説明

爪装飾シート及び画像書換装置

【課題】インクを用いた場合とは異なり画像書き換え前のインク除去や画像書き換え後の乾燥処理が不要になる爪装飾シート及び画像書換装置を提供する。
【解決手段】爪装飾シート1は、爪の表面形状に合わせて成形された可撓性の電子ペーパー層3と、電子ペーパー層3の表示面とは反対側の裏面に設けられた粘着剤層7とを備える。また、電子ペーパー層3の表示面を構成する複数の画素それぞれに画像書き換え用の電位を付与することにより電子ペーパー層3で表示される画像を書き換え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪の表面に取り付け可能な爪装飾シート並びにその爪装飾シートの画像を書き換える画像書換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタを用いて爪の表面にカラーインクを噴射することでネイルアート画をプリントするネイルプリント方法及び装置が知られている(特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているようにインクでネイルアート画をプリントする場合、プリントしたインクがすぐに乾かないという問題がある。また、プリントした画像(ネイルアート画)が気に入らなかったときには爪に付着しているインクを除去する必要があり、画像を容易に書き換えることができない。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、インクを用いた場合とは異なり画像書き換え前のインク除去や画像書き換え後の乾燥処理が不要になる爪装飾シート及び画像書換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の爪装飾シートは、爪の表面形状に合わせて成形された可撓性の電子ペーパー層と、前記電子ペーパー層の表示面とは反対側の裏面に設けられた、爪に取り付けるための爪取り付け部と、を備え、前記電子ペーパー層の表示面を構成する複数の画素それぞれに画像書き換え用の電位を付与することにより前記電子ペーパー層で表示される画像を書き換え可能に構成されている。この構成によれば、爪装飾シートの電子ペーパー層の表示面とは反対側の裏面に設けられた爪取り付け部により、爪装飾シートを爪に取り付けることができ、表面の電子ペーパー層の表示面を構成する複数の画素それぞれに画像書き換え用の電位を付与することにより、電子ペーパー層で表示される画像を書き換えることができる。
前記爪装飾シートにおいて、前記爪取り付け部は粘着材層であってもよい。この構成によれば、爪装飾シートの裏面に設けられた粘着剤層により、爪装飾シートを爪に貼り付けることができる。
また、前記爪装飾シートにおいて、前記電子ペーパー層は、前記爪取り付け部側のベース電極層と前記表示面側の透明の画素電極層とを備え、画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記画像データ又は前記画像書き換え信号に基づいて、前記画素電極層の各画素に前記画像書き換え用の電位を付与する電位付与手段と、を更に備えてもよい。この構成によれば、爪に取り付けた爪装飾シートに、画像データ又は画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を送信することにより、爪装飾シートに表示される画像を非接触で書き換えることができる。
また、前記爪装飾シートにおいて、表面に防水コーティング層を備えてもよい。この構成によれば、爪装飾シートに設けられた電子ペーパー層を防水コーティング層で保護できるので、電子ペーパー層に水が接触することによる故障や寿命低下を防止できる。
なお、前記受信手段は、前記画像データ又は前記画像書き換え信号を近距離無線通信により受信してもよいし、外部の通信ネットワークを介して受信してもよい。
また、前記受信手段や前記電子ペーパ層の画像書換に用いる電力は、例えば、外部装置から電磁誘導等によって供給することができる。また、上記電力を供給可能な太陽電池などの発電部を、前記爪装飾シートに設けてもよい。
【0006】
本発明に係る画像書換装置は、前記爪装飾シートを爪に取り付けた状態で前記爪装飾シートの表面に表示される画像を書き換える画像書換装置であって、近距離無線通信により、画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を前記爪装飾シートに送信する送信手段を、更に備える。この構成によれば、爪に取り付けた爪装飾シートを画像書換装置に近づけることにより、爪装飾シートに表示される画像を非接触で書き換えることができる。
また、前記画像書換装置において、カレンダーの日付情報に関連した画像の画像データを記憶する画像データ記憶手段を更に備え、前記送信手段は、現在の日付に関連した画像の画像データを読み出し、該画像データ、又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を、前記爪装飾シートに送信してもよい。この構成によれば、爪に取り付けた爪装飾シートの画像を、当日の日付に関連した画像(例えば、自分又は知り合いの誕生日であることを示す画像や、特別な祝日や記念日であることが分かる画像)に自動的に書き換えることができる。
また前記画像書換装置において、利用者の外観の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像された利用者の外観の画像に基づいて、前記利用者の服装の色合い、明暗及び濃淡の少なくとも一つを分析する画像分析手段と、前記画像分析手段の分析結果に基づいて、前記利用者の外観にマッチングする爪装飾シートの画像を決定する画像決定手段と、を更に備え、前記送信手段は、前記画像決定手段で決定した画像の画像データを前記爪装飾シートに送信してもよい。この構成によれば、爪に取り付けた爪装飾シートの画像を、その爪装飾シートを取り付けた利用者の外観にマッチングした画像に自動的に書き換えることができる。
また、前記画像書換装置において、前記送信手段は、前記画像の画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を、その画像に書き換える爪の識別情報とともに、前記爪装飾シートに送信してもよい。この構成によれば、各爪の爪装飾シートが、画像書換装置から画像の画像データ又は画像書き換え信号とともに受信した爪の識別情報に基づいて、その画像を自己の爪装飾シートに適用して画像書き換えを行うか否かを判断できる。従って、すべての爪の画像を同じ画像に書き換えたり、爪ごとに互いに異なる画像(例えば、複数の爪の全体で統一感を有するデザインを構成するような画像や、複数の爪の全体で物語性など観念的に関連がある印象を与えるような画像)に書き換えたりすることもできる。
