説明

物品包装ケース

【課題】 本発明は、物品の天面部及び胴部の遮蔽を出来るだけ小さくしつつ、物品が外れないように保持できる物品包装ケースを提供する。
【解決手段】 シート材から形成された物品包装ケース1に於いて、物品9の底部91を載せる底面壁2と、底面壁2の一側に連設された正面壁3であって物品9の胴部92を嵌め入れる開口枠部7が形成された正面壁3と、開口枠部7の一縁部から開口枠部7の開口中心側に延設された延出片5であって物品9の天面部93の一部分に接する延出片5と、を有し、正面壁3が、底面壁2に対して傾斜状に起立する傾斜面部31を有し、正面壁3の開口枠部7が、物品9の胴部92の後側上端部92aから前側下方部92bにかけて傾斜横断状に接するように形成され、延出片5が、胴部92の後側上端部92bに於いて、底面壁2と略平行に張り出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ状容器などの物品を保持するケースに関し、更に詳しくは、物品の胴部及び天面部を大きく露出させた状態で物品を保持できる物品包装ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の物品を包装ケースに包装し、これを販売することが行われている。
該物品としては、例えば、即席麺やヨーグルトなどが入れられたカップ状容器、ビールなどが充填された缶容器、化粧品を収納した容器などの各種容器である。この複数の物品を、紙や合成樹脂シートなどのシート材からなる包装ケースで外装している。
このような物品包装ケースとして、従来、断面四角形の筒状体の天板に、複数の打ち抜き孔を配列し、打ち抜き孔の周辺に、複数の突起片を突設し、突起片が内接する円弧上に、切り込みを形成している包装体が知られている(特許文献1の請求項1及び図4等)。
また、物品包装ケースとして、側板に三角状の嵌合穴を形成し、該嵌合穴からカップの胴部(大径部)が嵌め込まれたカップ包装用マルチパックが知られている(特許文献2の[0011]及び図4等)。
【0003】
特許文献1の包装体は、商品の出し入れが容易で、商品の蓋部のデザインを遮蔽しないという利点があるが、商品の胴部の周囲を保持するオーバーラップフィルムで外装していないと、搬送中に商品が外れる虞があるという問題点がある。
一方、特許文献2のマルチパックは、カップが外れる虞はないが、カップの天面部が遮蔽されているので、カップのデザインを消費者に見せることができない。さらに、該マルチパックにてカップを包装する作業を行う際には、所定形状に形成した展開状のシート材を用い、カップを包み込むように被包しつつ、該シート材を組み立てなければならない。この点、該包装作業専用の機械装置を設備していない場合には、手作業で包装作業を行わなければならないが、シート材の組み立てを手作業で行うことは煩雑となる。
【特許文献1】特開平8−324629号公報
【特許文献2】特開2005−219753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、物品の天面部及び胴部の遮蔽を出来るだけ小さくしつつ、物品が外れないように保持できる物品包装ケースを提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、上記第1の課題に加えて、物品を包装する際、シート材の組み立て作業を伴わない物品包装ケースを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の手段は、シート材から形成された物品包装ケースに於いて、物品の底部を載せる底面壁と、底面壁の一側に連設された正面壁であって物品の胴部を嵌め入れる開口枠部が形成された正面壁と、開口枠部の一縁部から開口枠部の開口中心側に延設された延出片であって物品の天面部の一部分に接する延出片と、を有し、正面壁が、底面壁に対して傾斜状に起立する傾斜面部を有し、正面壁の開口枠部が、嵌め入れる物品の胴部の後側上端部から胴部の前側下方部にかけて物品の胴部に傾斜横断状に接するように形成され、延出片が、物品の胴部の後側上端部に於いて、底面壁に対して略平行に張り出している上記物品包装ケースを提供する。
