説明

物体検出装置

【課題】移動体の周囲の物体を精度よく検出することができる物体検出装置を提供する。
【解決手段】物体検出装置1は、複数の傾斜状態の間で姿勢が変化するよう変形可能な移動体Xに搭載されている。物体検出装置1は、移動体Xの前傾状態に応じて設置された前方監視センサ2と、移動体Xの後傾状態に応じて設置された前方監視センサ3と、前方監視センサ2,3の何れかを選択し、選択した前方監視センサによって障害物を検出するECU5と、を備えている。このとき、ECU5では、選択する前方監視センサが移動体Xの傾斜状態に応じて切り替えられる。よって、移動体の傾斜状態に応じて移動体の周囲の物体を検出することできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置に関し、特に、複数の傾斜状態の間で姿勢が変化するよう変形可能な移動体の周囲の物体を検出するための物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の物体検出装置としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この物体検出装置では、移動体(車両)の周囲(前方)を監視して周囲情報を取得し、この周囲情報に基づいて移動体の周囲の物体(障害物)を検出することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−073282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような物体検出装置では、傾斜状態が変化するよう変形可能な移動体に搭載された場合、傾斜状態によっては、移動体の周囲の物体を精度よく検出することが困難となるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、移動体の周囲の物体を精度よく検出することができる物体検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る物体検出装置は、複数の傾斜状態の間で姿勢が変化するよう変形可能な移動体に搭載され、移動体の周囲の物体を検出するための物体検出装置であって、傾斜状態に応じて該傾斜状態ごとに複数設置され、周囲を監視して周囲情報を取得する周囲監視部と、複数の周囲監視部のうち少なくとも1つの周囲監視部を選択周囲監視部として選択し、選択周囲監視部による周囲情報に基づいて物体を検出する物体検出部と、を備え、物体検出部は、傾斜状態に応じて選択周囲監視部を切り替えることを特徴とする。
【0007】
この物体検出装置では、移動体の傾斜状態に応じて該傾斜状態ごとに周囲監視部が複数設置される。そして、これら複数の周囲監視部から選択された選択周囲監視部による周囲情報に基づいて周囲の物体が検出されると共に、この選択周囲監視部にあっては、移動体の傾斜状態に応じて切り替えられる。つまり、物体を検出する選択周囲監視部は、移動体の傾斜状態が考慮されて選択されることとなる。よって、移動体の傾斜状態に応じて移動体の周囲の物体を検出することでき、移動体の周囲の物体を精度よく検出することが可能となる。
【0008】
また、複数の周囲監視部は、第1傾斜状態に応じて移動体の前方に設置された第1周囲監視部と、第1傾斜状態よりも前傾の第2傾斜状態に応じて移動体の前方に設置された第2周囲監視部と、を含んで構成され、物体検出部は、移動体が第1傾斜状態と第2傾斜状態との間で変形する際において、第1周囲監視部で走行面が検出された場合、選択周囲監視部として第2周囲監視部を選択することが好ましい。この場合、移動体の変形中においても、移動体の周囲の物体を精度よく検出することが可能となる。
【0009】
また、移動体は、ホイールベース長が短くなるに従って走行面に対して前傾するよう変形する場合がある。また、複数の周囲監視部のそれぞれは、傾斜状態に応じた角度で該傾斜状態ごとに設置されている場合がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体の周囲の物体を精度よく検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る物体検出装置を示すブロック図である。
【図2】移動体を示す側面図である。
【図3】図1の物体検出装置の前方監視センサを示す拡大断面側面図である。
【図4】図1の物体検出装置のECUにおける処理を示すフローチャートである。
【図5】移動体の車両姿勢がロングホイールベース時からショートホイールベース時へ変化される際の前方監視センサの切替えを説明するための図である。
