説明

物体の表面処理のための方法、ワイヤローラー及びその用途

【課題】物体の表面処理を改善する方法、ワイヤローラー及びその用途を提供する。
【解決手段】本発明によれば、方法は物体(7)の表面処理に使用され、ワイヤローラー(15)を物体7に接触させ、打撃或いはハンマー衝撃を与える。ワイヤローラー(15)は部分的に回転し(8)、部分的に旋回し(12)、コンベヤベルト(11)上の物体(7)を横断して部分的に移動する。これにより、酸化層を含む表面被覆物の効果的で全く一様な処理(打ち落とし、クリーニング)を研磨或いは切断処理ではなく単に衝撃圧力により確保する。回転するワイヤローラー(15)としては、衝撃時に若干後方に跳ね返り、そうでないときは遠心力と、ワイヤ端部と隣りのステー(4)との係合とにより、同じ位置に留まることができるようにステー(4)に装着されるワイヤー要素(1,2,3)から構成されるローラーを有利に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の回転するワイヤローラー上のワイヤにより促進処理される目的で、コンベヤベルト上に好ましく配置される物体の表面処理のための方法と該方法を実施するためのワイヤローラー、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の表面処理は、色々な方法や様々なツールにより実施されている。物体を切断処理する場合、被覆物及び物体の一部の両者を除去することにより表面をクリーンにするために、研磨或いは擦り落とし工具を使用する必要がある。
【0003】
しかしながら、これにより有用な材料が多かれ少なかれ除去され、また材料の形状及び種類により除去が異なるリスクもある。
【0004】
切断処理のこれらの欠点を回避するため、プラスチックまたは金属の複数のワイヤを有するローラーを用いて、表面を磨くことが知られている。これらのワイヤは剛毛として働くが、酸化層などの固着した堆積物を限られた範囲で除去することができるだけである。
【0005】
また、DE102004029204号公報、US3958294号公報及びGB1537440号公報にはワイヤローラーが開示されており、それらの全ては、1本のワイヤに設けたワイヤ輪部がその上で回転可能な複数のステーから構成され、回転時にワイヤが回転して遠心力により物体の表面に接触するようになっている。
【0006】
物体を処理するワイヤの自由部分は、処理中に回転できるようになっている点はこれら公知のツールに共通しており、物体を打った際に逆回転する。これは、発生するワイヤの逆回転及びワイヤ自体の弾性に依存する異なる衝撃圧力に物体が曝されることを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、表面処理を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
表面処理の改善は、本発明によれば、各ワイヤローラーを旋回する旋回軸から径方向に延在するシャフトの周りに回転させ、旋回軸及びワイヤローラーを同時にコンベヤベルトに対して横方向に移動させ、物体をワイヤローラー上のワイヤからの一定な衝撃圧力で全ての側から処理する方法を用いることにより達成される。
【発明の効果】
【0009】
方法は、この驚くほど簡単なやり方で、軟らかいシェルなどの不均一に配された被覆物、及び酸化層や塗料の層、バリなどの固着した滑らかな被覆物の両者を除去できる全く一様の衝撃をもたらす。
【0010】
被覆物の除去とは別に、物体は損傷なしに除去された状態で残されるので、方法は物体に全く影響を及ぼさない。従って、保護シートを損傷することなく、「inox」のバリ取りをすることができる。更に、亜鉛層の除去や損傷なしに亜鉛メッキした物体のバリ取りをすることができる。
【0011】
述べるように、ワイヤローラーが行う回転、旋回運動及び横断運動からなる組み合わせた動きの間、通過により全く一様の処理が行われるように物体が処理されるので、処理は全く均一であり、これは特に方法がバリ取りに用いられる場合に極めて重要である。
【0012】
請求項2に記載するように、バネワイヤを使用する場合、ワイヤが物体を打った際に所望の衝撃圧力を引き起こす慣性のために効果が大きい。
【0013】
請求項3に記載するように、中心の周りに回転方向前方に曲がるようにワイヤが湾曲している場合、有利な衝撃角度を実現し、それにより最大衝撃圧力を達成する。ワイヤを巻いて輪部を形成する場合、ワイヤをローラーのステーに取り付けることができ、そして個々のワイヤ巻回部が巻回部間の摩擦によりワイヤに有利な減衰を付与する。取り付け後、ワイヤの最後尾部分が付加的な慣性をもたらし、この慣性は隣接するステーを押圧するワイヤ延長部と同様にワイヤにも影響を及ぼす遠心力のために、改善された衝撃圧力と処理するワイヤ部分の良好な据え付け位置も生じさせる。
【0014】
従って、ワイヤの延長部は回転中にワイヤが後方に移動するのを防ぎ、それにより衝撃圧力の効果を増加させる。
【0015】
請求項4に記載するように、この方法を表面被覆物を除去するために適用する場合、効果的で極めて良好な処理が達成される。
【0016】
請求項5に記載するように、方法を接着を改善するために適用する場合、一様の接着特性を有する一様に処理された表面を確保する。
【0017】
最後に、請求項6に記載するように、方法を金属の物体の衝撃硬化、ひずみ硬化に適用するのが有利であり、それにより使用時の抵抗力が増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の方法を図1を参照しながら以下に説明する。図1は、複数の物体7の表面処理の原理を示す。物体7は金属またはプラスチックの物体であることができ、それらは表面の除去がなされ、バリ取りが行われ、表面が硬化され、あるいは別の方法でワイヤにより付与される衝撃圧力に曝されるものである。
【0019】
物体7は、好ましくはコンベヤベルト11上に配列するのがよい。コンベヤベルト11は、磁気ベルトやバキュームベルトであることができる。
【0020】
物体7は、複数のワイヤローラー15の下側で内側に移動する。ワイヤローラー15は例示では6個設けられている。各ローラー15は、回転するシャフト6に取り付けられている。好ましくは、矢印8で示すように、隣接するワイヤローラー15が逆方向に回転するようにするのがよい。
