説明

物体を洗浄するための方法及び組成物

本発明は、有機材料又は無機材料で作られた物体を洗浄する方法に関し、該方法においては、該当する材料を流体ナノ相体系の態様の組成物に接触させ、該組成物は、a)リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、b)界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)、c)アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、d)特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、e)必要に応じた1種又はそれ以上の補助的な物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料又は無機材料により作られた物体を洗浄するための方法に関する。具体的には、本発明は、汚れた物体又は洗浄される物体を、物体において気体又は気泡が発生するまで特定の組成物と接触させることを基にした方法に関する。さらに、本発明は、そのような組成物の使用、及び、その組成物を製造する方法の使用を包含する。
【背景技術】
【0002】
人類史の初期以降、数多くの方法や物質が、物体を洗浄するために開発されてきた。それらの多くは、石けん又は力学的媒体の使用に基づいている。近年における方法は、主に洗浄剤、界面活性剤、溶媒、熱、水圧、又は気圧の洗浄効果を利用している。
【0003】
異なる用途のための物体を洗浄できる様々な方法は、当業者に知られている。それら洗浄方法のほとんどは、具体的には溶媒や洗浄剤などの化学物質における可溶化効果、凝固効果、又は凝集効果に基づくか、又は、具体的には機械的力及び/又は熱的力といった物理的な作用において化学物質と多くの場合相互作用することに基づいている。
【0004】
一般的にこれらの洗浄方法は、環境を汚染して十分に機能しないか、又は、技術上若しくは装置上の条件において複雑な方法で製造され若しくは使用されるという問題点を有する。
【0005】
例えば、p−シメン、m−シメン、トリメチルベンゼン、又はエチルトルエン型などの芳香族炭化水素を利用した後に水蒸気蒸留を行い、生じた共沸混合物を揮発させる物体の洗浄方法が提案されている(特許文献1)。この方法がどのような大きさの物体にも使用できるわけではないという事実の他に、これらの組成物は、空気と爆発性の混合物を生じ、健康に有害であるという問題点を有する。
【0006】
特許文献2は、具体的には医療用の物体を洗浄する方法を提案しており、該方法においては、洗浄される物体は、加圧された脈動する洗浄液体と加圧された脈動する空気とを交互に受ける。斯かる方法も、大きさの点で非常に限定され、また、特定の機器と関連する一連の物体にのみ適用できる。
【0007】
特許文献3(特許文献4)は、具体的には、パーフルオロカーボン、炭化水素、及びシリコーン類などの非水溶媒を用いて電気部品を洗浄するための方法に関する。洗浄効果は、パーフルオロカーボンを水蒸気とともに取り扱うことにより発揮される。既に示した問題点は、この方法にも内在している。
【0008】
特許文献5に記載されている方法は、織物繊維を洗浄することを指向しており、該方法においては、織物繊維は、60℃から100℃近い温度の間に加熱されて、二酸化炭素を生成する炭酸塩及び酸の混合水溶液と、洗浄の効力を発揮する量の界面活性剤とに接触させられる。この方法の問題点は、織物繊維への使用に非常に限定され熱の形式で投入エネルギーを必要とし、また、異なる成分が混合されて用いられ使用前にだけ互いに分離されているということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第92/07058号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0638296 A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0496899 B1号明細書
【特許文献4】国際公開第92/03205号パンフレット
【特許文献5】国際公開第96/14382号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、従来技術の問題点を解決する物体の洗浄方法に対する要望が依然としてある。
【0011】
概して、本発明の課題は、従来技術にある問題点が取り除かれた物体の洗浄方法を提供することにある。
【0012】
従来技術の背景に対して、本発明の課題は、具体的には健康及び環境において影響が最小限であるという利点を有する物体の洗浄方法を示すことである。
【0013】
本発明のさらなる課題は、装置、生産技術、又はエネルギー生産において浪費することをも必要としない物体の洗浄方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の課題は、高い採算性によっても特徴付けられる物体の洗浄方法を開示することにある。
【0015】
さらに、本発明の課題は、単純で効果的であるということによっても推奨される物体の洗浄方法を提示することにある。
【0016】
本発明の他の課題は、適した媒体又は適した組成物の使用、また、物体の洗浄方法において上述した優れた特性をそれ自体が実現させる組成物を挙げることである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】液体体系においてナノ構造を検出するための緑色レーザービーム(Conrad Electronic社製、ドイツ、モデルNo.GLP-101、530-545 nm)の散乱であり、a)は、下記組成物における本発明の流体ナノ相体系であり、水57.00重量%; シュウ酸二水和物0.40重量%; アセト酢酸エチル13.95重量%; オレンジ油(シトラスダルシス)11.00重量%; C911アルコールエトキシレート(4)(Berol 260)8.85重量%; ドデシル硫酸ナトリウム8.80重量%; b)は、水55.28重量%; 1−メチル−2−ピロリドン3.47重量%; アセト酢酸エチル12.28重量%; オレンジ油(シトラスダルシス)11.35重量%; C911アルコールエトキシレート(4)(Berol 260)8.82重量%; ドデシル硫酸ナトリウム8.80重量%; c)は、水。示された重量%は、全組成物に対するものである。
【図2】図2は、凍結割断電子顕微鏡法の写真によって、本発明の流体ナノ相体系のナノ構造を示しており、組成物は、水相/水(55.28重量%); 油相/オレンジテルペン(11.35重量%); 界面活性剤/ドデシル硫酸ナトリウム(8.80重量%)、C9−C11アルコールエトキシレート(4)(8.82重量%); NP−MCA/ジアセトンアルコール(3.47重量%)、アセト酢酸エチル(12.28重量%)(全組成物に対する重量%で表示)である。比較的小さい球状の構造物は、約20〜50nmの大きさの水相のミセルであり、小さな油相の構造体内に分布している。
【図3】図3は、本発明の流体ナノ相体系における1相及び2相、及びラメラの存在範囲の経路を示す相図(魚図又はクジラ図)であり、界面活性剤の濃度と温度との関数として示されている。a)においては、組成物(水/オレンジテルペンPEG−7グリセリルココエート/Berol 260における水−オレンジテルペンの比が1であり、PEG−7グリセリルココエート/Berol 260界面活性剤混合物においてBerol 260が20重量%である)がマイクロエマルションとして示され、b)においては、さらに4重量%(全組成物に対する重量%で示されている)のNP−MCA(アセト酢酸エチル(EAA))を含む同様の組成物が流体ナノ相体系として示されている。洗浄剤が1相にて存在する範囲の温度範囲、ΔTが示されており、ΔTは、魚図において求められ、Lα領域に接し温度軸に平行な接線の長さによって決定されたものであり、該接線と洗浄剤の1相及び2相の存在範囲を分割する上側及び下側の線との交点によって限定されている。図3にて把握されるように、NP−MCAの存在によって、温度範囲ΔTが広がることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の概要
最初の側面において、上述された物体は、請求項1の事項によってもたらされ、それによって、有機材料又は無機材料で作られた物体の表面が下記のステップを有する方法を使用することにより有利に洗浄される。
A)有機材料又は無機材料で作られた物体を、下記の成分を含む流体ナノ相体系の態様の組成物に接触させる、
a)0.1〜90重量%の量であり、リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、
b)0.1〜80重量%の量であり、界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)、
c)0.1〜45重量%の量であり、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、
d)1.0〜90重量%の量であり、特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、
e)必要に応じて0.01〜10重量%の量であり、1種又はそれ以上の添加剤、(ただし、示された百分率はいずれの場合でも全組成物重量に対するものである)
B)気体又は気泡が物体面にて発生するまでステップA)の組成物を物体と接触させて放置する、
C)ステップA)の組成物を物体から取り除く、そして、
D)必要に応じて、ステップA及びB)により処理された物体をすすぐ且つ/又は乾燥する。
【0019】
さらなる側面においては、本発明が基礎とする目的は、それに応じて生じた気体又は気泡を使用することによって達成され、該気体又は気泡は、有機材料又は無機材料で作られた液体中の物体の表面を湿式洗浄するために使用される。
【0020】
本発明のさらなる側面は、本発明の水性組成物から生じる気体又は気泡を生成する方法にあり、該方法は、物体を洗浄するために有利に使用される。
【0021】
また、本発明のさらなる側面は、有機材料又は無機材料で作られた物体の表面を湿式洗浄するための気体又は気泡を生成させるべく、本発明の組成物を使用することである。
【0022】
加えて、本発明のさらなる側面は、有機材料又は無機材料で作られた物体の表面を湿式洗浄すべく、本発明の組成物から生じた気体又は気泡を使用することにあり、又は、気体又は気泡を生じさせるために本発明の方法を用いて生成される気体又は気泡を使用することにある。
