物品搬出モニタ
【課題】コンベアの搬送速度を速くしつつ検出感度を低くし、さらにパイプや足場板というように搬送方向に対して垂直方向に幅が異なるような検査対象物品に対しても良好に検出できるような物品搬出モニタを提供する。
【解決手段】モニタ部の検出器は、n個の前側下面センサ(n)が並べられて配置された前側下面検出器121と、n個の前側上面センサ(n)が並べられて配置された前側上面検出器122と、n個の後側下面センサ(n)が並べられて配置された後側下面検出器123と、n個の後側上面センサ(n)が並べられて配置された後側上面検出器124と、を備え、検査対象物品2の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で上下合算、左右合算、前後合算により算出した検出信号を用いてモニタリングする物品搬出モニタとした。
【解決手段】モニタ部の検出器は、n個の前側下面センサ(n)が並べられて配置された前側下面検出器121と、n個の前側上面センサ(n)が並べられて配置された前側上面検出器122と、n個の後側下面センサ(n)が並べられて配置された後側下面検出器123と、n個の後側上面センサ(n)が並べられて配置された後側上面検出器124と、を備え、検査対象物品2の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で上下合算、左右合算、前後合算により算出した検出信号を用いてモニタリングする物品搬出モニタとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力発電所など放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の放射性物質による汚染(放射能汚染)の有無を検査する物品搬出モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による大物物品および中物物品用の物品搬出モニタに係る従来技術としては、例えば、特許文献1(特開平11−211834号公報,発明の名称:物品搬出モニタ)に記載されたものが知られている。特許文献1の図1で示すように、中央のモニタ本体(特許文献1の図1の本体部10a)と、モニタ本体の前後に配置されて検査対象物品を搬送するコンベアとしての複数のローラーと、を備え、搬送される検査対象物品をモニタ本体がモニタリングを行う、というものである。
【0003】
また、モニタリング時の検査方法に係る従来技術としては、例えば、特許文献2(特開2006−23162号公報,発明の名称:放射性汚染検査方法および装置)に記載されたものも知られている。この従来技術では、特許文献2の図1で示すように、検査対象物品から放射される放射線を測定する複数の放射線検出器がコンベアベルトの進行方向に沿って配置されることで、コンベアに積載され連続移動している被検査物の放射性汚染検査において単位時間あたりの処理量を確保しつつ良好な検出限界を得るようにした、というものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−211834号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−23162号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品搬出モニタは、大量の検査対象物品に対して速く確実なモニタリングを行い、持ち出し基準を満たすか否かについて判断することが要求されている。しかしながら、将来的に放射線管理が厳格(Co−60で0.8Bq/cm2の管理基準に準拠した管理)になることに伴い、検査対象物品の全面から放射される放射線を確実に検出する必要があった。そして、このように放射線を確実に検出するためにはコンベア速度を遅くする必要があり、モニタリングの高速化に影響を及ぼしていた。
【0006】
さらに、物品搬出モニタにおける中物や大物の検査対象物品としては、例えば、放射性物質取扱施設内で足場を組むためのパイプや足場板が主であるが、パイプは断面リング状、足場板は板に3本の梁がある断面略Ш字状であって、検出対象面が多面にわたり存在するため検出が容易でなかった。特許文献2に記載の検出方法では、パイプや足場板を検出する場合には、搬送方向に対して垂直方向に幅狭なパイプ、逆に垂直方向に幅広な足場板に対応して検出することは容易ではなかった。検出器の位置が調整できないため、パイプや足場板の放射能汚染をともに良好に検出できるような物品搬出モニタは存在しなかった。パイプや足場板の放射能汚染をともに良好に検出できるようにした物品搬出モニタが必要とされていた。
また、検出が可能な最低限度を示す放射線の検出感度をより低くしたいという要請があった。一般的に、検出感度を低くするとバックグラウンドノイズに影響されやすくなるが、バックグラウンドノイズに影響されないようにし、天然核種が広く薄く付着しただけで汚染されていない足場板等が「汚染」と判定されにくくしたいという要請もあった。
さらにまた、コンベアの搬送速度を速くしたいという要請もあった。
【0007】
基準の厳格化に伴い、具体的には、Co−60線源のβ線エネルギーで検出器(β線)を構成した場合、パイプ断面の上下左右方向、足場板断面の上下左右方向および梁の左右方向の線源に対して、(1)物品搬出速度を40mm/sec以上、(2)平均機器効率純βで評価、の条件で検出下限値0.8Bq/cm2を確保したいという要請があった。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンベアの搬送速度を速くしつつ検出感度を低くし、さらにパイプや足場板というように搬送方向に対して垂直方向に幅が異なるような検査対象物品に対しても良好に検出できるような物品搬出モニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の物品搬出モニタは、
放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の、放射性物質による汚染の有無を検査するために、少なくとも、放射線の検出器を内蔵してモニタリングを行うモニタ部と、このモニタ部へ検査対象物品を搬入する搬入コンベアと、モニタ部から検査対象物品を搬出する搬出コンベアと、を有する物品搬出モニタにおいて、
モニタ部の検出器は、
検査対象物品の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側上面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側上面検出器と、
を有し、モニタ部は、
n個の前側下面センサ(n)からのnの前側下面検出信号、n個の前側上面センサ(n)からのnの前側上面検出信号、n個の後側下面センサ(n)からのnの後側下面検出信号、および、n個の後側上面センサ(n)からのnの後側上面検出信号を入力し、検査対象物品の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号を用いてモニタリングすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項1に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品がパイプである場合、jを自然数とすると、
パイプの中心軸が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにし、
パイプの左側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの右側の面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用い、
パイプの上側の面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの下側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項2に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、パイプが嵌め込まれる溝であるパイプ用載置部を備え、パイプ用載置部に載置されたパイプを検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項3に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは半径が大きい大径部と半径が小さい小径部とが交互に形成され、前記溝部は小径部であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを自然数とすると、
足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過し、
足場板の下側の左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の下側の中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の下側の右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の最左側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の最右側の面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁の上側の面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項5に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアにおいて、足場板を載置する箇所を表示する足場板用載置部を形成し、足場板用載置部に載置された足場板を検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項6に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは足場板を載置する足場板用載置部を表示する第1の色彩で表示され、また、他の箇所は足場板を設置しない箇所を表す第2の色彩で表示され、色分けすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、コンベアの搬送速度を速くしつつ検出感度を低くし、さらにパイプや足場板というように搬送方向に対して垂直方向に幅が異なるような検査対象物品に対しても良好に検出できるような物品搬出モニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態の物品搬出モニタの正面図である。図2は本形態の物品搬出モニタの説明図であり、図2(a)はモニタ部の内観図、図2(b)は物品搬出モニタの平面図である。図3は本形態の物品搬出モニタのA−A断面図である。
【0018】
このような物品搬出モニタ1は、原子力発電所等の放射性物質取扱施設内から搬出されるはしごや足場板、パイプ、クランプ材という物品のうち特に数が多いパイプや足場板(以下、総称する場合は単に検査対象物品という。)の検出に特化し、検査対象物品が放射性物質によって汚染されているか否かを検査するために用いられる。特に足場板、パイプという検査対象物品は長く、物品搬出モニタ1は長尺の検査対象物品に対応できるようになされている。物品搬出モニタ1は、放射性物質取扱施設の搬出口まで移送され、そこに設置されて使用される。
【0019】
本形態の物品搬出モニタ1は、図1で示すように、モニタ本体10、搬入コンベア20、搬出コンベア30、移動台車40を備える。
モニタ本体10は、放射線の検出器を内蔵して検査操作を実行するものであり、入出力部11、モニタ部12、モニタ本体入口13(図3参照)、状態表示部14(図3参照)を備えている。
【0020】
入出力部11は、検査対象物品が足場板かパイプかを設定する設定スイッチ、故障および異常が復旧した後に警報をリセットする警報リセットスイッチ、測定を開始させる測定開始スイッチ、測定を終了させる測定終了スイッチ、不良品を払い出すための不良品払出スイッチ、非常停止するための非常停止スイッチ(以上、入力部)、機器の故障や異常等の各種情報を表示するLCDによる操作表示器、検査結果を印字するプリンタ(以上、出力部)を備える。
【0021】
モニタ部12は、図1,図2(a),(b)で示すように、前側下面のβ線検出器121、前側上面のβ線検出器122、後側下面のβ線検出器123、後側上面のβ線検出器124、中間ローラ125、不図示の信号処理回路を備えている。モニタ部12内へ搬送された検査対象物品の上下面に対してβ線検出器121,122,123,124がそれぞれ放射線検査を行う。なお、β線検出器121,122,123,124の詳細な構成・機能については後に詳述する。
中間ローラ125は、β線検出器121,123の間に配置される。詳しい機能については後述する。
モニタ本体入口13は、図3で示すように、モニタ部12内への入口であり、反対側には不図示のモニタ本体出口も設けられている。
【0022】
状態表示部14は、図3で示すように、検査対象物品がモニタ本体10から全て搬出されて装置内部滞留等の異常がなくなったときに音声発生部(図示せず)の「ピンポン」という音の発生とともに点灯され、モニタ本体10へ次の検査対象物品を搬送可能であることを告げる。作業者が次の検査対象物品を搬入コンベア20へ載置し、入出力部11の測定開始ボタンの操作によってモニタ本体10へ検査対象物品が搬送され、モニタ部12で放射能汚染の有無が検査される。検査結果や設定値等は入出力部11のプリンタ(図示せず)で印刷される。
このようなモニタ本体10の入出力部11、モニタ部12、状態表示部14は信号処理や制御駆動を行う図示しない中央処理装置と接続され、信号処理・制御・駆動が一括して行われる。モニタ本体10はこのようなものである。
【0023】
搬入コンベア20は、モニタ本体10へ検査対象物品を搬入するものであり、多数のローラ21、脚22を備える。これらローラ21は、外枠に回転自在に支持され、例えば、駆動部により回転駆動させられて検査対象物品を搬入コンベア20の搬入経路上で搬入する駆動ローラであったり、さらには駆動ローラと従動ローラとを併せ持つようなローラである。この駆動ローラの駆動部は先に説明した図示しない中央処理装置と接続されて駆動制御される。脚22は搬入コンベア20を床面に対して支持する。
【0024】
搬出コンベア30は、モニタ本体10から検査対象物品を搬出するものであり、多数のローラ31、脚32を備える。これらローラ31は、外枠に回転自在に支持され、駆動部により回転駆動させられて検査対象物品を搬出コンベア30の搬出経路上で搬出する駆動ローラであったり、さらには駆動ローラと従動ローラとを併せ持つようなローラである。この駆動部は先に説明した図示しない中央処理装置と接続されて駆動制御される。脚32は搬出コンベア30を床面に対して支持する。
