説明

物品検査装置

【課題】高い検出精度を維持したままで省スペースかつ簡単な構成で物品の検査を行うこと。
【解決手段】帯状のシート12の一側面に沿って所定の間隔をもたせて配置され、シート12に格納されて搬送される物品を照射する透過用光源14と、シート12の他側面に沿って透過用光源14に対向して配置され、シート12に格納されて搬送される錠剤11を照射する反射用光源15と、シート12と、透過用光源14との間に配置され、反射用光源15に対して低い反射率を有し、透過用光源14に対して低い反射率を有するとともに所定の透過率を有する拡散板24と、錠剤11を透過した透過用光源14からの光線と、錠剤11を反射した反射用光源15からの光線とが入射する位置に配置され、前記2つの入射光線に基づいて透過画像と反射画像とを取得する透過/反射併用カメラ20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬剤等の物品を検査する物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置とCCDカメラなどの撮像装置と画像処理装置とを用いて、PTP錠剤やカプセル等の物品の外観検査を行うことが従来から行われている。この場合、検出したい欠陥に応じて反射光と透過光とを使い分けて使用することにより欠陥が最適に撮像されるように工夫する必要がある。一般的には、欠陥に応じて照明装置とカメラとを最適な位置関係になるように設置することにより検出精度を向上させることができる。
【0003】
しかし、照明装置とカメラとを最適な位置関係に配置しようとすると、その具体的な接地場所を見つけることが課題となる。例えば、連続的に流れる物品の外観検査をする場合には物品の搬送方向に検査部を設置することが必要になる。このため、PTP錠剤やカプセルを検査する場合には、PTP錠剤やカプセルを包装する包装機内に検査装置を設置する場合が多い。
【0004】
図3は、包装機100の内部に検査装置を配置した物品検査システムの構成を示している。シート供給部13から供給される包装用シート(以下、単にシートと呼ぶ)12には凹部11−1が一定間隔で二次元的に形成されている。凹部11−1が形成されたシート12は錠剤供給部10へと搬送される。錠剤供給部10は内部に蓄積された各錠剤11を順次搬入されてくるシート12の凹部11−1に1個づつ収納していく。
【0005】
シート12の搬送路に沿ってその下方に透過用光源14が、その上方にカメラ16が対向するように配置されている。また、シート12の搬送路に沿ってその上方に反射用光源15と反射用カメラ17とが並置されている。
【0006】
各凹部11−1に錠剤が収納されたシート2が透過用光源14の位置まで搬送されると、透過用光源14は当該シート2をその下方から照射する。このときの透過光がカメラ17に入射されることにより撮影が行われる。このとき得られる撮影画像に基づいて主として錠剤やカプセルの割れ、欠け、大きさ、長さ、へこみ等を検出することができる。
【0007】
次に、各凹部11−1に錠剤が収納されたシート2が反射用光源15の位置にまで搬送されると、反射用光源15は当該シートを上方から照射する。シート12からの反射光はカメラ17に入射されることにより撮影が行われる。このとき得られる撮影画像に基づいて主として錠剤やカプセルの表面異物や色、文字など透過光では見えない部分の検査を行うことができる。
【0008】
その後、シート2の凹部11−1に収納された錠剤はシート排出部18を介して包装機100の外部に排出される。
【0009】
上記したように、従来の構成では透過光を用いた検査と反射光を用いた検査とを別個の構成(光源及びカメラ)により行っていたので広い設置場所が必要になるという欠点があった。そこで、特開2005−164272では、撮影対象の包装用シートの下面と透過用光源との間に透光又は遮光する液晶シャッタ板を挿入することにより、1台のカメラで反射画像と透過画像とを切り替え撮影できるシート包装検査装置を提案している。
【特許文献1】特開2005−164272
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特開2005−164272に開示された検査装置では、液晶シャッタを用いているので、その駆動回路や透光と遮光を切り替えるための制御動作が必要になるという欠点がある。
【0011】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、高い検出精度を維持したままで省スペースかつ簡単な構成で物品の検査を行うことができる物品検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、帯状のシートに形成された格納部に格納されて前記シートの移動により搬送される物品の良否を検査する物品検査装置であって、前記シートの一側面に沿って所定の間隔をもたせて配置され、前記シートに格納されて搬送される前記物品を照射する透過用光源と、前記シートの他側面に沿って前記透過用光源に対向して配置され、前記シートに格納されて搬送される前記物品を照射する反射用光源と、前記シートと、前記透過用光源との間に配置され、前記反射用光源に対して低い反射率を有し、前記透過用光源に対して低い反射率を有するとともに所定の透過率を有する拡散板と、前記物品を透過した前記透過用光源からの光線と、前記物品を反射した前記反射用光源からの光線とが入射する位置に配置され、前記2つの入射光線に基づいて透過画像と反射画像とを取得する透過/反射画像取得手段と、前記透過/反射画像取得手段により取得された透過画像及び反射画像の少なくとも一方に基づいて前記物品の良否を判定する良否判定手段と、を具備する。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記物品は薬剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い検出精度を維持したままで省スペースかつ簡単な構成で物品の検査を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる物品検査装置の構成を示す図である。ここでは図2と異なる部分のみについて説明する。第1実施形態ではシート12の搬送路を挟んで透過用光源14と反射用光源15とを対向させて配置されている。シート12と透過用光源14との間には拡散部材としての拡散板24が配置されている。さらに、反射用光源15の真上には透過/反射併用カメラ20が配置されている。このような配置により、透過用光源14からの光線は拡散板24及びシート12を透過した後、透過/反射併用カメラ20に入射される。同様にして、反射用光源15からの光線はシート12によって反射された後、透過/反射併用カメラ20に入射される。
