説明

物品処理設備

【課題】作業用棚の保管能力を極力活用できる物品処理設備を提供すること。
【解決手段】管理制御手段が、物品検出用箇所についての設定距離Dを示す設定距離情報及び物品Bの補充姿勢での奥行き方向の長さLを示す物品大きさ別長さ情報を管理し、物品補充処理において、補充対象の棚部分Tについて、存否センサSの検出情報に基づいて満杯状態を検出したときに、設定距離情報及び物品大きさ別長さ情報に基づいて、当該棚部分Tに対して補充対象の物品Bを追加補充可能か否か判別し、追加補充が可能であると判別した場合は、当該種類の物品Bを当該棚部分Tの物品補充口Ginに補充姿勢で追加補充するべく、物品補充装置の作動を制御する追加補充処理を実行するように構成されている物品処理設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品補充口から補充姿勢で補充された物品を物品取出口まで一方向に搬送自在な搬送部、及び、前記物品取出口の搬送下流側にて物品を保持自在な保持部を備えて、前記搬送部の搬送経路上に前記物品取出口から前記物品補充口側に向かって棚奥行き方向に複数の同じ大きさの物品を前記補充姿勢で隣接して並べた状態で保管する棚部分を、前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品別に複数並置させて構成された作業用棚と、物品を前記作業用棚の前記物品補充口まで搬送して前記棚部分に前記補充姿勢で補充する物品補充装置とが設けられた物品処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品処理設備は、例えば、複数種類の物品としての複数の大きさのコンテナに収容された部品等のピッキング対象物をピッキング作業箇所で作業者がコンテナから取り出すピッキング作業に用いられる。作業用棚は、各棚部分における搬送部の物品取出口側がピッキング作業箇所に向く状態で配置され、搬送部の物品補充口側には、例えば、スタッカークレーン等の物品補充装置が配置される。
【0003】
各棚部分の搬送部の物品取出口よりも搬送下流側には、物品を保持する保持部が設けられており、搬送部の物品補充口から物品補充装置にて補充姿勢で補充された複数の物品は、棚部分における搬送部により物品取出口側に搬送されて、一つが保持部にて補充姿勢で保持されるとともに、残りの物品は搬送部にて物品取出口まで前詰めされた状態で補充姿勢で保持される。こうして、各棚部分の夫々には、棚部分が保管対象とする大きさの物品が補充姿勢で複数隣接して並べた状態で各棚部分に保管される。
【0004】
ピッキング作業開始前の準備として作業用棚の各棚部分へ物品を補充する初期補充や、ピッキング作業の進行により物品の補充が必要となった棚部分へ物品を補充する都度補充は、物品補充装置により行われる。すなわち、初期補充や都度補充を要求する補充要求情報が発生すると、管理制御手段が物品補充処理を実行することで、物品補充装置の作動が制御され、物品補充装置により、予備の物品が保管されている保管棚等の保管手段から補充対象の物品が取り出され、補充対象の棚部分の物品補充口へ物品が補充される。
【0005】
そして、従来から、棚部分の夫々における搬送部の物品補充口側の端部から設定距離だけ搬送下流側に位置する物品検出用箇所に存否センサが設けられており、初期補充や都度補充における棚部分への物品の補充は、管理制御手段が、この存否センサの検出情報に基づいて、搬送部の搬送経路のうち物品取出口側の端部から物品検出用箇所までの部分が物品により満たされている満杯状態を検出するまで行われ、管理制御手段が存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出すると、当該棚部分への物品の補充を終了する。そして、当該棚部分について、新たな補充要求情報が発生すると、改めて当該棚部分への物品の補充が行われるようになっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−124406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記物品処理設備においては、複数種類の物品を扱うために、各棚部分が保管対象とする物品の補充姿勢での奥行き方向の長さが、棚部分によって異なる場合がある。ところが、上述のように、存否センサは、どの棚部分に対しても一律に、搬送部の物品補充口側の端部から一定の設定距離だけ搬送下流側に位置する物品検出用箇所に設けられており、物品検出用箇所において物品に対して検出作用することで、物品検出用箇所における物品の有無を検出する。
【0008】
各棚部分についての存否センサを、その棚部分が保管対象とする物品の補充姿勢での奥行き方向の長さに応じて設置すると、複数の棚部分の夫々について存否センサの設置位置を調節しなければならず、設置作業に手間がかかるという問題がある。また、各棚部分が保管対象とする物品が変更される場合もあり、変更の度に複数の棚部分について存否センサの取り付け位置を変更調節することは現実的ではない。そのため、存否センサが設けられる物品検出用箇所としては、物品の補充姿勢での奥行き方向の長さが大きい物品が、保管対象の棚部分の物品補充口側端部からはみ出ない範囲で最大の個数まで搬送部において前詰めされた状態で保管された満杯状態において、存否センサが当該棚部分の搬送部における最上流の物品を検出できる位置に設定される。
【0009】
そのため、物品の補充姿勢での奥行き方向の長さが小さい物品を保管対象とする棚部分については、物品が補充されて存否センサの検出情報に基づいて満杯状態であると管理制御手段にて判別されて、当該棚部分に対する物品の補充が終了した場合、満杯状態において当該棚部分の搬送部において保管されている最上流の物品よりも上流側に形成される空き部分の長さが長くなる。
【0010】
この空き部分の長さが、当該棚部分が保管対象とする物品の補充姿勢での奥行き方向の長さよりも長い場合、当該棚部分には、保管対象の物品を少なくともあと1個補充できる状況であるにもかかわらず、満杯状態となった後は、物品補充処理による物品の補充が終了する。