ビス(3,3−ジクロロアリル)、クロロチオ燐酸ビス(4,4,4−トリブロモブチル)、クロロチオ燐酸ビス(2,3,4−トリクロロブチル)、クロロチオ燐酸ビス(2−クロロペンチル)、クロロチオ燐酸ビス(3−ブロモシクロペンチル)、クロロチオ燐酸ビス(2,2−ジクロロシクロヘキシル)、クロロチオ燐酸ビス(4−クロロフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(2−ブロモフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(2,5−ジブロモフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(2,6−ジクロロフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(トリブロモメチルフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(ジクロロメチルフェニル)、クロロチオ燐酸ビス(2,6−ブロモメチルフェニル)、クロロチオ燐酸ビス[2,5−ジ(トリブロモメチル)フェニル],クロロチオ燐酸ビス(2−クロロ−1−ナフチル)、クロロチオ燐酸ビス(1,8−ジブロモ−2−ナフチル)が含まれる。
【0024】
臭素化された芳香族ジエステルジオールおよびアルコール反応性試薬は任意の順序で一緒にすることができるが、アルコール反応性試薬を臭素化された芳香族ジエステルジオールに加えることが好ましい。実験室的な規模では反応温度は好ましくは70〜150℃の範囲である。実験室的な規模での反応時間は典型的には1〜約4時間の範囲である。反応温度および反応時間はアルコール反応性試薬および臭素化された芳香族ジエステルジオールの選択に依存して変えることができる。必ずしも必要ではないが、反応生成物である新規燃焼遅延剤は液体の形をしていることが望ましい。
【0025】
臭素化された芳香族ジエステルジオールとアルコール反応性試薬を接触させて生じる燃焼遅延剤を含んだ反応生成物は、また通常1種またはそれ以上の副成物の酸を含んでいる。反応生成物を処理して副成物の酸を除去する好適な方法は、エポキシドを使用して酸をアルコールに変える方法である。エポキシドと接触させる前に反応生成物をそれ以上処理する必要はない。副成物の酸を除去する他の方法は反応生成物を真空蒸溜する方法であり、これによって通常多量の副成物の酸が除去される。副成物の酸を除去する極めて好適な方法は、真空蒸溜の後で反応生成混合物をエポキシドで処理し、残った副成物の酸をアルコールに変える方法である。添加の順序はあまり問題にはならないが、一般にエポキシドを反応生成混合物に加えることが好ましい。
【0026】
反応生成混合物の中の副成物の酸を処理するのに使用できるエポキシドには、これだけには限定されないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,2−エポキシ−2−メチルブタン、2,3−エポキシ−2−メチルブタン、1,2−エポキシヘキサン、シクロヘキセンオキシド、1,2−エポキシオクタン、シクロオクテンオキシド、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカンおよびシクロドデカンエポキシドが含まれる。好適なエポキシドはそのヒドロカルビル部分が分岐したまたは直鎖のものであり、さらに好適なエポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびイソブチレンオキシドである。最も好適なエポキシドはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドである。
【0027】
燃焼遅延性添加剤組成物
本明細書において「液体」と言う言葉は、補助的な溶媒が存在しない場合でも22℃において凝縮した液体の状態にあることを意味する。即ち成分または構成材料(a)、(b)および(c)の少なくとも一部、好ましくは全部が22℃においてそれ自身で凝縮した液体の状態にある。しかし、組成物の中にこのような成分または構成材料の少なくとも1種が22℃において凝縮した液体状態にあり、且つこのような液体の成分または構成材料の組成物が全体として22℃において凝縮した液体状態になることができる限り、このような成分または構成材料の1種またはそれ以上が22℃において凝縮した固体状態にあることも許される。本発明の好適な液体の添加剤組成物は25℃において約1000〜15,000センチポイズ(Brookfield粘度計による)の粘度をもっている。
【0028】
本発明の液体の添加剤組成物を用いる代わりに、1種またはそれ以上の成分(a)、(b)および(c)を個別的におよび/または一つまたはそれ以上の部分的な組合わせにして重合組成物または配合物に加える場合、このような個々の成分または構成材料、および/またはそれぞれの部分的な組合わせは液体であることが好ましい。しかし、1種またはそれ以上のこのような成分または構成材料は、それが迅速に且つ均一に重合組成物または配合物の中に混入できる限り、固体の状態であることができる。当業界において公知のように、成分または構成材料a)、b)およびc)以外の重合組成物または配合物は典型的には少なくとも1種のまたはそれ以上の次のような成分または構成材料をそれぞれ含んで成っている:ポリオール、イソシアネート、表面活性剤、触媒、および発泡剤。
【0029】
成分(a)
この成分は臭素化された芳香族ジエステルジオールからつくられ、これは前述のように臭素化された芳香族ジエステルジオールとアルコール反応性試薬との反応生成物である。ここで芳香族ジエステルジオールおよびアルコール反応性試薬は上記に説明した通りである。
【0030】
成分(b)
この成分は少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤であり、これは液体であることが好ましい。液体の立体障害をもったアミン酸化防止剤の一つの種類は、液体のアルキル化されたジフェニルアミンであり、ここで環のアルキル置換基はそれぞれ約4〜9個の炭素原子を含んでいる。このような生成物の一つはIrganox(R)5057酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals,Inc.)であり、これはN−フェニルベンゼンアミン(ジフェニルアミン)と2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物の混合物である。同様な生成物はGreat Lakes Chemical CorporationからDurad AX 57の商品名で入手できる。
