物体管理システム、物体管理方法およびプログラム
【課題】特定された固有の物体同士についての接触の可否を、撮像範囲内における接触していない物体や人物を考慮した上で判定することができる物体管理システムを提供する。
【解決手段】画像内の物体を検出する画像認識部114と、各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する物体データ記録部115と、各物体間の距離を検出する距離検出部116と、前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する接触可否判定部117と、を備えている。
【解決手段】画像内の物体を検出する画像認識部114と、各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する物体データ記録部115と、各物体間の距離を検出する距離検出部116と、前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する接触可否判定部117と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体画像と物体の識別情報から固有の物体を特定し、特定した固有の物体同士についての接触の可否を判定する物体管理システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
危険物や貴重品といった、特定の人物に対してのみ接触が認められている物体を管理する場合、物体へ適切な接触が行われているかを正確に把握することが求められている。また、介護現場などにおいては、持ち主の身体能力や持ち主と周囲の人物の信頼関係により、物体に対する人物の接触の可否が流動的に変化する。
【0003】
物体と物体の接触を判定する従来技術として、特許文献1や特許文献2の装置がある。これらの装置は、時系列の画像から物体と物体の接触を判定するものである。また、ある人物によるある物体への持出を管理する従来技術として、特許文献3の装置がある。この装置は、物体と人物双方にRFIDタグを貼り付けた上で、物体と人物の接触を管理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272436号公報
【特許文献2】特開2002−133421号公報
【特許文献3】特開平9−278130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の装置では、第一の物体と第二の物体の接触を判定できても、物体の識別情報を扱っていないために固有の物体についての接触の可否を判定することはできない。
また、特許文献3の装置では、RFIDタグを管理する人物及び物体に貼り付ける必要がある上、物体の保管場所付近にRFIDタグを読み取るアンテナを設置する必要がある。
さらにこれらの特許文献は、接触した人物や物体自体のみに注目するもので、その周囲にある人物や物体の存在を考慮するものでない。
【0006】
本発明はこうした問題に対処し、物体画像とその物体の識別情報から固有の物体を特定する。また、特定された固有の物体同士についての接触の可否を、撮像範囲内における接触していない物体や人物を考慮した上で判定することができる物体管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物体管理システムは、画像内の物体を検出する手段と、各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する手段と、各物体間の距離を検出する手段と、前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、監視対象の人物や物体にタグを貼り付けることなく固有の物体を特定した上で、人物と物体の接触の可否を判定できる。また、例えば特定の人物が撮像範囲内に存在すれば、本来は物体への接触が認められていない人物であっても、接触を認めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る物体管理システムを示す模式図である。
【図2】物体識別情報の一例を示す模式図である。
【図3】接触可否情報の一例を示す模式図である。
【図4】映像データから接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【図5】映像データの一例を示す模式図である。
【図6】物体データを記録する処理を示すフローチャートである。
【図7】物体データの一例を示す模式図である。
【図8】映像データと物体データの関係の一例を示す模式図である。
【図9】物体データの一例を示す模式図である。
【図10】映像データと物体データの関係の一例を示す模式図である。
【図11】物体と物体の接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る物体管理システムを示す模式図である。
【図13】物体識別情報の一例を示す模式図である。
【図14】映像データの一例を示す模式図である。
【図15】物体と物体の接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明における実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段の一例であり、その趣旨を逸脱しない範囲で下記の実施形態を修正又は変形したものにも適用する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る物体管理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、物体管理システムは、端末11を有して構成されている。端末11は、制御部111、記憶部112、撮像部113、画像認識部114、物体データ記録部115、距離検出部116、接触可否判定部117、RAM118およびROM119を備えている。また、端末11は、これら各要素がバス120によって接続されている。記憶部112には、予め固有の物体を特定するための物体識別情報131と、物体同士の接触可否を判定するための接触可否情報132が記憶されているものとする。
【0012】
物体識別情報131は、例えば図2に示すように、画像内の物体を認識して検出するための特徴量情報とその特徴量情報で示される物体を一意に特定する識別子が記録されている。本実施形態では、特徴量として色、大きさ、輪郭特徴を記録しているが、外形の角度など物体の画像を認識するための他の特徴情報を記録することも可能である。また、識別子として記号と数字の組み合わせで提示しているが、記号のみあるいは数字のみや、それらを暗号化した情報などでも実現可能である。
