説明

物品検査装置

【解決手段】物品検査装置は、リジェクト機構の作動を制御する制御手段6を備えている。制御手段6は、検査手段による各物品の検査結果を順次記憶するとともに物品の移動に追従させて検査結果をシフトさせるシフトレジスタ21と、各物品が検査手段による検査位置に到達してからの所定の遅延時間を計測するタイマーt1〜tnと、遅延時間における各物品の搬送量を検出するカウンタc1〜cnとを備えている。
【効果】検査手段による物品の検査時間中における物品の搬送量に対応させて、的確なシフトレジスタのアドレスに物品の検査結果を記憶することができる。そのため、分別位置において不良品の物品をコンベヤ上から正確に排除することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品検査装置に関し、より詳しくは、搬送手段により搬送される物品を検査して分別する物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送手段により搬送される物品を検査位置で検査する検査手段と、この検査手段によって検査された物品を分別位置で分別する分別手段と、この分別手段の作動を制御する制御手段とを備えた物品検査装置は知られている(例えば特許文献1)。
こうした従来の物品検査装置においては、検査手段から物品の検査結果が制御手段に出力されると、制御手段は該検査結果をシフトレジスタの所定アドレスのレジスタに記憶するととも、物品の移動に追従させて記憶するレジスタのアドレスを順次隣に変更して検査結果をシフトさせるようになっている。そして、物品が分別位置に到達した際の、分別位置に対応したアドレスのレジスタを読み出して、記憶された検査結果が不良であれば分別手段を作動させて搬送手段から物品を排除するようになっている。
【特許文献1】特公昭62−26836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した従来の物品検査装置においては、物品の検査後、瞬時に検査結果が出力される場合には、出力された検査結果を検査位置付近に対応するアドレスのレジスタに記憶することで特に問題は生じなかったが、1回の検査で多数の画像を取り込む場合等のように検査手段による検査結果の判定処理に時間が掛かり、今回の検査結果が出力される前に次の物品が検査位置に到達する場合には、従来のように検査位置付近に対応するアドレスのレジスタに検査結果を記憶すると、物品とそれに対する検査結果がずれてシフトされてしまい、不良品を正しく排除できなくなるといった問題があった。
そこで、検査処理時間を見込んだ、検査位置よりやや下流位置に対応するアドレスのレジスタに検査結果を記憶することが考えられる。しかしながら、物品の搬送速度が減速されることがあると、やはり物品とそれに対する検査結果を記憶したアドレスの位置がずれてしまうという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した事情に鑑み、請求項1に記載した本発明は、物品を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される物品を所定の検査位置で検査する検査手段と、検査位置の下流側に設けた分別位置で物品を分別する分別手段と、上記検査手段が出力する検査結果に応じて上記分別手段の作動を制御する制御手段とを備えた物品検査装置において、
上記制御手段は、検査結果を記憶する多数のアドレスを有し、検査位置から分別位置へ搬送される物品の移動に追従させて検査結果をシフトさせるシフトレジスタと、物品が検査位置に到達してから、物品の検査時間に基づいて設定した遅延時間が経過するまでの時間を計測するタイマーと、上記遅延時間における物品の搬送量を検出する検出手段とを備え、
遅延時間が経過した際に出力されている検査結果を、検出手段が検出した搬送量に対応する位置のアドレスに記憶し、物品が分別位置に到達した際に分別位置に対応するアドレスに記憶されている検査結果に基づいて、分別手段の作動を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、検査時間の間に搬送される物品の搬送量に対応させて、的確なシフトレジスタのアドレスに検査結果を記憶することができ、検査結果に基づいて正確に物品を分別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1において1は物品検査装置であり、この物品検査装置1は、搬送手段としてのコンベヤ2により搬送される物品3の良否を検査位置Aで検査した後に、不良品を分別位置Bにおいてコンベヤ2上から強制的に排除するようになっている。