他の適当な液体の立体障害をもったアミン酸化防止剤成分の本発明を限定しない例には、Durad(R)AX 55(t−オクチル化されスチレン化されたジフェニルアミンの混合物)、Durad AX 59(ノニル化されたジフェニルアミン)、およびIrgastab(R)PUR 55(Ciba Specialty Chemicals,Inc.)が含まれ、最後のものはフェニル環に炭素数6〜9の側鎖をもつジフェニルアミンと炭素数約8〜10のエステル側鎖をもつ立体障害をもつフェノールとの混合物である。また4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、セバチン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、セバチン酸ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1,4−ピペリジニル)、セバチン酸(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、ジメチルスクシネート−1−(2−ヒドロキシエチル)4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよびその縮合生成物、および8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロロ[4,5]デカン−2,4−ジオンも適している。これらは個別的にまたは互いに組み合わせて使用することができる。Irgastab(R)PUR 55を使用することが好適である。
【0031】
成分(c)
フェノール環がアルカン酸のアルキルエステルで置換された1種またはそれ以上の液体のフェノール性酸化防止剤をこの成分として使用することができる。フェノール環はその一つの或いはそれぞれのオルト位にアルキルまたはシクロアルキル基を有し、オルト位のアルキルまたはシクロアルキルの総数が少なくとも4、好ましくは少なくとも5であることによって立体障害が生じる。望ましくはこのような置換基の少なくとも一つはt−アルキル基であり、最も好ましくはt−ブチル基である。アルカン酸のアルキルエステルの置換基は好ましくはヒドロキシ基に対してパラ位にあり、炭素数約6〜16の範囲のアルキル基でエステル化されたC2〜6アルカン酸基(好ましくはプロピオン酸基)から構成されている。換言すれば、この置換基は−RCOORと記述することができ、ここでRは炭素数1〜5のアルキレンであり、Rは炭素数が6〜16、好ましくは6〜10の範囲のアルキルである。2種またはそれ以上のこのようなアルキルエステル置換基をもったフェノール性酸化防止剤の混合物を使用することができる。この種類の有用な混合物はIrganox(R)1135酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals,Inc.)であり、これは製造業者により化学的には3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸のイソオクチルエステル(または3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステル)であることが示されている。本発明を限定しない使用可能なこの種の他の例には3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステル、3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシルフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステル、3−t−アミル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル酢酸の分岐したC〜C10アルキルエステル、3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニル酪酸の分岐したC〜Cアルキルエステル、および3−t−アミル−5−メチル−4−ヒドロキシルフェニルヘキサン酸の分岐したCアルキルエステルが含まれる。
【0032】
重合組成物または配合物の他の成分
成分(a)、(b)および(c)の他に、ポリウレタン重合組成物または配合物に使用される他の成分は当業界の専門家には公知である。可撓性をもったポリウレタン発泡体は典型的には2種の液体、即ちイソシアネートおよびポリオールとの間の化学反応によって製造される。ポリオールはポリエーテルまたはポリエステルポリオールである。この反応は発泡剤、例えば水、揮発性炭化水素、ハロゲン化炭素、またはハロゲン化炭化水素、或いはこのような材料の2種またはそれ以上の混合物の存在下において室温で容易に起こる
。この反応を起すのに使用される触媒にはアミン触媒、錫をベースにした触媒、ビスマスをベースにした触媒、または他の有機金属触媒が含まれる。置換基をもったシリコーン化合物のような表面活性剤は重合システムの中で気泡の均一性を維持するためにしばしば使用される。立体障害をもった酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールおよびメチレンビス(2,6−t−ブチルフェノール)を使用して酸化による劣化に対する安定性をさらに増加させる助けにすることができる。使用できるこれらのおよび他の成分、およびそれらを使用する割合および方法は文献に報告されている。例えばHerringtonおよび Hock、Flexible Polyurethane Foams、The Dow Chemical Company、1991年、9.25〜9.27、或いはPolyurethane Handbookの中のRoegler、M.、「Slabstock Foams」;Oertel,G.編;Hanser、Munich,1985年、176〜177頁、或いはWoods,G.、Flexible Polyurethane Foams、Chemistry and Technology;Applied Science Publishers,London,1982年、257〜260頁参照のこと。
【0033】
本発明を実施する場合、好適なポリオールはVoranol(R)3010ポリオール(The Dow Chemical Company、米国ミシガン州、Midland)およびPluracol(R)1718ポリオール(BASF Corporation、米国ニュージャージー州、Mt.Olive)が含まれる。
【0034】