そのため、ピッキング作業が進行する等して、次の補充要求情報が発生するまで、当該棚部分には物品が補充されず、棚部分の搬送部における物品補充口側の端部に形成される空き部分が無駄となり、作業用棚の保管能力を十分に活用できない事態が生じるおそれがある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、作業用棚の保管能力を極力活用できる物品処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明に係る物品処理設備の第1特徴構成は、物品補充口から補充姿勢で補充された物品を物品取出口まで一方向に搬送自在な搬送部、及び、前記物品取出口の搬送下流側にて物品を保持自在な保持部を備えて、前記搬送部の搬送経路上に前記物品取出口から前記物品補充口側に向かって棚奥行き方向に複数の同じ大きさの物品を前記補充姿勢で隣接して並べた状態で保管する棚部分を、前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品別に複数並置させて構成された作業用棚と、物品を前記作業用棚の前記物品補充口まで搬送して前記棚部分に前記補充姿勢で補充する物品補充装置と、前記棚部分の夫々における前記搬送部の前記物品補充口側の端部から設定距離だけ搬送下流側に位置する物品検出用箇所に設けられ、前記物品検出用箇所において物品に検出作用して物品の存在を検出する存否センサと、前記棚部分における前記物品補充口に対する物品の補充を要求する補充要求情報を発生する補充要求発生手段と、前記棚部分の夫々にどの種類の物品を保管するかを管理し、前記補充要求発生手段にて前記補充要求情報が発生すると、当該補充要求情報に基づいて、補充対象の前記棚部分に補充すべき物品の種類を判別し、補充対象の前記棚部分における前記存否センサの検出情報に基づいて前記搬送部の前記搬送経路のうち前記物品取出口側の端部から前記物品検出用箇所までの部分が物品により満たされている満杯状態であることを検出するまで、当該種類の物品を補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御する物品補充処理を実行する管理制御手段とが設けられた物品処理設備において、
前記管理制御手段が、前記物品検出用箇所についての前記設定距離を示す設定距離情報及び物品の前記補充姿勢での奥行き方向の長さを示す物品大きさ別長さ情報を管理し、前記物品補充処理において、補充対象の棚部分について、前記存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出したときに、前記設定距離情報及び前記物品大きさ別長さ情報に基づいて、当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別し、追加補充が可能であると判別した場合は、当該種類の物品を当該棚部分の前記物品補充口に前記補充姿勢で追加補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御する追加補充処理を実行するように構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、棚部分における前記物品補充口に対する物品の補充を要求する補充要求情報が補充要求発生手段にて発せられると、管理制御手段が物品補充処理を実行する。管理制御手段は、棚部分の夫々にどの種類の物品を保管するかを管理しており、物品補充処理を実行することで、補充要求情報に基づいて、補充対象の棚部分に補充すべき物品の種類を判別する。そして、管理制御手段は、物品補充装置の作動を制御して、補充対象の棚部分に補充すべき種類の物品を補充する。そして、この物品補充処理においては、補充対象の棚部分における存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出するまで当該種類の物品が補充される。
【0014】
そして、物品補充処理において、補充対象の棚部分について、存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出すると、管理制御手段は、当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別する。
【0015】
すなわち、管理制御手段が存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出したときには、最上流の物品の奥行き方向のいずれかの部分が物品検出用箇所に位置していることから、最上流の物品のうち、物品検出用箇所よりも上流側に位置する部分の長さは、当該物品の補充姿勢での奥行き方向の長さより短くなる。したがって、管理手段は、存否センサが設けられる物品検出用箇所についての搬送部の物品補充口側の端部からの距離である設定距離を示す設定距離情報及び物品の補充姿勢での奥行き方向の長さを示す物品大きさ別長さ情報を管理することで、物品検出用箇所に対する最上流の物品の位置を正確に把握できなくても、最上流に位置する物品よりも上流側に形成される空き部分の長さとして少なく見積もった長さを把握することができる。そのため、当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別することができる。
【0016】
当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能であると判別した場合は、管理制御手段は、追加補充処理を実行する。これにより、当該種類の物品が当該棚部分の物品補充口に補充姿勢で追加補充される。したがって、存否センサの検出情報に基づいて満杯状態であることが検出された後に、当該棚部分の搬送部における物品補充口側の端部に形成される空き部分に対して保管対象の種類の物品が追加して補充されることになり、当該棚部分において保管する物品の数を増やすことができる。
【0017】
このように、作業用棚の保管能力を極力活用できる物品処理設備を得るに至った。
【0018】
本発明に係る物品処理設備の第2特徴構成は、前記管理制御手段が、前記棚部分の夫々の前記搬送経路の長さを示す棚部分別経路長さ情報を管理し、前記棚部分別経路長さ情報、前記設定距離情報及び前記物品大きさ別長さ情報に基づいて、前記満杯状態において当該棚部分における前記搬送経路のうち当該棚部分に保管されている最上流の物品よりも上流側に形成される空き部分の長さを求めるように構成され、かつ、前記物品補充処理を実行することにより物品が補充された前記棚部分について、前記存否センサの検出情報に基づいて満杯状態が検出されたときは、前記空き部分の長さが、当該種類の物品の前記物品大きさ別長さ情報が示す長さよりも長いか否か判別することにより当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別するように構成されている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、管理制御手段は、棚部分の夫々の搬送経路の長さを示す棚部分別経路長さ情報を管理することで、満杯状態において棚部分の物品補充口側端部に形成される物品の種類に応じた空き部分の長さを求めることができる。すなわち、搬送部の下流側端部(物品取出口側端部)から存否センサが設けられる物品検出用箇所までの搬送経路に沿った長さは、棚部分別経路長さから設定距離短い長さであり、搬送部の下流側端部(物品取出口側端部)から満杯状態における最上流の物品の上流側の端部までの搬送経路に沿った長さは、物品大きさ別長さの整数倍であることから、物品大きさ別長さの整数倍であって、棚部分別経路長さから設定距離短い長さ以上となる最小の整数を求めることで、搬送部の下流側端部(物品取出口側端部)から満杯状態における最上流の物品の上流側の端部までの搬送経路に沿った長さを求めることができる。したがって、満杯状態において棚部分の物品補充口側端部に形成される物品の種類に応じた空き部分の長さを求めることができる。