【0006】
かかる物品包装ケースは、開口枠部の形成された正面壁の該開口枠部に、物品の胴部を嵌め入れると共に、該嵌め入れた物品の後側上端部に於いて張り出した延出片を変形させ、該延出片を物品の天面部の上に載せることにより、物品を包装することができる。
このようにして包装された物品は、その底部が底面部に載せられ、物品の胴部が後側上端部から前側下方部にかけて傾斜横断状に接する開口枠部によって規制され、物品の天面部が延出片によって上方から係止されて規制される。従って、嵌め入れられた物品は、上記物品包装ケースから外れないように確実に保持される。
かかる物品包装ケースの正面壁は、その開口枠部が物品胴部の後側上端部から前側下方部に傾斜状に接している。従って、物品の胴部は、物品包装ケースの正面壁によって遮蔽される領域が小さくなる。よって、上記物品包装ケースを用いれば、物品の胴部のデザインを大きく露出させた状態で包装することができる。さらに、物品包装ケースの延出片は、物品の天面部の一部分に接するので、物品の天面部のデザインを大きく露出した状態で包装することができる。
【0007】
さらに、本発明の好ましい態様は、上記物品包装ケースは、シート材を筒状に形成し、扁平状に折り畳むことにより、上シート部と下シート部が重なった扁平体とされており、扁平体の上シート部に、前記正面壁が形成され、且つ、扁平体の下シート部に、前記底面壁が形成され、扁平体の上シート部を起こすことにより、正面壁が底面壁に対して傾斜状に起立すると共に、延出片が、底面壁に対して略平行に張り出し得る上記物品包装ケースを提供する。
【0008】
かかる物品包装ケースは、扁平状に折り畳まれているので、これを複数重ねても嵩張らず、保管及び運搬の便に優れている。
そして、物品を包装する際には、扁平体の上シート部を起こすことにより、正面壁が底面壁に対して傾斜状に起立すると共に、延出片が底面壁に略平行に張り出す。このように正面壁を起立させた後、上記と同様にして、開口枠部に物品を嵌め入れ、延出片を物品の天面部に載せることにより、物品を包装することができる。
従って、物品を包装する際、シート材の組み立て作業(接着剤による貼り合わせや、凹凸嵌合などの組み立て作業)を行う必要がなく、例えば、手作業でも物品を簡単に包装することができる。
【0009】
本発明の好ましい態様は、上記正面壁の開口枠部の縁全体が嵌め入れられる物品の胴部に当接するように、開口枠部が形成されている上記物品包装ケースを提供する。
上記開口枠部の縁全体が、嵌め入れられる物品の胴部に当接するように形成されている上記物品包装ケースは、物品の胴部と正面壁の間に隙間が生じない。このため、物品の位置ズレを防止できると共に、正面壁の傾斜面部の面積を大きくすることができる。
【0010】
本発明の好ましい態様は、上記シート材が、合成樹脂製シートを含む上記物品包装ケースを提供する。
シート材が合成樹脂製シートを含んで構成されている上記物品包装ケースは、物品を保持できる剛性を有し、また、物品を嵌め入れる際に適宜に撓むので好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る物品包装ケースは、物品が外れないように保持できると共に、物品の天面部及び胴部の遮蔽領域を出来るだけ小さくして物品のデザイン表示を大きく露出させて包装することができる。
従って、本発明の物品包装ケースは、物品のデザイン表示を消費者に十分に見せることができ、宣伝効果に優れ、販売促進用途に特に好適である。
また、本発明の物品包装ケースは、扁平体の状態で提供できるので、保管及び運搬に優れ、また、該扁平体を起き上がらせることにより、正面壁の開口枠部から物品を嵌め入れて保持することができる。
