物品保管設備
【課題】地震等によって物品収納棚が振動して、棚板上に載置されている物品の位置が物品収納位置からずれた場合にも、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供する。
【解決手段】物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置に卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行するように構成されている。
【解決手段】物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置に卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成された物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品保管設備における物品収納棚においては、例えば地震等によって物品収納棚が振動したときに、棚板上に載置されている物品の位置が、物品の適正な収納位置である適正収納位置から移動して移載装置によって掬い取ることができない位置となる虞がある。例えば、物品が棚の前後方向における前方側に大きく移動して物品収納棚の前端よりも作業通路側に突出した場合には、作業通路を走行する移動体と物品とが接触してしまう問題が生じる。また、移載装置が物品を棚前後方向から挟み込んで支持する挾持手段としてのクランプを備えて構成されている場合において、棚左右方向における物品同士の間隔がそのクランプの棚左右方向の幅よりも小さくなったときには、移載対象の物品と隣接する物品との間にクランプを挿入することが出来ないため、移載対象の物品を移載することができないという問題が生じる。
【0003】
このように、棚板上に載置されている物品が適正収納位置から移動した場合には、移載対象の物品を移載装置にて移載することができるようにするため、従来、作業架台を昇降案内マストにおける複数の高さに支持させる状態で設け、作業者が、昇降案内マストに備えられる梯子を昇降して、目的の高さの作業架台に乗って、手作業でその物品の位置を適正収納位置とするように修正するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、移載装置が、物品を棚前後方向から挟み込んで挾持する左右一対の挾持体からなるクランプを備えて構成され、物品収納棚が、隣接する物品収納部の間に物品の移動を規制する仕切りを設けてその仕切りを超えて物品が移動しないように構成されている場合において、地震等により物品の載置位置が適正載置位置から移動したときには、左右一対の挾持体を物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させる異常時用の移載作動を実行することによって、物品が物品収納部の左右方向のどの位置に移動したとしても、移載が可能となるように構成されたものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−20778号公報
【特許文献2】特開2008−290807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1における物品保管設備における物品収納棚は、多数の物品を収納するために物品収納部の上下方向の並び数(段数)を多くしており、それによりその高さが高くなっている。このように物品収納棚の高さが高い場合には、物品収納棚における上方の物品収納部に収納される物品が適正載置位置から移動したときに、物品の位置を適正載置位置とすべく修正する作業を、作業者が高所で行う必要があった。したがって、物品保管設備に備えられる複数の物品収納棚の全てにわたって、物品の位置を所定の物品収納位置となるように修正するには、作業が行い難いものになり、時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2のように、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合に、クランプを物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させる異常時用の移載作動をさせるものとしたときには、異常時用の移載作動においては平常時の移載作動よりも1回の移載サイクルに要する時間が長くなる。
つまり、物品の棚左右方向の幅は物品収納部の棚左右方向の幅と同じかそれよりも小さいものであり、平常時の移載作動においては、クランプの棚左右方向の開き幅を移載対象の物品の棚左右方向の幅よりも若干大きい程度とすればよいが、異常時用の移載作動においては、移載対象の物品が、その側面部が物品収納部における仕切りの近傍となる位置にまで移動している可能性があるため、クランプの棚左右方向の開き幅を、その物品収納部の棚左右方向と同じ幅とする必要がある。したがって、異常時用の移載作動においては、1回の移載に対するクランプの接近離間する移動距離が長くなり、平常時の移載作動に比して1回の移載サイクルに要する時間が長くなるという問題があった。
そして、上記の異常時用の移載作動においては、移載の対象となった物品収納部に対して卸された物品の位置は移載後に修正されることになるものの、移載作動は入出庫等により移載が必要となった物品に対してのみ行われるため、全ての物品収納部に載置された物品に対して移載作動が行われるまで異常時用の移載作動を継続しなければならなかった。したがって、地震の発生後に、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて1回の移載サイクルに要する時間が短い平常時の移載作動に復旧することができるようになるまでに、長い時間を要するものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震等によって物品収納棚が振動して、棚板上に載置されている物品の位置が物品収納位置から移動した場合にも、物品の位置を迅速に物品が載置されるべき適正載置位置に修正して、平常時の移載作動が可能な状態に迅速に復旧することが可能な物品保管設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る物品保管設備の第1特徴構成は、物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成されたものであって、
前記物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、前記制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品を前記移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を前記適正載置位置に卸すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、前記物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、物品位置修正モードが指令されると、物品を移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を物品が載置されるべき適正載置位置に卸すべくスタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行することになる。
つまり、物品位置修正モードが指令されたときには、制御手段は、物品を移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を適正載置位置に卸すことによって適正載置位置からずれた物品を適正載置位置に戻す物品位置修正処理を実行することによって、物品の位置を作業者の手を介さずに適正載置位置に修正することができるものとなる。そして、制御手段は、上記物品位置修正処理を物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行することになるため、地震に起因する物品収納棚の振動等により物品収納部に収納されている物品が適正載置位置から移動した場合においても、物品収納棚に収納されている全ての物品の位置を迅速に適正載置位置に修正し、平常時の移載作動が可能な状態に復旧できることとなる。
【0010】
説明を加えると、例えば、移載装置が、一対の挾持体を接近離間自在に備えたクランプ式に構成される場合においては、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合に、移載作動として、平常時用の移載作動に代えて、一対の挾持体を物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させるため、1回の移載に対するクランプの接近離間方向の移動距離が長くなる。このように、適正載置位置から移動した物品でも移載できる異常時用の移載作動では、1回の移載に対するクランプの接近離間方向の移動距離が長くなるために、1回の移載サイクルに要する時間が長くなる。
そして、そのような異常時用の移載作動を、入出庫等により移載が必要となった物品に対してのみ行うようにすると、全ての物品収納部に載置された物品に対して移載作動が行われるまで異常時用の移載作動を継続しなければならない。そのため、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて、1回の移載サイクルに要する時間が短い平常時の移載作動が実行できるようになるまでに、長い時間を要するものとなる。
これに対して、上記第1特徴構成によれば、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合において、物品位置修正モードが指令されると、制御手段が物品収納棚に収納されている全ての物品に対して物品位置修正処理を実行するものであるから、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて平常時の移載作動が実行できるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0011】
要するに、上記第1特徴構成によれば、地震等によって物品収納棚が振動して、棚板上に載置されている物品の位置が物品収納位置から移動した場合にも、物品の位置を迅速に物品が載置されるべき適正載置位置に修正して、平常時の移載作動が可能な状態に迅速に復旧することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0012】
本発明に係る物品保管設備の第2特徴構成は、上記物品搬送車の第1特徴構成に加えて、前記物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段が前記スタッカークレーンに設けられ、前記制御手段が、前記物品位置修正処理を実行する前に、前記載置状態検出手段の検出情報に基づいて、前記物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行自在に構成されている点にある。
【0013】
すなわち、物品位置修正処理を実行する前に、物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段の検出情報に基づいて、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理が実行されることになる。
つまり、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを物品位置修正処理よりも前に知得することができるので、移載可否判別処理によって移載が不可能であると判別された場合には、移載が不可能であることを認識して物品収納部に載置された物品を移載可能な状態に修正すべく対処することができることとなる。
説明を加えると、物品収納部に載置された物品が移載不可能な状態であるにもかかわらず物品位置修正処理を実行しようとすると、移載装置と物品収納部に載置された物品が接触する等の事象が発生する場合があり、物品の移載が適切に行えなくなったり、移載装置又は物品の破損を招いたりする虞があった。これに対して、第2特徴構成によれば、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを物品位置修正処理よりも前に知得することができるので、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態ではない場合には、物品位置修正処理を行わずに、自動的又は人為的に物品収納部に載置された物品を移載可能な状態に修正するように対処した後に、物品位置修正処理を実行することができるものとなる。
【0014】
要するに、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、適切に物品位置修正処理を実行することができる物品保管設備を提供することができる。
【0015】
本発明に係る物品保管設備の第3特徴構成は、上記物品搬送車の第2特徴構成に加えて、前記移動体が、物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段を装備自在に構成され、前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において、前記移載可否判別処理にて前記物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、前記移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、前記予備修正処理が実行された前記物品収納部に対して、前記物品位置修正処理を実行するように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、物品位置修正モードを指令した場合において、制御手段は、移載可否判別処理にて物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別したときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、予備修正処理が実行された物品収納部に対して、物品位置修正処理を実行することになる。
