説明

物品移載装置及びこれを備えたスタッカークレーン

【課題】物品横幅方向の長さが極力小さい物品を移載対象の物品とすることができる物品移載装置を提供すること。
【解決手段】物品の底面における物品横幅方向での両側部を各別に載置支持する一対の分割載置支持部17F・17Rにて構成されて基台に備えられる載置支持部と、これに対して物品移載方向に沿って出退自在で、かつ、クランプ駆動手段M4にて把持位置と幅広の解除位置とに互いに接近離間移動自在な一対のクランプ部18F・18Rとが設けられ、一対の分割載置支持部17F・17Rが物品横幅方向で設定された移動許容範囲内で載置支持部駆動手段M4にて互いに接近離間移動し、かつ、移動許容範囲の接近限度位置に位置するときに、互いに近接対向するように構成されている物品移載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基台に備えられて移載対象の物品を載置支持する載置支持部と、前記載置支持部に対して物品移載方向に沿って出退自在で、かつ、移載対象の物品を把持する把持位置とこの把持位置よりも幅広の解除位置とに互いに接近離間移動自在な一対のクランプ部と、前記一対のクランプ部を接近離間移動させるクランプ駆動手段とが設けられ、前記物品移載方向に直交する物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品を移載対象とする物品移載装置、及び、この物品移載装置を備えたスタッカークレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品移載装置は、物品搬送台車やスタッカークレーン等に備えられて、移載対象の物品を、一対のクランプ部にて挟持した状態で当該一対のクランプ部を出退させる等して物品の底面を載置支持部にて支持しながら物品移載方向に搬送することで、物品収納棚や物品搬送用のコンベヤの端部等に設定される移載対象箇所との間で移載対象の物品を移載するものである。
【0003】
移載対象の物品としては、物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品があるが、移載対象の物品の横幅方向の長さに応じて、一対のクランプ部の把持位置における間隔をクランプ駆動手段により変更することで、これらの複数種類の物品を移載できるようにしている。
【0004】
かかる物品移載装置の一例として、物品の底面を載置支持する載置支持部が、基台に対して位置固定状態で設けられ物品横幅方向で物品の底面の中央部を支持する中央支持部、及び、物品横幅方向で物品の底面の両側部を支持するように物品横幅方向に移動自在な一対の側部支持部の3つの支持部にて構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このような載置支持部にて、物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品を支持する場合、移載対象の物品の物品横幅方向の長さに応じて一対の側部支持部を接近離間移動させて、移載対象の物品の底面における両側部を支持できる位置に位置変更させることになる。
載置支持部をこのように構成することで、物品の底面における横幅方向における全部を載置支持する場合に比べて、載置支持部の重量が軽減されるので、装置全体の軽量化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−289809号公報(段落〔0017〕並びに第3図及び第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の物品移載装置であると、載置支持部が物品横幅方向で物品の底面の中央部を支持する中央支持部を備えているため、一対の側部支持部を物品横幅方向で互いに接近移動させる場合、一対の側部支持部のそれぞれが、物品横幅方向でこれらの間に位置する中央支持部に対して、その外方から近付くように中央支持部側に移動させることになり、一対の側部支持部を、互いに中央支持部に対し近接する位置まで接近させることができるが、それ以上接近させることができない。
【0008】
そのため、物品横幅方向の長さが短い物品を移載対象の物品とする場合、その底面における両側部を一対の側部支持部にて載置支持できるような互いに接近した位置に、一対の側部支持部を位置させることができない場合が生じうる。このため、一対の側部支持部にて物品の底面における両側部を支持するためには、移載対象の物品の物品横幅方向の長さを、一対の側部支持部の物品横幅方向の長さと中央支持部の物品横幅方向の長さとを合わせた程度の長さよりも長いものに制限する必要があり、物品横幅方向の長さが小さい物品を移載対象とできない場合があった。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、物品横幅方向の長さが極力小さい物品を移載対象の物品とすることができる物品移載装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る物品移載装置の第1特徴構成は、
