説明

物体検出装置

【課題】夜間または夜間に相当する暗さにおいて物体の誤検出を低減する物体検出装置を提供する。
【解決手段】夜間状態ではない場合(S400:No)、物体検出装置は、判定閾値を50%に設定する(S402)。夜間状態の場合(S400:Yes)、物体検出装置は、先行車両および対向車両を除き車両前方の物体を検出すると(S404:Yes)、前照灯をハイビームにするよう指令し(S406)、判定閾値を65%に設定する(S408)。物体を検出しなかった場合(S404:No)、物体検出装置は、前照灯がハイビームであれば(S410:No)、判定閾値を65%に設定し(S408)、前照灯がロービームであれば(S410:Yes)、判定閾値を80%に設定する(S412)。物体検出装置は、カメラとレーダとを合わせた検出信頼度が判定閾値以上であれば(S414:Yes)、警報および自動制動の少なくとも一方を指令する(S416)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車両の前方に存在する物体を検出する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、撮像装置が撮像した画像データに基づいて車両の周辺に存在する物体を検出する物体検出装置が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献2では、撮像装置の画像データだけでなく、送信波としてレーザまたはミリ波等をレーダが照射して物体により反射される反射波に基づいて、車両の前方に存在する物体を検出している。
【0003】
このように、特許文献2では、レーダおよび撮像装置の両方の検出情報に基づいて物体を検出するので、レーダおよび撮像装置により互いの検出特性を補完しながら物体を検出できる。例えば、昼間において、撮像装置による物体の形状、位置等の検出信頼度はレーダによる検出信頼度よりも高いが、夜間においては撮像装置の検出信頼度はレーダよりも低下する。一方、レーダは、昼夜に関わらず同じ精度で物体を検出できるが、昼間の検出信頼度は撮像装置よりも低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−6096号公報
【特許文献2】特開2009−271766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2のように、レーダおよび撮像装置の両方の検出情報に基づいて物体を検出する場合、レーダは夜間において昼間と同じ検出信頼度で物体を検出できるものの、夜間において撮像装置による物体の検出信頼度が低下するので、昼間においてレーダおよび撮像装置の検出情報に基づいて物体を検出する場合に比べ、物体の検出信頼度が全体として低下し、物体を誤検出する可能性が上昇するという問題が発生する。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、夜間または夜間に相当する暗さにおいて物体の誤検出を低減する物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1から3に記載の発明によると、車両の前方に照射する送信波が物体により反射される反射波に基づいて物体を検出するレーダ、および車両の前方を撮像する画像データにより物体を検出する撮像装置から出力される検出情報に基づいて、先行車両および対向車両を除き車両の前方の物体を検出する検出手段と、現在、夜間状態として、夜間または夜間に相当する暗さであるか否かを判定する夜間状態判定手段と、夜間状態判定手段が夜間状態であると判定し、検出手段が検出情報に基づいて先行車両および対向車両を除き車両の前方の物体を検出すると、車両の挙動を制御する車両制御手段に前照灯をハイビームにするように指令するハイビーム指令手段と、を備える。
【0008】
このように、夜間状態において車両の前方に物体を検出すると、車両制御手段に指令して前照灯をハイビームにするので、ハイビームにされた前照灯の光が検出された物体を照らすことになる。これにより、夜間状態において、撮像装置による物体の検出信頼度が向上する。
【0009】
ただし、先行車両および対向車両に対して前照灯をハイビームにすると、先行車両および対向車両の運転者が眩しいので、検出手段が検出する物体から先行車両および対向車両を除いている。本発明では、自動4輪車および自動2輪車を先行車両および対向車両とする。
【0010】
請求項2に記載の発明によると、検出手段が車両の前方の物体を検出すると、車両の運転者に物体の存在を知らせる警報および車両に対する自動制動の少なくとも一方を車両制御手段に指令するか否かを、検出手段による物体の検出信頼度と判定閾値とを比較して指令判定手段が判定し、夜間状態判定手段が夜間状態であると判定すると、指令判定手段は、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御手段に指令するか否かを判定するときの判定閾値を、昼間よりも警報および自動制動の指令が出にくい値に設定する。
【0011】
