説明

物品充填装置

【課題】従来の棒状物品充填装置では、物品の包装時の姿勢(方向性)が問題とされていないため、包装時の姿勢が決まっている物品を取り扱う場合には、その物品の充填作業をスムースに行うことができない。
【解決手段】所定の間隔をあけて配置されると共に置き方によって重心の位置が異なる春巻10が載置される第1の支持部材11及び第2の支持部材12と、第1の支持部材及び第2の支持部材を回動可能に支持するフレーム2と、第1の支持部材及び第2の支持部材を回動させる第1の操作ハンドル21及び第2の操作ハンドル22と、を設ける。操作ハンドル21,22を操作して第1の支持部材11と第2の支持部材12を、動作のタイミングを異ならせて非対称に回動させ、春巻10の支持を解除して重心を移動させることにより、春巻を第1の支持部材11と第2の支持部材12との間を通過させて容器30の1つの物品収容部32に1個の物品を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品(例えば、春巻、今川焼き、コロッケ等)を所定の姿勢で容器の収容部に充填する物品充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、物品充填装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、菓子等の棒状物品を整列させた状態で所定量まとめて容器等に充填する棒状物品充填装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載された棒状物品充填装置は、落下通路を有する筐体と、その落下通路に対して上方から供給される棒状物品を一時的に受入れるシャッタと、そのシャッタの下方の落下通路に配置される傾斜ゲートとを備えている。傾斜ゲートは、傾斜した状態で落下通路を遮断し、上方から受入れた棒状物品に振動を与え、開閉自在に形成されている、ことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−88803号公報
【0004】
しかしながら、上述した従来例の場合には、落下通路に対して上方から供給される複数の棒状物品をシャッタによって一時的に受入れ、そのシャッタを開放することにより、下方の落下通路に配置され且つ振動する傾斜ゲートに収容して、複数の棒状物品の向きを揃えて整列させている。そして、傾斜ゲートを開いて棒状物品を落下させ、その棒状物品を排出シュートで集合させた後、排出シュートを開いて、包装コンベアにより搬送される包装用トレイに整列した状態で充填するものであった。そのため、所定数の棒状物品を整列させて物品収容部に収容することを主な目的としており、個々の棒状物品の包装時の姿勢(方向性)は問題とされていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来の物品充填装置では、棒状物品の包装時の姿勢(方向性)が問題とされていないため、包装時の姿勢が決められている物品を取り扱う場合には、その物品の充填作業をスムースに行うことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品充填装置は、物品を載置する第1の支持部材及び第2の支持部材と、第1の支持部材及び第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動可能に支持するフレームと、第1の支持部材及び第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動させる動作部材と、を設ける。そして、動作部材を動作させて第1の支持部材及び第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動させることにより、第1の支持部材及び第2の支持部材と物品との接触位置を変えて物品の載置の姿勢を変え、その物品を第1の支持部材と第2の支持部材との間を通過させて容器の1つの物品収容部に1個の物品を充填する、ことを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の物品充填装置によれば、物品を支持する第1の支持部材及び第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動させることにより、第1の支持部材及び第2の支持部材と物品との接触位置を変えて物品の載置の姿勢を変え、その物品を第1の支持部材と第2の支持部材との間に通過させる。これにより、容器の物品収容部毎に物品を1個ずつスムース且つ確実に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の物品充填装置の第1の実施の形態の例を示す斜視図である。
【図2】本発明の物品充填装置の第1の実施の形態の例を示す正面図である。
【図3】本発明の物品充填装置の第1の実施の形態の例を示す平面図である。
【図4】図3に示すX−X線部分で断面した説明図である。
【図5】本発明の物品充填装置の第1の実施の形態の例の動作を説明するもので、図5Aは第1の支持部材と第2の支持部材で物品を支持している状態、図5Bは図5Aの状態から第2の支持部材を下方へ第1段階回動させた状態、図5Cは図5Bの状態から第2の支持部材を下方へ第2段階回動させた状態、図5Dは図5Cの状態から第2の支持部材を下方へ終端位置まで回動させた状態、図5Eは図5Dの状態から第2の支持部材を固定する一方第1の支持部材を逆方向に終端位置まで回動させた状態を、それぞれ示す説明図である。
【図6】本発明の物品充填装置の第2の実施の形態の例の動作を説明するもので、第2の支持部材を一方へ回動し、その後、第1の支持部材を同方向へ回動する装置の例である。即ち、図6Aは第1の支持部材と第2の支持部材で物品を支持している初期段階、図6Bは第2の支持部材を下方へ回動させた第1段階、図6Cは第2の支持部材の回動を停止した第2段階、図6Dは第1の支持部材を上方へ回動した第3段階、図6Eは第1の支持部材を更に上方へ回動した第4段階、図6Fは第1の支持部材を更に上方へ回動した第5段階、図6Gは第1の支持部材の回動を停止した最終段階の、それぞれ説明図である。
【図7】本発明の物品充填装置の第3の実施の形態の例の動作を説明するもので、2つの支持部材を同時に同方向へ回動するが、第1の支持部材の回動速度及び回動角度を第2の支持部材の回動速度及び回動角度よりも小さくした装置の例である。即ち、図7Aは第1の支持部材と第2の支持部材で物品を支持している初期段階、図7Bは第1の支持部材と第2の支持部材を同時に同方向へ回動させた第1段階、図7Cは両支持部材を更に回動させた第2段階、図7Dは両支持部材を更に回動させた第3段階、図7Eは両支持部材を停止した最終段階の、それぞれ説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明では、物品が載置された第1の支持部材及び第2の支持部材のうち、一方の支持部材を回動すると、第1の支持部材及び第2の支持部材に載置されている物品の姿勢が変わり、第1の支持部材と第2の支持部材の間を通過して落下する。これにより、物品が所定の姿勢に変化し、1つの物品収容部毎に1個ずつ物品が確実且つ容易に充填される。
【実施例】
【0010】
図1乃至図3は、本発明の物品充填装置の形態の一例を示すものである。この物品充填装置1は、フレーム2と、このフレーム2に回動自在に支持された3組の支持部材組体3と、この3組の支持部材組体3を回動させる動作部材等を備えている。この実施例では、支持部材組体3を3組用いた例について説明したが、支持部材組体3は、1組又は2組を用いて実施できることは勿論のこと、4組以上を用いて物品充填装置を構成することもできる。また、この実施例では、3組の支持部材組体3を1列に配置した例について説明したが、2列或いは3列以上に並列させる構成とすることもできる。
【0011】
図1等に示すように、フレーム2は、長方形の枠体7と、この枠体7の長手方向の両端部を支持する左右の脚体8,8とを有している。脚体8は、載置面に接触される支持面部8aと、この支持面部8aの長手方向の両端部から立ち上げられた左右の脚面部8b,8bとを有している。左右の脚体8は同一のものであり、枠体7の長手方向両側に配置されている。脚体8の各脚面部8bの上部には挿通孔が設けられており、この挿通孔に対応するねじ孔が枠体7に設けられていて、これらに挿入・螺合される固定ネジ9によって枠体7が一対の脚体8,8に固定支持されている。
【0012】
枠体7は、長手方向に延在されると共に所定の間隔をあけて互いに平行に配置された2つの長辺部7a,7aと、長手方向と直交する短手方向に延在されると共に所定の間隔をあけて互いに平行に配置された2つの短辺部7b,7bとを有している。これら2つの長辺部7a,7aと2つの短辺部7b,7bとによって長方形をなす枠体7が一体に形成されている。2つの短辺部7b,7bには、固定ネジ9が螺合される2つのねじ孔がそれぞれ設けられている。また、2つの長辺部7a,7aには、使用される支持部材の数(本実施例では6個)と同数の挿通孔が所定位置にそれぞれ設けられている。これらの挿通孔には、支持部材に設けた枢軸がそれぞれ回動自在に挿通される。
