説明

物品担持織物用織機及び製織方法

【課題】本発明は、複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を正確に位置合せして緯入れすることで多数の物品を担持した織物を効率よく製織することを可能とする。
【解決手段】物品担持用織機は、複数の経糸Aをビーム10から配列して送り出し経糸Aを開口機構14により開口させ、緯糸Bをボビン20より給糸して開口された経糸Aの間にレピアヘッド22により緯入れし緯糸Bを経糸Aの間に筬25により筬打ちして織成する。所定本数の緯糸Bを織成した後、複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸Cをリール30から給糸して開口された経糸Aの間にレピアヘッド40により緯入れし複合糸Cを打ち込みグリッパ37により打ち込む。その際に給糸される複合糸Cの物品を検知センサ38により検知し、複合糸Cの物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の物品を多数担持する織物を織成する織機及び製織方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線IDタグ等の電子部品の小型化及び低価格化が進み、こうした電子部品を衣服や敷物に取り付けて、ウェアラブルコンピューティング、セキュリティチェックや移動体の位置検知に活用することが提案されている。例えば、衣服、身の回り品、所持品といった既存の身に付ける物に無線IDタグを取り付けて人間の識別や位置認識を行うことができる。
【0003】
電子部品等の物品を衣服に取り付ける場合、衣服に対して接着剤により物品を固定したり、縫製により取り付けることが行われているが、取り付けた物品が剥がれるおそれがあることから、衣服を構成する糸に物品を組み込むことが提案されている。例えば、特許文献1では、ICタグの表裏をポリエステルフィルムで覆った箔糸や糸状フィルムにICチップを接着した芯糸にカバーリング加工を施した複合糸を用いて織物を製造する点が記載されており、製織する場合には、複合糸をカッティングマークが表示された箇所で切断しながら箔糸と同様に引箔用の竹ヘラを用いて織物に挿入して織り込むようにしている。
【0004】
こうした特殊な糸を織成する場合には、例えば、特許文献2では、再織用柄糸を織成する場合に、再織用柄糸を位置合せするために織幅の端部に対応する位置に地の色と異なる色からなる2個のマークを表示しておき、織前の両端に対応する位置にマークを検知する光センサを配設した位置合せ装置が記載されている。また、特許文献3では、帯状の開繊糸を緯糸として織成する場合に、緯糸を引き込み用チャックにより経糸の間に引き込んだ後打ち込み用チャックにより緯糸を把持してカッタにより緯糸を切断し、打ち込み用チャックにより経糸の間に緯糸を打ち込むようにした緯糸供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−226165号公報
【特許文献2】特開平11−12888号公報
【特許文献3】特開2003−082564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ICタグを担持した複合糸を箔糸と同様に挿入して織物に織り込むようにしているが、多数の物品を織物に組み込む場合に各物品の正確な位置合せが難しいといった課題がある。
【0007】
特許文献2では、糸に表示されたマークを検知して糸の位置合せを行うことで正確な位置合せが可能となるが、糸を緯入れする際にマーク検知を行うと、緯入れ動作に時間がかかって生産性が低下する課題がある。また、特許文献3では、緯糸の引き込み用チャック及び打ち込み用チャックを用いて緯糸を織成するので、緯糸に与えるダメージを抑えて織成することができるが、物品を担持した複合糸を織成する場合には物品の位置合せを行うことができない欠点がある。
【0008】
そこで、本発明は、地糸とともに複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を正確に位置合せして緯入れすることで多数の物品を担持した織物を効率よく製織することが可能な物品担持織物用織機及び製織方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品担持織物用織機は、地組織となる複数の経糸を配列して送り出すとともに当該経糸を開口させる経糸織成手段と、地組織となる緯糸を給糸して開口された前記経糸の間に緯入れし当該緯糸を前記経糸の間に打ち込む緯糸織成手段と、複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を給糸して開口された前記経糸の間に緯入れし当該複合糸を前記経糸の間に打ち込む複合糸織成手段と、給糸される前記複合糸の前記物品を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知信号に基づいて前記複合糸の前記物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。