また、前記画像書換装置において、前記爪装飾シートの表面に表示される画像の画像データを、その爪装飾シートが取り付けられている爪の形状及びサイズの少なくとも一方に合わせて変換する画像データ変換手段を、更に備え、前記送信手段は、前記画像データ変換手段で変換した変換後の画像データを、その画像データに対応する爪装飾シートに送信してもよい。この構成によれば、各爪の爪装飾シートに表示される画像を、各爪の形状やサイズに合わせた画像に書き換えることができる。
また、画像書換装置において、外部の通信ネットワークを介して配信情報又はメールを受信する受信手段を、更に備え、前記送信手段は、前記受信手段で受信した配信情報又はメールに含まれている画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書換信号を、近距離無線通信により前記爪装飾シートに送信してもよい。この構成によれば、爪装飾シートに表示する画像の画像データを含む配信情報又はメールを、外部の通信ネットワークを介して受信することにより、画像書換装置を利用する利用者から離れた場所から、爪に取り付けた爪装飾シートの画像を、配信情報又はメールに含まれる画像に遠隔的に書き換えることができる。更に、配信情報又はメールに含まれる画像にメッセージ性を持たせることにより、爪に取り付けた爪装飾シートに表示される画像により利用者にメッセージを伝えることができる。また、爪に爪装飾シートを取り付けた利用者に対して、その爪装飾シートに予想外の画像が表示されるという一種の驚き感を与えるという演出も可能になる。
【0007】
また、前記画像書換装置において、有線又は無線の近距離通信により、外部の通信ネットワークに接続可能な通信端末装置から、前記画像データ又は前記画像書き換え信号を受信する受信手段を、更に備えてもよい。また、本発明に係る画像書換システムは、前記画像書換装置と、外部の通信ネットワークに接続可能な通信端末装置とを備え、前記画像書換装置での前記爪装飾シートの画像書換に用いる画像データ、又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を、有線又は無線の近距離通信により、前記通信端末装置から前記画像書換装置に送信可能に構成されている。これらの構成によれば、通信端末装置によって外部の通信ネットワークから画像データを受信し、その画像データに基づいて、爪に取り付けた爪装飾シートに表示される画像を書き換えることができるので、爪装飾シートに表示可能な画像のバリエーションが増える。
前記画像書換システムにおいて、前記通信端末装置は、前記外部の通信ネットワークから配信情報又はメールを受信したとき、その配信情報又はメールに画像データが含まれているか否かを判断し、前記配信情報又はメールに画像データが含まれている場合に該画像データを前記画像書換装置に送信し、前記画像書換装置の送信手段は、前記通信端末装置から受信した画像データ、又は該画像データに基づいて生成された画像書換信号を、近距離無線通信により前記爪装飾シートに送信してもよい。
【0008】
なお、前記爪装飾シートにおいて、前記電子ペーパー層は、画像データに基づいて制御された荷電ビームを外部から前記表示面に対して走査しながら照射することにより、前記画像書き換え用の電位が付与されるものであってもよい。この爪装飾シートを爪に取り付けた状態で前記爪装飾シートの表面に表示される画像を書き換える画像書換装置は、前記爪装飾シートの表示面に対して、画像データに基づいて制御された荷電ビームを走査しながら照射する荷電ビーム走査手段を備える。前記荷電ビームは、前記画像データに基づいて生成した画像書換信号により制御してもよい。
また、前記爪装飾シートにおいて、前記電子ペーパー層は、画像データに基づいて静電像が形成された可撓性の静電像保持体を、前記表面に対して近接又は接触させ、前記静電像保持体に形成されている前記静電像を前記電子ペーパー層の表面に転写することにより前記画像書き換え用の電位が付与されるものであってもよい。この爪装飾シートを爪に取り付けた状態で前記爪装飾シートの表面に表示される画像を書き換える画像書換装置は、可撓性の静電像保持体と、画像データに基づいて静電像を前記静電層保持体に形成する静電像形成手段と、前記爪装飾シートの表示面に対して前記静電像保持体を接触又は近接させることにより、前記静電像保持体に形成されている前記静電像を前記電子ペーパー層の表面に転写する静電像転写手段とを備える。前記静電層保持体の静電像の形成は、前記画像データに基づいて生成した画像書換信号により制御してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、爪に取り付けた爪装飾シートの電子ペーパー層の表示面を構成する複数の画素それぞれに、画像書き換え用の電位を付与することにより、電子ペーパー層で表示される画像を書き換えることができるので、インクを用いた場合とは異なり画像書き換え前のインク除去や画像書き換え後の乾燥処理が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るネイルシートを指の爪に貼り付けた状態の斜視図。
【図2】同ネイルシートの上面図。
【図3】同ネイルシートの分解斜視図。
【図4】ネイルシートの一構成例を示す機能ブロック図。
【図5】(a)はネイルシートのコレステリック液晶の一構成例を示す断面図。(b)は同コレステリック液晶の画像表示の原理を示す説明図。
【図6】本実施形態に係るネイルアートプリンタの一構成例を示す斜視図。
【図7】同ネイルアートプリンタの機能ブロック図。
【図8】ネイルアートの画像書換システム全体の一例を示す概略構成図。
【図9】ネイルアートの画像書換システムの処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図10】画像表示パネルを備えたネイルアートプリンタの一構成例を示す斜視図。
【図11】携帯通信端末の表示画面に表示されたネイルアート画像選択画面の一例を示す説明図。
【図12】(a)は画像処理前の携帯通信端末に表示された写真の説明図、(b)は画像処理により被写体を拡大して表示した写真の説明図。
【図13】(a)はハロウィンに関連するカボチャの画像の説明図、(b)はクリスマスに関連するサンタの靴の画像の説明図。
【図14】利用者のファッションカラーやトーンに合わせた画像を形成するネイルアートプリンタの一構成例を示す機能ブロック図。