【0013】
接触可否情報132は、例えば図3に示すように、物体の識別子とその物体への接触を許可される物体の識別子である接触許可物体識別子が記録されている。この接触許可物体識別子には、複数の識別子を記録することを可能とする。
更に、記憶部112には、時刻情報と共に撮像部113から入力された映像データ130と、図7、図9で示すような物体データ133が蓄積されるものとする。なお、時刻情報は制御部111によって計時されているものとする。
【0014】
画像認識部114は、画像から物体を検出する物体検出手段として機能する。物体データ記録部115は、物体画像から物体の固有識別子を物体識別情報131から取得して記録する物体データ記録手段として機能する。距離検出部116は、映像データ130内における第一の物体と第二の物体との距離を検出する距離検知手段として機能する。接触可否判定部117は、物体データ133に格納されている接触物体識別子について、接触の可否を判定する接触可否判定手段として機能する。その他、RAM118は、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであり、端末11用のアプリケーションプログラムがインストールされている。また、端末11における処理に必要なデータ等を一時的に記憶し、必要に応じてバス120に出力する。また、ROM119は制御部111における処理に必要な制御用のプログラムを読み出して、バス120に出力する。制御部111は、RAM118に記憶されているアプリケーションプログラムに基づいて、自ら演算処理を行い、あるいは上述した各構成要素を制御し、端末11を機能させる。
【0015】
次に、図1から図10を用いて、本実施形態に係る処理の手順を説明する。本実施形態では被介護者宅での様子を例にとって説明する。
図4は、ある時刻tにおける映像データから物体の接触可否を判定する処理の流れを示したフローチャートである。図5は、被介護者宅での映像データを時系列で表示したものである。本実施形態では、1秒ごとに1枚の静止画を処理対象の映像データ130に蓄積するものとする。
【0016】
最初に、図5の時刻10:12:05時点の映像データから処理を開始する。
まず、ステップS401では、画像認識部114は、映像データから物体を検出する。ここで、画像認識部114は、一般的な物体認識を用いて形状データとのパターン照合により映像データから物体を検出するものである。本実施形態では、この形状データを図2の物体識別情報131に示す物体画像の特徴量情報と一致するものとするが、別途形状データを記録したデータベースを用いても実施可能である。ステップS401の処理により、図5の時刻10:12:05時点の映像データから2つの物体が検出される。
【0017】
次に、ステップS402では、物体データ記録部115は、検出された物体の情報を記録する。ステップS402の処理はステップS401で検出した物体全てにおいて実施される。本実施形態では時刻10:12:05における映像データ内にある2つの物体画像において、左にある物体から順に処理を進めるとする。
【0018】
物体データ記録部115の詳細な処理は図6のフローチャートで説明する。
ステップS601は、物体データ記録部115は、処理タイプと物体画像を取得する。本実施形態では、記録する物体は画像認識部114で検出されたものであるので、処理タイプを“検出”とし、物体画像は図5の時刻10:12:05時点の最も左にあるものである。
【0019】
ステップS602では、物体データ記録部115は、物体データ133を参照して処理タイプが存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS604に進み、存在しない場合にはステップS603へ進む。今、物体データ133には何も記録されていないとし、ステップS603へ進む。
ステップS603では、物体データ記録部115は、物体データ133に“検出”用の欄を作成する。
【0020】
次に、ステップS604では、物体データ記録部115は、物体画像に対する識別子を取得する。ここでは、物体識別情報131を参照し、ステップS601で取得した物体画像を表す特徴量情報と一致する特徴量情報を有する物体識別子を取得する。ここでは、物体データ記録部115が物体識別子としてO−002を取得したとする。
次に、ステップS605では、物体データ記録部115は、ステップS604の結果、物体識別子が存在するか否かを判定する。存在する場合にはステップS606に進み、存在しない場合には処理は終了する。ここでは、ステップS604で取得した物体識別子としてO−002が存在しているので、ステップS606に進む。
【0021】
ステップS606では、物体データ記録部115は、物体データ133に、時刻の欄に映像データが記録された時刻を記録し、“検出物体識別子”の欄に物体識別子を記録する。
以上により、ステップS402の処理を終了する。ステップS402が終了した時点での物体データ133は図7で表される。
【0022】
次に、ステップS403では、物体データ記録部115は、ステップ402で記録した検出物体識別子が複数存在するか否かを判定する。複数存在する場合にはステップS404に進み、複数存在しない場合には処理を終了する。ここでは、図7より検出物体識別子が2つ存在するのでステップS404に進む。
ステップ404では、距離検出部116は、物体と物体の距離を検出する。ここで、図7の検出物体識別子に格納されている2つの物体の距離が70cmとする。
【0023】
次に、ステップS405では、距離検出部116は、物体間の距離が所定距離以内(X以内)であるか否かを判定する。所定距離以内の場合はステップS406に進み、所定距離以内ではない場合は処理を終了する。ここでは、所定距離(X)を50cmと設定しているものとする。この場合、ステップS404では物体と物体の距離は70cmと検出しており、所定距離内ではないため、処理を終了し、次の時刻の映像データへと処理を継続する。
【0024】
次に、時刻10:12:07の時点の映像データについて、ステップS404までが終了したとする。この時点での、映像データと物体データの関係は図8のように表される。時刻10:12:07の時点において、物体0−002と物体F−003との距離が2cmとする。
ステップS405では、距離検出部116は、物体間の距離が2cmであり、所定距離50cm以内であるため、ステップS406に進む。