さらに、前記物品はIDタグであり、前記検知手段は、前記IDタグの情報を読み取る読取手段であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る物品担持用織物の製織方法は、地組織となる経糸を開口して地組織となる緯糸を緯入れするとともに複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を緯入れして製織する物品担持用織物の製織方法であって、前記複合糸を給糸しながら前記物品を検知し、前記物品の検知信号に基づいて前記複合糸の前記物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御することを特徴とする。さらに、前記物品はIDタグであり、前記IDタグの情報を読み取って給糸制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のような構成を有することで、給糸される複合糸の物品を検知して複合糸の物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御するので、複合糸の物品を予め位置設定することができ、複合糸の緯入れ動作を速やかに行うことが可能となる。
【0012】
すなわち、複合糸の緯入れ動作を一定の長さだけ複合糸を緯入れするように設定しておき、緯入れされる複合糸の長さに合わせて予め複合糸の物品を位置設定すれば、緯入れした複合糸の物品の位置合せを常時正確に行うことができる。
【0013】
また、製織する織物の織幅が変更された場合でも、織幅に合わせて複合糸の給糸制御を行って物品の位置調整を行えばよく、容易に対応することができる。
【0014】
そして、複合糸の物品の検知手段及び複合糸織成手段を経糸織成手段及び緯糸織成手段とは別に独立して設けることで、複合糸のみを給糸制御して精度良く物品の位置決めを行うことができる。また、従来の織機に複合糸の物品の検知手段及び複合糸織成手段を組み合せて容易に本発明に係る織機を構成することができ、本発明に係る織機を低コストで製造することが可能となる。
【0015】
また、物品としてIDタグを担持した複合糸を織成する場合には、検知手段としてIDタグの情報を読み取る読取手段を用いれば、検知信号をIDタグの位置合せに用いるとともに読み取られた情報に基づいてIDタグのマッピングデータに使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る物品担持用織物用織機に関する概略構成図である。
【図2】複合糸を緯入れするためのレピアヘッドに関する拡大側面図である。
【図3】複合糸の一例に関する平面図である。
【図4】電子部品の初期位置設定に関する処理フローである。
【図5】複合糸の緯入れ動作に関する各部材の動作タイミングを示すチャートである。
【図6】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【図7】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【図8】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【図9】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【図10】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【図11】各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明に係る物品担持用織物用織機に関する概略構成図である。織機は、経糸織成手段、緯糸織成手段及び複合糸織成手段を備えている。経糸織成手段は、経糸Aが巻き付けられたビーム10、ビーム10に取り付けられた経糸Aの送り出し制御用モータ11、経糸Aに張力を付与するテンションローラ12、経糸Aをガイドするガイドローラ13、所定の方向に配列された多数の経糸Aをヘルドにより上下に開口する開口機構14を備えている。こうした経糸織成手段は、公知のものを用いることができる。
【0019】
緯糸織成手段は、緯糸Bが巻き付けられてボビン20、緯糸Bの先端を把持するグリッパ21、緯糸Bの先端を把持して開口機構14により形成された開口に引き入れるためのレピアヘッド22、レピアヘッド22を開口内で往復移動させるバンドレピア23、バンドレピア23の移動制御を行うスプロケット駆動機構24、開口内に導入された緯糸Bを織前に筬打ちする筬25を備えている。こうした緯糸織成手段は、公知のものを用いることができる。
【0020】