【図15】携帯通信端末が受信したメールに添付されている画像データに基づいて、ネイルシートに画像を形成するときの処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図16】ネイルアートプリンタが所定の期間内で利用者のネイルシートに同じ画像を重複して書き換えないように制御する一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る爪装飾シートとしてのネイルシートを指の爪に貼り付けた状態の斜視図である。本実施形態のネイルシート1は、表面に電子ペーパー層が設けられていて、この電子ペーパー層に表示する画像を利用者が自由に選択して、書き換えることができる。インクで描画する従来のネイルアートとは異なり、インクは使わないのでインクの乾きを気にすることなく、しかも画像を容易に書き換えることができる。また、一旦ネイルシート1に画像が表示された後は無電力で画像を表示し続けることができる。
【0012】
図2はネイルシート1の一構成例を示す上面図であり、図3はネイルシート1の分解斜視図である。ネイルシート1は、上面側から順に、防水コーティング層2、電子ペーパー層としてのコレステリック液晶3、アンテナ4、ベースシート5、ベースシート5に埋め込まれたICチップ6、及び、ベースシート5の裏面に形成された爪取り付け部としての粘着剤層7から主に構成されている。ネイルシート1は可撓性を有し、利用者の爪の曲率に応じて湾曲することができ、爪の表面に粘着剤層7の粘着力で貼り付けられる。
【0013】
防水コーティング層2は、例えばPET等の樹脂層からなり、少なくとも、コレステリック液晶3の画像表示部31を覆う画像透過部21は透明である。なお、画像透過部21の周囲のエッジ部22は半透明若しくは有色の不透明として、図2に示すように、コレステリック液晶3の行電極32や列電極33をエッジ部22で隠して外部から見えなくなるようにしてもよい。
【0014】
コレステリック液晶3は、画像表示部31、行電極32、列電極33から構成されていて、一旦画像が表示された後は無電力で画像を表示し続けることができる液晶である。なお、行電極32と列電極33とを画像表示部31の下側に配設して、画像表示部31でネイルシート1の上面の全面を覆うようにしてもよい。コレステリック液晶3の動作原理については後述する。
【0015】
アンテナ4は、後述のネイルアートプリンタ8との間の無線信号の送受信に用いられる。ネイルシート1とネイルアートプリンタ8との間で送受信される無線信号の周波数としては、電力の送信が許可された所定周波数(例えば、13.56MHzの周波数帯)の電波を用いることができる。この無線信号により、ネイルシート1は、ネイルアートプリンタ8から電磁誘導により無接点で電力の供給を受けるとともに、コレステリック液晶3に表示する画像データを受信することができる。また、上記無線信号は、ネイルシート1側に保存されている認証情報のネイルアートプリンタ8への送信などに用いることもできる。なお、ネイルアートプリンタ8からネイルシート1への画像データの送信には、上記電波のほか、赤外線などの光を用いてもよい。また、ネイルシート1への電力供給とネイルシート1への画像データの送信とは、互いに異なる種類の電波や光等の無線媒体を用いてもよい。
【0016】
ベースシート5は、上記各部材を保持するベースとなるシート部材であり、例えば、軟質塩化ビニルやウレタンゴムなどの可撓性を有する部材からなる。ICチップ6は、CPUやメモリからなり、ネイルアートプリンタ8との通信を行って、コレステリック液晶3に表示する画像データの受信や認証情報の送信などを行う。粘着剤層7は、爪に貼ったネイルシート1を利用者が容易に剥がせる程度の粘着力を有している。
【0017】
図4は、ネイルシート1の一構成例を示す機能ブロック図である。ネイルシート1は、コレステリック液晶3、アンテナ4、電力受供給部41、画像データ受信部42、ICチップ6を備える。コレステリック液晶3は、表示画像を切り換えるための描画用駆動信号を受けることで表示画像が変化し、且つ、その画像の表示状態を無給電状態でも維持可能なものである。また、電力受供給部41は、アンテナ4がネイルアートプリンタ8から受信した所定周波数(例えば、13.56MHz)の無線信号により、電磁誘導を用いた起電力を得て、この電力をコレステリック液晶3、ICチップ6、画像データ受信部42等に供給する。このようにネイルシート1の電力は、アンテナ4及び電力受供給部41を介してネイルアートプリンタ8側から供給できるため、ネイルシート1の内部に電池等の電源を備える必要がない。
【0018】
なお、ネイルシート1は、電磁誘導方式に限らず、静電結合方式などの他の方式の非接触電力転送手段によって外部から電力を取得してもよい。
【0019】
画像データ受信部42は、画像データを受信する受信手段、又は画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を受信する受信手段として機能する。画像データ受信部42は、アンテナ4がネイルアートプリンタ8から受信した無線信号から画像データを抽出し、ICチップ6に送る。
【0020】
ICチップ6は、画像データ又は画像書き換え信号に基づいて、コレステリック液晶(電子ペーパー層)3の画素電極層の各画素に画像書き換え用の電位を付与する電位付与手段として機能する。ICチップ6は、無線通信部61と、コントローラ62と、駆動制御信号生成部63と、行電極駆動部64と、列電極駆動部65とを備え、コレステリック液晶3の表示領域に描画用駆動信号(駆動電圧)を供給して描画処理を行う。コントローラ62は、ネイルアートプリンタ8から送信された表示対象のネイルアートの画像データを上記アンテナ4及び画像データ受信部42を介して受信する。駆動制御信号生成部63は、コントローラ62から送られてくる画像データに基づいて、行電極駆動部64及び列電極駆動部65を制御する駆動制御信号を生成する。行電極駆動部64は、駆動制御信号生成部63から受けた行電極用の駆動制御信号に基づいて、コレステリック液晶3の行電極32に描画用駆動信号を供給する。また、列電極駆動部65は、駆動制御信号生成部63から受けた列電極用の駆動制御信号に基づいて、コレステリック液晶3の列電極33に描画用駆動信号を供給する。
【0021】