好適なイソシアネートにはMondur TD−80、Mondur PF(Bayer Corporation、米国フィラデルフィア州、Pittsburgh)およびLuprinate T80(BASF Corporation)が含まれる。
【0035】
好適な表面活性剤にはNiax(R)L−620(OSi Specialties、米国コネチカット州、Greenwich)または典型的な可撓性のポリウレタン平板(slabstock)発泡体に使用される他の多くのポリエーテルポリシリコーン共重合体が含まれる。
【0036】
好適な発泡剤は水と塩化メチレン、フレオン11、またはアセトンをそれぞれ約1:2〜2:1の範囲の重量比で含む組合わせを含んでおり、ここで水と塩化メチレンが好適な組合わせである。
【0037】
好適な触媒系にはアミン触媒、例えば(i)ジメチルエチルアミン、トリエチレンジアミン、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテルと(ii)DABCO(R)T−16アミンとの組み合わせを空気流および処理上の要求条件に依存してそれぞれ約0.2〜0.3:1の割合で含む組合わせが含まれる。
【0038】
下記実施例は例示のためのものであり、本発明の一般的な範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0039】
臭素化されたジエステルジオールと酢酸無水物との反応
SAYTEX(R)RB−79燃焼遅延剤(1900g;テトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステル;Albemarle
Corporation)を2Lの反応器に装入し、120℃に加熱した。次に酢酸無水物(701g、6.87モル)を撹拌しながら1時間に亙って加えた。この混合物を120〜140℃で3時間加熱した。35mmHgの真空、130℃の温度において僅かにNでパージしながら約1時間この混合物の抽出を行う。酸価の決定のために試料を採取し、酸価は約3.1と見積もられた。この混合物にプロピレンオキシド(25g、0.43モル)を加え、これを30分間撹拌した後、酸価は約0.6であることが見出だされた。さらに27g(0.46モル)のプロピレンオキシドを加え、この混合物を130℃で1時間撹拌した。分析を行うためこの混合物をガラス瓶の中に抜き取った。毛管粘度計を用いこの混合物の粘度は25℃で1900cPであると決定された。酸価は0.64であると決定された。混合物中の臭素の量は40.1重量%(蛍光X線法)であった。
【実施例2】
【0040】
臭素化されたジエステルジオールと酢酸無水物との反応
機械的撹拌機、温度調節器を備えた温度計、グリコールで冷却した(0℃)還流冷却器、滴下濾斗、および窒素吹込みアセンブリーを具備した1Lのガラス製の三つ首反応器に、SAYTEX(R)RB−79ジオール燃焼遅延剤(556g、0.885モル。添加前に75℃に加熱し流動性を良くしたもの)を加え、75℃において窒素下で撹拌した。滴下濾斗に酢酸無水物(180.5g、1.77モル)を装入し、これを20分間かけてジオールに滴下した。滴下の間に僅かな発熱(8℃)が認められ、これによって反応温度は83℃に上昇した。この時点において反応混合物の色が明るくなった。内容物を95℃に加熱し、窒素下においてこの温度でさらに4時間撹拌した。Barettトラップを装着して装置の蒸溜の準備をし、反応温度を130℃に上げて副成物の酢酸を蒸溜した。次に反応混合物を丸底フラスコに注ぎ、95℃(4〜5トール)において回転蒸発器で45分間濃縮し、629g(0.883モル、99.8%)の生成物を淡黄色の液体として得た。この生成物の酸価は4.5であると決定された。
【0041】
この生成物を再加熱し、反応器に移して戻し、次いで300mLのトルエンおよび200mLの水を加えた。この材料はトルエンに溶解し、底部に有機物の相を生じた。この相を加熱し、45℃で15分間撹拌した後、相分離させた。水性相のpHは4に等しいと測定された。45℃で撹拌しながら、水性相のpHが約8になるまで苛性ソーダ水溶液(50%)を加えた。相分離を行い、次に底部の有機物の相を取出し、90℃で1時間減圧下(回転蒸発機で3〜4トール)で濃縮し、579.6g(0.814モル、92.5%)の生成物を淡黄色の液体として得た。酸価は0.14であると決定され、FT−IRスペクトルを記録し、これによりエステルの生成と原料にヒドロキシ基が存在しないことが確認された。TGAによって次のような重量減の様子が示された:162.6℃で5%減、194.4℃で10%減、339.7℃で50%減。
【実施例3】
【0042】
臭素化されたジエステルジオールとクロロ燐酸ジフェニルとの反応
すべての操作は窒素をゆっくりと流しながら行った。
【0043】
1Lの三つ首フラスコに機械的撹拌機、温度調節器を備えた温度計、グリコールで冷却した(0℃)還流冷却器、加熱マントル、滴下濾斗、窒素吹込みアセンブリー、および苛性ソーダ洗浄器を装着した。このフラスコにSAYTEX(R)RB−79ジオール燃焼遅延剤(容易に移送するために80℃に予熱)を装入し、これを室温に冷却した。次にクロロフォルム(250mL)を加え、この溶液を周囲温度で撹拌した。滴下濾斗にクロロ燐酸ジフェニル(143.4g、0.533モル)を装入した。この反応混合物を加熱還流させ(61℃)、還流しているRB−79/クロロフォルム溶液にクロロ燐酸ジフェニルを15分間に亙って滴下した。得られた混合物を65〜67℃で約2.5時間還流させた後、35℃に冷却した。無水塩化マグネシウム(1g)を加え、この反応混合物を再び3時間加熱還流させた(67℃)。P−31NMRのために試料を採取し、これによって少量の未反応のクロロ燐酸ジフェニルがなお存在することが示された。次にこの反応混合物35℃に冷却し、さらに1.4gのMgClを加え、次に再びさらに2.5時間の間還流させた。P−31NMRのために試料を採取し、これによって反応は実質的に完了し
たことが示された。
【0044】
水(300mL)を反応混合物に加え、この混合物を十分に撹拌した。白色の懸濁液が生じ、これを相分離させた。上の水性相のpHは0と測定された。水性相のpHが約10になるまで撹拌しながら苛性ソーダ水溶液(50%)を滴下した。この相を分離させ、底の有機の相を減圧下で90℃において45分間濃縮し、淡い琥珀色の液体289.3g(収率99.2%)を得た。この生成物の酸価は0.68であり、P−31NMRスペクトル(CDCl中)は−10.6ppmに単一の吸収線を示し、このことは優れた純度で所望の生成物が得られたことを示している。
【実施例4】
【0045】
