説明

物品包装体

【課題】アクセサリーなどの小物品を簡便にラッピング(包装)してそのまま展示・陳列さらには郵送することのできる物品包装体を得ることを目的とする。
【解決手段】物品包装体を所定厚の板状緩衝材とこの緩衝材のラッピング材とで形成するとともにこれらの部材に環境に優しい、例えば、廃棄紙やリサイクルが可能なエコロジー資材を使用し、さらに板状緩衝材の一部に物品の収容保持スペースを所望に応じて設けることにより構成する。この物品包装体ではラッピング材自体を定形封筒部材として形成したり、ラッピング材を別体の定形封筒部材に収容することによりそのまま郵送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は物品包装体に関するものであり、一層詳細には、物品を簡便にラッピング(包装)してそのまま展示もしくは陳列さらには郵送することのできる物品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アクセサリー、民芸品などの小物品の包装に際しては、合成樹脂製の小さな袋体や紙製箱体などが使用されている。
そしてこれらの物品を郵送する場合には対象となる物品を封筒に直に封入したり、あるいは適当な包装体に入れたのち封筒に入れて送っているが、輸送中に傷がついたり破損して物品の価値が低下するなどの不都合があった。
このような事情から、封筒に発泡スチロール、気泡シートなどを裏打ちした緩衝封筒(特許文献1)、気泡シート自体をシュリンク包装したのちこれを封筒に入れるようにした包装体(特許文献2)、袋体の内部に真空パックされた収縮状態のパック袋を配置して緩衝材を省略するようににした包装体(特許文献3)など種々の包装体が提案され需要者の便宜に供されている。
【0003】
【特許文献1】 特開2004−352253号、
【特許文献1】 特開2003−2368号、
【特許文献1】 実開平6−18252号、
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、これらの包装体は、製造コストが嵩むだけでなく、素材の処理や廃棄の面からみると環境への配慮に乏しく、さらにはこの包装体を商品として考えた場合も陳列の状況まで配慮したものは皆無であり、需要者とっても物品を気軽に包装したり簡便に郵送できるような包装体はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで発明者は、アクセサリー、民芸品などの小物品を簡便に包装できるだけでなく環境にも優しい安価な物品包装体を得るべく鋭意研究を重ねた結果、請求項1では物品包装体を所定厚の板状緩衝材とこの緩衝材のラッピング材とで形成するとともに前記板状緩衝材およびラッピング材として環境に優しい、例えば、廃棄紙やリサイクルが可能なエコロジー資材を使用し、さらには板状緩衝材の一部に物品の収容保持スペースを所望に応じて設けることにより構成することを特徴とするものである。
この場合、板状緩衝材の一部に設ける物品の収容保持スペースは、緩衝材に予め設けた所定形状のミシン目に沿ってその一部を切除することにより形成するのが好適である。
【0006】
請求項2では、ラッピング材を透光性合成樹脂で形成するとともにその一側部に支持スタンド部を形成する切込みを設け、さらにこのラッピング材と板状緩衝材との間に物品の説明および/もしくはメッセージの記載部を有するシート部材を介挿することにより構成し、物品の説明および/もしくはメッセージの記載部は大豆油を使用した環境に優しいソイインクなどを使用して印刷するものである。
【0007】
請求項3では、物品の説明および/もしくはメッセージの記載部は、介挿シート部材を使用せずにラッピング材に直接印刷するものであり、この場合も環境に優しいソイインクなどを使用する。
【0008】
請求項4では、ラッピング材自体を好ましくは定形の郵送用封筒部材として形成するものである。
【0009】
請求項5では、ラッピング材を別体に形成した環境に優しい素材からなる好ましくは定形の郵送用封筒部材に収容するものである。
【0010】
請求項6では、前述の郵送用封筒部材の一部を延設して、例えば、懸吊穴などを形成した陳列時用支持片を設けるものである。
【0011】
さらに請求項7では、郵送用封筒部材を別体に形成した環境に優しい素材からなる陳列用袋体に収容するとともにこの陳列用袋体の一部に、例えば、懸吊穴などを形成した支持片を設けるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る物品包装体によれば、環境に優しい資材で形成したので廃棄やリサイクルが容易となるだけでなく、物品の形状や厚みなど嵩高に応じて所要の物品収容保持スペースを設けることができるので様々な物品の包装を簡便に行うことができるものである。
