説明

物品保管設備

【課題】本発明は、省エネルギーを実現できる物品保管設備を提供することを目的とする。
【解決手段】電源装置32は、スタッカークレーンCの本体コントローラ13から電源オフ信号を入力すると、誘導線路31への高周波電流の給電を停止し、電源オン信号を入力すると、誘導線路31へ高周波電流を給電する。前記電源オン・オフ信号は、スタッカークレーンCの各モータへ印加される電圧の大小により決定される。このように電源装置31の動作は、給電するか、給電しないかのどちらかとなり、電源装置32の制御を簡略化でき、給電が停止している間、誘導線路31からの電力の消費はなくなり、最も有効に省エネルギーを実現できる。また給電が停止している間は、走行車体2および昇降台3の各電動モータ11,12の回生エネルギーを蓄積した電気2重層キャパシタ45より給電できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無接触で給電される物品出し入れ装置を備えた物品保管設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、このように無接触で給電される物品出し入れ装置を備えた物品保管設備の一例が、特許文献1に開示されている。
すなわち、物品を保管する複数の物品保管部と、物品保管部に沿って走行し、物品保管部と搬入出口との間で物品の出し入れを行う物品出し入れ装置を備え、物品出し入れ装置が走行する経路に沿って、電源装置より高周波電流を流す誘導線路を敷設し、物品出し入れ装置に、誘電線路から無接触でピックアップコイルを介して給電される走行用モータと、この走行用モータを駆動して物品出し入れ装置の走行を制御し、その移動状況データ(加速/減速モード、定速モード、停止モード)を出力するクレーンコントローラを設け、前記電源装置はこのクレーンコントローラより出力された移動状況データに基づいて、誘導線路に流す電流値を変更可能な構成とされている。すなわち、最も電流を必要とする加速/減速モードのとき、モータ加速時または減速時に必要な電流が供給され、定速モードのとき、誘導線路43に給電する誘導電流が定速での走行時に必要な電流まで減少され、最も電流を必要としない停止モードのとき、さらに誘導線路43に給電する誘導電流が減少される。このように停止モードのときも、物品出し入れ装置のキャレッジの昇降および出し入れ具の出退に必要な電力を供給するために、誘導電流を常に流している。また物品出し入れ装置では、一般的に、放電抵抗を設け、減速時に走行用モータより回生される電流をこの放電抵抗で消費させている。
【特許文献1】特開2001−19120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、物品保管設備において、環境にやさしい、さらに消費電力を少なくした設備が望まれている。
上記特許文献1に開示されている物品保管設備では、停止モードにおいて、誘導線路に給電されている電流は、最低限に抑えられ、省エネルギーが実現されているが、未だ一定電流が流されており、ゼロではなく、電源装置から出力される電力が未だ消費されている。また走行用モータより回生される回生電流が放電抵抗で無駄に消費されている。
【0004】
さらに電源装置において電流値を可変することは、制御系を複雑にしてしまい、電源装置として好ましくなかった。
そこで、本発明は、さらに省エネルギーを実現できる物品保管設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、物品を保管する複数の物品保管部と、これら物品保管部に沿って走行し、前記物品保管部と搬入出口間における物品の出し入れを行う物品出し入れ装置を備えた物品保管設備であって、
前記物品出し入れ装置が走行する経路に沿って敷設された誘導線路と、前記誘導線路に高周波電流を給電する電源装置とを備え、
前記物品出し入れ装置は、前記物品保管部に沿って走行する走行車体と、前記走行車体上に設けられ昇降する昇降体と、前記昇降体上に設けられ前記物品保管部と前記搬入出口において前記物品の移載を行う移載手段と、前記誘電線路から無接触で給電される受電コイルと、前記受電コイルに接続され、一定の電圧幅に電圧を維持して前記走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段に給電する安定化電源回路と、前記駆動手段と並列に接続され、前記走行車体および昇降体の各駆動手段の回生エネルギーを蓄積可能なエネルギー蓄積手段と、前記安定化電源回路の出力電圧を検出する電圧検出手段を備え、
前記安定化電源回路に設定されている電圧幅より高い電圧の電圧上限値と、前記安定化電源回路に設定されている電圧幅より低い電圧の電圧下限値を予め設定し、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧が、前記電圧上限値まで上昇すると、前記電源装置から前記誘導線路への高周波電流の給電を停止し、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧が、前記電圧下限値まで下降すると、前記電源装置により前記誘導線路へ高周波電流の給電を行うことを特徴とするものである。
【0006】
上記構成によれば、電源装置は、電圧検出手段により検出されている出力電圧が電圧上限値まで上昇すると、誘導線路への高周波電流の給電を完全に停止することにより、誘導線路を介しての電力の消費は完全になくなり、最も有効な省エネルギーが実現される。また電源装置の動作は、給電するか、給電しないかの2つに1つとなり、電源装置の制御が簡略化される。また給電が停止している間は、走行車体、および昇降体の各駆動手段の回生エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積手段より走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段に給電される。