【0020】
管理制御手段は、予め、又は、補充対象の棚部分が満杯状態となったときに求めた満杯状態における当該棚部分についての空き部分の長さと、当該棚部分が保管対象とする種類の物品についての物品大きさ別長さ情報が示す長さとを比較することにより、当該棚部分に対して保管対象の物品を追加補充可能か否かを判別するので、より正確に追加補充処理の実行の可否を判別することができる。なお、満杯状態において形成される空き部分の長さを予め求める場合は、記憶手段に棚部分毎に対応させて記憶させておき、必要に応じて空き部分の長さ情報を取り出すようにすればよい。
【0021】
ちなみに、満杯状態における棚部分に形成される空き部分の長さを求めることにより、管理制御手段は、当該棚部分が保管対象とする種類の物品の物品大きさ別長さ情報に基づいて、当該棚部分に対して追加補充可能な物品の個数を求めることができる。したがって、満杯状態において形成される空き部分の長さが、当該種類の物品の前記物品大きさ別長さが示す長さよりも長い場合には、追加補充可能な物品の個数に対応する回数だけ追加補充処理を繰り返し実行して、満杯状態において形成される空き部分に対して保管対象の種類の物品が可能な限り追加して補充することも可能となり、棚部分に可能な限り多数の物品が保管された状態とすることも可能となる。
【0022】
本発明に係る物品処理設備の第3特徴構成は、前記設定距離が、前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品のうち前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが最大である最大物品の前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さより長い距離に設定されている点にある。
【0023】
本特徴構成によれば、存否センサは、棚部分の夫々における搬送部の物品補充口側の端部から、補充姿勢での棚奥行き方向の長さが最大である最大物品の前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さより長い距離だけ搬送下流側に位置する箇所に設けられることになる。そのため、存否センサの検出情報に基づいて最大物品を保管対象とする棚部分が満杯状態であると検出された場合は、棚部分の物品補充口側端部には、必ず、空き部分が形成される。最大物品を保管対象とする棚部分が満杯状態であるときに空き部分が形成されるということは、最大物品よりも補充姿勢での棚奥行き方向の長さが小さい他の種類の物品を保管対象とする棚部分については、満杯状態において、最大物品についての空き部分よりも棚奥行き方向で長い空き部分が形成される。このように、全ての大きさの物品について、棚部分の物品補充口側端部からはみ出た状態で満杯状態であると検出されることが防止されるので、満杯状態を適正に検出できる。
【0024】
本発明に係る物品処理設備の第4特徴構成は、前記補充要求発生手段が、前記満杯状態において前記物品検出用箇所に位置している物品を前記存否センサが検出している状態から検出しない状態への変化情報を前記補充要求情報として発生するように構成されている点にある。
【0025】
本特徴構成によれば、物品検出用箇所に保管されている物品を検出する存否センサにて補充要求発生手段を兼用できるので、物品処理設備の構成の簡素化を図ることができる。しかも、満杯状態でなくなると即座に補充要求情報が発生することになるので、棚部分における物品保管状態を満杯状態に近い状態にできるだけ維持することができる。これにより、物品取出箇所において欠品が発生することを極力防止できる。
【0026】
本発明に係る物品処理設備の第5特徴構成は、前記補充要求発生手段が、前記棚部分における前記保持部の夫々に対して設けられた人為操作具にて構成され、前記管理制御手段が、前記補充要求情報を発生した前記人為操作具に対応する前記棚部分における前記物品補充口に対して物品を補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0027】
本特徴構成によれば、補充要求発生手段が、棚部分における保持部に設けられた人為操作具にて構成されているので、保持部に保持された物品からピッキング対象物品を取り出す作業者は、ピッキング作業箇所にいたまま、人為操作具を操作することで補充要求情報を発生させることができる。また、補充要求発生手段が棚部分における保持部の夫々に対して設けられ、管理制御手段が、補充要求情報を発生した人為操作具に対応する棚部分における物品補充口に対して物品を補充するべく、物品補充装置の作動を制御するので、作業者の判断により補充が必要となった物品について、人為操作具にて各別に補充要求情報が発せられることで、補充が必要な棚部分に対して補充対象の物品を好ましいタイミングで適切に補充することができる。
【0028】
本発明に係る物品処理設備の第6特徴構成は、前記作業用棚における前記棚部分の夫々と、各棚部分に保管される物品の大きさとの組み合わせが複数ある点にある。
【0029】
本特徴構成によれば、例えば、生産計画の変更等によりピッキング作業内容が変わることで、作業用棚の各棚部分にて保管する物品が入れ換える必要がある場合でも、各棚部分に従前とは異なる種類の物品を保管させた状態で運用することができるといったように、
全てのピッキング対象品について棚部分を用意しておく必要がなく、必要に応じて、各棚部分が保管対象とする物品を入れ換えることができる。したがって、設備の規模の割に多くの種類の大きさの物品を処理することができる物品処理設備となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】物品処理設備の正面図
【図2】物品処理設備の一部拡大平面図
【図3】物品処理設備の制御ブロック図
【図4】物品処理設備の取り扱い対象物品の一部を示す表
【図5】棚部分の搬送経路長さを示す表
【図6】各棚部分における物品の保管状態を示す図
【図7】初期補充処理のフローチャート
【図8】都度補充処理のフローチャート
【図9】別実施形態における制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る物品処理設備の実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、物品処理設備としてのピッキング設備には、作業用棚1と、物品補充装置としてのスタッカークレーン2と、保管用棚3とが設けられ、ピッキング設備では、ピッキング作業箇所Zにおいて作業者Xにより物品Bに収納されているピッキング対象物を取り出すピッキング作業が行われる。