ステップS406では、物体データ記録部115は、ステップS405で所定距離以内であった物体を接触したとし、接触した物体のデータを物体データ133に記録する。このステップは上述したステップS601からステップS606までと同様であり、処理のタイプは“接触”とする。ステップ406が終了した時点での物体データ133には図9のように記録される。また、映像データと物体データ133の関係は図10で表される。
【0025】
次に、ステップ407では、接触可否判定部117は、接触の可否を判定する。この処理は図11のフローチャートで詳細に説明する。
ステップS1101では、接触可否判定部117は、接触可否情報132を取得する。
ステップS1102では、接触可否判定部117は、物体データ133を取得する。
ステップS1103では、接触可否判定部117は、物体データ133から接触物体識別子を取得する。ここでは、図9に示す物体データ133から、接触物体識別子としてO−002とF−003を取得する。
【0026】
ステップS1104では、接触可否判定部117は、接触可否情報132から接触の可否を判定する。ここでは、図3に示す接触可否情報132から物体識別子O−002に対する接触許可物体識別子に物体識別子F−003が格納されていないので、接触は許可されていないと判定する。
次に、ステップS1105では、接触可否判定部117は、接触が許可されているか否かを判定する。許可されている場合にはステップS1109に進み、許可されていない場合にはステップS1106に進む。ここでは、ステップS1105より接触は許可されていないのでステップS1106へ進む。
【0027】
ステップS1106では、接触可否判定部117は、物体データ133から接触していない物体の検出物体を取得する。ここでは、図9より物体識別子F−002の物体が取得される。
ステップS1107では、接触可否判定部117は、取得した検出物体の接触の可否を判定する。ここでは、物体O−002に対する物体F−002の接触が許可されているかにより判定を行う。図3に示す接触可否情報132から物体O−002に対して物体F−002の接触が許可されていると判定する。
【0028】
ステップ1108では、接触可否判定部117は、接触が許可されているか否かを判定する。接触が許可されている場合にはステップS1109に進み、接触が許可されていない場合にはステップS1110に進む。ここでは、ステップS1107において接触が許可されていると判定されているので、ステップS1109に進む。
ステップS1109では、接触可否判定部117は、結果を“OK”とする。
ステップS1110では、接触可否判定部117は、結果を“NG”とする。
ステップS1111では、接触可否判定部117は、結果を返す。以上により物体と物体の接触の可否を判定する処理が実施できる。
【0029】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、物体の接触可否判定時に、物体への接触が許可されている人物が物体を参照しているか否かにより接触可否判定を行う。本実施形態では、本来は物体への接触が許可されていない人物でも、物体への接触が可能である人物が物体を参照していれば、物体への接触を可能と判定する。
図12は、第2の実施形態に係る物体管理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図12に示すように、物体管理システムは、端末121を有して構成されている。端末121は、制御部1211、記憶部1212、撮像部1213、画像認識部1214、物体データ記録部1215、距離検出部1216、接触可否判定部1217、視線検出部1221、RAM1218およびROM1219を備えている。また、端末121は、これら各要素がバス1220によって接続されている。記憶部1212には、予め固有の物体を特定するための物体識別情報1231と、物体同士の接触可否を判定するための接触可否情報1232が記憶されているものとする。
【0030】
物体識別情報1231は、例えば図13に示すように、画像内の物体を認識して検出するための特徴量情報とその特徴量情報で示される物体を一意に特定する識別子が記録されている。本実施形態では、特徴量として色、大きさ、輪郭特徴を記録しているが、外形の角度など物体の画像を認識するための他の特徴情報を記録することも可能である。また、識別子を記号と数字の組み合わせで提示しているが、記号のみあるいは数字のみや、それらを暗号化した情報などでも実現可能である。
【0031】
接触可否情報1232は、例えば図3に示すように、物体の識別子とその物体への接触を許可される物体の識別子である接触許可物体識別子が記録されている。この接触許可物体識別子には、複数の識別子を記録することを可能とする。
更に、記憶部1212には、時刻情報と共に撮像部1213から入力された映像データ1230と、図7、図9で示すような物体データ1233が蓄積されるものとする。なお、時刻情報は制御部1211によって計時されているものとする。
【0032】
画像認識部1214は、画像から物体を検出する物体検出手段として機能する。物体データ記録部1215は、物体画像から物体の固有識別子を物体識別情報1231から取得して記録する物体データ記録手段として機能する。距離検出部1216は、映像データ1230内における第一の物体と第二の物体との距離を検出する距離検知手段として機能する。接触可否判定部1217は、物体データ1233に格納されている接触物体識別子について、接触の可否を判定する接触可否判定手段として機能する。その他、RAM1218は、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであり、端末121用のアプリケーションプログラムがインストールされている。また、端末121における処理に必要なデータ等を一時的に記憶し、必要に応じてバス1220に出力する。また、ROM1219は制御部1211における処理に必要な制御用のプログラムを読み出して、バス1220に出力する。制御部1211は、RAM1218に記憶されているアプリケーションプログラムに基づいて、自ら演算処理を行い、あるいは上述した各構成要素を制御し、端末121を機能させる。
【0033】
次に、図3、図4、図6から図15を用いて、本実施形態に係る処理の手順を説明する。本実施形態では被介護者宅での様子を例にとって説明する。