基台に備えられて移載対象の物品を載置支持する載置支持部と、
前記載置支持部に対して物品移載方向に沿って出退自在で、かつ、移載対象の物品を把持する把持位置とこの把持位置よりも幅広の解除位置とに互いに接近離間移動自在な一対のクランプ部と、
前記一対のクランプ部を接近離間移動させるクランプ駆動手段とが設けられ、
前記物品移載方向に直交する物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品を移載対象とする物品移載装置において、
前記載置支持部が、移載対象の物品の底面における前記物品横幅方向での両側部を各別に載置支持する一対の分割載置支持部にて構成され、
前記一対の分割載置支持部が、前記物品横幅方向で設定された移動許容範囲の範囲内で互いに接近離間移動自在に構成され、かつ、前記移動許容範囲のうち互いに接近する側の端部である接近限度位置に位置するときに、互いに近接対向するように構成され、
前記一対の分割載置支持部を接近離間移動させる載置支持部駆動手段と、
移載対象の物品における前記物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、前記クランプ駆動手段及び前記載置支持部駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、載置支持部が、移載対象の物品の底面における物品横幅方向での両側部を各別に載置支持する一対の分割載置支持部にて構成され、これらが、物品横幅方向で設定された移動許容範囲の範囲内で互いに接近離間移動自在に構成されているので、制御手段が、移載対象の物品における物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、載置支持部駆動手段の作動を制御することで、一対の分割載置支持部が、移動許容範囲の範囲内で移載対象の物品における物品横幅方向についての長さに応じた位置となるように接近離間操作される。
【0012】
また、制御手段が、移載対象の物品における物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、クランプ駆動手段の作動を制御することで、一対のクランプ部が、移載対象の物品を把持する把持位置とこの把持位置よりも幅広の解除位置とに互いに接近離間操作される。
【0013】
このようにして、一対の分割載置支持部及び一対のクランプ部が、移載対象の物品における物品横幅方向についての長さに応じた位置に接近離間操作されることで、一対のクランプ部を載置支持部に対して物品移載方向に沿って出退させて移載対象の物品を移載することができる。したがって、物品横幅方向についての長さが長い物品から短い物品まで様々な大きさの物品を移載対象とすることができる。
【0014】
そして、一対の分割載置支持部が移動許容範囲のうち互いに接近する側の端部である接近限度位置に位置するときに、互いに近接対向するように構成されているので、一対の分割載置支持部を物品横幅方向で互いに接近移動させて、一対の分割載置支持部のそれぞれを接近限度位置に位置させることで、互いに近接対向させることができる。
【0015】
したがって、物品横幅方向の長さが短い物品を移載対象の物品とする場合、その底面における両側部を一対の分割載置支持部にて載置支持できるような互いに近接対向した位置に、一対の分割載置支持部を位置させることができる。このため、物品横幅方向の長さが一対の分割載置支持部のそれぞれの物品横幅方向の長さの和と同程度に短い物品まで移載対象の物品とすることができる。
【0016】
このように、物品横幅方向の長さが極力小さい物品を移載対象の物品とすることができる物品移載装置を得るに至った。
【0017】
本発明に係る物品移載装置の第2特徴構成は、前記載置支持部が、前記一対の分割載置支持部のみにて構成されている点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、載置支持部が一対の分割載置支持部のみにて構成されているので、一対の分割載置支持部の他には、物品の底面の一部を載置支持するものが存在しない。そのため、一対の分割載置支持部の間に、接近離間移動の際における干渉物が存在しないことになるので、一対の分割載置支持部が互いにより近づいた位置を接近限度位置として設定することが可能となり、一対の分割載置支持部が接触する直前の位置まで接近させ物品横幅方向の長さが一層短い物品を移載対象の物品とすることができる。
【0019】
本発明に係る物品移載装置の第3特徴構成は、前記一対の分割載置支持部が前記接近限度位置に位置するときに、前記一対の分割載置支持部の間に形成される間隙の前記物品横幅方向の長さが、前記一対の分割載置支持部のそれぞれについての前記物品横幅方向の長さよりも短い点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、一対の分割載置支持部が接近限度位置に位置することで、一対の分割載置支持部の間に形成される間隙の物品横幅方向の長さが、一対の分割載置支持部のそれぞれについての物品横幅方向の長さよりも短くなる。したがって、一対の分割載置支持部のそれぞれを接近限度位置に位置させることで、一対の分割載置支持部の間隙を分割載置支持部の物品横幅方向の長さよりも短くなる状態で、互いに近接対向した位置に位置させることができる。