【0013】
図3及び図4等に示すように、本実施例では、3個の取扱対象物である物品(例えば、「春巻」)10を同時に充填処理できるように3組の支持部材組体3が、横並びに配置されて設けられている。物品10の形状は特に限定されるものではないが、好ましくは、長尺物品からなり、その長手方向と直交する短手方向の断面形状は、直交する二方向で長さの異なる形状、例えば、楕円形若しくは樽形又はこれらに近似した形状を有している。この物品10は、例えば、油ちょうされた春巻又は冷凍処理されてある程度硬くなった状態の春巻である。しかしながら、物品10としては、これらの春巻に限定されるものではない。
【0014】
1組の支持部材組体3は、第1の支持部材11と第2の支持部材12とによって構成されている。2つの支持部材11,12は、短冊のような形状をなす平板によって形成されている。各支持部材11,12は、長手方向の長さが物品10の長手方向の長さよりも少し長く設定されている一方、短手方向(幅方向)の長さは物品10の短手方向の長さの略半分(1/2程度)に設定されている。そして、2つの支持部材11,12は、物品10の短手方向の長さよりも少し広い領域を占有するように配置されている。
【0015】
更に、第1の支持部材11には、長手方向の両端から突出する2つの第1の枢軸13,13と、長手方向の一端から突出する1つの第1の回動軸15とが設けられている。同様に、第2の支持部材12には、長手方向の両端から突出する2つの第2の枢軸14,14と、長手方向の一端から突出する1つの第2の回動軸16とが設けられている。2つの第1の枢軸13,13は、第1の支持部材11の幅方向の一側において同一軸心線上に配置されていて、軸方向外側へそれぞれ所定長さ延在されている。同様に、2つの第2の枢軸14,14は、第2の支持部材12の幅方向の一側において同一軸心線上に配置されていて、軸方向外側へそれぞれ所定長さ延在されている。また、第1の支持部材11の第1の回動軸15は、幅方向の他側において長手方向の一側に配置され、第2の支持部材12の第2の回動軸16は、幅方向の他側において長手方向の逆側(他側)に配置されている。これら第1の回動軸15及び第2の回動軸16はいずれも、軸方向外側へ所定長さ延在されている。
【0016】
第1の支持部材11及び第2の支持部材12は、それぞれが2つの第1の枢軸13,13及び第2の枢軸14,14を枠体7に設けた挿通孔にそれぞれ挿通することにより、フレーム2に対して2つの第1の枢軸13,13及び第2の枢軸14,14を回動中心として回動自在に支持されている。このように支持された第1の支持部材11と第2の支持部材12とからなる支持部材組体3の3組が、横並びに配設されている。隣り合う支持部材組体3,3は、一方の組の第1の支持部材11と他方の組の第2の支持部材12とが隣り合うように配置されており、それぞれが適度な角度だけ回動可能なように所定の間隔をあけて取り付けられている。
【0017】
これにより、全ての第1の支持部材11(本実施例では3個)の第1の回動軸15は、枠体7の幅方向の一側に揃えられて突出されている。同様に、全ての第2の支持部材12(本実施例では3個)の第2の回動軸16は、枠体7の幅方向の逆側(他側)に揃えられて突出されている。
【0018】
3つの第1の支持部材11の第1の回動軸15は、第1の連結部材17にそれぞれ回動自在に連結されている。この第1の連結部材17により、3つの第1の支持部材11は、それぞれの第1の枢軸13,13を回動中心として連動して回動し得るように構成されている。また、3つの第2の支持部材12の第2の回動軸16は、第1の連結部材17と反対側に配置された第2の連結部材18にそれぞれ回動自在に連結されている。この第2の連結部材18により、3つの第2の支持部材12は、それぞれの第2の枢軸14,14を回動中心として連動して回動し得るように構成されている。
【0019】
第1の連結部材17によって連結された3つの第1の支持部材11のうち、1つの第1の支持部材11の第1の枢軸13Aには、これを回動操作するための第1の操作ハンドル21が設けられている。また、第2の連結部材18によって連結された3つの第2の支持部材12のうち、1つの第2の支持部材12の第2の枢軸14Aには、これを回動操作するための第2の操作ハンドル22が設けられている。第1の操作ハンドル21は、第1の支持部材11の第1の枢軸13Aに嵌合されていて、一体的に回動可能とされている。また、第2の操作ハンドル22は、第2の支持部材12の第2の枢軸14Aに嵌合されていて、一体的に回動可能とされている。