夜間状態において、物体を検出して前照灯をハイビームにすることにより撮像装置による物体の検出信頼度がロービーム時より向上しても、その検出信頼度は昼間よりも低い。したがって、夜間状態において、物体を検出して前照灯をハイビームにしても、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御手段に指令するか否かを検出信頼度と比較して判定する判定閾値を、昼間よりも警報および自動制動の指令が出にくい値に設定することにより、物体を誤検出し、誤って警報または自動制動を指令することを低減できる。
【0012】
請求項3および4に記載の発明によると、夜間状態判定手段が夜間状態であると判定すると、重み付け手段は、夜間状態でない場合よりも撮像装置による物体の検出信頼度に対する重み付けを低下させ、レーダによる物体の検出信頼度に対する重み付けを増加させる。
【0013】
夜間状態においては、撮像装置による物体の検出信頼度が低下するので、撮像装置による物体の検出信頼度に対する重み付けを低下させ、レーダによる物体の検出信頼度に対する重み付けを増加させることにより、夜間状態において物体を誤検出する可能性を低減できる。
【0014】
尚、本発明に備わる複数の手段の各機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、またはそれらの組み合わせにより実現される。また、これら複数の手段の各機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明が適用された物体検出システムを示すブロック図。
【図2】物体検出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図3】物体検出処理の他の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本発明を適用した物体検出システムを示すブロック図である。
(物体検出システム10の構成)
物体検出システム10は、車載カメラ(以下、単に「カメラ」とも言う。)20、レーダ30および検出ECU(Electronic Control Unit)40から構成されている。物体検出システム10は、車両に搭載して用いられるものであり、車両の前方に存在する物体を検出して警報および車両に対する自動制動を指令するためのものである。
【0017】
カメラ20は、車両の前方を撮影するためのものであり、車室内における所定位置、例えばルームミラーの裏側に設置されている。カメラ20には、公知のCCDイメージセンサ、あるいはCMOSイメージセンサ等のイメージセンサに加え、増幅部およびA/D変換部が内蔵されている。これら増幅部およびA/D変換部は、イメージセンサによって画像が撮影された際に、その画像の各画素の明るさを示すアナログ信号を所定のゲインで増幅し、かつ増幅したアナログ値をデジタル値に変換する。カメラ20は、このデジタル値に変換した画像信号を検出情報として検出ECU40に出力する。
【0018】
レーダ30は、周波数変調されたミリ波帯のレーダ波を図示しないアンテナから車両前方へ照射して水平方向の所定角度範囲の検出領域を走査し、その反射波をアンテナにて受信し、受信した反射波に基づいて、車両の前方に存在する物体に関する検出情報、具体的には、車両からの距離、車両との相対速度、および車両に対する横位置を出力する。
【0019】
検出ECU40は、CPU42、RAM44、ROM46を少なくとも備えた周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。ROM46には、カメラ20およびレーダ30から検出した物体の検出情報に基づいて、先行車両および対向車両を除き、車両の前方に存在する物体を検出して自車両の運転者に対する警報および自車両に対する自動制動を指令する物体検出処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。
【0020】
検出ECU40は、警報音、警報灯、シートベルトの巻き上げ、シートの振動、瞬間的な制動等を車両制御ECU50に指令することにより、車両前方の物体との接近を運転者に警報する。
【0021】
車両制御ECU50は、車両におけるボディ系、パワートレイン系、シャーシ系の制御対象の挙動を制御する複数のECUの総称である。ボディ系の制御ECUは、ドア、パワーウィンドウ、シートベルト、ライト等を制御し、パワートレイン系の制御ECUは、インジェクタ、トランスミッション等を制御し、シャーシ系の制御ECUは、ブレーキ、ハンドル等を制御する。
【0022】
車両制御ECU50は、車両走行状態に応じてボディ系、パワートレイン系、シャーシ系の各系の制御対象の挙動を制御することに加え、検出ECU40からの指令により、パワートレイン系、シャーシ系の制御対象の挙動を制御することにより、アダプティブクルーズコントロール(ACC)やプリクラッシュセーフティシステム(PCS)などの周知の車両制御を実行する。
【0023】
(物体検出処理1)
次に、検出ECU40が実行する物体検出処理1について図2のフローチャートに基づいて説明する。検出ECU40は、図2に示すフローチャートを所定の時間間隔毎に実行する。
【0024】