【0025】
移動台車40は、図1,図2,図3で示すように、タイヤ41、ドローバ42、横方向走行車輪43、ハンドル44、車輪止め45(図3参照)を備えている。
タイヤ41は、モニタ本体10の四隅付近で移動台車40の四カ所に設けられ、搬送方向と同じ方向(図1,図2では左右方向)に移動台車40を移動させる。
ドローバ42は、搬入側(図1では左側)のタイヤ41の車軸に連結されており、モニタ本体10を積載した移動台車40を移動させる際にかじ取りをする部材である。
【0026】
横方向走行車輪43は、モニタ本体10の四隅付近の前後両側の4ヵ所に備えられる。タイヤ41の移動方向に対して直角方向である横方向(図2では上下方向)に移動させる車輪である。
ハンドル44も、モニタ本体10の四隅付近の前後両側の4ヵ所に備えられる。
車輪止め45は横方向走行車輪43を停止させる。
【0027】
このような移動台車40では、あるハンドル44と、その付近にある横方向走行車輪43とは、図示しない横方向走行車輪昇降手段と機械的に連動するように構成されており、ハンドル44の操作により、横方向走行車輪43がタイヤ41を持ち上げて移動台車40を支える位置まで横方向走行車輪43を下降させる。
【0028】
この状態においては、横方向走行車輪43が移動台車40を移動させるため、物品搬出モニタ1は人力によっても容易に横方向へ移動する。また、タイヤ41が移動台車40を支えて移動させる位置まで横方向走行車輪43を上昇させたりする。この状態においては、タイヤ41が移動台車40を移動させるため、物品搬出モニタ1は人力によっても容易に搬送方向へ移動する。
【0029】
このような移動台車40により、入り込んだ狭い場所の正面に物品搬出モニタ1を横付けして設置する場合、物品搬出モニタ1が設置状態と平行な状態になるように、入り込んだ狭い場所の正面の前方の広い場所まで、物品搬出モニタ1をタイヤ41及びドローバ42で移動させ、この場所において、ハンドル44を操作して横方向走行車輪昇降手段によって横方向走行車輪43を下降させてタイヤ41を持ち上げた後、横方向走行車輪43によって設置位置まで物品搬出モニタ1を横方向移動させて所望の位置に設置する。その後に、横方向走行車輪43は、図3で示すように車輪止め45に載置されて移動しないようにする。移動台車40はこのようなものである。
【0030】
続いて、β線検出器121,122,123,124の詳細な構成について説明する。
図4は、検出器の詳細を説明する説明図である。モニタ部12の検出器は、図4に示すように、β線検出器121である前側下面検出器121、β線検出器122である前側上面検出器122、β線検出器123である後側下面検出器123、β線検出器124である後側上面検出器124を備える。このモニタ部12の検出器を検査対象物品2が通過する。
【0031】
前側下面検出器121は、検査対象物品2の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)が並べられて配置される。
【0032】
前側上面検出器122は、検査対象物品2の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)が並べられて配置される。
【0033】
後側下面検出器123は、検査対象物品2の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)が並べられて配置される。
【0034】
後側上面検出器124は、検査対象物品2の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)が並べられて配置される。
【0035】
本形態では前後上下で10個ずつ計40個のセンサが並べられている。10個の前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)から10の前側下面検出信号(1)〜前側下面検出信号(10)が、10個の前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)から10の前側上面検出信号(1)〜前側上面検出信号(10)が、10個の後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)から10の後側下面検出信号(1)〜後側下面検出信号(10)が、および、10個の後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)から10の後側上面検出信号(1)〜後側上面検出信号(10)が、図示しない中央処理装置に入力される。中央処理装置は、検査対象物品2の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号とし、モニタリングを行う。なお、検査対象物品2の種類は入出力部11の設定スイッチにより判定され、また、検査対象物品2の搬送位置は、例えば、図示しない検査対象物品検出センサ等により容易に判定される。
【0036】
このように分割した前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)、前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)、後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)、および、後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)を配置して、検出信号の上下合算、前後合算、左右合算を行うため以下のような利点が見込める。
【0037】
上下合算の利点としては、例えば、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
が挙げられる。
【0038】
上記(a)について、検査対象物品2として側面が曲面状であるパイプや、側面が垂直面状である足場板のように、上下に放射線が照射される側面を有する場合には、上下センサで検出して合算処理を行うため、検査対象物品2に対する側面感度を向上させることができる。
また、上記(b)について、上下センサで検出してアンチコインシデンス処理を行うため、γBGの影響を低減させることができる。
【0039】
前後合算の利点として、例えば、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
が挙げられる。
【0040】
上記(c),(d)について、前後のセンサでの合算処理により全体感度を向上させて検査対象物品2の搬送方向の検出機会を増やすことができるため、搬入コンベア20および搬出コンベア30の搬送速度を上昇させることができる。
搬送速度と検出能力との関係は次式(JIS式)のようになる。
【0041】
【数1】
【0042】
条件は以下のようになる。
・使用線源 :Co−60
・線源面積 :100×100mm
・検出器効率:平均機器効率(純β線での効率)
・線源効率 :0.25
・BG :0.1μSv/h
【0043】
このうち搬送速度が速くなれば測定時間Tは少なくなるため、最小検出表面積M1は大きくなり、センサの検出感度Yは高くなる。一方、搬送速度が遅くなれば測定時間Tは多くなるため、最小検出表面積M1は小さくなり、センサの検出感度は低くなる。本形態では前後検出により、測定時間Tを多くしており、検出感度を低くしている。この点については、上記のJIS式に基づく、図5の搬送速度と検出感度との関係を示す特性図にも表されている。先に説明したCo−60で0.8Bq/cm2の管理基準を満たすためには、検出感度が約0.5Bq/cm2確保できるコンベヤ速度40mm/sec以上、検出感度が約0.6Bq/cm2確保できるコンベヤ速度60mm/sec以下の速度を選択できる。これにより、比較的高速な搬送速度、および、管理基準を満たすような検出感度を確保できる。
【0044】
例えば、個々のセンサの大きさが搬送方向で310mm、コンベヤ速度40mm/secとした場合、前後のセンサを合算するため、測定時間は、310mm×2/40mm/sec=15.5secとなる。測定時間15.5sec、コンベア速度40mm/sec、検出距離50mmでの検出感度はCo−60で約0.5Bq/cm2となり、管理基準である0.8Bq/cm2よりも低くなり、管理基準を十分に満足する。
【0045】
一般化すれば前側下面検出器の前側下面センサ(i)からの前側下面検出信号(i)および後側下面検出器の後側下面センサ(i)からの後側下面検出信号(i)を合算し、または、前側上面検出器の前側上面センサ(i)からの前側上面検出信号(i)および後側上面検出器の後側上面センサ(i)からの後側上面検出信号(i)を合算するようにする。これにより搬送方向の検出機会を増やすとともに、搬入コンベアおよび搬出コンベアの搬送速度を上昇させることができる。
【0046】
左右合算の利点としては、例えば、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
が挙げられる。
【0047】
上記(e)について、例えば、本形態の10個のセンサと同じ面積となる一個の大型のセンサを用いたとするとこの大型のセンサはバックグラウンドノイズを広い面積で拾うため検出信号がノイズに埋もれるおそれがあるが、本形態では左右方向でセンサを分割して個々のセンサの検出面積を少なくしており、また、合算しても検出面積は全面よりも少ないものであり、その結果、検出するバックグラウンドノイズを少なくできるという利点がある。
【0048】
上記(f)について、各センサはセンサ全面で検出できるようにして、左右で隣接するセンサとの合算処理をおこなっており、センサつなぎ目の感度低下防止できるという利点がある。
【0049】
上記(g)について、検査対象物品2がパイプのように横方向に幅が狭い場合や、足場板のように横方向に幅が広い場合でも、横方向のセンサからの出力を適宜合算することで、検査対象物品2の幅に応じた必要かつ最少限の検出領域が確保でき、最適な検出ができるという利点がある。
【0050】
このように本発明の物品搬出モニタ1ではユニット化したセンサを上下・前後・左右に多く並べ、センサからの信号に対し信号処理の工夫をすることで測定対象物に応じて最も効率良く測定する方式としたものであり、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
を実現する。
【0051】
続いて検査対象物品がパイプである場合の物品搬出モニタの動作・機能について図を参照しつつ説明する。図6はモニタ部におけるパイプの検出位置を説明する説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図、図6(c)は側面図である。図7はモニタ部におけるセンサとパイプと位置関係を説明する説明図である。図8はセンサの合算関係を説明する説明図であり、図8(a)はA面,B面の検出の説明図、図8(b)はC面,D面の検出の説明図である。
【0052】
センサは横方向に10個並べられており、jを1から9までの自然数とすると、図6(a),(b),(c)からも明らかなように、パイプ(j)は、パイプ(j)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにしている。
【0053】
例えばj=1を考えると、図6,図7でも明らかなように、パイプ(1)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(1)と前側下面センサ(2)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(1)と前側上面センサ(2)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(1)と後側下面センサ(2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(1)と後側上面センサ(2)との境界面、を通過する。
【0054】
また、j=2を考えると、図6,図7でも明らかなように、パイプ(2)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(2)と前側下面センサ(3)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(2)と前側上面センサ(3)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(2)と後側下面センサ(3)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(2)と後側上面センサ(3)との境界面、を通過する。以下、j=3,4,・・・,8,9において同様となる。
【0055】
続いて、各面の検出について説明する。ここにパイプ(j)は左面をA面、右面をB面、上面をC面、下面をD面としている。それぞれ4分割した円弧状の面である。
パイプ(j)の左側のA面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用いる。
【0056】
パイプ(j)の右側のB面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用いる。
【0057】
このようにパイプ(j)の側面であるA面,B面の検出時には、放射面が複雑な形状であることに加えてセンサまでの距離が長いため、上下合算および前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0058】
パイプ(j)の上側のC面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用いている。なお、jでなくj+1としても良い。
パイプ(j)の下側のD面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用いている。なお、jでなくj+1としても良い。
【0059】
このようにパイプ(j)の上下面であるC面,D面の検出時には、放射面が複雑な形状であるがセンサまでの距離が短いため、前後合算のみを行うようにして、側面の検出能力に近いような検出能力を確保して、全体の検出能力を平坦化している。センサを左右合算しないため、効率は1/2となるが、前後のセンサを合算することにより、測定時間を2倍とし、搬送速度を高速化できる。
【0060】
例えば、図8(a)で示すように、上記したパイプ(1)の左側のA面の検出は、波線を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)、後側下面センサ(1)からの後側下面検出信号(1)、および、後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。
