説明

物品検査装置および物品検査システム

【課題】被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる物品検査装置および物品検査システムを提供すること。
【解決手段】被検査物Wを所定の検査条件で検査する計量部72と、計量部72で用いる検査条件および生産管理情報を含む複数の設定情報の設定と、生産管理情報と検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、生産管理情報、対応情報、および計量部72により検査された被検査物Wの検査結果の統計情報の記憶と、を行う操作部11と、検査条件および対応情報を複数記憶し、記憶された対応情報と操作部11に記憶された対応情報とに基づいて、操作部11で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する設定管理部73と、設定管理部73が選択した検査条件を用いて計量部72に被検査物Wを検査させる制御部74と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物について品質の検査を行う物品検査装置および物品検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、食品や薬品等の製造ラインに設けられ、その重量、形状、異物の混入の有無といった品質を検査する物品検査装置は、検査対象とする被検査物の特性に応じて各種検査パラメータ(検査条件)を調整および設定し、検査結果の信頼性を維持および向上できるようになっている。
【0003】
従来、この種の物品検査装置としては、被検査物の良否判定のための上限値、下限値、基準値等の検査パラメータを50〜200といった品種数分記憶して被検査物に応じて切り替えて使用し、また、被検査物の検査結果を含むデータを統計データとして被検査物の品種毎に記憶するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6は、従来の物品検査装置のテーブル構造を示す。図に示すように、従来の物品検査装置では、管理番号毎に、品名、検査結果の統計、検査に用いる基本設定をするように構成されており、例えば、管理番号"001"に、品名として"サンドイッチ"を、また、このサンドイッチの重量の検査のための基本設定として、ワーク長が"200mm"、基準値が"300g"、下限値が"280g"、上限値が"320g"等のパラメータを登録しておき、検査後の検査結果として、総数が"1000"、OK品数が"998"、NG品数が"2"等のデータが記憶されるようになっている。このテーブル構造においては、管理番号が"002"で品名が"おにぎり(鮭)"の被検査物と、管理番号が"005"で品名が"おにぎり(うめ)"の被検査物と、管理番号が"006"で品名が"おにぎり(ツナマヨ)"の被検査物と、管理番号が"007"で品名が"おにぎり(おかか)"の被検査物は、何れも"おにぎり"の一種類であるため検査の基本設定が同一であるが、統計を個別に管理する等の理由により、互いに異なる管理番号を付して管理されている。
【0005】
ところで、近年では、プライベートブランド(PB)の増加、消費者の嗜好の多様化などの理由により、多品種少量生産化が進み、内容物が同じで包装のみが異なる製品や、特定の時期のみに限定品として販売される製品も増えている。そのため、従来の物品検査装置の保存可能な品種数では記憶領域が足りなくなる恐れがあった。
【0006】
そこで、この種の物品検査装置としては、検査管理データが有効期限情報を含み、有効期限が経過した検査管理データを削除等することにより、検査管理データを整理して、検査管理データのデータ量の削減を図るようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−250703号公報
【特許文献2】特開2008−185540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載されたものは、有効期限が経過した古い管理データに対しては、これを削除してデータ量を削減することはできても、多品種少量生産化により増大するデータ量に対しては十分に対応することができなかった。
【0009】
一方、データ量を抑制するために、検査のための基本設定が同一の商品を同じ管理番号および品名として登録するとともに、予め作成した商品名と基本設定との対応関係の一覧表を物品検査装置に掲示しておき、この一覧表を参照することで、検査対象の商品名から検査をするための品名および基本設定を特定することが行われているが、実際の商品名と物品検査装置における品名が異なってしまう等の理由により、品名、統計等の生産管理に必要なデータと、基本設定等の検査に必要なデータを容易に管理することができないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる物品検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る物品検査装置は、被検査物を所定の検査条件で順次検査する検査手段と、前記検査手段で用いる検査条件、および前記検査条件以外の情報である生産管理情報を含む前記被検査物に関