【0023】
本発明のさらなる側面は、さらに、本発明の方法及び使用に適した組成物、及び、それに対応した媒体を提供することにある。
【0024】
別途明確に言及していない限り、%で示された量的なデータ又は百分率データは、いずれの場合でも組成物の全重量に対するものである。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、有機材料又は無機材料で作られた物体を洗浄する方法、特にその物体の表面を洗浄する方法を含み、下記のステップにより特徴付けられる。
A)有機材料又は無機材料で作られた物体を、下記の成分を含む流体ナノ相体系の態様の組成物に接触させる、
a)0.1〜90重量%の量であり、リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、
b)0.1〜80重量%の量であり、界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)、
c)0.1〜45重量%の量であり、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、
d)1.0〜90重量%の量であり、特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、
e)必要に応じて0.01〜10重量%の量であり、1種又はそれ以上の添加剤、(ただし、示された百分率はいずれの場合でも全組成物重量に対するものである)
B)気体又は気泡が物体面にて発生するまでステップA)の組成物を物体と接触させて放置する、
C)ステップA)の組成物を物体から取り除く、そして、
D)必要に応じて、ステップA及びB)により処理された物体をすすぐ且つ/又は乾燥する。
【0026】
実際に驚くべきことに、そのような組成物が気体又は気泡を生成できることが示され、これらの気体又は気泡は、汚れた表面において有利に生成する。
【0027】
これらの気体又は気泡が加熱することなく生成するため、これはいっそう驚くべきことであり、換言すると、0℃と55℃との間、好ましくは5℃と50との間、より好ましくは10℃と45との間、さらに好ましくは15℃と40との間、特に好ましくは20℃と35との間の周囲温度において、具体的には気体生成を促進する成分、引き起こす成分、又は引き起こすことを補助するさらなる成分を加えなくても、気体又は気泡が生成する。
【0028】
これは、従来技術から予測されるものではなかった。
【0029】
同様に驚くべきことに観察されたことは、洗浄剤のさらなる供給がなくとも、洗浄される物体面において本発明の組成物から生成される微細な気泡によって、それだけによるものでないにしても、洗浄の効果が主に引き起こされた点である。
【0030】
これにとらわれることなく、仮説が提案され、該仮説は、引き起こされる洗浄効果に関して本発明の組成物ナノ相流体が迅速に汚れに浸透するというものであり、その結果、この“迅速拡散”特性は、ナノ気泡が汚れ粒子の裏側で生じることを可能にする。汚れは、微細な気泡の体積がさらに増えることによって、物体から引き離されるか、又は、細孔から引き出される。気体又は気泡は、優先的には微視的に小さい凹凸、細孔や空洞、特に汚れた部分において不均一核形成により生成し得る。これにとらわれずさらに仮定されることは、以下の点であり、斯かる点は、本発明のナノ相構造組成物によって既に生成された微視的に小さい気泡は、小さい汚れ粒子の裏側に入り、体積がさらに増すことによって、洗浄される対象である物体から汚れを引き離すこともできるということである。確かに明らかなことに、汚れ粒子において作用するこれらの気泡により生じる(浮上)力は、汚れ粒子の重量と、付着力又は接着力との合計より大きい。
【0031】
たとえ現段階で単なる仮定であるとしても、そのような作用様式が洗浄効果においてはたらくのであれば、これも予測されるものではない。
【0032】
本発明における気体又は気泡は、主に二酸化炭素であることも見出され、その結果、本発明においては、CO2を含む気体が好ましい。しかしながら、これとは別に、例えば、水素、窒素、酸素、塩素、又は、硫化水素、酸化窒素、又は、アンモニアといった他の気体も生成され得るものであり、本発明において重要なものである。
【0033】
気体は、本発明の組成物に外部から有利に加えられ得るものであり、これは、好ましくは加圧下において行われる。そのような気体としては、例えば、水素、窒素、酸素、塩素、酸化窒素、アンモニア、トリクロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、1,1,2,−トリクロロ−1,2,2−トリトリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2,−テトラフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、又は、硫化水素、又は、これら気体の少なくとも1種を含む混合物が挙げられる。
【0034】
そのような気体は、既知の方法によって加えられ、例えば、密閉された容器に、室温(22℃)、2〜3気圧(2×105〜3×105Pa)にて加えられる。
【0035】
この点において、外部から加えられた気体をさらに含み、上記のごとく規定された本発明の組成物は、本発明の対象でもある。
【0036】
本発明が基にしている方法や組成物の利用は、健康及び環境に対する最小限の影響を主に示し、装置、生産技術、又はエネルギー生産において浪費することを必要とせず、単純で効果的な利用様式で高い採算性を示す。
【0037】
好ましい実施形態においては、流体ナノ相体系として存在している本発明の組成物は、例えば分子における親水性−親油性の釣り合いを有する界面活性補助剤のような、界面活性剤構造を有する少なくとも1種のさらなる両親媒性物質を含み得る。
【0038】
水、水に難溶性の物質(油)、界面活性剤、及び、必要に応じて界面活性補助剤を含み、多成分体系として自然発生的に形成され出現する多成分体系は、マイクロエマルションとして知られている。マイクロエマルションは、熱力学的に安定であり、少なくとも水又は水様液体(例えばグリコール)、油、及び界面活性剤で構成されたナノ構造流体である。マイクロエマルションは、界面活性補助剤を含むこともあり、(イオン性界面活性剤が用いられる場合は)必要に応じて塩をも含む。大抵のマイクロエマルション構造の大きさは、多くの場合、10及び200nmの間にある。動力学的に安定なエマルション又はナノエマルションと異なり、熱力学的に安定なマイクロエマルションは、粒子の合体によってクリーム状になりにくい。マイクロエマルションにおいては、一時的に形成された比較的大きい構造物が、その後しばしばより小さなミセルへ再び分解される。その結果、徹底的な混合をしなくとも、熱力学的な安定性によって自ずとマイクロエマルションが形成される。エマルションと異なり、マイクロエマルションにおいては、球状のミセルが生じるだけでなく、細長い形状のミセル(蠕虫状のミセル)や網状様構造の様々な形態も生じる。最も好ましい事例では、マイクロエマルションにおいて両連続構造がある。ここで、水相及び油相は、界面活性剤と必要に応じて界面活性補助剤とを含むスポンジ様界面を介して広がっている。
【0039】
いわゆるNP−MCA(ナノ相形成性混合鎖構造両親媒性物質)であり、親水−疎水構造と異なるか界面活性剤又は界面活性補助剤と一致しない少なくとも1種の本発明の両親媒性物質を添加することによって、マイクロエマルションにおいて1相のコロイド分散領域を広げることが有利に可能となり、図1〜3に示されているように、また、下記により詳細に記載されているように、流体ナノ相体系の特性を改良させることが可能となる。
【0040】
驚くことに、NP−MCA類を添加することにより、熱力学的に安定であり1相のナノ構造体系の存在範囲が広がるということがさらに確認された。このことは、なおさら驚くべきことであった。専門家らは、以前には、それぞれ相対する相において溶解性の点で親油性部分及び親水性部分が異なるほど、マイクロエマルションがより容易に形成されるとの仮説をしていたからである。
【0041】
それゆえ、いわゆるマイクロエマルションを調製するために、当業者は、主に、互いにほとんど溶解しない油及び親水性成分を用いていた。それゆえ、構造形成せず混合分子鎖構造を有する本発明の両親媒性物質(NP−MCA類)と同様に、界面活性を有さず油相及び親水性相の両方にとどまる物質は、従来技術においては、マイクロエマルションを調製するためには用いられなかった。
【0042】
この点において、本発明は、専門家らの間に根深く存在する先入観を打開をもする。
【0043】
さらに驚くべきことに、油/水/界面活性剤の混合物にNP−MCA類を添加することにより、形成された一般的なマイクロエマルションと比較して、ナノ相流体の1相範囲が明確に広がり、ラメラ相(Lα)は、魚図又は“クジラ図”と称される相図においてかなり狭くなり、結果として、油及び水の領域が相中に不都合にも存在している高粘性のラメラ相の出現は、妨げられるか、又は、少なくとも低減される(図3を参照)。
【0044】
さらに驚くべきことに、例えばアセト酢酸エチルといった本発明のNP−MCAの添加によって、温度窓を低減することとなり、そして従来のマイクロエマルション(図3参照)と比較してより広い有効な温度領域を得ることができる。
【0045】
本発明の範囲において、これらの体系は、流体ナノ相体系(略してナノ相流体)と称される。ナノ相流体は、具体的には、水又は水様物質、油、油−水界面に吸着する構造形成性の少なくとも1種の両親媒性物質、及び、―マイクロエマルションを広げるべく―界面活性剤構造を有さない非構造形成性の少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)を含む。構造形成性の両親媒性物質は、界面活性剤、界面活性補助剤、及び界面活性剤様のオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される。
【0046】
NP−MCAは、流体ナノ相における熱力学的に安定な存在領域を広げるために、それゆえ、マイクロエマルションのさらなる限界基準のために重要である。NP−MCA類を添加することにより、有利に1相領域の温度窓を確実に広げることができ、場合によっては1相領域の温度窓を低減することができる。
【0047】
さらに、NP−MCA類は、高粘度ラメラ相の出現を防止又は低減できるという利点を有する。加えて、NP−MCA類は、必要とされる界面活性剤濃度を低減させることができる。