本実施例の物品検査装置1は、相前後する物品3を離隔させた状態で下流側へ搬送するコンベヤ2と、このコンベヤ2の搬送過程の上流側となる検査位置Aにおいて物品3を撮影してその良否を検査する検査手段4と、上記コンベヤ2の搬送過程における下流側の分別位置Bにおいて、不良品をコンベヤ2上から押し出す分別手段としてのリジェクト機構5と、上記検査手段4から出力される各物品3の検査結果に応じてリジェクト機構5を作動させる制御手段6とを備えている。
【0007】
コンベヤ2は図示しない駆動源に連動して所要の搬送速度で物品3を矢印方向に搬送するようになっている。
コンベヤ2における下流側の図示しない回転軸に、エンコーダ等のパルス発生器7が接続されている。このパルス発生器7は、コンベヤ2が駆動される際に上記回転軸の所定回転角度ごとにパルスを発生させるようになっており、パルス発生器7で発生したパルスは制御手段6へ入力されるようになっている。このパルスをカウントすることで、コンベヤ2による搬送量を検出することができ、単位時間当りに発生したパルス数やパルスの発生間隙から搬送速度を求めることができる。
検査位置Aには、コンベヤ2上の物品3を検出する第1センサ11が配置されており、また、分別位置Bにはコンベヤ2上の物品3を検出する第2センサ12が配置されている。コンベヤ2によって搬送される物品3が検査位置Aに位置すると第1センサ11によって検出されて、その検出信号が制御手段6に入力されるようになっている。また、コンベヤ2によって搬送される物品3が分別位置Bに位置すると第2センサ12によって検出されて、その検出信号が制御手段6へ入力されるようになっている。
【0008】
制御手段6は、上記両センサ11,12、パルス発生器7により搬送中の物品3の現在位置を認識できるようになっている。
検査手段4は、検査位置Aにおいてコンベヤ2で搬送される物品3を複数回撮影するCCDカメラ4Aと、このCCDカメラ4Aによる複数の撮影画像を基にして物品3の良否を判定する判定部4Bとを備えている。この検査手段4の判定部4Bは、各物品3に対する良否の判定信号S1(検査結果)を順次制御手段6へ出力するようになっている。なお、検査手段による検査は、撮影による外観検査の他、X線を用いた内部検査や重量検査等、特に検査内容を問うものではなく、被検査物となる物品3についても、内容物を収容した容器や空容器、食品等様々な物品に対応できる。
【0009】
リジェクト機構5は、物品3を検出する上記第2センサ12と、判定部4Bにより不良と判定された物品3をコンベヤ2上から側方へ押し出すエアシリンダで駆動されるプッシャ13とから構成されている。このプッシャ13の作動は制御手段6によって制御されるようになっている。
制御手段6は、検査手段4の判定部4Bから各物品3の判定信号S1が順次入力された後に不良品と判定された物品3が分別位置Bに到達して第2センサ12によって検出されると、プッシャ13を作動させるようになっている。これにより、プッシャ13が作動されて不良品の物品3をコンベヤ2上から押し出して図示しない回収箱内に落下させて排除するようになっている。
【0010】
しかして、本実施例は、制御手段6を以下のように構成することで、不良品と正常な物品3とを正確に分別し、分別位置Bにおいて不良品をコンベヤ2上からリジェクト機構5によって確実に排除できるようにしたものである。
すなわち、図2に示すように、制御手段6は、各物品3の検査結果(検査データ)を記憶する多数のアドレスAd1‥‥Adnを有するとともにコンベヤ2による各物品3の移動に追従させて検査データをシフトさせるシフトレジスタ21と、上記第1センサ11から検出信号が入力されると作動し、予め設定された遅延時間Tが経過するまでの時間を計測するタイマーt1〜tnと、各タイマーt1〜tnに対応させて各々に対をなして設けられ、対をなす各タイマーt1〜tnの作動と同時に作動して、上記予め設定された遅延時間Tの間にパルス発生器7で発生したパルスの数をカウントすることで、遅延時間Tにおける物品3の搬送量を検出する検出手段としてのカウンタc1〜cnと、このカウンタc1〜cnがカウントしたパルスの数に対応するシフトレジスタ21のアドレスAd1…Adnを指定するアドレス指定部23とを備えている。