【0061】
また、パイプ(1)の右側のB面の検出は、白色を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(2)からの前側下面検出信号(2)、前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)、後側下面センサ(2)からの後側下面検出信号(2)、および、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
【0062】
また、図8(b)で示すように、上記したパイプ(1)の上側のC面の検出は、斜線を付したセンサにより行われ、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)および後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。なお、前側上面検出信号(2)と後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いても良い。
また、上記したパイプ(1)の下側のD面の検出は、点描を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)および後側下面センサ(1)からの後側下面検出信号(1)を合算した信号を用いる。なお、前側下面検出信号(2)と後側下面検出信号(2)を合算した信号を用いても良い。
【0063】
物品搬出モニタ1は、上記のようにパイプのモニタリングを行うことで、センサまでの距離の長短による影響を少なくして、パイプの各面における検出能力を平坦化しており、曲面形状に影響されることなく各面の検出を行うことができる。
さらに、パイプは全面が曲面であるため確実な検出を行うためには通常では搬送速度を小さくして検出する必要があるが、本形態ではいずれの場合も前後合算は必ず行うようにしているため、搬送速度を大きくすることができる。
【0064】
なお、パイプとセンサとの位置関係は、厳しく決定される必要がある。そこで、ローラ上でパイプの位置決めが行われる。この点について図を参照しつつ説明する。図9はローラにおけるパイプ載置部の説明図である。図2で示す搬入コンベア20のローラ21にはパイプと曲率半径が同じであるような湾曲した溝であって断面で鼓状となるようなパイプ用載置部211が、および、搬出コンベア30のローラ31にも同様な形状のパイプ用載置部311が設けられる。また、図2(a)で示す中間ローラ125でも同様の形状のパイプ用載置部が採用され、β線検出器123,124の手前で再度位置決めが行われる。これらパイプ用載置部211,311内にパイプが載置されると、パイプ用載置部211,311に載置されたパイプが上記したようなセンサの検出位置へ誘導するように位置決めされる。このため、正確な検出が可能である。
【0065】
続いて検査対象物品が足場板である場合の物品搬出モニタの動作・機能について図を参照しつつ説明する。図10はモニタ部における足場板の検出位置を説明する説明図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は背面図、図10(c)は側面図である。図11,図12はモニタ部におけるセンサと足場板との位置関係を説明する説明図である。図13はセンサの合算関係を説明する説明図であり、図13(a)はA面の検出の説明図、図13(b)はF面の検出の説明図、図13(c)はB面,C面,D面,E面の検出の説明図である。
【0066】
センサは横方向に10個並べられており、また、足場板として前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを1,2,3という自然数とすると、図10(a),(b),(c)からも明らかなように、足場板(k)は、足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過するようにしている。
【0067】
例えばk=1を考えると、図10,図11,図12でも明らかなように、足場板(1)は、足場板(1)の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(1)と前側上面センサ(2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(1)と後側上面センサ(2)との境界面を通過し、
足場板(1)の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(2)と前側上面センサ(3)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(2)と後側上面センサ(3)との境界面を通過し、
足場板(1)の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(3)と前側上面センサ(4)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(3)と後側上面センサ(4)との境界面を通過し、
足場板(1)の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(2)および前側下面センサ(3)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(2)および後側下面センサ(3)の検出面の上を通過するようにしている。
【0068】
またk=2を考えると、図10,図11,図12でも明らかなように、足場板(2)は、足場板(2)の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4)と前側上面センサ(5)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4)と後側上面センサ(5)との境界面を通過し、
足場板(2)の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(5)と前側上面センサ(6)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(5)と後側上面センサ(6)との境界面を通過し、
足場板(2)の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(6)と前側上面センサ(7)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(6)と後側上面センサ(7)との境界面を通過し、
足場板(2)の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(5)および前側下面センサ(6)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(5)および後側下面センサ(6)の検出面の上を通過するようにしている。以下、k=3でも同様となる。
【0069】
続いて、各面の検出について説明する。ここに足場板は板下面をA面、梁最外側面をB面、板上面をC面、梁内側右面をD面、梁内側左面をE面、梁上面をF面としている。
足場板(k)の下側のA面のうち左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の下側のA面のうち中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の下側のA面のうち右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0070】
このように足場板の下面であるA面の検出時には、センサまで距離が短いため、上下合算および前後合算を行わず左右合算のみ行うようにして、検出能力の平坦化に寄与するようにしている。
また、幅広であるA面の左側、中央、右側で検出面を分けているため、検出箇所の判別も可能としている。
【0071】
足場板(k)の第1の梁の最左側のB面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第3の梁の最右側のB面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0072】
このように足場板の梁の最外面であるB面の検出時には、センサまで距離が長いため、前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0073】
足場板(k)の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面をなすC面,D面,E面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面をなすC面,D面,E面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
【0074】
このように足場板の梁の内側であるC面,D面,E面の検出時には、センサまで距離が長いため、前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0075】
足場板(k)の第1の梁の上側のF面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第2の梁の上側のF面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第3の梁の上側のF面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0076】
このように足場板の梁であるF面の検出時には、センサまでの距離が短いため、上下合算および前後合算を行わず左右合算のみ行うようにして、検出能力を平坦化している。
【0077】
例えば、図13で示すように、上記した足場板(1)の下側のA面の検出が行われる。このうち、足場板(1)の下側のA面のうち左側の面の検出は、図13(a)で点描を付したセンサを用い、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)および前側下面センサ(2)からの前側下面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の下側のA面のうち中央の面の検出は、図13(a)で斜線を付したセンサを用い、後側下面センサ(2)からの後側下面検出信号(2)および後側下面センサ(3)からの後側下面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の下側のA面のうち右側の面の検出は、図13(a)で波線を付したセンサを用い、前側下面センサ(3)からの前側下面検出信号(3)および前側下面センサ(4)からの前側下面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0078】
また、足場板(1)の第1の梁の最左側のB面の検出は、図13(b)で波線を付したセンサを用い、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)、および、後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第3の梁の最右側のB面の検出は、図13(b)で点描を付したセンサを用い、前側上面センサ(4)からの前側上面検出信号(4)、および、後側上面センサ(4)からの後側上面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0079】
足場板(1)の第1の梁と第2の梁との間にあるC面,D面,E面の検出は、図13(b)で白地を付したセンサを用い、前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)、および、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第2の梁と第3の梁との間にあるC面,D面,E面の検出は、図13(b)で網目を付したセンサを用い、前側上面センサ(3)からの前側上面検出信号(3)、および、後側上面センサ(3)からの後側上面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
【0080】
足場板(1)の第1の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で点描を付したセンサを用い、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)および前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第2の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で斜線を付したセンサを用い、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)および後側上面センサ(3)からの後側上面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第3の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で波線を付したセンサを用い、前側上面センサ(3)からの前側上面検出信号(3)および前側上面センサ(4)からの前側上面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0081】
物品搬出モニタ1は、上記のように足場板のモニタリングを行うことで、センサまでの距離の長短による影響を少なくして、検出能力を平坦化している。
さらに、センサまでの距離が十分に近いA面,F面を除いては、前後合算を行うようにしているため、検出感度を低くしつつ搬送速度を速くすることができる。足場板に付着している天然核種が最も多く存在しているA面については、左右のセンサを合算し、BGを2倍とし、かつ左右センサのみ(前後合算はしない)で検出感度を算出することにより、検出感度の特出を防止し、搬送速度40mm/secにて、約0.72Bq/cm2とし、0.8Bqcm2に近づけている。
【0082】
また、A面及びF面の測定において、センサを左右合算することにより、効率の低下を防止している。
このように、本発明の物品搬出モニタで足場板を検出する場合、搬送速度40mm/secで足場板の各面において、60Coで0.8Bq/cm2を担保する。
以上、足場板用の物品搬出モニタについて説明した。なお、上記の4kー3,4kー2,4k−1,4kという一般化を行ったが、これ以外にも、例えば3k−2,3k−1,3k,3k+1という特定も可能である。k=1でそれぞれ1,2,3,4となる。