従って、シート材の組み立て作業を行わずに、簡易に物品を包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、同様の構成を示す用語の接頭語として、「第1」、「第2」などを付すが、これは、用語を区別するために付するものであり、部材の優劣、順序などを意味するものではない。また、方向を示す用語として、「上」は、物品包装ケースを自立させた状態を基準として、底面壁から上方へ離れる方向を指す。「下」は、物品包装ケースを自立させた状態を基準として、底面壁に近づく方向を指す。また、方向を示す用語として、「前」は、物品包装ケースを自立させた状態を基準として、底面壁と略平行な方向であって物品の胴部が露出する側を指す。「後」は、底壁面と略平行な方向であって、上記「前」と反対側を指す。
【0013】
図1に於いて、1は、物品を収容保持する物品包装ケースを示す。
本発明の物品包装ケース1は、1枚のシート材から形成されている。ただし、1枚とは、複数枚のシート材の側縁部が接着剤などで継ぎ合わされて1枚のシート状に形成されたものを含む意味である。
シート材としては、適度な可撓性(力を加えると変形し、解除すると元の形状に復元する性質)と剛性を有するシートが用いられる。シート材としては、例えば、厚紙、合成紙、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの各種合成樹脂製シート(合成樹脂シートの積層体を含む)、紙(合成紙を含む)と合成樹脂シートの積層体、その他の積層体などを用いることができる。シート材は、透光性を有するもの(透明又は半透明)、実質的に透光性を有しないもの、の何れを用いてもよい。透光性を有するシート材としては、透明又は半透明の合成樹脂シートが挙げられる。実質的に透光性を有しないシート材としては、厚紙などの紙(合成紙を含む)、アルミニウム箔などの金属箔が積層された合成樹脂シート、アルミニウムなどが蒸着された合成樹脂シートなどが挙げられる。また、実質的に透光性を有しないシート材としては、透明な合成樹脂シートに適宜な印刷を施したものでもよい。透光性を有するシート材を用いた場合には、物品のデザイン表示を、物品包装ケース1を介在させた状態でも視認できるので好ましい。一方、金属箔積層シートや金属蒸着シートなどの光沢性を有するシート材を用いた場合には、物品包装ケース1が光を反射して目立ち易くなり、宣伝広告効果に優れているので好ましい。
【0014】
透光性を有するシート材の具体例としては、厚み300μm〜700μm程度のポリエステル系シート、同厚みのポリオレフィン系シートなどが例示される。光沢性を有するシート材としては、厚み300μm〜700μm程度のアルミニウム蒸着ポリエステル系シートやポリオレフィン系シート、厚み500μm〜1mm程度のアルミニウム箔積層厚紙などが例示される。
上記シート材は、必要に応じて、適宜なデザイン印刷を施してもよいし、又、ラベルなどを貼付してもよい。もっとも、透光性を有するシート材で物品包装ケース1を構成した場合に於いて、物品のデザイン表示の全体を消費者に見せたい場合には、シート材には、デザイン印刷を施さないか、或いは一部限定的な領域にデザイン印刷を施すことが好ましい。
【0015】
本実施形態の物品包装ケース1は、物品の底部を載せる底面壁2と、底面壁2の一側に連設された正面壁3と、正面壁3の一側に連設され且つ底面壁2の他側に連設された背面壁4と、正面壁3の面内に形成された開口枠部7及び延出片5と、を有する。
底面壁2と正面壁3の境界には、第1折罫線61が形成されている。また、底面壁2の面内であって前記第1折罫線61の近傍には、第2折罫線62が形成されている。また、底面壁2と背面壁4の境界には、第3折罫線63が形成されている。正面壁3と背面壁4の境界には、第4折罫線64が形成されている。
各折罫線61〜64は、幅方向に形成され、且つそれぞれ平行に形成されている。