【図6】移動体の車両姿勢がショートホイールベース時からロングホイールベース時へ変化される際の前方監視センサの切替えを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の語は、移動体の前後方向、左右方向、上下方向に対応するものである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る物体検出装置を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の物体検出装置1は、複数の傾斜状態の間で車両姿勢(姿勢)が変化するよう変形可能な移動体Xに搭載されている。そこで、まず、この移動体Xについて説明する。
【0014】
図2(a)は歩行モード時の移動体を示す側面図であり、図2(b)は走行モード時の移動体を示す側面図である。図2に示すように、移動体Xは、1人乗りの電気車両であり、前方の2つの前輪Tf及び1つの後輪Trを含んで構成された3輪車両である。移動体Xでは、駆動モータの駆動によって駆動力を発生し、駆動モータの回生とブレーキによって制動力を発生する。この移動体Xは、車道、歩道、施設内の作業エリア等の様々な場所における路面、床、地面等の走行面21を走行可能とされている。移動体Xは、運転者が座る座席22の左右に設けられた操作レバーやスイッチによって操作される。
【0015】
この移動体Xは、ホイールベース長(つまり、前輪Tfの軸中心と後輪Trの軸中心との間の距離)を可変しつつ、走行面21に対する傾斜状態を可変して変形する機構を備えている。ここでの移動体Xは、図2(a)に示す歩行モード(低速モード)と、図2(b)に示す走行モード(高速モード)との2つの走行モードで走行するよう変形可能されている。
【0016】
歩行モード時、つまりショートホイールベース時の移動体X1は、歩行者の歩行速度で走行可能とされ、例えば最高6km/hで走行可能とされている。また、歩行モード時の移動体X1は、走行モード時の移動体X2に対し、重心位置が高く、ホイールベース長が短くされている。これにより、移動体X1では、小さな旋回半径で旋回可能となっている。
【0017】
一方、走行モード時、つまりロングホイールベース時の移動体X2は、比較的高速で走行可能とされ、例えば最高30km/hで走行可能とされている。また、走行モード時の移動体X2は、歩行モード時の移動体X1に対し、重心位置が低く、ホイールベース長が長く短くされている。これにより、移動体X2では、高速走行時での安定化が図られている。
【0018】
この移動体Xにあっては、例えば運転者によりスイッチが操作されると、歩行モードと走行モードとの間で車両姿勢が変化するよう変形する。具体的には、例えば歩行モードから走行モードへと移動体Xを変形する場合、可変用モータ(アクチュエータ)を駆動して後輪Trを前輪Tfに対して後方へ相対移動させ、ホイールベース長を伸張しつつ(長くしつつ)低背化して重心位置を低くすると共に、移動体Xの傾斜状態を走行面21に対し後傾状態にする(移動体Xの前方側が上に向き且つ後方側が下に向くように変形する)。
【0019】
他方、例えば走行モードから歩行モードへと移動体Xを変形する場合、可変用モータを駆動して後輪Trを前輪Tfに対して前方へ相対移動させ、ホイールベース長を縮小しつつ(短くしつつ)高背化して重心位置を高くすると共に、移動体Xの傾斜状態を走行面21に対し前傾状態にする(移動体Xの前方側が下に向き且つ後方側が上に向くように変形する)。
【0020】
なお、本実施形態の「傾斜状態」は、走行面に対するピッチ方向の傾斜状態を主に意図している。換言すると、傾斜状態は、走行面21に対し、左右方向に沿って延びる軸線回りに回転して傾斜するような状態を意図している。この傾斜状態は、例えば、走行面21に対し前傾状態、後傾状態及び水平状態等を含んでいる。
【0021】
図1に戻り、物体検出装置1は、移動体Xの前方の物体である障害物(例えば、歩行者、自転車等の移動物体や、電柱、郵便ポスト、落下物等の静止物体)を検出するためのものである。この物体検出装置1は、ショートホイールベース用前方監視センサ(周囲監視部,第2周囲監視部)2、ロングホイールベース用前方監視センサ(周囲監視部,第1周囲監視部)3、姿勢検出センサ4及びECU(Electronic ControlUnit:物体検出部)5を備えている。
【0022】
前方監視センサ2,3は、移動体Xの前方(進行方向)の障害物を検出するための前方監視センサであり、移動体Xの前方を監視する。図3に示すように、前方監視センサ2,3は、移動体Xの前方に取り付けられている。具体的には、前方監視センサ2,3は、移動体Xの前方において運転者の足を載置するステップ部6内に配設されている。これら前方監視センサ2,3は、移動体Xの走行時に生じる振動、及びサスペンションによる移動体Xの傾斜等によるズレを吸収可能にして取り付けられている。
