説明

片足脚立及び移動集塵機

【課題】片足脚立、及びこれを取り付けた鉄道車両用の移動集塵機を提供する。
【解決手段】鉄道車両の移動集塵機12の進行方向側の側面に配設された片持ち支持された片足脚立10であって、前記移動集塵機12の側面12aと、固定端14aが水平方向を回転軸とするピン結合により接続された天板14と、水平方向を回転軸として前記固定端14aの反対側の自由端14bにピン結合により接続された梯子16と、を有し、前記天板14及び前記梯子16は、前記進行方向側に展開可能で前記側面12a側に折り畳み可能である。そして、前記天板14には、前記天板14の自由端14b側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段18が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は片足脚立と、これを取り付けた鉄道車両用の移動集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の点検及び修理などを行う車両整備場において、鉄道車両の床下のモータ、ジェネレータ、抵抗器、制御機器などの機械類に付着した塵埃をエアガンを用いて圧縮空気を気吹いて落とす気吹き清掃作業が行われる。通常、発生した塵埃を集塵するために、鉄道車両の長手方向と平行に移動して気吹き箇所の塵埃を集塵する移動集塵機が用いられる(特許文献1参照)。そして、上述の床下の清掃作業のみならず、客車内部の清掃も行う場合には、脚立を現場に運び込み、客車のドア脇に設置する必要がある。
【特許文献1】特開平11−222104
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、車両整備場においては、脚立の展開・折り畳みは容易ではなく、使用中の脚立が移動集塵機以外の他の移動機器に衝突しうる。また脚立を使用した作業者の片付け忘れ等が発生した場合は、他の移動機器のみならず移動集塵機にも衝突しうるため車両整備場における作業の危険性が増大することになる。そこで本発明は、展開・折り畳みを容易にし、車両整備場の危険を回避可能な鉄道車両の片足脚立及び鉄道車両用の移動集塵機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明に係る片足脚立は、第1には、駆動する移動体の進行方向側の側面に片持ち支持で配設された片足脚立であって、前記移動体の側面と、固定端が水平方向に回転軸を有するピン結合により接続された天板と、水平方向を回転軸として前記固定端の反対側の自由端にピン結合により接続された梯子と、を有し、前記天板及び前記梯子は、前記進行方向側に展開可能で前記側面側に折り畳み可能であることを特徴としている。
【0005】
第2には、前記天板には、前記天板の自由端側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴としている。
第3には、前記移動集塵機の側面には前記梯子を係止する係止手段を有することを特徴としている。
【0006】
第4には、前記係止手段には、前記梯子と当接可能で、前記当接時に前記移動体の駆動制限を解除するインターロックが設けられていることを特徴としている。
【0007】
また本発明に係る鉄道車両用の移動体集塵機は、前記片足脚立を、進行方向の側面に取り付け、前記側面の上部には水平旋回可能な手すりが設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る片足脚立及び鉄道車両用の移動集塵機によれば、片足脚立と移動集塵機と一体となっているため、移動集塵機と衝突することはない。そして、移動集塵機の進行方向側の側面に配設されているため、移動集塵機の鉄道車両の反対側にはみ出ることはなく、他の移動機器と衝突することを回避することができる。また天板には、天板の自由端側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段が設けられているため、簡単に展開・折り畳みが可能となり、作業効率が向上する。そして移動集塵機の側面に設けられた係止手段により、片足脚立が不意に展開することに伴う事故を防止できるとともに、前記係止手段に設けられたインターロックにより、片足脚立が展開中の移動集塵機の移動を防止して、不意の事故を防止することができる。さらに前記移動集塵機の側面上部に水平旋回可能な手すりを設けることで、移動中は移動集塵機の側面に片足脚立とともに折り畳み可能で、片足脚立の展開を防止し、停止中は天板脇に固定することにより、片足脚立に昇った作業者の落下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0010】