する複数の設定情報の設定と、前記生産管理情報と前記検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、前記生産管理情報、前記対応情報、および前記検査手段により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う生産管理情報管理手段と、前記検査条件および前記対応情報を複数記憶し、前記記憶された対応情報と前記生産管理情報管理手段に記憶された対応情報とに基づいて、前記生産管理情報管理手段で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、前記検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、被検査物に関する複数の設定情報のうち、検査条件を検査条件管理手段に記憶するとともに、生産管理情報および統計情報を生産管理情報管理手段に記憶して、これら検査条件と生産管理情報および統計情報を対応情報により対応付けているので、同一の検査条件が重複して物品検査装置に記憶されることが防止され、検査条件管理手段に記憶する検査条件のデータ量の増大を抑制することができる。また、生産管理情報および統計情報は対応情報により検査条件と対応付けられて被検査物の種類毎に記憶されるので、生産管理情報および統計情報を容易に管理することができる。
【0013】
したがって、被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる。
【0014】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記生産管理情報が前記被検査物の種類を定める商品コードを含み、前記生産管理情報管理手段が、前記商品コード毎に前記対応情報および前記統計情報を記憶することを特徴とする。
【0015】
この構成により、商品コードにより生産管理情報、対応情報および統計情報を管理することができる。
【0016】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記生産管理情報管理手段が、生成した対応情報毎に前記統計情報を算出することを特徴とする。
【0017】
この構成により、対応情報に対応する検査条件毎に統計情報を算出することができるので、種類が異なるが検査条件が同一の被検査物についての統計情報を算出することができる。
【0018】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記生産管理情報管理手段が、前記統計情報に応じて前記検査条件管理手段が記憶する検査条件を変更することを特徴とする。
【0019】
この構成により、統計情報の変化に対応して検査条件を変更することができる。
【0020】
また、本発明に係る物品検査装置は、前記生産管理情報管理手段が情報の表示を行う表示手段を備え、前記生産管理情報管理手段で設定された生産管理情報に対応する検査条件が前記検査条件管理手段に記憶されていないときは、前記生産管理情報管理手段が、前記検査条件の設定を促す画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0021】
この構成により、検査条件が検査条件管理手段に記憶されていないときは、利用者は、検査条件の設定を促す画面に従って検査条件を入力して被検査物の検査を行うことができる。
【0022】
また、本発明に係る物品検査システムは、検査装置で用いる検査条件、および前記検査条件以外の情報である生産管理情報を含む前記被検査物に関する複数の設定情報の設定と、前記生産管理情報と前記検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、前記生産管理情報、前記対応情報、および前記検査装置により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う生産管理情報管理装置と、前記被検査物を所定の検査条件で順次検査する検査手段と、前記検査条件および前記対応情報を複数記憶し、前記記憶された対応情報と前記生産管理情報管理装置に記憶された対応情報とに基づいて、前記生産管理情報管理装置で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、前記検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる制御手段と、を有する検査装置と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成により、被検査物に関する複数の設定情報のうち、検査条件を検査装置の検査条件管理手段に記憶するとともに、生産管理情報および統計情報を生産管理情報管理装置に記憶して、これら検査条件と生産管理情報および統計情報を対応情報により対応付けているので、同一の検査条件が重複して物品検査装置に記憶されることが防止され、検査条件管理手段に記憶する検査条件のデータ量の増大を抑制することができる。また、生産管理情報および統計情報は対応情報により検査条件と対応付けられて被検査物の種類毎に記憶されるので、生産管理情報および統計情報を容易に管理することができる。