したがって、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、当該物品の位置を移載可能な状態に修正した上で物品位置修正処理を実行することができ、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0017】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0018】
本発明に係る物品保管設備の第4特徴構成は、上記物品搬送車の第3特徴構成に加えて、前記載置状態検出手段として、平面視にて前記移動体が前記作業通路を走行移動するときに前記昇降台が存在することになる移動体走行領域と重複する状態の突出物品があるか否かを検出する突出検出装置が設けられ、前記突出検出装置は、前記スタッカークレーンにおける平面視にて前記昇降台の前記物品収納棚に近接する側の端部よりも前記物品収納棚側に位置しかつ前記走行台車の走行方向前端部に位置する状態で、前記物品収納棚における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に設けられ、
下方ほど前記物品収納棚に近接する傾斜状に形成され、前記昇降台の上昇移動に伴って前記突出物品の棚前後方向前端に接触作用して前記突出物品を前記物品収納棚に向けて移動させる押込体が、前記予備修正手段として前記昇降台に着脱自在に設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、前記予備修正処理として、前記突出物品を平面視にて前記移動体走行領域と重複しない状態とするように、当該突出物品を装着状態の前記押込体にて前記物品収納棚に向けて押し込むべく前記昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行するように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、物品位置修正処理を実行する場合には、移動体に物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段としての押込体を昇降台に装着し、且つ、物品位置修正モードを指令することになる。そして、制御手段は、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、予備修正処理として、当該突出物品を物品収納棚に向けて押し込む物品押込処理を実行するべく昇降台を上昇させるように、昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行することになる。
したがって、移載可能な状態でない物品としての突出物品が存在するときには、その突出物品を物品収納棚に向けて押し込む物品押込処理を実行して当該物品を移載可能な状態に修正することが可能となり、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0020】
要するに、第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成の好適な実施形態を提供することができる。
【0021】
本発明に係る物品保管設備の第5特徴構成は、上記物品搬送車の第3又は第4特徴構成に加えて、前記物品収納棚が、前記適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で構成され、前記移載装置が、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体を備えて構成され、
物品の移載方向に伸縮可能であり、その棚左右方向の幅が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成され、物品の側面に当接して物品を棚左右方向に移動させる伸縮体が、前記予備修正手段として前記昇降台に設けられ、
前記棚板に載置された物品同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置が、前記載置状態検出手段として前記昇降台に設けられ、
前記制御手段が、前記物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、前記予備修正処理として、前記伸縮体を伸長させて物品間隔を前記挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行する点にある。
【0022】
すなわち、物品収納棚が、適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で、かつ、その棚板に棚左右方向への物品の移動を抑制する仕切り等の物品の移動を抑制するための構造が設けられていない状態で構成されている場合、物品の大きさに応じて棚板に載置する物品の個数を変更する(すなわち、物品の棚左右方向の幅が大きい場合には、単一の棚板に載置する物品の個数を少なくし、物品の棚左右方向の幅が小さい場合には、単一の棚板に載置する物品の個数を多くする等)ことが可能となり、物品収納棚への物品の収納効率が向上するが、このような場合には、物品が棚左右方向に移動した際に、その移動を抑制することができないため、物品収納棚の振動等によって、物品が適正載置位置から大きく移動して、隣接する物品の間に挾持体を挿入することができないほど接近してしまう可能性がある。このように物品同士の間に挾持体を挿入することができない場合、物品を掬い取ることができず、物品位置修正処理が実行できないことになる。
【0023】
これに対して、上記第5特徴構成によれば、制御手段が物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい、すなわち、物品間隔検出装置にて物品がそれらの間に挾持体を挿入することができないほど接近していると判別した場合には、予備修正処理として、棚左右方向の幅が挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい伸縮体を伸長させてそれらの物品の間に挿入し、伸縮体が物品の側面に当接した状態で、物品間隔を挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行することなる。
そして、そのように物品間隔を挾持体の棚左右方向の幅以上とすることによって、挾持体が物品と物品との間に挿入可能になり、物品位置修正処理を的確に実行することが可能になる。
【0024】
要するに、第5特徴構成によれば、上記第3又は第4特徴構成による作用効果に加えて、物品位置修正処理を的確に実行することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0025】
本発明に係る物品保管設備の第6特徴構成は、上記物品搬送車の第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報が各物品に付与されるとともに、その識別情報を取得する識別情報取得手段が前記昇降台に備えられ、
前記物品収納部に収納される物品の識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理する物品管理手段が設けられ、
前記物品管理手段が、前記物品位置修正処理の実行に伴って、前記物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と前記物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように構成されているように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、物品管理手段が物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理し、物品位置修正処理の実行に伴って、物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新することになる。
【0027】
説明を加えると、地震等により物品の収納される位置が適正載置位置から移動した場合において、物品が物品収納棚から落下したり、又は、物品が元来その物品が載置されていた適正載置位置から移動して、他の物品が載置されていた適正載置位置に近い位置にまで移動してしまったような場合においては、物品位置修正処理の実行後における物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報は、物品が移動する前の時点において管理していた情報と異なっている可能性がある。
このように、物品が移動する前の時点と物品が移動した後の時点において、物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報が異なっているにもかかわらず、物品が移動する前の時点の情報を更新しないままであると、その後に移載を指令されたときに、その物品があるべき位置に物品がなかったり、移載すべき物品とは異なる物品を移載したりして、目的の物品の移載が正常に実行できない虞がある。
そこで、物品位置修正処理を実行した物品収納部から順に、物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新するように構成することによって、物品管理手段は、物品位置修正処理が終了した時点において物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する最新の情報を管理できることになり、その後の移載を正常に実行することが可能となる。
【0028】
要するに、上記第6特徴構成によれば、第1〜第5特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、物品位置修正処理の実行に伴って物品管理手段によって管理される情報を最新の情報に更新することによって、その後の移載を正常に実行することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】物品保管設備の一部の側面図
【図2】物品保管設備の一部の平面図
【図3】地震発生時の作業の流れを示すフローチャート
【図4】物品位置修正モードの制御を示すフローチャート
【図5】突出物品の検出を示す平面図
【図6】物品押し込み処理を示す平面図
【図7】物品押し込み処理を示す立面図
【図8】物品間隔の検出を示す図
【図9】物品間隔確保処理を示す平面図
【図10】物品位置修正処理の実行前の状態を示す図
【図11】物品位置修正処理において物品を移載装置上に移載した状態を示す図
【図12】物品位置修正処理が実行された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る物品保管設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
この物品保管設備は、図1及び図2に示すように、物品Bを載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚50と、その物品収納棚50の物品出し入れ方向前面側に物品収納棚50の棚左右方向に沿って設けられる作業通路2を走行自在な、物品搬送用の移動体としてのスタッカークレーン10とを設けて構成されている。
【0031】
各物品収納棚50は、棚左右方向(図1中左右方向、図2中上下方向)及び棚前後方向(図1中奥行方向、図2中左右方向)に間隔を隔てて立設した複数の支柱に亘って設けられた棚板50Tを、その支柱上下方向に複数備えて構成されている。そして、物品収納棚50は、棚板50Tにて物品Bを載置支持する形態で物品Bを収納するように構成され、各物品Bを収納する物品収納部が上下方向及び左右方向に複数並ぶように設けられている。物品収納棚50に対する物品Bの収納については、棚左右方向に隣接する支柱間の棚板50T上に複数の物品Bを並べる形態で物品Bを収納するように構成されている。ちなみに、図示のものでは、同一の棚板50Tには棚左右方向における幅が同じ又はほぼ同じ物品Bを載置支持させる形態で複数の物品Bを並べて収納しているが、棚横幅方向における幅が異なる複数の物品Bを並べて収納することもできる。物品収納部には、図2に示すように、棚左右方向及び棚前後方向の寸法によって分類される物品Bの品種ごとに、その品種の物品Bが載置されるべき適正載置位置50Bが設定されている。
つまり、物品収納棚50は、適正載置位置50Bが棚左右方向に複数並べて設定された棚板50Tを上下方向に複数並べて備える状態で構成されている。
【0032】
作業通路2には、その床側に走行レール5が収納棚1の棚横幅方向に沿って設置され、その天井側にガイドレール6が棚横幅方向に沿って設置されている。
図2に示すように、走行レール5の一端側には、スタッカークレーン10の運転を管理する地上側コントローラ7が設けられ、物品収納棚50の棚横幅方向において物品収納棚50の端部に隣接する箇所には搬出入部8が設けられている。この搬出入部8は、スタッカークレーン10との物品Bの受け渡しのために、物品収納棚50に入庫する物品B及び物品収納棚50から出庫する物品Bを載置支持するものであり、例えば、コンベヤや荷載置台にて構成することができる。尚、以降の説明において走行レール5における地上側コントローラ7aが設けられる側の端部をホームポジションHPといい、ホームポジションHPと反対側の端部をオポジットポジションOPという。
【0033】
スタッカークレーン10は、棚左右方向に沿って作業通路2に設置された走行レール上を走行移動自在な走行台車11と、走行台車11に立設された前後一対の昇降案内マスト13と、その昇降案内マスト13に沿って昇降移動自在な昇降台20と、昇降台20に支持されかつ物品を自己と物品収納棚50との間で移載自在な移載装置30とを備えて構成されている。
【0034】
昇降台20は、昇降案内マスト13に係合するガイド部を備える前後一対のアップライト部と移載装置30を載置支持する台部とを備えて構成され、前後一対のアップライト部の夫々には、昇降台20を昇降移動させるべく一端側を昇降用モータに巻きかけられたチェーンの他端側が接続されている。そして、昇降用モータの回転駆動に伴って昇降台20が昇降駆動されることになる。
【0035】