図4は、ある時刻tにおける映像データから物体の接触可否を判定する処理の流れを示したフローチャートである。図14は、被介護者宅での映像データを時系列で表示したものである。視線検出部1221の処理を説明するために、図14には、人物の視線の方向を矢印で表現している。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、1秒ごとに1枚の静止画を処理対象の映像データ1230に蓄積するものとする。
【0034】
本実施形態では、図4に示す各ステップのうちステップS407以外は全て第1の実施形態と同様である。ただし、物体識別情報1231は、図13に示し、映像データ1230は図14に示される。以下に、本実施形態におけるステップS407の説明を行う。この処理は図11のフローチャートで詳細に説明する。
【0035】
ステップS1101では、接触可否判定部1217は、接触可否情報1232を取得する。
ステップS1102では、接触可否判定部1217は、物体データ1233を取得する。
ステップS1103では、接触可否判定部1217は、物体データ1233から接触物体識別子を取得する。ここでは、図9に示す物体データ1233から、接触物体識別子としてO−002とF−003を取得する。
【0036】
ステップS1104では、接触可否判定部1217は、接触可否情報1232から接触の可否を判定する。ここでは、図3に示す接触可否情報1232から物体識別子0−002に対する接触許可物体識別子に物体識別子F−003が格納されていないので、接触は許可されていないと判定する。
次に、ステップS1105では、接触可否判定部1217は、接触が許可されているか否かを判定する。許可されている場合にはステップS1109に進み、許可されていない場合にはステップS1106に進む。ここでは、ステップS1105より接触は許可されていないのでステップS1106へ進む。
【0037】
ステップS1106では、接触可否判定部1217は、物体データ1233から接触していない物体の検出物体を取得する。ここでは、図9より物体識別子F−002の物体が取得される。
ステップS1107では、接触可否判定部1217は、取得した検出物体の接触の可否を検出する。このステップは図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップS1501では、接触可否判定部1217は、物体識別情報1231を取得する。
ステップS1502では、接触可否判定部1217は、ステップS1106で取得した接触していない検出物体のうち、人物を取得する。ここでは、物体F−002が接触していない人物としてステップS1106で取得されており、図13の物体識別情報1231からF−002の人物項目が“true”であるため、F−002が取得されることとなる。
【0038】
ステップS1503では、接触可否判定部1217は、ステップS1502で取得した人物のうち、接触物体に接触が許可されている人物を取得する。ここでは、物体O−002に対するF−002の接触は図3の接触可否情報1232から許可されているので、F−002が取得される。
ステップS1504では、接触可否判定部1217は、接触物体は参照されているか否かを判定する。参照されている場合にはステップS1506に進み、参照されていない場合にはステップS1505に進む。具体的には、視線検出部1221が人物の視線の方向を検出することにより、接触物体が参照されているか否かが判定される。ここでは、時刻10:12:07におけるF−002の視線は物体O−002の方向とは異なるとし、接触物体が参照されていないと判定され、ステップS1505へ進む。
【0039】
ステップS1506では、接触可否判定部1217は、結果を“OK”とする。
ステップS1505では、接触可否判定部1217は、結果を“NG”とする。
ステップS1507では、接触可否判定部1217は、結果を返し、ステップS1107に戻り、ステップS1108に進む。
【0040】
ステップS1108では、接触可否判定部1217は、接触が許可されているか否かを判定する。接触が許可されてない場合にはステップS1110に進み、接触が許可されている場合にはステップS1109に進む。ここでは、接触物体が参照されていないと判定され、接触は許可されていないので、ステップS1110では結果は“NG”であり、ステップS1111では結果を返す。
【0041】
このように本実施形態によれば、物体と物体との接触の可否を判定することにより、例えば貴重品などの物体を効率的に管理することができる。また、本実施形態は、例えば介護現場における被介護者の貴重品などを取り扱う場合に用いられて好適である。
【0042】
上述した本実施形態における物体管理システムを構成する各手段、物体管理システムによる物体管理方法の各ステップは、RAMやROMなどに記憶されたプログラムが実行されることによって実現できる。このプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0043】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体などとしての実施形態も可能であり、具体的には、複数の装置が通信可能に接続されたシステムおよび装置に適用してもよい。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【符号の説明】
【0044】
11、121:端末 111、1211:制御部 112、1212:記憶部 113、1213:撮像部 114、1214:画像認識部 115、1215:物体データ記録部 116、1216:距離検出定部 117、1217:接触可否判定部 118、1218:RAM 119、1219:ROM 120、1220:バス 1221:視線検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体画像と物体の識別情報から固有の物体を特定し、特定した固有の物体同士についての接触の可否を判定する物体管理システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
危険物や貴重品といった、特定の人物に対してのみ接触が認められている物体を管理する場合、物体へ適切な接触が行われているかを正確に把握することが求められている。また、介護現場などにおいては、持ち主の身体能力や持ち主と周囲の人物の信頼関係により、物体に対する人物の接触の可否が流動的に変化する。
【0003】