【0017】
ここでの拡散板24は、ガラスやアクリル樹脂などで作られた特殊な光拡散板であり、その上面が反射用光源15からの光線を反射して透過/反射併用カメラ20に入射しないように低い反射率を有し、また、拡散板24の下面は、透過用光源14からの光線が反射しないように低い反射率を有し、かつ当該光線がシート12まで到達するように所定の透過率を有することが条件となる。
【0018】
概して拡散板は文字通り光を拡散させる目的で用いるため透明あるいは白色に近い色であるが、ここで用いる拡散板24は、シート12上に格納された錠剤11が明瞭に見えるように黒色系でかつ光の透過性が良いものを用いることとする。このような条件を満たすものの一例としては、例えば、三菱レーヨン社の「アクリライト」の商品名で知られる拡散板(N937(BLACK&WHITE))がある。
【0019】
拡散板24は、透過用光源14が点灯したときには当該光源14からの光線が透過する。また、透過用光源14が消灯したときには暗く見える。このため、透過と反射とを交互にタイミングをとって光らせ、そのときに透過/反射併用カメラ20を同期させて撮像することで、同一位置でかつ透過反射双方の機能をもつ画像取得手段を構成することができる。
【0020】
上記した構成において、シート12の凹部11−1に収納されて順次搬送されてきた錠剤11が透過用光源14の位置に来たときに透過用光源14が順次点灯される。当該光源14からの光線は拡散板24を透過した後、錠剤11を照射する。錠剤11を透過した光線は透過/反射併用カメラ20に入射されて撮影が行われる。また、シート12の凹部11−1に収納されて順次搬送されてきた錠剤11は、反射用光源15の位置に来たときに反射用光源15によっても順次点灯される。当該光源15からの光線は錠剤11によって反射された後、透過/反射併用カメラ20に入射されて撮影が行われる。
【0021】
図2は、透過用光源14と反射用光源15が点灯されるタイミングを示している。図2に示すように、本実施形態では1シート分に対応する時間内でまず透過用光源14が点灯され、次に反射用光源15が点灯されるように制御を行う。このようなタイミング制御によって透過用光源14からの光線に基づく透過画像の取得と、反射用光源15からの光線に基づく反射画像の取得とを一台のカメラ(透過/反射併用カメラ20)で実現することができる。
【0022】
透過/反射併用カメラ20により取得された透過画像及び反射画像は画像バッファ21にいったん格納された後、画像処理部22で所定の画像処理がなされる。良否判定部23では、画像処理された透過画像及び/又は反射画像を用いて錠剤11について良否の判定すなわち欠け錠、割れ錠、異物の付着、また異種の錠剤が混入しているか否かの判定を行い、同時にシート上の異物、毛髪などの検出も行う。
【0023】
なお、図1には示していないが、シーケンス制御部は(光源、カメラの)駆動回路を介してカメラと光源の動作を制御する。カメラは透過用と反射用とを兼用したカメラ20を用いたが、透過用と反射用とで別個のカメラとしてもよい。
【0024】
上記した実施形態によれば、高い検出精度を維持したままで省スペースかつ簡単な構成で薬剤の検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる物品検査装置の構成を示す図である。
【図2】透過用光源14と反射用光源15が点灯されるタイミングを示す図である。
【図3】従来の物品検査システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10 錠剤供給部
11 錠剤
12 シート
13 シート供給部
14 透過用光源
15 反射用光源
20 透過/反射併用カメラ
21 画像バッファ
22 画像処理部
23 良否判定部
24 拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートに形成された格納部に格納されて前記シートの移動により搬送される物品の良否を検査する物品検査装置であって、
前記シートの一側面に沿って所定の間隔をもたせて配置され、前記シートに格納されて搬送される前記物品を照射する透過用光源と、
前記シートの他側面に沿って前記透過用光源に対向して配置され、前記シートに格納されて搬送される前記物品を照射する反射用光源と、
前記シートと、前記透過用光源との間に配置され、前記反射用光源に対して低い反射率を有し、前記透過用光源に対して低い反射率を有するとともに所定の透過率を有する拡散板と、
前記物品を透過した前記透過用光源からの光線と、前記物品を反射した前記反射用光源からの光線とが入射する位置に配置され、前記2つの入射光線に基づいて透過画像と反射画像とを取得する透過/反射画像取得手段と、
前記透過/反射画像取得手段により取得された透過画像及び反射画像の少なくとも一方に基づいて前記物品の良否を判定する良否判定手段と、
を具備することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記物品は薬剤であることを特徴とする請求項1記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−271351(P2007−271351A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−95007(P2006−95007)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】