図示は省略するが、昇降台20には、上下方向での昇降台20の昇降位置を検出する昇降用ロータリエンコーダが設けられている。昇降用ロータリエンコーダの回転軸には、昇降案内マスト13の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられている。そして、昇降用ロータリエンコーダは、昇降台20の昇降距離から上下方向での昇降台20の昇降位置を検出する。
【0036】
また、走行台車11には、走行レール5上を走行自在な前後2つの車輪が設けられ、2つの車輪のうちの走行台車11の前後幅方向の一端側の車輪が、走行用モータにて駆動される駆動輪として構成され、走行台車11の前後幅方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動輪として構成されている。そして、走行台車11は、走行用モータの作動により駆動輪を回転駆動させて走行レール5に沿って走行するように構成されている。
【0037】
図示は省略するが、走行台車11には、棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出する走行用ロータリエンコーダが設けられている。走行用ロータリエンコーダの回転軸には、走行レール5の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられている。そして、走行用ロータリエンコーダは、走行台車11の走行距離から棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出する。
また、走行台車11には、地上側コントローラ7aからの指令を受けて走行台車11の走行駆動と昇降台20の昇降駆動とを制御する移動体側コントローラ7bが設けられている。
本実施形態においては、地上側コントローラ7aと移動体側コントローラ7bとから制御手段Hが構成されている。
【0038】
移載装置30は、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体32を備えるクランプと、物品Bを載置してその物品Bを棚前後方向に移動させることが可能なローラ部31とによって構成されている。左右一対の挾持体32は、棚前後方向に沿う長尺状で且つ夫々の端部を他方側の挾持体32に向けて屈曲させるコ字状に形成され、図示しない駆動機構によって棚左右方向への移動動作と棚前後方向への移動動作が可能に構成されている。また、昇降台20には、上記のように構成された移載装置30が、スタッカークレーン10の走行方向(棚左右方向)に2つ並ぶ状態で設けられている。
【0039】
そして、物品Bを掬い取る場合には、左右一対の挾持体32を互いに棚左右方向に離間するように移動させ、且つ、物品収納棚50に向かって突出移動させて、左右一対の挾持体32が物品Bの左右夫々の側面に沿う位置に位置する状態において、左右一対の挾持体32を接近方向に移動させることによって、物品Bを挾持する状態とする。そして、その状態において一対の挾持体32を昇降台20側に移動させることによって、物品Bをローラ部31上に引き込むことになる。尚、詳細の図示は省略するが、左右一対の挾持体32による引き込みに合わせてローラ部31に備えるローラを回転させるようになっている。
【0040】
また、物品Bを卸す場合には、ローラ部31上に載置される物品Bの左右側面を左右一対の挾持体32によって挾持した状態とし、ローラ部31のローラの回転作動及び左右一対の挾持体32の物品収納棚50に向かう突出移動によって、物品Bを物品収納棚50に向かって移動させ、物品Bが棚板50T上の適正載置位置50Bに位置した状態で左右一対の挾持体32を離間移動させて物品Bの挾持を解除し、挾持体32の夫々を引退移動(つまり、平面視にて昇降台20の存在範囲内である所定の位置に移動)させることになる。
【0041】
走行台車11の走行方向前端部(図1及び図2にてOPで示す側の端部)には、平面視にて昇降台20の物品収納棚50に近接する側の端部よりも物品収納棚50側に位置し、かつ、物品収納棚50における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に位置する状態で、平面視にてスタッカークレーン10が作業通路2を走行移動するときに昇降台20が存在することになる移動体走行領域(図2に、図5及び図6における10S)と重複する状態の突出物品(図5乃至図7におけるBT)があるか否かを検出する突出検出装置としての光学式の突出物品センサS1が設けられている。
【0042】
また、図2乃至図6、及び図9に示すように、昇降台20における2つの移載装置30の間の位置に、物品収納棚50に対向する状態で、物品収納棚50の棚板50Tに載置された物品B同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置としての光学式の物品間隔センサS2が設けられている。
具体的には、物品間隔センサS2は、反射式の赤外線センサにて構成され、物品Bに向けて投射された赤外線の受光状態によって物品Bの有無を検出するように構成されている。このときの赤外線センサの投射光は、図8の一点鎖線Lに示す軌跡に沿って移動する。そして、走行用ロータリエンコーダによるスタッカークレーン10の棚左右方向の位置の情報と、その位置において赤外線センサにて検出される物品の有無の情報とから、棚板50Tとの物品Bとの位置関係を算出し、物品Bの間隔を検出することになる。図8の下段は、物品Bの間隔を検出する様子を模式的に表したもので、太実線の上側が、赤外線センサによって物品ありを検出したとき、下側が物品なしを検出したときに対応する。本実施形態においては、上記突出物品センサS1及び上記物品間隔センサS2が載置状態検出手段に相当する。すなわち、物品収納部に載置されている物品Bの載置状態を検出する載置状態検出手段がスタッカークレーン10に設けられている。
【0043】
また、本実施形態においては、各物品に、物品収納部に収納される物品Bの夫々を識別自在な識別情報を記録したバーコードが、ラベル等の形態で貼付されている。そして、図2、図5、図6及び図9に示すように、昇降台20における2つの移載装置30の夫々に対応して、物品収納棚50に対向する状態で、物品Bに付されたバーコードから識別情報を取得する識別情報取得手段としてのバーコードリーダS3が設けられている。
バーコードリーダS3によって取得された物品Bの識別情報は、その物品が収納される物品収納部の位置情報と対応付けられて、地上側コントローラ7と相互に通信可能な物品管理手段7cにて管理されるように構成されている。
【0044】
図1、図2、及び図6乃至図9に示すように、昇降台20における前方側のアップライト部に下方ほど物品収納棚50に近接する傾斜状に形成された押込体30Sが着脱自在に構成されている。この押込体30Sは、図7に示すように昇降台20の上昇移動に伴って突出物品BTの棚前後方向前端に接触作用して、突出物品BTを物品収納棚50に向けて移動させることになる。
【0045】
また、昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で、物品Bの移載方向(棚前後方向)に伸縮可能であり、且つ、その棚左右方向の幅が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成される伸縮体30Fが設けられている。尚、伸縮体30Fを伸縮させる機構については公知の方法を使用するため、図示及び説明は省略する。
伸縮体30Fは、伸長状態において、物品収納棚50に載置された物品Bの側面に当接し、スタッカークレーン10の走行移動に伴って、物品Bを棚左右方向に移動させることができるものとなる。
【0046】
本実施形態においては、上記押込体30S及び上記伸縮体30Fが予備修正手段に相当する。すなわち、スタッカークレーン10が、物品Bに接触作用して当該物品Bを移動させる予備修正手段を装備自在に構成されている。
【0047】
このような物品保管設備では、地震等の発生により物品収納部に収納されている物品Bが適正載置位置50Bから移動してしまうことがある。例えば、物品Bが適正載置位置50Bから物品収納棚50の棚前後方向の前方側に移動して物品収納棚50の前端から前方側に突出してしまうと、走行レール5を走行するスタッカークレーン10と接触してしまう問題が生じる。また、物品Bが適正載置位置50Bから物品収納棚50の棚横幅方向に移動すると、隣接する物品Bとの間隔が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さくなって、挾持体32により物品Bを挾持することができず、移載を行えなくなるという問題が生じる。
【0048】
このような問題を解消すべく、作業者は、地震が発生すると、図3に示す地震発生時の作業フローにしたがって作業を行う。すなわち、まず目視にて作業通路2に物品Bが落下していないかを確認し、物品Bが落下していることを確認したときは、その落下している物品Bを撤去する。つまり、スタッカークレーン10が作業通路2に設けられる走行レール5上を走行移動できる状態とする(#1)。
次に、作業者は、制御手段Hに対してスタッカークレーン10の動作モードを物品位置修正モードに切換えるように指令する(#2)。この指令は、地上側コントローラ7aの操作卓から行うことになるが、無線端末からの指令や電気通信回線を通じた指令など、他の指令方法を用いてもよい。物品位置修正モードにおいては、後述するように、予備修正処理、物品位置修正処理、及び最新情報更新処理を実行することになる。
そして、物品位置修正モードにおける全ての処理の実行が終了すると、制御手段Hはスタッカークレーン10の動作モードを平常モードに復帰させる(#3)。
【0049】
次に、物品位置修正モードにおける各処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
制御手段Hは、物品位置修正モードが指令されると、まずスタッカークレーン10の昇降台20を最下位置に下降作動させ、続いて走行台車11をホームポジションHPに移動させる。尚、このとき、走行台車11がホームポジションHPに移動した状態において、昇降台20における前方側のアップライト部に押込体30Sを装着することになる。
【0050】
続いて、制御手段Hは、スタッカークレーン10をHPからOPに向けて走行させる。このとき、突出物品センサS1は、物品収納棚50における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方から、平面視にてスタッカークレーン10が作業通路2を走行移動するときに昇降台20が存在することになる移動体走行領域10Sと重複する状態(突出状態)の突出物品BTがあるか否かを検出する。制御手段Hは、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTが存在すると判別したときには、予備修正処理として、突出物品BTを平面視にて移動体走行領域10Sと重複しない状態とするように、当該突出物品BTを押込体30Sにて物品収納棚50に向けて押し込むべく昇降台20の昇降作動を制御する物品押込処理を実行する(#21、#22)。
具体的には、制御手段Hは、物品押込処理として、押込体30Sの棚左右方向における存在範囲(好ましくは押込体30Sの棚左右方向における中心位置)がその突出物品BTの突出を検出した位置となるまで走行台車11を走行移動させ、昇降台20をその上下移動可能範囲の最下位置から最上位置まで上昇移動させる。これにより、図6及び図7に示すように、押込体30Sが突出物品BTの棚前後方向前端に接触作用して、その棚左右方向位置における棚上下方向の全体に亘って突出物品BTを物品収納棚50に向けて押し込むことになる。
制御手段Hは、スタッカークレーン10を、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTが存在すると判別したときには物品押込処理を実行する状態でOPまで移動させるので、スタッカークレーン10がOPに到達したときには全ての物品Bについて突出状態が解消することになる。
【0051】
物品押込処理によって全ての突出物品BTに対して突出状態が解消すると(#23)、続いて、制御手段Hは、昇降台20を最下段の物品収納部に対応する高さに昇降移動させるべく昇降用モータを駆動させる。物品間隔センサS2は、その棚左右位置において、物品の有無を検出することになるため、スタッカークレーン10をHPとOPとの間で走行移動させることにより、上述の如く物品間隔を検出できることになる。
そして、制御手段Hは、物品間隔センサS2の検出情報に基づいて物品間隔が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、予備修正処理として、伸縮体30Fを伸長させて物品B間に挿入し、物品間隔を挾持体32の棚左右方向の幅以上とするように物品Bを移動させるべく走行台車11の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行する(#24、#25)。
【0052】
つまり、図9に示すように、伸長した伸縮体30Fが物品Bの棚左右方向における側面に接触作用し、スタッカークレーン10の走行移動に伴う伸縮体30Fの棚左右方向の移動により、物品Bが移動されることになる。制御手段Hは、スタッカークレーン10をHPとOPとの間の全てに亘って走行させて上記の物品間隔確保処理を実行し、その段の物品収納部に収納される全ての物品Bに対して物品間隔確保処理が実行されると、引き続きそれよりも1段上段側の段の物品収納部に収納される全ての物品Bに対して、同様に物品間隔確保処理を実行する。そして、物品間隔確保処理が物品収納棚50荷収納される全ての物品Bに対して実行されると(#26)、引き続き実行される物品位置修正処理(#27)を実行する。
なお、物品間隔確保処理は、物品収納棚50の段毎にスタッカークレーン10をHP側からOP側に(あるいはOP側からHP側に)移動させる状態で実行するように構成してもよいし、ある段についてはスタッカークレーン10をHP側からOP側に移動させ、その1段上の段についてはスタッカークレーン10をOP側からHP側に移動させる状態で実行するように構成してもよい。
【0053】
物品位置修正処理は、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置50Bに卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御するように実行される(#27)。また、同時に、制御手段Hは、バーコードリーダS3によって物品位置修正処理を実行する物品Bの識別情報を取得し、物品管理手段7cに対して、その物品Bを卸して載置した物品収納部の位置情報とその物品Bの識別情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように指令する(#28)。