物体と物体の接触を判定する従来技術として、特許文献1や特許文献2の装置がある。これらの装置は、時系列の画像から物体と物体の接触を判定するものである。また、ある人物によるある物体への持出を管理する従来技術として、特許文献3の装置がある。この装置は、物体と人物双方にRFIDタグを貼り付けた上で、物体と人物の接触を管理するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272436号公報
【特許文献2】特開2002−133421号公報
【特許文献3】特開平9−278130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の装置では、第一の物体と第二の物体の接触を判定できても、物体の識別情報を扱っていないために固有の物体についての接触の可否を判定することはできない。
また、特許文献3の装置では、RFIDタグを管理する人物及び物体に貼り付ける必要がある上、物体の保管場所付近にRFIDタグを読み取るアンテナを設置する必要がある。
さらにこれらの特許文献は、接触した人物や物体自体のみに注目するもので、その周囲にある人物や物体の存在を考慮するものでない。
【0006】
本発明はこうした問題に対処し、物体画像とその物体の識別情報から固有の物体を特定する。また、特定された固有の物体同士についての接触の可否を、撮像範囲内における接触していない物体や人物を考慮した上で判定することができる物体管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物体管理システムは、画像内の物体を検出する手段と、各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する手段と、各物体間の距離を検出する手段と、前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、監視対象の人物や物体にタグを貼り付けることなく固有の物体を特定した上で、人物と物体の接触の可否を判定できる。また、例えば特定の人物が撮像範囲内に存在すれば、本来は物体への接触が認められていない人物であっても、接触を認めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る物体管理システムを示す模式図である。
【図2】物体識別情報の一例を示す模式図である。
【図3】接触可否情報の一例を示す模式図である。
【図4】映像データから接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【図5】映像データの一例を示す模式図である。
【図6】物体データを記録する処理を示すフローチャートである。
【図7】物体データの一例を示す模式図である。
【図8】映像データと物体データの関係の一例を示す模式図である。
【図9】物体データの一例を示す模式図である。
【図10】映像データと物体データの関係の一例を示す模式図である。
【図11】物体と物体の接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態に係る物体管理システムを示す模式図である。
【図13】物体識別情報の一例を示す模式図である。
【図14】映像データの一例を示す模式図である。
【図15】物体と物体の接触の可否を判定する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明における実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実現手段の一例であり、その趣旨を逸脱しない範囲で下記の実施形態を修正又は変形したものにも適用する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る物体管理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図1に示すように、物体管理システムは、端末11を有して構成されている。端末11は、制御部111、記憶部112、撮像部113、画像認識部114、物体データ記録部115、距離検出部116、接触可否判定部117、RAM118およびROM119を備えている。また、端末11は、これら各要素がバス120によって接続されている。記憶部112には、予め固有の物体を特定するための物体識別情報131と、物体同士の接触可否を判定するための接触可否情報132が記憶されているものとする。
【0012】
物体識別情報131は、例えば図2に示すように、画像内の物体を認識して検出するための特徴量情報とその特徴量情報で示される物体を一意に特定する識別子が記録されている。本実施形態では、特徴量として色、大きさ、輪郭特徴を記録しているが、外形の角度など物体の画像を認識するための他の特徴情報を記録することも可能である。また、識別子として記号と数字の組み合わせで提示しているが、記号のみあるいは数字のみや、それらを暗号化した情報などでも実現可能である。
【0013】
接触可否情報132は、例えば図3に示すように、物体の識別子とその物体への接触を許可される物体の識別子である接触許可物体識別子が記録されている。この接触許可物体識別子には、複数の識別子を記録することを可能とする。
更に、記憶部112には、時刻情報と共に撮像部113から入力された映像データ130と、図7、図9で示すような物体データ133が蓄積されるものとする。なお、時刻情報は制御部111によって計時されているものとする。
【0014】
画像認識部114は、画像から物体を検出する物体検出手段として機能する。物体データ記録部115は、物体画像から物体の固有識別子を物体識別情報131から取得して記録する物体データ記録手段として機能する。距離検出部116は、映像データ130内における第一の物体と第二の物体との距離を検出する距離検知手段として機能する。接触可否判定部117は、物体データ133に格納されている接触物体識別子について、接触の可否を判定する接触可否判定手段として機能する。その他、RAM118は、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであり、端末11用のアプリケーションプログラムがインストールされている。また、端末11における処理に必要なデータ等を一時的に記憶し、必要に応じてバス120に出力する。また、ROM119は制御部111における処理に必要な制御用のプログラムを読み出して、バス120に出力する。制御部111は、RAM118に記憶されているアプリケーションプログラムに基づいて、自ら演算処理を行い、あるいは上述した各構成要素を制御し、端末11を機能させる。
【0015】