【0023】
ここでの前方監視センサ2,3としては、レーザ光を利用して監視するレーザレーダが用いられている。つまり、前方監視センサ2,3は、レーザ光を左右にスキャンしながら前方に向けて出射し、反射してきたレーザ光を受光し、そのレーザ光のデータをレーザ光信号としてECU5に出力する。なお、レーザ光を上下にスキャンする場合もある。
【0024】
ショートホイールベース用前方監視センサ2は、移動体Xがショートホイールベース時の傾斜状態のときに最適な監視方向を向くような角度で取り付けられている。具体的には、ショートホイールベース用前方監視センサ2は、移動体Xの傾斜状態が前傾のとき、レーザ光を走行面21付近に向けて略水平方向に沿って出射し、走行面21近傍の空間を監視するように搭載されている。
【0025】
ロングホイールベース用前方監視センサ3は、移動体Xがロングホイールベース時の傾斜状態のときに最適な監視方向を向くような角度で取り付けられている。具体的には、ロングホイールベース用前方監視センサ3は、移動体Xの傾斜状態が後傾のとき、レーザ光を走行面21付近に向けて略水平方向に沿って出射し、走行面21近傍の空間を監視するように搭載されている。
【0026】
なお、障害物が宙に浮いている場合は少なく、走行面21と連続するように該走行面21に存在する(走行面21から伸びると)場合がほとんどである。よって、走行面21近傍の空間は、最も効果的な監視範囲といえる。
【0027】
姿勢検出センサ4は、移動体Xの車両姿勢を検出するためのセンサである。ここでの姿勢検出センサ4は、ホイールベース長を可変するために作動させる上記可変用モータの回転数を検出し、この回転数に関する信号を車両姿勢信号としてECU5に出力する。
【0028】
ECU5は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、物体検出装置1を統括制御するものである。ECU5は、姿勢検出センサ4から入力された車両姿勢信号に基づき移動体Xの現在の車両姿勢を判定し、かかる車両姿勢に応じて前方監視センサ2,3の何れかを選択する。そして、選択した前方監視センサ2,3の何れかによるレーザ光信号に基づいて障害物を検出する(詳しくは、後述)。
【0029】
次に、上述した物体検出装置1のECU5の処理について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0030】
本実施形態の物体検出装置1では、まず、姿勢検出センサ4から入力された車両姿勢信号に基づいて、現在の車両姿勢が「ショートホイールベース時の姿勢」、「ロングホールベース時の姿勢」、又は「姿勢変化中」の何れであるかを判定する(S1)。
【0031】
車両姿勢がロングホイールベース時の姿勢の場合(つまり、走行モード時の場合)、移動体Xの傾斜状態が後傾状態と判断できる(図5(a)参照)。よって、障害物を検出するために使用する前方監視センサとして、ロングホイールベース用前方監視センサ3を選択する(S2)。つまり、かかる場合、ロングホイールベース用前方監視センサ3を選択周囲監視部として選択する。
【0032】
一方、車両姿勢がショートホイールベース時の姿勢の場合(つまり、歩行モード時の場合)、移動体Xの傾斜状態が前傾状態と判断できる(図6(a)参照)。よって、障害物を検出するために使用する前方監視センサとして、ショートホイールベース用前方監視センサ2を選択する(S3)。つまり、かかる場合、ショートホイールベース用前方監視センサ2を選択周囲監視部として選択する。
【0033】
他方、車両姿勢が姿勢変化中の場合(つまり、変形時の場合)、移動体Xの傾斜状態が前傾状態と後傾状態との間で変化中と判断できる(図5(b)参照)。そこで、ロングホイールベース用前方監視センサ3が走行面21を検出したか否かを判定し、この判定結果に基づいて使用する前方監視センサを前方監視センサ2,3の間で切り替える(S4)。
【0034】
具体的には、ロングホイールベース用前方監視センサ3が走行面21の領域を所定量以上検出した場合、使用する前方監視センサとして、ショートホイールベース用前方監視センサ2を選択する。ロングホイールベース用前方監視センサ3が走行面21の領域を所定量以上検出しない場合、使用する前方監視センサとして、ロングホイールベース用前方監視センサ3を選択する。
【0035】
続いて、前方監視センサ2,3のうち選択した一方から入力されたレーザ信号に基づいて、障害物を検出する(S5)。ここでは、入力されたレーザ信号に基づいて、移動体Xの前方に障害物が存在するか否かを判定する。障害物が存在する場合、その障害物情報(移動体Xに対する相対位置、距離、方向等)を算出して取得する。そして、この障害物情報を含む出力信号を出力する。