【0032】
スタッカークレーン2は、図1及び図2に示すように、床面に敷設された走行レール9に沿って走行移動する走行台車10と、走行台車10の走行方向で前後に間隔を隔てて立設され、上端部が連結フレーム13にて連結された前後一対の昇降マスト11と、この一対の昇降マスト11に案内されて走行台車10上で昇降移動する昇降台12とを備えている。連結フレーム13には上部レール14の左右側面に当接するガイドローラ15が複数設けられており、スタッカークレーン2は、下部側を前記走行レール9に案内され、上部側を前記上部レール14にて案内された状態で、作業用棚1と保管用棚3との間に形成された移動用通路を往復移動自在に構成されている。
【0033】
昇降台12には、スタッカークレーン2の走行方向に互いに接近離間移動自在な一対の把持部16a・16bをスタッカークレーン2の左右方向に出退自在に備えたサイドクランプ式の移載装置16が設けられており、走行台車10の走行作動、昇降台12の昇降作動、及び、移載装置16の移載作動により、保管用棚3における各収納部に対する物品Bの入出庫及び作業用棚1における各棚部分Tの物品補充口Ginに対する物品Bの補充ができるようになっている。物品Bの入出庫及び補充は、決められた補充姿勢で行われる。つまり、スタッカークレーン2は、物品Bを作業用棚1の物品補充口Ginまで搬送して棚部分Tに補充姿勢で補充する。
【0034】
保管用棚3は、図1及び図2に示すように、棚前後方向に並ぶ一対の支柱17a・17bを棚横幅方向に間隔を隔てて立設して、棚横幅方向で隣接する支柱17同士を連結する横フレーム18を棚前後方向に多段に設け、一対の支柱17a・17bの間毎に、同じ段に位置する前後の横フレーム18に亘る棚板19を多段に設けて構成されている。こうして、保管用棚3は、棚板19上に物品Bを載置支持する状態で複数の物品Bを保管自在に構成されている。本実施形態のピッキング設備では、大きさの異なる複数種類の物品B1〜B6(図4参照)が扱われるため、保管用棚3には、大きさの異なる複数種類の物品B1〜B6が保管される。同じ大きさの物品Bは、同じ棚板19に保管される。各棚板19には物品Bを保管する保管位置が割り当てられており、これらの保管位置情報は、スタッカークレーン2の作動を管理する管理コントローラ8a(図3参照)により管理されている。
【0035】
作業用棚1は、図1及び図2に示すように、スタッカークレーン2の移動用通路とピッキング作業箇所Zとの間に位置するように配置されている。作業用棚1は、物品補充口Gin側の左右2箇所及び物品取出口Gout側の左右2箇所の4箇所を支柱20に連結支持されたローラ付き棚板21、及び、このローラ付き棚板21の物品取出口Gout側の端部に下向きに屈曲する状態で接続された延長部分21exを、上下及び左右に複数並べた自重式の流動棚にて構成されている。
【0036】
各ローラ付き棚板21及び延長部分21exは、棚左右方向で仕切り材22にて複数に区分され、物品Bの種類に対応して複数の棚部分Tが形成されている。各棚部分Tは、保管対象の物品Bとして予め設定された種類の物品Bを保管する。図1には、棚横幅方向でのある位置において上下に並ぶ棚部分Tである第1棚部分T1〜第4棚部分T4が示されている。図2には、第1棚部分T1を含む最上段のローラ付き棚板21及び延長部分21exの平面図が示されている。
【0037】
棚部分Tのローラ付き棚板21にて構成された部分は、物品補充口Ginから補充姿勢で補充された物品Bを、遊転ローラ上に支持した状態でその自重により物品取出口Goutまで一方向に搬送自在となっており、搬送部4として機能する。また、棚部分Tの延長部分21exにて構成された部分は、物品取出口Goutの搬送下流側にて物品Bを保持自在な保持部5として機能する。このようにして、作業用棚1は、搬送部4及び保持部5を備えた棚部分Tを、補充姿勢での棚奥行き方向の長さLが異なる複数種類の物品B別に複数並置させて構成されている。
【0038】
本実施形態では、前述の通り、大きさの異なる複数種類の物品B1〜B6の6種類の物品Bが扱われる。物品B1〜物品B6の6種類の物品のうち、補充姿勢での奥行き方向の長さが最大である物品Bは、図1及び図2に示すように、物品B4となっている。そして、管理コントローラ8a(図3参照)は、図4に示されている物品大きさ別長さ情報(L1〜L6)及び物品大きさ別幅情報(W1〜W6)を物品B毎に対応させて記憶手段に記憶して、これらの情報を管理している。
【0039】
また、図4に示すように、作業用棚1における棚部分Tの夫々と、各棚部分Tに保管される物品Bの種類との組み合わせが予め設定されている。これらの組み合わせ情報は、棚部分Tを区別する棚番号T1〜T6と対応して管理コントローラ8aの記憶手段に記憶されて、管理コントローラ8aにより管理されている。これにより、図1及び図2に示すように、同じ種類の物品Bは、同じ棚部分Tに保管される。例えば、図1に示すように、第1棚部分T1には、物品大きさ別長さがL1の物品B1が保管され、第2棚部分T2には、物品大きさ別長さがL2の物品B2が保管され、第3棚部分T3には、物品大きさ別長さがL3の物品B3が保管され、第4棚部分T4には、物品大きさ別長さがL4の物品B4が保管される。
【0040】
管理コントローラ8aは、組み合わせ情報として、ピッキング作業内容に応じて複数の組み合わせ情報を記憶している。これにより、ピッキング作業内容の変更により各棚部分Tに保管する物品Bが変更され、棚部分Tの夫々と各棚部分Tに保管される物品Bの種類との組み合わせが変更されても、その変更後の組み合わせに対応して、棚部分Tに保管対象の種類の物品Bを適切に補充することができるようになっている。
【0041】
また、図5に示すように、各棚部分Tの搬送部4の搬送経路の長さを示す棚部分別経路長さ情報が棚部分Tの棚番号情報と対応させた状態で管理コントローラ8aの記憶手段に記憶されており、これらの棚部分別経路長さ情報が管理コントローラ8aにより管理されている。各棚部分Tの搬送部4の搬送経路の長さは、同じ段のローラ付き棚板21に形成される棚部分Tであれば同じ長さになっており、図2にも示すように、最上段のローラ付き棚板21に形成された第1棚部分T1、第5棚部分T5〜第9棚部分T9が最も短くP1となっている。そして、図1に示すように、より下段に位置するローラ付き棚板21に形成された棚部分Tほど、搬送部4の搬送経路の長さが長くなっている。つまり、P1<P2<P3<P4という関係となっている。
【0042】
図1、図2及び図6に示すように、各棚部分Tの夫々における搬送部4の物品補充口Gin側の端部から設定距離Dだけ搬送下流側に位置する物品検出用箇所には、物品検出用箇所に位置する物品Bに対して検出光を照射してその反射の有無により物品Bの有無を検出して検出信号を出力する存否センサとしての満杯スイッチSが設けられている。したがって、搬送部4の搬送経路のうち物品取出口Gin側の端部から物品検出用箇所までの部分が物品Bにより満たされている満杯状態においては、最上流に位置する物品Bに検出作用して検出信号を連続して出力することになる。満杯スイッチSの検出信号は、図3に示すように、管理コントローラ8aに入力されている。