【0021】
本発明に係る物品移載装置の第4特徴構成は、前記一対のクランプ部のそれぞれと前記一対の分割載置支持部のそれぞれとが一体移動可能に連結され、前記クランプ駆動手段と前記載置支持部駆動手段とが兼用されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、一体移動可能に連結された一対のクランプ部のそれぞれと一対の分割載置支持部のそれぞれとを、兼用の駆動手段にて一体的に接近離間移動操作できるため、クランプ駆動手段と載置支持部駆動手段とを各別に備える場合に比べ構成が簡素となる。
【0023】
本発明に係る物品移載装置の第5特徴構成は、前記一対の分割載置支持部のそれぞれが、前記物品移載方向に沿って配列された横軸心周りに回転自在な回転ローラを複数備えて構成され、前記複数の回転ローラを回転駆動させるローラ駆動手段が、前記一対の分割載置支持部のそれぞれに一体移動自在に設けられている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、一対の分割載置支持部のそれぞれは、ローラ駆動手段にて回転駆動される複数の回転ローラを、物品移載方向に沿って配列された状態で備えているので、複数の回転ローラにて物品を載置支持するだけではなく、載置支持している物品の底面に対して搬送作用して、物品を物品移載方向に搬送することができる。したがって、一対のクランプ部の出退作動による物品移載方向の搬送作用に加えて、一対の分割載置支持部における複数の回転ローラによる物品の底面に作用する搬送作用も得られる状態で物品を物品移載方向に搬送するので、物品を確実に且つスムーズに物品移載方向に搬送することができる。
【0025】
本発明に係る物品移載装置の第6特徴構成は、前記一対のクランプ部のそれぞれが、前記把持位置において移載対象の物品の前記横側部に当接して縦軸心周りに巻回作動される物品搬送用の無端回動体を備えて構成され、前記無端回動体を巻回駆動する巻回駆動手段が、前記一対のクランプ部のそれぞれに一体移動自在に設けられている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、一対のクランプ部のそれぞれは、把持位置において移載対象の物品の横側部に当接して縦軸心周りに巻回作動される物品搬送用の無端回動体を備えているので、把持位置の一対のクランプ部にて移載対象の物品を把持した状態で、無端回動体を巻回作動させると、移載対象の物品を把持しながら物品移載方向に搬送することができる。したがって、一対のクランプ部の出退作動による物品移載方向の搬送作用に加えて、一対のクランプ部における物品搬送用の無端回動体による物品の横側部に作用する搬送作用も得られる状態で物品を物品移載方向に搬送するので、物品を確実に且つスムーズに物品移載方向に搬送することができる。
【0027】
本発明に係るスタッカークレーンの特徴構成は、本発明に係る物品移載装置を昇降台に備えたスタッカークレーンであって、前記基台が、前記昇降台である点にある。
【0028】
本特徴構成によれば、スタッカークレーンの昇降台を基台として、物品移載装置の一対の分割載置支持部が設けられることになるので、昇降台に物品移載装置を搭載する構成が簡素なもので済む。そのため、本発明にかかる物品移載装置をスタッカークレーンに搭載する場合に、重量の増加を極力回避して、軽量なスタッカークレーンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】物品移載装置を搭載したスタッカークレーン及び物品収納棚を示す平面図
【図2】物品移載装置を搭載したスタッカークレーン及び物品収納棚を示す側面図
【図3】物品移載装置を搭載した昇降台の側面図
【図4】物品移載装置を搭載した昇降台の平面図
【図5】図4のP−P矢視断面背面図
【図6】図4のQ−Q矢視一部断面正面図
【図7】センタリング機構を示す一部透過平面図
【図8】後側クランプユニット及び後側載置支持部を示す縦断側面図
【図9】一対のクランプ部の動作状態を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る物品移載装置を自動倉庫におけるスタッカークレーンに適用した実施形態について図面に基づいて説明する。
〔自動倉庫〕
図1及び図2に示すように、自動倉庫は、物品出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて設置した二つの収納棚1と、それらの収納棚1どうしの間に形成した作業通路を走行するスタッカークレーンAとが設けられている。
【0031】
〔収納棚〕
各物品収納棚1は、図1及び図2に示すように、棚横幅方向(図1及び図2の上下方向)及び棚前後方向(図1の左右方向)に間隔を隔てて立設した複数の支柱1aと、棚横幅方向に並ぶ複数の支柱1aに亘って設けられた物品載置板1bとを備えて構成されている。そして、物品収納棚1は、物品載置板1bにて物品Bを載置支持する形態で物品Bを複数収納するように構成され、物品Bを収納する収納箇所が棚横幅方向並びに棚上下方向に複数並ぶように設けられている。