【0024】
したがって、被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる。また、設定情報管理装置として汎用コンピュータを用いることが可能となり、被検査物の生産管理に必要なデータを一層容易に管理することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる物品検査装置および物品検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る計量装置の概要を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る計量装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明の一実施の形態に係る計量装置の操作部の商品テーブルおよび設定管理部の検査テーブルの例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る計量装置の動作を説明するフロー図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る計量装置を複数接続したときの構成を示すブロック図である。
【図6】従来の計量装置のテーブル構造の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る物品検査装置の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1、図2に示すように、物品検査装置としての計量装置1は、装置本体部2と、搬送部3と、搬入センサ4とを備えて構成されている。また、計量装置1の後段には選別部5が接続されている。
【0029】
計量装置1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベア14の下流側に設置されており、所定の間隔で矢印A方向に順次搬送されてくる肉、魚、加工食品、医薬品などの被検査物Wの重量を測定し、得られた測定値を測定結果として出力するようになっている。さらに、予め設定された重量の上限および下限の基準値とそれぞれ比較し、得られた測定値が基準値の範囲内にあるか否かを判定して範囲内のものを良品とし、範囲外のものを不良品として良否判定したり、複数の基準値に対応して重量ランク判定をするようになっていてもよい。また、測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果は、表示部10に表示されるとともに、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力されるようになっている。選別部5では、計量装置1が出力した測定結果、良否判定結果や重量ランク判定結果に応じて被検査物Wを振り分けるようになっている。
【0030】
装置本体部2は、秤量部21と、制御回路7と、表示部10と、操作部11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成されている。
【0031】
搬送部3は、ベルトコンベア14から矢印A方向に搬送されてくる被検査物Wを所定の搬送条件により搬送するようになっている。被検査物Wは、助走コンベア31により測定するのに最適な速度になるよう加速または減速されて搬送され、秤量コンベア32によりさらに搬送され、搬送されている間に重量が秤量部21により計量されるようになっている。秤量コンベア32は、被計量物を所定の搬送条件により搬送するようになっている。また、被検査物Wは、計量の後にさらに後段の選別部5に搬送され、振り分けられるようになっている。
【0032】
搬送部3は、助走コンベア31および秤量コンベア32により構成されている。助走コンベア31は、前段のベルトコンベア14から搬送されてきた被検査物Wが秤量コンベア32に移動する前に、被検査物Wの助走を行うものであり、2つのローラ31a、31cと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト31bとにより構成されている。秤量コンベア32は、被検査物Wの計量を行う秤量部21の上部に支持されており、2つのローラ32a、32cとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト32bとにより構成されている。
【0033】
搬入センサ4は、一対の投光部4aおよび受光部4bからなる透過形光電センサで構成されており、助走コンベア31と秤量コンベア32との間に配置されている。具体的には、投光部4aは、搬送ベルト32bの装置本体部2側に配置され、受光部4bは、搬送ベルト32bの他の側面側で投光部4aに対向するように配置されており、被検査物Wが投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると被検査物Wにより受光部4bが遮光されるので被検査物Wの搬入が開始されたことが検出されるようになっている。検出された搬入開始の信号は、装置本体部2内の制御回路7に出力されるようになっている。
【0034】