【0054】
物品位置修正処理は、詳細には、以下のように実行される。すなわち、図10に示すように棚板50T上の適正載置位置50Bから移動した物品Bを、図11に示すように移載装置30における一対の挾持体32によって挾持する。このとき、一対の挾持体32の挾持動作に伴って、物品Bの棚左右方向の位置が修正される。そして、一対の挾持体32の引退作動によって物品Bをローラ部31上に載置し(このとき挾持体32による物品Bの挾持状態は一旦解除する)、ローラ部31におけるローラの回転によってその棚前後方向位置を修正する。続いて、制御手段Hは、載置した物品Bの棚左右方向位置を物品収納部に対応する位置とすべく走行台車11を走行移動させる。そして、その位置にて移載装置30上の物品Bを挾持体32にて再度挾持して挾持体32を物品収納棚50に向けて規定量突出移動させ、挾持体32による物品Bの挾持状態を解除して物品Bを棚板50T上に載置する。これにより、図12に示すように、物品Bの位置を、適正載置位置50Bから移動した位置50Mから、適正載置位置50Bに修正することができるものとなる。
【0055】
また、制御手段Hは、上記物品位置修正処理と最新情報更新処理とを、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行する(#29)。
【0056】
つまり、制御手段Hは、物品位置修正モードが指令されると、載置状態検出手段としての突出物品センサS1及び物品間隔センサS2の検出情報に基づいて、物品収納部に載置された物品Bが移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行し、移載可否判別処理にて物品収納部に収納された物品Bが移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品Bを移載可能な状態に修正するべく、スタッカークレーン10に装備させた予備修正手段としての押込体30S及び伸縮体30Fを作動させる予備修正処理を実行し、且つ、予備修正処理が実行された物品収納部に対して、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置50Bに卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行するように構成されている。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、予備修正処理として物品押込処理を実行し、その後物品間隔確保処理を実行するように構成したが、これらのうち物品押込処理のみを実行するように構成してもよい。すなわち、物品収納部において物品Bの棚左右方向への移動を制約するガイド体が設けられているような場合においては、物品が棚左右方向には移動しないために物品間隔確保処理は不要となるので、物品押込処理のみを実行するように構成することもできる。尚、このときには、物品間隔センサS2及び伸縮体30Fも不要となる。
【0058】
(2)上記実施形態では、昇降用ロータリエンコーダによって上下方向での昇降台20の昇降位置を検出するように構成したが、このような構成に代えて、反射式のレーザー測距計によって昇降台20の昇降位置を検出するように構成してもよく、昇降台20の昇降位置を適切に検出可能な各種の構成が適用可能である。
また、上記実施形態では、走行用ロータリエンコーダによって棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出するように構成したが、このような構成に代えて、反射式のレーザー測距計によって走行台車11の走行位置を検出するように構成してもよく、走行台車11の走行位置を適切に検出可能な各種の構成が適用可能である。
【0059】
(3)上記実施形態では、物品押込処理として、制御手段Hが、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTがあると判別したときには、押込体30Sを装着した昇降台20をその上下移動可能範囲の最下位置から最上位置まで上昇移動させて、棚上下方向の全体に亘って、その棚左右方向位置に存在する突出物品BTを物品収納棚50に向けて押し込むように構成したが、突出物品センサS1を測距センサにて構成して、突出物品BTを検出すると同時に、その棚左右位置において最も低い位置にある突出物品BTまでの高さを検出し、その最も低い位置にある突出物品BTの下端に相当する高さまでは昇降台20を高速で上昇移動させるように構成してもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、予備修正処理として、物品押込処理と物品間隔確保処理とを実行するように構成したが、このような構成に加えて、物品Bの姿勢を修正する、つまり、平面視において物品Bの左右両辺が棚前後方向に対して0度超90度未満の角度を有する状態となった場合に、その角度を0度となるように修正する処理(物品姿勢修正処理)を実行してもよい。
物品姿勢修正処理を実行するための構成として、物品収納部における棚前後方向背面側に物品Bがそれよりも背面側に移動することを規制する背面部ガイド体を設け、物品Bをその背面部ガイド体に向けて移動させる押付け体を昇降台20に設けることが考えられる。そして、押付け体により物品Bを背面部ガイド体に当接するように移動させることで、物品Bの前後位置を、物品Bが背面部ガイド体に当接する位置とすることによって、物品Bの姿勢を修正することができる。このとき、押付け体は、昇降台20に設ける伸縮体30F、又はクランプの挾持体32と兼用させてもよい。
尚、物品姿勢修正処理を実行することで、隣接する物品B同士の間隔が変化する可能性があるため、物品姿勢修正処理は、物品押込処理が終了し物品間隔確保処理を開始するまでに実行することが好ましい。
【0061】
(5)上記実施形態では、予備修正処理として物品押込処理を物品収納棚50に収納される全ての物品Bに対して実行し、その後物品間隔確保処理を物品収納棚50に収納される全ての物品Bに対して実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、物品収納棚50を、一の棚板50Tを上下方向に複数並べた単位棚を棚左右方向に複数並べた構成と看做し、単位棚毎に、予備修正処理としての物品押込処理及び物品間隔確保処理(又はこれらに加えて物品姿勢修正処理)、並びに、物品位置修正処理を実行し、一の単位棚に対する予備修正処理及び物品位置修正処理が終了すると、隣接する単位棚に対する予備修正処理及び物品位置修正処理を実行するように構成してもよい。
【0062】
(6)上記実施形態では、突出物品センサS1及び物品間隔センサS2を光学式のセンサとして構成したが、このような構成に限定されるものではなく、超音波センサによって突出物品の有無又は物品間隔を検出するように構成してもよく、また、カメラにて撮影した画像について画像解析を行って、突出物品の有無又は物品間隔を検出するように構成してもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、予備修正手段として、昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で、物品Bの移載方向(棚前後方向)に伸縮可能であり、且つ、その棚左右方向の幅が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さい状態(板状)に形成される伸縮体30Fを設けるように構成したが、このような構成に代えて、伸縮体30Fをユニット化し、地震後の物品位置修正モード指令時にのみ、そのユニット化された伸縮体30Fを昇降台20に取付けるように構成してもよい。
また、上記伸縮体30Fを昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で備えるのではなく、一方の移載装置30に備えられるクランプにおける一対の挾持体32のうちの一方(つまり、昇降台20に4つ備える挾持体32のうちのいずれか1つ)に兼用させることもできる。つまり、物品位置修正モードを指令する際には、コ字状の部材を取り外して上記板状の伸縮体30Fを取付け、クランプの伸縮機構を利用して伸縮体30Fを伸縮移動させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
B 物品
50 物品収納棚
2 作業通路
10 スタッカークレーン(移動体)
7 制御手段
11 走行台車
13 昇降案内マスト
20 昇降台
30 移載装置
50B 適正載置位置
S1 突出検出装置(移載状態検出手段)
S2 物品間隔検出装置(移載状態検出手段)
30S 押込体(予備修正手段)
30F 伸縮体(予備修正手段)
10S 移動体走行領域
BT 突出物品
32 挾持手段
50T 棚板
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成された物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品保管設備における物品収納棚においては、例えば地震等によって物品収納棚が振動したときに、棚板上に載置されている物品の位置が、物品の適正な収納位置である適正収納位置から移動して移載装置によって掬い取ることができない位置となる虞がある。例えば、物品が棚の前後方向における前方側に大きく移動して物品収納棚の前端よりも作業通路側に突出した場合には、作業通路を走行する移動体と物品とが接触してしまう問題が生じる。また、移載装置が物品を棚前後方向から挟み込んで支持する挾持手段としてのクランプを備えて構成されている場合において、棚左右方向における物品同士の間隔がそのクランプの棚左右方向の幅よりも小さくなったときには、移載対象の物品と隣接する物品との間にクランプを挿入することが出来ないため、移載対象の物品を移載することができないという問題が生じる。
【0003】
このように、棚板上に載置されている物品が適正収納位置から移動した場合には、移載対象の物品を移載装置にて移載することができるようにするため、従来、作業架台を昇降案内マストにおける複数の高さに支持させる状態で設け、作業者が、昇降案内マストに備えられる梯子を昇降して、目的の高さの作業架台に乗って、手作業でその物品の位置を適正収納位置とするように修正するものがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、移載装置が、物品を棚前後方向から挟み込んで挾持する左右一対の挾持体からなるクランプを備えて構成され、物品収納棚が、隣接する物品収納部の間に物品の移動を規制する仕切りを設けてその仕切りを超えて物品が移動しないように構成されている場合において、地震等により物品の載置位置が適正載置位置から移動したときには、左右一対の挾持体を物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させる異常時用の移載作動を実行することによって、物品が物品収納部の左右方向のどの位置に移動したとしても、移載が可能となるように構成されたものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−20778号公報
【特許文献2】特開2008−290807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1における物品保管設備における物品収納棚は、多数の物品を収納するために物品収納部の上下方向の並び数(段数)を多くしており、それによりその高さが高くなっている。このように物品収納棚の高さが高い場合には、物品収納棚における上方の物品収納部に収納される物品が適正載置位置から移動したときに、物品の位置を適正載置位置とすべく修正する作業を、作業者が高所で行う必要があった。したがって、物品保管設備に備えられる複数の物品収納棚の全てにわたって、物品の位置を所定の物品収納位置となるように修正するには、作業が行い難いものになり、時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、上記特許文献2のように、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合に、クランプを物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させる異常時用の移載作動をさせるものとしたときには、異常時用の移載作動においては平常時の移載作動よりも1回の移載サイクルに要する時間が長くなる。
つまり、物品の棚左右方向の幅は物品収納部の棚左右方向の幅と同じかそれよりも小さいものであり、平常時の移載作動においては、クランプの棚左右方向の開き幅を移載対象の物品の棚左右方向の幅よりも若干大きい程度とすればよいが、異常時用の移載作動においては、移載対象の物品が、その側面部が物品収納部における仕切りの近傍となる位置にまで移動している可能性があるため、クランプの棚左右方向の開き幅を、その物品収納部の棚左右方向と同じ幅とする必要がある。したがって、異常時用の移載作動においては、1回の移載に対するクランプの接近離間する移動距離が長くなり、平常時の移載作動に比して1回の移載サイクルに要する時間が長くなるという問題があった。
そして、上記の異常時用の移載作動においては、移載の対象となった物品収納部に対して卸された物品の位置は移載後に修正されることになるものの、移載作動は入出庫等により移載が必要となった物品に対してのみ行われるため、全ての物品収納部に載置された物品に対して移載作動が行われるまで異常時用の移載作動を継続しなければならなかった。したがって、地震の発生後に、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて1回の移載サイクルに要する時間が短い平常時の移載作動に復旧することができるようになるまでに、長い時間を要するものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震等によって物品収納棚が振動して、棚板上に載置されている物品の位置が物品収納位置から移動した場合にも、物品の位置を迅速に物品が載置されるべき適正載置位置に修正して、平常時の移載作動が可能な状態に迅速に復旧することが可能な物品保管設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る物品保管設備の第1特徴構成は、物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成されたものであって、