【0048】
また、NP−MCA類は、洗浄のためのナノ相流体における特性及び用途の可能性をかなり広げることができるという利点を有する。
【0049】
ナノ相形成性の混合分子鎖構造の両親媒性物質(MP−MCA)中の基は、混合分子鎖構造の両親媒性部分を含み、該部分は、空間的に互いに近接する親水性及び疎水性の分子領域を有するが界面活性剤様の構造を有さないように混在している。このように、これらは、2つの領域が方向性をもって分離されていること(頭尾構造)により作用を発揮する界面活性剤や界面活性補助剤とは異なる。その結果、NP−MCA類は、自然に超格子を形成することができず、優先的には油−水界面に蓄積しない。それゆえ、油相又は水相の他に、ナノ相流体を形成するためにさらに他の界面活性剤が必要である。しかしながら、NP−MCA類は、水相又は油相において溶解度がかなり大きく、後者においては平衡に達するまで分散する。水又は油におけるNP−MCAの溶解度は、場合によっては塩の態様においても、通常、リットル当たり4グラムと1000グラムとの間である。
【0050】
本発明のNP−MCAは、親水性−疎水性の方向性をもった界面活性剤構造を有さない両親媒性物質を包含し、構造形成性ではない。即ち、それ自体がミセルを形成するものではない。また、水又は油における溶解度は、リットル当たり4g及び1000gの間であり、優先的には油−水界面において蓄積しない。
【0051】
マイクロエマルションに関しては、温度及び界面活性剤濃度の関数としての相図中に、三角形が広がっており、三角形は、Lα領域が始まるところでY軸に平行に接する接線と、1相及び2相の間の境界領域との2つの交点、そして、X点の間において広がっている。界面活性剤濃度−温度相図(魚図又はクジラ図)を作図するための測定方法は、従来技術により当業者に知られている。NP−MCAは、予想外にも、また有利に、1相面積の存在領域を広げることができ、また、この三角形の表面積を大きくすることができ、また、これによって特徴付けられる。油−水−界面活性剤体系に4%加えられた場合に、界面活性剤体系を変化させることなく、この三角形の表面積を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも20%広げる結果となる全ての両親媒性物質が、好ましくはNP−MCA類として用いられる。具体的な実施形態においては、三角形の表面積は、界面活性剤体系を変化させることなく、5%〜2000%の範囲で、好ましくは10%〜1000%、特に好ましくは15%〜500%の範囲で広げられる。
【0052】
特に、下記で特徴付けられるNP−MCA類が好ましく、該NP−MCA類は、油成分a)、界面活性剤c)、及び、プロトン性極性溶媒d)、及び、必要に応じて添加剤e)を含む油―水−界面活性剤体系に、系の全重量に対して4重量%添加されることにより、下記の端点によって決められ相図に含まれる三角形の表面積を少なくとも5%広げる結果となる。
i)X点、
ii)1相領域と2相領域との間における境界領域にあり、温度Y軸に平行でありLα領域の開始部分に接する接線との上側の交点、及び、
iii)1相領域と2相領域との間における境界領域にあり、温度Y軸に平行でありLα領域の開始部分に接する接線との下側の交点。
【0053】
そのような三角形の位置は、図3に示されている。
【0054】
このような相図を作図する方法は、例えば、- M. Kahlweit, R. Strey, D. Haase, H. Kunieda, T. Schmeling, B. Faulhaber, M. Borkovec, H. F. Eicke, G. Busse, F. Eggers, T. Funck, H. Richmann, L. Magid, O. Soderman, P. Stilbs, J. Winkler, A. Dittrich, 及び W. Jahn: "How to Study Microemulsions", J. Colloid Interf. Sci., 118 (2), 436 (1987) - Microemulsions, T. Sottmann and R. Strey in Fundamentals of Interface and Colloid Science, Volume V, J. Lyklema, Academic Press 出版 (2005)に記載されている。
【0055】
相図(クジラ図)を作るために、非界面活性剤成分と界面活性剤とが一定割合である試験サンプルが調製され、0%から所望の界面活性剤割合まで(必要であれば100%まで)段階的に界面活性剤割合が増やされる。段階的に増加させることは、要求される測定精度に応じたものであり、大抵の場合2%の刻み幅で十分である。これらの試験サンプルは、相平衡に達するまで−30℃から+100℃の温度において恒温の媒体(好ましくは水、可能であれば凝固点降下添加剤を含む)中に置かれ、その後、相状態は、光分散によって視覚的に評価される。温度の刻み幅は、所望の測定精度によって決められ、1℃の刻み幅が多くの場合技術的応用のために十分である。相の境界は、ある相状態から次の相状態への転移を基にして求められ、誤差は、温度測定の刻み幅によって予めわかる。このように得られた測定点は、相図において示されそしてつながれ、該相図においては、温度が界面活性剤割合に対して示される。多くの場合、試験サンプルの測定範囲における相の状態を十分に見つけ出すことができ、分かれた隔たりによって相の境界を十分に決定することができる。ナノ構造流体組成物における相の拡大のための数値は、図3の相図において三角形を示すことにより測定される。そのような方法においては、平均温度より高い相状態を特徴付ける曲線(2の上の線)へX点から引くことにより第1の直線a)を形成するようにし、Lαにおける絞り角のところに対して正接方向に接するように、また、平均温度より高い曲線によって特徴付けられる曲線(2の上の線)に対して第1の直線a)が正接方向にて接触した点の部分にて交差するように、第2の直線b)を形成するようにし、2つの直線a)及びb)を分断するように、平均温度より低い相状態によって特徴付けられる曲線(2の下の線)上に第3の直線c)を引くようにする。数値A1は、図3における3つの直線の合計長さから求められ、これは、従来のマイクロエマルションに相当する。本発明(ナノ相流体)の相図における相似の全直線長さにより、数値A2が求められる。本発明によって有利に広げられた相の数値は、A2/A1比によって、即ちA2をA1で除することによって確認される。本発明のナノ相流体の組成物にとっては、斯かる数値が1.0以上であり、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.15以上であり、特に好ましくは1.2以上であり、最も好ましくは1.22以上である。さらに、又は三角形の面積の拡大の代わりに、三角形の大きさが影響される。好ましくはNP−MCAが特徴付けられるのは、本発明の組成物a)の全重量に対して4重量%が、成分a1)、a3)、及びa4)を含む水−油界面活性剤体系に加えられることにより、本発明の組成物a)の1相存在範囲の温度範囲ΔTが少なくとも5%広がる結果となる点である。これは、相図において温度及び界面活性剤濃度の関数として確認され、接線の長さによって決定され、該接線は、Lα領域にて温度軸に平行であり、本発明の組成物a)における1相及び2相の存在領域の間にある上側及び下側の各線を分割する接線の交点によって限定されている(図3参照)。NP−MCA類によって、温度範囲ΔTが10%〜1000%拡大することが好ましく、20%〜500%拡大することがより好ましい。温度範囲ΔTは、三角形の表面積及び/又は三角形の大きさにおける拡大に影響される。
【0056】
NP−MCA類によって、具体的には、炭素、水素、及び少なくとも1種の以下の原子(ヘテロ原子)で構成された分子が指し示される。ケイ素、酸素、窒素、硫黄、リン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素。極性の炭素原子が好ましくはヘテロ原子の隣に位置する。極性の炭素原子は、アルキル鎖にも非極性分子鎖にも含まれていない。
【0057】
好ましくは、NP−MCA類は、本発明の範囲内において、アルコール類、ケトン類、エステル類、環当たり5〜7の原子を有する複素環化合物、エーテル類、アミド類、アミン類、N−アシル化アミノ酸、及び、界面活性剤様構造を有さず方向性のある頭尾構造を有さないアルデヒド類からなる群より選択されたものを含む。具体的には、界面活性剤様構造を有さないアルコール類(モノアルコール類、ジアルコール類、トリアルコール類等)が挙げられる。
【0058】
それゆえ、以下のように分子中において親水性領域と疎水性領域とが混在しているNP−MCA分子が好ましい。
i)第1級又は第2級炭素原子の状態にあり非極性の末端でない分子鎖が、4又はそれ以上の炭素原子を有する。分子鎖は、長くても分子量の20%を超えることはない。
ii)分子の途中にあるか又は第3級炭素原子の状態にある非極性の分子鎖が、7つの炭素原子より長いものでなく(言い換えると例えば1,9−ノナンジオールより大きくなく)分子量の20%を超えるものである。分子の極性部分が親水性領域に存在したうえで、より長い鎖が非極性領域に存在していてもよい。
iii)単環式のアルコール類において、i)及びii)の項目の後に鎖長を決定すべく環中の最も短い経路が鎖長として選択される。
iv)多環式のアルコール類において、i)及びii)の項目の後に鎖長を決定すべく完全に非極性の環のみが考慮され、炭素原子の最も小さい数が鎖長として数えられる。
【0059】
極性が同様であることから、アルコール類に関して言及したことが同様にアミン類やアルコールアミン類にも適用される。同じことが、フッ化物類、塩化物類、及び、そのような類で構成された分子類に同様に適用される。
【0060】
そのように非構造形成性の両親媒性物質を含む組成物、即ち、アルコール類、アミン類及びアルコールアミン類の官能基で構成された混合鎖構造の両親媒性物質を含む組成物を伴う方法も、本発明の対象である。
【0061】
具体的には、ケトン類、酸類、並びにそれらの弱塩基塩類及びアミド類も、また、有機硫酸塩、有機リン酸塩も、本発明の範囲において好ましいNP−MCAである。アルコール類と比べてわずかにこれらの極性が高いことから、鎖長を1つ延ばすことが末端の鎖及び分子内の鎖に適用される。
【0062】