本発明に於いて、折罫線としては、例えば、シート材を厚み方向に断面略V字状に切り込んだハーフカット線、シート材を貫通する貫通孔が断続的に形成されたミシン目線などの公知の手段を用いることができる。
【0016】
正面壁3は、底面壁2に対して傾斜状に起立する傾斜面部31を有し、背面壁4は、底面壁2に対して略90度に起立している。この底面壁2、正面壁3及び背面壁4は、全体として側面視略扇形筒状を成している。
正面壁3の傾斜面部31は、前方向になだらかに膨らんだ円弧面状に形成されている。
また、正面壁3の傾斜面部31の面内には、物品の胴部が嵌め入れられる開口枠部7が形成されている。該開口枠部7は、図3に示すように、嵌め入れる物品9の胴部92の後側上端部92aから胴部92の前側下方部92bにかけて傾斜横断状に物品9の胴部92に接するように形成されている。
なお、「開口枠部7が物品の胴部に接する」とは、開口枠部7に嵌められた物品の胴部がぐらつかないように接しているという意味であり、開口枠部7を構成する縁全体がほぼ物品の胴部に当接している状態を含むほか、開口枠部7の縁が、所々スポット的に胴部に接している状態をも含む意味である。
中でも、開口枠部7を構成する縁全体がほぼ物品の胴部に当接していることが好ましく、例えば、円筒状の胴部を有する物品を包装する場合には、開口枠部7は、図示したように、延出片5が形成された部分を除き、正面視略楕円状(略卵状)に形成されていることが好ましい。
なお、本実施形態に於いては、2つの物品を纏めて包装するため、開口枠部7は、正面壁3の幅方向に並んで2個形成されている。
【0017】
この開口枠部7の一縁部には、開口枠部7に嵌め入れられる物品の後側上端部に於ける天面部に接する延出片5が設けられている。この延出片5は、正面壁3の上方側(第4折罫線64の近傍)に形成され、開口枠部7の開口中心側に向かって延設されている。該延出片5は、傾斜状に起立する傾斜面部31に対して傾斜し、且つ底面壁2に対して略平行に張り出している。延出片5の大きさは、物品の天面部の一部分に接し、開口枠部7と協働して物品を保持できるものであれば特に限定されないが、物品の天面部との接触面積ができるだけ小さくなるようにすることが好ましい。具体的には、延出片5の延出長さLは、物品の天面部の前後長さの1/10倍〜1/3倍程度、好ましくは1/10倍〜1/4倍程度、より好ましくは1/10倍〜1/5倍程度に形成される。
【0018】
また、開口枠部7に物品の胴部を嵌め入れつつ、延出片5を変形させて物品の天面部に載せる際、延出片5を物品の天面部に載せ易くする点から、延出片5の前端縁は、円弧状に形成されていることが好ましい。
【0019】
なお、81は、第1折罫線61の一部分(各開口枠部7に対応する位置)に形成された切り目を示し、82は、第3折罫線63の一部分(各開口枠部7に対応する位置)に形成された切り目を示す。この切り目81は、物品を嵌め入れた際、物品の底部の前側一部が嵌り込み、これを係止する部分であり、切り目82は、物品の底部の後側一部が嵌り込み、これを係止する部分である。
また、83は、背面壁4の幅方向中央上方部に形成された有端状(例えば略C字状)の切り目を示し、65は、この切り目83の両端部の間に形成された第5折罫線を示す。この切り目83で囲われた部分を内側へ押し込むことにより、その部分が第5折罫線65にて折り曲げられ、背面壁4に開口が形成される。この開口は、包装体の持ち手部となり、この開口に指を入れることにより、包装体の持ち運びが容易となる。
【0020】
上記物品包装ケース1は、図2に示すように、正面壁3の傾斜面部31の開口枠部7に、物品9の底部91側を入れ、開口枠部7に物品9の胴部92を嵌め入れると共に、該嵌め入れた物品9の後側上端部92aに於いて張り出した延出片5を上方向へ上げて変形させる。その後、物品9を押し込むことにより、延出片5が元の形状に復帰して、該延出片5が物品9の天面部93の上に載る。この嵌め入れ作業により、図3に示すように、物品9の底部91は、底面壁2に載せられ、物品9の胴部92は、その後側上端部92aから前側下方部92bにかけて傾斜横断状に接する開口枠部7によって規制され、物品9の天面部93は、その後側上端部92aの一部分に於いて接する延出片5によって規制される。従って、嵌め入れられた物品9は、その底部91、胴部92及び天面部93が規制され、上記物品包装ケース1から外れないように確実に保持される。