【0013】
また、ラッピング材を透光性合成樹脂で形成するとともにその一側部に支持スタンド部を形成する切込みを設け、さらにこのラッピング材と板状緩衝材との間に物品の説明および/もしくはメッセージの記載部を有するシート部材を介挿したので、例えば、写真や絵葉書なども好適に包装かつ展示することが可能となるものである。
【0014】
なお、ラッピング材に物品の説明および/もしくはメッセージの記載部を直接印刷した場合は、製造コストの低減を図ることができる。
また、印刷インクも石油系の有機溶剤に代替して大豆油を原料とするソイインクなどを使用するのでVOC(揮発性有機物)などの発生を極力抑えて環境に優しくリサイクルにも好適である。
【0015】
さらに、ラッピング材自体を定形の郵送用封筒部材として形成したので構造の簡略化とともに製造コストの低減を図ることができ、特にこの郵送用封筒部材の郵送料金を予納などのシステムとして構成すれば郵便事業への寄与や増大を図ることができるだけでなく、需要者にとっても物品をより簡便に郵送することができるものである。
【0016】
一方、ラッピング材を別体に形成した定形の郵送用封筒部材に収容した場合は、製品としてのクオリティを向上することができる。
【0017】
さらに、郵送用封筒部材の一部を延設して懸吊穴などを形成した陳列時用の支持片を設けたので、そのまま商品として陳列することもできる。
【0018】
さらにまた、郵送用封筒部材を別体に形成した陳列用袋体に収容するとともにこの陳列用袋体の一部に懸吊穴などを形成した支持片を設けたので、クオリティの向上化とともに商品としての陳列を好適に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明に係る物品包装体の最良の実施の形態を例示し、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0020】
図1および図2において、本発明に係る物品包装体10は、アクセサリー、民芸品、植物の種などの小物品Aを収容するための、例えば、第一種郵便物の定型郵便で規定されるサイズより一回り程度小さい寸法に設定した板状緩衝材12を備えている。
【0021】
この板状緩衝材12は、例えば、廃棄された事務用紙、廃棄葉書などをリサイクルした環境に優しい素材を使用し、充分な緩衝機能を有する板状体として形成されており、収容する物品Aの嵩などに応じてミシン目14により不要部分12aを適宜切除することにより所望の収容スペース16を形成できるように構成されている。
【0022】
前記板状緩衝材12は、好ましくは透明でかつある程度の硬度を備えるポリエチレンテレフタレート(PET)などリサイクル可能な合成樹脂材で形成したラッピング材としての箱型スリーブ18に収容されており、この箱型スリーブ18と板状緩衝材12との間、すなわち、板状緩衝材12の表面および裏面には、物品Aの説明文などを記載した説明シート20およびメッセージシート22が介挿されている。
また、説明シート20には、図示されていないが、透明のスリーブ18を介して物品Aを確認もしくは鑑賞できるように所定形状の窓部を設けるのが好ましい。
【0023】
なお、説明シート20およびメッセージシート22などの印刷に使用するインクは、例えば、石油系の有機溶剤に代替して大豆油を使用することにより揮発性有機物(VOC)の発生を極力抑え、リサイクルにも優しいソイインクなどを使用するのが好適である。
また、これらの説明シート20およびメッセージシート22は所望に応じて適宜挿入して使用すればよく、箱型スリーブ18にソイインクで直接印刷する構成を採用すればこれらのシートを省略することができることは言うまでもない。
【0024】
一方、前記箱型スリーブ18の背面には、図3に示すように、所定形状の切込み24を設けて、この切込み24を立ち起こすことにより、支持スタンド部26を形成できるように構成すれば、物品Aが写真や絵葉書などの場合にはそのままディスプレイとしても使用することができる。
【0025】
このようにして物品Aを収容した板状緩衝材12をラッピングした箱型スリーブ18は、ポリプロピレン(PP)樹脂などの合成樹脂シートを使用して定型郵便物のサイズに形成した封筒袋28に収容される。なお、この封筒袋28は少なくともその表側をマット仕様として宛名などを書けるように形成するとともに折り返しのベロ片30には剥離紙を有する糊面32を設けておく。