前記物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、前記制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品を前記移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を前記適正載置位置に卸すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、前記物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、物品位置修正モードが指令されると、物品を移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を物品が載置されるべき適正載置位置に卸すべくスタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行することになる。
つまり、物品位置修正モードが指令されたときには、制御手段は、物品を移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を適正載置位置に卸すことによって適正載置位置からずれた物品を適正載置位置に戻す物品位置修正処理を実行することによって、物品の位置を作業者の手を介さずに適正載置位置に修正することができるものとなる。そして、制御手段は、上記物品位置修正処理を物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行することになるため、地震に起因する物品収納棚の振動等により物品収納部に収納されている物品が適正載置位置から移動した場合においても、物品収納棚に収納されている全ての物品の位置を迅速に適正載置位置に修正し、平常時の移載作動が可能な状態に復旧できることとなる。
【0010】
説明を加えると、例えば、移載装置が、一対の挾持体を接近離間自在に備えたクランプ式に構成される場合においては、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合に、移載作動として、平常時用の移載作動に代えて、一対の挾持体を物品収納部の棚左右方向の幅と略等しい幅まで広げてから物品を挟み込むように接近方向に移動させるため、1回の移載に対するクランプの接近離間方向の移動距離が長くなる。このように、適正載置位置から移動した物品でも移載できる異常時用の移載作動では、1回の移載に対するクランプの接近離間方向の移動距離が長くなるために、1回の移載サイクルに要する時間が長くなる。
そして、そのような異常時用の移載作動を、入出庫等により移載が必要となった物品に対してのみ行うようにすると、全ての物品収納部に載置された物品に対して移載作動が行われるまで異常時用の移載作動を継続しなければならない。そのため、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて、1回の移載サイクルに要する時間が短い平常時の移載作動が実行できるようになるまでに、長い時間を要するものとなる。
これに対して、上記第1特徴構成によれば、地震等により物品が適正載置位置から移動した場合において、物品位置修正モードが指令されると、制御手段が物品収納棚に収納されている全ての物品に対して物品位置修正処理を実行するものであるから、全ての物品の位置が適正載置位置に修正されて平常時の移載作動が実行できるようになるまでの時間を短縮することができる。
【0011】
要するに、上記第1特徴構成によれば、地震等によって物品収納棚が振動して、棚板上に載置されている物品の位置が物品収納位置から移動した場合にも、物品の位置を迅速に物品が載置されるべき適正載置位置に修正して、平常時の移載作動が可能な状態に迅速に復旧することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0012】
本発明に係る物品保管設備の第2特徴構成は、上記物品搬送車の第1特徴構成に加えて、前記物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段が前記スタッカークレーンに設けられ、前記制御手段が、前記物品位置修正処理を実行する前に、前記載置状態検出手段の検出情報に基づいて、前記物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行自在に構成されている点にある。
【0013】
すなわち、物品位置修正処理を実行する前に、物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段の検出情報に基づいて、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理が実行されることになる。
つまり、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを物品位置修正処理よりも前に知得することができるので、移載可否判別処理によって移載が不可能であると判別された場合には、移載が不可能であることを認識して物品収納部に載置された物品を移載可能な状態に修正すべく対処することができることとなる。
説明を加えると、物品収納部に載置された物品が移載不可能な状態であるにもかかわらず物品位置修正処理を実行しようとすると、移載装置と物品収納部に載置された物品が接触する等の事象が発生する場合があり、物品の移載が適切に行えなくなったり、移載装置又は物品の破損を招いたりする虞があった。これに対して、第2特徴構成によれば、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを物品位置修正処理よりも前に知得することができるので、物品収納部に載置された物品が移載可能な状態ではない場合には、物品位置修正処理を行わずに、自動的又は人為的に物品収納部に載置された物品を移載可能な状態に修正するように対処した後に、物品位置修正処理を実行することができるものとなる。
【0014】
要するに、第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、適切に物品位置修正処理を実行することができる物品保管設備を提供することができる。
【0015】
本発明に係る物品保管設備の第3特徴構成は、上記物品搬送車の第2特徴構成に加えて、前記移動体が、物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段を装備自在に構成され、前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において、前記移載可否判別処理にて前記物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、前記移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、前記予備修正処理が実行された前記物品収納部に対して、前記物品位置修正処理を実行するように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、物品位置修正モードを指令した場合において、制御手段は、移載可否判別処理にて物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別したときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、予備修正処理が実行された物品収納部に対して、物品位置修正処理を実行することになる。
したがって、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、当該物品の位置を移載可能な状態に修正した上で物品位置修正処理を実行することができ、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0017】
要するに、第3特徴構成によれば、上記第2特徴構成による作用効果に加えて、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0018】
本発明に係る物品保管設備の第4特徴構成は、上記物品搬送車の第3特徴構成に加えて、前記載置状態検出手段として、平面視にて前記移動体が前記作業通路を走行移動するときに前記昇降台が存在することになる移動体走行領域と重複する状態の突出物品があるか否かを検出する突出検出装置が設けられ、前記突出検出装置は、前記スタッカークレーンにおける平面視にて前記昇降台の前記物品収納棚に近接する側の端部よりも前記物品収納棚側に位置しかつ前記走行台車の走行方向前端部に位置する状態で、前記物品収納棚における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に設けられ、
下方ほど前記物品収納棚に近接する傾斜状に形成され、前記昇降台の上昇移動に伴って前記突出物品の棚前後方向前端に接触作用して前記突出物品を前記物品収納棚に向けて移動させる押込体が、前記予備修正手段として前記昇降台に着脱自在に設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、前記予備修正処理として、前記突出物品を平面視にて前記移動体走行領域と重複しない状態とするように、当該突出物品を装着状態の前記押込体にて前記物品収納棚に向けて押し込むべく前記昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行するように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、物品位置修正処理を実行する場合には、移動体に物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段としての押込体を昇降台に装着し、且つ、物品位置修正モードを指令することになる。そして、制御手段は、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、予備修正処理として、当該突出物品を物品収納棚に向けて押し込む物品押込処理を実行するべく昇降台を上昇させるように、昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行することになる。
したがって、移載可能な状態でない物品としての突出物品が存在するときには、その突出物品を物品収納棚に向けて押し込む物品押込処理を実行して当該物品を移載可能な状態に修正することが可能となり、物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でない場合においても、作業者が煩雑な作業を行うことなく、物品の位置を、物品が載置されるべき適正載置位置に迅速に修正することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0020】
要するに、第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成の好適な実施形態を提供することができる。
【0021】
本発明に係る物品保管設備の第5特徴構成は、上記物品搬送車の第3又は第4特徴構成に加えて、前記物品収納棚が、前記適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で構成され、前記移載装置が、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体を備えて構成され、
物品の移載方向に伸縮可能であり、その棚左右方向の幅が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成され、物品の側面に当接して物品を棚左右方向に移動させる伸縮体が、前記予備修正手段として前記昇降台に設けられ、
前記棚板に載置された物品同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置が、前記載置状態検出手段として前記昇降台に設けられ、
前記制御手段が、前記物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、前記予備修正処理として、前記伸縮体を伸長させて物品間隔を前記挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行する点にある。
【0022】
すなわち、物品収納棚が、適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で、かつ、その棚板に棚左右方向への物品の移動を抑制する仕切り等の物品の移動を抑制するための構造が設けられていない状態で構成されている場合、物品の大きさに応じて棚板に載置する物品の個数を変更する(すなわち、物品の棚左右方向の幅が大きい場合には、単一の棚板に載置する物品の個数を少なくし、物品の棚左右方向の幅が小さい場合には、単一の棚板に載置する物品の個数を多くする等)ことが可能となり、物品収納棚への物品の収納効率が向上するが、このような場合には、物品が棚左右方向に移動した際に、その移動を抑制することができないため、物品収納棚の振動等によって、物品が適正載置位置から大きく移動して、隣接する物品の間に挾持体を挿入することができないほど接近してしまう可能性がある。このように物品同士の間に挾持体を挿入することができない場合、物品を掬い取ることができず、物品位置修正処理が実行できないことになる。
【0023】
これに対して、上記第5特徴構成によれば、制御手段が物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい、すなわち、物品間隔検出装置にて物品がそれらの間に挾持体を挿入することができないほど接近していると判別した場合には、予備修正処理として、棚左右方向の幅が挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい伸縮体を伸長させてそれらの物品の間に挿入し、伸縮体が物品の側面に当接した状態で、物品間隔を挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行することなる。