【0021】
かかる物品包装ケース1の正面壁3は、その開口枠部7が物品9の胴部92の後側上端部92aから前側下方部92bに傾斜状に接している。従って、物品9の胴部92は、物品包装ケース1の正面壁3によって隠される領域が小さく、胴部92が大きく露出されている。さらに、物品9の天面部93は、延出片5が接する領域を除いて、大きく露出している。
よって、上記物品包装ケース1は、物品9を確実に保持できる上、物品9のデザイン表示を出来るだけ隠さずに、大きく露出させた状態で包装することが可能となる。
また、本発明の物品包装ケース1は、図1に示すように、正面壁3を起立させた状態で、物品を嵌入保持させることができる。従って、機械装置で物品の包装作業を行えるほか、手作業で物品の包装作業を行うこともできる。
【0022】
本発明の物品包装ケース1に包装される物品は、特に限定されず、例えば、即席麺、即席スープ、アイスクリーム、プリン、ヨーグルトなどの各種食品、化粧品、サニタリー品、おもちゃなどの各種内容物が入れられたカップ状容器、ビールなどの各種液状物が充填された缶容器などの柱状容器などが挙げられる。
【0023】
次に、図4は、上記物品包装ケース1を構成する展開シート10を示す。
該展開シート10は、略矩形状の1枚のシート材からなる。展開シート10は、第1の矩形面部11(組み立てた際に正面壁3となる部分である)と、第1の矩形面部11の一辺に第1折罫線61を介して連設され、且つ該第1の矩形面部11よりも小面積の第2の矩形面部12(組み立てた際に底面壁2の一部となる部分である)と、第1の矩形面部11の他辺に第4折罫線64を介して連設され、且つ該第1の矩形面部11よりも小面積の第3の矩形面部13(組み立てた際に背面壁4となる部分である)と、第3の矩形面部13の一辺に第3折罫線63を介して連設された第4の矩形面部14(組み立てた際に底面壁2の一部となる部分である)と、を有する。
【0024】
また、第1の矩形面部11の面内を打ち抜くことにより、上記開口枠部7及び延出片5がそれぞれ形成されている。
さらに、該第1折罫線61の中途部に、切り目81,81が形成されている。
また、第2の矩形面部12の面内であって第1折罫線61の近傍位置に、第2折罫線62が幅方向直線状に形成されている。この第2折罫線62は、物品包装ケース1を扁平状に折り畳む際の折り目として利用できる罫線である。該第2折罫線62の形成位置は、正面壁3の大きさなどに応じて適宜設定することができる。なお、場合によっては、例えば、第1折罫線61に於いて折り曲げて扁平状に形成することもできるので、該第2折罫線62を省略(第2折罫線62を第1折罫線61と兼用)することもできる。
【0025】
さらに、第3折罫線63の中途部に切り目82,82が形成されている。また、第3の矩形面部13の面内には、幅方向直線状に第5折罫線65が形成され、該第5折罫線65の両端部から、略C字状に切り目83が形成されている。
【0026】
上記展開シート10は、第2の矩形面部12の一辺側と第4の矩形面部14の一辺側を、接着剤などを用いて接合して筒状に形成し、各折罫線61,63,64にて折り曲げることにより、正面壁3が底面壁2に傾斜状に起立した上記物品包装ケース1を形成できる。
また、上記展開シート10は、上記と同様にして筒状に形成した後、扁平状に折り畳んだ扁平体に形成することもできる。
詳しくは、展開シート10の第2の矩形面部12の一辺側と第4の矩形面部14の一側を、接着剤などを用いて接合し、展開シート10を筒状に形成した後、該筒状体を折罫線(例えば第2折罫線62と第4折罫線64)に於いて扁平状に折り畳んで扁平体を形成する。