【0007】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記物品出し入れ装置は、前記走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段を駆動して前記物品保管部と搬入出口間における物品の出し入れを制御する制御手段を備え、前記制御手段に、前記電圧上限値と前記電圧下限値を予め設定し、制御手段は、少なくとも前記走行車体の走行状態または前記昇降体の昇降状態の一方の状態により、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧を補正し、この補正電圧が電圧上限値まで上昇すると電源オフ信号を前記電源装置へ出力し、前記電圧下限値まで下降すると電源オン信号を前記電源装置へ出力し、前記電源装置は、前記制御手段より電源オフ信号を入力すると、前記誘導線路への高周波電流の給電を停止し、前記制御手段より電源オン信号を入力すると、前記誘導線路へ高周波電流の給電を行うことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、電源装置は、電源オフ信号を入力すると、誘導線路への高周波電流の給電を停止し、電源オン信号を入力すると、誘導線路への高周波電流の給電が実行される。このように、電源装置の動作は、給電するか、給電しないかの2つに1つとなり、電源装置の制御が簡略化され、給電が停止している間、誘導線路からの電力の消費はなくなり、省エネルギーが実現される。
【0009】
また走行車体の走行状態または昇降体の昇降状態の少なくとも一方の状態により、例えば回生される物品の出し入れ装置の走行の運動エネルギーまたは昇降体の昇降高さの位置エネルギーの少なくとも一方があると確認されると、出力電圧を高く補正することにより、実際に検出される出力電圧よりはやく電圧上限値以上となり、よって電源オフ信号がはやく出力され、無駄な給電がなくなる。
【0010】
また請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明であって、前記制御手段は、前記物品の出し入れ装置が実行する作業情報により、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧を補正し、この補正電圧が電圧上限値まで上昇すると電源オフ信号を前記電源装置へ出力し、前記電圧下限値まで下降すると電源オン信号を前記電源装置へ出力することを特徴とするものである。
【0011】
上記構成によれば、物品の出し入れ装置が実行する作業情報により、例えば作業なし、すなわち物品の出し入れ装置が停止していることを確認すると、電圧検出手段により検出されている出力電圧を高く補正することにより、実際に検出される出力電圧は電圧上限値以上となり、よって電源オフ信号が出力され、無駄な給電がなくなる。
【0012】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記エネルギー蓄積手段として、電気2重層キャパシタを使用することを特徴とするものである。
【0013】
上記構成によれば、電気2重層キャパシタはメンテナンスの必要がなく、物品出し入れ装置のメンテナンスの手間が改善される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の物品保管設備は、電源装置の動作は給電するか、給電をしないかの2つに1つとなることにより、電源装置の制御を簡略化でき、また給電が停止している間、誘導線路からの電力の消費は完全になくなることにより、最も有効に省エネルギーを実現でき、また給電が停止している間は、走行車体、および昇降体の各駆動手段の回生エネルギーを蓄積したエネルギー蓄積手段より走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段に給電でき、従来放電されていた電力を有効に活用できる、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は本発明の実施の形態における物品保管設備の斜視図であり、物品保管設備FSには、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した2基の保管棚Aと、それらの保管棚Aどうしの間に形成された作業通路Bを自動走行するスタッカークレーンCとが設けられ、各保管棚Aには物品(商品など)Fを載せたパレットPを保管する複数の物品保管部Dが上下多段かつスタッカークレーンCの走行方向(以下、前後方向と称す)に並設されている。
【0016】
前記作業通路Bには、保管棚Aの長手方向に沿って走行レール1が設置され、作業通路BのスタッカークレーンCのホーム・ポジション(HP)側に物品搬出入部Eが設けられ、この物品搬出入部Eには、走行レール1を挟んで、物品捌き手段および搬入出口を形成する一対の物品受け台Jが設けられ、また操作パネル(入力手段)Kと地上コントローラ21(図1;詳細は後述する)と後述する第2光送受信器15(図1)を備えた地上制御盤E1が設けられている。スタッカークレーンCは、地上コントローラ21から出力される入出庫データ(作業情報の一例;詳細は後述する)に基づいて走行レール1に沿って走行して、物品保管部Dと物品受け台Jとの間、あるいは物品保管部D同士の間でのパレットP(物品F)の出し入れを行う物品出し入れ装置として構成されている。
【0017】
前記物品保管部Dの保管棚Aにおける位置(棚番;物品保管部Dを特定する情報)は、バンク(BANK)の番号{前記前後方向とは直角な方向(以下、左右方向と称す)の保管棚Aの列の番号}とレベル(LEVEL)の番号(保管棚Aの最も下段の物品保管部Dからの上下方向の段の番号)とベイ(BAY)の番号(HP位置からの物品保管部Dの前後方向の番号)により特定され、物品保管部Dに対する前記入出庫データは、「作業モード(実行する作業情報;入庫作業、出庫作業、ピッキング作業、移載作業のいずれかが指定される)」、「使用する物品受け台Jの左右の別」、「棚番(作業を実行する物品保管部Dのバンク−ベイ−レベルの番号)」から構成される。
【0018】
このような入出庫データは、自動運転のときは、物品保管設備FSの荷役をコントロールする上位の荷役コントローラ22より地上コントローラ21へ出力される荷役指令{物品名(物品を特定する情報の一例)と作業モード}に基づいて、地上コントローラ21において形成される。
【0019】
地上コントローラ21は、各物品保管部Dに収納されているパレットP上の物品Fを管理テーブルで管理しており、すなわち各物品保管部Dの棚番毎に、物品の有無および物品名(物品を収納しているとき)を記憶しており、荷役指令を入力すると、管理テーブルを参照して、入力した順に入出庫データを形成する。
【0020】