そして、そのように物品間隔を挾持体の棚左右方向の幅以上とすることによって、挾持体が物品と物品との間に挿入可能になり、物品位置修正処理を的確に実行することが可能になる。
【0024】
要するに、第5特徴構成によれば、上記第3又は第4特徴構成による作用効果に加えて、物品位置修正処理を的確に実行することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【0025】
本発明に係る物品保管設備の第6特徴構成は、上記物品搬送車の第1〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報が各物品に付与されるとともに、その識別情報を取得する識別情報取得手段が前記昇降台に備えられ、
前記物品収納部に収納される物品の識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理する物品管理手段が設けられ、
前記物品管理手段が、前記物品位置修正処理の実行に伴って、前記物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と前記物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように構成されているように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、物品管理手段が物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理し、物品位置修正処理の実行に伴って、物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新することになる。
【0027】
説明を加えると、地震等により物品の収納される位置が適正載置位置から移動した場合において、物品が物品収納棚から落下したり、又は、物品が元来その物品が載置されていた適正載置位置から移動して、他の物品が載置されていた適正載置位置に近い位置にまで移動してしまったような場合においては、物品位置修正処理の実行後における物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報は、物品が移動する前の時点において管理していた情報と異なっている可能性がある。
このように、物品が移動する前の時点と物品が移動した後の時点において、物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報が異なっているにもかかわらず、物品が移動する前の時点の情報を更新しないままであると、その後に移載を指令されたときに、その物品があるべき位置に物品がなかったり、移載すべき物品とは異なる物品を移載したりして、目的の物品の移載が正常に実行できない虞がある。
そこで、物品位置修正処理を実行した物品収納部から順に、物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新するように構成することによって、物品管理手段は、物品位置修正処理が終了した時点において物品夫々の識別情報と物品収納部の位置情報との対応に関する最新の情報を管理できることになり、その後の移載を正常に実行することが可能となる。
【0028】
要するに、上記第6特徴構成によれば、第1〜第5特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、物品位置修正処理の実行に伴って物品管理手段によって管理される情報を最新の情報に更新することによって、その後の移載を正常に実行することが可能な物品保管設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】物品保管設備の一部の側面図
【図2】物品保管設備の一部の平面図
【図3】地震発生時の作業の流れを示すフローチャート
【図4】物品位置修正モードの制御を示すフローチャート
【図5】突出物品の検出を示す平面図
【図6】物品押し込み処理を示す平面図
【図7】物品押し込み処理を示す立面図
【図8】物品間隔の検出を示す図
【図9】物品間隔確保処理を示す平面図
【図10】物品位置修正処理の実行前の状態を示す図
【図11】物品位置修正処理において物品を移載装置上に移載した状態を示す図
【図12】物品位置修正処理が実行された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る物品保管設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
この物品保管設備は、図1及び図2に示すように、物品Bを載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚50と、その物品収納棚50の物品出し入れ方向前面側に物品収納棚50の棚左右方向に沿って設けられる作業通路2を走行自在な、物品搬送用の移動体としてのスタッカークレーン10とを設けて構成されている。
【0031】
各物品収納棚50は、棚左右方向(図1中左右方向、図2中上下方向)及び棚前後方向(図1中奥行方向、図2中左右方向)に間隔を隔てて立設した複数の支柱に亘って設けられた棚板50Tを、その支柱上下方向に複数備えて構成されている。そして、物品収納棚50は、棚板50Tにて物品Bを載置支持する形態で物品Bを収納するように構成され、各物品Bを収納する物品収納部が上下方向及び左右方向に複数並ぶように設けられている。物品収納棚50に対する物品Bの収納については、棚左右方向に隣接する支柱間の棚板50T上に複数の物品Bを並べる形態で物品Bを収納するように構成されている。ちなみに、図示のものでは、同一の棚板50Tには棚左右方向における幅が同じ又はほぼ同じ物品Bを載置支持させる形態で複数の物品Bを並べて収納しているが、棚横幅方向における幅が異なる複数の物品Bを並べて収納することもできる。物品収納部には、図2に示すように、棚左右方向及び棚前後方向の寸法によって分類される物品Bの品種ごとに、その品種の物品Bが載置されるべき適正載置位置50Bが設定されている。
つまり、物品収納棚50は、適正載置位置50Bが棚左右方向に複数並べて設定された棚板50Tを上下方向に複数並べて備える状態で構成されている。
【0032】
作業通路2には、その床側に走行レール5が収納棚1の棚横幅方向に沿って設置され、その天井側にガイドレール6が棚横幅方向に沿って設置されている。
図2に示すように、走行レール5の一端側には、スタッカークレーン10の運転を管理する地上側コントローラ7が設けられ、物品収納棚50の棚横幅方向において物品収納棚50の端部に隣接する箇所には搬出入部8が設けられている。この搬出入部8は、スタッカークレーン10との物品Bの受け渡しのために、物品収納棚50に入庫する物品B及び物品収納棚50から出庫する物品Bを載置支持するものであり、例えば、コンベヤや荷載置台にて構成することができる。尚、以降の説明において走行レール5における地上側コントローラ7aが設けられる側の端部をホームポジションHPといい、ホームポジションHPと反対側の端部をオポジットポジションOPという。
【0033】
スタッカークレーン10は、棚左右方向に沿って作業通路2に設置された走行レール上を走行移動自在な走行台車11と、走行台車11に立設された前後一対の昇降案内マスト13と、その昇降案内マスト13に沿って昇降移動自在な昇降台20と、昇降台20に支持されかつ物品を自己と物品収納棚50との間で移載自在な移載装置30とを備えて構成されている。
【0034】
昇降台20は、昇降案内マスト13に係合するガイド部を備える前後一対のアップライト部と移載装置30を載置支持する台部とを備えて構成され、前後一対のアップライト部の夫々には、昇降台20を昇降移動させるべく一端側を昇降用モータに巻きかけられたチェーンの他端側が接続されている。そして、昇降用モータの回転駆動に伴って昇降台20が昇降駆動されることになる。
【0035】
図示は省略するが、昇降台20には、上下方向での昇降台20の昇降位置を検出する昇降用ロータリエンコーダが設けられている。昇降用ロータリエンコーダの回転軸には、昇降案内マスト13の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられている。そして、昇降用ロータリエンコーダは、昇降台20の昇降距離から上下方向での昇降台20の昇降位置を検出する。
【0036】
また、走行台車11には、走行レール5上を走行自在な前後2つの車輪が設けられ、2つの車輪のうちの走行台車11の前後幅方向の一端側の車輪が、走行用モータにて駆動される駆動輪として構成され、走行台車11の前後幅方向の他端側の車輪が、遊転自在な従動輪として構成されている。そして、走行台車11は、走行用モータの作動により駆動輪を回転駆動させて走行レール5に沿って走行するように構成されている。
【0037】
図示は省略するが、走行台車11には、棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出する走行用ロータリエンコーダが設けられている。走行用ロータリエンコーダの回転軸には、走行レール5の長手方向に沿って設けられたチェーンに歯合するスプロケットが設けられている。そして、走行用ロータリエンコーダは、走行台車11の走行距離から棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出する。
また、走行台車11には、地上側コントローラ7aからの指令を受けて走行台車11の走行駆動と昇降台20の昇降駆動とを制御する移動体側コントローラ7bが設けられている。
本実施形態においては、地上側コントローラ7aと移動体側コントローラ7bとから制御手段Hが構成されている。
【0038】
移載装置30は、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体32を備えるクランプと、物品Bを載置してその物品Bを棚前後方向に移動させることが可能なローラ部31とによって構成されている。左右一対の挾持体32は、棚前後方向に沿う長尺状で且つ夫々の端部を他方側の挾持体32に向けて屈曲させるコ字状に形成され、図示しない駆動機構によって棚左右方向への移動動作と棚前後方向への移動動作が可能に構成されている。また、昇降台20には、上記のように構成された移載装置30が、スタッカークレーン10の走行方向(棚左右方向)に2つ並ぶ状態で設けられている。
【0039】
そして、物品Bを掬い取る場合には、左右一対の挾持体32を互いに棚左右方向に離間するように移動させ、且つ、物品収納棚50に向かって突出移動させて、左右一対の挾持体32が物品Bの左右夫々の側面に沿う位置に位置する状態において、左右一対の挾持体32を接近方向に移動させることによって、物品Bを挾持する状態とする。そして、その状態において一対の挾持体32を昇降台20側に移動させることによって、物品Bをローラ部31上に引き込むことになる。尚、詳細の図示は省略するが、左右一対の挾持体32による引き込みに合わせてローラ部31に備えるローラを回転させるようになっている。
【0040】
また、物品Bを卸す場合には、ローラ部31上に載置される物品Bの左右側面を左右一対の挾持体32によって挾持した状態とし、ローラ部31のローラの回転作動及び左右一対の挾持体32の物品収納棚50に向かう突出移動によって、物品Bを物品収納棚50に向かって移動させ、物品Bが棚板50T上の適正載置位置50Bに位置した状態で左右一対の挾持体32を離間移動させて物品Bの挾持を解除し、挾持体32の夫々を引退移動(つまり、平面視にて昇降台20の存在範囲内である所定の位置に移動)させることになる。
【0041】
走行台車11の走行方向前端部(図1及び図2にてOPで示す側の端部)には、平面視にて昇降台20の物品収納棚50に近接する側の端部よりも物品収納棚50側に位置し、かつ、物品収納棚50における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に位置する状態で、平面視にてスタッカークレーン10が作業通路2を走行移動するときに昇降台20が存在することになる移動体走行領域(図2に、図5及び図6における10S)と重複する状態の突出物品(図5乃至図7におけるBT)があるか否かを検出する突出検出装置としての光学式の突出物品センサS1が設けられている。
【0042】
また、図2乃至図6、及び図9に示すように、昇降台20における2つの移載装置30の間の位置に、物品収納棚50に対向する状態で、物品収納棚50の棚板50Tに載置された物品B同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置としての光学式の物品間隔センサS2が設けられている。
具体的には、物品間隔センサS2は、反射式の赤外線センサにて構成され、物品Bに向けて投射された赤外線の受光状態によって物品Bの有無を検出するように構成されている。このときの赤外線センサの投射光は、図8の一点鎖線Lに示す軌跡に沿って移動する。そして、走行用ロータリエンコーダによるスタッカークレーン10の棚左右方向の位置の情報と、その位置において赤外線センサにて検出される物品の有無の情報とから、棚板50Tとの物品Bとの位置関係を算出し、物品Bの間隔を検出することになる。図8の下段は、物品Bの間隔を検出する様子を模式的に表したもので、太実線の上側が、赤外線センサによって物品ありを検出したとき、下側が物品なしを検出したときに対応する。本実施形態においては、上記突出物品センサS1及び上記物品間隔センサS2が載置状態検出手段に相当する。すなわち、物品収納部に載置されている物品Bの載置状態を検出する載置状態検出手段がスタッカークレーン10に設けられている。
【0043】
また、本実施形態においては、各物品に、物品収納部に収納される物品Bの夫々を識別自在な識別情報を記録したバーコードが、ラベル等の形態で貼付されている。そして、図2、図5、図6及び図9に示すように、昇降台20における2つの移載装置30の夫々に対応して、物品収納棚50に対向する状態で、物品Bに付されたバーコードから識別情報を取得する識別情報取得手段としてのバーコードリーダS3が設けられている。