添加剤組成物の生成と試験
Pluracol 1718 ポリオール(分子量3000のポリオキシプロピレンポリオール、BASF Corporation);トルエンジイソシアネート(TDI;Mondur(R)TD−80、米国フィラデルフィア州、PittsburghのBayer Corporation); Niax(R)L−620表面活性剤(シリコーン表面活性剤;OSi Specialties);アミン触媒の配合物(ジメチルエチルアミン、トリエチレンジアミン、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテル);錫をベースにした触媒T−16(Air Products and Chemicalsから入手できる60%のジブチル錫ラウレートおよび40%のジプロピレングリコール);発泡剤としての水、および補助発泡剤としての塩化メチルから可撓性をもったポリウレタン発泡体組成物をつくった。
【0046】
この組成物に下記の成分または構成材料を含ませることにより本発明の燃焼遅延剤組成物をつくった:上記実施例の一つに従ってつくられたSAYTEX(R)RB−79の反応生成物;Antiblaze 519燃焼遅延剤(Rhodia社製のイソプロピル化された燐酸フェニル);Irgastab(R)PUR 55酸化防止剤(Ciba Specialty Chemicals,Inc.)。同様にして対照の組成物をつくったが、上記実施例のSAYTEX(R)RB−79の反応生成物の代わりに、SAYTEX(R)RB−79ジオール燃焼遅延剤または臭素化されていない燃焼遅延剤を使用した。
【0047】
重合させた後、それぞれの発泡体の試料に対してCalifornia 117のセクションAの試験およびマイクロ波によるスコーチ試験(Microwave scorch test)を行った。この試験では下記の記号を用いて各試料のスコーチインデックスを与えた。0=変色なし;1=やっと見分けがつく程度の変色;2=淡い黄色の着色;3=中程度の黄色の着色;4=濃い黄色/橙色の着色;5=褐色の着色。
【0048】
表1に本発明の各燃焼遅延性組成物に使用された成分の割合をポリオール100重量部中の重量部で示し、これらの試験の結果をまとめる。表2には対照実験の結果、および対照試料の各燃焼遅延剤組成物に使用された成分の割合を示す。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
本発明の他の具体化例を下記に示す。
【0052】
(AA) イソシアネートおよびポリオールからつくられた種類の可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造法において、(I)重合組成物の中に
(a)臭素化された芳香族ジエステルジオールと、(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物であるアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および
(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜
16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤を、可撓性をもったポリウレタン発泡体に燃焼遅延性およびスコーチ耐性を与えるのに十分な量で導入し、(II)得られた組成物を反応させて燃焼遅延性およびスコーチ耐性をもった可撓性のポリウレタン発泡体を製造する方法。
【0053】
(AB) (a)が無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、或いはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0054】
(AC) (a)が酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0055】
(AD) (a)がクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0056】
(AE) (a)がクロロ燐酸ジフェニルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0057】
(AF) (b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0058】
(AG) (c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0059】
(AH) (a)が無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、或いはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;(b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り、(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0060】
(AI) (a)が酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0061】
(AJ) (a)がクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニルプロピレン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0062】
(AK) (a)がクロロ燐酸ジフェニルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;(b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AA)と同様な方法。
【0063】
(AL) イソシアネートおよびポリオールを、少なくとも1種の表面活性剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒と共に混合し、該混合物を反応させることによりつくられる種類の可撓性をもったポリウレタン発泡体組成物において、重合組成物の中に燃焼遅延性を与える量の(AA)〜(AK)の任意の一つの(a)、(b)および(c)の成分または構成材料を含ませる改良法。
【0064】