それゆえ、非構造形成性の両親媒性物質を含む組成物を伴う方法、即ち、ケトン類、酸類、並びにそれらの弱塩基塩類及びアミド類や、有機硫酸塩、有機リン酸塩の官能基で構成されたそのような混合鎖構造の両親媒性物質を含む組成物を伴う方法も、本発明の対象である。
【0063】
さらに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールの硫化物類、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールのリン化物類、及びシリコーン類/シロキサン類は、本発明の範囲内においてさらに好ましいNP−MCA類として挙げられる。より極性が低いことから、アルコール類と比べて鎖長が1短いことが適用される。
【0064】
結果として、非構造形成性の両親媒性物質を含む組成物を伴う方法、即ち、アルキル残基、アルケニル残基、アルキニル残基を有するそのような混合鎖構造の両親媒性物質を含む組成物、又は、アリールの硫化物類、アリールのリン化物類、及びシリコーン類/シロキサン類の群からのそのような混合鎖構造の両親媒性物質を含む組成物を伴う方法も、本発明の対象である。
【0065】
さらに、特に、上述した官能基のいくつかを含むNP−MCA類が本発明において好ましく、該NP−MCAは、分子中に異なる官能基をも含み得る。官能基の大部分がケトン類、酸類、並びにそれらの弱塩基塩類及びアミド類、又は、有機硫酸塩、有機リン酸塩でないのであれば、アルコール類における鎖長は、一般的な界面活性剤様の分子と区別するための鎖長となる。
【0066】
アルコール類、アミン類、アルコールアミン類、ケトン類、酸類及びその弱塩基塩類、アミド類、並びに、
アルキル残基、アルケニル残基、又はアルキニル残基を含む有機硫酸エステル類、及び、アルキル残基、アルケニル残基、又はアルキニル残基を含む有機リン酸エステル類、からなる群より選択される両親媒性物質(NP−MCA)を含む組成物、また、
アリール硫化物類、アリールリン化物類、及び、シリコーン類/シロキサン類からなる群より選択される両親媒性物質(NP−MCA)を含む組成物、
を使用する方法は、本発明における好ましい対象である。
【0067】
特に好ましいNP−MCA類は、式(I)のジオールから選択される。
R1R2COH -(CH2n - COHR1R2 ・・・式(I)
nは、0,1,2,3又は4であり、
1及びR2は、いずれの場合でも互いに独立して、水素、分岐していない又は分岐したC1〜C3アルキルである。
【0068】
具体的には、斯かる群からの特に好ましいNP−MCA類は、下記のジオール類から選択される。1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(n−ブチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール、又は、1,2−ジオール類。
【0069】
上記のジオール類は、本発明の組成物を提供するため、本発明の方法のため、また、本発明の使用のために特に適している。
【0070】
特に好ましいNP−MCA類は、式(II)のアセトアセテート、又は、式(III)のアセトアセテートからも選択される。
C(R33 - CO - CH2 - CO - O - R4 ・・・式(II)
ただし、R3は、いずれの場合も互いに独立して水素、又は、C1〜C2のアルキルであり、R4は、分岐した又は分岐していないC1〜C4アルキルである。
CH3 - CO - CH2 - CO - O - R5 ・・・式(III)
ただし、R5は、C1〜C4アルキルである。
【0071】
具体的には、斯かる群からの特に好ましいNP−MCA類は、下記のアセトアセテート類から選択される。アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸n−プロピル、又はアセト酢酸tert−ブチル。
【0072】
上記のアセトアセテート類は、本発明の組成物を提供するため、本発明の方法のため、また、本発明の使用のために特に適している。
【0073】
さらには、好ましいNP−MCA類は、式(IV)のジオン類から選択される。
CH3 - (CH2)p - CO -(CH2)q - CO -(CH2)r - CH3 ・・・式(IV)
ただし、p,q,rは、いずれの場合でも互いに独立して、0,1又は2であり、p,q,rの合計が2である場合には式(IV)の化合物が環状(シクロヘキサンジオン)であるという条件にある。
【0074】
具体的には、斯かる群からの特に好ましいNP−MCA類は、下記のジオン類から選択される。2,3−ブタンジオン(ジアセチル)、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトン)、3,4−ヘキサンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、又は、1,3−シクロヘキサンジオン。
【0075】
上記のジオン類は、本発明の組成物を提供するため、本発明の方法のため、また、本発明の使用のために特に適している。
【0076】
同様に、好ましいNP−MCA類は、式(V)のエステル類から選択される。
R6 - CO - O - R7 ・・・式(V)
ただし、R6は、R7への環状結合、CH3、又はCOCH3であり、
7は、R6への(CH22 -O- 環状結合、(CH22-O-(CH23-CH3、CH2-CH3、又は、R6へのCH2-CH(CH3)-O- 環状結合である。
【0077】
具体的には、斯かる群からの特に好ましいNP−MCA類は、下記のエステル類から選択される。(1−メトキシ−2−プロピル)−アセテート、(2−ブトキシエチル)−アセテート、エチレンカーボネート、ピルビン酸エチル(2−オキソプロパン酸エチルエステル)、又は、プロピレンカーボネート。
【0078】
上記のエステル類は、本発明の組成物を提供するため、本発明の方法のため、また、本発明の使用のために特に適している。
【0079】
さらに、好ましいNP−MCA類は、式(VI)のアミド類から選択される。
R8- HN - CO - C = C - CO - O - R9 ・・・式(VI)
ただし、R8は、水素、分岐した若しくは分岐していないC1〜C4アルキル、又は、分岐した若しくは分岐していない直鎖状若しくは環状のC1〜C6アルキルであり、C1〜C6アルキルは、OH, NH2, COOH, CO, SO3H,OP(OH)2から選択された1種又はそれ以上の基によって置換されており、R9は、水素、又は、分岐した若しくは分岐していないC1〜C4アルキルである。
【0080】
具体的には、斯かる群からの特に好ましいNP−MCA類は、下記のマレイン酸アミド類、そのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル類から選択される。N−メチルマレアミド、N−エチルマレアミド、N−(n−プロピル)マレアミド、N−(i−プロピル)マレアミド、N−(n−ブチル)マレアミド、N−(i−ブチル)マレアミド、N−(tert−ブチル)マレアミド、また、同様のフマル酸アミド類、そのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル類。
【0081】
さらに、好ましいNP−MCA類は、2,2−ジメトキシプロパン、ピルビンアルデヒド−1,1−ジメチルアセタール、ジアセトンアルコール(2−メチル−2−ペンタノール−4−オン)、2−ブタノール、2−アセチル−γ−ブチロラクトン、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、γ−ブチロラクトン、ニコチン酸アミド、アスコルビン酸、N−アセチルアミノ酸、特に、N−アセチルグリシン、アラニン、システイン、バリン、又は、アルギニン、リン酸トリエチル、酢酸n−ブチル、ジメチルスルホキシド、又は、2,2,2−トリフルオロエタノールから選択される。
【0082】
本発明においては、下記のNP−MCA類が特に好ましく、該NP−MCA類は、
アセト酢酸エチル;アセト酢酸i−プロピル;アセト酢酸メチル;イソブチリル酢酸メチル(4−メチル−3−オキソペンタン酸メチル);アセト酢酸n−ブチル;アセト酢酸n−プロピル;アセト酢酸tertブチル;アセト酢酸アリール;マレイン酸アミド(マレアミド酸、マレアミド);下記のマレアミド並びにそのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル;N−メチルマレアミド、N−エチルマレアミド、N−(n−プロピル)マレアミド、N−(i−プロピル)マレアミド、N−(n−ブチル)マレアミド、N−(i−ブチルマレアミド)、N−(tert−ブチルマレアミド);また、同様のフマル酸アミド類、そのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル類;2,2−ジメトキシプロパン;ジアセトンアルコール(2−メチル−2−ペンタノール−4−オン);1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2−エチル−1,3−ヘキサンジオール;2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(n−ブチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;2,3−ブタンジオール;2,4−ペンタンジオール;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール;(1−メトキシ−2−プロピル)アセテート、(2−ブトキシエチル)アセテート;1,3−シクロヘキサンジオン;1,4−シクロヘキサンジオン;2,3−ヘキサンジオン;2,3−ペンタンジオン;2,5−ヘキサンジオン;3,4−ヘキサンジオン;アセチルアセトン(2,4−ペンタンジオン、ACAC);ジアセチル(2,3−ブタンジオン);エチレンカーボネート;プロピレンカーボネート;2−アセチル−γ−ブチロラクトン;N−アセチルシステインとメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル;N−アセチルグルタミン酸とメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル;N−アセチルグリシンとメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル;N−アセチルチロシンとメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル;N−アセチルバリンとメチル、エチル、プロピル、ブチルエステル;ピルビン酸エチル(2−オキソプロパン酸エチルエステル);ピルビンアルデヒドジメチルアセタール;3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール;3−オキソグルタル酸ジエチル;ジエチレングリコールジエチルエーテル;ジイソプロピルエーテル;エチレングリコールジエチルエーテル;カルバミン酸メチル;tert-ブチルメチルエーテル;酢酸ビニル;キニーネ(塩酸塩としての遊離塩基);アジピン酸ジアミド;コハク酸イミド;N−メチルカプロラクタム;酢酸ジエチルアミド;尿素;チオアセトアミド;1,2−フェニレンジアミン;1,3−フェニレンジアミン;1,4−ジアミノブタン;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;1,4−フェニレンジアミン;1,6−ジアミノヘキサン;2−(4−メトキシフェニル)−エチルアミン;2−アミノベンズアミド;2−アミノフェノール;ジプロピルアミン;トリエチルアミン;チラミン;アントラニル酸;DL−2−アミノ酪酸;セリン;スレオニン;チロシン;アジピン酸;メチレンコハク酸;トランス−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸;シクロヘキサノール;シクロヘキサノン;ジメドン(5,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジオン);N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン;トランス−1,2−シクロヘキサンジオール;(4−ヒドロキシフェニル)酢酸;1,3,5−トリヒドロキシベンゼン;2−エチルピリジン;2−メトキシ安息香酸;2−メトキシフェノール;2−メチルヒドロキノン;2−メチルレゾルシノール;2,4−ジヒドロキシ安息香酸;2,6−ジヒドロキシ安息香酸;3−アミノフェノール;3,4−ジヒドロキシ安息香酸;3,5−ジヒドロキシ安息香酸;4−アミノ−3−ニトロフェノール;4−アミノフェノール;4−ヒドロキシベンズアルデヒド;4−ヒドロキシ安息香酸;5−メチルレゾルシノール;アセチルサリチル酸;ブチルヒドロキシトルエン;N−フェニル−2,2’−イミノジエタノール;N−フェニル尿素;メチル−、エチル−、プロピル−4−ヒドロキシ安息香酸エステル;スルファニル酸;バニリン;酢酸(2−エトキシエチル);(2−エトキシエチル)メタクリレート;(2−ヒドロキシプロピル)メタクリレート;酢酸[2−(2−ブトキシエトキシ)−エチル];二酢酸1,2−プロピレングリコール;マロン酸ジエチル;アセチルコハク酸ジメチル;炭酸ジメチル;フマル酸ジメチル;グルタル酸ジメチル;マロン酸ジメチル;酢酸エチル;エチレングリコールジアセタート;ギ酸エチル;乳酸エチル;トリアセチルグリセロール;酢酸イソプロペニル;ギ酸メチル;乳酸メチル;プロピオン酸メチル;ギ酸プロピル;プロピオン酸プロピル;オルト炭酸テトラエチル;クエン酸トリエチル;1−ベンジルピペリジン−4−オン;1−シクロヘキシル−2−ピロリドン;1H−ベンゾトリアゾール;2−アミノチアゾール;2−エトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン;2−エチルピペリジン;2−メルカプト−1−メチルイミダゾール;2−メチルテトラヒドロフラン;2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール;アスコルビン酸;カフェイン;テオブロミン;テオフィリン及びこれに類似したエチルキサンチン;クマリン−3−カルボン酸;エクトイン;ヒドロキシプロリン;イミダゾール;インドール;インドール−3−酢酸及びその塩;メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン);ニコチン酸メチル;ニコチン酸エチル;ニコチンアミド;ニコチン酸;ピリジン−2−カルボン酸;ピリジン−2,3−カルボン酸;ピリジン−4−カルボン酸;トロピン(3−トロパノール);トリプタミン;ニトロエタン;ニトロメタン;2−メチル−1−ブタノール;イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール);tert−アミルアルコール;1,3−シクロペンタンジオン;2,6−ジヒドロキシアセトフェノン;3−メチル−3−ペンテン−2−オン;アセトフェノン;ジエチルケトン;ジヒドロキシケトン;エチルメチルケトン;イソブチルメチルケトン(メチルイソブチルケトン、MIBK);イソプロピルメチルケトン;メチルプロピルケトン;プロピオフェノン;2−ブタンオキシム;スルファニルアミド;1,2,6−ヘキサントリオール;2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−エタンスルホン酸;2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AEPD、アンメジオール)の誘導体を含む単独物、又は混合物、
からなる群より選択される。
【0083】
NP−MCA類は、好ましくは、組成物の全重量に対して1〜80重量%、より好ましくは2〜25重量%、さらに好ましくは10〜24重量%の度合いで本発明の組成物中に含まれている。
【0084】
本発明の目的のために、水中においてリットル当たり4g未満の溶解度を有する水難溶性物質の少なくとも1種によって油類が指し示されている。油という用語は、水又は水様の液体に均一に溶解せず分離相を形成する疎水性の物質の全てを示す。ある種の油類は、水に多量に溶解することから、リットル当たり4g未満の水溶解度という定義がここではさらに加えられている。好ましくは、水難溶性の物質は、リットル当たり2g未満の水溶解度を有するものである。これらとしては、例えば、アルカン類(ベンジン類)及びシクロアルカン類(好ましくはシクロヘキサン)が挙げられる。トルエン、キシレン、又は他のアルキルベンゼンなどの芳香族化合物や、ナルタレン類も考慮に入れられる。
【0085】
脂肪油及び脂肪酸のアルキルエステルといった長鎖のアルカン酸エステル又は脂肪アルコールエーテルが好ましい。本発明においては、酢酸ベンジルも、用いられる水難溶性物質に属する。しかしながら、テルペン類、具体的にはシクロヘキサン構造を有する単環式モノテルペン類も用いられ得る。レモン及び/又はオレンジなどの柑橘系植物由来のテルペン類、又はそれに含まれるリモネン類が特に好ましい。水難溶性物質a)は、本発明の組成物a)の全重量に対して、好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは0.5〜75重量%、さらに好ましくは1.0〜50重量%、特に好ましくは1.5〜30重量%の度合いで、本発明の組成物a)中に含まれている。
【0086】
さらに、例えば、高級アルコールが、界面活性剤構造を有する両親媒性物質として用いられ得る。特に好ましくは、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、及びドデカノールのn−及びi−異性体のように親水性−親油性の分子比率を有する上記の全ての界面活性助剤である。
【0087】
例えばシクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類、又は、好ましくは例えばフェニルメタノール(ベンジルアルコール)、2−フェニルエタノール、及び3−フェニル−1−プロパノールなどのフェニルアルコール類も望ましい。ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸などの短鎖脂肪酸並びにそのアルカリ塩又はアンモニウム塩も好適に用いられる。それらのエタノールアミン塩が特に好ましい。
【0088】
さらに、界面活性剤構造を有する両親媒性物質は、本発明の組成物a)の全重量に対して好ましくは2〜45重量%、より好ましくは2〜40重量%の度合いで本発明の組成物に含まれている。
【0089】
さらに、界面活性剤構造を有する両親媒性物質は、好ましくはリットル当たり2g〜128gの水溶解度を有し、C4〜C12アルコール類、シクロアルカノール類、フェニルアルコール類、短鎖脂肪酸又はそのアルカリ塩若しくはアンモニウム塩からなる群より選択される。
【0090】
さらに本発明の組成物は、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の界面活性剤を成分c)として含む。好適な界面活性剤のいくつかは、下記の一覧に挙げられている。
【0091】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、長鎖脂肪酸のアルカリ若しくはアンモニウム塩、アルカリ(ベンゼン)スルホン酸塩、炭化水素スルホン酸塩、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸エステル塩、とりわけドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩が用いられ、また、例えば腐食防止などの特別な用途のために、リン酸アルキル(例えば、製品名「Phospholan PE 65」Akzo Nobel社製)もしばしば用いられる。
【0092】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、製品名「Berol タイプ」(Akzo Nobel社製)や製品名「Hoesch T タイプ」(Julius Hoesch社製)のようなポリアルキレンオキシド変性脂肪アルコール、また、類似したオクチルフェノール類(Triton タイプ)若しくはノニルフェノール類も用いられる。液体の噴霧特性を大きく改善するための物質、又は、界面張力を大幅に低下させるための物質としてのヘプタメチルトリシロキサン(例えば、製品名「Silwet タイプ」GE Silicones社製)によって、特定領域で使用することが可能になる。
【0093】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油ビス(2−ヒドロキシエチル−)メチルアンモニウム塩酸塩、ポリオキシエチレン変性タルクメチルアンモニウム塩酸塩が用いられ得る。さらには、適当な両性界面活性剤の使用が可能であり、ベタイン類(コカミドプロピルベタイン)又はスルホベタイン類又はスルタイン類(アミドプロピルヒドロキシスルタイン類)は、多数の既知例から挙げられる。さらに、pH領域について話題に挙げるとすれば、ヤシ油ジメチルアミンオキシド(製品名「Aromox MCD」Akzo Nobel社製)が好ましいことがわかっている。