検出ECU40は、S400において、現在、夜間状態として、夜間または夜間に相当する暗さであるか否かを判定する。夜間状態の判定は、以下の(1)〜(4)に示すいずれかの判定に基づいて行われる。以下の判定を組み合わせて夜間状態であるか否かを判定してもよい。
(1)車両前方を撮影するカメラ20から出力される画像データにおける画素の輝度の平均が所定値以下であれば夜間状態であると判定する。
(2)図示しないGPS受信機または車両搭載の時計から取得する現在日時から、夜間であるか否かを判定する。望ましくは、現在日時から日付と日出没時刻との関係を表す日出没テーブルを参照し、現在時間と日出没時刻との関係から夜間であるか否かを判定する。GPS受信機を備えている場合、GPS信号から車両の現在位置を算出し、現在位置をパラメータに加えた日出没テーブルを参照することが望ましい。
(3)前照灯が点灯されていれば夜間状態であると判定する。
(4)車両の周囲の照度を計測する照度計の値が所定値以下であれば夜間状態であると判定する。
【0025】
上記4個の判定の少なくともいずれか1個に基づいて、夜間状態ではないと判定すると(S400:No)、検出ECU40は、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御ECU50に指令するか否かを判定するための判定閾値を例えば50%に設定し(S402)、S414に処理を移行する。
【0026】
尚、判定閾値は、後述するS414で検出信頼度と比較するための値であり、判定閾値として設定する%の値が増加するほど、高い検出信頼度が要求される。つまり、判定閾値として設定する%の値が増加するほど、検出ECU40から車両制御ECU50に警報および自動制動の指令が出にくい値になる。
【0027】
夜間状態であると判定すると(S400:Yes)、検出ECU40は、先行車両および対向車両を除き、車両前方の物体を検出したか否かを判定する(S404)。ここで、先行車両および対向車両に該当するのは、自動4輪車および自動2輪車とする。したがって、S404において検出ECU40は、先行車両および対向車両を除き、歩行者、自転車、落下物等を車両前方の物体として検出したか否かを判定する。
【0028】
ここで、車両前方の物体として先行車両および対向車両を検出対象から除くのは、後述するS406において前照灯をハイ(High)ビームにすると、先行車両または対向車両の運転者が眩しく感じるので、それを防止するためである。尚、自動4輪車および自動2輪車であっても、車両の前方を横方向に進む車両は先行車両および対向車両ではないので、検出対象の物体に含まれる。
【0029】
車両前方の物体を検出すると(S404:Yes)、検出ECU40は、車両制御ECU50に前照灯をハイビームにするよう指令し(S406)、判定閾値を65%に設定し(S408)、S414に処理を移行する。ハイビームにする場合、ロー(Low)ビームとハイビームとを一定時間交互に繰返してからハイビームにしてもよい。これにより、検出した物体が歩行者の場合に、歩行者に対して車両の存在を知らせることができるので、車両前方への歩行者の飛び出しを防止できる。
【0030】
車両前方の物体を検出しなかった場合(S404:No)、検出ECU40は、前照灯がロービームであるか否かを判定する(S410)。前照灯がロービームではなくハイビームであれば(S410:No)、検出ECU40は、判定閾値を65%に設定し(S408)、S414に処理を移行する。
【0031】
前照灯がロービームであれば(S410:Yes)、検出ECU40は、判定閾値を80%に設定し(S412)、S414に処理を移行する。
S414において検出ECU40は、現在、物体を検出する検出信頼度が判定閾値以上であるか否かを判定する。検出信頼度として、例えば、以下の(1)〜(3)に示すパラメータの少なくとも一つに基づいて設定されたカメラ20およびレーダ30のそれぞれの検出信頼度に対し、予め設定された所定の重み付け、例えば50%ずつの重み付けを行い、カメラ20とレーダ30とを合わせた検出信頼度が%で設定される。複数のパラメータを組み合わせる場合には、複数のパラメータから検出信頼度を設定するテーブルを参照する。
(1)車両と物体との距離。遠くなるほど検出信頼度は低い。
(2)車両に対する物体の横位置。車両の進路から横に離れるほど検出信頼度は低い。
(3)カメラ20の場合には、画像認識による物体認識の一致度。例えば、予めROM46等の記憶装置に記憶されている車両、人物等のテンプレートと、カメラ20による認識結果との一致度。一致度が低いほど検出信頼度は低い。
【0032】
レーダ30の場合は、夜間状態と夜間状態ではない場合とで物体認識の一致度は殆ど変化しない。一方、カメラ20の場合には、夜間状態になると、物体認識の一致度は大きく低下する。その結果、夜間状態におけるカメラ20の検出信頼度は非常に低くなる。
【0033】
検出信頼度が判定閾値以上であれば(S414:Yes)、検出ECU40は、物体との衝突予測時間(TTC:Time To Collision)に応じて、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御ECU50に指令する(S416)。衝突予測時間は、車両と物体との距離を相対速度で除算して検出される。