(AM) イソシアネートおよびポリオールを、少なくとも1種の表面活性剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒と共に含んで成る重合組成物の中に燃焼遅延性を与える量の(AA)〜(AK)の任意の組成物を含ませ、この混合物を反応させて可撓性をもったポリウレタン発泡体をつくる可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造法。
【0065】
(AN) 該(a)、(b)および(c)は該重合組成物の中に予めつくられた液体組成物として含ませる(AA)と同様な方法。
【0066】
(AO) 該(a)、(b)および(c)を個別的におよび/または該(a)、(b)および(c)のすべてよりも少ない部分的な組み合わせとして含ませ、該重合組成物の中にすべての(a)、(b)および(c)が一緒に含まれるようにする(AA)と同様な方法。
【0067】
(AP) 該重合組成物の中に含まれた(b)対(c)の割合は重量基準で3:1〜1:3であり、該重合組成物の中に含まれた(a)対(b)+(c)の割合は重量基準で5:1〜25:1の範囲にある(AA)〜(AO)の任意の一つと同様な方法。
【0068】
(AQ) イソシアネートおよびポリオールからつくられる種類の可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造法において、(I)(AB)〜(AK)の任意の一つにおけるような燃焼遅延性添加剤組成物を重合組成物の中に含ませ、(II)得られた組成物を反応させて可撓性をもったポリウレタン発泡体をつくる方法。
【0069】
(AR) イソシアネート、ポリオール、表面活性剤、触媒、および発泡剤を含んで成る成分または構成材料からつくられた可撓性の燃焼遅延性ポリウレタン発泡体組成物において、該ポリウレタン発泡体をつくるのに用いられる成分または構成材料はさらに、
(a)臭素化された芳香族ジエステルジオールと、(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物であるアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および
(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール製酸化防止剤を、可撓性をもったポリウレタン発泡体に燃焼遅延性およびスコーチ耐性を与えるのに十分な量で含んで成るポリウレタン発泡体組成物。
【0070】
(AS) (a)は無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、或いはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0071】
(AT) (a)が酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0072】
(AU) (a)がクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0073】
(AV) (a)がクロロ燐酸ジフェニルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0074】
(AW) (b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0075】
(AX) (c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0076】
(AY) (a)が無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、或いはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピレン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0077】
(AZ) (a)が酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0078】
(BA) (a)がクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;(b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種
の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AR)におけると同様な組成物。
【0079】
(BB) (a)がクロロ燐酸ジフェニルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;(b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成る(AR)と同様な組成物。
【0080】
(BC) イソシアネートおよびポリオールを、少なくとも1種の表面活性剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒と共に混合し、該混合物を反応させることによりつくられる型の可撓性をもったポリウレタン発泡体組成物において、重合組成物の中に燃焼遅延性を与える量の(AR)〜(BB)の任意の一つにおけると同様な(a)、(b)および(c)の成分または構成材料を含ませる改良法。
【0081】
(BD) イソシアネートおよびポリオールを、少なくとも1種の表面活性剤、少なくとも1種の発泡剤、少なくとも1種の触媒と共に含んで成る重合組成物の中に燃焼遅延性を与える量の(AR)〜(BB)の組成物を含ませ、この混合物を反応させて可撓性をもったポリウレタン発泡体をつくる可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造法。
【0082】
(BE) 該混合物をつくるのに使用された成分または構成材料(a)、(b)および(c)の量は重量基準で(1)(b)対(c)の割合が3:1〜1:3であり、(2)(a)対(b)+(c)の割合は5:1〜25:1の範囲にある(AR)〜(BD)の任意の一つと同様なポリウレタン発泡体。
【0083】
上記具体化例は現在形で物質、成分および/または構成材料を参照している(例えば「含んで成る」または「ある」と書かれている)が、本明細書のすべての記述においてこれらの物質、成分および/または構成材料はそれが最初に1種またはそれ以上の他の物質、成分、および/または構成材料と接触、配合または混合された時に存在したものとして参照されるか、或いは溶液中に存在しなくても溶液中に生じたものとして参照されるものとする。これらの物質、成分および/または構成材料が本明細書の説明に従ってこのような接触、配合、混合の過程の間化学反応または変化、或いはその場で生成された場合、その同一性を失ったとしてもそれはあまり問題にならないことである。