【0083】
なお、足場板とセンサとの位置関係は、厳しく決定される必要がある。そこで、ローラ上で足場板の位置決めが行われる。この点について図を参照しつつ説明する。図14はローラにおける足場板載置部の説明図である。図14で示す搬入コンベア20のローラ21や、搬出コンベア30のローラ31は、色分け(例えば、白地部が白色で斜線部が黒など)がなされており、足場板を載置する箇所を色にて表示する足場板用載置部212,312を形成し、足場板用載置部212,312に載置された足場板をセンサの検出位置へ誘導するようにした。これら足場板用載置部212,312内に足場板が載置されると、足場板が上記したようなセンサの検出位置へ誘導されるように位置決めされる。このため、正確な検出が可能である。なお、図14からも明らかなように、パイプ用載置部211,311と足場板用載置部212,312との両者をローラ21,31に併設することができるため、パイプと足場板との両者のモニタリングを可能とするような物品搬出モニタ1とすることができる。
【0084】
続いてローラのより具体的な例について図を参照しつつ説明する。図15はローラの詳細説明図であり、図15(a)は、ローラの完成図、図15(b)はライニング前の管の説明図、図15(c)は焼き付け塗装前のライニング部の説明図である。
パイプと足場板との両者のモニタリングを可能とするような物品搬出モニタ1では、図15(a)で示すように、ローラ21(31)において、パイプをパイプ用載置部211(311)に載置でき、また、足場を足場用載置部212(312)に配置できるようにする必要がある。
なお、パイプの足場用載置部212(312)とそれ以外の箇所の色分けについて、具体的には、ペンキなどの塗料による着色も可能であるが、パイプや足場が接触するとこすれて色が剥げ落ちることもある。そこで、以下のような製造方法にてローラを製造することで、色を落ちにくくしている。
【0085】
例えば、管213(313)は、図15(b)で示すような形状を有するものであり、鋼鉄またはステンレス、アルミ等の金属材料を筒状に加工したものである。管213(313)は、例えば、アルミ材を円筒形に引抜き加工した管材であるが、アルミ材に限らず、他の金属材料を円筒形に加工した管材でも使用可能である。このような管213(313)に対して、図15(b)で示すような、シート部214(314)を貼り合わせる。シート部214(314)は表面が粗面であり後述するが滑り止め用途で用いられる。
【0086】
続いてライニング部215(315)を形成する。形成に際し、まず、管213(313)の外周面にウレタンゴムを焼き付けて長尺円筒状のライニング管(図示せず)を形成する。ライニング管はシート部214(314)の存在により滑り等が生じることなく形成される。さらに、高熱状態のライニング管に対してパイプ用配置部211(311)を形成する箇所をローラ等で押圧して小径部217(317)を形成し、押圧されなかった箇所を大径部とする。小径部217(317)は、図9,図14で示すように湾曲した溝とすることもできるが、図15で示したように底面が直線状の溝部として、構造を簡略化しても良い。このような直線状および湾曲状のパイプ用配置部211(311)共に高精度な検出が可能であることが知見されている。このようにライニングにより構成するため、強度も強く耐久性が優れたライニング部となる。
【0087】
続いて、小径部217(317)・大径部216(316)が形成された直後のライニング部215(315)は高温であるため、通常のペンキなどの塗料を用いる着色では、流体の塗料が乾燥せずに流体のまま流れ落ちるおそれがある。そこで、ライニング部215(315)が高温でも良いように、焼き付け塗装により足場用載置部212(312)とそれ以外の箇所を着色する。焼き付け塗装では、加熱される事により塗膜に重合反応が起こり、緻密な塗膜が完成されるという塗料を用いるものであり、ライニング部215(315)が高温のまま塗装できるという利点がある。これにより、緻密な塗膜による足場用載置部213(313)とそれ以外の箇所が着色され、さらに冷却期間なども不要として塗装時間が長期化することがなくなる。
このようにして製造した図15で示す搬入コンベア20のローラ21や、搬出コンベア30のローラ31は、パイプを載置するパイプ用載置部211(311)や、足場を載置する足場用載置部212(312)が共に形成される。
【0088】
以上、本発明について説明した。
本発明の物品搬出モニタは個々のセンサを小型化して適宜合算する方式を採用した。この合算は、
(a)上下検出器での合算処理(側面感度向上)
(b)上下検出器でアンチコインシデンス処理(γBGの影響低減)
(c)前後の検出器での合算処理(全体感度の向上)
(d)隣の検出器との合算処理(検出器つなぎ目の感度低下防止)
という各種合算方式を選択できるため、(1)BGを低く抑え、検出感度を良くする、(2)周囲のBG雰囲気の変化に対しても影響を受けにくくする、(3)足場板等に付着する天然核種の影響で発生する「汚染」を少なくする、という利点がある。
【0089】
また、足場板のモニタリングの場合、足場板を裏返しで流して上記のような処理を行う。これにより足場板の最も感度低下部分(左右側面:B面、および、裏面の凹字状面:C面,D面,E面)の感度を上げるだけでなく、感度が高い足場板(A面,F面)の感度を落として感度の平坦化を実現する。また、センサの検出面を最小に抑えてバックグランドノイズによる影響を少なくし、足場板等に付着する天然核種の影響で発生する「汚染」を少なくする。
また、パイプのモニタリングの場合、上下面では前後での合算処理、左右面では前後上下の合算処理で側面感度向上を図る。
【0090】
このような本発明の物品搬出モニタ1は、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
という効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタの正面図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタの説明図であり、図2(a)はモニタ部の内観図、図2(b)は物品搬出モニタの平面図である。
【図3】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタのA−A断面図である。
【図4】検出器の詳細を説明する説明図である。
【図5】搬送速度と検出感度との関係を示す特性図である。
【図6】モニタ部におけるパイプの検出位置を説明する説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図、図6(c)は側面図である。
【図7】モニタ部におけるセンサとパイプと位置関係を説明する説明図である。
【図8】センサの合算関係を説明する説明図であり、図8(a)はA面,B面の検出の説明図、図8(b)はC面,D面の検出の説明図である。
【図9】ローラにおけるパイプ載置部の説明図である。
【図10】モニタ部における足場板の検出位置を説明する説明図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は背面図、図10(c)は側面図である。
【図11】モニタ部における検出器と足場板との位置関係を説明する説明図である。
【図12】モニタ部における検出器と足場板との位置関係を説明する説明図である。
【図13】検出器の合算関係を説明する説明図であり、図13(a)はA面の検出の説明図、図13(b)はF面の検出の説明図、図13(c)はB面,C面,D面,E面の検出の説明図である。
【図14】ローラにおける足場板載置部の説明図である。
【図15】ローラの詳細説明図であり、図15(a)はローラの完成図、図15(b)はライニング前の管の説明図、図15(c)は焼き付け塗装前のライニング部の説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1:物品搬出モニタ
10:モニタ本体
11:入出力部
12:モニタ部
121,122,123,124:β線検出器
13:モニタ本体入口
14:状態表示部
15:中間ローラ
20:搬入コンベア
21:ローラ
211:パイプ用載置部
212:足場板用載置部
213:管
214:シート部
215:ライニング部
216:小径部
217:大径部
22:脚
23:溝部
30:搬出コンベア
31:ローラ
311:パイプ用載置部
312:足場板用載置部
313:管
314:シート部
315:ライニング部
316:小径部
317:大径部
32:脚
33:溝部
40:移動台車
41:タイヤ
42:ドローバ
43:横方向走行車輪
44:ハンドル
2:検査対象物品
【技術分野】
【0001】
この発明は、原子力発電所など放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の放射性物質による汚染(放射能汚染)の有無を検査する物品搬出モニタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術による大物物品および中物物品用の物品搬出モニタに係る従来技術としては、例えば、特許文献1(特開平11−211834号公報,発明の名称:物品搬出モニタ)に記載されたものが知られている。特許文献1の図1で示すように、中央のモニタ本体(特許文献1の図1の本体部10a)と、モニタ本体の前後に配置されて検査対象物品を搬送するコンベアとしての複数のローラーと、を備え、搬送される検査対象物品をモニタ本体がモニタリングを行う、というものである。
【0003】
また、モニタリング時の検査方法に係る従来技術としては、例えば、特許文献2(特開2006−23162号公報,発明の名称:放射性汚染検査方法および装置)に記載されたものも知られている。この従来技術では、特許文献2の図1で示すように、検査対象物品から放射される放射線を測定する複数の放射線検出器がコンベアベルトの進行方向に沿って配置されることで、コンベアに積載され連続移動している被検査物の放射性汚染検査において単位時間あたりの処理量を確保しつつ良好な検出限界を得るようにした、というものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−211834号公報(図1)
【特許文献2】特開2006−23162号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物品搬出モニタは、大量の検査対象物品に対して速く確実なモニタリングを行い、持ち出し基準を満たすか否かについて判断することが要求されている。しかしながら、将来的に放射線管理が厳格(Co−60で0.8Bq/cm2の管理基準に準拠した管理)になることに伴い、検査対象物品の全面から放射される放射線を確実に検出する必要があった。そして、このように放射線を確実に検出するためにはコンベア速度を遅くする必要があり、モニタリングの高速化に影響を及ぼしていた。
【0006】
さらに、物品搬出モニタにおける中物や大物の検査対象物品としては、例えば、放射性物質取扱施設内で足場を組むためのパイプや足場板が主であるが、パイプは断面リング状、足場板は板に3本の梁がある断面略Ш字状であって、検出対象面が多面にわたり存在するため検出が容易でなかった。特許文献2に記載の検出方法では、パイプや足場板を検出する場合には、搬送方向に対して垂直方向に幅狭なパイプ、逆に垂直方向に幅広な足場板に対応して検出することは容易ではなかった。検出器の位置が調整できないため、パイプや足場板の放射能汚染をともに良好に検出できるような物品搬出モニタは存在しなかった。パイプや足場板の放射能汚染をともに良好に検出できるようにした物品搬出モニタが必要とされていた。
また、検出が可能な最低限度を示す放射線の検出感度をより低くしたいという要請があった。一般的に、検出感度を低くするとバックグラウンドノイズに影響されやすくなるが、バックグラウンドノイズに影響されないようにし、天然核種が広く薄く付着しただけで汚染されていない足場板等が「汚染」と判定されにくくしたいという要請もあった。
さらにまた、コンベアの搬送速度を速くしたいという要請もあった。
【0007】
基準の厳格化に伴い、具体的には、Co−60線源のβ線エネルギーで検出器(β線)を構成した場合、パイプ断面の上下左右方向、足場板断面の上下左右方向および梁の左右方向の線源に対して、(1)物品搬出速度を40mm/sec以上、(2)平均機器効率純βで評価、の条件で検出下限値0.8Bq/cm2を確保したいという要請があった。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンベアの搬送速度を速くしつつ検出感度を低くし、さらにパイプや足場板というように搬送方向に対して垂直方向に幅が異なるような検査対象物品に対しても良好に検出できるような物品搬出モニタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の物品搬出モニタは、
放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の、放射性物質による汚染の有無を検査するために、少なくとも、放射線の検出器を内蔵してモニタリングを行うモニタ部と、このモニタ部へ検査対象物品を搬入する搬入コンベアと、モニタ部から検査対象物品を搬出する搬出コンベアと、を有する物品搬出モニタにおいて、
モニタ部の検出器は、
検査対象物品の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側上面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側上面検出器と、
を有し、モニタ部は、
n個の前側下面センサ(n)からのnの前側下面検出信号、n個の前側上面センサ(n)からのnの前側上面検出信号、n個の後側下面センサ(n)からのnの後側下面検出信号、および、n個の後側上面センサ(n)からのnの後側上面検出信号を入力し、検査対象物品の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号を用いてモニタリングすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項1に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品がパイプである場合、jを自然数とすると、
パイプの中心軸が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにし、
パイプの左側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの右側の面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用い、