【0094】
前記界面活性剤は、本発明の組成物の全重量に対して0.1〜45重量%、好ましくは1.0〜30重量%、より好ましくは9.0〜16.0重量%の度合いで本発明の組成物に含まれている。
【0095】
加えて、本発明は、本発明の組成物を製造する方法に関する。本発明の組成物を製造するための本発明の方法は、具体的にはヒドロキシル基を有する少なくとも1種の極性溶媒を、好ましくは全組成物に対して1.0〜90重量%の量で取り入れて、そして、全組成物に対して好ましくは0.1〜45重量%の量でアニオン性、カチオン性、両性、及び/又は非イオン性の界面活性剤を10〜90℃にて撹拌しつつ溶かし、界面活性剤の添加と同時又はその後に、全組成物に対して好ましくは0.1〜90重量%の量で水難溶性物質を加え、NP−MCA及び界面活性剤構造を有する両親媒性物質を好ましくは全組成物に対して0.1〜80重量%の量で加えることにより、光学的に透明度が増したマイクロエマルション又はナノ相体系へとエマルションを変え、そして、必要であれば混合する手順の最後に添加剤を加えることにより、実施することができる。
【0096】
本発明の組成物は、具体的には、まず、水又はヒドロキシル基を有する溶媒を適当な容器に取り入れ、次に、撹拌しつつ界面活性剤を溶解させることによって製造する。工程中において注意すべきことは、界面活性剤のなかには供給時に既に水を含んでいるものがあるということであり、その結果、事前に組成計算される水の量は、必要に応じて調整されなければならない。界面活性剤を溶かすとき、ひどい泡立ちを防ぐべく、溶液中に空気が入り込むことができるだけ少なく保たれることを確実に行わなければならない。工業的な規模で遂行するためには、泡立ちを大きく抑制するための様々な撹拌装置や撹拌機が既にある。撹拌速度は、プロペラミキサーを用い撹拌直径及び容器直径の理想比率を採用する場合には、通常、分当たり200回転を超えないようにすべきである。さらに注意すべきことは、(高濃度の)界面活性剤のなかには、水が加えられるとゲル化するものがあり、撹拌及びさらなる分散が困難になるということである。そのような場合には、必要であれば、水難溶性物質(油相)が、最初に加えられるか、又は、界面活性剤の添加と同時に加えられる。泡立ちは、その後油相を加えることによっても抑制され、油相は、いくらかの泡立ち抑制作用をしばしば有する。油相を添加した後、濁った乳白色のエマルションが形成され、該エマルションは、界面活性剤構造を有するさらなる両親媒性物質(例えばアルカノール)を添加することによって、また、遅くとも成分b)としての界面活性剤構造を有さない両親媒性物質(例えばアセトアセテート化合物)を添加した後に透明になり、そして、最終的に、光学的に透明度が増したマイクロエマルション又はナノ相体系へと移行する。最後に、例えば増粘剤(例えば、製品名「Aerosil」のシリーズ)などの添加剤や賦形剤も加えられ得る。
【0097】
本発明の目的は、本発明の組成物を製造する方法にも関し、該方法においては、i)具体的にはヒドロキシル基を有する少なくとも1種の極性溶媒を取り入れ、ii)アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性界面活性剤を10〜90℃にて撹拌しつつ溶かし、iii)水難溶性物質を界面活性剤の添加の後又は添加と同時に加え、iv)生成したエマルションを、少なくとも1種のNP−MCAを加えることにより光学的に透明なナノ相体系へと変え、そして、v)上記の混合する手順の最後に必要に応じて添加剤を加える。
【0098】
好ましくは、さらに、界面活性剤構造を有する少なくとも1種の両親媒性物質、例えば親水性−親油性分子比率を有する界面活性助剤をこの混合物に加えることができ、具体的には、前記方法におけるステップi)及びiv)、好ましくは前記方法におけるステップii)及びiv)において加えることができる。
【0099】
本発明は、有機材料又は無機材料で作られた物体を湿式洗浄するために適した組成物、特にその物体の表面を湿式洗浄するために適した組成物を製造する方法を対象として包含し、その方法においては、
i)具体的にはヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒を、できあがった全組成物に対して好ましくは1.0〜90重量%の量となるように取り入れ、ii)次に、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性下面活性剤を、できあがった全組成物に対して好ましくは0.1〜45重量%となるように、i)のなかで撹拌しつつ10〜90℃にて溶かし、iii)できあがった全組成物に対して好ましくは0.1〜90重量%となるように、水難溶性物質をステップii)の界面活性剤の添加と同時又は添加の後に加え、iv)少なくとも1種の両親媒性物質NP−MCAを、できあがった全組成物に対して好ましくは0.1〜80重量%となるように加えることにより、生成したエマルションを光学的に透明なナノ相体系へ変え、そして、v)ステップi)〜iv)を含む混合の手順の最後に必要に応じて添加剤を加える。
【0100】
本発明の対象は、組成物でもあり、該組成物は、有機材料又は無機材料で作られた物体の表面を湿式洗浄するために、上述した方法の1つを用いて製造することができる。
【0101】
本発明の対象は、有機材料又は無機材料で作られた物体の表面を液体中にて洗浄するための気体又は気泡を生成させるための方法でもあり、この方法は、本発明の組成物を洗浄される物体と接触させる点において特徴付けられる。
【0102】
本発明の対象は、同様に、有機材料又は無機材料で作られた物体を洗浄するために、特にその表面を洗浄するために、本発明の組成物を使用することにある。
【0103】
加えて、本発明のさらなる対象は、気体又は気泡の使用にあり、該気体又は気泡は、本発明の組成物から生成されるか、又は、前記組成物を製造するための上述した方法によって作られ、また、有機材料又は無機材料で作られた物体を湿式洗浄するため、特にその表面を湿式洗浄するために作られる。
【0104】
本発明のさらなる対象は、有機材料又は無機材料で作られた物体を湿式洗浄すべく、特にその表面を湿式洗浄すべく、気体又は気泡を生成させるための本発明の組成物の使用にある。
【0105】
本発明の組成物の利用は、物体の洗浄において知られている一般的な全ての方法を包含する。
【0106】
そのような方法は、例えば、被覆すること、浴びさせること、浸すこと、塗ること、噴霧すること、軽くたたくこと、又はぬらすことなどの適用を包含する。
【0107】
洗浄を必要とする公知の固体材料全ては、その大きさ、起源、状態、及び/又は形状に限定されることなく、有機材料又は無機材料として考慮に入れられる。
【0108】
具体的には、本発明においては、それらの有機材料又は無機材料が有利に洗浄される。しかしながら、従来の方法を用いた洗浄は、構造的な又はデザインに関連する要因により困難なものであった。しかも/又は、材料においては、例えば摩耗した結果生じた細孔やひだや角などにおいて、硬くて非常に強固なチリや色素粒子を汚れ粒子が含んでいる。
【0109】
これを例示するために下記のものが挙げられるが、全てを網羅するものではない:建造用織物、外壁、舗装板、例えば骨董品、彫刻、花瓶、鉢、クライミングホールド(人工及び天然の石材からなりクライミング用の壁に取り付けられた突起)などの人工及び天然の石材並びにこれにより形成された物品、ドリル用及び研磨用の器具又は道具、歯車とその部品、ベアリング、具体的にはプリンタローラなどのローラ、機械とその部品、型枠とその部品、筺体、歯車、医科及び歯科の用途のための道具、医科又は歯科分野における医療又は診断で用いられる視覚的又は聴覚的な器具又は補助器具、例えば差し歯、義歯、歯科矯正治具、及び歯列矯正具といった義歯部品及び矯正歯科用部品、織物、繊維、例えば半導体や回路基板といった電気部品。
【0110】
本発明の組成物は、キットオブパーツ(統合する要素)としての容器単位中に有利に存在し、該単位は、空間的に分離された様式であるが機能的に組み合わされて、本発明の組成物と、洗浄方法のために提供される物品又は該方法に用いられるものとを含む。
【0111】
また、物品は、洗浄に有用な1種又はそれ以上の補助具といっしょにキットオブパーツに包含され得るものであり、補助具は、例えば、ピンセット、ペン、ブラシ、パッド、ポンプ式スプレー用の装置、ノズル、保護メガネの単独物又は組み合わせたものから選択される。
上述したキットオブパーツは、それゆえ、少なくとも1種のそのような補助具の単独物か、又は上記の物品と組み合わされたものを含む。
【0112】
本発明の方法は、通常の方法、通常の塗布方法の使用、また、例示した補助具によって実施される。
【0113】
汚れの程度や性質に影響され、また、洗浄される物体の大きさ、形状、状況にも影響されることから、当業者は、所定の試験によって、開示されたどの手順が好ましいかを確認し、どれくらいの時間で所望の結果が得られるかを確認することができる。
【0114】
洗浄される物体が本発明の組成物にさらされる継続時間は、重要なものではない。一般的に、物体が組成物にさらされる時間、又は、物体が接触状態で置かれる時間は、数分間及び数週間の間、好ましくは少なくとも24時間であることが想定される。洗浄の結果は、当業者が物体から組成物を取り除いたとき、又は、洗浄方法を終えたときに、例えば単純な観察又は例えば拡大鏡や顕微鏡などの視覚的手段の利用によって、当業者に示される。
【0115】
洗浄方法のために提供される物品は、具体的には、継続的な洗浄又は時々行う洗浄を必要とする日用品を包含している。例えば、差し歯、義歯、歯科矯正治具、又は歯列矯正具、医科用又は診断用の器具は、本発明の組成物とともにキットオブパーツとして有利に存在する。
【0116】
本発明の組成物を含むキットオブパーツを備えた集合体、又は、媒体も、本発明の対象であり、組成物は、洗浄に適した物品、又は、洗浄のために使用される物品、及び/又は、上述の補助具と、機能的に組み合わされ空間的又は物理的に分離されている。
【0117】
下記の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであり、決して本発明をこれと同じものに限定するものではない。
【実施例】
