説明

物品搬送装置

物品を搬送するための送り手段を利用して、タクトタイムに影響を与えることなく、安価に一時ストックできるようにした物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】通常は、収納装置11の最下段の棚10A上面は搬送シュート2A、2Bの搬送面5と同じ面位置にあり、この棚10Aを搬送路の一部として使用する。しかし、前後工程間でトラブルが発生した際には、各セラミック基板Pが搬送されて収納装置11の最下段の棚10A上にセラミック基板Pがある場合には、駆動モータ15の駆動により収納装置本体13を1ピッチ分下降させ、次いで送り装置3による次の搬送により収納装置11の下から2段目の棚10B上に搬送し、再度駆動モータ15の駆動により収納装置本体13を1ピッチ分下降させて下から3段目の棚10Bを搬送レベルとするというように、順次セラミック基板Pを一時ストックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を形成する搬送シュート上の物品を順次送り手段により間欠送りすると共に前記搬送路の途中に前記物品を一時ストックできるバッファ装置を備えた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送路を形成する搬送シュート上の物品であるプリント基板を送り手段により間欠送りする搬送装置は、例えば特許文献1などで知られている。
【特許文献1】特開2003−78297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そして、前後工程間でトラブルが発生した場合には、プリント基板を搬送シュート上から取り出して、例えばマガジンなどに一時ストックしていたために、構造が複雑でコスト高で、タクトタイムも掛かって生産効率が悪かった。
【0004】
そこで本発明は、物品を搬送するための送り手段を利用して、タクトタイムに影響を与えることなく、安価に一時ストックできるようにした物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、搬送路を形成する搬送シュート上の物品を順次送り手段により間欠送りすると共に前記搬送路の途中に前記物品を一時ストックできるバッファ装置を備えた物品搬送装置において、前記バッファ装置を上下に所定間隔を存して設けられた複数段の棚を駆動源により上昇又は下降可能に構成し、通常の前記物品の前記送り手段による搬送の際には前記バッファ装置の所定の前記棚を搬送路の一部として使用することを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、搬送路を形成する搬送シュート上の物品を順次送り手段により間欠送りすると共に前記搬送路の途中に前記物品を一時ストックできるバッファ装置を備えた物品搬送装置において、前記バッファ装置を上下に所定間隔を存して設けられた複数段の棚を駆動源により上昇又は下降可能に構成し、通常の前記物品の前記送り手段による搬送の際には前記バッファ装置の所定の前記棚を搬送路の一部として使用すると共に、バッファ装置本来として使用する場合には前記送り手段により前記各棚上に物品が搬送された後に前記駆動源により1ピッチ分上昇又は下降して順次前記物品をストックするようにしたことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2の物品搬送装置に係る発明において、前記バッファ装置に前記送り手段により搬送されて来た物品を落下させる案内シュートを設けたことを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、第1又は第2の物品搬送装置に係る発明において、前記バッファ装置上には、複数段の棚が上下に間隔を存して設けられた収納棚装置が載置可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、物品を搬送するための送り手段を利用して、タクトタイムに影響を与えることなく、安価に一時ストックできるようにした物品搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の物品搬送装置を図に基づき説明するが、この物品はプリント基板等の各種基板や、電子部品などが考えられるが、本実施形態では電子部品(ダイなど)が装着されるセラミック基板を扱う電子部品装着装置におけるセラミック基板搬送装置について説明する。
【0011】
先ず、1は電子部品装着装置におけるセラミック基板搬送装置で、大きく分けて搬送路を形成する搬送シュート2と、この搬送シュート2上のセラミック基板Pを間欠送りする送り装置3と、前記搬送路の途中、即ち上流側搬送シュート2Aと下流側搬送シュート2Bとの間に設けられて複数の前記セラミック基板Pを一時ストックできるバッファ装置4とを備えている。