【0084】
本発明はそれを実施する場合かなり変更を行うことができる。従って上記の説明は上記に挙げた特定の例を限定するものではなく、またそれによって限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種の臭素化された芳香族ジエステルジオールと、
(B)(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物である少なくとも1種のアルコール反応性試薬
との反応生成物を含んで成ることを特徴とする燃焼遅延剤。
【請求項2】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成ることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項3】
(B)は無水物またはクロロ燐酸ジヒドロカルビルであることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項4】
(B)は酢酸無水物であることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項5】
(B)はクロロ燐酸ジアリールであることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項6】
該クロロ燐酸ジアリールはクロロ燐酸ジフェニルであることを特徴とする請求項5記載の燃焼遅延剤。
【請求項7】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)は無水物またはクロロ燐酸ジヒドロカルビルであることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項8】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)は酢酸無水物であることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項9】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)はクロロ燐酸ジアリールであることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項10】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)はクロロ燐酸ジフェニルであることを特徴とする請求項1記載の燃焼遅延剤。
【請求項11】
(A)少なくとも1種の臭素化された芳香族ジエステルジオールと、(B)(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物である少なくとも
1種のアルコール反応性試薬とを接触させることを特徴とする燃焼遅延剤の製造法。
【請求項12】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成ることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
(B)は無水物またはクロロ燐酸ジヒドロカルビルであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項14】
(B)は酢酸無水物であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
(B)はクロロ燐酸ジアリールであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項16】
該クロロ燐酸ジアリールはクロロ燐酸ジフェニルであることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)は無水物またはクロロ燐酸ジヒドロカルビルであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項18】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)は酢酸無水物であることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項19】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)はクロロ燐酸ジアリールであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項20】
(A)はテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルから実質的に成り、(B)はクロロ燐酸ジフェニルであることを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項21】
該反応生成物の混合物は(A)および(B)を接触させてつくられ、該反応生成物の混合物をエポキシドで処理することを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項22】
該エポキシドで処理する前に該反応生成物の混合物を真空蒸溜することを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
該エポキシドのヒドロカルビル部分は分岐しているか直鎖であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項24】
該エポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはイソブチレンオキシドであることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
該反応生成物の混合物は(A)および(B)を接触させてつくられ、該反応生成物の混合物をエポキシドで処理することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項26】
該エポキシドで処理する前に該反応生成物の混合物を真空蒸溜することを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項27】
該エポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはイソブチレンオキシド
であることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
次の成分または構成材料、即ち
(a)臭素化された芳香族ジエステルジオールと、(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物である少なくとも1種のアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および
(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤を含んで成り、
該混合物をつくるのに使用された成分または構成材料(a)、(b)および(c)の量は重量基準で、(1)(a)対(b)の割合が30:70〜70:30の範囲にあり、(2)(b)対(c)の割合が3:1〜1:3の範囲にあり、(3)(a)対(b)+(c)の割合は5:1〜25:1の範囲にあることを特徴とする液体の燃焼遅延性添加剤組成物。
【請求項29】
(a)は無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、またはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項30】
(a)は酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項31】
(a)はクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項32】
(a)はクロロ燐酸ジフェニルルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項33】
(b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項34】
(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項35】
(a)は無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成るか、或いはクロロ燐酸ジヒドロカルビルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリ
コール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項36】
(a)は酢酸無水物とテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項37】
(a)はクロロ燐酸ジアリールとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項38】
(a)はクロロ燐酸ジフェニルとテトラブロモフタル酸無水物のジエチレングリコールおよびプロピレングリコール混合エステルとの反応生成物から実質的に成り;b)は環のアルキル置換基がそれぞれ約4〜9の範囲の炭素原子を含む少なくとも1種の液体のアルキル化されたジフェニルアミンから実質的に成り;(c)は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸の分岐したC〜Cアルキルエステルから実質的に成ることを特徴とする請求項28記載の組成物。
【請求項39】
イソシアネートおよびポリオールからつくられる可撓性をもったポリウレタン発泡体の製造法において、該方法は
(I)(a)少なくとも1種の臭素化された芳香族ジエステルジオールと(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物である少なくとも1種のアルコール反応性試薬との反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および
(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤を、
該製造される可撓性をもったポリウレタン発泡体に燃焼遅延性およびスコーチ耐性を与えるのに十分な量で重合組成物の中に含ませ、
(II)得られた組成物を反応させて燃焼遅延性およびスコーチ耐性をもった可撓性のポリウレタン発泡体をつくることを特徴とする可撓性のポリウレタン発泡体の製造法。
【請求項40】
イソシアネート、ポリオール、表面活性剤、触媒、および発泡剤を含んで成る成分または構成材料からつくられた燃焼遅延性の可撓性をもったポリウレタン発泡体組成物において、該ポリウレタン発泡体をつくるのに使用される成分または構成材料はさらに
(a)臭素化された芳香族ジエステルジオールと(i)炭素数4〜約8の無水物、(ii)炭素数2〜約8のハロゲン化アシル、(iii)少なくとも1種の燐酸ジヒドロカルビル、(iv)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種の燐酸ジハロヒドロカルビル、(v)少なくとも1種のクロロ燐酸ジヒドロカルビル、(vi)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロ燐酸ジハロヒドロカルビル、(vii)少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジヒドロカルビル、(viii)各ハロゲン原子が塩素または臭素である少なくとも1種のクロロチオ燐酸ジハロヒドロカルビル,または(ix)これらの2種またはそれ以上の混合物であるアルコール反応性試薬との少なくとも1種の反応生成物;
(b)少なくとも1種の立体障害をもったアミン酸化防止剤;および
(c)アルカン酸の部分の炭素数が2〜約4の範囲にあり、アルキル基の炭素数が6〜16の範囲にあるアルカン酸のアルキルエステルによってフェノール環が置換された少なくとも1種のフェノール性酸化防止剤を、
可撓性をもったポリウレタン発泡体に燃焼遅延性およびスコーチ耐性を与えるのに十分な量で含んで成っていることを特徴とする燃焼遅延性をもったポリウレタン発泡体組成物。

【公表番号】特表2007−513224(P2007−513224A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541291(P2006−541291)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/038071
【国際公開番号】WO2005/052018
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】