荷役指令の作業モードが入庫モードのときには、管理テーブルを検索して「物品無し」の物品保管部Dを求め、その棚番と入庫モード(作業モード)からなる入庫データを形成し、また出庫モードのときには、荷役指令の物品名により管理テーブルを検索してこの物品が収納されている物品保管部Dを求め、その棚番と出庫モード(作業モード)からなる出庫データを形成し、またピッキングモードのときには、荷役指令の物品名により管理テーブルを検索してこの物品Fが収納されている物品保管部Dを求め、その棚番とピッキングモード(作業モード)からなるピッキング出庫データを形成する。また荷役作業が終了した後等に、次の荷役作業時に出庫時間を短縮できるように、パレットPを物品受け台Jの近くに移動させる等の移載作業を実行する移載モードのとき、パレットPの移載元の棚番と移載先の棚番および移載モード(作業モード)からなる移載データを形成する。また使用する物品受け台Jは、左右交互に選択して各データに付加する。
【0021】
そして、地上コントローラ21は、形成した入出庫データを複数個(例えば、2個)ずつまとめて入出庫データをスタッカークレーンCへ指令する。なお、地上コントローラ21は、各作業モードが終了すると管理テーブルを更新することになる。
【0022】
前記スタッカークレーンCは、走行レール1に案内されて物品保管部Dに沿って走行する走行車体2と、この走行車体2に垂設された前後一対の昇降マスト(柱体)4と、この一対の昇降マスト4に沿って(支持案内されて)物品保管部Dと物品受け台Jへ昇降される昇降台(昇降体の一例)3を有し、この昇降台3に、物品保管部Dと物品受け台JにおいてパレットP(物品F)の移載を行うフォーク装置(移載手段)5を設けており、スタッカークレーンCは、前記昇降台3(フォーク装置5)に物品Fを載置して搬送する。
【0023】
また天井部には、走行レール1に対向してガイドレール6が敷設され、上記一対の昇降マスト4の上端部には、これら上端部を連結するとともに、前記ガイドレール6を左右から挟み込んで、スタッカークレーンCの走行に伴ってスタッカークレーンCの上部位置を規制する上部フレーム7が設けられている。
【0024】
また走行車体2上には、昇降台3を駆動昇降させるための昇降用電動モータ(駆動手段の一例)11と、走行車体2を走行駆動させるための走行用電動モータ(駆動手段の一例)12と、フォーク装置5を出退駆動させるためのフォーク用モータ(駆動手段の一例)39(図1)が設けられ、さらに走行車体2上には、HP側の昇降マスト4の外方位置に、コンピュータからなる本体コントローラ13(制御手段の一例;図1)を内蔵した本体制御盤Gが設けられており、走行車体2の側面には、物品搬出入部Eの地上コントローラ21とのデータの送受信を行う第1光送受信器14が設けられている。また走行車体2上に、昇降台3の下降限と昇降台3との距離を光を使用して測定する測距装置(昇降台3の昇降距離検出手段)16が設けられている。また走行用電動モータ12の回転軸には、パルスエンコーダ18(図3)が連結されている。
【0025】
また地上制御盤E1には、上記第1光送受信器14に対向して第2光送受信器15(図1)が設けられ、この第2光送受信器15は地上コントローラ21に接続されている。
またスタッカークレーンCに給電する設備として、走行レール1(物品出し入れ装置が走行する経路に相当する)に沿って上下一対の誘導線路31が敷設され、この誘導線路31に高周波電流を給電する電源装置32(図1)が設けられている。またスタッカークレーンCには、図1に示すように、誘導線路31に対向して受電コイル(ピックアップコイル)34が設けられ、この受電コイル34と並列に、この受電コイル34と誘導線路31の周波数に共振する共振回路を形成するコンデンサ35が設けられ、さらにこのコンデンサ35に接続されて整流・平滑回路36が設けられ、この整流・平滑回路36に接続されて安定化電源回路37が設けられている。安定化電源回路37により、その出力電圧は、一定の電圧幅の電圧(例えば、295V〜305Vの電圧)に維持される(安定化される)。
【0026】
またスタッカークレーンCにおいて、前記安定化電源回路37より、ダイオード38を介して、走行用電動モータ12、および(切り換えて)フォーク装置5のフォーク用モータ39を駆動する第1ACサーボドライバ40へ給電され、また昇降用電動モータ11を駆動する第2ACサーボドライバ41へ給電され、さらに本体コントローラ13へ制御電源を給電する制御電源装置42へ給電されている。上記第1ACサーボドライバ40と第2ACサーボドライバ41により、消費電力が可変な負荷が形成されている。
【0027】
またスタッカークレーンCにおいて、ダイオード38を介して安定化電源回路37と、上記第1ACサーボドライバ40,第2ACサーボドライバ41,および制御電源装置42との間に、上記第1ACサーボドライバ40,第2ACサーボドライバ41,および制御電源装置42と並列に、電気2重層キャパシタ(エネルギー蓄積手段の一例)45が接続され、さらに安定化電源回路37の出力電圧(第1ACサーボドライバ40,第2ACサーボドライバ41,および制御電源装置42に印加される電圧に相当する)を検出する電圧センサ(電圧検出手段の一例)46が設けられている。
【0028】
前記電気2重層キャパシタ45には、安定化電源回路37から充電されるとともに、走行車体2が「減速中」に走行用電動モータ12より回生される回生電流(回生エネルギー)が流れて充電され、また昇降台3が「下降中」に昇降用電動モータ11より回生される回生電流(回生エネルギー)が流れて充電されるエネルギー蓄積手段として形成されている。また安定化電源回路37からの給電が停止すると、電気2重層キャパシタ45より、第1ACサーボドライバ40、第2ACサーボドライバ41、および制御電源装置42へ給電される。
【0029】
前記スタッカークレーンCの本体コントローラ13は、地上コントローラ21から第2光送受信器15および第1光送受信器14を介して上記2つの入出庫データを入力すると、各入出庫データに応じて、走行シーケンス(詳細は後述する)を実行して走行用電動モータ12を駆動し、昇降シーケンス(詳細は後述する)を実行して昇降用電動モータ11を駆動し、パレットPの掬い動作と卸し動作のためにフォーク用モータ39を駆動して、パレットP(物品F)の出し入れ(入出庫または移載)を実行する。
【0030】
前記走行車体2の走行シーケンスは、現在位置(現在のベイの番号により特定される位置または物品受け台J位置)と入出庫データの目的位置(物品受け台J位置または目的のベイの番号により特定される位置)との距離を求め、この距離を、予め設定された、加速度、定速度、および減速度により、加速する時間、定速走行時間、減速する時間を求めて実行される。また、走行車体2の走行状態を示すモードとして、走行開始時は「加速モード」、加速する時間が経過すると、「定速モード」、定速走行時間が経過すると「減速モード」、減速時間が経過すると「停止モード」が設定される。