複合糸織成手段は、複合糸Cを給糸する手段として、無線IDタグ等の電子部品を担持した複合糸Cを巻き付けたリール30、リール30に取り付けられたトルクモータ31、送り出された複合糸Cをガイドするガイドローラ32、空気を噴出することで複合糸Cの先端を垂れ下がらないように保持するエアーノズル33、移送される複合糸Cを把持動作により供給制御する供給グリッパ34、供給グリッパ34を駆動制御する駆動カム機構35を備えている。
【0021】
複合糸Cを開口された経糸A内に打ち込む手段として、供給された複合糸Cを切断するカッタ36、供給された複合糸Cを経糸Aの開口領域の両側で把持してスライドガイド37aに沿って移動することで複合糸Cを打ち込む一対の打ち込みグリッパ37を備えている。カッタ36に隣接する一方の打ち込みグリッパ37と経糸Aの開口領域との間には、移送される複合糸Cに担持された電子部品が通過するのを検知する検知センサ38が設けられている。また、他方の打ち込みグリッパ37と経糸Aの開口領域との間には、後述するレピアヘッド40が複合糸Cを把持しているか否かを検知するキャッチセンサ39が設けられている。
【0022】
検知センサ38は、検知方法としては、公知の手段を用いることができ、例えば、光学的に検知したり、撮像装置により検知したり、電気的に検知すればよく、担持する物品に合わせて公知のものから選択すればよい。無線IDタグの場合には、検知センサとして読取センサを設置しておけば、無線IDタグの通過検知とともにIDデータの読取処理を同時に行うことができる。そして、読み取られたIDデータは、製織された織物Dのマッピングデータとして用いることができる。
【0023】
また、キャッチセンサ39は、公知のセンサを用いて複合糸Cの有無を検知すればよく、例えば光学検知センサを用いて複合糸Cが検知領域に存在しているか検知することができる。
【0024】
カッタ36及び打ち込みグリッパ37の一方は、供給グリッパ34と連動して駆動カム機構35により駆動制御される。
【0025】
複合糸Cを経糸Aの開口内に引き込む手段として、複合糸Cを把持する棒状のレピアヘッド40、レピアヘッド40に設けられた一対の開閉レバー41及び42、レピアヘッド40を開口内で往復移動させるバンドレピア43、バンドレピア43の移動制御を行うスプロケット駆動機構44、開閉レバー41を動作させてレピアヘッド40により複合糸Cを把持させる駆動ロッド45、開閉レバー42を動作させてレピアヘッド40の複合糸Cの把持を解除する駆動ロッド46を備えている。スプロケット駆動機構44は、サーボモータを備えており、レピアヘッド40を引き込む方向に精度良く前進又は後退動作させることができる。
【0026】
他方の打ち込みグリッパ37、駆動ロッド45及び46は、駆動カム機構47により駆動制御される。
【0027】
上下に開口された経糸Aの間に緯糸Bが所定本数織り込まれて所定幅だけ織成された後複合糸Cが1本緯入されて織り込まれて織物Dが製織される。製織された織物Dは、巻取りローラ50により巻き取られていく。巻取りローラ50は駆動モータ51により駆動制御されて巻き取り動作が行われる。こうして織物Dには、経糸方向及び緯糸方向に所定間隔で多数の電子部品が配列されるようになる。
【0028】
経糸A及び緯糸Bとしては、公知の繊維素材を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル系繊維、ナイロン(ポリアミド繊維)、アラミド(芳香族ポリアミド繊維)、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフイン系繊維、アクリル等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、綿、麻、ウール、絹等の天然繊維が挙げられる。
【0029】
複合糸Cとしては、テープ状の織編物や不織布、糸状フィルム、紙テープ、繊維等の基材に電子部品を糸長方向に所定間隔で配列したものである。担持する物品としては、電子部品以外に、医療用又は農業用の薬剤、芳香剤、温度調節用の相転移ゲル等の高機能材料、又は植物の種子等を担持するようにしてもよく、特に限定されない。図2は、複合糸Cの一例に関する平面図である。複合糸Cは、短冊状の無線IDタグC1が細幅のテープ状基材C2の片面に複数配置されて接着固定されている。複数の無線IDタグC1は、糸長方向に所定間隔を空けてテープ状基材C2の片面に配列されている。無線IDタグC1の幅はテープ状基材C2の幅よりもわずかに狭く形成されており、テープ状基材C2の幅方向のほぼ中央部に位置決めされて接着固定されている。
【0030】
図3は、複合糸Cを緯入れするためのレピアヘッド40に関する拡大側面図である。レピアヘッド40は、細長い棒状に形成された枠体400の先端部に把持部を構成する一対の把持体401及び402が設けられている。把持体401は、枠体400と一体形成されており、把持体402は、枠体400に軸403により軸支されて回動可能に取り付けられている。そして、把持体402が把持体401に対して開閉することで把持動作が行われる。枠体400の後端部にはバンドレピア43が固定されている。
