説明

物体データ間関連付けシステム、物体データ間関連付け方法、登録装置、及び読み出し装置

【課題】タグの貼付を行わずに任意の物体とデータとを関連付ける。
【解決手段】安定化判定部22が、映像情報取得部21が取得した映像情報の中に物体が存在すると判定した場合、特徴情報抽出部23は、映像情報から物体の特徴を示す特徴情報を抽出する。次に、リンク情報登録部28は、データ入力部25が入力を受け付けたデータと特徴情報抽出部23が抽出した特徴情報とを関連付けてデータ管理装置4のデータベース42に登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録し、また、物体に関連付けられたデータをデータベースから読み出す物体データ間関連付けシステム、物体データ間関連付け方法、登録装置、及び読み出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の進化及びインターネットの普及により、インターネットを通じて個人が撮影したデジタル写真や動画などのデータを共有することが容易になっている。しかし、従来のデータ共有方法は、主にPC(Personal Computer)を用いて操作を行う必要があったため、PCの操作に不慣れな人は、これらのデータを取得することが困難であるという問題がある。これに対し、インターネット対応TV(Television)等の非PC機器を用いてデータの共有を行うことも考えられる。しかし、従来の非PC機器は、リモコンによる操作が主となるため、複雑な操作には不向きであるという問題がある。
このような問題を解決するため、任意の物体とデータとを関連付け、当該物体を用いた操作により、関連付けられたデータを読み出すシステムが提案されている。これにより、コンピュータの操作に不慣れな人でも直感的にデータの取出しを行うことができる。
【0003】
非特許文献1には、RFID(Radio Frequency Identification)タグとデータとを関連付けてサーバ装置に格納しておき、当該タグを貼付した任意の物体をRFIDの読取装置に近接させることで、データを取得する技術が開示されている。
また、RFIDタグに限らず、二次元バーコードや、その他の形式のタグを用いても同様の関連付けを行うことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Michael Nunes、Saul Greenberg、Carman Neustaedter、“Sharing Digital Photographs in the Home through Physical Mementos,Souvenirs,and Keepsakes”、「Proceedings of the 7th ACM conference on Designing interactive systems」、ACM、2008年2月、250−260頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の手法では、タグを用いて任意の物体とデータとを関連付けるため、以下の問題点がある。
(1)タグの貼付にコスト及び手間がかかる。
(2)タグの貼付により物体のデザインを損なう。
(3)貼付したタグの破損や剥脱により物体とデータとの関連付けが失われる。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、タグの貼付を行わずに任意の物体とデータとを関連付ける物体データ間関連付けシステム、物体データ間関連付け方法、登録装置、及び読み出し装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録し、前記物体に関連付けられたデータを前記データベースから読み出す物体データ間関連付けシステムであって、撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、前記物体に関連付けるデータの入力を受け付けるデータ入力部と、前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録する登録部と、前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索する特徴情報検索部と、前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを表示するデータ表示部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明において、前記存在判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報のフレーム画像に含まれる前記物体の領域の面積を算出し、当該面積が所定の閾値を超える場合に、前記物体が存在すると判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記映像情報取得部が取得した映像情報において、関連付けの対象となる物体の映りが安定しているか否かを判定する安定化判定部を備え、前記特徴情報抽出部は、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定された場合に、映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、前記安定化判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の各フレーム画像に含まれる前記物体の領域の面積を算出し、連続するフレーム画像間における前記物体の領域の面積の差が所定の範囲内である場合に、前記物体の映りが安定していると判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記安定化判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の連続するフレーム画像間における前記物体の領域の面積の差が、所定のフレーム数以上連続して所定の範囲内である場合に、前記物体の映りが安定していると判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定したフレーム画像のうち最初のフレーム画像の各画素値と前記映像情報取得部が取得した映像情報の現在のフレーム画像の各画素値との差が、所定の閾値を超えた場合に、前記物体の映りが安定していないと判定する不安定化判定部を備え、前記登録部は、前記データベースへの登録を実行する前に、前記不安定化判定部によって前記物体の映りが安定していないと判定された場合、前記データベースへの登録を中止し、前記表示部は、前記不安定化判定部によって前記物体の映りが安定していないと判定された場合、前記読み出したデータの表示を終了することを特徴とする。