本実施形態に係る片足脚立及び鉄道車両用の移動集塵機を図1に示す。図1(a)は片足脚立の右側面図、図1(b)は正面図、図1(c)は左側面図である。本実施形態に係る片足脚立10は、移動集塵機12の進行方向側の側面12aに配設された片持ち支持され、前記移動集塵機の側面12aと、固定端が水平方向を回転軸とするピン結合により接続された天板14と、水平方向を回転軸として前記固定端の反対側の自由端にピン結合により接続された梯子16と、を有し、前記天板14及び前記梯子16は、前記進行方向側に展開可能で前記側面12a側に折り畳み可能な構成である。
【0011】
移動集塵機12は車両整備場内部にまで敷設されたレールに乗って搬入された鉄道車両の両脇において、鉄道車両の長手方向に移動可能な集塵機であって、通常一本の鉄道車両に対して複数台用いられる。移動集塵機12の鉄道車両側(内側)は移動集塵機12の吸引孔(不図示)があり、鉄道車両下部における気吹き清掃作業によって発生する塵埃を含む空気は移動集塵機12の内側に形成された吸引孔(不図示)からファン等の吸引手段(不図示)により吸引される。吸引された塵埃を含む空気はフィルタ手段(不図示)を通過して塵埃が除去されたのち、上方に排出される。移動集塵機12の内側の反対側(外側)の面には下端がピン結合された矩形の平板状の作業台12bが配設されている。作業台12bは移動集塵機の移動中において移動集塵機12側に折り畳まれ、清掃作業中は展開して鉄道車両に付属する小さな部品の清掃を行う台として利用できる。
【0012】
片足脚立10は移動集塵機12の進行方向側の側面12aに配設されるものであり、天板14と梯子16によって構成される。天板14は、その固定端14aが移動集塵機12の進行方向側の側面12aにピン結合により接続される。天板の高さは鉄道車両のドアの下端と同程度の高さにするか、通常の階段の1ステップ分(20cm)程度低い高さにすることが望ましい。これにより天板14を移動集塵機12の側面から展開した場合に、作業者は鉄道車両内部に容易に出入することができる。またピン結合は水平方向を中心軸としている(以下に説明する他のピン結合も同様)。これにより天板14はピン結合位置を中心として上下方向に回動することができる。
【0013】
さらに天板14はその中央部で固定端14a側と自由端14b側とに分割されている。そして、分割位置において、固定端14a側と自由端14b側はピン結合部14eによりピン結合している。よって自由端14b側はピン結合部14eを回転軸として回動自在となっている。
【0014】
片足脚立10の折り畳み時において、天板14はピン結合部14eを頂点として山折りの状態となっている。一方、展開時において、天板14は同一平面を形成する一枚の板となる。このとき、固定端14a側の端面と自由端14b側の端面とが互いに当接し、固定端14a側と自由端14b側とを合わせた一枚の板としての剛性を得ることができる。これにより天板14の展開時に作業者が天板14の上に乗ることができる。
【0015】
なお、天板14は一定の剛性を有し、後述の付勢手段18に抵抗しうるある程度の重量を有するものがよく、例えば鉄板等が適切である。
また天板14には前記天板14の固定端14aの反対側である自由端14b側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段18が配設されている。付勢手段18は、長手方向に弾性的に伸縮可能な棒状のものを用いる(図2参照)。例えば図1に示すガススプリングのように、シリンダ18aとロッド18bからなる構成で、シリンダ18a内にガスを充填させ、ロッド18bをシリンダ18aから繰り出す方向に付勢させる。これにより付勢手段18は長手方向に伸びる方向に付勢される(図2のロッド18b参照)。そして付勢手段18の一端は側面12aの固定端14aより下の位置に配設されたピン結合部12cとピン結合され、他端は天板14の側面に配設されたピン結合部14dとピン結合されている。よって付勢手段18は、各ピン結合部分を回転軸として回動自在となっている。なお付勢手段18は天板14の両サイドに配設されている(図1(c)参照)。
【0016】
また、このような配置で付勢手段18を取り付けると、天板14の展開時(図2(d)参照)は付勢手段18の長手方向の長さ(ロッド18bの繰り出された長さ)は短くなり、逆に折り畳み時(図2(a))には長くなる。よって、付勢手段18は、天板14の後述のピン結合部14e側を持ち上げる方向、すなわち天板14を折り畳む方向に付勢することができる。なお、ガススプリング以外にも、ばね、ゴム等を用いることがきる。さらに、ピン結合部12cを固定端14aより上の位置に配設し、付勢手段18は長手方向で縮む方向に付勢するように配設しても良い。
【0017】
付勢手段18の付勢の強度は、回転軸である天板14の固定端14aに対して、天板14及び梯子16を展開したときに掛かるトルク(このときトルクは最大)と、天板14及び梯子16を側面12a側に寄せたときに掛かるトルク(このときトルクは最小)との中間の大きさのトルクを反対方向に与える程度であればよい。これにより、片足脚立10の展開時に付勢手段18により自動的に折り畳まれることを防ぎ、また側面12aへ折り畳まれたときに天板14及び梯子16の自重により展開することを防止することができる。このように付勢手段18の付勢の強度を設定することにより、作業者の天板14及び梯子16を持ち上げる負担を軽減しつつ、片足脚立10の展開・折り畳みを確実に行うことができる。