【0031】
把持体402は、軸403から後側に向かってさらに延設されており、後端側が外方に向かって湾曲して開閉レバー41が形成されている。また、把持体402の後端部には枠体400との間にバネ部材404が設けられており、バネ部材404は把持体402が把持体401と密着して閉じるように付勢する。開閉レバー41に対する押し込み動作により把持体402が軸403を中心に回動して把持体401との間が開き、開閉レバー41の押し込み動作を解除することで把持体402はバネ部材404の付勢力により回動し把持体401に密着して閉じるようになる。
【0032】
枠体400の後端側には、開閉レバー42が軸405により軸支されて回動可能に取り付けられている。開閉レバー42の軸支された端部には操作突起406が突設されている。枠体400の内部には操作バー407が長手方向に沿って移動可能に設けられており、後端側が操作突起406と係合している。操作バー407の先端側には、把持体402の後端部に当接する作動レバー408が軸409により軸支されて枠体400に回動可能に取り付けられている。作動レバー408の軸支された端部には作動突起410が突設されており、作動突起410が操作バー407の先端部に係合している。操作バー407の後端部にはバネ部材411が設けられており、バネ部材411により操作バー407は先端側に向かって常時付勢されている。
【0033】
開閉レバー42に対する押し込み動作により操作突起406が後方に回動し、それに伴って操作バー407がバネ部材411の付勢力に抗して後方に移動するようになる。操作レバー407が後方に移動することで作動突起410が後方に回動し、それに伴って作動レバー408が把持体402の後端部を押し込むように動作する。そのため、把持体402は軸403を中心に回動して把持体401との間が開く。開閉レバー42の押し込み動作を解除することで、操作バー407がバネ部材411の付勢力により前方に移動して元の状態に戻り、それに伴って作動レバー408が回動して押し込み状態を解除する。そのため把持体402はバネ部材404の付勢力により回動し把持体401に密着して閉じるようになる。
【0034】
以上説明したように、開閉レバー41又は42の押し込み動作により把持体402を回動させて開いた状態にすることで、開いた状態の把持体401及び402の間に複合糸Cの先端部を導入することができる。そして、開閉レバー41又は42の押し込み動作を解除すれば、把持体401及び402が閉じて確実に複合糸Cを把持させることができる。
【0035】
レピアヘッド40により複合糸Cを把持して経糸Aの開口領域に引き込む給糸動作は、スプロケット駆動機構44を駆動制御することで行われる。駆動制御は、検知センサ38及びキャッチセンサ39からの検知信号に基づいて制御装置(図示せず)により行われる。
【0036】
図4は、複合糸Cの引き込み動作に関する制御処理フローである。まず、複合糸Cを把持するためにレピアヘッド40を図1に示す位置から複合糸Cに向かって前進動作を開始する(S100)。それに伴い、スプロケット駆動機構44のストロークカウンタにより前進動作の移動距離がカウントされる(S101)。そして、ストロークカウンタのカウント値が設定値に到達したかチェックし(S102)、設定値に到達した場合にはレピアヘッド40の前進動作を停止する(S103)。レピアヘッド40の前進動作によりレピアヘッド40の先端に位置する把持体はカッタ36に近接する所定位置に到達するようになっている。
【0037】
次に、把持体による複合糸Cの把持動作が行われて(S104)、レピアヘッド40の後退動作を開始する(S105)。それに伴い、スプロケット駆動機構44のストロークカウンタにより後退動作の移動距離がカウントされる(S106)。そして、ストロークカウンタのカウント値が設定値に到達したかチェックし(S107)、設定値に到達した場合にはレピアヘッド40の後退動作を一時停止する(S108)。レピアヘッド40の後退動作によりレピアヘッド40の先端に位置する把持体はキャッチセンサ39に近接する所定位置に到達するようになっている。
【0038】
次に、キャッチセンサ39が複合糸Cを検知したか否かチェックし(S109)、キャッチセンサ39が複合糸Cを検知していない場合には、複合糸Cがレピアヘッド40により把持されなかったものとしてキャッチミス処理が行われる(S110)。キャッチセンサ39が複合糸Cを検知している場合には、レピアヘッド40の後退動作が再開され(S111)、検知センサ38が電子部品の通過を検知したか否かチェックする(S112)。電子部品の通過が検知された場合には、レピアヘッド40の後退動作が停止される(S113)。
【0039】
以上説明した処理により複合糸Cが把持されて確実に引き込み動作が行われる。そして、検知センサ38の検知信号に基づいて引き込まれた複合糸Cに担持された電子部品を正確に位置決めすることができる。上述した処理では、検知センサ38が電子部品の通過を検知してレピアヘッド40の後退動作を停止しているが、検知センサ38が電子部品の通過を検知した後所定距離後退してから停止することで位置設定するように処理してもよい。