秤量部21は、秤量コンベア32を支持し被検査物Wの荷重に基づいて秤量信号を出力する荷重センサであり、電磁平衡機構などのはかり機構で構成され、被検査物Wが秤量コンベア32で搬送されている間に、秤量部21に加わる荷重を測定するようになっている。秤量部21は、重量を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪ゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。
【0035】
制御回路7は、信号処理部71、計量部72、設定管理部73、制御部74を備えている。
【0036】
信号処理部71は、秤量部21からの秤量信号を受け所定の信号処理条件に基づいて信号処理して信号処理済信号を出力するようになっていて、アナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器を備えている。具体的には、信号処理部71は、秤量部21からの秤量信号に対して、種類や特性の異なる複数のローパスフィルタから選択したフィルタを用いて、秤量信号の低周波成分のみを信号処理済信号として通過させるようになっている。なお、信号処理部71が選択するローパスフィルタは、1つの場合、または、複数を組み合わせたものの場合がある。
【0037】
計量部72は、信号処理部71が出力する信号処理済信号に基づいて被検査物Wの計量値を算出するようになっている。また、計量部72においては、搬入センサ4によって被検査物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから所定の基準時間Tkが経過し、秤量部21から秤量信号が出力された被検査物Wに対して、計量値を算出するようになっている。計量部72により算出された個々の重量は、設定管理部73に算出データとして記憶されるようになっている。
【0038】
計量部72は、搬入センサ4によって被検査物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから予め設定された基準時間Tkが経過したときに計量を行うようになっている。ここで、基準時間Tkは、搬入センサ4で被検査物Wが秤量コンベア32に搬入を開始したことを検出してから、被検査物Wが秤量コンベア32に完全に乗り移り、さらに秤量部21から出力された秤量信号が安定するまでに必要な時間を意味する。具体的には、基準時間Tkは、秤量コンベア32の速度(m/min)、秤量コンベア32の矢印B方向の長さ(mm)および被検査物Wの搬送方向である矢印B方向の長さ(mm)、被検査物Wのサイズやラインの処理能力、その他の条件などに基づいて設定される。また、図示は省略するが、基準時間Tkが経過すると、被検査物Wは、搬入開始検出位置PからLだけ移動して質量測定位置Pに到達し、計量が行われる。
【0039】
なお、計量部72においては、被検査物Wの品種(特に、サイズ)に応じて、その測定範囲、測定能力および検査精度などの検査条件(パラメータ)が選択されるようになっており、被検査物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が6g〜600g、測定能力が最大150個/minで選択されるようになっている。この場合、被検査物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小400msecに設定されていることになり、基準時間Tkは400msec以上であればよいが、被検査物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産その他の条件により設定されるようになっている。基準時間Tkは、400msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど検査時間はかかるが、秤量コンベア32上を安定して搬送されるようになるから計量精度は高まることになる。
【0040】
また、被検査物Wの品種に応じて、例えば、測定範囲が1g〜300g、測定能力が最大600個/minで選択されるようになっている。測定能力が最大600個/minであると、被検査物Wの1個当たりの測定時間は最小100msecに設定されていることになり、被検査物Wのサイズ、ラインの処理能力、生産やその他の条件により設定されるようになっている。この基準時間Tkは、100msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど検査時間はかかるが、秤量コンベア32上を安定して搬送されるようになるから計量精度は高まる。このように、計量部72においては、被検査物Wの品種に応じて、その範囲、能力などの検査条件(パラメータ)が選択される。
【0041】
また、計量部72は、被検査物Wの良否を判定するようになっており、判定回路などから構成され、算出した計量値と設定管理部73に記憶される検査テーブルが含む基本設定(検査条件)を参照し、この基本設定を良否判定基準として被検査物Wの良否を判定するようになっている。具体的には、計量部72は、被検査物Wの重量信号に対して、設定管理部73に予め記憶されている重量の上限値Gaおよび下限値Gbを読み出し、算出した被検査物Wの重量と上限値Gaおよび下限値Gbとをそれぞれ比較し、上限値Gaおよび下限値Gbで決定される重量の許容範囲内に被検査物Wの重量が入っているか否かを判定するようになっている。