【0013】
また、本発明において、前記不安定化判定部は、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定したフレーム画像のうち最初のフレーム画像における前記物体の領域を切落しマスクとして、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定した最初のフレーム画像の切落しにより得られる画像の各画素値と、前記映像情報取得部が取得した映像情報の現在のフレーム画像の切落しにより得られる画像の各画素値との差が、所定の閾値を超えた場合に、前記物体の映りが安定していないと判定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録し、前記物体に関連付けられたデータを前記データベースから読み出す物体データ間関連付けシステムを用いた物体データ間関連付け方法であって、映像情報取得部は、撮像装置から映像情報を取得し、存在判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定し、特徴情報抽出部は、前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出し、データ入力部は、前記物体に関連付けるデータの入力を受け付け、登録部は、前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録し、特徴情報検索部は、前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索し、データ取得部は、前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得し、データ表示部は、前記データ取得部が取得したデータを表示する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録する登録装置であって、撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、前記物体に関連付けるデータの入力を受け付けるデータ入力部と、前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録する登録部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、物体に関連付けられたデータを、物体の特徴情報とデータとを関連付けて記憶するデータベースから読み出す読み出し装置であって、撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索する特徴情報検索部と、前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得するデータ取得部と、前記データ取得部が取得したデータを表示するデータ表示部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物体の映像から抽出した特徴情報とデータとを関連付けてデータベースに登録するので、タグの貼付を行わずに任意の物体とデータとを関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による物体データ間関連付けシステムの概略構成図である。
【図2】物体データ間関連付けシステムの各装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】データベースが記憶する各テーブルの構成を示す図である。
【図4】登録装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】安定化判定部による安定化判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】映像情報のフレーム数と面積Sとの関係を示すグラフである。
【図7】安定化判定部による不安定化判定処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】フレーム画像の切落しによって得られる切落し画像を示す図である。
【図9】読み出し装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態による物体データ間関連付けシステムの利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による物体データ間関連付けシステムの概略構成図である。
物体データ間関連付けシステムは、撮像装置1−1、1−2、登録装置2、読み出し装置3、データ管理装置4を備える。撮像装置1−1と登録装置2、撮像装置1−2と読み出し装置3は有線で接続されている。また、登録装置2、読み出し装置3、データ管理装置4は、それぞれLAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワークを介して接続されている。
【0020】
撮像装置1−1、1−2は、関連付けの対象となる物体を撮像し、当該物体を含む映像情報を登録装置2、読み出し装置3に出力する。
登録装置2は、撮像装置1−1から映像情報を入力し、当該映像情報に含まれる物体と、ユーザによって選択されたデータとを関連付けてデータ管理装置4に登録する。
読み出し装置3は、撮像装置1−2から映像情報を入力し、当該映像情報に含まれる物体に関連付けられたデータをデータ管理装置4から受信する。
【0021】
図2は、物体データ間関連付けシステムの各装置の構成を示す概略ブロック図である。
撮像装置1−1、1−2は、物体を載置される撮影台11と、撮影台11に載置された物体が視野内に収まる位置に設置されたカメラ12とを備える。本実施形態では、撮像装置1−1、1−2は筐体を有し、撮影台11は、透明または半透明の素材で形成されており、当該筐体の上面に配置されているものとする。そして、カメラ12は、筐体内部、即ち撮影台11の下方に設置され、撮影台11の上部に載置された物体を撮像するものとする。そして、撮像装置1−1は、映像情報を登録装置2に出力し、撮像装置1−2は、映像情報を読み出し装置3に出力する。
【0022】
登録装置2は、映像情報取得部21、安定化判定部22(不安定化判定部)、特徴情報抽出部23、特徴情報登録部24、データ入力部25、データ表示部26、リンク情報生成部27、リンク情報登録部28を備える。
映像情報取得部21は、撮像装置1−1から映像情報を取得する。なお、映像情報取得部21は、撮像装置1−1が出力する映像情報の全てのフレーム画像を取得する必要は無く、所定のフレーム毎に、フレーム画像を取得しても良い。