【0032】
各物品載置板1bには、一つの物品Bを収納する箇所としての収納箇所が棚横幅方向に沿って所定間隔毎に複数設定されている。後述するように物品Bには大きさの異なる複数種類が存在するが、一つの物品載置板1bには、棚横幅方向における幅が同じ又はほぼ同じ物品Bは棚横幅方向に並べられる。また、収納箇所に収納されている各物品Bは、物品Bの棚前面側の側面(作業通路側に向く側面)が棚前後方向で揃う状態(図1参照)となっている。このようにして、物品収納棚1は、棚横幅方向における物品横幅方向の長さLが異なる複数種類の物品Bを複数個収納するように構成されている。
【0033】
〔物品〕
物品Bには、最大横幅長さLmax(本実施形態では例えば、1510[mm]としている。)から最小横幅長さLmin(本実施形態では例えば、335[mm]としている。)まで大きさの異なる複数種類が存在する。物品の物品移載方向に沿った長さは、基本的には横幅方向の長さLが大きい物品ほど大きくなっている。このように、スタッカークレーンAは、物品移載方向に直交する物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品Bを移載対象としている。
【0034】
本実施形態では、物品Bは、装置製造用の部品や中間加工品等を収納するプラスチック製のコンテナ容器となっている。コンテナ容器の材質としては、ポリプロピレン(PP)やポリ塩化ビニル(PVC)などの汎用プラスチックや、ポリカーボネイト(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)などのエンジニアリングプラスチックが用いられており、コンテナ容器の剛性は高くなっている。また、コンテナ容器の底面等にはリブが形成されて剛性が補強されており、物品載置板1bに対する移載時に内容物の重量により撓み等の変形が生じにくくなっている。
【0035】
〔スタッカークレーン〕
図1及び図2に示すように、スタッカークレーンAは、作業通路に設置した単一の走行レール9に沿って走行する走行台車2に、昇降台3を昇降自在に案内支持する一対の支柱4をクレーン走行方向の前後に取り付けて構成され、各支柱4の上端側部分どうしは、作業通路上方に設置した上部ガイドレール5に案内支持される上部フレーム6にて連結されている。
【0036】
また、走行台車2には、走行レール9の上面に支持されて転動する走行輪10a,10bと、それらの走行輪10a,10bの近くで走行レール9を左右方向から挟み込んでその側面に沿って転動する図外の左右一対のガイドローラとがクレーン走行方向の前後に設けられ、走行輪10a,10bのうちの一方の駆動輪10aを駆動する走行用電動モータM1、クレーン制御用の制御装置7、地上側に設定された基準位置からの距離を計測することで走行台車2の作業用通路における走行位置を検出するための図外の走行用レーザ距離計、昇降台3の昇降経路における昇降位置を検出するための図外の昇降用レーザ距離計、クレーンの動作用電力を取得する図外の集電装置等が設けられている。そして、スタッカークレーンAは、上部フレーム6にて倒れ止めされながら、走行用電動モータM1の駆動で走行レール9に沿って自動走行するように構成されている。
【0037】
前記昇降台3は、図3、図4及び図8に示すように、前記一対の支柱4の夫々に形成された案内レール部にて昇降案内される一対の昇降ブラケット3F・3R(前側昇降ブラケット3F及び後側昇降ブラケット3R)をクレーン走行方向で前後両端に備えている。一対の昇降ブラケット3F・3Rには昇降台本体としての枠体11が接続されており、移載対象箇所と自己との間で物品Bを移載する物品移載装置14が枠体11に搭載されている。つまり、スタッカークレーンAは物品移載装置14を備えている。
【0038】
昇降台3の枠体11は、図5及び図7に示すように、クレーン走行方向に沿うクレーン横幅方向で左右に間隔を隔てて設置された一対のメインフレーム12と、そのメインフレーム12をクレーン走行方向の中央部及び前後端部の3箇所で連結する複数の連結フレーム13等で構成されている。図2に示すように、一対のメインフレーム12のそれぞれの前後中央箇所には、物品載置板1bの収納箇所に載置されている物品の有無を検出する二重移載防止用の棚上物品検出センサ15や、物品載置板1bの作業通路側の端面に対して検出作用する載置板検出センサ16が、検出方向が一対の物品収納棚1のそれぞれに向くように取り付けられている。
【0039】
一対の昇降ブラケット3F・3Rには、図2に示すように、一対の昇降用駆動チェーン8が連結されており、一対の昇降ブラケット3F・3R及び枠体11が吊下げ支持されている。一対の昇降用駆動チェーン8は、一方の端部が一対の昇降ブラケット3F・3Rの上部に連結され、上部フレーム6に設けた案内スプロケットと一方の支柱4に設けた案内スプロケットとに巻き掛けられて、走行台車2の一端に装備した図外の駆動スプロケットに巻き掛けられて、他方の端部が一対の昇降ブラケット3F・3Rの下部に連結されている。そして、駆動スプロケットを昇降用電動モータM2にて正逆に駆動回転させて、昇降用駆動チェーンの送り出しや引き込み操作で昇降台3を昇降させるように構成されている。