【0042】
計量部72において判定された判定結果は、表示部10に出力され、良品または不良品として表示されるようになっている。また、判定結果は、計量装置1の後段に接続された選別部5に出力され、被検査物Wが良品または不良品として選別されるようになっている。さらに、この判定結果は、操作部11に出力され、各被検査物Wについての判定結果の統計が記憶されるようになっている。
【0043】
操作部11は、記憶媒体、演算回路および入力操作のためのキー、外部機器からの情報を取得するインターフェイス等から構成されており、計量部72で用いる検査条件、および検査条件以外の情報である生産管理情報を含む被検査物Wに関する複数の設定情報の設定と、生産管理情報と検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、生産管理情報、対応情報、および計量部72により検査された被検査物Wの検査結果の統計情報の記憶と、を行うようになっている。なお、操作部11における「設定」とは、入力操作のためのキーによる設定情報の設定だけでなく、インターフェイスを介して外部機器から取得した設定情報の設定も含んでいる。
【0044】
図3(a)、図3(b)に示すように、操作部11が記憶する商品テーブルにおいては、設定情報として、商品コード毎に、品名、検査ナンバー、検査結果の統計が記憶されるようになっている。これらの情報のうち、生産管理情報としての品名は、キー入力またはインターフェイスを介して外部機器から取得する設定操作により設定されるものである。生産管理情報としては、品名の他に、バーコード情報、パッケージ写真、登録日時、最終日時等を含んでいてもよい。
【0045】
また、対応情報としての検査ナンバーは、設定操作により設定された品名と検査条件との対応関係を定める対応情報として、操作部11が生成および記憶するものである。また、操作部11は、計量部72により検査された被検査物Wの検査結果の統計情報として、統計を記憶している。
【0046】
操作部11の商品テーブルには、例えば、図3(a)に示すように、商品コード"4900000111111"に、品名として"サンドイッチ"が、また、このサンドイッチの重量の検査のための基本設定(検査条件)との対応関係を定める対応情報として"001が、このサンドイッチの統計として、総数"1000"、OK品数"998"、NG品数"2"がそれぞれ記憶されている。
【0047】
操作部11においては、"おにぎり"の一種類である"おにぎり(鮭)"、"おにぎり(うめ)"、"おにぎり(ツナマヨ)"、"おにぎり(おかか)"は、互いに異なる商品コードが付されて、個別の統計とともに記憶されているが、基本設定(検査条件)との対応を定める検査ナンバーは"002"で同一となっている。
【0048】
操作部11は、例えば、品名が"おにぎり(鮭)"である商品コード"4900000222222"が入力されると、この商品コードに対応する検査ナンバー"002"を設定管理部73に通知するようになっている。
【0049】
設定管理部73は、記憶媒体や演算回路等から構成されており、検査条件および対応情報を複数記憶し、記憶された対応情報と操作部11に記憶された対応情報とに基づいて、操作部11で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択するようになっている。
【0050】
図3(a)に示すように、設定管理部73が記憶する検査テーブルにおいては、対応情報としての検査ナンバー毎に、検査名、基本設定(検査条件)が記憶されている。
【0051】
設定管理部73の検査テーブルには、例えば、検査ナンバー"002"に、検査名として"おにぎり全般"が、また、このおにぎり全般の検査のための基本設定(検査条件)として、ワーク長"100mm"、基準値"150g"、下限値"140g"、上限値"100mm"がそれぞれ記憶されている。なお、基本設定(検査条件)としては、ワーク長、基準値、下限値、上限値の他に、フィルタ設定等を含んでいてもよい。
【0052】
設定管理部73は、例えば、操作部11から検査ナンバー"002"が通知されると、この検査ナンバーに対応する基本設定(検査条件)である、ワーク長"100mm"、基準値"150g"、下限値"140g"、上限値"100mm"を選択して計量部72に通知するようになっている。
【0053】
また、計量装置1においては、生産管理情報が被検査物Wの種類を定める商品コードを含み、操作部11は、商品コード毎に対応情報および統計情報を記憶するようになっている。
【0054】
また、操作部11は、生成した対応情報毎に統計情報を算出したり、統計情報に応じて設定管理部73が記憶する検査条件を変更するように構成されていてもよい。
【0055】
また、表示部10を操作部11の一部として構成し、操作部11で設定された生産管理情報に対応する検査条件が設定管理部73に記憶されていないときは、操作部11が、検査条件の設定を促す画面を表示部10に表示するように構成してもよい。この場合、表示部10には、「検査条件が設定されていません。検査条件を設定してください。」等のメッセージを表示する。
【0056】