安定化判定部22は、映像情報取得部21が取得した映像情報の中に物体が存在するか否か、及び当該映像情報に含まれる物体の映りが安定しているか否かを判定する。また、安定化判定部22は、内部メモリに映像情報の背景画像を記憶する。ここで、背景画像とは、撮像装置1−1の撮影台11に物体が載置されていないときの画像のことである。
特徴情報抽出部23は、安定化判定部22の判定結果に基づいて、映像情報取得部21が取得した映像情報に含まれる物体の特徴を示す特徴情報を抽出する。ここで、特徴情報とは、例えば、映像情報のフレーム画像における物体の領域のエッジ部の座標を示す情報や、物体の重心の座標から輪郭までの角度毎の距離を示す情報など、物体の形状の特徴を示す情報のことである。
特徴情報登録部24は、特徴情報抽出部23が抽出した特徴情報をデータ管理装置4に送信する。
【0023】
データ入力部25は、ユーザから、特徴情報抽出部23が抽出した特徴情報に関連付けるデータの入力を受け付ける。
データ表示部26は、データ入力部25が入力を受け付けたデータを表示する。
リンク情報生成部27は、特徴情報抽出部23が抽出した特徴情報とデータ入力部25が入力を受け付けたデータとを関連付けるリンク情報を生成する。
リンク情報登録部28は、リンク情報生成部27が生成したリンク情報をデータ管理装置4に送信する。
【0024】
読み出し装置3は、映像情報取得部31、安定化判定部32(不安定化判定部)、特徴情報抽出部33、特徴情報検索部34、データ取得部35、データ表示部36を備える。
映像情報取得部31は、撮像装置1−2から映像情報を取得する。
安定化判定部32は、映像情報取得部31が取得した映像情報に含まれる物体の映りが安定しているか否かを判定する。また、安定化判定部22は、内部メモリに映像情報の背景画像を記憶する。
特徴情報抽出部33は、安定化判定部32の判定結果に基づいて、映像情報取得部31が取得した映像情報に含まれる物体の特徴を示す特徴情報を抽出する。
特徴情報検索部34は、データ管理装置4から、特徴情報抽出部33が抽出した特徴情報と類似する特徴情報を検索する。
データ取得部35は、特徴情報検索部34の検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータをデータ管理装置4から取得する。
データ表示部36は、データ取得部35が取得したデータを表示する。
【0025】
データ管理装置4は、データ管理部41、データベース42、データ記憶部43を備える。
データ管理部41は、データベース42への情報の登録、及びデータベース42からの情報の読み出しを行う。また、データ管理部41は、物体に関連付けられたデータのデータ記憶部43への登録、及び物体に関連付けられたデータのデータ記憶部43からの読み出しを行う。
データベース42は、物体を特定する物体IDと物体の特徴情報とを関連付けて記憶する特徴情報テーブル、データを特定するデータIDとデータ種別とデータ本体へのパスとを関連付けて記憶するデータテーブル、物体IDとデータIDとの関連付けを示すリンク情報を記憶するリンクテーブルを記憶する。
データ記憶部43は、物体に関連付けられたデータの本体を記憶する。
【0026】
図3は、データベースが記憶する各テーブルの構成を示す図である。
データベース42が記憶する特徴情報テーブルは、図2(a)に示すように、物体IDと特徴情報とを関連付けて記憶する。なお、物体ID及び特徴情報は、特徴情報テーブル内において一意(unique)であるものとする。
データベース42が記憶するデータテーブルは、図2(b)に示すように、データIDとデータ種別とパスとを関連付けて記憶する。なお、データID及びパスは、データテーブル内において一意であるものとする。
データベース42が記憶するリンクテーブルは、図2(c)に示すように、物体IDとデータIDとを関連付けて記憶する。なお、物体ID及びデータIDは、リンクテーブル内において一意でなくても良い。つまり、ある物体IDに複数のデータIDが関連付けられていても良い、また、あるデータIDが複数の物体IDに関連付けられていても良い。
【0027】
そして、登録装置2の映像情報取得部21は、撮像装置1−1から映像情報を取得し、安定化判定部22は、映像情報取得部21が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する。次に、特徴情報抽出部23は、安定化判定部22によって物体が存在すると判定された場合に、映像情報取得部21が取得した映像情報から物体の特徴を示す特徴情報を抽出する。そして、データ入力部25は、物体に関連付けるデータの入力を受け付け、リンク情報登録部28は、データ入力部25が入力を受け付けたデータと特徴情報抽出部23が抽出した特徴情報とを関連付けてデータ管理装置4のデータベース42に登録する。
【0028】
他方、読み出し装置3の映像情報取得部31は、撮像装置1−2から映像情報を取得し、安定化判定部32は、映像情報取得部31が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する。次に、特徴情報抽出部33は、安定化判定部32によって物体が存在すると判定された場合に、映像情報取得部31が取得した映像情報から物体の特徴を示す特徴情報を抽出する。そして、特徴情報検索部34は、特徴情報抽出部33が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報をデータベース42から検索し、データ取得部35は、特徴情報検索部34による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータをデータベース42から取得する。次に、データ表示部36は、データ取得部35が取得したデータを表示する。
これにより、物体データ間関連付けシステムは、タグの貼付を行わずに任意の物体とデータとを関連付けることができる。
【0029】
次に、本実施形態による物体データ間関連付けシステムの動作を説明する。
まず、登録装置2による、物体とデータとを関連付けるリンク情報の登録動作を説明する。
図4は、登録装置の動作を示すフローチャートである。
登録装置2が起動すると、登録装置2に接続された撮像装置1−1のカメラ12は、撮影台11の上部の撮像を開始する。そして、映像情報取得部21は、カメラ12が撮像した映像情報を取得する(ステップS101)。次に、安定化判定部22は、映像情報の中に物体が存在するか否か、そして映像情報において物体の映りが安定しているか否かを判定する安定化判定処理を実行する(ステップS102)。
【0030】
図5は、安定化判定部による安定化判定処理の動作を示すフローチャートである。