【0040】
図5は、複合糸Cの緯入れ動作に関する各部材の動作タイミングを示すチャートである。また、図6から図11は、各タイミングにおける各部材の動作を示す側面図及び上面図である。タイミングT0では、図6に示すように、複合糸Cの先端はカッタ36の切断位置に設定されて供給グリッパ34により把持されている。また、レピアヘッド40は、経糸Aの開口領域から離れた待機位置に設定されており、打ち込みグリッパ37は開いた状態に設定されている。
【0041】
タイミングT1では、図7に示すように、レピアヘッド40が全身動作して開口領域に導入され、先端部の把持体が複合糸Cの先端を把持するカッタ36に近接した位置まで移動する。レピアヘッド40が把持位置まで移動すると、開閉レバー42が駆動ロッド45に対向する位置に設定されて駆動ロッド45により開閉レバー42が押し込まれる。開閉レバー42の押し込み動作により把持体が開き把持体の間に複合糸Cの先端が導入され、駆動ロッド45が開閉レバー42の押し込み動作を解除することで把持体が再び閉じて複合糸Cの先端がレピアヘッド40に把持される。
【0042】
タイミングT2では、図8に示すように、供給グリッパ34が開きレピアヘッド40が後退動作して引き戻されるように移動し、複合糸Cが開口領域に引き込まれる。レピアヘッド40が所定距離後退した後一時停止し、キャッチセンサ39により複合糸Cが把持されているか検知される。複合糸Cが検知された後、レピアヘッド40の後退動作が再開されて検知センサ38により電子部品の通過の有無が検知される。電子部品の通過が検知された場合にレピアヘッド40の後退動作が停止される。
【0043】
タイミングT3では、図9に示すように、複合糸Cの給糸動作が停止されて打ち込みグリッパ37が複合糸Cを把持する。また、供給グリッパ34も複合糸Cを把持するように動作する。
【0044】
タイミングT4では、図10に示すように、カッタ36が複合糸Cの切断動作を行う。また、レピアヘッド40を待機位置に戻して開閉レバー41を駆動ロッド46に対向する位置に設定し、駆動ロッド46が開閉レバー41を押し込んでレピアヘッド40の把持体を開き、複合糸Cの先端の把持動作を解除する。
【0045】
タイミングT5では、図11に示すように、打ち込みグリッパ37を移動させて切断された複合糸Cを開口された経糸の間に打ち込むように動作する。
【0046】
以上のように動作して複合糸Cを緯入れして織成するので、複合糸Cに与えるダメージを抑えて製織することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
A 経糸
B 緯糸
C 複合糸
D 織物
30 リール
31 トルクモータ
33 エアーノズル
34 供給グリッパ
36 カッタ
37 打ち込みグリッパ
38 検知センサ
39 キャッチセンサ
40 レピアヘッド
41 開閉レバー
42 開閉レバー
45 駆動ロッド
46 駆動ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地組織となる複数の経糸を配列して送り出すとともに当該経糸を開口させる経糸織成手段と、地組織となる緯糸を給糸して開口された前記経糸の間に緯入れし当該緯糸を前記経糸の間に打ち込む緯糸織成手段と、複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を給糸して開口された前記経糸の間に緯入れし当該複合糸を前記経糸の間に打ち込む複合糸織成手段と、給糸される前記複合糸の前記物品を検知する検知手段と、前記検知手段からの検知信号に基づいて前記複合糸の前記物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御する制御手段とを備えていることを特徴とする物品担持織物用織機。
【請求項2】
前記物品はIDタグであり、前記検知手段は、前記IDタグの情報を読み取る読取手段であることを特徴とする請求項1に記載の物品担持織物用織機。
【請求項3】
地組織となる経糸を開口して地組織となる緯糸を緯入れするとともに複数の物品を糸長方向に所定間隔で担持した複合糸を緯入れして製織する物品担持用織物の製織方法であって、前記複合糸を給糸しながら前記物品を検知し、前記物品の検知信号に基づいて前記複合糸の前記物品が給糸経路の所定位置に設定されるように給糸制御することを特徴とする物品担持用織物の製織方法。
【請求項4】
前記物品はIDタグであり、前記IDタグの情報を読み取って給糸制御することを特徴とする請求項3に記載の製織方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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