【0031】
また前記昇降シーケンスは、現在位置(現在のレベルの番号により特定される位置または物品受け台J位置)と入出庫データの目的位置(物品受け台J位置または目的のレベルの番号により特定される位置)とを比較し、現在位置が目的位置より低いときは、上昇モードが設定され、現在位置が目的位置より高いときは、下降モードが設定され、目的位置に到着すると停止モードが設定されて実行される。また昇降台3の昇降状態を示すモードとして、前記「上昇モード」、「下降モード」、および「停止モード」が設定される。なお、目的位置への到着は、前記測距装置16により昇降台3の下降限と昇降台3との距離を測定することにより判断される。
【0032】
各作業モードにおける走行シーケンスと昇降シーケンスを詳細に説明し、同時に各作業モードにおけるスタッカークレーンCの動作を説明する。
「入庫モード」
入庫データにより、入庫先の「物品保管部Dのベイ−レベル」が指定されることにより、図5に示すように、走行車体2および昇降台3が動作される。
【0033】
まず、「下降モード」を実行して、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を現在のレベル位置より物品受け台J位置へ下降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を物品受け台J位置へ移動する。
【0034】
物品受け台Jへの移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により物品受け台JにおけるパレットPの掬い動作を実行する。
物品受け台JにてパレットPを掬うと、「上昇モード」を実行して昇降用電動モータ11を駆動して、昇降台3を入庫データのレベル位置へ上昇する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を入庫データのベイ位置へ移動する。
【0035】
目的のベイ位置およびレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により目的の物品保管部DへパレットPの卸し動作を実行する。
「出庫モード」
出庫データにより、出庫先の「物品保管部Dのベイ−レベル」が指定されることにより、図6に示すように、走行車体2および昇降台3が動作される。
【0036】
まず、昇降台3は出庫データのレベル位置と現在のレベル位置を比較し、出庫データのレベル位置が高いときは「上昇モード」を設定し、低いときは「下降モードを設定し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を、現在のレベル位置から出庫データのレベル位置(目的のレベル位置)へ昇降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を、現在のベイ位置から出庫データのベイ位置(目的のベイ位置)へ移動する。
【0037】
目的のベイ位置およびレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により目的の物品保管部DからのパレットPの掬い動作を実行する。
この目的の物品保管部Dにおけるフォーク装置5によるパレットPの掬い動作が終了すると、「下降モード」を実行し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を、物品受け台J位置へ下降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して、走行車体2を物品受け台J位置へ移動する。
【0038】
物品受け台Jへの移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により物品受け台JへパレットPの卸し動作を実行する。
「ピッキングモード」
ピッキング出庫データにより、ピッキング作業を実行するパレットが収納されている「物品保管部Dのベイ−レベル」が指定されることにより、図7に示すように、走行車体2および昇降台3が動作される。
【0039】
まず、昇降台3はピッキング出庫データのレベル位置と現在のレベル位置を比較し、出庫データのレベル位置が高いときは「上昇モード」を設定し、低いときは「下降モードを設定し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を、現在のレベル位置から出庫データのレベル位置(目的のレベル位置)へ昇降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を、現在のベイ位置からピッキング出庫データのベイ位置(目的のベイ位置)へ移動する。
【0040】
目的のベイ位置およびレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により目的の物品保管部DからのパレットPの掬い動作を実行する。
この目的の物品保管部Dにおけるフォーク装置5によるパレットPの掬い動作が終了すると、「下降モード」を設定し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を、物品受け台J位置へ下降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して、走行車体2を、物品受け台J位置へ移動する。
【0041】
物品受け台Jへの移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により物品受け台JへパレットPの卸し動作を実行する。
そして、物品受け台Jにおけるピッキング作業が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により物品受け台JからのパレットPの掬い動作を実行する。
【0042】
物品受け台JからのパレットPの掬い動作が終了すると、「上昇モード」を設定して、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3をピッキング出庫データのレベル位置(元のレベル位置)へ上昇する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2をピッキング出庫データのベイ位置(元のベイ位置)へ移動する。