【0020】
かくして、第1の操作ハンドル21を時計方向(又は反時計方向)に回動すると、第1の枢軸13A,13を回動中心として、1つの第1の支持部材11が同方向へ同じ角度回動される。このとき、第1の枢軸13Aを有する第1の支持部材11は、第1の連結部材17を介して他の2つの第1の支持部材11と連結されているため、他の2つの第1の支持部材11も、それぞれの第1の枢軸13,13を回動中心として同方向へ同じ角度だけ回動される。
【0021】
また、第2の操作ハンドル22を時計方向(又は反時計方向)に回動すると、第2の枢軸14A,14を回動中心として、1つの第2の支持部材12が同方向へ同じ角度回動される。このとき、第2の枢軸14Aを有する第2の支持部材12は、第2の連結部材18を介して他の2つの第2の支持部材12と連結されているため、他の2つの第2の支持部材12も、それぞれの第2の枢軸14,14を回動中心として同方向へ同じ角度だけ回動される。
【0022】
第1の操作ハンドル21と第1の連結部材17とによって、3つの第1の支持部材11を同時に同期して回動させる第1の動作部材が構成されている。また、第2の操作ハンドル22と第2の連結部材18とによって、3つの第2の支持部材12を同時に同期して回動させる第2の動作部材が構成されている。従って、この実施例では、第1の動作部材及び第2の動作部材は、それぞれ3つの支持部材を同時に動作させるが、動作させる支持部材の数は1つ若しくは2つであってもよく、また、4つ以上を同時に動作させる構成としてもよいことは勿論である。なお、支持部材組体3が1組の装置の場合、第1の操作ハンドル21によって第1の動作部材が構成され、第2の操作ハンドル22によって第2の動作部材が構成される。
【0023】
フレーム2と、第1の支持部材11及び第2の支持部材12と、第1の連結部材17及び第2の連結部材18と、第1の操作ハンドル21及び第2の操作ハンドル22の材質としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、スチール鋼その他の金属であってもよく、また、POM(ポリアセタール)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)その他のエンジニアリングプラスチックを適用することもできる。
【0024】
物品10の包装に供される容器30は、例えば、図1に示すような構成を有している。即ち、容器30は、プラスチックシートに複数(本実施例では3個)の膨出部31を設けることにより、一面側に開口した凹部からなる3つの物品収容部32を設けることによって形成されている。この物品収容部32は、物品10の形状に対応させて、その物品10を縦向きの状態で収容できるように形成されている。即ち、物品収容部32は、物品10に見合う大きさであって、入口側の開口面積を底の面積よりも少し大きくすると共に、その深さを幅方向の長さよりも大きくした形状を有している。容器30の材質としては、例えば、PP(ポリプロピレン)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0025】
このような構成を有する物品充填装置1の動作は、例えば、次のようなものである。
ここで、春巻(長尺物品)10の長手方向と直交する方向の断面における長手方向の長さをP、その長手方向と直交する短手方向の長さをQとする。そして、第1の枢軸13と第2の枢軸14との間隔をL、第1の支持部材11と第2の支持部材12とが最も近づいたとき(図5Aの状態)の間隔をM、第1の支持部材11と第2の支持部材12とが最も遠ざかったとき(図5Eの状態)の間隔をNとする。
【0026】
まず、第1の支持部材11と第2の支持部材12を引き起こして物品10を載置できる状態にする。即ち、図1等において、第1の操作ハンドル21を反時計方向に回動すると共に、第2の操作ハンドル22を時計方向に回動する。これにより、一方では、3つの第1の支持部材11が、第1の連結部材17の動作を介して、互いに連動して反時計方向に回動する。また、他方では、3つの第2の支持部材12が、第2の連結部材18の動作を介して、互いに連動して時計方向に回動する。
【0027】