【0036】
以上、物体検出装置1では、図5(a)に示すように、移動体Xの車両姿勢がロングホイールベース時であって傾斜状態が後傾状態のとき、この後傾状態に最適化されたロングホイールベース用前方監視センサ3によって前方の障害物が検出される。このときには、ロングホイールベース用前方監視センサ3から略水平にレーザ光が出射され、監視範囲Rlが効果的なものとなっている。なお、ショートホイールベース用前方監視センサ2の監視範囲Rsは、宙に向かうような上方側の監視範囲とされている。
【0037】
そして、図5(b)に示すように、移動体Xの車両姿勢がロングホイールベース時からショートホイールベース時へ変化され、傾斜状態が後傾状態から前傾状態へ変化される際には、かかる傾斜状態の変化に伴ってロングホイールベース用前方監視センサ3の監視範囲Rlも下方側へ傾動される。
【0038】
この際、図5(c)に示すように、ロングホイールベース用前方監視センサ3で走行面21が検出されたとき、ロングホイールベース用前方監視センサ3では充分な前方監視性能を発揮できないおそれがある。そこで、このとき、障害物を検出するために選択される前方監視センサが、ロングホイールベース用前方監視センサ3から、障害物を検出できる蓋然性の高いショートホイールベース用前方監視センサ2に切り替えられる。そして、その後、このショートホイールベース用前方監視センサ2によって前方の障害物が検出される。
【0039】
他方、図6(a)に示すように、移動体Xの車両姿勢がショートホイールベース時であって傾斜状態が前傾状態のとき、この前傾状態に最適化されたショートホイールベース用前方監視センサ2によって前方の障害物が検出される。このときには、ショートホイールベース用前方監視センサ2から略水平にレーザ光が出射され、監視範囲Rsが効果的なものとなっている。なお、ロングホイールベース用前方監視センサ3の監視範囲Rlは、走行面21より下側に位置している。
【0040】
そして、図6(b)に示すように、移動体Xの車両姿勢がショートホイールベース時からロングホイールベース時へ変化され、傾斜状態が前傾状態から後傾状態へ変化される際には、かかる傾斜状態の変化に伴ってショートホイールベース用前方監視センサ2の監視範囲Rsも上方側へ傾動される。
【0041】
この際、図6(c)に示すように、ショートホイールベース用前方監視センサ2の監視範囲Rsが走行面21近傍から離れると、ショートホイールベース用前方監視センサ2では充分な前方監視性能を発揮できないおそれがある。そこで、ロングホイールベース用前方監視センサ3で走行面21が検出されなくなったとき、障害物を検出するために選択される前方監視センサが、ショートホイールベース用前方監視センサ2から、障害物を検出できる蓋然性の高いロングホイールベース用前方監視センサ3に切り替えられる。そして、その後、このロングホイールベース用前方監視センサ3によって前方の障害物が検出される。
【0042】
以上、本実施形態の物体検出装置1によれば、移動体Xの傾斜状態に基づいて前方監視センサ2,3が切り替えられる。つまり、障害物を検出する前方監視センサは、移動体Xの傾斜状態が考慮されて選択されている。よって、移動体Xの傾斜状態に応じて移動体Xの前方の障害物を検出することでき、障害物を精度よく検出することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、上述したように、移動体Xが前傾状態と後傾状態との間で変形する際において、ロングホイールベース用前方監視センサ3で走行面21が検出されたとき、ショートホイールベース用前方監視センサ2を選択し該ショートホイールベース用前方監視センサ2によって障害物を検出している。よって、移動体Xの変形中において、好適な監視範囲で前方を監視することができ、障害物を検出不能な状態となるのを抑制することができる。その結果、移動体Xの姿勢変化中にて、障害物を検出できる可能性を増加させて安全性を向上させることができ、移動体Xの周囲の物体を一層精度よく検出することが可能となる。
【0044】
なお、移動体Xの傾斜状態から使用する前方監視センサ2,3を一律に選択すると、例えば坂路等においては、選択した前方監視センサの監視範囲(角度)が最適なものとならないことがある。つまり、坂路としての走行面21と平坦路としての走行面21とでは、障害物を検出するために監視すべき範囲が異なるのである。この点、本実施形態では、上述したように、移動体Xの変形中に、ロングホイールベース用前方監視センサ3で走行面21が検出された否かに基づいて前方監視センサ2,3を選択している。よって、本実施形態では、坂路としての走行面21においても障害物の検出性能を充分に発揮することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、1人乗りの電気車両を移動体としたが、移動体は限定されるものではなく、複数の傾斜状態の間で姿勢が変化するよう変形可能な移動体であればよい。