【0043】
元のベイ位置および元のレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により元の物品保管部DへパレットPの卸し動作を実行する。
「移載モード」
移載データにより、移載元の「物品保管部Dのベイ−レベル」が指定され、移載先の「物品保管部Dのベイ−レベル」が指定されることにより、図8に示すように、走行車体2および昇降台3が動作される。
【0044】
まず、昇降台3は移載データの移載元のレベル位置と現在のレベル位置を比較し、移載元のレベル位置が高いときは「上昇モード」を設定し、低いときは「下降モード」を設定し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を移載元のレベル位置へ昇降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を移載データの移載元のベイ位置へ移動する。
【0045】
移載元のベイ位置およびレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により移載元の物品保管部DからのパレットPの掬い動作を実行する。
【0046】
この移載元の物品保管部Dにおけるフォーク装置5によるパレットPの掬い動作が終了すると、昇降台3は移載データの移載元のレベル位置と移載先のレベル位置を比較し、移載先のレベル位置が高いときは「上昇モード」を設定し、低いときは「下降モード」を設定し、昇降用電動モータ11を駆動して昇降台3を移載元のレベル位置から移載データの移載先のレベル位置へ昇降する。また「加速モード」−「定速モード」−「減速モード」を順に実行し、走行用電動モータ12を駆動して走行車体2を移載元のベイ位置から移載データの移載先のベイ位置へ移動する。
【0047】
移載先のベイ位置および移載先のレベル位置への移動が終了すると、フォーク用モータ39を駆動してフォーク装置5により移載先の物品保管部DへのパレットPの卸し動作を実行する。
【0048】
またスタッカークレーンCの本体コントローラ13は、電圧センサ46により検出される安定化電源回路37の出力電圧に基づいて、電源オン信号と電源オフ信号を、第1光送受信器14、第2光送受信器15、および地上コントローラ21を介して電源装置32へ出力している。
【0049】
すなわち、図3のブロック図に示すように、本体コントローラ13には、安定化電源回路37に設定されている前記電圧幅の電圧より高い電圧の電圧上限値(例えば、306V)が予め設定された上限電圧設定器51と、安定化電源回路37に設定されている前記電圧幅の電圧より低い電圧の電圧下限値(例えば、294V)が予め設定された下限電圧設定器52が設けられ、本体コントローラ13は、走行車体2の走行状態、および昇降台3の昇降状態、および入出庫データの有無により、電圧センサ46により検出されている出力電圧を補正し、この補正電圧を主比較器53へ入力し、主比較器53は、補正電圧が上限電圧設定器51に設定された電圧上限値まで上昇すると電源オフ信号を、また下限電圧設定器52に設定された電圧下限値まで下降すると電源オン信号を、第1光送受信器14、第2光送受信器15、および地上コントローラ21を介して電源装置32へ出力している。
【0050】
上記走行車体2の走行状態を判定するために、図3に示すように、走行車体2が予め設定された高速域で走行していることを検出する高速の設定値が予め設定されている高速設定器54と、低速域より速い速度で且つ高速の設定値より遅い中速の設定値が予め設定されている中速設定器55と、パルスエンコーダ18のパルスをカウントして走行車体2の走行速度を検出する速度検出器56が設けられ、この速度検出器56により検出される走行速度が高速設定器54に設定された高速の設定値以上かどうかを検出する第1比較器57と、速度検出器56により検出される走行速度が中速設定器55に設定された中速の設定値以上かどうかを検出する第2比較器58が設けられ、これら比較器57,58の出力信号の組み合わせより、走行速度が高速域のときオンするリレイRY−SH、中速域のときオンするリレイRY−SM、低速域のときオンするリレイRY−SLが設けられている。また走行シーケンスが「加速モード」のときオンする、リレイRY−Aが設けられている。
【0051】
そして、リレイRY−Aがオンでなく(「加速モード」ではないとき)、且つリレイRY−SHがオンしていると(高速域のとき)、3.5Vを電圧センサ46により検出されている出力電圧に加算する補正を行い、またリレイRY−Aがオンでなく(「加速モード」ではないとき)、且つリレイRY−SMがオンしていると(中速域のとき)、1.5Vを加算する補正を行うよう構成されている。またリレイRY−Aがオンのとき(「加速モード」のとき)、またはリレイRY−SLがオンのとき(低速域のとき)、補正値を0V、すなわち補正を行わないように構成されている。
【0052】
また上記昇降台3の昇降状態を判定するために、図3に示すように、測距装置16により検出されている昇降台3の高さが予め設定された高位置にあることを検出する高位置域の設定値が予め設定された高位置設定器59と、高位置域より低く低位置域より高い中位置にあることを検出する中位置域の設定値が予め設定された中位置設定器60と、測距装置16により検出されている昇降台3の高さが高位置設定器59に設定された高位置域の設定値以上かどうかを検出する第3比較器61と、同昇降台3の高さが中位置設定器60に設定された中位置の設定値以上かどうかを検出する第4比較器62が設けられ、これら比較器61,62の出力の組み合わせより、高位置域でオンするリレイRY−WH、中位置域でオンするリレイRY−WM、低位置域でオンするリレイRY−WLが設けられている。また昇降シーケンスが「上昇モード」のときオンする、リレイRY−Rが設けられている。
【0053】
そして、リレイRY−Rがオンでなく(「上昇モード」ではないとき)、且つリレイRY−WHがオンしていると(高位置域のとき)、10V、加算する補正を行い、またリレイRY−Rがオンでなく(「上昇モード」ではないとき)、且つリレイRY−WMがオンしていると(中位置域のとき)、5V、加算する補正を行うよう構成されている。またリレイRY−Rがオンのとき(「上昇モード」のとき)、またはリレイRY−WLがオンのとき(低位置域のとき)、補正値を0V、すなわち補正を行わないように構成されている。
【0054】
上記補正電圧の根拠は以下のとおりである。