【0034】
自動制動を指令するときの衝突予測時間は、警報を指令するときの衝突予測時間よりも短い。したがって、警報を指令し、さらに衝突予測時間が短くなってから自動制動が指令される。自動制動を指令する場合、警報の指令を停止してもよいし、警報の指令を継続してもよい。
【0035】
検出信頼度が判定閾値未満であれば(S414:No)、検出ECU40は警報および自動制動を車両制御ECU50に指令せずに本処理を終了する。
上記の物体検出処理1では、夜間状態において車両の前方に物体を検出すると、車両制御ECU50に指令して前照灯をハイビームにするので、ハイビームにされた前照灯の光が検出された物体を照らす。これにより、夜間状態において、カメラ20による物体の認識結果の一致度が向上するので、カメラ20の検出信頼度が向上する。その結果、夜間状態において、物体の誤検出を低減できる。
【0036】
また、夜間状態において、物体を検出して前照灯をハイビームにしても、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御ECU50に指令するか否かを判定するときの判定閾値を昼間よりも上昇させ、警報および自動制動の指令が出にくい値に設定することにより、夜間状態において検出信頼度が判定閾値以上になるためには、昼間よりも高い検出信頼度が必要である。
【0037】
例えば、前述した車両と物体との距離をパラメータとすると、昼間よりも距離が短くなり車両と物体とが近づいて検出信頼度が上昇すると、警報および自動制動が指令される。言い換えると、警報および自動制動が指令されるタイミングが昼間よりも遅くなる。
【0038】
このように、夜間状態において昼間よりも判定閾値のパーセントを上昇させ、警報および自動制動の指令が出にくい値に設定することにより、物体を誤検出し、誤って警報または自動制動を指令することを低減できる。
【0039】
(物体検出処理2)
次に、検出ECU40が実行する物体検出処理2について図3のフローチャートに基づいて説明する。検出ECU40は、図3に示すフローチャートを所定の時間間隔毎に実行する。
【0040】
検出ECU40は、S420において、現在、夜間状態であるか否かを判定する。この判定は、物体検出処理1で説明した判定基準に基づいて行われる。
上記判定基準の少なくともいずれか1個に基づいて、夜間状態であると判定すると(S420:Yes)、検出ECU40は、カメラ20が出力する画像データによる物体検出の信頼度に対する重み付けを100%のうち20%に設定し(S422)、夜間状態ではないと判定すると(S420:No)、検出ECU40は、カメラ20が出力する画像データによる物体検出の信頼度に対する重み付けを100%のうち50%に設定する(S424)。
【0041】
そして、S426において、次式(1)により、カメラ20とレーダ30とによる全体の検出信頼度を算出する。
全体の検出信頼度=カメラによる検出信頼度×画像データ重み
+レーダによる検出信頼度×(100%−画像データ重み) ・・・(1)
つまり、昼間であれば、カメラ20、レーダ30のそれぞれによる物体の検出信頼度に対する重みは同じ50%であり、夜間状態になり画像データによる検出信頼度が低下すると、レーダ30による検出信頼度を上昇させ、カメラ20による検出信頼度を低下させる。カメラ20およびレーダ30による検出信頼度は、物体検出処理1で例示したパラメータに基づいて設定される。
【0042】
そして、S428において検出ECU40は、物体を検出するに際して、式(1)で算出した全体の検出信頼度が、判定閾値である50%以上であるか否かを判定する。
全体の検出信頼度が50%以上であれば(S428:Yes)、検出ECU40は、物体との衝突予測時間に応じて、警報および自動制動の少なくとも一方を車両制御ECU50に指令する(S430)。
【0043】
全体の検出信頼度が50%未満であれば(S428:No)、検出ECU40は警報および自動制動を車両制御ECU50に指令せずに本処理を終了する。
上記の物体検出処理2では、夜間状態においてカメラ20による物体の検出信頼度が低下するので、カメラ20による物体の検出信頼度に対する重み付けを低下させ、レーダ30による物体の検出信頼度に対する重み付けを増加させることにより、夜間状態において物体の誤検出を低減できる。
【0044】
以上説明した本実施形態では、検出ECU40が本発明の物体検出装置に相当し、カメラ20が本発明の撮像装置に相当し、レーダ30が本発明のレーダに相当し、車両制御ECU50が車両制御手段に相当する。そして、検出ECU40は、本発明の検出手段、夜間状態判定手段、ハイビーム指令手段、指令判定手段および重み付け手段として機能する。
【0045】
また、図2において、S400の処理が本発明の夜間状態判定手段が実行する機能に相当し、S404の処理が本発明の検出手段が実行する機能に相当し、S406の処理が本発明のハイビーム指令手段が実行する機能に相当し、S414の処理が本発明の指令判定手段が実行する機能に相当する。
【0046】
また、図3において、S420の処理が本発明の夜間状態判定手段が実行する機能に相当し、S422の処理が本発明の重み付け手段が実行する機能に相当し、S428の処理が本発明の指令判定手段が実行する機能に相当する。