なお、操作部11を計量装置1から独立させて、物品検査システムとして構成してもよい。この場合、物品検査システムは、検査装置で用いる検査条件、および検査条件以外の情報である生産管理情報を含む被検査物Wに関する複数の設定情報の設定と、生産管理情報と検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、生産管理情報、対応情報、および検査装置により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う設定情報管理装置と、被検査物Wを所定の検査条件で順次検査する検査手段と、検査条件および対応情報を複数記憶し、記憶された対応情報と設定情報管理装置に記憶された対応情報とに基づいて、設定情報管理装置で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて検査手段に被検査物を検査させる制御手段と、を有する検査装置と、を備えて構成される。
【0057】
また、図5に示すように、上記説明した計量装置1にこの計量装置1と同じ構成を有する他の計量装置1´を接続して用いる場合の利便性を考慮して、図3(b)に示す他の計量装置1´の商品テーブルの商品コードに対応する品名、検査ナンバーおよび統計が、図3(a)の計量装置1の商品テーブルの商品コードに対応する品名、検査ナンバーおよび統計と同一となるようになっている。また、図3(b)に示す他の計量装置1´の検査テーブルの検査ナンバーに対応する検査名および基本設定が、図3(a)の計量装置1の検査テーブルの検査ナンバーに対応する検査名および基本設定と同一となるようになっている。すなわち、図5のように構成された計量装置1と計量装置1´の間では、共通の商品コードおよび共通の検査ナンバーを用いるようになっている。
【0058】
制御部74は、設定管理部73が選択した基本設定(検査条件)を用いて、秤量コンベア32および計量部72をそれぞれ制御するようになっている。なお、設定管理部73が選択した基本設定(検査条件)に、ローパスフィルタの指定が含まれている場合は、指定されたローパスフィルタを用いるように更に信号処理部71を制御するようにしてもよい。
【0059】
表示部10は、図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。表示部10は、統計等の各種の情報を表示するようになっている。なお、表示部10を、表示された数字、文字などがタッチ操作により入力されるタッチパネルとして構成し、操作部11と一体化した構成にしてもよい。
【0060】
選別部5は、計量装置1の後段に接続されており、選別機構部5aおよび選別コンベア5bにより構成されている。選別機構部5aは、例えば、エアジェット機構などの選別機構により構成されている。選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、フリッパ機構やドロップアウト機構などの選別機構で構成してもよい。このエアジェット機構においては、上流の秤量コンベア32から搬送される被検査物Wが選別コンベア5bで矢印B方向に搬送されている間に、不良品と判定された被検査物Wに対してジェットエアが吹き付けられるようになっており、不良の被検査物Wを選別コンベア5b上から移動させ、良品の被検査物Wと区別することにより選別を行っている。また、選別コンベア5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置されるローラ(不図示)と、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト5dとにより構成されており、測定を終了した被検査物Wを所定の速度で下流側に搬送するようになっている。
【0061】
次に、本実施の形態に係る計量装置1の動作を説明する。以下、前述の計量装置1が複数接続されている場合の1つの計量装置1の動作について説明する。
【0062】
図4に示すように、まず、ユーザの入力操作、またはバーコードリーダー等の機器から取得した商品コードを操作部11に入力する(ステップS1)。
【0063】
次いで、操作部11は、ステップS1で入力された商品コードが、商品テーブルに登録されている商品コードであるか否かを判別し(ステップS2)、商品テーブルに登録されている商品コードであるときは(ステップS2、YES)、その商品コードに対応する検査ナンバーを設定管理部73へ通知する(ステップS3)。
【0064】
次いで、設定管理部は、ステップS3で操作部11から通知された検査ナンバーに対応する基本設定を、計量部72へ通知する(ステップS4)。
【0065】
一方、ステップS2で商品テーブルに登録されている商品コードではないと判別されたときは(ステップS2、NO)、設定管理部73より、設定されていない空き検査ナンバーを取得し(ステップS5)、他機の操作部11の商品テーブルに登録されている商品コードであるか否かを判別する(ステップS6)。
【0066】
ステップS6で、他機の操作部11の商品テーブルに登録されている商品コードであると判別されたときは(ステップS6、YES)、他機の設定管理部73より、自機の空き検査ナンバーへ設定データをコピーし(ステップS7)、空き検査ナンバーと、対応する商品コードを自機の操作部11の商品テーブルへ保存し(ステップS8)、ステップS3に移行する。