その結果、図3に示すように、3組の支持部材組体3が、容器30の3つの物品収容部32の上方をそれぞれ閉じるような状態になる。この状態において、各支持部材組体3に春巻10を載置することにより、物品収容部32に対する春巻10の充填作業の準備が完了する。このとき、春巻10の重心Sは、2つの支持部材11,12の略中央に位置している。また、春巻10は、その断面形状に基づく安定性の点から、一般的には、図4に示す横向きの状態で支持部材組体3に載置されるが、縦向きの状態で載置されたとしても、後述するように姿勢が制御されて、同様の姿勢によって物品収容部32に収容される。
【0028】
また、第1の支持部材11と第2の支持部材12は、互いに水平状態に合わせる構成としてもよいが、図4及び図5Aに示したように、水平に合わせずに互いに傾斜させて船底形状とし、その船底状態で春巻10を載置するようにすると良い。この場合には、一対の支持部材11,12の合わせ目の部分が最も低い位置になるため、春巻10の水平方向の向きを支持部材組体3の合わせ目に揃えて整列させることができる。これにより、春巻10を、物品収容部32の真上において、その長手方向を物品収容部32の長手方向と一致させることができる。
【0029】
次に、図5Aに示す状態から、例えば、第1の操作ハンドル21の位置を保持した状態で、第2の操作ハンドル22を反時計方向に回動する。これにより、図5Bに示すように、第2の支持部材12が第2の枢軸14,14を回動中心として反時計方向に回動され、春巻10の重心Sが、第2の支持部材12側に若干移動しつつ若干下がる。その結果、上記重心Sの移動によって春巻10が、若干回転しながら下がって第2の支持部材12側に移動する。
【0030】
次に、図5Bに示す状態から、第1の操作ハンドル21を固定した状態のまま、第2の操作ハンドル22を更に反時計方向に回動する。これにより、図5Cに示すように、第2の支持部材12が第2の枢軸14,14を回動中心として反時計方向に更に回動され、春巻10の重心Sが、第2の支持部材12側に少し移動しつつ更に下がる。その結果、上記重心Sの移動によって春巻10が更に回転し、春巻10の傾き角度が増加する。
【0031】
次いで、図5Cに示す状態から、第1の操作ハンドル21を固定した状態のまま、第2の操作ハンドル22を更に大きく反時計方向に回動する。これにより、図5Dに示すように、第2の支持部材12が第2の枢軸14,14を回動中心として反時計方向に更に回動され、春巻10の重心Sが、更に第2の支持部材12側に移動しつつ下がる。その結果、上記重心Sの移動によって春巻10が更に回転しながら下がり、春巻10の傾き角度が更に増加して春巻10の長手方向が縦方向に変化する。
【0032】
次に、図5Dに示す状態から、第2の操作ハンドル22を固定する一方、第1の操作ハンドル21を時計方向に大きく回動する。これにより、図5Eに示すように、第1の支持部材11が第1の枢軸13,13を回動中心として時計方向に回動され、第1の支持部材11と第2の支持部材12との間隔が春巻10の短手方向の長さQよりも広がったところで、春巻10が自由に落下する。このとき、春巻10の姿勢は、長手方向を略縦方向へ向けた状態に変化しており、この縦長の姿勢に変化することにより、春巻10が2枚の支持部材11,12間を通過して、容器30の物品収容部32内に所定の縦長の姿勢で充填されることになる。
【0033】
これにより、春巻10が物品収容部32の入口部分に詰まることがなく、物品収容部32の所定深さまで春巻10を確実に差し入れることができる。このように、2つの支持部材11,12の動作タイミングを調節することにより、取扱対象物である春巻10の姿勢を変化させて、縦長にした状態で2つの支持部材11,12の間を通過させて、1つの物品収容部32に1個の春巻10を収容することが可能となる。これにより、容器30に設けた1又は2以上の物品収容部32への春巻10の充填作業が完了する。なお、別の春巻10を、他の物品収容部32又は別の容器30の物品収容部32に充填する場合には、上述した充填作業を繰り返す。
【0034】
この実施例では、対象となる物品を容器の物品収容部に誘導可能なように2枚の支持部材(シャッタ)を物品収容部の上方に配置し、2枚の支持部材を非対称に回動させて、物品を載置する位置とその姿勢とを変化させるようにした。そして、断面形状が直交する二方向で長さの異なる物品を、2つの支持部材の動作のタイミングを異ならせて非対称となるように回動することにより、物品の重心バランスが崩れる際に発生する力を利用して、その位置と姿勢を変化させるようにした。そのため、自らの重心Sの移動によって滑りながら姿勢を変えて、ガイドである2枚の支持部材(シャッタ)の先端間の隙間を通過して、容器の所定位置である物品収容部に、所定の物品を所定の姿勢で落下して収容することができる。
【0035】