次に、図1から図10を用いて、本実施形態に係る処理の手順を説明する。本実施形態では被介護者宅での様子を例にとって説明する。
図4は、ある時刻tにおける映像データから物体の接触可否を判定する処理の流れを示したフローチャートである。図5は、被介護者宅での映像データを時系列で表示したものである。本実施形態では、1秒ごとに1枚の静止画を処理対象の映像データ130に蓄積するものとする。
【0016】
最初に、図5の時刻10:12:05時点の映像データから処理を開始する。
まず、ステップS401では、画像認識部114は、映像データから物体を検出する。ここで、画像認識部114は、一般的な物体認識を用いて形状データとのパターン照合により映像データから物体を検出するものである。本実施形態では、この形状データを図2の物体識別情報131に示す物体画像の特徴量情報と一致するものとするが、別途形状データを記録したデータベースを用いても実施可能である。ステップS401の処理により、図5の時刻10:12:05時点の映像データから2つの物体が検出される。
【0017】
次に、ステップS402では、物体データ記録部115は、検出された物体の情報を記録する。ステップS402の処理はステップS401で検出した物体全てにおいて実施される。本実施形態では時刻10:12:05における映像データ内にある2つの物体画像において、左にある物体から順に処理を進めるとする。
【0018】
物体データ記録部115の詳細な処理は図6のフローチャートで説明する。
ステップS601は、物体データ記録部115は、処理タイプと物体画像を取得する。本実施形態では、記録する物体は画像認識部114で検出されたものであるので、処理タイプを“検出”とし、物体画像は図5の時刻10:12:05時点の最も左にあるものである。
【0019】
ステップS602では、物体データ記録部115は、物体データ133を参照して処理タイプが存在するか否かを判定し、存在する場合にはステップS604に進み、存在しない場合にはステップS603へ進む。今、物体データ133には何も記録されていないとし、ステップS603へ進む。
ステップS603では、物体データ記録部115は、物体データ133に“検出”用の欄を作成する。
【0020】
次に、ステップS604では、物体データ記録部115は、物体画像に対する識別子を取得する。ここでは、物体識別情報131を参照し、ステップS601で取得した物体画像を表す特徴量情報と一致する特徴量情報を有する物体識別子を取得する。ここでは、物体データ記録部115が物体識別子としてO−002を取得したとする。
次に、ステップS605では、物体データ記録部115は、ステップS604の結果、物体識別子が存在するか否かを判定する。存在する場合にはステップS606に進み、存在しない場合には処理は終了する。ここでは、ステップS604で取得した物体識別子としてO−002が存在しているので、ステップS606に進む。
【0021】
ステップS606では、物体データ記録部115は、物体データ133に、時刻の欄に映像データが記録された時刻を記録し、“検出物体識別子”の欄に物体識別子を記録する。
以上により、ステップS402の処理を終了する。ステップS402が終了した時点での物体データ133は図7で表される。
【0022】
次に、ステップS403では、物体データ記録部115は、ステップ402で記録した検出物体識別子が複数存在するか否かを判定する。複数存在する場合にはステップS404に進み、複数存在しない場合には処理を終了する。ここでは、図7より検出物体識別子が2つ存在するのでステップS404に進む。
ステップ404では、距離検出部116は、物体と物体の距離を検出する。ここで、図7の検出物体識別子に格納されている2つの物体の距離が70cmとする。
【0023】
次に、ステップS405では、距離検出部116は、物体間の距離が所定距離以内(X以内)であるか否かを判定する。所定距離以内の場合はステップS406に進み、所定距離以内ではない場合は処理を終了する。ここでは、所定距離(X)を50cmと設定しているものとする。この場合、ステップS404では物体と物体の距離は70cmと検出しており、所定距離内ではないため、処理を終了し、次の時刻の映像データへと処理を継続する。
【0024】
次に、時刻10:12:07の時点の映像データについて、ステップS404までが終了したとする。この時点での、映像データと物体データの関係は図8のように表される。時刻10:12:07の時点において、物体0−002と物体F−003との距離が2cmとする。
ステップS405では、距離検出部116は、物体間の距離が2cmであり、所定距離50cm以内であるため、ステップS406に進む。
ステップS406では、物体データ記録部115は、ステップS405で所定距離以内であった物体を接触したとし、接触した物体のデータを物体データ133に記録する。このステップは上述したステップS601からステップS606までと同様であり、処理のタイプは“接触”とする。ステップ406が終了した時点での物体データ133には図9のように記録される。また、映像データと物体データ133の関係は図10で表される。
【0025】
次に、ステップ407では、接触可否判定部117は、接触の可否を判定する。この処理は図11のフローチャートで詳細に説明する。
ステップS1101では、接触可否判定部117は、接触可否情報132を取得する。
ステップS1102では、接触可否判定部117は、物体データ133を取得する。
ステップS1103では、接触可否判定部117は、物体データ133から接触物体識別子を取得する。ここでは、図9に示す物体データ133から、接触物体識別子としてO−002とF−003を取得する。
【0026】
ステップS1104では、接触可否判定部117は、接触可否情報132から接触の可否を判定する。ここでは、図3に示す接触可否情報132から物体識別子O−002に対する接触許可物体識別子に物体識別子F−003が格納されていないので、接触は許可されていないと判定する。
次に、ステップS1105では、接触可否判定部117は、接触が許可されているか否かを判定する。許可されている場合にはステップS1109に進み、許可されていない場合にはステップS1106に進む。ここでは、ステップS1105より接触は許可されていないのでステップS1106へ進む。
【0027】
ステップS1106では、接触可否判定部117は、物体データ133から接触していない物体の検出物体を取得する。ここでは、図9より物体識別子F−002の物体が取得される。