今、スタッカークレーンCの設計値の一例として、昇降台3の重さを1000kg、昇降マスト4に沿った昇降台2の昇降距離(高さ)を8m、スタッカークレーンCの重さを6200kg、高速走行時の速度を3m/sec、中速走行時の速度を2m/secとする。
【0055】
昇降台3の位置エネルギーは、いわゆる“mgh”で表されるから上限位置8mでのエネルギーは、78400J、中間位置4mでのエネルギーは、39200Jであり、スタッカークレーンCの運動エネルギーは、いわゆる“mv/2”で表されるから高速でのエネルギーは、27900J、中速でのエネルギーは、12400Jとなる。
【0056】
また設計値である電気2重層キャパシタ45の容量を20Fとすると、蓄えられるエネルギーは、cv/2で表されるから、印加電圧が300v時に、900000J、10v低い印加電圧が290v時に、841000Jであり、印加電圧の10vによる差は、59000Jとなる。この59000Jは、ほぼ昇降台3の上限位置8mで回生されるエネルギー58800J{=78400J×75%(効率)}に一致する。このことから、昇降台3が高位置部域にあるときの補正電圧を10vに設定して、これに準じて、中位置域にあるときの補正電圧を5vに設定し、走行車体2(スタッカークレーンC)が高速のときの補正電圧を3.5vに設定し、中速のときの補正電圧を1.5vに設定している。
【0057】
このように、回生される昇降台3の位置エネルギーと、回生されるスタッカークレーンCの運動エネルギーと、電気2重層キャパシタ45の容量と、安定化電源回路37の設定電圧を換算して補正電圧を設定している。
【0058】
また入出庫データの有無により、電圧センサ46により検出されている出力電圧の補正電圧を設定している。図3に示すように、作業する入出庫データを入力していないとき、すなわちスタッカークレーンCが入出庫作業を実行してなく停止しているときにオンする、リレイRY−Jが設けられている。
【0059】
リレイRY−Jがオンのとき(入出庫データ無しのとき)、電圧センサ46により検出されている出力電圧に補正電圧2vを加算し、リレイRY−Jがオフのとき(入出庫データ有り、すなわち入出庫作業を実行しているとき)、補正電圧を0v、補正なしとしている。
【0060】
これにより、入出庫作業を実行せずにスタッカークレーンCが停止しているとき、電圧センサ46により検出されている出力電圧に、補正電圧が2v加算され、安定化電源回路37により調整されている印加電圧が、無負荷の状態で上昇し304vまで達すると、補正された電圧は、306vとなり、電圧上限値(例えば、306V)に達して電源オフ信号が出力される。よって、スタッカークレーンCが停止しているとき、電源オフ信号が出力される。
【0061】
電源装置32は、本体コントローラ13より出力された電源オフ信号を入力すると、誘導線路31への高周波電流の給電を停止し、電源オン信号を入力すると、誘導線路31への高周波電流の給電を行う。すなわち、電圧センサ46により検出される安定化電源回路37の出力電圧が補正され、その補正された出力電圧が、電圧上限値まで上昇すると、電源装置32から誘導線路31への高周波電流の給電が停止され、前記補正された出力電圧が、電圧下限値まで下降すると、電源装置32により誘導線路31へ高周波電流の給電が行われる。
[作用]
上記構成による作用を説明する。
【0062】
地上コントローラ21は、荷役コントローラ22から、上記荷役指令が入力すると、入出庫データを形成して、2つずつ第2光送受信器15および第1光送受信器14を介してスタッカークレーンCの本体コントローラ13へ2つずつ入出庫データを送信する。本体コントローラ13は、入出庫データを入力すると、上述したように上記入出庫の作業モードにしたがって動作を実行する。また本体コントローラ13では、安定化電源回路37により、第1ACサーボドライバ40、第2ACサーボドライバ41、および制御電源装置42に印加する電圧は、所定電圧(例えば、295v〜305v)に維持されている。
【0063】
各作業モードにおける動作中、電圧センサ46により検出されている出力電圧に対して、走行シーケンスの「加速モード」では補正なし、走行シーケンスの他のモードでは、走行速度が高速域で3.5v、中速域で1.5vが加算補正され、低速域では、補正なしとされる。また昇降シーケンスの「昇降モード」では補正なし、昇降シーケンスの他のモードでは、昇降台3の位置が高位置域で10v、中位置域で5vが加算補正され、低位置域では補正なしとされる。
【0064】
そして、走行の状態および昇降の状態にしたがって補正した補正電圧が、前記電圧上限値に達すると電源オフ信号を、また前記電圧下限値まで下降すると電源オン信号を、第1光送受信器14、第2光送受信器15および地上コントローラ21を介して、電源装置32へ出力する。電源装置32は、電源オン信号により誘導線路31へ給電し、電源オフ信号により給電を停止する。
【0065】
そして、本体コントローラ13は、入力した入出庫データによる作業が終了すると、すなわち入出庫データが無くなり、スタッカークレーンCの動作が終了すると、電圧センサ46により検出されている出力電圧に対して、2vを加算補正し、安定化電源回路37により維持している前記印加電圧が304vになると、補正電圧が前記電圧上限値に達して電源オフ信号を出力し、誘導線路31への給電を停止する。
【0066】
また本体コントローラ13では、誘導線路31への給電が停止し、安定化電源回路37からの給電が停止すると、電気2重層キャパシタ45より、第1ACサーボドライバ40、第2ACサーボドライバ41、および制御電源装置42へ給電される。
【0067】
図4(b)に入出庫データにより作業中の補正後の出力電圧の一例を示す。
例えば、最初の部分の出力電圧カーブ(補正後)は、入庫モードにおいて、物品受け台J位置から、入庫位置へスタッカークレーンCが移動するときのカーブを示している。
【0068】
最初は走行車体2が加速し、同時に昇降台3が上昇するので、大きな電力が消費されて出力電圧は急速に低下する。このとき昇降台3は「上昇モード」、走行車体2は「加速モード」なので、補正値は0Vとなる。よって、補正された出力電圧は、電圧センサ46により検出される実際の電圧となり、電源装置32に電源オン信号が出力され、誘導線路31への給電が実行される。
【0069】
次に走行車体2が定速の走行に変わり、昇降台3は上昇を続けるので、中の位の電力が消費されてやはり出力電圧はゆっくり低下する。このとき、昇降台3は「上昇モード」による補正値は0、走行車体2は「定速モード」であるから走行速度が高速域か、中速域か、低速域かが判断され、例えば「定速モード」では高速域と判断され、補正値として3.5vが加算される。