図5(a)はネイルシート1のコレステリック液晶3の一構成例を示す断面図である。このコレステリック液晶3は、ベースシート5上に設けられている。このコレステリック液晶3は、透明下基材層34、コレステリック液晶層35、透明上基材層36の3層構造となっている。透明下基材層34及び透明上基材層36としては例えばガラス薄板を用いることができる。透明下基材層34の上部には、下格子電極としての行電極32が設けられており、透明上基材層36の下部には、上格子電極としての列電極33が設けられている。行電極32は、ネイルシート1の横方向(図4中の横方向)に平行に延びる所定ピッチの多数のライン状電極で構成されており、これらのライン状電極の端部は、前述の行電極駆動部64の出力端子に接続されている。また、列電極33は、ネイルシート1の縦方向(図4中の縦方向)に平行に延びる所定ピッチの多数のライン状電極で構成されており、これらのライン状電極の端部は、前述の列電極駆動部65の出力端子に接続されている。これらの行電極32及び列電極33は、コレステリック液晶3の表示領域の全域にわたって、その電極が延びる方向が互いに直交するように配置されている。そして、ICチップ6の各電極駆動部64,65から適切なON/OFFタイミングで描画用駆動信号(電気信号)を行電極32及び列電極33に入力することにより、表示領域の任意の地点における行電極32と列電極33との間の電位差を制御できる。
【0022】
コレステリック液晶層35は、図5(b)に示すように、入射した光のうち、分子配列のらせん周期Lに応じて決まる波長の光を選択的に反射させることで、フルカラー表現を可能にしている。分子配列のらせん周期Lは、一般に温度が上昇すると小さくなるので、温度コントロールにより所望の色を表現することができる。また、コレステリック液晶層35は、急冷することにより分子配列のらせん周期Lを固定化することが可能である。したがって、らせん周期Lを固定化した後は、色を固定できる。このような特性から、コレステリック液晶層35を用いたコレステリック液晶3は、表示画像を切り換える描画処理を行う際には温度コントロール用の描画用駆動信号を供給するため電力を消費するが、一旦画像が表示された後は無電力で画像を表示し続けることができる。
【0023】
なお、上記画像の表示状態を無給電状態でも維持可能な電子ペーパー層としては、コレステリック液晶に限らず、他の同様な特性を有する液晶、例えば強誘電性液晶を用いたものであってもよい。また、電子ペーパー層は、マイクロカプセル中の液体に着色荷電粒子を分散させた電気泳動型の画像表示媒体や、粒子の2つの半面それぞれが互いに異なる色に塗り分けられ、その色ごとに帯電極性が異なる帯電粒子(ジリコンビーズ、ツイストボール・シリンダ)を用いた画像表示媒体でもよい。また、電子ペーパー層は、電気濡れ効果(エレクトロウエッティング)、エレクトロクロミー(エレクトロクロミズム)、電着方式(エレクトロデポジション・電界析出)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を使用して機械的に引き起こされる光学特性変化を使用するディスプレイ方式(AFD:可動フィルムディスプレイ方式、干渉(光路長変更)方式)等、他の表示原理を用いたものであってもよい。
【0024】
図6はネイルシート1のネイルアート画像(図柄)を書き換える画像書換装置としてのネイルアートプリンタ8の一構成例を示す斜視図であり、図7は同ネイルアートプリンタ8の機能ブロック図である。図6において、ネイルアートプリンタ8は、例えばポリカーボネート等の樹脂で成型された断面略コの字状の筐体81を備え、断面略コの字状の凹部81aにネイルシート1を貼り付けた指の爪を通過させる若しくは爪を配置することで、ネイルシート1に新たに画像を書き込んだり、既に書き込まれた画像を書き換えたりする装置である。また、図7に示すように、ネイルアートプリンタ8は、制御部82と、近距離通信部83と、メモリ84と、無線通信部85と、電力供給部86と、画像データ送信部87と、アンテナ88とを備える。
【0025】
制御部82は例えばCPU等で構成され、ネイルアートプリンタ8全体の制御を行う。近距離通信部83は、図示しない携帯通信端末等とブルートゥースや赤外線等により近距離無線通信を行う。メモリ84は携帯通信端末等から受信したネイルアートの画像データを記憶する。無線通信部85はアンテナ88を介してネイルシート1が筐体8の凹部81aを通過する数秒の間にネイルシート1との間で無線通信を行い、ネイルシート1からの認証データの受信や、画像データの送信指示などを行う。電力供給部86は、アンテナ88からの所定周波数(例えば、13.56MHz帯)の無線信号により電磁誘導でネイルシート1に電力を供給するものであり、ネイルアートプリンタ8本体の電源がON状態であれば、いつでもネイルシート1に電力を供給できるようにスタンバイしている。画像データ送信部87は、無線通信部85からのネイルシート1が凹部81aを通過する旨の情報に基づいて、メモリ84に記憶されているネイルアートの画像データを、アンテナ88を介してネイルシート1に送信する。
【0026】
図8は、上記ネイルシート1やネイルアートプリンタ8を含むネイルアートの画像書換システム全体の一構成例を示す概略構成図である。ネイルアートの画像書換システムは、通信ネットワークとしての携帯電話通信網9を介してネイルアートの画像データを配信するネイルアート画像配信サーバ10を備える。また、ネイルアートの画像書換システムは、携帯電話通信網9の基地局91との無線通信により携帯電話通信網9を介してネイルアート画像配信サーバ10と通信可能な通信端末装置としての携帯通信端末11と、非公衆近距離通信を介して携帯通信端末11と通信可能なネイルアートプリンタ8と、ネイルシート1とを用いて構成されている。
【0027】
図9は、ネイルシート1に画像を書き込んだり既に書き込まれた画像を書き換えたりするネイルアートの画像書換システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。上記構成のネイルアートの画像書換システムを用いて爪に貼ったネイルシート1に新たに画像を書き込んだり、既に書き込まれた画像を書き換えたりするには、図9において、まず利用者は携帯通信端末11を操作してネイルアートサービスに接続してネイルアートのサービスを開始する(ステップ1,2)。携帯通信端末11は携帯電話通信網9を介してネイルアート画像配信サーバ10に接続し、ネイルアートサービス要求を受信したネイルアート画像配信サーバ10は、複数のネイルアートの画像データを送信する(ステップ3,4)。携帯通信端末11では表示部に複数のネイルアートの画像を表示し、利用者はその中から気に入った画像を選択して決定する(ステップ5,6)。