【0047】
(他の実施形態)
上記実施形態では、物体検出処理1において、夜間状態である場合に前照灯をハイビームにするように車両制御ECU50に指令するとともに、夜間状態であるか否か、および夜間状態の場合にロービームであるかハイビームであるかに基づいて判定閾値を設定したが、判定閾値を固定にして変更せず、夜間状態である場合に前照灯をハイビームにするだけでもよい。
【0048】
また、物体検出処理1のS414で判定閾値と比較する検出信頼度の値として、物体検出処理2において、夜間状態であるか否かに応じてカメラ20の検出信頼度とレーダ30の検出信頼度とに対する重み付けを変更して式(1)から算出した検出信頼度の値を用いてもよい。
【0049】
また物体検出処理2では、夜間状態の場合、画像データの重みを20%の固定に設定した。これに対し、夜間状態の暗さに応じて、画像データの重みを可変に設定してもよい。
上記実施形態の物体検出システム10では、レーダとしてミリ波レーダを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザ光や超音波を照射するレーダを用いてもよい。
【0050】
上記実施形態では、検出手段、夜間状態判定手段、ハイビーム指令手段、指令判定手段、重み付け手段の機能を制御プログラムにより機能が特定される検出ECU40により実現している。これに対し、上記手段の機能の少なくとも一部を、回路構成自体で機能が特定されるハードウェアで実現してもよい。
【0051】
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10:物体検出システム、20:レーダ、30:カメラ(撮像装置)、40:検出ECU(物体検出装置、検出手段、夜間状態判定手段、ハイビーム指令手段、指令判定手段、重み付け手段)、50:車両制御ECU(車両制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に照射する送信波が物体により反射される反射波に基づいて物体を検出するレーダ、ならびに前記車両の前方を撮像する画像データにより物体を検出する撮像装置から出力される検出情報に基づいて、前記車両の先行車両および対向車両を除き前記車両の前方の物体を検出する検出手段と、
現在、夜間状態として、夜間または前記車両の周辺が夜間に相当する暗さであるか否かを判定する夜間状態判定手段と、
前記夜間状態判定手段が前記夜間状態であると判定し、前記検出手段が前記検出情報に基づいて前記車両の前方の前記物体を検出すると、前記車両の挙動を制御する車両制御手段に前照灯をハイビームにするように指令するハイビーム指令手段と、
を備えることを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記検出手段が前記車両の前方の前記物体を検出すると、前記車両の運転者に前記物体の存在を知らせる警報および前記車両に対する自動制動の少なくとも一方を前記車両制御手段に指令するか否かを、前記検出手段による前記物体の検出信頼度と判定閾値とを比較して判定する指令判定手段をさらに備え、
前記夜間状態判定手段が前記夜間状態であると判定すると、前記指令判定手段は前記夜間状態ではない場合よりも前記判定閾値を前記警報および前記自動制動の指令が出にくい値に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記夜間状態判定手段が前記夜間状態であると判定すると、前記夜間状態ではない場合よりも、前記撮像装置の前記検出情報に基づく前記検出手段による前記物体の検出信頼度に対する重み付けを低下させ、前記レーダの前記検出情報に基づく前記検出手段による前記物体の検出信頼度に対する重み付けを増加させる重み付け手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の物体検出装置。
【請求項4】
車両の前方に照射する送信波が物体により反射される反射波に基づいて物体を検出するレーダ、ならびに前記車両の前方を撮像する画像データにより物体を検出する撮像装置から出力される検出情報に基づいて前記車両の前方の物体を検出する検出手段と、
現在、夜間状態として、夜間または夜間に相当する暗さであるか否かを判定する夜間状態判定手段と、
前記夜間状態判定手段が前記夜間状態であると判定すると、前記夜間状態ではない場合よりも、前記撮像装置の前記検出情報に基づく前記検出手段による前記物体の検出信頼度に対する重み付けを低下させ、前記レーダの前記検出情報に基づく前記検出手段による前記物体の検出信頼度に対する重み付けを増加させる重み付け手段と、
を備えることを特徴とする物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−48643(P2012−48643A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192457(P2010−192457)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】