なお、この実施例においては、第1の操作ハンドル21と第2の操作ハンドル22を作業者が手作業で操作して行う例について説明したが、電動モータや減速機、これらの制御装置等を設けて、自動操作によって春巻10の充填作業を自動で行うことができることは勿論である。また、この実施例では、第1の支持部材11と第2の支持部材12の双方を回動させる例について説明したが、1つの支持部材を固定し、一方の支持部材のみを回動させることによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、この実施例では、支持部材組体3を構成する第1の支持部材11と第2の支持部材12をフレーム2に回動自在に支持し、一組の支持部材11,12の回動動作のタイミングを異ならせて物品10の姿勢を制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一組の支持部材をフレームに摺動可能に支持し、その支持部材を、フレームの面方向(長手方向)に移動させて物品収容部の上方を開閉する構成とすることもできる。
【0037】
なお、この実施例では、第1の支持部材11及び第2の支持部材12の形状を、短冊状の板材として形成した例について説明したが、このような形状に限定されるものではない。例えば、支持部材を半円形、台形、三角形等の形状に形成することもできる。更に、支持部材は、板状の部材である必要はなく、例えば、棒状の部材で構成し、その棒状部材をフレーム2の長手方向に摺動させて、2つの支持部材の間の隙間を広狭変化させる構成とすることもできる。
【0038】
図6A〜6Gは、本発明の物品充填装置の形態の第2の例を示すものである。この物品充填装置1Aは、その構成は物品充填装置1と略同様であり、また、取扱対象物も春巻40と同一であるが、この実施の形態が異なるところは、第2の支持部材の形状と第1の支持部材の回転方向である。物品充填装置1Aにおいて、第1の支持部材41は、その幅方向の一側に第1の枢軸44が設けられており、この第1の支持部材41の幅方向の第1の枢軸44と反対側が第2の支持部材42に対向されている。第2の支持部材42は、その幅方向の中途部に第2の枢軸45が設けられており、この第2の支持部材42の幅方向の一側が第1の支持部材41に対向されている。その他の構成は、前記第1の実施例と同様である。
【0039】
このような構成を有する物品充填装置1Aの動作は、例えば、次のようなものである。まず、図6Aに示すように、第1の支持部材41と第2の支持部材42に春巻40を載置する。これにより、図示しない物品収容部に対する春巻40の充填作業の準備が完了する。このとき、春巻40の重心Sは、2つの支持部材41,42の略中央に位置している。
【0040】
次に、例えば、第1の支持部材41の姿勢を維持した状態で、第2の支持部材42を、第2の枢軸45を回動中心として反時計方向に回動する。これにより、春巻40の第2の支持部材42側が第2の支持部材42に追従して下方に移動し、春巻40の重心Sが少し下がる。そして、第2の支持部材42を、図6Bに示す状態を経て、図6Cに示す状態まで変化させる。このとき、図6Bに示す状態では、第2の支持部材42の春巻40と接触する面が上向きであるため、第2の支持部材42には春巻40を支持する力が働いている。これに対して、図6Cに示す状態になると、第2の支持部材42の春巻40と接触する面が略垂直面となるため、第2の支持部材42には春巻40を支持する力は発生しない。このような第2の支持部材42の回動変化により、春巻40に重心Sの移動が生じ、自重によって春巻40の第2の支持部材42側が下がり、その姿勢が、横長の状態から斜めに傾斜した状態に変化する。
【0041】
次に、図6Dに示すように、第2の支持部材42の姿勢を維持(固定)した状態で、第1の支持部材41を、第1の枢軸44を回動中心として同じく反時計方向に回動する。そして、図6Eに示すように、第1の支持部材41で春巻40の、第2の支持部材42と反対側を擦り上げ、春巻40に回転力を付与して姿勢を強制的に変化させる。そして、第1の支持部材41を、図6Fに示す状態を経て、図6Gに示す状態まで変化させる。これにより、春巻40の姿勢が更に変化し、斜めに傾いた姿勢から更に変化して縦長の姿勢になる。その結果、春巻40が、第1の支持部材41と第2の支持部材42との間にできた隙間の間を通過して、自重により落下する。そして、下方に配置されている容器の物品収容部内に、春巻40が所定の縦長の姿勢によって充填される。
【0042】