より具体的には、図8に示すように、携帯通信端末11の表示画面111に複数の画像の中から選択したネイルアートの画像112を表示し、決定のソフトキー113に指を触れて画像を決定する。次に、携帯通信端末11は、利用者によって決定されたネイルアートの画像データをネイルアートプリンタ8に送信する(ステップ7)。ネイルアートの画像データを受信したネイルアートプリンタ8は、一旦メモリ84にその画像データを記憶する(ステップ8)。次に、利用者は爪に貼られたネイルシート1をネイルアートプリンタ8の凹部81aに進入させる(ステップ9)。ネイルアートプリンタ8は、アンテナ88や無線通信部85によりネイルシート1の進入を検知し(ステップ10)、ネイルシート1に対して電力の供給とメモリ84に記憶された画像データの送信とを行う(ステップ11)。ネイルシート1は、アンテナ4と電力受供給部41とにより電磁誘導で起電した電力をICチップ6に供給して瞬時にICチップ6を起動させ、ネイルアートの画像データを受信する(ステップ12)。ICチップ6は、ネイルアートプリンタ8から受信した画像データに基づいてコレステリック液晶3に新たに画像を書込み、あるいは、既に書き込まれた画像を書き換える。さらに、他の指の爪に貼られたネイルシート1について同様にネイルアートの画像を新たに書込み、あるいは、書き換える(ステップ14)。すなわち、上記ステップ11からステップ13の動作を繰り返し、ネイルアートプリンタ8の凹部81aを通るネイルシート1ごとに、順次ネイルアートの画像を新たに書き込み、あるいは、書き換える。ネイルアートプリンタ8の凹部81aをネイルシート1が通過することで、ネイルアートの画像がネイルシート1に形成されるので、利用者は選択決定した画像が形成されているか否かを確認する(ステップ15)。
【0028】
なお、利用者の各爪に貼り付けたネイルシート1のICチップ6に、利用者識別情報としての利用者IDを設定しておいてもよい。これにより、ネイルシート1から読み取った利用者IDを携帯通信端末11又はネイルアート画像配信サーバ10で認証し、ネイルアートサービスの利用登録を行っていない場合には、ネイルアートサービスの利用を制限することができる。
【0029】
また、利用者の両手の各爪に貼り付けたネイルシート1のICチップ6に、ネイルシート毎に異なる爪識別情報としての爪IDを設定しておき、指の爪に貼られたそれぞれのネイルシート毎に互いに異なる画像を書き込むようにしてもよい。この場合には、例えば、右手側から親指→人差し指→中指→薬指→小指の順にネイルプリンタ8の凹部81aを通過させて、右手の各指の爪に貼られたネイルシート1の爪IDを読み取り、ネイルプリンタ8のメモリ84に記憶する。同様に、左手の各指の爪に貼られたネイルシート1の爪IDを読み取り、ネイルアートプリンタ8のメモリ84に記憶する。そして、携帯通信端末11で各指の爪に貼られたネイルシート1毎に、それぞれネイルアートの画像を選択して決定し、ネイルアートプリンタ8に送信する。ネイルアートプリンタ8では、メモリ84に記憶された各指の爪に対応したネイルシート1の爪IDと、受信した画像を対応させて記憶する。そして、利用者が、爪に貼られたネイルシート1をネイルプリンタ8の凹部81aを通過させるときに、ネイルシート1の爪IDを読み取って、その爪IDに対応する画像データを送信する。これにより、利用者の指のすべての爪に貼られたネイルシート1それぞれの画像を同じネイルアートの画像に書き換えたり、各指の爪に貼られたネイルシート1毎に互いに異なるネイルアートの画像に書き換えたりすることができる。例えば、複数の爪の全体で統一感を有するデザインを構成するような画像や、複数の爪の全体で物語性など観念的に関連がある印象を与えるような画像に書き換えたりすることもできる。
【0030】
なお、上記ネイルアートの画像データは、上記ネイルアート画像配信サーバ10から配信されるものに限らず、携帯通信端末11で利用者が作成してもよい。例えば、携帯通信端末のカメラで花や風景などの被写体を撮影し、その画像をネイルアートの画像として利用してもよい。また、インターネット上に公開された画像を利用したり、携帯通信端末やパソコンで利用者が自ら作成した図柄などの画像を利用したりしてもよい。
【0031】
また、上記ネイルアートプリンタ8には、画像表示パネルを設けてもよい。
図10は、画像表示パネル89を備えたネイルアートプリンタ8の一構成例を示す斜視図である。ネイルアートプリンタ8は、画像表示パネル89を備え、携帯通信端末11から受信したネイルアートの画像を表示して、利用者が確認することができる。画像表示パネル89は矢印A方向に揺動可能に保持され、図示のように引き出して使用してもよいし、筐体81に収容した状態で使用してもよい。画像表示パネル89に書き換える画像を表示させることにより、利用者はネイルシート1に書き込むネイルアートの画像を、書き換え直前に再確認することができる。
また、ネイルアートプリンタ8のメモリ84に複数のネイルアートの画像データを保存しておけば、画像表示パネル89に表示させて選択し、決定することができるので、ネイルシート1の画像を書き換える毎に携帯通信端末11を介してネイルアート画像配信サーバ10から画像をダウンロードしなくてもよい。また、メモリ84内の画像データを更新するときに、携帯通信端末11を介してネイルアート画像配信サーバ10に接続してもよい。
また、ネイルアートプリンタ8には、携帯電話通信網9と接続ができる無線通信部を設けたり、インターネットと接続できる外部インターフェースを設けたりしてもよい。
【0032】
また、ネイルシート1とネイルアートプリンタ8とは無線通信により、非接触で電力の転送や画像データの送受信を行っているが、少なくとも電力の供給は有線で行ってもよい。ネイルシート1が、電磁誘導による起電力では画像の書き換えのための電力が賄えない場合に有効である。例えば、ネイルシート1を爪に貼り付けたときに爪からはみ出しているベースシート5の裏面に粘着剤層7に代えて平面電極を2つ設けておき、これらの電極にネイルアートプリンタ8に設けたピン形状の2つの電極を接触させて電力を供給してもよい。同時に画像データの送信を行ってもよい。
【0033】
また、ネイルシート1に形成するネイルアートの画像は、ネイルアート画像配信サーバ10から配信される画像から適宜選択することが可能であるが、携帯通信端末11又はの利用者が作成した画像や、写真などの画像を用いることもできる。
【0034】