安定化判定部22は、安定化判定処理を開始すると、まず、映像情報取得部21が取得した映像情報の現在のフレーム画像と内部メモリに記憶する背景画像との各画素の差分を算出し、当該差分の画素からなる差分画像を生成する(ステップS301)。
次に、安定化判定部22は、生成した差分画像から、フレーム画像に含まれる前景の最外郭のシルエットを抽出し、シルエット画像を生成する(ステップS302)。
【0031】
シルエット画像の生成は、例えば以下のように行う。
まず、安定化判定部22は、差分画像に対して二値化処理を行い、二値化画像を生成する。二値化処理とは、各画素の明るさを所定の閾値により、黒色と白色の2つの値に変換する処理のことである。二値化処理は、例えば、1979年に大津展之によって提案された閾値設定手法を用いて行うと良い。次に、安定化判定部22は、二値化画像の各画素に対して背景部分であるか前景部分であるかを示すラベル情報を付与するラベリング処理を行う。なお、ラベリング処理とは、同じ画素値を示す隣接する画素に同一のラベル情報を付与することで、画素集合として分類する処理のことである。そして、安定化判定部22は、前景部分であることを示すラベル情報が付与された画素集合のうち最大の画素集合の最外郭に囲まれた画素を黒色とし、他の画素を白色とするシルエット画像を生成する。
【0032】
安定化判定部22は、ステップS302でシルエット画像を生成すると、生成したシルエット画像のうち黒色画素の画素数を算出することで、フレーム画像に含まれる前景の面積S(以下、面積Sと記載する)を算出する(ステップS303)。次に、安定化判定部22は、面積Sが、フレーム画像に物体が含まれるか否かを判定する物体存在判定閾値e以上であるか否かを判定する(ステップS304)。
【0033】
安定化判定部22は、面積Sが物体存在判定閾値e未満であると判定した場合(ステップS304:NO)、物体が撮像装置1−1の撮影台11に載置されていない「未載置状態」であると判定し(ステップS305)、安定化判定処理を終了する。
【0034】
他方、安定化判定部22は、面積Sが物体存在判定閾値e以上であると判定した場合(ステップS304:YES)、内部メモリから、連続安定化フレーム数Nと直前のフレーム画像における前景の面積S´(以下、面積S´と記載する)を読み出す(ステップS306)。なお、連続安定化フレーム数Nとは、物体が安定して撮影台11に載置されていると連続して判定されたフレーム数を示す。また、連続安定化フレーム数N及び面積S´は、後述する処理で内部メモリに登録される情報であり、初回実行時の内部メモリには、連続安定化フレーム数N、面積S´として「0」が記憶されているものとする。
【0035】
安定化判定部22は、ステップS306で連続安定化フレーム数Nと面積S´とを読み出すと、面積S´と面積Sとの差の絶対値が、物体が安定して撮影台11に載置されているか否かを判定する安定化判定閾値s未満であるか否かを判定する(ステップS307)。
【0036】
安定化判定部22は、面積S´と面積Sとの差の絶対値が安定化判定閾値s以上であると判定した場合(ステップS307:NO)、連続安定化フレーム数Nを0にリセットして内部メモリに記録し、また、面積Sを面積S´として内部メモリに記録する(ステップS308)。そして、安定化判定部22は、フレーム画像において、物体の映りが不安定である「不安定状態」であると判定し(ステップS309)、安定化判定処理を終了する。
【0037】
他方、安定化判定部22は、面積S´と面積Sとの差の絶対値が安定化判定閾値s未満であると判定した場合(ステップS307:YES)、連続安定化フレーム数Nに1を加算して内部メモリに記録し、また、面積Sを面積S´として内部メモリに記録する(ステップS310)。次に、安定化判定部22は、連続安定化フレーム数Nが、物体が安定して撮影台11に載置された状態が継続しているか否かを判定するフレーム数である連続安定化判定閾値n以上であるか否かを判定する(ステップS311)。
【0038】
安定化判定部22は、連続安定化フレーム数Nが連続安定化判定閾値n未満であると判定した場合(ステップS311:NO)、フレーム画像の状態が「不安定状態」であると判定し(ステップS309)、安定化判定処理を終了する。
他方、安定化判定部22は、連続安定化フレーム数Nが連続安定化判定閾値n以上であると判定した場合(ステップS311:YES)、フレーム画像から前景画像を抽出し、内部メモリに記録する(ステップS312)。即ち、安定化判定部22は、「安定状態」であると判定したフレーム画像のうち、最初のフレーム画像を内部メモリに記録する。
【0039】
前景画像は、例えば、ステップS302で生成したシルエット画像を切落しマスクとして、安定化判定部22がフレーム画像の切落しを行うことにより得ることができる。ここで、切落しマスクとは、ピクセルマップによって定義される領域であって、その境界の外側の表示データを切り取るものである。また、切落しとは、切落しマスクの外側にある表示要素を全部除去することによって、内側のデータだけを取り出す動作のことである。
安定化判定部22は、ステップS312で前景画像を記憶すると、フレーム画像において、物体の映りが安定している「安定状態」であると判定し(ステップS313)、安定化判定処理を終了する。
【0040】
図6は、映像情報のフレーム数と面積Sとの関係を示すグラフである。
つまり、安定化判定処理において安定化判定部22は、映像情報取得部21が取得した映像情報の各フレーム画像に含まれる物体の領域の面積Sを算出し、図6に示すように、連続するフレーム画像間における物体の領域の面積の差の絶対値|S´−S|が、連続安定化判定閾値n以上連続して安定化判定閾値sの範囲内である場合に、物体の映りが安定している状態である「安定状態」であると判定する。
【0041】
安定化判定部22は、図4に示すステップS102による安定化判定処理を完了すると、安定化判定処理において、フレーム画像の状態が「安定状態」であると判定したか否かを判定する(ステップS103)。安定化判定部22は、フレーム画像の状態が「未載置状態」または「不安定状態」であると判定した場合(ステップS103:NO)、ステップS102に戻り、次のフレーム画像に対する安定化判定処理を行う。
【0042】
他方、安定化判定部22が、フレーム画像の状態が「安定状態」であると判定した場合(ステップS103:YES)、特徴情報抽出部23は、「安定状態」であると判定されたフレーム画像から特徴情報を抽出する(ステップS104)。
【0043】
特徴情報の抽出は、例えば、特徴情報としてフレーム画像における物体の領域のエッジ部の座標を示す情報(特徴点)を用いる場合、特徴情報抽出部23は、安定化判定部22が図5に示すステップS312で生成した前景画像に対してSIFT(Scale Invariant Feature Transform)やSURF(Speeded Up Robust Features)などの特徴点抽出手法を用いることで、複数の特徴点の集合からなる特徴情報を抽出することができる。