【0040】
スタッカークレーンAの作業通路の一方側の端部には、入庫指令や出庫指令を指令する地上側コントローラ(図示省略)が設置されており、この地上側コントローラから入庫指令や出庫指令が指令されると、スタッカークレーンAに搭載された制御装置7が、走行用レーザ距離計、昇降用レーザ距離計、棚上物品検出センサ15、載置板検出センサ16等の各種センサの検出情報に基づいて、走行台車2の走行作動及び昇降キャリッジ3の昇降作動並びに物品移載装置14の移載作動を制御する。これにより、スタッカークレーンAは、物品収納棚1の端部に設けられた図外の搬出入コンベヤから物品収納棚1の物品載置板1bに設定された収納箇所に物品Bを搬送する入庫用搬送作動、及び、物品載置板1bの収納箇所から搬出入コンベヤに物品Bを搬送する出庫用搬送作動を行う。なお、入庫指令及び出庫指令は、赤外線通信を利用した光伝送装置により、地上側コントローラから制御装置7に伝送され、制御装置7が指令する移載制御についての制御指令は、赤外線通信を利用した光伝送装置により、制御装置7から昇降台3に設けた制御端末に伝送される。
【0041】
次に、昇降台3の枠体11に設けられている物品移載装置14について詳細を説明する。
【0042】
図2〜図4に示すように、物品移載装置14は、移載対象の物品Bを載置支持する載置支持部17と、載置支持部17に対して物品移載方向である棚前後方向(クレーン横幅方向と同じ。)に沿って出退自在で、かつ、移載対象の物品Bを把持する把持位置(図9において実線で示すクレーン走行方向の位置)とこの把持位置よりも幅広の解除位置(図9において仮想線で示すクレーン走行方向の位置)とに互いに接近離間移動自在な、前側クランプ部18Fと後側クランプ部18Rとからなる一対のクランプ部18とを備えている。
【0043】
載置支持部17は、移載対象の物品Bの底面におけるクレーン走行方向で前側の側部を載置支持する前側載置支持部17Fと、移載対象の物品Bの底面におけるクレーン走行方向で後側の側部を載置支持する後側載置支持部17Rとで構成されている。つまり、載置支持部17は、移載対象の物品Bの底面における物品横幅方向での両側部(クレーン走行方向で前後の両側部)を各別に載置支持する一対の分割載置支持部17F・17Rにて構成されている。そして、本実施形態では、移載対象の物品Bは、一対の分割載置支持部17F・17Rにより物品横幅方向での両側部だけが支持されるので、載置支持部17は一対の分割載置支持部17F・17Rのみにて構成されている。
【0044】
前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rのそれぞれは、昇降台3の枠体11のメインフレーム12に対してクレーン前後方向に沿って移動自在に備えられている。つまり、本実施形態では、一対の分割載置支持部17F・17Rが備えられる基台が、昇降台3の枠体11にて構成されている。
【0045】
図3及び図4に示すように、一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれは、物品移載方向に沿って配列された横軸心(水平方向に沿う軸心)周りに回転自在な回転ローラ21を複数備えて構成されている。
【0046】
図6に示すように、前側載置支持部17Fを例に説明を加えると、回転ローラ21が、物品移載方向と直交する方向に間隔を隔てて設置された物品移載方向に長尺の一対のローラ支持プレート22に回転軸21Cの両端を回転自在に支持された状態で、物品移載方向に沿って複数設けられている。複数の回転ローラ21の下方には、物品移載方向で両端に位置する左端ローラ21L及び右端ローラ21Rの二つの回転ローラ21を除く全ての回転ローラ21の下方側部分に当接するコンベヤ駆動ベルト23が配設されている。コンベヤ駆動ベルト23を回転ローラ21の下方側部分に確実に当接させるための押し当てローラ24がコンベヤ駆動ベルト23の巻回内方側において物品移載方向に沿って複数設けられ、コンベヤ駆動ベルト23のテンションを調節するためのテンションローラ25がコンベヤ駆動ベルト23の巻回外方側に設けられている。
【0047】
そして、コンベヤモータM3を回転駆動させて駆動ローラ26を回転駆動させることで、コンベヤ駆動ベルト23を巻回作動させ、これにより、複数の回転ローラ21を一斉に回転駆動させることができるようになっている。なお、左端ローラ21L及び右端ローラ21Rの二つの回転ローラ21に対しては、これらに隣接する回転ローラ21と伝動ベルト27にて連動連結されており、当該隣接回転ローラ21から回転駆動力が伝達される。
【0048】
図5、図6及び図8に示すように、コンベヤモータM3や駆動ローラ26は、前側載置支持部17Fにおける一対のローラ支持プレート22の下方に取り付けられており、前側載置支持部17Fと一体移動できるようにユニット構造となっている。つまり、複数の回転ローラ21の全てを回転駆動させるコンベヤモータM3が、前側載置支持部17Fに一体移動自在に設けられている。