【0046】
また、上記実施形態には、傾斜状態に応じて設けられた2つの前方監視センサ2,3が搭載されているが、傾斜状態に応じて傾斜状態ごとに設けられた前方監視センサがさらに搭載されていてもよい。この場合、複数の前方監視センサが、傾斜状態に応じて適宜切り替えられることとなる。
【0047】
また、上記実施形態では、ホイールベース長を可変するための可変用モータの回転数を姿勢検出センサ4で検出し、この回転数に基づいて車両姿勢(傾斜状態)を検出したが、例えばストロークセンサを用いてホイールベース長を検出し、このホールベース長に基づいて車両姿勢を検出してもよく、要は、移動体Xの傾斜状態を検出できればよい。
【0048】
また、上記実施形態では、前方監視センサ2,3としてレーザレーダを用いたが、カメラ等のその他のセンサを用いてもよい。さらに、前方監視センサ2,3に代えて若しくは加えて、その他の監視センサを搭載して移動体Xの周囲(後方、側方)を監視してもよい。
【0049】
例えば、後方を監視する後方監視センサを搭載するとき、この後方監視センサは、ショートホイールベース用後方監視センサと、ロングホイールベース用後方監視センサと、を含んでいる場合がある。ショートホイールベース用後方監視センサは、移動体Xがショートホイールベース時の傾斜状態のときに最適な監視方向を向くような角度で移動体Xの後方に取り付けられている。ロングホイールベース用後方監視センサは、移動体Xがロングホイールベース時の傾斜状態のときに最適な監視方向を向くような角度で移動体Xの後方に取り付けられている。そして、移動体Xの変形中、使用される後方監視センサは、ショートホイールベース用後方監視センサで走行面21が検出された否かに基づいて選択されることになる。
【0050】
なお、上記実施形態では、傾斜状態がピッチ方向の傾斜状態を主に意図しており、ピッチ方向の傾斜状態に対応するように構成されているが、これに限定されるものではない。本発明では、傾斜状態がロール方向やヨー方向の傾斜状態であってもよく、上記実施形態と同様にして、ロール方向やヨー方向の傾斜状態に対応するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…物体検出装置、2…ショートホイールベース用前方監視センサ(周囲監視部,第2周囲監視部)、3…ロングホイールベース用前方監視センサ(周囲監視部,第1周囲監視部)、5…ECU(物体検出部)、X…移動体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の傾斜状態の間で姿勢が変化するよう変形可能な移動体に搭載され、前記移動体の周囲の物体を検出するための物体検出装置であって、
前記傾斜状態に応じて該傾斜状態ごとに複数設置され、前記周囲を監視して周囲情報を取得する周囲監視部と、
前記複数の周囲監視部のうち少なくとも1つの周囲監視部を選択周囲監視部として選択し、前記選択周囲監視部による前記周囲情報に基づいて前記物体を検出する物体検出部と、を備え、
前記物体検出部は、前記傾斜状態に応じて前記選択周囲監視部を切り替えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記複数の周囲監視部は、第1傾斜状態に応じて前記移動体の前方に設置された第1周囲監視部と、前記第1傾斜状態よりも前傾の第2傾斜状態に応じて前記移動体の前方に設置された第2周囲監視部と、を含んで構成され、
前記物体検出部は、前記移動体が前記第1傾斜状態と前記第2傾斜状態との間で変形する際において、前記第1周囲監視部で走行面が検出された場合、前記選択周囲監視部として前記第2周囲監視部を選択することを特徴とする請求項1記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記移動体は、そのホイールベース長が短くなるに従って前記走行面に対して前傾するよう変形することを特徴とする請求項1又は2記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記複数の周囲監視部のそれぞれは、前記傾斜状態に応じた角度で該傾斜状態ごとに設置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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