バーコードリーダS3によって取得された物品Bの識別情報は、その物品が収納される物品収納部の位置情報と対応付けられて、地上側コントローラ7と相互に通信可能な物品管理手段7cにて管理されるように構成されている。
【0044】
図1、図2、及び図6乃至図9に示すように、昇降台20における前方側のアップライト部に下方ほど物品収納棚50に近接する傾斜状に形成された押込体30Sが着脱自在に構成されている。この押込体30Sは、図7に示すように昇降台20の上昇移動に伴って突出物品BTの棚前後方向前端に接触作用して、突出物品BTを物品収納棚50に向けて移動させることになる。
【0045】
また、昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で、物品Bの移載方向(棚前後方向)に伸縮可能であり、且つ、その棚左右方向の幅が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成される伸縮体30Fが設けられている。尚、伸縮体30Fを伸縮させる機構については公知の方法を使用するため、図示及び説明は省略する。
伸縮体30Fは、伸長状態において、物品収納棚50に載置された物品Bの側面に当接し、スタッカークレーン10の走行移動に伴って、物品Bを棚左右方向に移動させることができるものとなる。
【0046】
本実施形態においては、上記押込体30S及び上記伸縮体30Fが予備修正手段に相当する。すなわち、スタッカークレーン10が、物品Bに接触作用して当該物品Bを移動させる予備修正手段を装備自在に構成されている。
【0047】
このような物品保管設備では、地震等の発生により物品収納部に収納されている物品Bが適正載置位置50Bから移動してしまうことがある。例えば、物品Bが適正載置位置50Bから物品収納棚50の棚前後方向の前方側に移動して物品収納棚50の前端から前方側に突出してしまうと、走行レール5を走行するスタッカークレーン10と接触してしまう問題が生じる。また、物品Bが適正載置位置50Bから物品収納棚50の棚横幅方向に移動すると、隣接する物品Bとの間隔が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さくなって、挾持体32により物品Bを挾持することができず、移載を行えなくなるという問題が生じる。
【0048】
このような問題を解消すべく、作業者は、地震が発生すると、図3に示す地震発生時の作業フローにしたがって作業を行う。すなわち、まず目視にて作業通路2に物品Bが落下していないかを確認し、物品Bが落下していることを確認したときは、その落下している物品Bを撤去する。つまり、スタッカークレーン10が作業通路2に設けられる走行レール5上を走行移動できる状態とする(#1)。
次に、作業者は、制御手段Hに対してスタッカークレーン10の動作モードを物品位置修正モードに切換えるように指令する(#2)。この指令は、地上側コントローラ7aの操作卓から行うことになるが、無線端末からの指令や電気通信回線を通じた指令など、他の指令方法を用いてもよい。物品位置修正モードにおいては、後述するように、予備修正処理、物品位置修正処理、及び最新情報更新処理を実行することになる。
そして、物品位置修正モードにおける全ての処理の実行が終了すると、制御手段Hはスタッカークレーン10の動作モードを平常モードに復帰させる(#3)。
【0049】
次に、物品位置修正モードにおける各処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
制御手段Hは、物品位置修正モードが指令されると、まずスタッカークレーン10の昇降台20を最下位置に下降作動させ、続いて走行台車11をホームポジションHPに移動させる。尚、このとき、走行台車11がホームポジションHPに移動した状態において、昇降台20における前方側のアップライト部に押込体30Sを装着することになる。
【0050】
続いて、制御手段Hは、スタッカークレーン10をHPからOPに向けて走行させる。このとき、突出物品センサS1は、物品収納棚50における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方から、平面視にてスタッカークレーン10が作業通路2を走行移動するときに昇降台20が存在することになる移動体走行領域10Sと重複する状態(突出状態)の突出物品BTがあるか否かを検出する。制御手段Hは、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTが存在すると判別したときには、予備修正処理として、突出物品BTを平面視にて移動体走行領域10Sと重複しない状態とするように、当該突出物品BTを押込体30Sにて物品収納棚50に向けて押し込むべく昇降台20の昇降作動を制御する物品押込処理を実行する(#21、#22)。
具体的には、制御手段Hは、物品押込処理として、押込体30Sの棚左右方向における存在範囲(好ましくは押込体30Sの棚左右方向における中心位置)がその突出物品BTの突出を検出した位置となるまで走行台車11を走行移動させ、昇降台20をその上下移動可能範囲の最下位置から最上位置まで上昇移動させる。これにより、図6及び図7に示すように、押込体30Sが突出物品BTの棚前後方向前端に接触作用して、その棚左右方向位置における棚上下方向の全体に亘って突出物品BTを物品収納棚50に向けて押し込むことになる。
制御手段Hは、スタッカークレーン10を、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTが存在すると判別したときには物品押込処理を実行する状態でOPまで移動させるので、スタッカークレーン10がOPに到達したときには全ての物品Bについて突出状態が解消することになる。
【0051】
物品押込処理によって全ての突出物品BTに対して突出状態が解消すると(#23)、続いて、制御手段Hは、昇降台20を最下段の物品収納部に対応する高さに昇降移動させるべく昇降用モータを駆動させる。物品間隔センサS2は、その棚左右位置において、物品の有無を検出することになるため、スタッカークレーン10をHPとOPとの間で走行移動させることにより、上述の如く物品間隔を検出できることになる。
そして、制御手段Hは、物品間隔センサS2の検出情報に基づいて物品間隔が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、予備修正処理として、伸縮体30Fを伸長させて物品B間に挿入し、物品間隔を挾持体32の棚左右方向の幅以上とするように物品Bを移動させるべく走行台車11の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行する(#24、#25)。
【0052】
つまり、図9に示すように、伸長した伸縮体30Fが物品Bの棚左右方向における側面に接触作用し、スタッカークレーン10の走行移動に伴う伸縮体30Fの棚左右方向の移動により、物品Bが移動されることになる。制御手段Hは、スタッカークレーン10をHPとOPとの間の全てに亘って走行させて上記の物品間隔確保処理を実行し、その段の物品収納部に収納される全ての物品Bに対して物品間隔確保処理が実行されると、引き続きそれよりも1段上段側の段の物品収納部に収納される全ての物品Bに対して、同様に物品間隔確保処理を実行する。そして、物品間隔確保処理が物品収納棚50荷収納される全ての物品Bに対して実行されると(#26)、引き続き実行される物品位置修正処理(#27)を実行する。
なお、物品間隔確保処理は、物品収納棚50の段毎にスタッカークレーン10をHP側からOP側に(あるいはOP側からHP側に)移動させる状態で実行するように構成してもよいし、ある段についてはスタッカークレーン10をHP側からOP側に移動させ、その1段上の段についてはスタッカークレーン10をOP側からHP側に移動させる状態で実行するように構成してもよい。
【0053】
物品位置修正処理は、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置50Bに卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御するように実行される(#27)。また、同時に、制御手段Hは、バーコードリーダS3によって物品位置修正処理を実行する物品Bの識別情報を取得し、物品管理手段7cに対して、その物品Bを卸して載置した物品収納部の位置情報とその物品Bの識別情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように指令する(#28)。
【0054】
物品位置修正処理は、詳細には、以下のように実行される。すなわち、図10に示すように棚板50T上の適正載置位置50Bから移動した物品Bを、図11に示すように移載装置30における一対の挾持体32によって挾持する。このとき、一対の挾持体32の挾持動作に伴って、物品Bの棚左右方向の位置が修正される。そして、一対の挾持体32の引退作動によって物品Bをローラ部31上に載置し(このとき挾持体32による物品Bの挾持状態は一旦解除する)、ローラ部31におけるローラの回転によってその棚前後方向位置を修正する。続いて、制御手段Hは、載置した物品Bの棚左右方向位置を物品収納部に対応する位置とすべく走行台車11を走行移動させる。そして、その位置にて移載装置30上の物品Bを挾持体32にて再度挾持して挾持体32を物品収納棚50に向けて規定量突出移動させ、挾持体32による物品Bの挾持状態を解除して物品Bを棚板50T上に載置する。これにより、図12に示すように、物品Bの位置を、適正載置位置50Bから移動した位置50Mから、適正載置位置50Bに修正することができるものとなる。
【0055】
また、制御手段Hは、上記物品位置修正処理と最新情報更新処理とを、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行する(#29)。
【0056】
つまり、制御手段Hは、物品位置修正モードが指令されると、載置状態検出手段としての突出物品センサS1及び物品間隔センサS2の検出情報に基づいて、物品収納部に載置された物品Bが移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行し、移載可否判別処理にて物品収納部に収納された物品Bが移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品Bを移載可能な状態に修正するべく、スタッカークレーン10に装備させた予備修正手段としての押込体30S及び伸縮体30Fを作動させる予備修正処理を実行し、且つ、予備修正処理が実行された物品収納部に対して、物品Bを移載装置30にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品Bを適正載置位置50Bに卸すべくスタッカークレーン10の作動を制御する物品位置修正処理を、物品収納棚50に収納されている全ての物品Bに対して実行するように構成されている。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、予備修正処理として物品押込処理を実行し、その後物品間隔確保処理を実行するように構成したが、これらのうち物品押込処理のみを実行するように構成してもよい。すなわち、物品収納部において物品Bの棚左右方向への移動を制約するガイド体が設けられているような場合においては、物品が棚左右方向には移動しないために物品間隔確保処理は不要となるので、物品押込処理のみを実行するように構成することもできる。尚、このときには、物品間隔センサS2及び伸縮体30Fも不要となる。
【0058】
(2)上記実施形態では、昇降用ロータリエンコーダによって上下方向での昇降台20の昇降位置を検出するように構成したが、このような構成に代えて、反射式のレーザー測距計によって昇降台20の昇降位置を検出するように構成してもよく、昇降台20の昇降位置を適切に検出可能な各種の構成が適用可能である。
また、上記実施形態では、走行用ロータリエンコーダによって棚左右方向での走行台車11の走行位置を検出するように構成したが、このような構成に代えて、反射式のレーザー測距計によって走行台車11の走行位置を検出するように構成してもよく、走行台車11の走行位置を適切に検出可能な各種の構成が適用可能である。
【0059】
(3)上記実施形態では、物品押込処理として、制御手段Hが、突出物品センサS1の検出情報に基づいて突出物品BTがあると判別したときには、押込体30Sを装着した昇降台20をその上下移動可能範囲の最下位置から最上位置まで上昇移動させて、棚上下方向の全体に亘って、その棚左右方向位置に存在する突出物品BTを物品収納棚50に向けて押し込むように構成したが、突出物品センサS1を測距センサにて構成して、突出物品BTを検出すると同時に、その棚左右位置において最も低い位置にある突出物品BTまでの高さを検出し、その最も低い位置にある突出物品BTの下端に相当する高さまでは昇降台20を高速で上昇移動させるように構成してもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、予備修正処理として、物品押込処理と物品間隔確保処理とを実行するように構成したが、このような構成に加えて、物品Bの姿勢を修正する、つまり、平面視において物品Bの左右両辺が棚前後方向に対して0度超90度未満の角度を有する状態となった場合に、その角度を0度となるように修正する処理(物品姿勢修正処理)を実行してもよい。
物品姿勢修正処理を実行するための構成として、物品収納部における棚前後方向背面側に物品Bがそれよりも背面側に移動することを規制する背面部ガイド体を設け、物品Bをその背面部ガイド体に向けて移動させる押付け体を昇降台20に設けることが考えられる。そして、押付け体により物品Bを背面部ガイド体に当接するように移動させることで、物品Bの前後位置を、物品Bが背面部ガイド体に当接する位置とすることによって、物品Bの姿勢を修正することができる。このとき、押付け体は、昇降台20に設ける伸縮体30F、又はクランプの挾持体32と兼用させてもよい。
尚、物品姿勢修正処理を実行することで、隣接する物品B同士の間隔が変化する可能性があるため、物品姿勢修正処理は、物品押込処理が終了し物品間隔確保処理を開始するまでに実行することが好ましい。
【0061】