パイプの上側の面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの下側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項2に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、パイプが嵌め込まれる溝であるパイプ用載置部を備え、パイプ用載置部に載置されたパイプを検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項3に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは半径が大きい大径部と半径が小さい小径部とが交互に形成され、前記溝部は小径部であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを自然数とすると、
足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過し、
足場板の下側の左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の下側の中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の下側の右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の最左側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の最右側の面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁の上側の面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項5に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアにおいて、足場板を載置する箇所を表示する足場板用載置部を形成し、足場板用載置部に載置された足場板を検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る発明の物品搬出モニタは、
請求項6に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは足場板を載置する足場板用載置部を表示する第1の色彩で表示され、また、他の箇所は足場板を設置しない箇所を表す第2の色彩で表示され、色分けすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、コンベアの搬送速度を速くしつつ検出感度を低くし、さらにパイプや足場板というように搬送方向に対して垂直方向に幅が異なるような検査対象物品に対しても良好に検出できるような物品搬出モニタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、本発明を実施するための最良の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本形態の物品搬出モニタの正面図である。図2は本形態の物品搬出モニタの説明図であり、図2(a)はモニタ部の内観図、図2(b)は物品搬出モニタの平面図である。図3は本形態の物品搬出モニタのA−A断面図である。
【0018】
このような物品搬出モニタ1は、原子力発電所等の放射性物質取扱施設内から搬出されるはしごや足場板、パイプ、クランプ材という物品のうち特に数が多いパイプや足場板(以下、総称する場合は単に検査対象物品という。)の検出に特化し、検査対象物品が放射性物質によって汚染されているか否かを検査するために用いられる。特に足場板、パイプという検査対象物品は長く、物品搬出モニタ1は長尺の検査対象物品に対応できるようになされている。物品搬出モニタ1は、放射性物質取扱施設の搬出口まで移送され、そこに設置されて使用される。
【0019】
本形態の物品搬出モニタ1は、図1で示すように、モニタ本体10、搬入コンベア20、搬出コンベア30、移動台車40を備える。
モニタ本体10は、放射線の検出器を内蔵して検査操作を実行するものであり、入出力部11、モニタ部12、モニタ本体入口13(図3参照)、状態表示部14(図3参照)を備えている。
【0020】
入出力部11は、検査対象物品が足場板かパイプかを設定する設定スイッチ、故障および異常が復旧した後に警報をリセットする警報リセットスイッチ、測定を開始させる測定開始スイッチ、測定を終了させる測定終了スイッチ、不良品を払い出すための不良品払出スイッチ、非常停止するための非常停止スイッチ(以上、入力部)、機器の故障や異常等の各種情報を表示するLCDによる操作表示器、検査結果を印字するプリンタ(以上、出力部)を備える。
【0021】
モニタ部12は、図1,図2(a),(b)で示すように、前側下面のβ線検出器121、前側上面のβ線検出器122、後側下面のβ線検出器123、後側上面のβ線検出器124、中間ローラ125、不図示の信号処理回路を備えている。モニタ部12内へ搬送された検査対象物品の上下面に対してβ線検出器121,122,123,124がそれぞれ放射線検査を行う。なお、β線検出器121,122,123,124の詳細な構成・機能については後に詳述する。
中間ローラ125は、β線検出器121,123の間に配置される。詳しい機能については後述する。
モニタ本体入口13は、図3で示すように、モニタ部12内への入口であり、反対側には不図示のモニタ本体出口も設けられている。
【0022】
状態表示部14は、図3で示すように、検査対象物品がモニタ本体10から全て搬出されて装置内部滞留等の異常がなくなったときに音声発生部(図示せず)の「ピンポン」という音の発生とともに点灯され、モニタ本体10へ次の検査対象物品を搬送可能であることを告げる。作業者が次の検査対象物品を搬入コンベア20へ載置し、入出力部11の測定開始ボタンの操作によってモニタ本体10へ検査対象物品が搬送され、モニタ部12で放射能汚染の有無が検査される。検査結果や設定値等は入出力部11のプリンタ(図示せず)で印刷される。
このようなモニタ本体10の入出力部11、モニタ部12、状態表示部14は信号処理や制御駆動を行う図示しない中央処理装置と接続され、信号処理・制御・駆動が一括して行われる。モニタ本体10はこのようなものである。
【0023】
搬入コンベア20は、モニタ本体10へ検査対象物品を搬入するものであり、多数のローラ21、脚22を備える。これらローラ21は、外枠に回転自在に支持され、例えば、駆動部により回転駆動させられて検査対象物品を搬入コンベア20の搬入経路上で搬入する駆動ローラであったり、さらには駆動ローラと従動ローラとを併せ持つようなローラである。この駆動ローラの駆動部は先に説明した図示しない中央処理装置と接続されて駆動制御される。脚22は搬入コンベア20を床面に対して支持する。
【0024】
搬出コンベア30は、モニタ本体10から検査対象物品を搬出するものであり、多数のローラ31、脚32を備える。これらローラ31は、外枠に回転自在に支持され、駆動部により回転駆動させられて検査対象物品を搬出コンベア30の搬出経路上で搬出する駆動ローラであったり、さらには駆動ローラと従動ローラとを併せ持つようなローラである。この駆動部は先に説明した図示しない中央処理装置と接続されて駆動制御される。脚32は搬出コンベア30を床面に対して支持する。
【0025】
移動台車40は、図1,図2,図3で示すように、タイヤ41、ドローバ42、横方向走行車輪43、ハンドル44、車輪止め45(図3参照)を備えている。
タイヤ41は、モニタ本体10の四隅付近で移動台車40の四カ所に設けられ、搬送方向と同じ方向(図1,図2では左右方向)に移動台車40を移動させる。
ドローバ42は、搬入側(図1では左側)のタイヤ41の車軸に連結されており、モニタ本体10を積載した移動台車40を移動させる際にかじ取りをする部材である。
【0026】
横方向走行車輪43は、モニタ本体10の四隅付近の前後両側の4ヵ所に備えられる。タイヤ41の移動方向に対して直角方向である横方向(図2では上下方向)に移動させる車輪である。
ハンドル44も、モニタ本体10の四隅付近の前後両側の4ヵ所に備えられる。
車輪止め45は横方向走行車輪43を停止させる。
【0027】
このような移動台車40では、あるハンドル44と、その付近にある横方向走行車輪43とは、図示しない横方向走行車輪昇降手段と機械的に連動するように構成されており、ハンドル44の操作により、横方向走行車輪43がタイヤ41を持ち上げて移動台車40を支える位置まで横方向走行車輪43を下降させる。
【0028】
この状態においては、横方向走行車輪43が移動台車40を移動させるため、物品搬出モニタ1は人力によっても容易に横方向へ移動する。また、タイヤ41が移動台車40を支えて移動させる位置まで横方向走行車輪43を上昇させたりする。この状態においては、タイヤ41が移動台車40を移動させるため、物品搬出モニタ1は人力によっても容易に搬送方向へ移動する。
【0029】
このような移動台車40により、入り込んだ狭い場所の正面に物品搬出モニタ1を横付けして設置する場合、物品搬出モニタ1が設置状態と平行な状態になるように、入り込んだ狭い場所の正面の前方の広い場所まで、物品搬出モニタ1をタイヤ41及びドローバ42で移動させ、この場所において、ハンドル44を操作して横方向走行車輪昇降手段によって横方向走行車輪43を下降させてタイヤ41を持ち上げた後、横方向走行車輪43によって設置位置まで物品搬出モニタ1を横方向移動させて所望の位置に設置する。その後に、横方向走行車輪43は、図3で示すように車輪止め45に載置されて移動しないようにする。移動台車40はこのようなものである。
【0030】
続いて、β線検出器121,122,123,124の詳細な構成について説明する。
図4は、検出器の詳細を説明する説明図である。モニタ部12の検出器は、図4に示すように、β線検出器121である前側下面検出器121、β線検出器122である前側上面検出器122、β線検出器123である後側下面検出器123、β線検出器124である後側上面検出器124を備える。このモニタ部12の検出器を検査対象物品2が通過する。
【0031】
前側下面検出器121は、検査対象物品2の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)が並べられて配置される。
【0032】
前側上面検出器122は、検査対象物品2の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)が並べられて配置される。
【0033】
後側下面検出器123は、検査対象物品2の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)が並べられて配置される。
【0034】
後側上面検出器124は、検査対象物品2の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置される。本形態ではn=10として、左側から後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)が並べられて配置される。
【0035】
本形態では前後上下で10個ずつ計40個のセンサが並べられている。10個の前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)から10の前側下面検出信号(1)〜前側下面検出信号(10)が、10個の前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)から10の前側上面検出信号(1)〜前側上面検出信号(10)が、10個の後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)から10の後側下面検出信号(1)〜後側下面検出信号(10)が、および、10個の後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)から10の後側上面検出信号(1)〜後側上面検出信号(10)が、図示しない中央処理装置に入力される。中央処理装置は、検査対象物品2の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号とし、モニタリングを行う。なお、検査対象物品2の種類は入出力部11の設定スイッチにより判定され、また、検査対象物品2の搬送位置は、例えば、図示しない検査対象物品検出センサ等により容易に判定される。
【0036】
このように分割した前側下面センサ(1)〜前側下面センサ(10)、前側上面センサ(1)〜前側上面センサ(10)、後側下面センサ(1)〜後側下面センサ(10)、および、後側上面センサ(1)〜後側上面センサ(10)を配置して、検出信号の上下合算、前後合算、左右合算を行うため以下のような利点が見込める。
【0037】
上下合算の利点としては、例えば、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
が挙げられる。
【0038】
上記(a)について、検査対象物品2として側面が曲面状であるパイプや、側面が垂直面状である足場板のように、上下に放射線が照射される側面を有する場合には、上下センサで検出して合算処理を行うため、検査対象物品2に対する側面感度を向上させることができる。
また、上記(b)について、上下センサで検出してアンチコインシデンス処理を行うため、γBGの影響を低減させることができる。
【0039】
前後合算の利点として、例えば、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
が挙げられる。
【0040】
上記(c),(d)について、前後のセンサでの合算処理により全体感度を向上させて検査対象物品2の搬送方向の検出機会を増やすことができるため、搬入コンベア20および搬出コンベア30の搬送速度を上昇させることができる。
搬送速度と検出能力との関係は次式(JIS式)のようになる。
【0041】
【数1】
【0042】
条件は以下のようになる。
・使用線源 :Co−60
・線源面積 :100×100mm
・検出器効率:平均機器効率(純β線での効率)
・線源効率 :0.25
・BG :0.1μSv/h
【0043】
このうち搬送速度が速くなれば測定時間Tは少なくなるため、最小検出表面積M1は大きくなり、センサの検出感度Yは高くなる。一方、搬送速度が遅くなれば測定時間Tは多くなるため、最小検出表面積M1は小さくなり、センサの検出感度は低くなる。本形態では前後検出により、測定時間Tを多くしており、検出感度を低くしている。この点については、上記のJIS式に基づく、図5の搬送速度と検出感度との関係を示す特性図にも表されている。先に説明したCo−60で0.8Bq/cm2の管理基準を満たすためには、検出感度が約0.5Bq/cm2確保できるコンベヤ速度40mm/sec以上、検出感度が約0.6Bq/cm2確保できるコンベヤ速度60mm/sec以下の速度を選択できる。これにより、比較的高速な搬送速度、および、管理基準を満たすような検出感度を確保できる。