【0012】
前記搬送シュート2A、2Bは、上面が開口せる断面がコ字形状を呈しており、搬送面5上のセラミック基板Pを送り装置3により搬送する際に案内する。前記送り装置3は、搬送路に沿って設けられて駆動源(図示せず)により一定範囲で揺動すると共に他の駆動源(図示せず)により搬送路に沿って往復移動(水平方向に)する支軸体6と、この支軸体6に所定間隔を存して設けられ先端に送り爪7を備えた断面L字形状の送り竿8とを備えている。
【0013】
前記バッファ装置4は、上下に所定間隔を存して複数段の棚10が設けられた収納装置11と、この収納装置11を昇降可能とする昇降装置12とを備えている。そして、上下に所定間隔を存して複数段の棚10が設けられた収納装置本体13の背面(棚10が設けられていない面)に設けられたナット部14に駆動モータ15の出力軸16が螺合し、この駆動モータ15の駆動により収納装置本体13がガイド(図示せず)に案内されて昇降される構成である。
【0014】
なお、前記収納装置11の棚10が設けられている側は、送り竿8が収納装置11内に入り込んで、前記棚10上のセラミック基板Pに送り爪7が係合したり又は係合を解除したりして移動できるように開口されている。即ち、棚10はセラミック基板Pを載置する平板部を備え、この平板部の送り装置3側の端部には立上がり壁が形成されており、搬送方向と直交する方向への移動を規制している。また、前記収納装置11の棚10が設けられている側の最下部には前記送り爪7により搬送されて来たセラミック基板Pを落下させる案内シュート18が設けられ、送り装置3方向に向けて落下するように傾斜している。
【0015】
以上のような構成により、以下動作について説明する。先ず、通常のセラミック基板Pの送り爪7による搬送について説明すると、前記収納装置11の最下段の棚10Aの上面10aは搬送シュート2A、2Bの搬送面5と同じ高さの位置にあり、この棚10Aを搬送路の一部として使用する。
【0016】
即ち、駆動源(図示せず)により支軸体6を回動させて、各送り竿8を下方へ揺動させることにより各送り爪7下端が各セラミック基板Pに係合可能とし、次に他の駆動源(図示せず)により搬送シュート2A、2Bの搬送面5及び前記収納装置11の最下段の棚10A上面上を各セラミック基板Pが図1に矢印20に示した方向に摺動させるように往動(左方から右方)して、搬送シュート2B上のセラミック基板Pを1ピッチ分より下流側に搬送すると共に収納装置11の最下段の棚10A上のセラミック基板Pを搬送シュート2B上に搬送し且つ搬送シュート2A上のセラミック基板Pを収納装置11の最下段の棚10A上に搬送する。
【0017】
その後、駆動源(図示せず)により支軸体6を回動させて、各送り竿8を上方へ揺動させて各送り爪7下端の各セラミック基板Pへの係合を解除して、次に他の駆動源(図示せず)により支軸体6を復動(右方から左方)して元の位置に戻す。
【0018】
以上の動作を繰り返すことにより、順次各セラミック基板Pを下流側へ搬送するものである。ここで、前後工程間でトラブルが発生した場合には、後工程が処理できないにも拘わらずこのまま搬送させると不都合であるので、バッファ装置4が本来の役割を発揮することとなる。
【0019】
即ち、前述したように、各セラミック基板Pが搬送されて収納装置11の最下段の棚10A上にセラミック基板Pがある場合には、駆動モータ15の駆動により収納装置本体13を1ピッチ分下降させ、次いで前述したような送り装置3による次の搬送により収納装置11の下から2段目の棚10B上に搬送し、再度駆動モータ15の駆動により収納装置本体13を1ピッチ分下降させて下から3段目の棚10Bを搬送レベルとするというように、順次セラミック基板Pを一時ストックする。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、セラミック基板Pを搬送するための送り爪7を利用し、タクトタイムに影響を与えることなく、安価に一時ストックできるバッファ装置4を備えた物品搬送装置を提供することができる。
【0021】
なお、次に収納装置本体13内に送り装置3により搬送される前記セラミック基板Pが不良品であるとか、正規なものとして搬送を中止して回収したい場合などが発生した場合には、送り装置3による搬送前に、駆動モータ15の駆動により収納装置本体13を上昇させて、案内シュート18の位置が図3の点線に示す位置となるように上昇させる。従って、送り装置3により搬送シュート2Aから搬送されるセラミック基板Pは案内シュート18上を摺動して落下し、図示しない回収箱などに回収される。これにより、セラミック基板Pを一時ストックするという本来の機能の他に、次々にセラミック基板Pを回収するという機能も発揮できる。
【0022】