【0043】
設定距離Dは、満杯状態となったときにできるだけ多くの物品Bを棚部分に保管するためにも、できるだけ、物品補充口Gin側の端部に近づけることが望ましいが、満杯状態で物品Bが物品補充口Gin側の端部からはみでないように設定することも必要である。そこで、図1、図2及び図6(a)に示すように、設定距離Dは、補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品Bのうち補充姿勢での棚奥行き方向の長さが最大である最大物品B4の補充姿勢での棚奥行き方向の長さL4より長い距離に設定されている。これにより、満杯状態において、いずれの棚部分Tにおいても物品Bが物品補充口Gin側の端部からはみ出ることを防止できる。この設定距離Dを示す設定距離情報は、物品大きさ別長さ情報や棚部分別経路長さ情報と同様に、管理コントローラ8aの記憶手段に記憶されており、管理コントローラ8aにより管理されている。
【0044】
本ピッキング設備の制御構成は、図3に示すようなっている。すなわち、スタッカークレーン2の作動は、クレーンコントローラ8aにより制御されるが、スタッカークレーン2の作動内容を指令する運転指令は、管理コントローラ8aが物品補充処置を実行することにより生成し、クレーンコントローラ8bに対して出力される。
【0045】
管理コントローラ8aは、複数の満杯スイッチSの検出信号を、満杯スイッチSが設けられている棚部分Tとの対応関係を把握しながら互いに区別する状態で常時監視しており、満杯スイッチSからの検出信号が所定時間以上継続して入力されると当該満杯スイッチSが設けられている棚部分Tが満杯状態であると判別する。満杯スイッチSから検出信号が所定時間未満であるときには満杯状態であると判別しないのは、物品Bが物品検出用箇所を通過したときに満杯状態であると誤検出することを防止するためである。
【0046】
棚部分Tにおける物品補充口Ginに対する物品Bの補充は、棚部分Tにおける物品補充口Ginに対する物品Bの補充を要求する補充要求情報が発生した場合に行われる。すなわち、補充要求情報が発生すると、管理コントローラ8aが、物品補充処理を実行することで、当該補充要求情報に基づいて、補充対象の棚部分Tに補充すべき物品Bの種類を判別し、当該種類の物品Bを保管用棚3の収納部から出庫して補充対象の棚部分Tにおける物品補充口Ginに対して補充させるために必要なスタッカークレーン2の動作を指令する運転指令を生成し、スタッカークレーン2の作動を制御するクレーンコントローラ8bに対して当該運転指令を指令する。これにより、クレーンコントローラ8bにて、走行台車10の走行作動、昇降台12の昇降作動、及び、移載装置16の移載作動が制御され、補充対象の棚部分Tにおける満杯スイッチSが満杯状態を検出するまで当該種類の物品Bが補充される。
【0047】
このように、管理コントローラ8aが、棚部分Tの夫々にどの種類の物品Bを保管するかを管理するとともに、補充要求情報が発生すると、物品補充処理を実行してクレーンコントローラ8bに対して運転指令を指令し、クレーンコントローラ8bが、管理コントローラ8aからの運転指令に基づいてスタッカークレーン2の作動を制御する。つまり、管理コントローラ8a及びクレーンコントローラ8bにより管理制御手段8が構成されている。
【0048】
また、管理コントローラ8aは、補充要求発生手段としても機能する。すなわち、管理コントローラ8aは、ピッキング作業が開始される前の適切な時期に、空の作業用棚1の各棚部分Tに対してピッキング対象物を収容した複数種の物品Bを順次補充する初期補充要求情報を発生する。初期補充要求情報に含まれる複数の棚番号情報により、ピッキング作業で使用される棚部分Tが指定され、これらの使用予定の棚部分Tの全てが補充対象の棚部分Tとなる。管理コントローラ8aは、初期補充要求情報に基づいて、補充対象の棚部分Tの全てについて、各棚部分Tが保管対象とする種類の物品Bを当該棚部分Tの物品補充口Ginに補充するべく、スタッカークレーン2の複数の運転指令を生成する。
【0049】
さらに、本実施形態では、満杯スイッチSも補充要求発生手段としても機能する。すなわち、満杯スイッチSは、物品検出用箇所に保管されている物品Bを検出している状態から検出しない状態に変化したときに、都度補充要求情報を発生する。そして、管理コントローラ8aは、それまで入力されていた満杯スイッチSからの検出信号が入力されなくなると、都度補充要求情報が発生されたと判別する。いずれかの棚部分Tにおける満杯スイッチSから都度補充要求情報が発せられると、管理コントローラ8aは、複数の満杯スイッチSのいずれから出力された都度補充要求情報であるかを判別することで、補充対象の棚部分Tの棚番号を特定する。そして、当該満杯スイッチSが設けられている棚部分Tに対して、その棚部分Tが保管対象とする種類の物品Bを当該棚部分Tの物品補充口Ginに補充するべく、スタッカークレーン2の運転指令を生成する。
【0050】
以下、初期補充要求情報や都度補充要求情報に基づいて作業用棚1に対して物品Bが補充され、満杯状態となった場合の管理コントローラ8aの制御内容について説明する。
【0051】
管理コントローラ8aは、補充対象の棚部分Tについて、満杯スイッチSの検出情報に基づいて満杯状態を検出したときに、設定距離情報及び物品大きさ別長さ情報に基づいて、当該棚部分Tに対して補充対象の物品Bを追加補充可能か否か判別し、追加補充が可能であると判別した場合は、当該種類の物品Bを当該棚部分Tの物品補充口Ginに補充姿勢で追加補充するべく、スタッカークレーン2の作動を制御する追加補充処理を実行するように構成されている。
【0052】
また、管理コントローラ8aは、棚部分Tの夫々の搬送経路4の長さを示す棚部分別経路長さ情報を管理し、棚部分別経路長さ情報、設定距離情報及び物品大きさ別長さ情報に基づいて、満杯状態において当該棚部分Tにおける搬送経路のうち当該棚部分Tに保管されている最上流の物品Bよりも上流側に形成される空き部分の長さQを求めるように構成され、かつ、物品補充処理を実行することにより物品Bが補充された棚部分Tについて、満杯スイッチSの検出情報に基づいて満杯状態が検出されたときは、空き部分の長さQが、当該種類の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも長いか否か判別することにより当該棚部分Tに対して補充対象の物品Bを追加補充可能か否か判別するように構成されている。
【0053】