【0026】
さらに前記封筒袋28は、同様にポリプロピレン(PP)樹脂などの合成樹脂シートで形成した陳列用袋体34に収容され、ベロ片36を折り返してその開口部38を閉塞したのち、支持片40の懸吊穴42を介して適所に懸吊展示されるように構成されている。
【0027】
このように構成される本発明に係る物品包装体10においては、板状緩衝材12の収容スペース16に収容された物品Aは箱型スリーブ18に挿着された状態で、図3に示すようにディスプレイとして使用されたたり、あるいはそのまま封筒袋28に封入されて郵便物として郵送されたり、さらには商品としては陳列用袋体34の状態で陳列展示されるものである。
【0028】
なお、図4は、ラッピング材としての箱型スリーブ18自体を定型郵便物のサイズに形成した別の実施の形態であるが、この場合は構成材の減少により製造コストを抑えることができるものである。
また、この場合、図示のように、箱型スリーブ18の一部にベロ片30を設けて物品Aを収容した板状緩衝材12を封止できるように構成することは言うまでない。
【0029】
一方、図5は、封筒袋28の頂部にミシン目を介して支持片40を延設するとともにこの支持片40に懸吊孔42を設けることにより、封筒袋28に陳列用袋体の機能を付加したさらに別の実施の形態であるが、この場合も構成材の減少により製造コストを低減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る物品包装体の最良の実施の形態を示す分解説明斜視図である。
【図2】図1に示す物品包装体の拡大横断面説明図である。
【図3】図1に示す物品包装体の箱型スリーブの別の実施の形態を示す斜視図である。
【図4】ラッピング材としての箱型スリーブを定形郵便体として構成した場合の本発明に係る物品包装体の実施の形態を示す一部切欠説明斜視図である。
【図5】封筒袋に陳列用袋体としての機能を付加した場合の本発明に係る物品包装体の実施の形態を示す一部切欠説明斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
10…物品包装体、
12…板状緩衝材(12a…不要部分)
14…ミシン目、
16…収容スペース、
18…箱型スリーブ、
20…説明シート、
22…メッセージシート、
24…切込み、
26…支持スタンド部、
28…封筒袋、
30…ベロ片、
32…糊面32、
34…陳列用袋体、
36…ベロ片、
38…開口部、
40…支持片、
42…懸吊孔、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を包装する物品包装体であって、この包装体は所定厚の板状緩衝材とこの緩衝材のラッピング材とからなり、これらの構成材をエコロジー資材で形成するとともに前記板状緩衝材の一部に物品の収容保持スペースを所望に応じて形成し得るよう構成することを特徴とする物品包装体。
【請求項2】
ラッピング材を透光性合成樹脂で形成するとともにその一部に支持スタンド部を形成する切込みを設け、さらにこのラッピング材と板状緩衝材との間に物品の説明および/もしくはメッセージの記載部を有するシート部材を介挿することからなる請求項1に記載の物品包装体。
【請求項3】
物品の説明および/もしくはメッセージの記載部は、印刷によりラッピング材に設けてなる請求項2に記載の物品包装体。
【請求項4】
ラッピング材を郵送用封筒部材として形成することからなる請求項1ないし3のいずれかに記載の物品包装体。
【請求項5】
ラッピング材を郵送用封筒部材に収容することからなる請求項1ないし3のいずれかに記載の物品包装体。
【請求項6】
郵送用封筒部材の一部を延設して陳列時用の支持片を形成することからなる請求項4または5に記載の物品包装体。
【請求項7】
郵送用封筒部材を陳列用袋体に収容し、この陳列用袋体の一部に支持片を形成することからなる請求項4または5に記載の物品包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−331834(P2007−331834A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187191(P2006−187191)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(501249696)ニックスジャパン株式会社 (2)
【Fターム(参考)】