図11は、携帯通信端末11の表示画面111に表示されたネイルアート画像選択画面の一例を示す説明図である。図11において、携帯通信端末11の表示画面111には、デザインサンプル画像114、ユーザ作成画像115、写真・他画像116の3種類から選択できるネイルアート画像選択画面が表示されている。このネイルアート画像選択画面で、いずれか一つを選択すると、その選択に対応した複数の画像が表示画面111に表示され、利用者はそれらの画像の中からネイルシート1に形成するネイルアートの画像を選択して決定することができる。例えば、デザインサンプル画像114を選択すると、ネイルアートのサービス提供者が予めネイルアート画像配信サーバ10に蓄積した複数の画像が表示され、利用者はこれらの画像から適宜選択することができる(図8参照)。また、ユーザ作成画像115を選択すると、利用者が予め携帯通信端末11やパソコンで作成して携帯通信端末11のメモリあるいはネイルアートプリンタ8のメモリ84に記憶させておいた画像の中から適宜選択してネイルシート1に形成するネイルアートの画像を決定することができる。また、写真・他画像116を選択すると、利用者が予め携帯通信端末11やデジタルカメラで撮影したり、インターネット上からダウンロードしたりして、携帯通信端末11のメモリあるいはネイルアートプリンタ8のメモリ84に記憶させておいた画像の中から適宜選択してネイルシート1に形成するネイルアートの画像を決定することができる。
【0035】
また、ネイルシート1は、親指から小指までの爪によって形状やサイズが互いに異なるので、コレステリック液晶3の表示画面の形状や大きさに合わせて形成する画像の変換(例えば、サイズ変換)を行ってもよい。例えば、小指のネイルシート1は親指のネイルシート1に比べて小さいのでコレステリック液晶3の表示画面も小さい。そのため、親指のネイルシート1に形成されている画像をそのまま小指のネイルシート1の表示画面に形成しようとすると、その表示画面におさまりきれず、画像の全体が形成されないおそれがある。このため、ネイルシート1のICチップ6は、ネイルアートプリンタ8から受信した画像データをコレステリック液晶3の表示画像の大きさに合わせて拡大又は縮小する画像データ変換手段を備えていてもよい。また、ネイルアートプリンタ8が、ネイルシート1の上記爪IDを読み取ることによって、ネイルシート1のサイズ情報を取得し、ネイルシート1のサイズに合わせて画像のサイズ変換を行い、サイズ変換後の画像データを送信するような画像データ変換手段を備えていてもよい。
【0036】
また、上記ネイルアート画像選択画面で、写真・他画像116を選択した場合、利用者が撮影した写真やインターネット上からダウンロードした画像をそのまま用いると、ネイルシート1に表示したときに画像が大きすぎたり、小さすぎたりして、画像が良好に形成されないおそれがある。このため、ネイルシート1、ネイルアートプリンタ8及び携帯通信端末11の少なくとも一つが、ネイルシート1のコレステリック液晶3の表示画面の大きさに合わせて画像を拡大したり、縮小したりするように画像データを変換してもよい。さらに、コレステリック液晶3の表示画面の中心位置に画像の中心を合わせるように画像データを変換してもよい。
【0037】
図12は上記画像データ変換の機能を備えた携帯通信端末11の表示画面の説明図である。図12(a)は画像処理前の携帯通信端末11に表示された写真の説明図、同図(b)は画像処理により被写体を拡大して表示した写真の説明図である。図12(a)において、被写体である蝶Buが右下側に写っていて、このまま写真のデータを用いてネイルシート1に画像を形成すると、蝶Buが小さく表示されバランスが悪くて見難い画像となってしまう。このため、図12(b)に示すように携帯通信端末11において被写体の蝶Buを拡大して中央部に表示するように画像データの変換処理を行う。この画像データ変換処理後の画像をネイルシート1に形成することにより、蝶Buが大きく表示されバランスのよい見やすい画像の表示が可能となる。この画像データ変換処理は携帯通信端末11が自動的に行ってもよいし、利用者が被写体や対象画像を指定して拡大してもよい。また、写真や画像データの中からネイルシート1に形成する画像のみを抽出してトリミングするような画像データ変換を行ってもよい。
【0038】
なお、ネイルシート1に形成するネイルアートの画像は、利用者によって選択された画像に限らず、ランダムに選択された画像であってもよい。例えば、ネイルアートプリンタ8のメモリ84に記憶された複数の画像のうちから制御部82でランダムに選択された画像であってもよい。また、携帯通信端末11又はネイルアート画像配信サーバ10がランダムに選択した画像であってもよい。これにより、利用者が画像を選択する手間を省くことができ、利用者は予めネイルシート1に形成される画像を選択することなく、ネイルシート1が貼られた爪をネイルプリンタ8の凹部81aを通過させることで、ネイルアートの画像が書き換えられる。もし、ネイルシート1に形成された画像を利用者が気に入らない場合には、再度ネイルシート1が貼られた爪をネイルプリンタ8の凹部81aを通過させることで、ランダムに選択された他の画像に書き換えることができる。
【0039】
また、ネイルシート1に形成するネイルアートの画像を、日替わり又は週替わり等の所定の日付間隔毎に自動的に異ならせるようにしたり、画像を書き換えようとしている当日の日付に関連した画像にしたりしてもよい。例えば、ネイルアートプリンタ8の画像データ記憶手段としてのメモリ84に、カレンダーの日付情報とその日付情報に関連した画像データとを関連付けて記憶しておくことにより、ネイルアートの画像を日替わりや週替わりで自動的に書き換えたり、当日の日付に関連した画像(例えば、自分又は知り合いの誕生日であることを示す画像や、特別な祝日や記念日であることが分かる画像)に自動的に書き換えることができる。
【0040】
図13は日替わりで書き換える画像の一例を示す説明図である。図13(a)は10月31日のハロウィンに関連するカボチャの画像、同図(b)は12月25日のクリスマスに関連するサンタの靴の画像である。画像の書き換えを行おうとしている当日の日付が10月31日の場合、ネイルアートプリンタ8の凹部81aにネイルシート1を通過させると、図13(a)に示すカボチャの画像が形成される。また、当日の日付が12月25日の場合、ネイルアートプリンタ8の凹部81aにネイルシート1を通過させると、図13(b)に示すサンタの靴の画像が形成される。なお、日付に関連する画像は日替わりで変更する場合に限らず、各イベントの1週間前から自動的に書き換えるようにしてもよい。また、カレンダーの日付に関連するイベントがない場合には、ランダムに画像を書き換えるようにしてもよい。
【0041】
また、ネイルシート1に形成する画像のデザインは、利用者のファッションカラーの明暗、濃淡、トーン(派手目、控え目等)等に合わせて、自動的にカラーコーディネートしたものであってもよい。