ステップS1107では、接触可否判定部117は、取得した検出物体の接触の可否を判定する。ここでは、物体O−002に対する物体F−002の接触が許可されているかにより判定を行う。図3に示す接触可否情報132から物体O−002に対して物体F−002の接触が許可されていると判定する。
【0028】
ステップ1108では、接触可否判定部117は、接触が許可されているか否かを判定する。接触が許可されている場合にはステップS1109に進み、接触が許可されていない場合にはステップS1110に進む。ここでは、ステップS1107において接触が許可されていると判定されているので、ステップS1109に進む。
ステップS1109では、接触可否判定部117は、結果を“OK”とする。
ステップS1110では、接触可否判定部117は、結果を“NG”とする。
ステップS1111では、接触可否判定部117は、結果を返す。以上により物体と物体の接触の可否を判定する処理が実施できる。
【0029】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、物体の接触可否判定時に、物体への接触が許可されている人物が物体を参照しているか否かにより接触可否判定を行う。本実施形態では、本来は物体への接触が許可されていない人物でも、物体への接触が可能である人物が物体を参照していれば、物体への接触を可能と判定する。
図12は、第2の実施形態に係る物体管理システムの概略構成の一例を示す模式図である。
図12に示すように、物体管理システムは、端末121を有して構成されている。端末121は、制御部1211、記憶部1212、撮像部1213、画像認識部1214、物体データ記録部1215、距離検出部1216、接触可否判定部1217、視線検出部1221、RAM1218およびROM1219を備えている。また、端末121は、これら各要素がバス1220によって接続されている。記憶部1212には、予め固有の物体を特定するための物体識別情報1231と、物体同士の接触可否を判定するための接触可否情報1232が記憶されているものとする。
【0030】
物体識別情報1231は、例えば図13に示すように、画像内の物体を認識して検出するための特徴量情報とその特徴量情報で示される物体を一意に特定する識別子が記録されている。本実施形態では、特徴量として色、大きさ、輪郭特徴を記録しているが、外形の角度など物体の画像を認識するための他の特徴情報を記録することも可能である。また、識別子を記号と数字の組み合わせで提示しているが、記号のみあるいは数字のみや、それらを暗号化した情報などでも実現可能である。
【0031】
接触可否情報1232は、例えば図3に示すように、物体の識別子とその物体への接触を許可される物体の識別子である接触許可物体識別子が記録されている。この接触許可物体識別子には、複数の識別子を記録することを可能とする。
更に、記憶部1212には、時刻情報と共に撮像部1213から入力された映像データ1230と、図7、図9で示すような物体データ1233が蓄積されるものとする。なお、時刻情報は制御部1211によって計時されているものとする。
【0032】
画像認識部1214は、画像から物体を検出する物体検出手段として機能する。物体データ記録部1215は、物体画像から物体の固有識別子を物体識別情報1231から取得して記録する物体データ記録手段として機能する。距離検出部1216は、映像データ1230内における第一の物体と第二の物体との距離を検出する距離検知手段として機能する。接触可否判定部1217は、物体データ1233に格納されている接触物体識別子について、接触の可否を判定する接触可否判定手段として機能する。その他、RAM1218は、任意のアドレスを指定して読み書きすることが可能な半導体メモリであり、端末121用のアプリケーションプログラムがインストールされている。また、端末121における処理に必要なデータ等を一時的に記憶し、必要に応じてバス1220に出力する。また、ROM1219は制御部1211における処理に必要な制御用のプログラムを読み出して、バス1220に出力する。制御部1211は、RAM1218に記憶されているアプリケーションプログラムに基づいて、自ら演算処理を行い、あるいは上述した各構成要素を制御し、端末121を機能させる。
【0033】
次に、図3、図4、図6から図15を用いて、本実施形態に係る処理の手順を説明する。本実施形態では被介護者宅での様子を例にとって説明する。
図4は、ある時刻tにおける映像データから物体の接触可否を判定する処理の流れを示したフローチャートである。図14は、被介護者宅での映像データを時系列で表示したものである。視線検出部1221の処理を説明するために、図14には、人物の視線の方向を矢印で表現している。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、1秒ごとに1枚の静止画を処理対象の映像データ1230に蓄積するものとする。
【0034】
本実施形態では、図4に示す各ステップのうちステップS407以外は全て第1の実施形態と同様である。ただし、物体識別情報1231は、図13に示し、映像データ1230は図14に示される。以下に、本実施形態におけるステップS407の説明を行う。この処理は図11のフローチャートで詳細に説明する。
【0035】
ステップS1101では、接触可否判定部1217は、接触可否情報1232を取得する。
ステップS1102では、接触可否判定部1217は、物体データ1233を取得する。
ステップS1103では、接触可否判定部1217は、物体データ1233から接触物体識別子を取得する。ここでは、図9に示す物体データ1233から、接触物体識別子としてO−002とF−003を取得する。
【0036】
ステップS1104では、接触可否判定部1217は、接触可否情報1232から接触の可否を判定する。ここでは、図3に示す接触可否情報1232から物体識別子0−002に対する接触許可物体識別子に物体識別子F−003が格納されていないので、接触は許可されていないと判定する。
次に、ステップS1105では、接触可否判定部1217は、接触が許可されているか否かを判定する。許可されている場合にはステップS1109に進み、許可されていない場合にはステップS1106に進む。ここでは、ステップS1105より接触は許可されていないのでステップS1106へ進む。
【0037】
ステップS1106では、接触可否判定部1217は、物体データ1233から接触していない物体の検出物体を取得する。ここでは、図9より物体識別子F−002の物体が取得される。