【0044】
また、特徴情報として、物体の重心の座標から輪郭までの角度毎の距離を示す情報(極座標情報)など、物体の形状の特徴を示す情報を用いる場合、特徴情報抽出部23は、安定化判定部22が図5に示すステップS302で生成したシルエット画像における、物体の重心から画素値の切り替わりの点までの距離を所定の角度毎に三角関数を用いて算出することで、特徴情報を抽出することができる。
【0045】
ステップS104で特徴情報抽出部23が特徴情報を抽出すると、特徴情報登録部24は、抽出した特徴情報をデータ管理装置4に送信し、当該特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報がデータ管理装置4のデータベース42に未登録であるか否かを問い合わせる(ステップS105)。
【0046】
データ管理装置4のデータ管理部41は、登録装置2から特徴情報を受信すると、当該特徴情報とデータベース42が記憶する特徴情報テーブルに格納された各特徴情報との類似度を算出する。類似度の算出は、例えば以下のように行う。
特徴情報としてSIFTやSURFによって算出された特徴点を用いる場合、データ管理部41は、特徴点同士の類似度の合計が最大となる組み合わせを割当問題解法アルゴリズム(例えば線形計画法)によって算出し、各特徴点の類似度の合計値を、特徴情報間の類似度として算出する。
特徴情報として極座標情報を用いる場合、データ管理部41は、極座標情報が示すデータ列の先頭を1つずつずらしながら、すなわち角度をずらしながら極座標情報同士の類似度を算出し、最大となる類似度を特徴情報間の類似度として算出する。
【0047】
そして、データ管理部41は、登録装置2から受信した特徴情報とデータベース42が記憶する特徴情報テーブルに格納された各特徴情報との類似度のうち最大のものが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。
データ管理部41は、登録装置2から受信した特徴情報との類似度が所定の閾値以上であると判定した場合、類似度が最大となる特徴情報に関連付けられた物体IDを特徴情報テーブルから読み出し、登録装置2に送信する。他方、データ管理部41は、登録装置2から受信した特徴情報との類似度が所定の閾値以上であると判定した場合、特徴情報が未登録であると判定し、特徴情報が未登録であることを示す情報を登録装置2に送信する。
【0048】
登録装置2の特徴情報登録部24は、データ管理装置4から、特徴情報が未登録であることを示す情報を受信した場合(ステップS105:NO)、当該特徴情報の登録要求をデータ管理装置4に送信する(ステップS106)。データ管理装置4のデータ管理部41は、登録装置2から登録要求を受信すると、ステップS105で受信した特徴情報をデータベース42の特徴情報テーブルに記録し、当該特徴情報に関連付けて固有の物体IDを付与する。そして、データ管理部41は、付与した物体IDを登録装置2に通知する。
【0049】
他方、登録装置2の特徴情報登録部24は、データ管理装置4から、特徴情報に関連付けられた物体IDを受信した場合(ステップS105:YES)、データ管理装置4から受信した物体IDに関連付けられたデータの送信要求を送信する。
データ管理装置4のデータ管理部41は、登録装置2から物体IDを含む送信要求を受信すると、データベース42のリンク情報テーブルから受信した物体IDに関連付けられたデータIDを全て読み出す。次に、データ管理部41は、データベース42のデータテーブルから、読み出したデータIDに関連付けられたデータのパスを読み出す。次に、データ管理部41は、データ記憶部43から、読み出したパスによって特定されるデータを読み出す。そして、データ管理部41は、読み出したデータを登録装置2に送信する。
登録装置2の特徴情報登録部24は、データ管理装置4からデータを受信する(ステップS107)。
【0050】
ステップS106で特徴情報登録部24が特徴情報の物体IDを受信すると、またはステップS107で、特徴情報登録部24が物体に関連付けられたデータを受信すると、データ入力部25は、ユーザから物体に関連付けるデータの入力を受け付ける(ステップS108)。ここで、データの入力とは、外部から登録装置2にデータを取り入れること、または登録装置2に予め登録されているデータの中から関連付けるデータを選択することである。
【0051】
以下に、データの入力方法の一例を説明する。
登録装置2がデータ管理装置4から物体IDを受信すると、データ表示部26は、登録装置2に予め登録されているデータの一覧を表示する。ユーザは、ゲーム用リモコンや奥行カメラなど、直感的ジェスチャを検出する入力装置を介して、登録装置2のデータ入力部25へ出力する。このように、データの選択を直感的なジェスチャによって行うことで、ユーザが高度な編集技術を有していなくても簡単に送信データの選択を行うことができる。なお、ステップS107で特徴情報登録部24が物体IDに関連付けられているデータを受信している場合、データ入力部25は、受信したデータに追加するデータとしてデータの入力を受け付ける。
また、このとき、マイクやカメラを介して、関連付けたデータの説明の音声や映像をデータ入力部25に出力しても良い。
【0052】
ステップS108で、データ入力部25がユーザから関連付けるデータの入力を受け付けると、データ表示部26は、データ入力部25が入力を受け付けたデータを順に表示する(ステップS109)。この表示は、データ入力部25が入力を受け付けたデータを物体に関連付けても良いか否かの確認を行うために行っている。そして、ユーザは物体を撮像装置1−1の撮影台11から除去することで、データの関連付けをキャンセルする。
そのため、ステップS109でデータ表示部26がデータの表示を行っている間、安定化判定部22は、ユーザによって物体が除去されたか否かを判定する不安定化判定処理を実行する(ステップS110)。
【0053】
図7は、安定化判定部による不安定化判定処理の動作を示すフローチャートである。
図8は、フレーム画像の切落しによって得られる切落し画像を示す図である。
安定化判定部22は、不安定化判定処理を開始すると、まず、図8(a)に示すステップS312で内部メモリに記録した安定状態の前景画像を切落しマスクとして、図8(b)に示す映像情報取得部21が取得した映像情報の現在のフレーム画像の切落しを行い、図8(c)に示す切落し画像を生成する(ステップS401)。
これにより、フレーム画像に含まれる影などによる前景の最外郭の変化を無視することができる。
【0054】