【0042】
図14は、利用者のファッションカラーやトーンに合わせた画像を形成するネイルアートプリンタ8の機能ブロック図である。このネイルアートプリンタ8は、図7を用いて説明したネイルアートプリンタ8に、撮像手段としてのカメラ801と、画像分析手段としての画像分析部802と、画像決定手段としてのネイルアート画像マッチング部803とを追加して備えた構成となっている。画像分析部802は、カメラ801で撮像された利用者の外観の画像に基づいて、利用者の服装の色合い、明暗及び濃淡の少なくとも一つを分析する。ネイルアート画像マッチング部803は、画像分析部802の分析結果に基づいて、利用者の外観にマッチングする爪装飾シートの画像を決定する。画像分析部802及びネイルアート画像マッチング部803は、例えば、前述のCPU等からなる制御部82で構成される。なお、図14に示す構成のうち、図7の構成と共通する部分については、説明を省略する。
【0043】
図14において、ネイルアートプリンタ8は、まず、カメラ801で利用者の着ている服装を含む写真を撮影し、画像分析部802で撮像された写真から利用者のファッションカラーやトーンを解析する。そして、ネイルアート画像マッチング部803において、画像分析部802から送られた分析結果に基づいて、ネイルアートの画像のデザインをカラーコーディネートする。より具体的には、利用者の服装のファッションカラーやトーン及び季節などの情報に基づいて、マッチングアルゴリズムにより、メモリ84に記憶されている画像の中から数種類を選択し、さらに、これらの画像の色や背景の色を変えた画像の中から、条件に合った最適な画像を選択する。例えば、利用者が濃くて明るい赤色の派手目の服を着ていて、季節が夏の場合には、図1において、赤のハイビスカスの花と、金色の星と、青色の背景とを組み合わせた画像のデザインをカラーコーディネートする。
【0044】
また、携帯通信端末11に送信されてきた配信情報又はメールに添付された画像データがネイルシート1で画像形成可能なデータであれば、この配信情報又はメールに添付された画像データに基づいて、ネイルシート1に画像を形成してもよい。配信情報又はメールに添付された画像データの画像がメッセージ性を有していれば、配信情報又はメールを受信した利用者がネイルシート1にその画像を形成することにより、相手からのメッセージの内容を知ることができる。さらに、ネイルシート1に表示された画像に対応する配信情報やメール本文を読むことにより、より確実に相手からのメッセージが伝わる。
【0045】
図15は、携帯通信端末11に送信されてきたメールに添付された画像データに基づいて、ネイルシート1に画像を形成するときの処理手順の一例を示すシーケンス図である。図15において、携帯通信端末11が、通信ネットワークを介してメールサーバから、ネイルアート画像データが添付されたメールを受信すると、ネイルアート画像データが添付されたメールの受信表示がなされる(ステップ1,2)。利用者がメールの受信操作を行うと(ステップ3)、ネイルアートプリンタ8にネイルアート画像データが送信され、画像データがメモリ84に記憶される(ステップ4)。そして、利用者がネイルアートの画像を書き換えるために爪に貼られたネイルシート1をネイルアートプリンタ8の凹部81aに進入させる(ステップ5,6)。すると、ネイルアートプリンタ8は、アンテナ88や無線通信部85によりネイルシート1の進入を検知し(ステップ7)、ネイルシート1に対して電力の供給とメモリ84に記憶された画像データの送信とを行う(ステップ8)。ネイルシート1は、アンテナ4と電力受供給部41とにより電磁誘導で起電した電力をICチップ6に供給して瞬時にICチップ6を起動させ、ネイルアートの画像データを受信する(ステップ9)。ICチップ6は、ネイルアートプリンタ8から受信した画像データに基づいてコレステリック液晶3の画像を書き換える制御を行う(ステップ10)。さらに、他の指の爪に貼られたネイルシート1についても同様にネイルアートの画像を書き換える(ステップ11)。利用者はネイルシート1に形成された画像を見てメールの概略内容を知ることができる。例えば、ネイルシート1に形成されたネイルアートの画像が「自動車」の場合には、相手からドライブに誘われたことを意味する。ネイルアートプリンタ8でネイルアートの画像の書き換えが完了すると(ステップ13)、携帯通信端末11にメール本文が表示される(ステップ14)。例えば、「明日午前10時に鎌倉へドライブに行こう」といったより詳細なメール内容を確認することができる(ステップ15)。利用者はメール本文を読んでメール返信操作を行い、メールが相手に返信される(ステップ16,17)。
【0046】
なお、メールを送受信する相手方との間で、予めネイルアートの画像とメッセージ内容とを決めておくことにより、メール本文を読まずに、あるいは、メール本文が無い場合であっても、利用者は相手のメッセージ内容を知ることができる。例えば、互いに同じ歌手Aのファンである利用者と相手方との間で、ネイルアートの画像として「♪」は「歌手Aのコンサートの初日に行こう」というメッセージ内容であり、「♪♪」は「歌手Aのコンサートの2日目に行こう」というメッセージ内容であるといったことを予め決めておく。
また、上記通信ネットワークを介して配信情報やメールを受信する機能は、ネイルアートプリンタ8が備えてもよい。
また、ネイルシート1に、外部の通信ネットワークを介して、画像データを含む配信情報やメール等を受信するアンテナや受信回路等からなる受信手段を設けてもよい。この場合、ネイルシート1は、受信した画像データに基づいて画像書換信号を生成し、その画像書換信号を用いて表示画像を書き換える。前記ネイルシート1の受信手段が外部の通信ネットワークを介して受信するものは、画像データに基づいて生成した画像書換信号であってもよい。また、前記受信手段による受信動作やネイルシート1での画像の書換処理に必要な電力は、電磁誘導等によってネイルアートプリンタ8又は他の装置から供給することができる。また、前記受信手段による受信動作やネイルシート1での画像の書換処理に用いる電力は、ネイルシート1に設けた太陽電池などの発電部から供給してもよい。
【0047】
なお、ネイルシート1に形成するネイルアートの画像として、上記ランダムに画像を選択する場合において、同日もしくは所定の期間内では、利用者のネイルシート1に同じ画像を重複して書き換えないようにしてもよい。
【0048】