【0067】
また、ステップS6で、他機の操作部11の商品テーブルに登録されている商品コードではないと判別されたときは(ステップS6、NO)、設定データを入力して空き検査ナンバーへ保存し(ステップS9)、ステップS3に移行する。
【0068】
なお、本実施の形態では、本発明に係る物品検査装置を計量装置1として構成する場合を説明したが、物品検査装置をX線検査装置または金属検出装置等として構成してもよい。その場合、設定管理部73の検査テーブルに記憶される基本設定(検査条件)には、画像処理条件、送信周波数等が含まれる。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態に係る計量装置1は、被検査物Wを所定の検査条件で順次検査する計量部72と、計量部72で用いる検査条件、および検査条件以外の情報である生産管理情報を含む被検査物Wに関する複数の設定情報の設定と、生産管理情報と検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、生産管理情報、対応情報、および計量部72により検査された被検査物Wの検査結果の統計情報の記憶と、を行う操作部11と、検査条件および対応情報を複数記憶し、記憶された対応情報と操作部11に記憶された対応情報とに基づいて、操作部11で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する設定管理部73と、設定管理部73が選択した検査条件を用いて計量部72に被検査物Wを検査させる制御部74と、を備えたことを特徴とする。
【0070】
この構成により、被検査物Wに関する複数の設定情報のうち、検査条件を設定管理部73に記憶するとともに、生産管理情報および統計情報を操作部11に記憶して、これら検査条件と生産管理情報および統計情報を対応情報により対応付けているので、同一の検査条件が重複して計量装置1に記憶されることが防止され、設定管理部73に記憶する検査条件のデータ量の増大を抑制することができる。また、生産管理情報および統計情報は対応情報により検査条件と対応付けられて被検査物Wの種類毎に記憶されるので、生産管理情報および統計情報を容易に管理することができる。
【0071】
したがって、被検査物Wの生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る計量装置1は、生産管理情報が被検査物Wの種類を定める商品コードを含み、操作部11が、商品コード毎に対応情報および統計情報を記憶することを特徴とする。
【0073】
この構成により、商品コードにより生産管理情報、対応情報および統計情報を管理することができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る計量装置1は、操作部11が、生成した対応情報毎に統計情報を算出することを特徴とする。
【0075】
この構成により、対応情報に対応する検査条件毎に統計情報を算出することができるので、種類が異なるが検査条件が同一の被検査物Wについての統計情報を算出することができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る計量装置1は、操作部11が、統計情報に応じて設定管理部73が記憶する検査条件を変更することを特徴とする。
【0077】
この構成により、統計情報の変化に対応して検査条件を変更することができる。
【0078】
また、本実施の形態に係る計量装置1は、操作部11が情報の表示を行う表示部10を備え、操作部11で設定された生産管理情報に対応する検査条件が設定管理部73に記憶されていないときは、操作部11が、検査条件の設定を促す画面を表示部10に表示させることを特徴とする。
【0079】
この構成により、検査条件が設定管理部73に記憶されていないときは、利用者は、検査条件の設定を促す画面に従って検査条件を入力して被検査物Wの検査を行うことができる。
【0080】
また、本実施の形態に係る物品検査システムは、検査装置で用いる検査条件、および検査条件以外の情報である生産管理情報を含む被検査物Wに関する複数の設定情報の設定と、生産管理情報と検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、生産管理情報、対応情報、および検査装置により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う生産管理情報管理装置と、被検査物Wを所定の検査条件で順次検査する検査手段と、検査条件および対応情報を複数記憶し、記憶された対応情報と生産管理情報管理装置に記憶された対応情報とに基づいて、生産管理情報管理装置で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて検査手段に被検査物を検査させる制御手段と、を有する検査装置と、を備えたことを特徴とする。
【0081】