【0044】
例えば、個々のセンサの大きさが搬送方向で310mm、コンベヤ速度40mm/secとした場合、前後のセンサを合算するため、測定時間は、310mm×2/40mm/sec=15.5secとなる。測定時間15.5sec、コンベア速度40mm/sec、検出距離50mmでの検出感度はCo−60で約0.5Bq/cm2となり、管理基準である0.8Bq/cm2よりも低くなり、管理基準を十分に満足する。
【0045】
一般化すれば前側下面検出器の前側下面センサ(i)からの前側下面検出信号(i)および後側下面検出器の後側下面センサ(i)からの後側下面検出信号(i)を合算し、または、前側上面検出器の前側上面センサ(i)からの前側上面検出信号(i)および後側上面検出器の後側上面センサ(i)からの後側上面検出信号(i)を合算するようにする。これにより搬送方向の検出機会を増やすとともに、搬入コンベアおよび搬出コンベアの搬送速度を上昇させることができる。
【0046】
左右合算の利点としては、例えば、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
が挙げられる。
【0047】
上記(e)について、例えば、本形態の10個のセンサと同じ面積となる一個の大型のセンサを用いたとするとこの大型のセンサはバックグラウンドノイズを広い面積で拾うため検出信号がノイズに埋もれるおそれがあるが、本形態では左右方向でセンサを分割して個々のセンサの検出面積を少なくしており、また、合算しても検出面積は全面よりも少ないものであり、その結果、検出するバックグラウンドノイズを少なくできるという利点がある。
【0048】
上記(f)について、各センサはセンサ全面で検出できるようにして、左右で隣接するセンサとの合算処理をおこなっており、センサつなぎ目の感度低下防止できるという利点がある。
【0049】
上記(g)について、検査対象物品2がパイプのように横方向に幅が狭い場合や、足場板のように横方向に幅が広い場合でも、横方向のセンサからの出力を適宜合算することで、検査対象物品2の幅に応じた必要かつ最少限の検出領域が確保でき、最適な検出ができるという利点がある。
【0050】
このように本発明の物品搬出モニタ1ではユニット化したセンサを上下・前後・左右に多く並べ、センサからの信号に対し信号処理の工夫をすることで測定対象物に応じて最も効率良く測定する方式としたものであり、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
を実現する。
【0051】
続いて検査対象物品がパイプである場合の物品搬出モニタの動作・機能について図を参照しつつ説明する。図6はモニタ部におけるパイプの検出位置を説明する説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図、図6(c)は側面図である。図7はモニタ部におけるセンサとパイプと位置関係を説明する説明図である。図8はセンサの合算関係を説明する説明図であり、図8(a)はA面,B面の検出の説明図、図8(b)はC面,D面の検出の説明図である。
【0052】
センサは横方向に10個並べられており、jを1から9までの自然数とすると、図6(a),(b),(c)からも明らかなように、パイプ(j)は、パイプ(j)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにしている。
【0053】
例えばj=1を考えると、図6,図7でも明らかなように、パイプ(1)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(1)と前側下面センサ(2)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(1)と前側上面センサ(2)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(1)と後側下面センサ(2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(1)と後側上面センサ(2)との境界面、を通過する。
【0054】
また、j=2を考えると、図6,図7でも明らかなように、パイプ(2)の中心が前側下面検出器の前側下面センサ(2)と前側下面センサ(3)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(2)と前側上面センサ(3)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(2)と後側下面センサ(3)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(2)と後側上面センサ(3)との境界面、を通過する。以下、j=3,4,・・・,8,9において同様となる。
【0055】
続いて、各面の検出について説明する。ここにパイプ(j)は左面をA面、右面をB面、上面をC面、下面をD面としている。それぞれ4分割した円弧状の面である。
パイプ(j)の左側のA面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用いる。
【0056】
パイプ(j)の右側のB面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用いる。
【0057】
このようにパイプ(j)の側面であるA面,B面の検出時には、放射面が複雑な形状であることに加えてセンサまでの距離が長いため、上下合算および前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0058】
パイプ(j)の上側のC面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用いている。なお、jでなくj+1としても良い。
パイプ(j)の下側のD面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用いている。なお、jでなくj+1としても良い。
【0059】
このようにパイプ(j)の上下面であるC面,D面の検出時には、放射面が複雑な形状であるがセンサまでの距離が短いため、前後合算のみを行うようにして、側面の検出能力に近いような検出能力を確保して、全体の検出能力を平坦化している。センサを左右合算しないため、効率は1/2となるが、前後のセンサを合算することにより、測定時間を2倍とし、搬送速度を高速化できる。
【0060】
例えば、図8(a)で示すように、上記したパイプ(1)の左側のA面の検出は、波線を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)、後側下面センサ(1)からの後側下面検出信号(1)、および、後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。
【0061】
また、パイプ(1)の右側のB面の検出は、白色を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(2)からの前側下面検出信号(2)、前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)、後側下面センサ(2)からの後側下面検出信号(2)、および、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
【0062】
また、図8(b)で示すように、上記したパイプ(1)の上側のC面の検出は、斜線を付したセンサにより行われ、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)および後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。なお、前側上面検出信号(2)と後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いても良い。
また、上記したパイプ(1)の下側のD面の検出は、点描を付したセンサにより行われ、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)および後側下面センサ(1)からの後側下面検出信号(1)を合算した信号を用いる。なお、前側下面検出信号(2)と後側下面検出信号(2)を合算した信号を用いても良い。
【0063】
物品搬出モニタ1は、上記のようにパイプのモニタリングを行うことで、センサまでの距離の長短による影響を少なくして、パイプの各面における検出能力を平坦化しており、曲面形状に影響されることなく各面の検出を行うことができる。
さらに、パイプは全面が曲面であるため確実な検出を行うためには通常では搬送速度を小さくして検出する必要があるが、本形態ではいずれの場合も前後合算は必ず行うようにしているため、搬送速度を大きくすることができる。
【0064】
なお、パイプとセンサとの位置関係は、厳しく決定される必要がある。そこで、ローラ上でパイプの位置決めが行われる。この点について図を参照しつつ説明する。図9はローラにおけるパイプ載置部の説明図である。図2で示す搬入コンベア20のローラ21にはパイプと曲率半径が同じであるような湾曲した溝であって断面で鼓状となるようなパイプ用載置部211が、および、搬出コンベア30のローラ31にも同様な形状のパイプ用載置部311が設けられる。また、図2(a)で示す中間ローラ125でも同様の形状のパイプ用載置部が採用され、β線検出器123,124の手前で再度位置決めが行われる。これらパイプ用載置部211,311内にパイプが載置されると、パイプ用載置部211,311に載置されたパイプが上記したようなセンサの検出位置へ誘導するように位置決めされる。このため、正確な検出が可能である。
【0065】
続いて検査対象物品が足場板である場合の物品搬出モニタの動作・機能について図を参照しつつ説明する。図10はモニタ部における足場板の検出位置を説明する説明図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は背面図、図10(c)は側面図である。図11,図12はモニタ部におけるセンサと足場板との位置関係を説明する説明図である。図13はセンサの合算関係を説明する説明図であり、図13(a)はA面の検出の説明図、図13(b)はF面の検出の説明図、図13(c)はB面,C面,D面,E面の検出の説明図である。
【0066】
センサは横方向に10個並べられており、また、足場板として前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを1,2,3という自然数とすると、図10(a),(b),(c)からも明らかなように、足場板(k)は、足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過するようにしている。
【0067】
例えばk=1を考えると、図10,図11,図12でも明らかなように、足場板(1)は、足場板(1)の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(1)と前側上面センサ(2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(1)と後側上面センサ(2)との境界面を通過し、
足場板(1)の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(2)と前側上面センサ(3)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(2)と後側上面センサ(3)との境界面を通過し、
足場板(1)の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(3)と前側上面センサ(4)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(3)と後側上面センサ(4)との境界面を通過し、
足場板(1)の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(2)および前側下面センサ(3)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(2)および後側下面センサ(3)の検出面の上を通過するようにしている。
【0068】
またk=2を考えると、図10,図11,図12でも明らかなように、足場板(2)は、足場板(2)の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4)と前側上面センサ(5)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4)と後側上面センサ(5)との境界面を通過し、
足場板(2)の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(5)と前側上面センサ(6)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(5)と後側上面センサ(6)との境界面を通過し、
足場板(2)の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(6)と前側上面センサ(7)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(6)と後側上面センサ(7)との境界面を通過し、
足場板(2)の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(5)および前側下面センサ(6)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(5)および後側下面センサ(6)の検出面の上を通過するようにしている。以下、k=3でも同様となる。
【0069】
続いて、各面の検出について説明する。ここに足場板は板下面をA面、梁最外側面をB面、板上面をC面、梁内側右面をD面、梁内側左面をE面、梁上面をF面としている。
足場板(k)の下側のA面のうち左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の下側のA面のうち中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の下側のA面のうち右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0070】