【0049】
以上では、前側載置支持部17Fについて説明したが、同様に後側載置支持部17Rと一体移動自在なコンベヤモータM3が、後側載置支持部17Rにおける複数の回転ローラ21の全てを回転駆動させるように構成されている。このように、複数の回転ローラ21の全てを回転駆動させるローラ駆動手段としてのコンベヤモータM3が、一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれに一体移動自在に設けられている。
【0050】
昇降台3の枠体11におけるメインフレーム12は、図5及び図6に示すように、断面視矩形状の角パイプであり、図3、図4及び図7に示すように、その上面には、ガイドレール19がクレーン走行方向で前後に二分割されて配置されている。つまり、一対のメインフレーム12のそれぞれのクレーン走行方向で前側の上面には前側ガイドレール19Fが、また、一対のメインフレーム12のそれぞれのクレーン走行方向で後側の上面には後側ガイドレール19Rが設けられている。つまり、昇降台3の枠体11には、一対の前側ガイドレール19F・19Fと一対の後側ガイドレール19R・19Rとがクレーン走行方向で前後に並べて配置されており、合計4本のガイドレール19が設けられている。
【0051】
前側載置支持部17Fは、図6に示すように、物品移載方向での両端箇所、つまりは、一対の前側ガイドレール19F・19F上に位置する箇所において、一対のローラ支持プレート22の下部を連結する一対の前側ベースプレート31F上に取り付けられており、この一対の前側ベースプレート31Fのそれぞれの裏面に、前側ガイドレール19Fに案内される前側用スライドブロック30Fが前後方向に間隔を空けて一対設けられている。したがって、前側載置支持部17Fは、これが取り付けられる一対の前側ベースプレート31Fの下方に取り付けられた物品移載方向での両端箇所における合計4個の前側用スライドブロック30Fにより一対の前側ガイドレール19F・19Fにて案内される。
【0052】
同様に、後側載置支持部17Rは、図5に示すように、これが取り付けられる一対の後側ベースプレート31Rの下方に取り付けられた物品移載方向での両端箇所における合計4個の後側用スライドブロック30Rにより一対の後側ガイドレール19R・19Rにて案内される。
【0053】
このように、前側載置支持部17Fにおける前後左右の前側用スライドブロック30Fが一対の前側ガイドレール19Fにて移動案内され、後側載置支持部17Rにおける前後左右の後側用スライドブロック30Rが一対の後側ガイドレール19Rにて移動案内される。そして、後述するセンタリング機構20により、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとが、同期して互いに逆方向に移動操作される。
【0054】
これにより、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとは、前側載置支持部17Fが、一対の前側ガイドレール19Fの前側端部箇所に位置し、後側載置支持部17Rが、一対の後側ガイドレール19Rの後側端部箇所に位置する離間限度位置(図3及び図4において実線で示された前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rの位置)と前側載置支持部17Fが、一対の前側ガイドレール19Fの後側端部箇所に位置し、後側載置支持部17Rが、一対の後側ガイドレール19Rの前側端部箇所に位置する接近限度位置(図3及び図4において仮想線で示された前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rの位置)とを両端とする移動許容範囲の範囲内で互いに接近離間移動自在となっている。
【0055】
そして、前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rが接近限度位置に位置すると、一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれに備えられた複数の回転ローラ21における接近方向側の端部が、互いに対向する位置まで接近して、一対の分割載置支持部17F・17Rが接近限度位置に位置するときには、一対の分割載置支持部17F・17Rの間に形成される間隙Gの物品横幅方向の長さLg(本実施形態では例えば、45[mm]としている。)が、一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれについての物品横幅方向の長さL1(本実施形態では例えば、150[mm]としている。)よりも短くなる。このように、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとは、移動許容範囲のうち互いに接近する側の端部である接近限度位置に位置するときに、互いに近接対向するように構成されている。したがって、本実施形態の物品移載装置14は、従来構造の物品移載装置のように物品Bの底面における中央箇所を支持する中央支持部による制約を受けることなく、前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rの位置を十分に接近させることができる。