【0070】
次に走行車体2が減速し、昇降台3は停止するので、回生電流により電気2重層キャパシタ45は充電され、出力電圧は急速に回復する。このとき、昇降台3は「停止モード」であるから停止位置が高位置域か、中位置域か、低位置域かが判断され、高位置域のとき10vが加算され、中位置域のとき5vが加算される。また走行車体2は「減速モード」であるから走行速度が高速域か、中速域か、低速域かが判断され、中速域では1.5vが加算され、電圧センサ46により検出されている出力電圧が補正される。よって、補正された出力電圧、すなわちスタッカークレーンCが有する運動エネルギーと位置エネルギーが加算された出力電圧は、電圧センサ46により検出される実際の電圧よりはやく電圧上限値以上となり、電源装置32に電源オフ信号が出力され、誘導線路31への給電が停止される。これにより、電源装置32からの給電ははやく停止され、消費電力が低減される。
【0071】
このように、走行車体2の走行状態および昇降台3の昇降状態に応じて、電圧センサ46により検出された出力電圧が補正され、すなわちスタッカークレーンCが有する運動エネルギーと位置エネルギーが加算された出力電圧が形成され、この補正電圧に基づいて電源オン信号、電源オフ信号が出力され、出力電圧の低下の緩和、消費電力の低減が実現される。
【0072】
以上のように本実施の形態によれば、電源装置32は、電源オフ信号を入力すると、誘導線路31への高周波電流の給電を完全に停止することにより、誘導線路31からの電力の消費はなくなり、最も有効に省エネルギーを実現できる。また電源装置32の動作は、給電するか、給電しないかの2つに1つとなり、電源装置32の制御を簡略化できる。さらに給電が停止している間は、走行車体2および昇降台3の各電動モータ11,12の回生エネルギーを蓄積した電気2重層キャパシタ45より、走行車体2、昇降台3およびフォーク装置5の各電動モータ11,12,39へ給電することができ、従来放電されていた電力を有効に活用できる。
【0073】
また本実施の形態によれば、走行車体2の走行状態と昇降台3の昇降状態により、例えば回生されるスタッカークレーンCの走行の運動エネルギーまたは昇降台3の昇降高さの位置エネルギーがあると確認されると、電圧センサ46により検出される出力電圧がプラスに補正されることにより、電源オフ信号を出力するタイミングを早くでき、無駄な給電をなくすことができ、省エネルギーを実現できる。逆に回生される走行の運動エネルギーまたは昇降高さの位置エネルギーがないとき、電圧センサ46により検出される出力電圧がプラス側に補正されないことにより、電源オン信号を出力するタイミングを早くでき、出力電圧の低下を抑えることができる。
【0074】
また本実施の形態によれば、入出庫データが無くなり、スタッカークレーンCの動作が終了すると、電圧センサ46により検出されている出力電圧に対して、2vを加算補正することにより、安定化電源回路37により維持している前記印加電圧が304vになると、前記電圧上限値に達して電源オフ信号を出力して、誘導線路31への高周波電流の給電を完全に停止することにより、停止しているスタッカークレーンCに対して外部からの給電が遮断され、誘導線路31からの電力の消費はなくなり、最も有効に省エネルギーを実現できる。
【0075】
また本実施の形態によれば、スタッカークレーンCにおいてエネルギーを蓄積する手段として、電気2重層キャパシタ45を使用することにより、エネルギー蓄積手段のメンテナンスの必要をなくすことができ、スタッカークレーンCのメンテナンスの手間を改善することができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、本体コントローラ13において、電源装置32から誘導線路31へ給電するか、給電しないかを判断しているが、このような判断を地上コントローラ21において行うことも可能である。このとき、本体コントローラ13は、電圧センサ46により検出されている出力電圧のデータと、進行中の走行シーケンスおよび昇降シーケンスのデータと、走行車体2の走行速度のデータと、昇降台3の昇降距離のデータを、第1光送受信器14および第2光送受信器15を介して地上コントローラ21へ出力する。
【0077】
また本実施の形態では、本体コントローラ13において、走行車体2の走行状態、および前記昇降台3の昇降状態、および入出庫データの有無により、電圧センサ46により検出されている出力電圧を補正しているが、少なくとも、走行車体2の走行状態、または昇降台3の昇降状態、または入出庫データの有無のひとつにより、電圧センサ46により検出されている出力電圧を補正するようにしてもよい。
【0078】
また本実施の形態では、走行車体2の走行状態を、走行速度が高速域か、中速域か、低速域かにより判断しているが、速度検出器56により検出される実走行速度により、スタッカークレーンCが有している運動エネルギーを、いわゆる“mv/2”で計算し、その運動エネルギーを補正電圧に換算して、例えば、上述したようにエネルギー59000Jが印加電圧10vに相当することを基準として、運動エネルギーを補正電圧に換算し(補正電圧を求め)、電圧センサ46により検出されている出力電圧を補正するようにしてもよい。また昇降台3の昇降状態を、昇降位置が高位置域か、中位置域か、低位置域かにより判断しているが、測距装置16により検出される昇降台3の実昇降距離(高さ)により、昇降台3の位置エネルギーを、いわゆる“mgh”で計算し、その位置エネルギーを補正電圧に換算して、上述したようにエネルギー59000Jが印加電圧10vに相当することを基準として、運動エネルギーを補正電圧に換算し(補正電圧を求め)、電圧センサ46により検出されている出力電圧を補正するようにしてもよい。
【0079】