例えば、図6(a)に示すように、物品B4を保管対象とする第4棚部分T4が満杯状態である場合には、最上流の物品B4よりも上流側に位置する空き部分の長さQが、当該種類の物品B4の物品大きさ別長さ情報が示す長さL4よりも短いため、追加補充処理は実行されず、図6(a)に示す状態からさらに物品B4が補充されることはない。図6(b)に示すように、物品B2を保管対象とする第2棚部分T2が満杯状態である場合には、実線で示す最上流の物品B2よりも上流側に位置する空き部分の長さQが、当該種類の物品B2の物品大きさ別長さ情報が示す長さL2よりも長いため、追加補充処理が実行され、図6(b)で実線にて示す状態からさらに仮想線で示す物品B4が補充される。
【0054】
本実施形態では、管理コントローラ8aは、満杯スイッチSが満杯状態を検出したときに、その都度、その満杯スイッチSが設けられた棚部分Tについての満杯状態における空き部分の長さQを、その棚部分Tについての棚部分別経路長さ情報、設定距離情報及び物品大きさ別長さ情報に基づいて求めるように構成されている。
【0055】
例えば、図6(a)に示すように、物品B4を保管対象とする第4棚部分T4が満杯状態である場合には、最上流の物品B4よりも上流側に位置する空き部分の長さQは、第4棚部分T4の棚部分別経路長さP4、満杯スイッチSが設けられている位置から物品補充口Gin側端部までの距離である設定距離D、及び、物品B4の物品大きさ別長さL4から〔式1〕に基づいて求めることができる。
【0056】
Q=P1−L4×(INT((P1−D)/L4)+1) ・・・〔式1〕
「INT」は引数の値を超えない最大整数を返す整数化関数である。
【0057】
さらに、管理コントローラ8aは、棚部分別経路長さ情報、設定距離情報及び物品大きさ別長さ情報に基づいて求めた物品Bの種類に応じた空き部分の長さQと、物品大きさ別長さ情報とに基づいて追加補充可能な物品Bの個数Nを求めるように構成され、かつ、物品補充処理を実行することにより物品Bが補充された棚部分Tについて、満杯スイッチSにて満杯状態が検出されたときは、当該棚部分Tについての追加補充可能な物品Bの個数情報Nに基づいて、空き部分の長さQが、当該種類の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも長いか否か判別するように構成され、かつ、追加補充可能な物品の個数Nに対応する回数だけ追加補充処理を実行するように構成されている。
【0058】
例えば、図6(a)に示すように、物品B4を保管対象とする第4棚部分T4が満杯状態である場合には、追加補充可能な物品B4の個数Nは、満杯状態における第4棚部分T4の空き部分の長さQと、物品B4の物品大きさ別長さ情報とから〔式2〕に基づいて求めることができる。
【0059】
N=INT(Q/L4) ・・・〔式2〕
【0060】
そして、第4棚部分T4が満杯状態である場合には、N=0が得られるため、空き部分の長さQが、当該種類の物品B4の物品大きさ別長さ情報が示す長さL4よりも短いと判別され、かつ、追加補充可能な物品の個数Nに対応する回数がゼロ回であるから、追加補充処理は実行されない。図6(a)に示す状態からさらに物品B4が補充されることはない。
【0061】
図6(b)に示すように、物品B2を保管対象とする第2棚部分T2が満杯状態である場合には、上記〔式1〕及び〔式2〕からN=1が得られることから、実線で示す最上流の物品B2よりも上流側に位置する空き部分の長さQが、当該種類の物品B2の物品大きさ別長さ情報が示す長さL2よりも長いと判別され、追加補充可能な物品の個数Nに対応する回数が1回であるから、追加補充処理は1回だけ実行され、図6(b)に実線で示す状態から仮想線で示す物品B4が1個だけ追加補充される。
【0062】
図6(c)に示すように、物品B1を保管対象とする第1棚部分T1が満杯状態である場合には、上記〔式1〕及び〔式2〕からN=2が得られることから、実線で示す最上流の物品B1よりも上流側に位置する空き部分の長さQが、当該種類の物品B1の物品大きさ別長さ情報が示す長さL1よりも長いと判別され、追加補充可能な物品の個数Nに対応する回数が2回であるから、追加補充処理は2回実行され、図6(c)に実線で示す状態から仮想線で示す物品B4が2個追加補充される。
【0063】
ピッキング作業が開始される前の準備として、ピッキング対象物を収容した物品Bを各棚部分Tに補充するべく、管理コントローラ8aにより初期補充要求が発せられる。初期補充要求が発せられた場合に管理コントローラ8aにて実行される初期補充処理について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0064】
図7に示すように、#S1で初期補充要求が発生すると、#S2で、初期補充要求情報を構成する複数の補充要求情報の夫々に基づいて、#S2〜#S4で物品補充処理が実行される。#S2では、補充要求情報に含まれる棚番号情報から補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginの位置、補充対象の物品Bの種類、及び、この種類の物品Bが保管されている保管用棚3における収納部(在庫が複数ある場合は何れか)の位置が判別される。#S3で補充対象の種類の物品Bが保管されている保管用棚3の収納部に対してスタッカークレーン2の移載装置16を位置させ、当該物品Bを取り出す。その後、移載装置16にて物品Bを支持した状態で、補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginに対してスタッカークレーン2の移載装置16を位置させ、当該物品補充口Ginに対して補充対象の物品Bを補充する。
【0065】
#S4で、満杯スイッチSの検出情報に基づいて、補充対象の棚Tが満杯状態であるか否かを判別し、満杯状態でなければ、未だ物品Bが不足しているとして、満杯状態にするべく、#S3の処理が繰り返され、再び物品Bが補充される。
【0066】
#S4で満杯状態と判別された場合は、#S5で追加補充可能数Nを上記〔式1〕及び〔式2〕に基づいて算出する。算出した追加補充可能数NがN=0の場合(図6(a)に例示する状態)、補充対象の棚部分Tについての空き部分の長さQが、補充対象の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも短いと判別され、これにより、当該棚部分Tに対する補充対象の物品Bの追加補充は不可であると判別され、初期補充要求情報に基づく当該補充対象の棚部分Tに対する補充を終了する。
【0067】
#S5で算出された追加補充可能数Nが1以上である場合、補充対象の棚部分Tについての空き部分の長さQは、補充対象の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも長いと判別し、これにより、補充対象の物品Bの追加補充が可能であると判別して、#S7の追加補充処理が実行される。追加補充処理では、スタッカークレーン2の作動を制御することで、補充対象の物品Bが保管用棚3から取り出され、補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginに対して補充される。追加補充処理を1回実行することで、補充対象の棚部分Tに対して補充対象の物品Bが1つ追加補充される。