なお、本実施形態では、収納装置11の最下段の棚10Aの上面10aが搬送シュート2A、2Bの搬送面5と同じた高さの位置としてこの棚10Aを搬送路の一部として使用し、バッファ装置4としての本来の機能を発揮するときには、収納装置11を順次下降させてより上段の棚10に一時ストックするようにしたが、これに限らず、収納装置11の最上段の棚10上面が搬送シュート2A、2Bの搬送面5と同じ面位置としてこの最上段の棚10を搬送路の一部として使用し、バッファ装置4としての本来の機能を発揮するときには、収納装置11を順次上昇させてより下段の棚10に一時ストックするようにしてもよい。
【0023】
さらには、案内シュートを前記収納装置11の棚10が設けられている側の最下部に送り装置3方向に向けてセラミック基板Pが落下するように傾斜させて設けたが、これに限らず、収納装置本体13の上部や中間部に設けたり、セラミック基板Pの送り方向の斜め下方に傾斜させたり、その他の方向に向けて傾斜させてもよい。
【0024】
なお、図3の点線で示したように、収納装置本体13上には複数段の棚10Cが上下に間隔を存して設けられた収納棚装置17が着脱可能に載置される。即ち、収納装置本体13の上面には単数又は複数の位置決めピン13Aが設けられ、収納棚装置17の下面には前記位置決めピン13Aに対応して挿入される位置決め孔17Aが形成され、必要に応じて収納装置本体13上に収納棚装置17を載置して取付けたり又は取外しができる(着脱可能)。従って、収納棚装置17を補給カートリッジとして収納装置本体13に接続(載置だけ又は載置して更に固定)することによって、バッファ装置4の基板収納枚数を増加させることができる。
【0025】
また、収納棚装置17を収納装置本体13に取り付ける際に収納棚装置17を案内するガイドを収納装置本体13に設け、収納装置本体13に対して収納棚装置17を着脱可能としてもよい。
【0026】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】セラミック基板搬送装置の平面図である。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】バッファ装置の右側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 セラミック基板搬送装置
2 搬送シュート
3 送り装置
4 バッファ装置
5 搬送面
10 棚
10A 最下段の棚
11 収納装置
13 収納装置本体
13A 位置決めピン
15 駆動モータ
17 収納棚装置
17A 位置決め孔
18 案内シュート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路を形成する搬送シュート上の物品を順次送り手段により間欠送りすると共に前記搬送路の途中に前記物品を一時ストックできるバッファ装置を備えた物品搬送装置において、前記バッファ装置を上下に所定間隔を存して設けられた複数段の棚を駆動源により上昇又は下降可能に構成し、通常の前記物品の前記送り手段による搬送の際には前記バッファ装置の所定の前記棚を搬送路の一部として使用することを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
搬送路を形成する搬送シュート上の物品を順次送り手段により間欠送りすると共に前記搬送路の途中に前記物品を一時ストックできるバッファ装置を備えた物品搬送装置において、前記バッファ装置を上下に所定間隔を存して設けられた複数段の棚を駆動源により上昇又は下降可能に構成し、通常の前記物品の前記送り手段による搬送の際には前記バッファ装置の所定の前記棚を搬送路の一部として使用すると共に、バッファ装置本来として使用する場合には前記送り手段により前記各棚上に物品が搬送された後に前記駆動源により1ピッチ分上昇又は下降して順次前記物品をストックするようにしたことを特徴とする物品搬送装置。
【請求項3】
前記バッファ装置に前記送り手段により搬送されて来た物品を落下させる案内シュートを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記バッファ装置上には、複数段の棚が上下に間隔を存して設けられた収納棚装置が着脱可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−161400(P2007−161400A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358807(P2005−358807)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(300022504)株式会社日立ハイテクインスツルメンツ (607)
【Fターム(参考)】