ステップS1107では、接触可否判定部1217は、取得した検出物体の接触の可否を検出する。このステップは図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
ステップS1501では、接触可否判定部1217は、物体識別情報1231を取得する。
ステップS1502では、接触可否判定部1217は、ステップS1106で取得した接触していない検出物体のうち、人物を取得する。ここでは、物体F−002が接触していない人物としてステップS1106で取得されており、図13の物体識別情報1231からF−002の人物項目が“true”であるため、F−002が取得されることとなる。
【0038】
ステップS1503では、接触可否判定部1217は、ステップS1502で取得した人物のうち、接触物体に接触が許可されている人物を取得する。ここでは、物体O−002に対するF−002の接触は図3の接触可否情報1232から許可されているので、F−002が取得される。
ステップS1504では、接触可否判定部1217は、接触物体は参照されているか否かを判定する。参照されている場合にはステップS1506に進み、参照されていない場合にはステップS1505に進む。具体的には、視線検出部1221が人物の視線の方向を検出することにより、接触物体が参照されているか否かが判定される。ここでは、時刻10:12:07におけるF−002の視線は物体O−002の方向とは異なるとし、接触物体が参照されていないと判定され、ステップS1505へ進む。
【0039】
ステップS1506では、接触可否判定部1217は、結果を“OK”とする。
ステップS1505では、接触可否判定部1217は、結果を“NG”とする。
ステップS1507では、接触可否判定部1217は、結果を返し、ステップS1107に戻り、ステップS1108に進む。
【0040】
ステップS1108では、接触可否判定部1217は、接触が許可されているか否かを判定する。接触が許可されてない場合にはステップS1110に進み、接触が許可されている場合にはステップS1109に進む。ここでは、接触物体が参照されていないと判定され、接触は許可されていないので、ステップS1110では結果は“NG”であり、ステップS1111では結果を返す。
【0041】
このように本実施形態によれば、物体と物体との接触の可否を判定することにより、例えば貴重品などの物体を効率的に管理することができる。また、本実施形態は、例えば介護現場における被介護者の貴重品などを取り扱う場合に用いられて好適である。
【0042】
上述した本実施形態における物体管理システムを構成する各手段、物体管理システムによる物体管理方法の各ステップは、RAMやROMなどに記憶されたプログラムが実行されることによって実現できる。このプログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0043】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体などとしての実施形態も可能であり、具体的には、複数の装置が通信可能に接続されたシステムおよび装置に適用してもよい。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
【符号の説明】
【0044】
11、121:端末 111、1211:制御部 112、1212:記憶部 113、1213:撮像部 114、1214:画像認識部 115、1215:物体データ記録部 116、1216:距離検出定部 117、1217:接触可否判定部 118、1218:RAM 119、1219:ROM 120、1220:バス 1221:視線検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像内の物体を検出する手段と、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する手段と、
各物体間の距離を検出する手段と、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する手段と、を備えたことを特徴とする物体管理システム。
【請求項2】
画像内の物体を検出するステップと、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出するステップと、
各物体間の距離を検出するステップと、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定するステップと、を有することを特徴とする物体管理方法。
【請求項3】
画像内の物体を検出するステップと、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出するステップと、
各物体間の距離を検出するステップと、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
画像内の物体を検出する手段と、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出する手段と、
各物体間の距離を検出する手段と、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定する手段と、を備えたことを特徴とする物体管理システム。
【請求項2】
画像内の物体を検出するステップと、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出するステップと、
各物体間の距離を検出するステップと、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定するステップと、を有することを特徴とする物体管理方法。
【請求項3】
画像内の物体を検出するステップと、
各物体の識別子および各物体に対する接触が許可されている他の物体の識別子を検出するステップと、
各物体間の距離を検出するステップと、
前記各識別子および距離を用いて許可されていない物体の接触を判定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−25455(P2013−25455A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157836(P2011−157836)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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