このように足場板の下面であるA面の検出時には、センサまで距離が短いため、上下合算および前後合算を行わず左右合算のみ行うようにして、検出能力の平坦化に寄与するようにしている。
また、幅広であるA面の左側、中央、右側で検出面を分けているため、検出箇所の判別も可能としている。
【0071】
足場板(k)の第1の梁の最左側のB面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第3の梁の最右側のB面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0072】
このように足場板の梁の最外面であるB面の検出時には、センサまで距離が長いため、前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0073】
足場板(k)の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面をなすC面,D面,E面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面をなすC面,D面,E面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
【0074】
このように足場板の梁の内側であるC面,D面,E面の検出時には、センサまで距離が長いため、前後合算を行うようにして、検出能力を高めている。
【0075】
足場板(k)の第1の梁の上側のF面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第2の梁の上側のF面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用いる。
足場板(k)の第3の梁の上側のF面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用いる。
【0076】
このように足場板の梁であるF面の検出時には、センサまでの距離が短いため、上下合算および前後合算を行わず左右合算のみ行うようにして、検出能力を平坦化している。
【0077】
例えば、図13で示すように、上記した足場板(1)の下側のA面の検出が行われる。このうち、足場板(1)の下側のA面のうち左側の面の検出は、図13(a)で点描を付したセンサを用い、前側下面センサ(1)からの前側下面検出信号(1)および前側下面センサ(2)からの前側下面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の下側のA面のうち中央の面の検出は、図13(a)で斜線を付したセンサを用い、後側下面センサ(2)からの後側下面検出信号(2)および後側下面センサ(3)からの後側下面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の下側のA面のうち右側の面の検出は、図13(a)で波線を付したセンサを用い、前側下面センサ(3)からの前側下面検出信号(3)および前側下面センサ(4)からの前側下面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0078】
また、足場板(1)の第1の梁の最左側のB面の検出は、図13(b)で波線を付したセンサを用い、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)、および、後側上面センサ(1)からの後側上面検出信号(1)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第3の梁の最右側のB面の検出は、図13(b)で点描を付したセンサを用い、前側上面センサ(4)からの前側上面検出信号(4)、および、後側上面センサ(4)からの後側上面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0079】
足場板(1)の第1の梁と第2の梁との間にあるC面,D面,E面の検出は、図13(b)で白地を付したセンサを用い、前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)、および、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第2の梁と第3の梁との間にあるC面,D面,E面の検出は、図13(b)で網目を付したセンサを用い、前側上面センサ(3)からの前側上面検出信号(3)、および、後側上面センサ(3)からの後側上面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
【0080】
足場板(1)の第1の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で点描を付したセンサを用い、前側上面センサ(1)からの前側上面検出信号(1)および前側上面センサ(2)からの前側上面検出信号(2)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第2の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で斜線を付したセンサを用い、後側上面センサ(2)からの後側上面検出信号(2)および後側上面センサ(3)からの後側上面検出信号(3)を合算した信号を用いる。
足場板(1)の第3の梁の上側のF面の検出は、図13(c)で波線を付したセンサを用い、前側上面センサ(3)からの前側上面検出信号(3)および前側上面センサ(4)からの前側上面検出信号(4)を合算した信号を用いる。
【0081】
物品搬出モニタ1は、上記のように足場板のモニタリングを行うことで、センサまでの距離の長短による影響を少なくして、検出能力を平坦化している。
さらに、センサまでの距離が十分に近いA面,F面を除いては、前後合算を行うようにしているため、検出感度を低くしつつ搬送速度を速くすることができる。足場板に付着している天然核種が最も多く存在しているA面については、左右のセンサを合算し、BGを2倍とし、かつ左右センサのみ(前後合算はしない)で検出感度を算出することにより、検出感度の特出を防止し、搬送速度40mm/secにて、約0.72Bq/cm2とし、0.8Bqcm2に近づけている。
【0082】
また、A面及びF面の測定において、センサを左右合算することにより、効率の低下を防止している。
このように、本発明の物品搬出モニタで足場板を検出する場合、搬送速度40mm/secで足場板の各面において、60Coで0.8Bq/cm2を担保する。
以上、足場板用の物品搬出モニタについて説明した。なお、上記の4kー3,4kー2,4k−1,4kという一般化を行ったが、これ以外にも、例えば3k−2,3k−1,3k,3k+1という特定も可能である。k=1でそれぞれ1,2,3,4となる。
【0083】
なお、足場板とセンサとの位置関係は、厳しく決定される必要がある。そこで、ローラ上で足場板の位置決めが行われる。この点について図を参照しつつ説明する。図14はローラにおける足場板載置部の説明図である。図14で示す搬入コンベア20のローラ21や、搬出コンベア30のローラ31は、色分け(例えば、白地部が白色で斜線部が黒など)がなされており、足場板を載置する箇所を色にて表示する足場板用載置部212,312を形成し、足場板用載置部212,312に載置された足場板をセンサの検出位置へ誘導するようにした。これら足場板用載置部212,312内に足場板が載置されると、足場板が上記したようなセンサの検出位置へ誘導されるように位置決めされる。このため、正確な検出が可能である。なお、図14からも明らかなように、パイプ用載置部211,311と足場板用載置部212,312との両者をローラ21,31に併設することができるため、パイプと足場板との両者のモニタリングを可能とするような物品搬出モニタ1とすることができる。
【0084】
続いてローラのより具体的な例について図を参照しつつ説明する。図15はローラの詳細説明図であり、図15(a)は、ローラの完成図、図15(b)はライニング前の管の説明図、図15(c)は焼き付け塗装前のライニング部の説明図である。
パイプと足場板との両者のモニタリングを可能とするような物品搬出モニタ1では、図15(a)で示すように、ローラ21(31)において、パイプをパイプ用載置部211(311)に載置でき、また、足場を足場用載置部212(312)に配置できるようにする必要がある。
なお、パイプの足場用載置部212(312)とそれ以外の箇所の色分けについて、具体的には、ペンキなどの塗料による着色も可能であるが、パイプや足場が接触するとこすれて色が剥げ落ちることもある。そこで、以下のような製造方法にてローラを製造することで、色を落ちにくくしている。
【0085】
例えば、管213(313)は、図15(b)で示すような形状を有するものであり、鋼鉄またはステンレス、アルミ等の金属材料を筒状に加工したものである。管213(313)は、例えば、アルミ材を円筒形に引抜き加工した管材であるが、アルミ材に限らず、他の金属材料を円筒形に加工した管材でも使用可能である。このような管213(313)に対して、図15(b)で示すような、シート部214(314)を貼り合わせる。シート部214(314)は表面が粗面であり後述するが滑り止め用途で用いられる。
【0086】
続いてライニング部215(315)を形成する。形成に際し、まず、管213(313)の外周面にウレタンゴムを焼き付けて長尺円筒状のライニング管(図示せず)を形成する。ライニング管はシート部214(314)の存在により滑り等が生じることなく形成される。さらに、高熱状態のライニング管に対してパイプ用配置部211(311)を形成する箇所をローラ等で押圧して小径部217(317)を形成し、押圧されなかった箇所を大径部とする。小径部217(317)は、図9,図14で示すように湾曲した溝とすることもできるが、図15で示したように底面が直線状の溝部として、構造を簡略化しても良い。このような直線状および湾曲状のパイプ用配置部211(311)共に高精度な検出が可能であることが知見されている。このようにライニングにより構成するため、強度も強く耐久性が優れたライニング部となる。
【0087】
続いて、小径部217(317)・大径部216(316)が形成された直後のライニング部215(315)は高温であるため、通常のペンキなどの塗料を用いる着色では、流体の塗料が乾燥せずに流体のまま流れ落ちるおそれがある。そこで、ライニング部215(315)が高温でも良いように、焼き付け塗装により足場用載置部212(312)とそれ以外の箇所を着色する。焼き付け塗装では、加熱される事により塗膜に重合反応が起こり、緻密な塗膜が完成されるという塗料を用いるものであり、ライニング部215(315)が高温のまま塗装できるという利点がある。これにより、緻密な塗膜による足場用載置部213(313)とそれ以外の箇所が着色され、さらに冷却期間なども不要として塗装時間が長期化することがなくなる。
このようにして製造した図15で示す搬入コンベア20のローラ21や、搬出コンベア30のローラ31は、パイプを載置するパイプ用載置部211(311)や、足場を載置する足場用載置部212(312)が共に形成される。
【0088】
以上、本発明について説明した。
本発明の物品搬出モニタは個々のセンサを小型化して適宜合算する方式を採用した。この合算は、
(a)上下検出器での合算処理(側面感度向上)
(b)上下検出器でアンチコインシデンス処理(γBGの影響低減)
(c)前後の検出器での合算処理(全体感度の向上)
(d)隣の検出器との合算処理(検出器つなぎ目の感度低下防止)
という各種合算方式を選択できるため、(1)BGを低く抑え、検出感度を良くする、(2)周囲のBG雰囲気の変化に対しても影響を受けにくくする、(3)足場板等に付着する天然核種の影響で発生する「汚染」を少なくする、という利点がある。
【0089】
また、足場板のモニタリングの場合、足場板を裏返しで流して上記のような処理を行う。これにより足場板の最も感度低下部分(左右側面:B面、および、裏面の凹字状面:C面,D面,E面)の感度を上げるだけでなく、感度が高い足場板(A面,F面)の感度を落として感度の平坦化を実現する。また、センサの検出面を最小に抑えてバックグランドノイズによる影響を少なくし、足場板等に付着する天然核種の影響で発生する「汚染」を少なくする。
また、パイプのモニタリングの場合、上下面では前後での合算処理、左右面では前後上下の合算処理で側面感度向上を図る。
【0090】
このような本発明の物品搬出モニタ1は、
(a)上下センサでの合算処理による側面感度向上、
(b)上下センサでのアンチコインシデンス処理によるγBGの影響低減、
(c)前後のセンサでの合算処理による全体感度の向上、
(d)全体感度の向上による搬送速度の高速化、
(e)検出するバックグラウンドノイズの低減、
(f)左右で隣接するセンサとの合算処理によりセンサつなぎ目の感度低下防止、
(g)検査対象物品2の幅に応じた最適な検出、
という効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタの正面図である。
【図2】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタの説明図であり、図2(a)はモニタ部の内観図、図2(b)は物品搬出モニタの平面図である。
【図3】本発明を実施するための最良の形態の物品搬出モニタのA−A断面図である。
【図4】検出器の詳細を説明する説明図である。
【図5】搬送速度と検出感度との関係を示す特性図である。
【図6】モニタ部におけるパイプの検出位置を説明する説明図であり、図6(a)は平面図、図6(b)は背面図、図6(c)は側面図である。
【図7】モニタ部におけるセンサとパイプと位置関係を説明する説明図である。
【図8】センサの合算関係を説明する説明図であり、図8(a)はA面,B面の検出の説明図、図8(b)はC面,D面の検出の説明図である。
【図9】ローラにおけるパイプ載置部の説明図である。
【図10】モニタ部における足場板の検出位置を説明する説明図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は背面図、図10(c)は側面図である。
【図11】モニタ部における検出器と足場板との位置関係を説明する説明図である。
【図12】モニタ部における検出器と足場板との位置関係を説明する説明図である。
【図13】検出器の合算関係を説明する説明図であり、図13(a)はA面の検出の説明図、図13(b)はF面の検出の説明図、図13(c)はB面,C面,D面,E面の検出の説明図である。
【図14】ローラにおける足場板載置部の説明図である。
【図15】ローラの詳細説明図であり、図15(a)はローラの完成図、図15(b)はライニング前の管の説明図、図15(c)は焼き付け塗装前のライニング部の説明図である。
【符号の説明】