また本実施の形態では、走行車体2の走行状態を、走行速度により判断し、補正値を設定しているが、走行シーケンスの各モードにより補正値を設定してもよい。例えば、「加速モード」時に(走行車体2の加速開始時に)、出力電圧をマイナスに補正し(例えば、−5V補正し)、「定速モード」時に(定速開始時に)、出力電圧の補正をゼロとし、「減速モード」時に(減速開始時に)、出力電圧をプラスに補正し(例えば、+5V補正し)、「停止モード」時に(走行停止時に)、出力電圧の補正をゼロとする。また昇降台3の昇降状態を、昇降台3の位置により判断し、補正値を設定しているが、昇降シーケンスの各モードにより補正値を設定してもよい。例えば、「上昇モード」時に(昇降台3の上昇開始時に)、出力電圧をマイナスに補正し(例えば、−5V補正し)、「下降モード」時に(下降開始時に)、出力電圧をプラスに補正し(例えば、+5V補正し)、「停止モード」時に(昇降停止時に)、出力電圧の補正をゼロとする。このように、走行車体2の走行モードあるいは昇降台3の昇降モードにより出力電圧が回復することが予測されるとき(上記「加速モード」「上昇モード」のとき)、電圧センサ46により検出される出力電圧がプラスに補正されることにより、電源オフ信号を出力するタイミングを早くでき、無駄な給電をなくすことができ、省エネルギーを実現でき、逆に出力電圧が急速に低下することが予測されるとき(上記「減速モード」「下降モード」のとき)、電圧センサ46により検出される出力電圧がマイナスに補正されることにより、電源オン信号を出力するタイミングを早くでき、出力電圧の低下を抑えることができる。
【0080】
また本実施の形態では、スタッカークレーンCはパレットP単位で物品の出し入れを行っているが、箱単位等で出し入れできる構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態における物品保管設備の回路構成図である。
【図2】同物品保管設備の要部斜視図である。
【図3】同物品保管設備の本体コントローラの動作を説明するブロック図である。
【図4】同物品保管設備のスタッカークレーンの動作と、安定化電源回路の出力電圧を示す特性図である。
【図5】同物品保管設備の入庫作業時におけるスタッカークレーンの走行車体と昇降台の動作を示す説明図である。
【図6】同物品保管設備の出庫作業時におけるスタッカークレーンの走行車体と昇降台の動作を示す説明図である。
【図7】同物品保管設備のピッキング作業時におけるスタッカークレーンの走行車体と昇降台の動作を示す説明図である。
【図8】同物品保管設備の移載作業時におけるスタッカークレーンの走行車体と昇降台の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
FS 物品保管設備
A 保管棚
B 作業通路
C スタッカークレーン
D 物品保管部
E1 地上制御盤
F 物品
J 物品受け台
P パレット
1 走行レール
2 走行車体
3 昇降台
4 昇降マスト
5 フォーク装置
11 昇降用電動モータ
12 走行用電動モータ
13 本体コントローラ
14 第1光送受信器
15 第2光送受信器
16 測距装置
18 パルスエンコーダ
21 地上コントローラ
22 荷役コントローラ
31 誘導線路
32 電源装置
34 受電コイル
35 コンデンサ
36 整流・平滑回路
37 安定化電源回路
38 ダイオード
39 フォーク用モータ
40 第1ACサーボドライバ
41 第2ACサーボドライバ
42 制御電源装置
45 電気2重層キャパシタ
46 電圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保管する複数の物品保管部と、これら物品保管部に沿って走行し、前記物品保管部と搬入出口間における物品の出し入れを行う物品出し入れ装置を備えた物品保管設備であって、
前記物品出し入れ装置が走行する経路に沿って敷設された誘導線路と、
前記誘導線路に高周波電流を給電する電源装置と、
を備え、
前記物品出し入れ装置は、
前記物品保管部に沿って走行する走行車体と、
前記走行車体上に設けられ昇降する昇降体と、
前記昇降体上に設けられ前記物品保管部と前記搬入出口において前記物品の移載を行う移載手段と、
前記誘電線路から無接触で給電される受電コイルと、
前記受電コイルに接続され、一定の電圧幅に電圧を維持して前記走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段に給電する安定化電源回路と、
前記駆動手段と並列に接続され、前記走行車体および昇降体の各駆動手段の回生エネルギーを蓄積可能なエネルギー蓄積手段と、
前記安定化電源回路の出力電圧を検出する電圧検出手段
を備え、
前記安定化電源回路に設定されている電圧幅より高い電圧の電圧上限値と、前記安定化電源回路に設定されている電圧幅より低い電圧の電圧下限値を予め設定し、
前記電圧検出手段により検出されている出力電圧が、前記電圧上限値まで上昇すると、前記電源装置から前記誘導線路への高周波電流の給電を停止し、
前記電圧検出手段により検出されている出力電圧が、前記電圧下限値まで下降すると、前記電源装置により前記誘導線路へ高周波電流の給電を行うこと
を特徴とする物品保管設備。
【請求項2】
前記物品出し入れ装置は、前記走行車体、昇降体および移載手段の各駆動手段を駆動して前記物品保管部と搬入出口間における物品の出し入れを制御する制御手段を備え、
前記制御手段に、前記電圧上限値と前記電圧下限値を予め設定し、制御手段は、少なくとも前記走行車体の走行状態または前記昇降体の昇降状態の一方の状態により、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧を補正し、この補正電圧が電圧上限値まで上昇すると電源オフ信号を前記電源装置へ出力し、前記電圧下限値まで下降すると電源オン信号を前記電源装置へ出力し、
前記電源装置は、前記制御手段より電源オフ信号を入力すると、前記誘導線路への高周波電流の給電を停止し、前記制御手段より電源オン信号を入力すると、前記誘導線路へ高周波電流の給電を行うこと
を特徴とする請求項1記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記制御手段は、前記物品の出し入れ装置が実行する作業情報により、前記電圧検出手段により検出されている出力電圧を補正し、この補正電圧が電圧上限値まで上昇すると電源オフ信号を前記電源装置へ出力し、前記電圧下限値まで下降すると電源オン信号を前記電源装置へ出力すること
を特徴とする請求項2に記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記エネルギー蓄積手段として、電気2重層キャパシタを使用すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の物品保管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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