【0118】
実施例1:気体生成組成物
【0119】
【表1】

【0120】
スクリュー式蓋を備えたガラス瓶に磁気式撹拌棒を入れ、ガラス瓶に所定量の脱塩水を室温(22℃)にて取り入れた。所定量のクエン酸一水和物、アセト酢酸エチル、オレンジテルペン、ベロール260、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)をこれに加えた。Heidolph社のMR Hei−Standard磁気式撹拌機(Heidolph Instruments 社、シュワバッハ、ドイツ)によって、室温にて最大速度(1400rpm)で、1相になるまで混合物を撹拌した。
撹拌しながらSDSを注意深く加えること、1相になるまで撹拌を続けることを確実に行った。5kg以上の比較的多い量の場合には、水を除く他の全ての成分中にドデシル硫酸ナトリウムを分散させておき、ドデシル硫酸ナトリウムを供給することが有利である。水は、好ましくは最後に加える。
実施例1の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0121】
実施例2:気体生成組成物
【0122】
【表2】

【0123】
所定量の脱塩水、シュウ酸二水和物、アセト酢酸エチル、オレンジテルペン、ベロール260、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例2の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0124】
実施例3:気体生成組成物
【0125】
【表3】

【0126】
所定量の脱塩水、リン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、酢酸n−ブチル、1−ヘキサノール、酢酸ベンジル、オレンジテルペン、クエン酸一水和物、ベロール260、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例3の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0127】
実施例4:気体生成組成物
【0128】
【表4】

【0129】
所定量の脱塩水、リン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、酢酸n−ブチル、1−ヘキサノール、酢酸ベンジル、オレンジテルペン、クエン酸一水和物、ベロール260、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例4の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0130】
実施例5:気体生成組成物
【0131】
【表5】

【0132】
所定量の脱塩水、リン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、酢酸n−ブチル、1−ヘキサノール、酢酸ベンジル、オレンジテルペン、シュウ酸二水和物、ベロール260、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例5の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0133】
実施例6:気体生成組成物
【0134】
【表6】

【0135】
所定量の脱塩水、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、オレンジテルペン、シュウ酸二水和物、ベロール260、及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例6の組成物は、気体として二酸化炭素を生成する。
【0136】
実施例7:気体生成組成物
【0137】
【表7】

【0138】
所定量の脱塩水、N−アセチルシステイン、セチオールOE、クエン酸トリエチル、ルテンゾールTO3、ツイーン80を実施例1において示したように混合した。
実施例7の組成物は、気体として硫化水素を生成する。
【0139】
実施例8:気体生成組成物
【0140】
【表8】

【0141】
所定量の脱塩水、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アセト酢酸エチル、オレンジテルペン、ベロール260、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を実施例1において示したように混合した。
実施例8の組成物は、気体として酸素を生成する。
【0142】
実施例9:有機材料の表面の洗浄
実施例2の組成物を架橋合成樹脂で作られ表面に微小孔を有する汚れたクライミングホールドに室温(22℃)にて塗布した。クライミングホールドは、クライミング用の壁に人工的な突起として予め取り付けられており、足又は靴及び汗が接触した結果、非常に汚れたものになっていた。組成物が2時間作用した後、汚れた部分に気泡が生成した。この過程において、汚れ粒子がクライミングホールドの表面から取り除かれた。作用した時間が経過した後、クラミングホールドを水で洗った。この作業によって汚れが表面から取り除かれ、非常に清潔な印象となった。その後の顕微鏡による試験により、クライミングホールドの細孔が実質的に汚れを含んでいないことがわかった。
【0143】
同等に汚れているクライミングホールドに対して「Domax」(商標)という市販されている洗浄剤を同様に適用した対照試験において、アニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含むプラスチック用洗浄剤(domalwittol, Wasch- und Reinigungsmittel 社、シュタットイルム、ドイツ)は、同様な洗浄効果を示す結果とならなかった。
【0144】
実施例10:流体ナノ相体系の検出
ナノ相体系におけるナノ構造を検出するための緑色レーザービーム(Conrad Electronic社製、ドイツ、モデルNo.GLP-101、530-545 nm)の散乱。結果が図1に示されており、結果に関しては下記を参照(示された重量%は、できあがった全組成物に対するものである):
a)本発明における下記組成物の流体ナノ相体系:水57.00重量%; シュウ酸二水和物0.40重量%; アセト酢酸エチル13.95重量%; オレンジ油(シトラスダルシス)11.00重量%; C911アルコールエトキシレート(4)(Berol 260)8.85重量%; ドデシル硫酸ナトリウム8.80重量%。気体が生成し、これは、発生する気泡によって確認される。緑色レーザービームは、散乱によって目視で確認され、換言すると、液体は、ナノ構造を有している。
b)下記組成物の流体ナノ相体系:水55.28重量%; 1−メチル−2−ピロリドン3.47重量%; アセト酢酸エチル12.28重量%; オレンジ油(シトラスダルシス)11.35重量%; C911アルコールエトキシレート(4)(Berol 260)8.82重量%; ドデシル硫酸ナトリウム8.80重量%。緑色レーザービームは、散乱によって目視で確認され、換言すると、液体は、ナノ構造を有している。気体生成は、この体系においては起きない。赤色光の波長は、相互作用するには大きすぎるため、赤色レーザービームは、ナノ相体系においてほとんど散乱されない。
c)水;レーザーは、目視で確認できない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料又は無機材料で作られた物体を洗浄する方法であって、下記A)〜D)のステップを有することを特徴とする方法。
A)有機材料又は無機材料で作られた物体を、下記a)〜e)の成分を含む流体ナノ相体系の態様の組成物に接触させる、
a)0.1〜90重量%の量であり、リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、
b)0.1〜80重量%の量であり、界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質NP−MCA、
c)0.1〜45重量%の量であり、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、
d)1.0〜90重量%の量であり、特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、
e)必要に応じて0.01〜10重量%の量であり、1種又はそれ以上の添加剤、(ただし、示された百分率はいずれの場合でも全組成物重量に対するものである)
B)気体又は気泡が物体面にて発生するまでステップA)の組成物を物体と接触させて放置する、
C)ステップA)の組成物を物体から取り除く、そして、
D)必要に応じて、ステップA及びB)により処理された物体をすすぐ且つ/又は乾燥する。
【請求項2】
成分b)のNP−MCAが、a)、c)、d)、及び、必要に応じて添加剤e)を含む油―水−界面活性剤体系に、系の全重量に対して4重量%添加されることにより、下記の端点によって決められ図3に示された相図に含まれる三角形の表面積を少なくとも5%広げる結果となることを特徴とする請求項1に記載の方法。
i)X点、
ii)1相領域と2相領域との間における境界領域にあり、温度Y軸に平行でありLα領域の開始部分に接する接線との上側の交点、及び、
iii)1相領域と2相領域との間における境界領域にあり、温度Y軸に平行でありLα領域の開始部分に接する接線との下側の交点。
【請求項3】
前記組成物が、界面活性剤構造を有する少なくとも1種の両親媒性物質をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記両親媒性物質(NP−MCA)が、下記のa)、b)、c)、d)、及びe)、並びに、
2,2−ジメトキシプロパン、ピルビンアルデヒド−1,1−ジメチルアセタール、ジアセトンアルコール(2−メチル−2−ペンタノール−4−オン)、2−ブタノール、2−アセチル−γ−ブチロラクトン、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、γ−ブチロラクトン、ニコチン酸アミド、アスコルビン酸、N−アセチルアミノ酸、N−アセチルグリシン、アラニン、システイン、バリン、又は、アルギニン、リン酸トリエチル、酢酸n−ブチル、ジメチルスルホキシド、又は、2,2,2−トリフルオロエタノール、
からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜3に記載の方法。