図16は、ネイルアートプリンタ8が、所定の期間内で利用者のネイルシート1に同じ画像を重複して書き換えないように制御する一例のフローチャートである。図16において、利用者がランダムに選択されるネイルアート画像の形成を選択すると(ステップS1)、ネイルアートプリンタ8はランダムに画像を選択する(ステップS2)。次に、ネイルアートプリンタ8はネイルシート1から爪IDを取得する(ステップS3)。ランダムに選択された画像データに付与された画像デザインIDと爪IDとの組合せが、例えば、過去2週間以内にあったか否かを、メモリ84に記憶されている書き換え履歴から検索する(ステップS4)。過去2週間以内に、今回の画像デザインIDと爪IDとの同じ組合せがあった場合には(ステップS4でYes)、再度他の画像をランダムに選択し、ステップ4に戻る(ステップS5)。一方、過去2週間以内に、今回の画像デザインIDと爪IDとの同じ組合せがなかった場合には(ステップS4でNo)、その画像データをネイルシート1に送信し(ステップ6)、ネイルシート1のネイルアートの画像を書き換える(ステップS7)。
【0049】
なお、上記画像の重複書き換えをしない期間は、上記2週間以内に限られるものではなく、2週間より長くても、短くてもよい。また、利用者がその期間を自由に設定できるように構成してもよい。
【0050】
以上、本実施形態によれば、インクを用いた場合とは異なり画像書き換え前のインク除去や画像書き換え後の乾燥処理が不要で、しかも画像を容易に書き換えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ネイルシート
2 防水コーティング層
3 コレステリック液晶
4 アンテナ
5 ベースシート
6 ICチップ
7 粘着剤層
8 ネイルアートプリンタ
9 携帯電話通信網
10 ネイルアート画像配信サーバ
11 携帯通信端末
81a 凹部
89 画像表示パネル
801 カメラ
802 画像分析部
803 ネイルアート画像マッチング部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2001−002531号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪装飾シートであって、
爪の表面形状に合わせて成形された可撓性の電子ペーパー層と、前記電子ペーパー層の表示面とは反対側の裏面に設けられた、爪に取り付けるための爪取り付け部と、を備え、
前記電子ペーパー層の表示面を構成する複数の画素それぞれに画像書き換え用の電位を付与することにより前記電子ペーパー層で表示される画像を書き換え可能に構成されたことを特徴とする爪装飾シート。
【請求項2】
請求項1の爪装飾シートにおいて、
前記電子ペーパー層は、前記爪取り付け部側のベース電極層と前記表示面側の透明の画素電極層とを備え、
画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記画像データ又は前記画像書き換え信号に基づいて、前記画素電極層の各画素に前記画像書き換え用の電位を付与する電位付与手段と、を更に備えたことを特徴とする爪装飾シート。
【請求項3】
請求項1又は2の爪装飾シートにおいて、
表面に防水コーティング層を備えたことを特徴とする爪装飾シート。
【請求項4】
請求項1、2又は3の爪装飾シートを爪に取り付けた状態で前記爪装飾シートの表面に表示される画像を書き換える画像書換装置であって、
近距離無線通信により、画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を前記爪装飾シートに送信する送信手段を、更に備えたことを特徴とする画像書換装置。
【請求項5】
請求項4の画像書換装置において、
カレンダーの日付情報に関連した画像の画像データを記憶する画像データ記憶手段を更に備え、
前記送信手段は、現在の日付に関連した画像の画像データを読み出し、該画像データ、又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を、前記爪装飾シートに送信することを特徴とする画像書換装置。
【請求項6】
請求項4又は5の画像書換装置において、
利用者の外観の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された利用者の外観の画像に基づいて、前記利用者の服装の色合い、明暗及び濃淡の少なくとも一つを分析する画像分析手段と、
前記画像分析手段の分析結果に基づいて、前記利用者の外観にマッチングする爪装飾シートの画像を決定する画像決定手段と、を更に備え、
前記送信手段は、前記画像決定手段で決定した画像の画像データを前記爪装飾シートに送信することを特徴とする画像書換装置。
【請求項7】
請求項4、5又は6の画像書換装置において、
前記送信手段は、前記画像の画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書き換え信号を、その画像に書き換える爪の識別情報とともに、前記爪装飾シートに送信することを特徴とする画像書換装置。
【請求項8】
請求項4、5、6又は7の画像書換装置において、
前記爪装飾シートの表面に表示される画像の画像データを、その爪装飾シートが取り付けられている爪の形状及びサイズの少なくとも一方に合わせて変換する画像データ変換手段を、更に備え、
前記送信手段は、前記画像データ変換手段で変換した変換後の画像データを、その画像データに対応する爪装飾シートに送信することを特徴とする画像書換装置。
【請求項9】
請求項4、5、6、7又は8の画像書換装置において、
外部の通信ネットワークを介して配信情報又はメールを受信する受信手段を、更に備え、
前記送信手段は、前記受信手段で受信した配信情報又はメールに含まれている画像データ又は該画像データに基づいて生成された画像書換信号を、近距離無線通信により、前記爪装飾シートに送信することを特徴とする画像書換装置。
【請求項10】
請求項4、5、6、7、8又は9の画像書換装置において、
有線又は無線の近距離通信により、外部の通信ネットワークに接続可能な通信端末装置から、前記画像データ又は前記画像書き換え信号を受信する受信手段を、更に備えたことを特徴とする画像書換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−20035(P2012−20035A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161376(P2010−161376)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】