【0018】
梯子16は、その上端16aが天板の自由端14bにピン結合により接続されている。梯子16の長さは床面26から天板14の固定端14aの移動集塵機12の取り付け位置までの高さより大きい寸法であり、展開時の梯子16が一定の傾斜角を形成するとともに展開時の天板14が水平となるように設計する必要がある。また梯子16の上部の側面には回動自在でピン結合され、一定の剛性を有するつっかえ棒16cが配設されている。つっかえ棒16c先端にはフック16dが形成され、天板14側面に形成された係止部14cに係止することができる。よってフック16dを係止部14cに係止させると、天板14、梯子16、つっかえ棒16aで剛性を有する三角形を形成するため、梯子16は天板14に対して一定角度で固定可能となる。なお、つっかえ棒16cは天板14側でピン結合して梯子16側に係止部(不図示)を設け、つっかえ棒16a先端のフック16dを係止部(不図示)に係止させても良い。また梯子16において等間隔に並べられた複数の踏み板16eは、前記一定の傾斜角を考慮して、天板及び梯子の展開時に踏み板16eの上面が真上に向くように設計する。なお、梯子は一定の剛性を有し、軽量のものが良く、例えばアルミ等の軽金属が適切である。
【0019】
本実施形態において、移動集塵機12の側面12aに前記梯子16を係止する係止手段20を有している。図1に示すように係止手段20は、移動集塵機12の進行方向側の側面12aの下部の形成された張出部20aと、張出部の上面に形成された窪み20bから構成される。張出部20aの上面の高さは片足脚立10を折り畳み時の梯子16の下端16bよりも高い位置に設計されている。さらに窪み20bはその断面形状が梯子16の下端16bの断面形状に倣った形状かそれより大きな寸法を有していればよい。ここで、梯子16の下端16bを構造的に窪み20bに挿入可能とするために、天板14は上述のように山折にすることができる。これにより片足脚立10を折り畳む際に、天板14を山折にすることで、梯子16の下端16bを窪み20bに差し込んで梯子16を係止することができ、梯子16が不意に展開することが防止できる。
【0020】
本実施形態において、係止手段20は、梯子16と当接可能で、前記当接時に移動集塵機12を移動可能とするインターロック22が設けられている構成である。インターロック22は移動集塵機12を移動させる動力を発生させるアクチュエータ等への電力の供給を遮断する機械的なスイッチである。インターロック22に梯子16が当接していない場合は電力を供給する回路をOPENにして遮断させ、当接している場合にはCLOSEにして導通させる。よってインターロック22は窪み20bの底部または側面の梯子16の下端16bが当接可能な位置に配設すればよい。これにより梯子16がインターロック22と当接せず、不意に梯子が開放した場合において移動集塵機12の移動を防止することができる。
【0021】
移動集塵機12の側面12a上部には水平旋回可能な手すり24が設けられている。手すり24は移動集塵機12の側面12aの鉄道車両側の反対側(外側)に接続された張出部24aと、前記張出部24aの端部に垂直方向を回転軸としてピン結合された固定端を有する手すり部24bとから構成される。張出部24aは前記外側であって折り畳まれた天板14と当接しない位置に接続される。張出部24aの張り出しの長さは、天板14及び梯子16を折り畳んだときの移動集塵機12の側面12aからの張り出しの長さに相当する。これにより天板14及び梯子16を折り畳んだのち、手すり部24bと移動集塵機12の側面12bとが畳み込まれた天板14及び梯子16を囲むようにして、手すり部24bが移動集塵機12の側面12aに折り畳むことができ、手すり部24bを90度以上旋回させて展開すると天板14の展開時に、手すり部24bが天板14と干渉することはない。また張出部24を前記外側に接続することにより、前記外側に手すり部24bを展開して配置可能となるので、作業者の前記外側からの転落を防止することができる。また手すり部24b下部には展開固定フック(不図示)を設け、展開時の天板14の係止部(不図示)に係止させて手すり部24bを固定できるようにすれば良い。さらに手すり部24bの自由端側にも折り畳み固定フック(不図示)を設け、片足脚立10の折り畳み時に手すり24を折り畳み、移動集塵機12の係止部(不図示)に係止させて手すり部24bを固定できるようにすれば良い。これにより手すり部24bは展開時においては天板14に固定され、折り畳み時には移動集塵機12に固定される。
【0022】