これにより、春巻40が物品収容部の入口部分に詰まることがなく、物品収容部の所定深さまで確実に差し入れることができる。このように、2つの支持部材41,42の回動の方向や動作タイミングを調節すると共に、第1の支持部材41の回動によって春巻40に回転力を付与することにより、取扱対象物としての重心偏倚物品である春巻40の姿勢を強制的に変化させて、縦長にした状態で物品収容部に収容することが確実になる。ここで、物品収容部への春巻40の充填作業が完了する。このように構成することによっても、前記実施例と同様な効果を得ることができる。
【0043】
図7A〜7Eは、本発明の物品充填装置の形態の第3の例を示すものである。この物品充填装置1Bは、その構成は物品充填装置1と同様であるが、取扱対象物を物品の第2の具体例を示すコロッケ50とした点が異なるところである。物品充填装置1Bにおいて、第1の支持部材51は、その幅方向の一側に第1の枢軸54が設けられており、この第1の支持部材51の幅方向の第1の枢軸54と反対側が第2の支持部材52に対向されている。第2の支持部材52は、その幅方向の他側に第2の枢軸55が設けられており、この第2の支持部材52の幅方向の一側が第1の支持部材51に対向されている。その他の構成は、前記第1の実施例と同様である。
【0044】
このような構成を有する物品充填装置1Bの動作は、例えば、次のようなものである。まず、図7Aに示すように、第1の支持部材51と第2の支持部材52にコロッケ50を載置する。これにより、図示しない物品収容部に対するコロッケ50の充填作業の準備が完了する。このとき、コロッケ50の重心Sは、2つの支持部材51,52の略中央に位置している。
【0045】
次に、図7Bに示すように、第1の支持部材51と第2の支持部材52を同時に同一方向(図7の実施例では共に反時計方向)に回動させる。このとき、第1の支持部材51の回動速度よりも第2の支持部材52の回動速度を速くする。即ち、第1の支持部材51を反時計方向にゆっくり回動する一方、第2の支持部材52を同じく反時計方向へ第1の支持部材51よりも速く回動する。これにより、第1の支持部材51と第2の支持部材52の位置変化に応じて、コロッケ50の姿勢が、第2の支持部材52側が下がり、これとは逆に第1の支持部材51側が押し上げられる。
【0046】
その結果、コロッケ50が時計方向に回動され、図7Cに示す状態を経て図7Dに示す状態となる。そして、コロッケ50の姿勢が、横長の状態から斜めに傾斜した状態を経て、図7Eに示す縦長の状態に変化する。これにより、縦長の姿勢に変化したコロッケ50が、第1の支持部材51と第2の支持部材52との間にできた隙間の間を通過して、自重によって落下する。そして、下方に配置されている容器の物品収容部内に、コロッケ50が所定の縦長の姿勢によって充填される。
【0047】
これにより、コロッケ50が物品収容部の入口部分に詰まることがなく、物品収容部の所定深さまで確実に差し入れることができる。このように、2つの支持部材51,52の回動方向と回動速度を調節することにより、取扱対象物としてのコロッケ50の姿勢を変化させて、縦長にした状態で物品収容部に収容することが可能となる。これにより、物品収容部へのコロッケ50の充填作業が完了する。
【0048】
以上説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、油ちょう又は冷凍処理した春巻を取扱対象物である物品とした例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでないことは勿論である。なお、取扱対象物の具体例としては、例えば、小判形をしたコロッケ、かまぼこ、円盤形をした今川焼き、ドラ焼、メンチカツ等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0049】
1,1A,1B…物品充填装置、 2…フレーム、 3…支持部材組体、 7…枠体、 10…物品(取扱対象物、例えば、春巻、コロッケ等)、 11,41,51…第1の支持部材、 12,42,52…第2の支持部材、 13,13A,44,54…第1の枢軸、 14,14A,45,55…第2の枢軸、 15…第1の回動軸、 16…第2の回動軸、 17…第1の連結部材、 18…第2の連結部材、 21…第1の操作ハンドル、 22…第2の操作ハンドル、 30…容器、 32…物品収容部、 S…物品の重心



【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載置する第1の支持部材及び第2の支持部材と、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動可能に支持するフレームと、