【0068】
追加補充処理を実行した後は、#S8で追加補充可能数Nがディクリメントされ、#S6で再びその値がチェックされる。ディクリメント後の追加補充可能数NがN=0であれば(図6(b)で仮想線で示す物品B2が補充された状態や、図6(c)で仮想線で示す2個の物品B1が補充された状態)、それ以上追加補充はできないとして、初期補充要求情報に基づく当該補充対象の棚部分Tに対する補充を終了する。ディクリメント後の追加補充可能数Nが1以上(図6(c)で仮想線で示す下流側の1個の物品B1が補充された状態)であれば、当該補充対象の棚部分Tに対して補充対処の物品Bの再度の追加補充が可能であるとして、#S7の追加補充処理が繰り返され、再び物品Bが追加補充される。
【0069】
このようにして、補充対象の棚部分Tに対して可能な限り繰り返して補充対象の物品Bが追加補充されることで、棚部分に可能な限り多数の物品Bが保管された状態とすることができる。
【0070】
ピッキング作業の進行により、満杯状態を形成している複数の物品Bのうち、搬送部4における最下流の物品Bが保管部5に移動することで、最下流から2番目の物品Bとその上流側の物品Bの全てが、搬送部4において搬送下流側に流動し、満杯スイッチSがオン状態からオフ状態に切り換わることで、都度補充要求が発せられる。都度補充要求が発せられた場合に管理コントローラ8aにて実行される都度補充処理について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0071】
図8に示すように、#T1で都度補充要求が発生すると、#T2で、都度補充要求情報に基づいて、#T2及び#T3で物品補充処理が実行される。#T2では、都度補充要求情報に含まれる棚番号情報から補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginの位置、補充対象の物品Bの種類、及び、この種類の物品Bの在庫が保管されている保管用棚3における収納部(在庫が複数ある場合は何れかが選択される。)の位置が判別される。#T3で補充対象の種類の物品Bが保管されている保管用棚3の収納部に対してスタッカークレーン2の移載装置16を位置させ、当該物品Bを取り出す。その後、移載装置16にて物品Bを支持した状態で、補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginに対してスタッカークレーン2の移載装置16を位置させ、当該物品補充口Ginに対して補充対象の物品Bを補充する。
【0072】
#T4で、満杯スイッチSの検出情報に基づいて、補充対象の棚Tが満杯状態であるか否かを判別し、満杯状態でなければ、何らかの異常が発生したとして#T9で異常発生通報処理が実行される。都度補充要求情報は、ピッキング作業の進行により満杯状態における最上流の物品Bが下流側に流動することで、オン状態であった満杯スイッチSがオフ状態に切り換わることで発生されることから、正常であれば都度補充要求に対して補充対象の物品Bを1個だけ補充すれば満杯状態に復帰するはずであることから、都度補充要求に対して物品Bを1個補充しても満杯状態にならないときは異常と判断するものである。
【0073】
#T4で満杯状態と判別(確認)された場合は、#T5で追加補充可能数Nを上記〔式1〕及び〔式2〕に基づいて算出する。算出した追加補充可能数NがN=0の場合(図6(a)に例示する状態)、補充対象の棚部分Tについての空き部分の長さQが、補充対象の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも短いと判別され、これにより、当該棚部分Tに対する補充対象の物品Bの追加補充は不可であると判別され、都度補充要求情報に基づく当該補充対象の棚部分Tに対する補充を終了する。
【0074】
#T5で算出された追加補充可能数Nが1以上である場合、補充対象の棚部分Tについての空き部分の長さQは、補充対象の物品Bの物品大きさ別長さ情報が示す長さLよりも長いと判別し、これにより、補充対象の物品Bの追加補充が可能であると判別して、#T7の追加補充処理が実行される。追加補充処理では、スタッカークレーン2の作動を制御することで、補充対象の物品Bが保管用棚3から取り出され、補充対象の棚部分Tの物品補充口Ginに対して補充される。追加補充処理を1回実行することで、補充対象の棚部分Tに対して補充対象の物品Bが1つ追加補充される。
【0075】
追加補充処理を実行した後は、#T8で追加補充可能数Nがディクリメントされ、#T6で再びその値がチェックされる。ディクリメント後の追加補充可能数NがN=0であれば(図6(b)で仮想線で示す物品B2が補充された状態や、図6(c)で仮想線で示す2個の物品B1が補充された状態)、それ以上追加補充はできないとして、都度補充要求情報に基づく当該補充対象の棚部分Tに対する補充を終了する。ディクリメント後の追加補充可能数Nが1以上(図6(c)で仮想線で示す下流側の1個の物品B1が補充された状態)であれば、当該補充対象の棚部分Tに対して補充対処の物品Bの再度の追加補充が可能であるとして、#T7の追加補充処理が繰り返され、再び物品Bが追加補充される。
【0076】
このようにして、補充対象の棚部分Tに対して可能な限り繰り返して補充対象の物品Bが追加補充されることで、棚部分に可能な限り多数の物品Bが保管された状態とすることができる。
【0077】
〔別の実施形態〕
(1)上記実施形態では、存否センサとしての満杯スイッチSが光電スイッチにて構成されたものを例示したが、これに代えて、満杯スイッチSを接触式のリミットスイッチで構成する等、存否センサの具体的構成は適宜変更可能である。
【0078】
(2)上記実施形態では、補充要求発生手段が、初期補充要求情報を発生する管理コントローラ8aや都度補充要求情報を発生する満杯スイッチSにて構成されたものを例示したが、補充要求発生手段が、棚部分Tにおける保持部5のピッキング箇所Z側の端部の夫々に設けられた人為操作具としての複数の補充ボタンRにて構成されたものであってもよい。この場合、図9に示すように、複数の補充ボタンRの出力信号の夫々が管理コントローラ8aに入力されることになる。管理コントローラ8aは、いずれかの棚部分Tにおける補充ボタンRが作業者Xにより押し操作されて補充要求情報が発せられると、複数の補充ボタンRのいずれから出力された信号であるかを判別することで、補充対象の棚部分Tの棚番号を特定し、補充要求情報を発生した補充ボタンRに対応する棚部分Tにおける物品補充口Ginに対して、その棚部分Tが保管対象とする物品Bを補充するべく、スタッカークレーン2の作動を制御することになる。