次に、安定化判定部22は、内部メモリに記憶する安定状態の前景画像の各画素値と、ステップS401で生成した切落し画像の各画素値とを、それぞれ比較し、画素値の異なり度合いを示す差分値を算出する(ステップS402)。
具体的には、安定化判定部22は、まず前景画像及び切落し画像を色空間成分の各チャンネルの画像に分離する。ここで、色空間成分とは、RGB(赤、緑、青)、YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン)、HSV(色相、彩度、明度)、YCbCr(輝度、青信号色差、赤信号色差)、YPbPr(輝度、青信号色差、赤信号色差)などである。次に、安定化判定部22は、分離した画像の各画素値の差の絶対値を算出する。そして、安定化判定部22は、算出した輝度値の差の絶対値を合計することで、差分値を算出する。つまり、差分値が大きいほど、画像間の差異が大きいということが分かる。
【0055】
安定化判定部22は、ステップS402で安定状態の前景画像の画素値と切落し画像の画素値との比較結果である差分値を算出すると、算出した差分値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS403)。安定化判定部22は、算出した差分値が所定の閾値以上であると判定した場合(ステップS403:YES)、フレーム画像において物体の映りが不安定である「不安定状態」であると判定し(ステップS404)、不安定化判定処理を終了する。他方、安定化判定部22は、算出した差分値が所定の閾値未満であると判定した場合(ステップS403:NO)、フレーム画像において物体の映りが安定している「安定状態」であると判定し(ステップS405)、不安定化判定処理を終了する。
【0056】
安定化判定部22は、図4に示すステップS110による不安定化判定処理を完了すると、不安定化判定処理において、データ表示部26がデータの表示を行っている間、フレーム画像の状態が「安定状態」であると判定したか否かを判定する(ステップS111)。即ち、安定化判定部22は、データ表示部26によるデータの表示中に物体が撮像装置1−1の撮影台11から除去されたか否かを判定する。
安定化判定部22は、データ表示部26がデータの表示を行っている途中に、フレーム画像の状態が「不安定状態」であると判定した場合(ステップS111:NO)、ステップS109によるデータの表示を中断し、処理を終了する。
【0057】
他方、安定化判定部22は、データ表示部26によるデータの表示が終了するまで、フレーム画像の状態が「安定状態」のままであると判定した場合(ステップS111:YES)、リンク情報生成部27は、データ入力部25が入力したデータと、ステップS105またはステップS106で特徴情報登録部24が受信した物体IDとを関連付けるリンク情報を生成する(ステップS112)。そして、リンク情報登録部28は、データ入力部25が入力したデータ及びリンク情報生成部27が生成したリンク情報の登録要求をデータ管理装置4に送信する(ステップS113)。
【0058】
データ管理装置4のデータ管理部41は、登録装置2から登録要求を受信すると、登録装置2から受信したデータをデータ記憶部43に登録し、データ記憶部43の登録先のパスを取得する。そして、データ管理部41は、データベース42のデータテーブルに、登録したデータの種別と取得したパスとを記録する。また、データ管理部41は、データテーブルに、登録したデータ種別及びパスの組み合わせに関連付けて固有のデータIDを記録する。
そして、データ管理部41は、データベース42のリンクテーブルに、登録装置2から受信した物体IDとデータテーブルに記録したデータIDとを関連付けて記録する。
【0059】
ステップS13でリンク情報登録部28がリンク情報の登録要求を送信すると、安定化判定部22は、上述した不安定化判定処理を行う(ステップS114)。そして、安定化判定部22は、不安定化判定処理により、「安定状態」であると判定したか否かを判定する(ステップS115)。安定化判定部22は、「安定状態」であると判定した場合(ステップS115:YES)、ステップS114に戻り、不安定化判定処理を繰り返し実行する。
他方、安定化判定部22が、「不安定状態」であると判定した場合(ステップS115:NO)、登録装置2は、処理を終了する。
【0060】
次に、読み出し装置3による、物体に関連付けられたデータの読み出し動作を説明する。
図9は、読み出し装置の動作を示すフローチャートである。
読み出し装置3が起動すると、読み出し装置3に接続された撮像装置1−2のカメラ12は、撮影台11の上部の撮像を開始する。そして、映像情報取得部31は、カメラ12が撮像した映像情報を取得する(ステップS201)。次に、安定化判定部32は、登録装置2の安定化判定部22と同様に、安定化判定処理を実行する(ステップS202)。
【0061】
次に、安定化判定部32は、安定化判定処理において、フレーム画像の状態が「安定状態」であると判定したか否かを判定する(ステップS203)。安定化判定部32は、フレーム画像の状態が「未載置状態」または「不安定状態」であると判定した場合(ステップS203:NO)、ステップS202に戻り、次のフレーム画像に対する安定化判定処理を行う。
【0062】
他方、安定化判定部32が、フレーム画像の状態が「安定状態」であると判定した場合(ステップS203:YES)、特徴情報抽出部23は、「安定状態」であると判定されたフレーム画像から特徴情報を抽出する(ステップS204)。
次に、特徴情報検索部34は、抽出した特徴情報をデータ管理装置4に送信し、当該特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報がデータ管理装置4のデータベース42に未登録であるか否かを問い合わせる(ステップS205)。
【0063】
データ管理装置4のデータ管理部41は、読み出し装置3から特徴情報を受信すると、当該特徴情報とデータベース42が記憶する特徴情報テーブルに格納された各特徴情報との類似度を算出する。そして、データ管理部41は、読み出し装置3から受信した特徴情報とデータベース42が記憶する特徴情報テーブルに格納された各特徴情報との類似度のうち最大のものが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。
データ管理部41は、読み出し装置3から受信した特徴情報との類似度が所定の閾値以上であると判定した場合、類似度が最大となる特徴情報に関連付けられた物体IDを特徴情報テーブルから読み出し、読み出し装置3に送信する。他方、データ管理部41は、読み出し装置3から受信した特徴情報との類似度が所定の閾値以上であると判定した場合、特徴情報が未登録であると判定し、特徴情報が未登録であることを示す情報を読み出し装置3に送信する。
【0064】