形成された扁平体8は、図5に示すように、底面壁2及び背面壁4を構成する下シート部85の上に、底面部2の一部及び正面壁3を構成する上シート部86が重なった扁平状となる。
【0027】
この扁平体8の上シート部86を起こすことにより、第3折罫線63に於いて下シート部85が谷折りされると共に、及び第1折罫線61に於いて上シート部86が山折りされて、図1に示すような、物品包装ケース1が形成される。
事後、かかる物品包装ケース1の開口枠部7に、上記と同様にして、物品9を嵌め入れることにより、包装体を得ることができる。
【0028】
なお、本発明は、上記実施形態の物品包装ケースに限られず、適宜設計変更できる。以下、本発明の変形例を示すが、主として上記実施形態と異なる構成について説明し、同様の構成については、説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
上記実施形態では、物品包装ケース1は、正面壁3の幅方向に2個の物品を保持できるものを例示しているが、本発明の物品包装ケース1に保持される物品の数は、2個に限定されず、3個以上保持できるように、3箇所以上の開口枠部7を形成してもよい。また、本物品包装ケース1は、1個の物品を保持するように構成されていてもよい。
【0029】
さらに、物品包装ケース1を、変形可能又は分割可能に構成することもできる。例えば、図6に示すように、第1物品包装ケース1’と第2物品包装ケース1”が、背面壁4に於いて回動可能に連設された物品包装ケース1などが例示される。
【0030】
具体的には、該物品包装ケース1は、幅方向に複数(例えば4個)の物品を保持できるように、正面壁3に、4個の開口枠部7が形成されている。正面壁3及び底面壁4は、正面壁3及び底面壁2の幅方向中央部に於いて、幅方向と直交する方向に切断されている。この切断部の左側に、2個の物品を保持できる第1物品包装ケース1’が構成され、切断部の右側に第2物品包装ケース1”が構成されている。この第1物品包装ケース1’と第2物品包装ケース1”は、背面壁4に於いて連設されている。また、必要に応じて、背面壁4の境界部に、第6折罫線66を形成してもよい。この変形例に係る物品包装ケース1は、背面壁4の境界部(第6折罫線66)をヒンジ部として、第2物品包装ケース1”をX方向に回動させることにより、図7(a)に示すように、第1物品包装ケース1’と第2物品包装ケース1”を幅方向に並列させることができる。さらに、第2物品包装ケース1”をY方向に回動させることにより、図7(b)に示すように、第1物品包装ケース1’の背面壁と第2物品包装ケース1”の背面壁を重ね合わせた態様に変形できる。
さらに、背面壁4に形成した第6折罫線66を、切断容易な線(例えば、貫通孔の長いミシン目線)で形成することにより、必要に応じて、第1物品包装ケース1’と第2物品包装ケース1”を分割することもできる。
【0031】
また、上記実施形態では、物品包装ケース1は、背面壁4が設けられているが、本発明の物品包装ケース1は、背面壁4を有しないものでもよい。
このような物品包装ケース1は、例えば、図8に示すように、正面壁3が、背中合わせに一対設けられ、該一対の正面壁3の一側に底面壁2が連設されているものが例示される。
【0032】
具体的には、この物品包装ケース1は、物品9の底部91を載せる底面壁2と、底面壁2の一側に連設された第1正面壁3’と、底面壁2の他側に連設された第2正面壁3”と、を有し、第1正面壁3’と第2正面壁3”は、上方で連設されている。
第1正面壁3’は、上記実施形態と同様に、底面壁2に対して傾斜状に起立する傾斜面部31を有し、該傾斜面部31に、開口枠部7が形成されている。この開口枠部7の一縁部に、物品9の天面部93に接する延出片5が延設されている。
第2正面壁3”は、傾斜面部31の向きが第1正面壁3’と反対に形成されていることを除いて、第1正面壁1’と同様の構成である。