【0079】
(3)上記実施形態では、管理コントローラ8aが、物品Bを補充することにより補充対象の棚部分Tが満杯状態になったときに、その都度、空き部分の長さQや、追加補充可能数Nを算出するように構成されたものを例示したが、ピッキング作業の開始前等に、予め算出しておき記憶手段に記憶させるように構成されたものであってもよい。この場合、物品Bを補充することにより補充対象の棚部分Tが満杯状態になったときに、当該棚部分Tについての追加補充可能数Nを記憶手段から読み出すことになる。
【0080】
(4)作業用棚の構成は、上記実施形態で例示したものに限らず、例えば、搬送部と保持部が搬送方向で連続しているものや、搬送部に駆動コンベヤを備えたもの等、作業用棚の具体的構成は適宜変更可能である。
【0081】
(5)上記実施形態では、管理コントローラ8が満杯状態における空き部分の長さQに応じて追加補充処理を可能な限り繰り返すように構成されたものを例示したが、追加補充処理を実行する場合は、空き部分の長さQによらず1回限り実行するように構成されたものであってもよい。
【0082】
(6)上記実施形態では、物品補充装置がスタッカークレーンにて構成されたものを例示したが、物品補充装置の具体的構成は適宜変更可能である。
【0083】
(7)上記実施形態では、上下方向に並ぶ複数の棚部分の長さが夫々異なるものを例示したが、これらの複数の棚部分の全て又は一部のものどうしが同じ長さであってもよい。
【符号の説明】
【0084】
L1、L2、… 物品大きさ別長さ
P1、P2、… 棚部分別経路長さ
Gin 物品補充口
Gout 物品取出口
B 物品
T 棚部分
Q 空き部分の長さ
R 人為操作具、補充要求発生手段
S 存否センサ、補充要求発生手段
D 設定距離
1 作業用棚
2 物品補充装置
4 搬送部
5 保持部
8 管理制御手段
8a 補充要求発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品補充口から補充姿勢で補充された物品を物品取出口まで一方向に搬送自在な搬送部、及び、前記物品取出口の搬送下流側にて物品を保持自在な保持部を備えて、前記搬送部の搬送経路上に前記物品取出口から前記物品補充口側に向かって棚奥行き方向に複数の同じ大きさの物品を前記補充姿勢で隣接して並べた状態で保管する棚部分を、前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品別に複数並置させて構成された作業用棚と、
物品を前記作業用棚の前記物品補充口まで搬送して前記棚部分に前記補充姿勢で補充する物品補充装置と、
前記棚部分の夫々における前記搬送部の前記物品補充口側の端部から設定距離だけ搬送下流側に位置する物品検出用箇所に設けられ、前記物品検出用箇所において物品に検出作用して物品の存在を検出する存否センサと、
前記棚部分における前記物品補充口に対する物品の補充を要求する補充要求情報を発生する補充要求発生手段と、
前記棚部分の夫々にどの種類の物品を保管するかを管理し、前記補充要求発生手段にて前記補充要求情報が発生すると、当該補充要求情報に基づいて、補充対象の前記棚部分に補充すべき物品の種類を判別し、補充対象の前記棚部分における前記存否センサの検出情報に基づいて前記搬送部の前記搬送経路のうち前記物品取出口側の端部から前記物品検出用箇所までの部分が物品により満たされている満杯状態であることを検出するまで、当該種類の物品を補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御する物品補充処理を実行する管理制御手段とが設けられた物品処理設備であって、
前記管理制御手段が、前記物品検出用箇所についての前記設定距離を示す設定距離情報及び物品の前記補充姿勢での奥行き方向の長さを示す物品大きさ別長さ情報を管理し、前記物品補充処理において、補充対象の棚部分について、前記存否センサの検出情報に基づいて満杯状態を検出したときに、前記設定距離情報及び前記物品大きさ別長さ情報に基づいて、当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別し、追加補充が可能であると判別した場合は、当該種類の物品を当該棚部分の前記物品補充口に前記補充姿勢で追加補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御する追加補充処理を実行するように構成されている物品処理設備。
【請求項2】
前記管理制御手段が、前記棚部分の夫々の前記搬送経路の長さを示す棚部分別経路長さ情報を管理し、前記棚部分別経路長さ情報、前記設定距離情報及び前記物品大きさ別長さ情報に基づいて、前記満杯状態において当該棚部分における前記搬送経路のうち当該棚部分に保管されている最上流の物品よりも上流側に形成される空き部分の長さを求めるように構成され、かつ、前記物品補充処理を実行することにより物品が補充された前記棚部分について、前記存否センサの検出情報に基づいて満杯状態が検出されたときは、前記空き部分の長さが、当該種類の物品の前記物品大きさ別長さ情報が示す長さよりも長いか否か判別することにより当該棚部分に対して補充対象の物品を追加補充可能か否か判別するように構成されている請求項1記載の物品処理設備。
【請求項3】
前記設定距離が、前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが異なる複数種類の物品のうち前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さが最大である最大物品の前記補充姿勢での棚奥行き方向の長さより長い距離に設定されている請求項1又は2記載の物品処理設備。
【請求項4】
前記補充要求発生手段が、前記満杯状態において前記物品検出用箇所に位置している物品を前記存否センサが検出している状態から検出しない状態への変化情報を前記補充要求情報として発生するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項記載の物品処理設備。
【請求項5】
前記補充要求発生手段が、前記棚部分における前記保持部の夫々に対して設けられた人為操作具にて構成され、
前記管理制御手段が、前記補充要求情報を発生した前記人為操作具に対応する前記棚部分における前記物品補充口に対して物品を補充するべく、前記物品補充装置の作動を制御するように構成されている請求項1〜3の何れか1項記載の物品処理設備。
【請求項6】
前記作業用棚における前記棚部分の夫々と、各棚部分に保管される物品の大きさとの組み合わせが複数ある請求項1〜5の何れか1項記載の物品処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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