以上の構成のもと本実施形態に係る片足脚立10及び移動集塵機12の動作を図2に基づいて説明する。まず移動集塵機12を鉄道車両脇の所定位置まで移動させる。このとき片足脚立10、手すり部24bは折り畳まれ、インターロック22は梯子16の下端16bと当接してCLOSEとなっている(図2(a))。そして移動集塵機12を所定位置で停止させ、移動集塵機12を用いて車両下部の集塵作業を行うとともに、車内整備を行うため片足脚立10を展開する。まず手すり部24b自由端側にある折り畳み固定フック(不図示)を解除し、手すり部24bを90度旋回させて展開する。そして梯子16を垂直方向に持ち上げる(図2(b))。このとき、天板14の固定端14a側は回動していない。一方、天板の自由端14b側はピン結合部14eを回転軸として持ち上がり、天板14の自由端14bにピン結合した梯子16はほぼ垂直方向に持ち上がる。そして、梯子16の下端16bはインターロック22と離間するためインターロック22はOPENとなり、移動集塵機12の移動は制限される。
【0023】
次に梯子16を移動集塵機12の側面12aから離れる方向に引っ張り(図2(c))、梯子16の下端16bを床面26に当接させる(図2(d))。すると天板14の固定端14a側は付勢手段18により持ち上がる方向に付勢されつつも、天板14及び梯子16が固定端14aに与えるトルクが付勢手段18が固定端14aに与えるトルクより強くなるため、固定端14aを回転軸として天板14の固定端14a側が水平となる方向に倒される。一方、自由端14b側はピン結合部14eを回転軸とし天板14を広げる方向に回動し、固定端14a側と自由端14b側の端面が互いに当接するため天板14は全体で一定の剛性を確保しつつ固定端14a側と自由端14b側による同一平面を形成する。このとき天板14は水平となり、梯子16は床面26に対して傾斜して当接している。そして梯子16の側面に設けられたつっかえ棒16cを天板14側面に形成された係止部14cに係止し、梯子16を天板14に対して固定する(図2(d))。これにより天板14と梯子16からなる結合体は、天板14の固定端14aと梯子16の下端16bによって保持され、天板14と梯子16との間で一定の剛性を獲得しているので作業者は梯子16を上り天板14の上に乗ることができる。そして手すり部24bを天板14の展開方向と平行となるように手すり部24b下端にある展開固定フック(不図示)を天板14に係止することにより、手すり部24bは移動集塵機12の側面12aの外側において天板14に対して固定され、作業者が天板14から転落することを防止することができる。なお、前記外側の反対側である内側(鉄道車両側)は、鉄道車両のドアに近接しているため作業者が転落することはない。
【0024】
次に、片足脚立10を折り畳む場合は、展開固定フック(不図示)を解除して手すり部24bを展開した状態を維持し、梯子16の側面の設けられたつっかえ棒16cの係止を解除する。そして梯子16を持ち上げると、天板14の固定端14aが付勢手段18の付勢方向である天板14を持ち上げる方向に回動する(図2(c))。そして梯子16を天板14とともに移動集塵機12の側面12a側に寄せる(図2(b))。このとき、天板14の自由端14b側は固定端14a側に対して山折の状態となる。さらに天板14及び梯子16が固定端14a側に与えるトルクは、天板14及び梯子16を側面12a側に寄せるほど小さくなる。よって、ある位置において付勢手段18が固定端14aに与えるトルクより小さくなるので、天板及び梯子16は側面12a側に引き寄せられる。
天板14及び梯子16を側面12a側に引き寄せたのち梯子16の下端16bを窪み20bに差し込むことで、天板14と梯子16の折り畳みが終了とするとともにインターロック22がCLOSEとなり移動集塵機12の移動が可能となる(図2(a))。最後に手すり部24bの折り畳み固定フック(不図示)を移動集塵機12の係止部(不図示)に係止させることにより片足脚立10の折り畳みは終了する(図2(a))。
【0025】
このように、片足脚立10は付勢手段18のサポートにより、展開・折り畳みの作業負担を軽減させ、インターロック22により片足脚立10の展開時の移動集塵機12の移動を制限している。
【0026】
従って、本実施形態に係る片足脚立10及び移動集塵機12によれば、片足脚立10と移動集塵機12と一体となっているため、互いに衝突することはない。そして、移動集塵機12の進行方向側の側面12bに配設されているため、移動集塵機12の鉄道車両の反対側にはみ出ることはなく、他の移動機器と衝突することを回避することができる。また天板14には、天板14の自由端14b側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段18が設けられているため、片手で簡単に展開・折り畳みが可能となり、作業効率が向上する。そして移動集塵機12の側面12aに設けられた係止手段20により、片足脚立10が不意に展開することに伴う事故を防止できるとともに、前記係止手段20に設けられたインターロック22により、片足脚立10が展開中の移動集塵機の移動を防止して、不意の事故を防止することができる。さらに前記移動集塵機10の側面12a上部に水平旋回可能な手すり24を設けることで、移動中は移動集塵機12の側面12aに天板14及び梯子16とともに折り畳み可能で、片足脚立10の展開を防止し、停止中は天板14脇に配置可能であるので、片足脚立10に昇った作業者の転落を防止することができる。