【0056】
このように、物品移載装置14は、その物品横幅方向の長さに応じて、前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rの位置を、離間限度位置と接近限度位置との間の移動許容範囲内で調整することで、物品Bの底面における両側部を前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとで支持することができる。そして、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとを接近限度位置に位置させることで、従来では移載対象とできなかった物品横幅方向が短い物品であっても移載対象とすることができる。
【0057】
センタリング機構20は、図7及び図8に示すように、前側載置支持部17Fにおける一対のローラ支持プレート22を下方側で連結するように設けられた前側移動操作部材28Fと、後側載置支持部17Rにおける一対のローラ支持プレート22を下方側で連結するように設けられた後側移動操作部材28Rと、昇降台3の枠体11に対して水平面に沿って設定された巻回軌道に沿って巻回作動して、前側移動操作部材28F及び後側移動操作部材28Rを物品移載方向と直交するする方向に沿って互いに反対方向に移動操作するセンタリングベルト29と、センタリングベルト29を巻回駆動するセンタリングモータM4と、センタリングモータM4の出力軸に設けられたタイミングプーリー34Tと、枠体11において物品移載方向と直交する方向でタイミングプーリー34Tに対向する箇所に配置される従動プーリー34Sとを備えて構成されている。
【0058】
タイミングプーリー34T及び従動プーリー34Sのそれぞれは、図5及び図7に示すように、枠体11の一対のメインフレーム12間に渡って設けられた一対のセンタリング機構取り付け用連結フレーム13Cに取り付けブラケット39にて取り付けられている。
【0059】
前側移動操作部材28Fと後側移動操作部材28Rとは、センタリングベルト29に対して結合部材32により固定されているので、センタリングベルト29が巻回作動すると、前側移動操作部材28Fと後側移動操作部材28Rが互いに反対方向に移動操作され、これにより、前側載置支持部17Fと後側載置支持部17Rとが、ガイドレール19に案内されながら互いに反対方向に移動する。
【0060】
センタリングモータM4は、タイミングプーリー34Tを回転駆動して、このタイミングプーリー34T及びタイミングプーリー34Tに対向配置される従動プーリー34Sに歯合するタイミングベルトにて構成されたセンタリングベルト29を巻回作動させるので、上述の制御装置7は、物品Bの物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、センタリングモータM4の回転数を制御することで、前側載置支持部17F及び後側載置支持部17Rの接近離間位置を物品Bの横幅方向の長さに応じて制御できるようになっている。
【0061】
さらに、本実施形態では、図3及び図6に示すように、前側載置支持部17Fが取り付けられる一対の前側ベースプレート31Fには、クランプ取り付けブラケット33を介して、前側クランプ部18Fを備える後述の前側クランプユニット35Fが一体的に取り付けられている。前側載置支持部17Fと前側クランプユニット35Fとは、同じ一対の前側ベースプレート31Fに取り付けられているので、センタリングモータM4を駆動させて前側載置支持部17Fを移動させると、前側クランプ部18Fも前側載置支持部17Fと一体移動する。
【0062】
同様に、図3及び図5に示すように、後側載置支持部17Rが取り付けられる一対の後側ベースプレート31Rには、クランプ取り付けブラケット33を介して後側クランプ部18Rを備える後述の後側クランプユニット35Rが一体的に取り付けられている。後側載置支持部17Rと後側クランプ部18Rとは、同じ一対の後側ベースプレート31Rに取り付けられているので、センタリングモータM4を駆動させて後側載置支持部17Rを移動させると、後側クランプ部18Rも後側載置支持部17Rと一体移動する。
【0063】
このように、一対のクランプ部18F・18Rのそれぞれと一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれとが一体移動可能に連結されている。そして、一対のクランプ部18F・18Rを接近離間移動させるクランプ駆動手段と、一対の分割載置支持部17F・17Rを接近離間移動させる載置支持部駆動手段が、センタリングモータM4にて兼用されている。
【0064】