読み出し装置3の特徴情報検索部34が、データ管理装置4から、特徴情報が未登録であることを示す情報を受信した場合(ステップS205:NO)、データ表示部36は、撮像装置1−2の撮影台11に載置された物体が未登録である旨を表示し(ステップS206)、処理を終了する。
【0065】
他方、特徴情報検索部34がデータ管理装置4から、特徴情報に関連付けられた物体IDを受信した場合(ステップS205:YES)、データ取得部35は、データ管理装置4から受信した物体IDに関連付けられたデータの送信要求を送信する。
データ管理装置4のデータ管理部41は、読み出し装置3から物体IDを含む送信要求を受信すると、データベース42のリンク情報テーブルから、受信した物体IDに関連付けられたデータIDを全て読み出す。次に、データ管理部41は、データベース42のデータテーブルから、読み出したデータIDに関連付けられたデータのパスを読み出す。次に、データ管理部41は、データ記憶部43から、読み出したパスによって特定されるデータを読み出す。そして、データ管理部41は、読み出したデータを読み出し装置3に送信する。
【0066】
そして、読み出し装置3のデータ取得部35は、データ管理装置4からデータを受信する(ステップS207)。次に、データ表示部36は、データ取得部35が入力を受け付けたデータを表示する(ステップS208)。このとき、ユーザは物体を撮像装置1−2の撮影台11から除去することで、データの表示を終了する。
そのため、ステップS208でデータ表示部36がデータの表示を行っている間、安定化判定部32は、ユーザによって物体が除去されたか否かを判定する不安定化判定処理を実行する(ステップS209)。
【0067】
そして、安定化判定部32は、不安定化判定処理により、「安定状態」であると判定したか否かを判定する(ステップS210)。安定化判定部32は、「安定状態」であると判定した場合(ステップS210:YES)、ステップS209に戻り、不安定化判定処理を繰り返し実行する。
他方、安定化判定部32が、「不安定状態」であると判定した場合(ステップS210:NO)、読み出し装置3は、処理を終了する。
【0068】
このように、本実施形態によれば、登録装置2は、物体の映像から抽出した特徴情報とデータとを関連付けてデータ管理装置4に登録し、読み出し装置3は、物体の映像から抽出した特徴情報に関連付けられたデータをデータ管理装置4から読み出すため、タグの貼付を行わずに任意の物体とデータとを関連付けることができる。
【0069】
図10は、本実施形態による物体データ間関連付けシステムの利用例を示す図である。
本実施形態による物体データ間関連付けシステムは、映像が詰まった(関連付けられた)思い出の品を使った世代間コミュニケーションツールとして用いることができる。
具体的には、データの送り手である孫は、旅先で拾った貝殻などの思い出の品をテレビの前の撮像装置1−1に置き、登録装置2に対して簡単な操作をすることで、思い出の品に詰め込みたい(関連付けたい)映像を編集することができる。
そして、この思い出の品を受け取った祖父母は、当該思い出の品をテレビの前の撮像装置1−2に置くだけで、読み出し装置3が動作し、思い出の品に詰められた(関連付けられた)映像を見ることができる。
このように、本実施形態による物体データ間関連付けシステムは、思い出の品を置くという簡単かつ直感的な操作で動作するため、ITリテラシの低いユーザでも、ネットワークを介してデータの共有を行うことができる。
【0070】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、物体データ間関連付けシステムが、物体とデータとの関連付けを行う登録装置2と物体から関連付けられたデータを読み出す読み出し装置3が別の装置として構成される例を説明したが、これに限られず、物体とデータとの関連付けを行う機能と物体から関連付けられたデータを読み出す機能とを備える装置によって構成されていても良い。
【0071】
また、本実施形態では、物体データ間関連付けシステムが、登録装置2と読み出し装置3とを1つずつ備える場合を説明したが、実際には多数の登録装置2と読み出し装置3によって構成される。
【0072】
また、本実施形態では、撮像装置1−1、1−2のカメラ12は、透明または半透明の素材で形成された撮影台11の下方に設置され、撮影台11の上部に載置された物体を撮像する場合を説明したが、これに限られず、例えば、撮像装置1−1、1−2の筐体内部に撮影台が設置され、カメラ12が撮影台11の上方に設置されることで、カメラ12が撮影台11の上部に載置された物体を撮像するようにしても良い。この場合、ユーザが撮像装置1−1、1−2の筐体の蓋を開け、任意の物体を箱の中に入れることで、撮像装置1−1、1−2が物体の撮像を行うこととなる。
【0073】
上述の登録装置2、読み出し装置3、データ管理装置4は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0074】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1−1、1−2…撮像装置 2…登録装置 3…読み出し装置 4…データ管理装置 11…撮影台 12…カメラ 21、31…映像情報取得部 22、32…安定化判定部 23、33…特徴情報抽出部 24…特徴情報登録部 25…データ入力部 26…データ表示部 27…リンク情報生成部 28…リンク情報登録部 34…特徴情報検索部 35…データ取得部 36…データ表示部 41…データ管理部 42…データベース 43…データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録し、前記物体に関連付けられたデータを前記データベースから読み出す物体データ間関連付けシステムであって、
撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、
前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、
前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、
前記物体に関連付けるデータの入力を受け付けるデータ入力部と、
前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録する登録部と、
前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索する特徴情報検索部と、
前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを表示するデータ表示部と、
を備えることを特徴とする物体データ間関連付けシステム。