【0011】
上記パルス発生器7で発生したパルスは、クロックとして上記シフトレジスタ21に入力されるとともに、カウンタc1〜cnにも入力されるようになっている。本実施例では一例として、パルス発生器7からは搬送量1mm毎に1パルス出力されるようになっており、図3に示すように、本実施例のシフトレジスタ21は、検査データを一時的に記憶する1000個のレジスタRe1〜Re1000を備えており、全レジスタRe1〜Re1000に対してアドレスAd1〜Ad1000が設定されている。そして、検査位置Aから分別位置Bの間隙が900mmである場合に、アドレスAd1を検査位置Aに対応させ、アドレスAd900を分別位置Bに対応させて設定しており、シフトレジスタ21は、上記パルス発生器7から1パルス入力される毎に、アドレス番号が1つ大きな隣接するアドレスAdのレジスタReに、検査結果を移して記憶させることでシフトさせるようになっている。
【0012】
物品3が検査位置Aに到達して第1センサ11によって物品3が検出されると、検査手段4が検査を実行するとともに、検出信号が制御手段6に入力され、タイマーt1が予め設定された所定の遅延時間Tを計測するとともに、カウンタc1がパルス発生器7から出力されるパルスのカウントを開始する。
本実施例においては、タイマーt1に予め設定する所定の遅延時間Tとして、上記検査手段4の判定部4Bが物品3の良否の判定に要する最大時間よりも少し長い時間を設定している。そして、タイマーt1が作動されてから上記所定の遅延時間Tが経過してタイマーt1が停止すると、そのことがタイマーt1からカウンタc1へ伝達されて、カウンタc1によるパルスのカウントが停止される。そして、このカウンタc1によるカウント値が、遅延時間Tにおける検査位置Aから下流側への物品3の移動量としてアドレス指定部23へ伝達されるようになっている。
また、タイマーt1が停止した情報はアドレス指定部23にも入力されるようになっており、前述したように、タイマーt1に予め設定する所定の遅延時間Tは、上記検査手段4の判定部4Bが物品3の良否の判定に要する最大時間よりも長いので、既にこの時点では、検査手段4による判定信号S1(検査結果)が判定部4Bからアドレス指定部23に出力されていることから、アドレス指定部23では、タイマーt1が停止(タイムアップ)した時点に出力されている検査結果を、カウンタc1によるカウント値に相当するアドレスAdのレジスタReに記憶するようになっている。これにより、遅延時間Tにおける物品3の搬送量に対応する位置のアドレスAdのレジスタReに検査結果を記憶することができる。
なお、本実施例では、検査手段4は検査結果を、例えば、良品を1、不良品を0とする検査データとして出力するようになっている。また、次の物品3の良否判定がなされるまでは、今回の判定信号S1が続けて出力されるようになっており、異なる物品3で同じ判定が連続する場合は、切れ目なく継続して同じ判定信号S1が出力される。
また、検査結果を記憶する際には、指令されたアドレスAdから上流側へ続けて複数のアドレスAdのレジスタReに同時に記憶するようにしている。
【0013】
このように、制御手段6は、検査結果を該当する物品3の現在位置に対応するアドレスAdのレジスタReに記憶した後、物品3の移動に追従させてシフトさせるようになっており、物品3が分別位置Bに到達して第2センサ12で検出されて、制御手段6に検出信号が入力されると、制御手段6はシフトレジスタ21の900番目のアドレスAd900のレジスタRe900に記憶されている検査結果を読み取って、不良品を示す0が記憶されていればリジェクト機構5に作動指令を出力し、良品を示す1であれば指令出力を行わない。この際、続けて複数個のレジスタReに検査結果を記憶するようにしているので、何度か検査データ(検査結果)がシフトする間に、同じアドレスAd900のレジスタRe900を読み取ることで、物品3がコンベヤ2上でスリップする等して、検査データのシフトと物品3の位置に若干のズレが生じていても、これを吸収して該当する検査結果を認識することができる。