【0021】
径方向に配設されたローラー15は、矢印12で示すように、垂直軸13の周りに旋回する旋回ヘッドに取り付けられている。
【0022】
最後に、ローラーを備えた旋回ヘッドは、図の下側の矢印14で示すように、物体11を備えたベルト11を横断して移動する。
【0023】
従って、物体7の処理は3つの動きの組み合わせである。つまり、個々のワイヤローラー15の部分的な旋回運動、ワイヤローラー11を備えたシャフト6の部分的な回転運動、そして最後にコンベヤベルト11に対する装置の往復運動である。
【0024】
これによりエッジ及び表面と同様に側面に対しても全ての物体15の均等で一様な処理が確保される。これらは、同じ或いは異なる度合いで延在していても構わない。
【0025】
これから本発明のワイヤローラーについて説明する。
【0026】
図2,3に示すように、ワイヤローラー15は、複数のステー4間の複数のフランジ5をベースに構成され、ステー4は互いに平行に延在して取り付けられている。図3に示すように、前記ステーはフランジ5の周囲に等間隔で配置されている。
【0027】
複数のワイヤ要素がこれらステー4上にはめ込まれている。前記ワイヤ要素は一様に曲げられており、後述するように、物体を処理する1つのワイヤ1を形成するように形状が決められている。
【0028】
図3は、ワイヤ要素の実際の形状を示し、ワイヤを曲げて、ステー4がその中を通って延在できる輪部2を形成している。ワイヤ要素はこのステーの周りに旋回可能となるようにしている。
【0029】
ワイヤの自由端部1は、図3に示すように、回転8の方向において前方を指すように湾曲している。
【0030】
輪部2後のワイヤの反対側端部は、図3に示すように、輪部2間に延在し、隣接するステー4に係合する端部3として構成されている。これにより、ローラーがその中心軸6の周りに回転している間、ワイヤ要素1,2,3が適正な位置となることを確実にする。
【0031】
ワイヤ要素を図4に示す。図4は物体7を打つ前のワイヤの位置を示している。
【0032】
ローラーが矢印8の方向に回転すると同時に、ローラーが物体の周りに旋回する12、及び/または物体7をローラーの下側を、例えばバキュームベルト11上を移動させる。
【0033】
ワイヤ端部1が物体に当たると、隣接するステー4にワイヤ3の最後尾部分が係合するので、示される位置にワイヤ1が固定されるため、一定の力で当たり、打撃が物体に付与される。
【0034】
耐摩耗性があり、適当な弾性を有するバネワイヤを使用するのが有利であるが、プラスチックワイヤなど他の材料を使用してもよい。
【0035】
ワイヤの直径は、例えは、2mm程度にすることができる。自由端部は例えば100mm程度、後端部3は例えば60mm程度にすることができる。相互の比が基本的にこれに対応していれば、他の寸法を採用してもよい。
【0036】
矢印9で示すようにワイヤが跳ね返ると同時に、ワイヤを矢印10で示すようにステー4の周りに短い距離随意移動させてもよい。
【0037】
この後すぐに、遠心力によりバネ要素が図4に示すようにスタート位置に戻り、それにより物体7に対して次の衝撃の時にワイヤが同じ位置になる。
【0038】
隣接するステー4により停止するので、図3,4に示すように、回転中全てのワイヤが同じ位置になるのを確実にする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は図面を参照して詳細に説明されるが、図面は以下の通りである。
【図1】上から見た、方法を実施するためのシステムを示す。
【図2】図3の方向II−IIから見た、ワイヤローラーの縦断面図を示す。
【図3】図2の方向III−IIIから見た、ワイヤローラーの横断面図を示す。
【図4】1本のワイヤと動作時の動きを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の回転するワイヤローラー上の複数のワイヤにより促進処理される目的で、コンベヤベルト上に好ましく配置される物体の表面処理方法であって、各ワイヤローラー(15)が旋回する(12)旋回軸(13)から径方向に延在するシャフト(5)の周りに回転し(8)、旋回軸(13)及びワイヤローラー(15)を同時にコンベヤベルトに対して横方向に移動させ、物体(7)をワイヤローラー(15)上のワイヤ(1)からの一定な衝撃圧力で全での側から処理することを特徴とする物体の表面処理方法。
【請求項2】
個々のワイヤ(1,2,3)が1本のバネワイヤからなることを特徴とする請求項1に記載の物体の表面処理方法。
【請求項3】
各ワイヤの自由端部(1)が湾曲し、かつローラー(5)上のステー(4)の周りに延在可能な輪部(2)と、後方に導かれたワイヤ端部(3)とを備え、該ワイヤ端部(3)はローラー(15)の回転(8)時にワイヤ(1)の作動位置でステー(4)に係合するように、隣接するステー(4)に向かう方向に延在し、それにより物体の処理中この位置が確保されることを特徴とする請求項2に記載のワイヤローラー。
【請求項4】
被覆物、酸化層などを物体の表面から取り除くために使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法の用途。
【請求項5】
任意の後の表面処理のために接着用の凹凸を発生させるのに使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法の用途。
【請求項6】
ひずみ硬化に使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法の用途。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−501645(P2009−501645A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521803(P2008−521803)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000237
【国際公開番号】WO2007/009456
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500185988)
【氏名又は名称原語表記】HH PATENT A/S
【Fターム(参考)】