a)式(I)で示されるジオール類、
R1R2COH -(CH2)n - COHR1R2 ・・・式(I)
ただし、nは、0,1,2,3又は4であり、
1及びR2は、いずれの場合でも互いに独立して、水素、分岐していない又は分岐したC1〜C3アルキルであり、
前記ジオール類は、
1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−(n−ブチル)−2−エチル−1,3−プロパンジオール、又は、1,2−ジオール類を含む、
b)式(II)又は式(III)で示されるアセトアセテート類、
C(R33 - CO - CH2 - CO - O - R4 ・・・式(II)
ただし、R3は、いずれの場合も互いに独立して水素、又は、C1〜C2のアルキルであり、R4は、分岐した又は分岐していないC1〜C4アルキルであり、
CH3 - CO - CH2 - CO - O - R5 ・・・式(III)
ただし、R5は、C1〜C4アルキルであり、
前記アセトアセテート類は、
アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸n−プロピル、又はアセト酢酸tert−ブチルを含む、
c)式(IV)で示されるジオン類、
CH3 - (CH2)p - CO -(CH2)q - CO -(CH2)r - CH3 ・・・式(IV)
ただし、p,q,rは、いずれの場合でも互いに独立して、0,1又は2であり、p,q,rの合計が2である場合には式(IV)の化合物が環状であり、
前記ジオン類は、
2,3−ブタンジオン(ジアセチル)、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトン)、3,4−ヘキサンジオン、2,5−ヘキサンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、1,4−シクロヘキサンジオン、又は、1,3−シクロヘキサンジオンを含む、
d)式(V)で示されるエステル類、
R6 - CO - O - R7 ・・・式(V)
ただし、R6は、R7への環状結合、CH3、又はCOCH3であり、
7は、R6への(CH22 -O- 環状結合、(CH22-O-(CH23-CH3、CH2-CH3、又は、R6へのCH2-CH(CH3)-O- 環状結合であり、
前記エステル類は、
(1−メトキシ−2−プロピル)−アセテート、(2−ブトキシエチル)−アセテート、エチレンカーボネート、ピルビン酸エチル(2−オキソプロパン酸エチルエステル)、又は、プロピレンカーボネートを含む、
e)式(VI)で示されるマレイン酸アミド類又はフマル酸アミド類、
R8- HN - CO - C = C - CO - O - R9 ・・・式(VI)
ただし、R8は、水素、分岐した若しくは分岐していないC1〜C4アルキル、又は、分岐した若しくは分岐していない直鎖状若しくは環状のC1〜C6アルキルであり、C1〜C6アルキルは、OH, NH2, COOH, CO, SO3H, OP(OH)2から選択された1種又はそれ以上の基によって置換されており、R9は、水素、又は、分岐した若しくは分岐していないC1〜C4アルキルであり、
前記マレイン酸アミド類又はフマル酸アミド類は、
マレイン酸アミド類としてのN−メチルマレアミド、N−エチルマレアミド、N−(n−プロピル)マレアミド、N−(i−プロピル)マレアミド、N−(n−ブチル)マレアミド、N−(i−ブチル)マレアミド、N−(tert−ブチル)マレアミド、そのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル類を含み、
また、同様のフマル酸アミド類、そのメチル、エチル、プロピル、及びブチルエステル類を含む。
【請求項5】
前記両親媒性物質NP−MCAが、式(III)に示されるアセトアセテート類から選択されることを特徴とする請求項1〜4に記載の方法。
CH3 - CO - CH2 - CO - O - R5 ・・・式(III)
ただし、R5は、C1〜C4アルキルである。
【請求項6】
アルコール類、アミン類、アルコールアミン類、ケトン類、酸類及びその弱塩基塩類、アミド類、並びに、
アルキル残基、アルケニル残基、又はアルキニル残基を含む有機硫酸エステル類、及び、アルキル残基、アルケニル残基、又はアルキニル残基を含む有機リン酸エステル類、
アリール硫化物類、アリールリン化物類、及び、シリコーン類/シロキサン類からなる群より選択された両親媒性物質NP−MCAを含む請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
前記両親媒性物質NP−MCAが、組成物の全重量に対して2〜25重量%含まれていることを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
前記気体又は前記気泡が、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、塩素、酸化窒素、アンモニア、ハロゲン化炭化水素、若しくは、硫化水素、又は、これらの混合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
有機材料又は無機材料で作られた請求項1〜7のいずれか1項に記載の物体を湿式洗浄するために適した組成物を製造する方法であって、
下記のステップを有することを特徴とする方法。
i)特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒を、全組成物に対して好ましくは1.0〜90重量%の量となるように取り入れ、
ii)次に、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性下面活性剤を、全組成物に対して好ましくは0.1〜45重量%となるように、i)のなかで撹拌しつつ10〜90℃にて溶かし、
iii)全組成物に対して好ましくは0.1〜90重量%となるように、水難溶性物質をステップii)の界面活性剤の添加と同時又は添加の後に加え、
iv)少なくとも1種の両親媒性物質NP−MCAを、全組成物に対して好ましくは0.1〜80重量%となるように加えることにより、生成したエマルションを光学的に透明なナノ相体系へ変え、そして、
v)ステップi)〜iv)を含む混合の手順の最後に必要に応じて添加剤を加える。
【請求項10】
前記組成物に外部から気体を加えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9及び10の方法を使用して製造され、請求項1〜7のいずれか1項に記載された、有機材料又は無機材料で作られた物体を湿式洗浄するための組成物。
【請求項12】
有機材料又は無機材料で作られた物体を湿式洗浄するための気体又は気泡を製造する方法であって、流体ナノ相体系の態様である請求項1〜7に記載された組成物を、洗浄される物体に接触させることを特徴とする方法。
【請求項13】
有機材料又は無機材料で作られた物体を洗浄するための組成物の使用であって、流体ナノ相体系の態様であり下記成分を含む組成物の使用。
a)0.1〜90重量%の量であり、リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、
b)0.1〜80重量%の量であり、界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)、
c)0.1〜45重量%の量であり、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、
d)1.0〜90重量%の量であり、特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、
e)必要に応じて0.01〜10重量%の量であり、1種又はそれ以上の添加剤。(ただし、示された百分率はいずれの場合でも全組成物重量に対するものである)。
【請求項14】
前記組成物が請求項2〜7のいずれか1項に記載されたものであることを特徴とする請求項12に記載の組成物の使用。
【請求項15】
前記組成物が外部から加えられた少なくとも1種の気体をさらに含むことを特徴とする請求項13及び14に記載の組成物の使用。
【請求項16】
請求項1〜7に記載の組成物から、又は、請求項9又は10に記載の方法を使用して製造される組成物から生成される気体又は気泡の使用。
【請求項17】
有機材料又は無機材料で作られた物体の表面を湿式洗浄する気体又は気泡を製造するための組成物の使用であって、
a)0.1〜90重量%の量であり、リットル当たり4g未満の水溶解度を有する少なくとも1種の難水溶性物質、
b)0.1〜80重量%の量であり、界面活性剤構造を有さずそれ自体で構造を形成せず水又は油における溶解度がリットル当たり4g及び1000gの間であり優先的には油−水界面に蓄積しない少なくとも1種の両親媒性物質(NP−MCA)、
c)0.1〜45重量%の量であり、アニオン性、カチオン性、両性、及び/又は、非イオン性の少なくとも1種の界面活性剤、
d)1.0〜90重量%の量であり、特にヒドロキシル基を有する少なくとも1種のプロトン性極性溶媒、
e)必要に応じて0.01〜10重量%の量であり、1種又はそれ以上の添加剤、
(ただし、示された百分率はいずれの場合でも全組成物重量に対するものである)
を含む組成物の使用。
【請求項18】
請求項1〜7又は11に記載された本発明の組成物を含むキットオブパーツを有する媒体又は集合体であって、
前記組成物が、洗浄方法のために提供される物品、又は、洗浄及び/又は添加剤に有用な物品と空間的に分離され機能的に組み合わされている媒体又は集合体。
【請求項19】
外部から加えられた気体を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−521281(P2012−521281A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501173(P2012−501173)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001774
【国際公開番号】WO2010/108639
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510076155)バブルズ アンド ビヨンド ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】