【請求項2】
前記存在判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報のフレーム画像に含まれる前記物体の領域の面積を算出し、当該面積が所定の閾値を超える場合に、前記物体が存在すると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項3】
前記映像情報取得部が取得した映像情報において、関連付けの対象となる物体の映りが安定しているか否かを判定する安定化判定部を備え、
前記特徴情報抽出部は、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定された場合に、映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項4】
前記安定化判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の各フレーム画像に含まれる前記物体の領域の面積を算出し、連続するフレーム画像間における前記物体の領域の面積の差が所定の範囲内である場合に、前記物体の映りが安定していると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項5】
前記安定化判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の連続するフレーム画像間における前記物体の領域の面積の差が、所定のフレーム数以上連続して所定の範囲内である場合に、前記物体の映りが安定していると判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項6】
前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定したフレーム画像のうち最初のフレーム画像の各画素値と前記映像情報取得部が取得した映像情報の現在のフレーム画像の各画素値との差が、所定の閾値を超えた場合に、前記物体の映りが安定していないと判定する不安定化判定部を備え、
前記登録部は、前記データベースへの登録を実行する前に、前記不安定化判定部によって前記物体の映りが安定していないと判定された場合、前記データベースへの登録を中止し、
前記表示部は、前記不安定化判定部によって前記物体の映りが安定していないと判定された場合、前記読み出したデータの表示を終了する
ことを特徴とする請求項3から請求項5の何れか1項に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項7】
前記不安定化判定部は、
前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定したフレーム画像のうち最初のフレーム画像における前記物体の領域を切落しマスクとして、前記安定化判定部によって前記物体の映りが安定していると判定した最初のフレーム画像の切落しにより得られる画像の各画素値と、前記映像情報取得部が取得した映像情報の現在のフレーム画像の切落しにより得られる画像の各画素値との差が、所定の閾値を超えた場合に、前記物体の映りが安定していないと判定する
ことを特徴とする請求項6に記載の物体データ間関連付けシステム。
【請求項8】
任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録し、前記物体に関連付けられたデータを前記データベースから読み出す物体データ間関連付けシステムを用いた物体データ間関連付け方法であって、
映像情報取得部は、撮像装置から映像情報を取得し、
存在判定部は、前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定し、
特徴情報抽出部は、前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出し、
データ入力部は、前記物体に関連付けるデータの入力を受け付け、
登録部は、前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録し、
特徴情報検索部は、前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索し、
データ取得部は、前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得し、
データ表示部は、前記データ取得部が取得したデータを表示する、
ことを特徴とする物体データ間関連付け方法。
【請求項9】
任意の物体とデータとを関連付けてデータベースに登録する登録装置であって、
撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、
前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、
前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、
前記物体に関連付けるデータの入力を受け付けるデータ入力部と、
前記データ入力部が入力を受け付けたデータと前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報とを関連付けて前記データベースに登録する登録部と、
を備えることを特徴とする登録装置。
【請求項10】
物体に関連付けられたデータを、物体の特徴情報とデータとを関連付けて記憶するデータベースから読み出す読み出し装置であって、
撮像装置から映像情報を取得する映像情報取得部と、
前記映像情報取得部が取得した映像情報の中に物体が存在するか否かを判定する存在判定部と、
前記存在判定部によって物体が存在すると判定された場合に、前記映像情報取得部が取得した映像情報から前記物体の特徴を示す特徴情報を抽出する特徴情報抽出部と、
前記特徴情報抽出部が抽出した特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる特徴情報を前記データベースから検索する特徴情報検索部と、
前記特徴情報検索部による検索結果として得られた特徴情報に関連付けられたデータを前記データベースから取得するデータ取得部と、
前記データ取得部が取得したデータを表示するデータ表示部と、
を備えることを特徴とする読み出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−134066(P2011−134066A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292400(P2009−292400)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】