【0092】
1:物品搬出モニタ
10:モニタ本体
11:入出力部
12:モニタ部
121,122,123,124:β線検出器
13:モニタ本体入口
14:状態表示部
15:中間ローラ
20:搬入コンベア
21:ローラ
211:パイプ用載置部
212:足場板用載置部
213:管
214:シート部
215:ライニング部
216:小径部
217:大径部
22:脚
23:溝部
30:搬出コンベア
31:ローラ
311:パイプ用載置部
312:足場板用載置部
313:管
314:シート部
315:ライニング部
316:小径部
317:大径部
32:脚
33:溝部
40:移動台車
41:タイヤ
42:ドローバ
43:横方向走行車輪
44:ハンドル
2:検査対象物品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の、放射性物質による汚染の有無を検査するために、少なくとも、放射線の検出器を内蔵してモニタリングを行うモニタ部と、このモニタ部へ検査対象物品を搬入する搬入コンベアと、モニタ部から検査対象物品を搬出する搬出コンベアと、を有する物品搬出モニタにおいて、
モニタ部の検出器は、
検査対象物品の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側上面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側上面検出器と、
を有し、モニタ部は、
n個の前側下面センサ(n)からのnの前側下面検出信号、n個の前側上面センサ(n)からのnの前側上面検出信号、n個の後側下面センサ(n)からのnの後側下面検出信号、および、n個の後側上面センサ(n)からのnの後側上面検出信号を入力し、検査対象物品の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号を用いてモニタリングすることを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項2】
請求項1に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品がパイプである場合、jを自然数とすると、
パイプの中心軸が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにし、
パイプの左側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの右側の面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用い、
パイプの上側の面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの下側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項3】
請求項2に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、パイプが嵌め込まれる溝であるパイプ用載置部を備え、パイプ用載置部に載置されたパイプを検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項4】
請求項3に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは半径が大きい大径部と半径が小さい小径部とが交互に形成され、前記溝部は小径部であることを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを自然数とすると、
足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過し、
足場板の下側の左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の下側の中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の下側の右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の最左側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の最右側の面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁の上側の面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項6】
請求項5に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアにおいて、足場板を載置する箇所を表示する足場板用載置部を形成し、足場板用載置部に載置された足場板を検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項7】
請求項6に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは足場板を載置する足場板用載置部を表示する第1の色彩で表示され、また、他の箇所は足場板を設置しない箇所を表す第2の色彩で表示され、色分けすることを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項1】
放射性物質取扱施設の管理区域から搬出される物品の、放射性物質による汚染の有無を検査するために、少なくとも、放射線の検出器を内蔵してモニタリングを行うモニタ部と、このモニタ部へ検査対象物品を搬入する搬入コンベアと、モニタ部から検査対象物品を搬出する搬出コンベアと、を有する物品搬出モニタにおいて、
モニタ部の検出器は、
検査対象物品の搬送経路に対して前下側にあってn個(nは4以上の自然数)の前側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して前上側にあってn個の前側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された前側上面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後下側にあってn個の後側下面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側下面検出器と、
検査対象物品の搬送経路に対して後上側にあってn個の後側上面センサ(n)が搬送経路の略垂直方向に並べられて配置された後側上面検出器と、
を有し、モニタ部は、
n個の前側下面センサ(n)からのnの前側下面検出信号、n個の前側上面センサ(n)からのnの前側上面検出信号、n個の後側下面センサ(n)からのnの後側下面検出信号、および、n個の後側上面センサ(n)からのnの後側上面検出信号を入力し、検査対象物品の種類および搬送位置に応じてこれら信号を選択の上で合算した検出信号を用いてモニタリングすることを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項2】
請求項1に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品がパイプである場合、jを自然数とすると、
パイプの中心軸が前側下面検出器の前側下面センサ(j)と前側下面センサ(j+1)との境界面、前側上面検出器の前側上面センサ(j)と前側上面センサ(j+1)との境界面、後側下面検出器の後側下面センサ(j)と後側下面センサ(j+1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(j)と後側上面センサ(j+1)との境界面、を通過するようにし、
パイプの左側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)、後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)、および、後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの右側の面の検出は、前側下面センサ(j+1)からの前側下面検出信号(j+1)、前側上面センサ(j+1)からの前側上面検出信号(j+1)、後側下面センサ(j+1)からの後側下面検出信号(j+1)、および、後側上面センサ(j+1)からの後側上面検出信号(j+1)を合算した信号を用い、
パイプの上側の面の検出は、前側上面センサ(j)からの前側上面検出信号(j)および後側上面センサ(j)からの後側上面検出信号(j)を合算した信号を用い、
パイプの下側の面の検出は、前側下面センサ(j)からの前側下面検出信号(j)および後側下面センサ(j)からの後側下面検出信号(j)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項3】
請求項2に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、パイプが嵌め込まれる溝であるパイプ用載置部を備え、パイプ用載置部に載置されたパイプを検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項4】
請求項3に記載の物品搬出モニタにおいて、
パイプを搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは半径が大きい大径部と半径が小さい小径部とが交互に形成され、前記溝部は小径部であることを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記検査対象物品が上面に三本の梁があるような足場板である場合、kを自然数とすると、
足場板の上面の左側の第1の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−3)と前側上面センサ(4k−2)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−3)と後側上面センサ(4k−2)との境界面を通過し、
足場板の上面の中央の第2の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−2)と前側上面センサ(4k−1)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−2)と後側上面センサ(4k−1)との境界面を通過し、
足場板の上面の右側の第3の梁が前側上面検出器の前側上面センサ(4k−1)と前側上面センサ(4k)との境界面、および、後側上面検出器の後側上面センサ(4k−1)と後側上面センサ(4k)との境界面を通過し、
足場板の下面が前側下面検出器の前側下面センサ(4k−2)および前側下面センサ(4k−1)の検出面の上、ならびに、後側下面検出器の後側下面センサ(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)の検出面の上を通過し、
足場板の下側の左側の面の検出は、前側下面センサ(4k−3)からの前側下面検出信号(4k−3)および前側下面センサ(4k−2)からの前側下面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の下側の中央の面の検出は、後側下面センサ(4k−2)からの後側下面検出信号(4k−2)および後側下面センサ(4k−1)からの後側下面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の下側の右側の面の検出は、前側下面センサ(4k−1)からの前側下面検出信号(4k−1)および前側下面センサ(4k)からの前側下面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の最左側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)、および、後側上面センサ(4k−3)からの後側上面検出信号(4k−3)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の最右側の面の検出は、前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)、および、後側上面センサ(4k)からの後側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁と第2の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁と第3の梁との間にある上側の略コ字状の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第1の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−3)からの前側上面検出信号(4k−3)および前側上面センサ(4k−2)からの前側上面検出信号(4k−2)を合算した信号を用い、
足場板の第2の梁の上側の面の検出は、後側上面センサ(4k−2)からの後側上面検出信号(4k−2)および後側上面センサ(4k−1)からの後側上面検出信号(4k−1)を合算した信号を用い、
足場板の第3の梁の上側の面の検出は、前側上面センサ(4k−1)からの前側上面検出信号(4k−1)および前側上面センサ(4k)からの前側上面検出信号(4k)を合算した信号を用い、
モニタリングを行うことを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項6】
請求項5に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアにおいて、足場板を載置する箇所を表示する足場板用載置部を形成し、足場板用載置部に載置された足場板を検出部の検出位置へ誘導することを特徴とする物品搬出モニタ。
【請求項7】
請求項6に記載の物品搬出モニタにおいて、
前記足場板を搬送する搬送する搬入コンベアおよび搬出コンベアは、多数のローラを並べたものであり、このローラは足場板を載置する足場板用載置部を表示する第1の色彩で表示され、また、他の箇所は足場板を設置しない箇所を表す第2の色彩で表示され、色分けすることを特徴とする物品搬出モニタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−249692(P2008−249692A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37368(P2008−37368)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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