なお、検査位置Aでは物品3が到達して第1センサ11が検出信号を出力する毎に検査手段4が検査を開始するが、制御手段6ではタイマーt1、カウンタc1が既に作動していれば、スイッチStが切り換えられてタイマーt2に検出信号が入力されて、タイマーt2、カウンタc2が共に作動されるようになっており、スイッチStの切り換えにより交互に作動させるようになっている。これらタイマーt1〜tn、カウンタC1〜Cnは必要に応じて増設し、順次作動させるよう構成することができる。
【0014】
このような処理を行う本実施例の制御手段6においては、物品3の検査が行なわれてから検査手段4から検査結果が出力されるまでに時間が掛かる場合であっても、実際のコンベヤ2上の物品3の位置に対応する的確なアドレスAdに該物品3の検査結果を記憶することができる。
それにより、コンベヤ2における下流側の分別位置Bにおいて、物品3が第2センサ12によって検出されたら、制御手段6は上記シフトレジスタ21における分別位置Bに対応するアドレスAd900に記憶されている検査結果を読み込んで該当する検査結果を正確に認識することができ、その認識に基づいて分別位置Bのリジェクト機構5を作動させて不良品の物品3をコンベヤ2上から正確に排除することができる。
なお、物品3の検査、分別は良品判定による不良品の排除に限るものではなく、分類判定により種類毎に分類して分別するよう構成することも可能であり、この場合には、3種類以上に分類して分別するようにすることも可能である。
また、上述した実施例は物品3を直線状の搬送経路で搬送するコンベヤ2を用いた場合を説明しているが、回転体によって物品3を円周方向へ搬送するようにしたいわゆるロータリ式の搬送手段を用いた場合であっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【図2】図1に示した制御手段6の要部の構成図。
【図3】図2に示したシフトレジスタ21の説明図。
【符号の説明】
【0016】
1‥物品検査装置 2‥コンベヤ(搬送手段)
3‥物品 4‥検査手段
5‥リジェクト機構(分別手段) 6‥制御手段
21‥シフトレジスタ t1〜tn‥タイマー
c1〜cn‥カウンタ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送手段と、この搬送手段によって搬送される物品を所定の検査位置で検査する検査手段と、検査位置の下流側に設けた分別位置で物品を分別する分別手段と、上記検査手段が出力する検査結果に応じて上記分別手段の作動を制御する制御手段とを備えた物品検査装置において、
上記制御手段は、検査結果を記憶する多数のアドレスを有し、検査位置から分別位置へ搬送される物品の移動に追従させて検査結果をシフトさせるシフトレジスタと、物品が検査位置に到達してから、物品の検査時間に基づいて設定した遅延時間が経過するまでの時間を計測するタイマーと、上記遅延時間における物品の搬送量を検出する検出手段とを備え、
遅延時間が経過した際に出力されている検査結果を、検出手段が検出した搬送量に対応する位置のアドレスに記憶し、物品が分別位置に到達した際に分別位置に対応するアドレスに記憶されている検査結果に基づいて、分別手段の作動を制御することを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
上記搬送手段の搬送量に応じてパルスを発生させるパルス発生器を備え、
上記シフトレジスタはパルスの発生に応じて検査結果をシフトさせるとともに、上記検出手段は発生するパルス数をカウントすることで搬送量を検出することを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−82763(P2009−82763A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251614(P2007−251614)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】