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動させる動作部材と、を設け、
前記動作部材を動作させて前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方を回動又は摺動させることにより、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材と前記物品との接触位置を変えて前記物品の載置の姿勢を変化させ、前記物品を前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間を通過させて容器の1つの物品収容部に1個の物品を充填する
ことを特徴とする物品充填装置。
【請求項2】
前記物品は、長尺物品であり、前記長尺物品の長手方向と直交する方向の断面形状が直交する二方向で長さの異なる物品である
ことを特徴とする請求項1記載の物品充填装置。
【請求項3】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の少なくとも一方が回動又は摺動して前記物品が前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間を通過するときの前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との隙間は、前記物品の長手方向と直交する方向における断面形状が縦長となったときの状態よりも広いが、横長となったときの状態よりは狭くなっている
ことを特徴とする請求項2記載の物品充填装置。
【請求項4】
前記フレームは、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の双方を回動又は摺動可能に支持し、
前記動作部材は、前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の双方を回動又は摺動させ、
前記動作部材の作動により前記第1の支持部材と前記第2の支持部材の動作のタイミングを変えて前記回動又は前記摺動を行わせる
ことを特徴とする請求項1,2又は3記載の物品充填装置。
【請求項5】
前記第1の支持部材に第1の枢軸を設けると共に前記第2の支持部材に第2の枢軸を設け、
前記第1の枢軸及び前記第2の枢軸を、互いに平行且つ水平にして前記フレームにそれぞれ回動自在に挿通することにより、前記フレームで前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材を回動可能に支持し、
前記第1の枢軸と前記第2の枢軸との間隔は、前記物品が横長の姿勢となったときの長手方向の長さよりも広く、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間の間隔は、両支持部材が最も近づいたときの間隔は前記物品が縦長の姿勢となったときの短手方向の長さよりも狭く、且つ、両支持部材が最も遠ざかったときの間隔は前記物品が縦長の姿勢となったときの短手方向の長さよりも広い
ことを特徴とする請求項4記載の物品充填装置。
【請求項6】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材は共に回動可能に構成されているが、互いの動作のタイミングを異ならせて非対称に動く
ことを特徴とする請求項5記載の物品充填装置。
【請求項7】
前記第1の支持部材及び前記第2の支持部材の組み合わせを複数組設け、
すべての前記第1の支持部材の前記第1の枢軸と反対側に第1の回動軸を設けると共に、すべての前記第2の支持部材の前記第2の枢軸と反対側に第2の回動軸を設け、
すべての前記第1の回動軸を第1の連結部材で回動可能に連結すると共に、すべての前記第2の回動軸を第2の連結部材で回動可能に連結した
ことを特徴とする請求項4、5又は6記載の物品充填装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−25430(P2012−25430A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165785(P2010−165785)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(505126610)株式会社ニチレイフーズ (71)
【Fターム(参考)】