(5)上記実施形態では、予備修正処理として物品押込処理を物品収納棚50に収納される全ての物品Bに対して実行し、その後物品間隔確保処理を物品収納棚50に収納される全ての物品Bに対して実行するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、物品収納棚50を、一の棚板50Tを上下方向に複数並べた単位棚を棚左右方向に複数並べた構成と看做し、単位棚毎に、予備修正処理としての物品押込処理及び物品間隔確保処理(又はこれらに加えて物品姿勢修正処理)、並びに、物品位置修正処理を実行し、一の単位棚に対する予備修正処理及び物品位置修正処理が終了すると、隣接する単位棚に対する予備修正処理及び物品位置修正処理を実行するように構成してもよい。
【0062】
(6)上記実施形態では、突出物品センサS1及び物品間隔センサS2を光学式のセンサとして構成したが、このような構成に限定されるものではなく、超音波センサによって突出物品の有無又は物品間隔を検出するように構成してもよく、また、カメラにて撮影した画像について画像解析を行って、突出物品の有無又は物品間隔を検出するように構成してもよい。
【0063】
(7)上記実施形態では、予備修正手段として、昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で、物品Bの移載方向(棚前後方向)に伸縮可能であり、且つ、その棚左右方向の幅が挾持体32の棚左右方向の幅よりも小さい状態(板状)に形成される伸縮体30Fを設けるように構成したが、このような構成に代えて、伸縮体30Fをユニット化し、地震後の物品位置修正モード指令時にのみ、そのユニット化された伸縮体30Fを昇降台20に取付けるように構成してもよい。
また、上記伸縮体30Fを昇降台20における2つの移載装置30の間に位置する状態で備えるのではなく、一方の移載装置30に備えられるクランプにおける一対の挾持体32のうちの一方(つまり、昇降台20に4つ備える挾持体32のうちのいずれか1つ)に兼用させることもできる。つまり、物品位置修正モードを指令する際には、コ字状の部材を取り外して上記板状の伸縮体30Fを取付け、クランプの伸縮機構を利用して伸縮体30Fを伸縮移動させるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
B 物品
50 物品収納棚
2 作業通路
10 スタッカークレーン(移動体)
7 制御手段
11 走行台車
13 昇降案内マスト
20 昇降台
30 移載装置
50B 適正載置位置
S1 突出検出装置(移載状態検出手段)
S2 物品間隔検出装置(移載状態検出手段)
30S 押込体(予備修正手段)
30F 伸縮体(予備修正手段)
10S 移動体走行領域
BT 突出物品
32 挾持手段
50T 棚板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成された物品保管設備であって、
前記物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、
前記制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品を前記移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を前記適正載置位置に卸すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、前記物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行するように構成されている物品保管設備。
【請求項2】
前記物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段が前記スタッカークレーンに設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正処理を実行する前に、前記載置状態検出手段の検出情報に基づいて、前記物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行自在に構成されている請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記移動体が、物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段を装備自在に構成され、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において、前記移載可否判別処理にて前記物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、前記移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、前記予備修正処理が実行された前記物品収納部に対して、前記物品位置修正処理を実行するように構成されている請求項2記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記載置状態検出手段として、平面視にて前記移動体が前記作業通路を走行移動するときに前記昇降台が存在することになる移動体走行領域と重複する状態の突出物品があるか否かを検出する突出検出装置が設けられ、前記突出検出装置は、前記スタッカークレーンにおける平面視にて前記昇降台の前記物品収納棚に近接する側の端部よりも前記物品収納棚側に位置しかつ前記走行台車の走行方向前端部に位置する状態で、前記物品収納棚における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に設けられ、
下方ほど前記物品収納棚に近接する傾斜状に形成され、前記昇降台の上昇移動に伴って前記突出物品の棚前後方向前端に接触作用して前記突出物品を前記物品収納棚に向けて移動させる押込体が、前記予備修正手段として前記昇降台に着脱自在に設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、前記予備修正処理として、前記突出物品を平面視にて前記移動体走行領域と重複しない状態とするように、当該突出物品を装着状態の前記押込体にて前記物品収納棚に向けて押し込むべく前記昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行するように構成されている請求項3記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記物品収納棚が、前記適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で構成され、
前記移載装置が、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体を備えて構成され、
物品の移載方向に伸縮可能であり、その棚左右方向の幅が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成され、物品の側面に当接して物品を棚左右方向に移動させる伸縮体が、前記予備修正手段として前記昇降台に設けられ、
前記棚板に載置された物品同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置が、前記載置状態検出手段として前記昇降台に設けられ、
前記制御手段が、前記物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、前記予備修正処理として、前記伸縮体を伸長させて物品間隔を前記挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行するように構成されている請求項3又は4記載の物品保管設備。
【請求項6】
前記物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報が各物品に付与されるとともに、その識別情報を取得する識別情報取得手段が前記昇降台に備えられ、
前記物品収納部に収納される物品の識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理する物品管理手段が設けられ、
前記物品管理手段が、前記物品位置修正処理の実行に伴って、前記物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と前記物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品保管設備。
【請求項1】
物品を載置状態で収納する物品収納部を上下方向及び左右方向に複数並べる状態で備えて構成された物品収納棚と、前記物品収納棚の物品出し入れ方向前面側に前記物品収納棚の棚左右方向に沿って設けられる作業通路を走行自在な物品搬送用の移動体と、前記移動体の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記移動体が、棚左右方向に沿って前記作業通路を走行移動自在な走行台車と、前記走行台車に立設された昇降案内マストと、前記昇降案内マストに沿って昇降移動自在な昇降台と、前記昇降台に支持されかつ物品を自己と前記物品収納棚との間で移載自在な移載装置とを備えたスタッカークレーンにて構成された物品保管設備であって、
前記物品収納部に、物品が載置されるべき適正載置位置が設定され、
前記制御手段が、物品位置修正モードが指令されると、物品を前記移載装置にて掬い取って自己に移載し且つ自己に移載した当該物品を前記適正載置位置に卸すべく前記スタッカークレーンの作動を制御する物品位置修正処理を、前記物品収納棚に収納されている全ての物品に対して実行するように構成されている物品保管設備。
【請求項2】
前記物品収納部に載置されている物品の載置状態を検出する載置状態検出手段が前記スタッカークレーンに設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正処理を実行する前に、前記載置状態検出手段の検出情報に基づいて、前記物品収納部に載置された物品が移載可能な状態であるか否かを判別する移載可否判別処理を実行自在に構成されている請求項1に記載の物品保管設備。
【請求項3】
前記移動体が、物品に接触作用して当該物品を移動させる予備修正手段を装備自在に構成され、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において、前記移載可否判別処理にて前記物品収納部に収納された物品が移載可能な状態でないと判別されたときには、当該物品を移載可能な状態に修正するべく、前記移動体に装備させた前記予備修正手段を作動させる予備修正処理を実行し、且つ、前記予備修正処理が実行された前記物品収納部に対して、前記物品位置修正処理を実行するように構成されている請求項2記載の物品保管設備。
【請求項4】
前記載置状態検出手段として、平面視にて前記移動体が前記作業通路を走行移動するときに前記昇降台が存在することになる移動体走行領域と重複する状態の突出物品があるか否かを検出する突出検出装置が設けられ、前記突出検出装置は、前記スタッカークレーンにおける平面視にて前記昇降台の前記物品収納棚に近接する側の端部よりも前記物品収納棚側に位置しかつ前記走行台車の走行方向前端部に位置する状態で、前記物品収納棚における上下方向最下位置の物品収納部よりも下方に設けられ、
下方ほど前記物品収納棚に近接する傾斜状に形成され、前記昇降台の上昇移動に伴って前記突出物品の棚前後方向前端に接触作用して前記突出物品を前記物品収納棚に向けて移動させる押込体が、前記予備修正手段として前記昇降台に着脱自在に設けられ、
前記制御手段が、前記物品位置修正モードが指令された場合において前記突出検出装置の検出情報に基づいて突出物品が存在すると判別したときには、前記予備修正処理として、前記突出物品を平面視にて前記移動体走行領域と重複しない状態とするように、当該突出物品を装着状態の前記押込体にて前記物品収納棚に向けて押し込むべく前記昇降台の昇降作動を制御する物品押込処理を実行するように構成されている請求項3記載の物品保管設備。
【請求項5】
前記物品収納棚が、前記適正載置位置が棚左右方向に複数並べて設定された棚板を上下方向に複数並べて備える状態で構成され、
前記移載装置が、物品を棚左右方向の両側から挟み込む左右一対の挾持体を備えて構成され、
物品の移載方向に伸縮可能であり、その棚左右方向の幅が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さい状態に形成され、物品の側面に当接して物品を棚左右方向に移動させる伸縮体が、前記予備修正手段として前記昇降台に設けられ、
前記棚板に載置された物品同士の棚左右方向の間隔である物品間隔を検出可能な物品間隔検出装置が、前記載置状態検出手段として前記昇降台に設けられ、
前記制御手段が、前記物品間隔検出装置の検出情報に基づいて物品間隔が前記挾持体の棚左右方向の幅よりも小さいと判別したときには、前記予備修正処理として、前記伸縮体を伸長させて物品間隔を前記挾持体の棚左右方向の幅以上とするように物品を移動させるべく前記走行台車の走行作動を制御する物品間隔確保処理を実行するように構成されている請求項3又は4記載の物品保管設備。
【請求項6】
前記物品収納部に収納される物品の夫々を識別自在な識別情報が各物品に付与されるとともに、その識別情報を取得する識別情報取得手段が前記昇降台に備えられ、
前記物品収納部に収納される物品の識別情報と、その物品が収納される物品収納部の位置情報とを対応付けて管理する物品管理手段が設けられ、
前記物品管理手段が、前記物品位置修正処理の実行に伴って、前記物品管理手段にて管理される物品夫々の識別情報と前記物品収納部の位置情報との対応に関する情報を更新する最新情報更新処理を実行するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品保管設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−1510(P2013−1510A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134468(P2011−134468)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】
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