第1正面壁3’及び第2正面壁3”が連設されてなる正面壁は、側面視ドーム状に傾斜して底面壁2から起立している。
【0033】
かかる変形例の物品包装ケース1は、上記実施形態と同様にして、第1正面壁3’及び第2正面壁3”の各開口枠部7から物品9を嵌め入れ、延出片5にて係止することにより、複数(例えば4個)の物品9を包装できる。
【0034】
次に、図9は、図8に示す物品包装ケース1を構成する展開シート10を示す。
該展開シート10は、略矩形状の1枚のシート材からなる。展開シート10は、第5の矩形面部15(組み立てた際に一対の正面壁3’,3”となる部分である)と、第5の矩形面部15の一辺に第7折罫線67を介して連設され、且つ該第5の矩形面部15よりも小面積の第6の矩形面部16(組み立てた際に底面壁2の一部となる部分である)と、第5の矩形面部15の他辺に第7折罫線67を介して連設され、且つ該第5の矩形面部15よりも小面積の第7の矩形面部17(組み立てた際に底面壁2の一部となる部分である)と、を有する。
【0035】
また、第5の矩形面部15の面内を打ち抜くことにより、上記開口枠部7及び延出片5がそれぞれ形成されている。
さらに、該第7折罫線67の中途部に、切り目84,84が形成されている。
また、第5の矩形面部15の面内であって第7折罫線67の近傍位置に、第8折罫線68が幅方向直線状にそれぞれ形成されている。この第8折罫線68は、変形例の物品包装ケース1を扁平状に折り畳む際の折り目となる罫線である。
【0036】
上記展開シート10は、第6の矩形面部16の下辺側と第7の矩形面部17の上辺側を所定幅、接着剤などを用いて接合して筒状に形成し、第7折罫線67,67にて折り曲げることにより、図8に示す包装ケース1を形成できる。
また、上記展開シート10は、上記と同様にして筒状に形成した後、扁平状に折り畳んだ扁平体に形成することもできる。すなわち、展開シート10は、筒状に形成した後、例えば、第8折罫線68,68にて扁平状に折り畳んだ扁平体8に形成することもできる(図10参照)。この扁平体8についても、上記実施形態と同様に、上シート部86を起こすことにより、一対の正面壁3’,3”が傾斜状に起立した物品包装ケース1を形成できる。
【0037】
さらに、上記実施形態では、円筒状の胴部を有する物品を保持する物品包装ケース1を例示したが、例えば、四角柱状の胴部、三角柱状、六角柱状などの胴部を有する物品を保持することも可能である。図11は、四角柱状の胴部92を有する物品9を保持する物品包装ケース1の一例を示し、図12は、該物品包装ケース1を構成する展開シート10を示す。この場合、開口枠部7の縁全体が、該物品9の胴部92に当接するように、開口枠部7は、延出片5の形成部分を除いて、略台形状に形成されていることが好ましい。なお、図12に於いて、一点鎖線は折罫線を示している。
【0038】
また、上記実施形態では、正面壁3の傾斜面部31は、その全体が円弧面状に形成されているが、正面壁3の傾斜面部31の全体が、平面状に形成されていてもよい。もっとも、消費者の注意を惹きやすい正面壁3に於ける傾斜面部31が、円弧面状部分を有する場合には、包装体の見栄えが良くなるので好ましい態様である。
また、正面壁3の傾斜面部31が、複数の傾斜面が連設されて構成されていてもよい(傾斜面部31の一部分が、屈曲している)。かかる変形例の物品包装ケース1は、例えば、図13(a)に示すように、正面壁3の上下方向中央部に幅方向に伸びる折罫線Aを形成し、該折罫線Aを基準にして、上方領域が平面状の第1傾斜面31’とされ、下方領域が平面状の第2傾斜面31”とされ、第1傾斜面31’及び第2傾斜面31”から傾斜面部31が構成されているものが例示できる。また、図13(b)に示すように、折罫線Aを基準にして、上方領域が平面状の第1傾斜面31’とされ、下方領域が円弧面状の第2傾斜面31”とされていてもよい。
【0039】