【0027】
本実施形態において、手すり24には手すり部24bが自動的に折り畳む方向に付勢する第2付勢手段(不図示)を設けても良い。これにより天板14及び梯子16を折り畳んだときに自動的に手すり部24bが移動集塵機12の側面12あに折り畳まれる。または手すり部24bの回転軸の上端を移動集塵機12の側面12a側にわずかに傾斜させ、手すり部24aに90度程度で水平旋回を制限するストッパ(不図示)を設けても良い。これにより作業者が手すり部24bをわずかに折り畳む方向に押すだけで、重力により手すり部24bは移動集塵機の側面に折り畳まれる。
【0028】
またインターロック22は係止手段20の窪み20bに配設せず、手すり部24bの自由端に配設された折り畳み固定フック(不図示)と、前記折り畳みフック(不図示)が係止される移動集塵機側の係止部(不図示)との当接面に配置してもよい。
【0029】
また本実施形態において、付勢手段18は、固定端14aの回転軸と一体化させ、ねじれの力に対する反力を形成させ、天板14の自由端14b側を持ち上げる方向に付勢するものであっても良い。例えばねじりスプリングのスプリング部分に挿通された案内棒を回転軸とし、ねじりスプリングからのびた脚の一方を天板14側、他方を側面12a側に固定し、ねじりスプリングの反力が天板の自由端14b側を持ち上げる方向に付勢できるように配設すればよい。しかし、付勢手段18は上述の形態ように回転軸と分離しているものの方が故障時において交換しやすい。本実施形態において片足脚立10は、鉄道車両用の移動集塵機12に取り付けることを前提に述べてきたが、これに限定されず、整備工場や倉庫などで用いられる作業車や、緊急車両等の移動体にも適用でき、さらに移動体に限らず、固定設備にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
車両整備場における車両の清掃作業において、作業効率や安全性を考慮した移動集塵装置用脚立および移動集塵機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の片足脚立及び移動集塵機の概略図である。
【図2】本実施形態の片足脚立の動作を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
10………片足脚立、12………移動集塵機、14………天板、14a………固定端、14b………自由端、14c………係止部、14d………ピン結合部、14e………ピン結合部、16………梯子、16a………上端、16b………下端、16c………つっかえ棒、16d………フック、16e………踏み板、18………付勢手段、20………係止手段、20a………張出部、20b………窪み、22………インターロック、24………手すり、24a………張出部、24b………手すり部、26………床面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の進行方向側の側面に片持ち支持で配設された片足脚立であって、
前記側面に固定端が水平方向に回転軸を持つピン結合により接続された天板と、
水平方向を回転軸として前記天板の前記固定端の反対側の自由端にピン結合により接続された梯子と、を有し、
前記天板及び前記梯子は、前記側面から離れる方向に展開可能で前記側面側に折り畳み可能であることを特徴とする片足脚立。
【請求項2】
前記天板には、前記天板の自由端側を持ち上げる方向に付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の片足脚立。
【請求項3】
前記移動体の側面には前記梯子を係止する係止手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の片足脚立。
【請求項4】
前記係止手段には、前記梯子と当接可能で、前記当接時に前記移動体の駆動制限を解除するインターロックが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項
に記載の片足脚立。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の片足脚立を、進行方向の側面に取り付け、前記側面の上部には水平旋回可能な手すりが設けられていることを特徴とする鉄道車両用の移動集塵機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−264062(P2009−264062A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117599(P2008−117599)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】