この構成により、被検査物Wに関する複数の設定情報のうち、検査条件を検査装置の検査条件管理手段に記憶するとともに、生産管理情報および統計情報を生産管理情報管理装置に記憶して、これら検査条件と生産管理情報および統計情報を対応情報により対応付けているので、同一の検査条件が重複して物品検査装置に記憶されることが防止され、検査条件管理手段に記憶する検査条件のデータ量の増大を抑制することができる。また、生産管理情報および統計情報は対応情報により検査条件と対応付けられて被検査物の種類毎に記憶されるので、生産管理情報および統計情報を容易に管理することができる。
【0082】
したがって、被検査物Wの生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができる。また、設定情報管理装置として汎用コンピュータを用いることが可能となり、被検査物の生産管理に必要なデータを一層容易に管理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る物品検査装置および物品検査システムは、被検査物の生産管理および検査に必要なデータを、データ量の増大を招くことなく容易に管理することができるという効果を有し、被検査物について品質の検査を行う物品検査装置および物品検査システムとして有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 計量装置(物品検査装置)
2 装置本体部
3 搬送部
4 搬入センサ
5 選別部
7 制御回路
10 表示部
11 操作部(生産管理情報管理手段)
14 ベルトコンベア
21 秤量部
31 助走コンベア
32 秤量コンベア
71 信号処理部
72 計量部(検査手段)
73 設定管理部(検査条件管理手段)
74 制御部(制御手段)
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を所定の検査条件で順次検査する検査手段と、
前記検査手段で用いる検査条件、および前記検査条件以外の情報である生産管理情報を含む前記被検査物に関する複数の設定情報の設定と、前記生産管理情報と前記検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、前記生産管理情報、前記対応情報、および前記検査手段により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う生産管理情報管理手段と、
前記検査条件および前記対応情報を複数記憶し、前記記憶された対応情報と前記生産管理情報管理手段に記憶された対応情報とに基づいて、前記生産管理情報管理手段で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、
前記検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる制御手段と、を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記生産管理情報が前記被検査物の種類を定める商品コードを含み、
前記生産管理情報管理手段が、前記商品コード毎に前記対応情報および前記統計情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記生産管理情報管理手段が、生成した対応情報毎に前記統計情報を算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記生産管理情報管理手段が、前記統計情報に応じて前記検査条件管理手段が記憶する検査条件を変更することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記生産管理情報管理手段が情報の表示を行う表示手段を備え、
前記生産管理情報管理手段で設定された生産管理情報に対応する検査条件が前記検査条件管理手段に記憶されていないときは、前記生産管理情報管理手段が、前記検査条件の設定を促す画面を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の物品検査装置。
【請求項6】
検査装置で用いる検査条件、および前記検査条件以外の情報である生産管理情報を含む前記被検査物に関する複数の設定情報の設定と、前記生産管理情報と前記検査条件との対応関係を定める対応情報の生成と、前記生産管理情報、前記対応情報、および前記検査装置により検査された被検査物の検査結果の統計情報の記憶と、を行う生産管理情報管理装置と、
前記被検査物を所定の検査条件で順次検査する検査手段と、
前記検査条件および前記対応情報を複数記憶し、前記記憶された対応情報と前記生産管理情報管理装置に記憶された対応情報とに基づいて、前記生産管理情報管理手段で設定された生産管理情報に対応する検査条件を選択する検査条件管理手段と、
前記検査条件管理手段が選択した検査条件を用いて前記検査手段に前記被検査物を検査させる制御手段と、を有する検査装置と、を備えたことを特徴とする物品検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−196776(P2011−196776A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62712(P2010−62712)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】