さらに、上記実施形態では、1枚のシート材を筒状に成形する際、底面壁2に接合部分(例えば、糊代部分)が形成されているが、接合部分は、底面壁2に形成するものに限られず、背面壁4や正面壁3に接合部分を形成することもできる。また、シート材の接合は、糊代部分を接着剤で貼り合わす手段に限られず、その他の公知の手段を用いることができる。公知の接合手段としては、例えば、一方の壁に係合用の切込みを形成し、且つ他方の壁に該切込みに挿入して抜脱不能に係合される係合用の鉤状片を形成することが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の物品包装ケースの一実施形態を示す斜視図。ただし、折罫線を一点鎖線で示す場合がある(以下、各図も同様)。
【図2】同物品包装ケースに物品を嵌め入れる際の状態を示す斜視図。ただし、容器は、二点差線で示す(以下、各図も同様)。
【図3】(a)は、同物品包装ケースに物品が包装された状態(包装体)を示す斜視図、(b)は、同側面図。
【図4】同物品包装ケースを構成する展開シートを示す平面図。
【図5】同物品包装ケースを構成する扁平体を示す平面図。
【図6】他の実施形態に係る物品包装ケースを示す斜視図。
【図7】(a)は、同物品包装ケースを変形させた一例を示す平面図、(b)は、同物品包装ケースを変形させた他例を示す側面図。
【図8】他の実施形態に係る物品包装ケースを示す斜視図。
【図9】同物品包装ケースを構成する展開シートを示す平面図。
【図10】同物品包装ケースを構成する扁平体を示す平面図。
【図11】他の実施形態に係る物品包装ケースを示す斜視図。
【図12】同物品包装ケースを構成する展開シートを示す平面図。
【図13】(a)、(b)ともに、他の実施形態に係る物品包装ケースを示す側面図。
【符号の説明】
【0041】
1…物品包装ケース、2…底面壁、3…正面壁、4…背面壁、5…延出片、61〜65…折罫線、7…開口枠部、8…扁平体、85…下シート部、86…上シート部、9…物品、91…物品の底部、92…物品の胴部、92a…胴部の後側上端部、92b…前側下方部、93…物品の天面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材から形成された物品包装ケースに於いて、
物品の底部を載せる底面壁と、底面壁の一側に連設された正面壁であって物品の胴部を嵌め入れる開口枠部が形成された正面壁と、開口枠部の一縁部から開口枠部の開口中心側に延設された延出片であって物品の天面部の一部分に接する延出片と、を有し、
正面壁が、底面壁に対して傾斜状に起立する傾斜面部を有し、正面壁の開口枠部が、嵌め入れる物品の胴部の後側上端部から胴部の前側下方部にかけて物品の胴部に傾斜横断状に接するように形成され、延出片が、物品の胴部の後側上端部に於いて、底面壁に対して略平行に張り出していることを特徴とする物品包装ケース。
【請求項2】
前記物品包装ケースは、シート材を筒状に形成し且つ扁平状に折り畳むことにより、上シート部と下シート部が重なった扁平体とされており、
扁平体の上シート部に、前記正面壁が形成され、且つ、扁平体の下シート部に、前記底面壁が形成され、扁平体の上シート部を起こすことにより、正面壁が底面壁に対して傾斜状に起立すると共に、延出片が、底面壁に対して略平行に張り出す請求項1に記載の物品包装ケース。
【請求項3】
正面壁の開口枠部の縁全体が嵌め入れられる物品の胴部に当接するように、開口枠部が形成されている請求項1または2に記載の物品包装ケース。
【請求項4】
シート材が、合成樹脂製シートを含む請求項1〜3のいずれかに記載の物品包装ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−155925(P2008−155925A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343929(P2006−343929)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】