なお、センタリングモータM4は制御装置7により位置制御だけでなくトルク制御によっても制御される。これは、一対のクランプ部18F・18R及び一対の分割載置支持部17F・17Rの物品Bの横幅方向の長さに応じた接近離間位置の制御に加えて、一対のクランプ部18F・18Rにて物品Bを挟持するときの挟持圧を制御するためにセンタリングモータM4の駆動トルクを制御するからである。
【0065】
一対のクランプ部18F・18Rの構成について後側クランプ部18Rを例に説明する。後側クランプ部18Rは、一対の後側ベースプレート31Rに接続される後側クランプユニット35Rに備えられている。後側クランプユニット35Rは、三段式のスライドフォーク36及び伝動ギヤ機構37を備えて構成された出退操作部38と、この出退操作部38を正逆両方向に出退駆動するフォークモータM5と、物品移載方向(フォークの出退方向)に長尺の板状体で、両端に物品Bの角部と係合する係合爪が形成され、スライドフォーク36のプライマリフォークに取り付けられた後側クランプ部18Rとを備えて構成されている。
【0066】
〔制御構成〕
制御装置7は、移載対象の物品Bにおける物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、クランプ駆動手段及び載置支持部駆動手段としてのセンタリングモータM4の作動を制御する。また、制御装置7は、はみ出しセンサS1(図5及び図7参照)や図外の位置決めセンサにて検出される移載対象の物品Bにおける物品移載方向の端部位置情報に基づいて、ローラ駆動手段としてのコンベヤモータM3及びクランプ出退駆動手段としてのフォークモータM5の回転作動を制御する。
【0067】
制御装置7は、地上側コントローラから入庫指令が指令されると、搬送元である搬出入コンベヤにおける移載箇所と搬送先である物品収納棚1における収納箇所とについてのクレーン走行方向での位置情報及びクレーン昇降方向での位置情報を取得するとともに、当該入庫指令にて移載対象とされる物品Bについての物品横幅方向についての長さ情報を取得する。
【0068】
また、制御装置7は、地上側コントローラから出庫指令が指令されると、搬送元であるに物品収納棚1における収納箇所と搬送先である搬出入コンベヤにおける移載箇所とについてのクレーン走行方向での位置情報及びクレーン昇降方向での位置情報を取得するとともに、当該出庫指令にて移載対象とされる物品Bについての物品横幅方向についての長さ情報を取得する。
【0069】
なお、物品移載装置14の移載作動は搬送元と搬送先とで卸し移載か掬い移載かが異なるため、制御装置7は、入庫指令や出庫指令に基づいて搬送元や搬送先についてのクレーン昇降方向での位置情報を取得する際に、卸し移載が行われる搬送先の収納箇所や移載箇所が指令された場合は、掬い移載が行われる搬送元の収納箇所・移載箇所が指令された場合よりも、設定高さ(例えば30[mm])だけ高い位置を示す位置情報を取得するように構成されている。
【0070】
レーン走行方向での位置情報及びクレーン昇降方向での位置情報は、地上側コントローラから制御装置7に対して指令情報にて直接与えるように構成してもよいし、地上側コントローラからの指令情報においては位置ID情報を与え、制御装置7が位置ID情報に基づいて、位置情報テーブルを参照して取得するようにしてもよい。また、物品横幅方向についての長さ情報も同様に、地上側コントローラから制御装置7に対して指令情報にて直接与えるように構成してもよいし、地上側コントローラからの指令情報においては物品種別ID情報を与え、制御装置7がこの物品種別ID情報に基づいて、物品横幅方向長さテーブルを参照して取得するようにしてもよい。
【0071】
制御装置7の制御動作について、ある物品Bを搬送元としての搬出入コンベヤにおける移載箇所から搬送先としての物品収納棚1における収納箇所に搬送する入庫指令が発生した場合を例に簡単に説明する。なお、当該入庫指令が発生する時点までは、スタッカークレーンAは待機状態であったとして説明する。
【0072】
制御装置7は、入庫指令にて搬送元として指令された搬出入コンベヤにおける移載箇所における掬い位置に対して物品移載装置14を位置させるべく、走行用レーザ距離計及び昇降用レーザ距離計の検出情報に基づいて走行用電動モータM1及び昇降用電動モータM2の作動を制御する。そして、搬送元への走行作動及び昇降作動と並行して、入庫指令に基づいて取得した移載対象の物品Bの物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、センタリングモータM4の作動を制御して、一対のクランプ部18F・18Rを移載対象の物品Bに対する解除位置に位置させる。本実施形態では、この解除位置は、一対のクランプ部18F・18Rの間隔と移載対象の物品Bの物品横幅方向についての長さLとの差(物品横幅方向に形成されるクリアランスの和)が、一対の分割載置支持部17F・17Rの一方についての物品横幅方向の長さよりも小さくなる位置に設定されている。これにより、物品Bの物品横幅方向の中心が一対の分割載置支持部17F・17Rの中心から多少ずれた場合でも、物品Bを一対の分割載置支持部17F・17Rにて適確に載置支持できる。
【0073】
物品移載装置14が搬送元に対する掬い位置に位置すると、棚上物品検出センサ15の検出情報にて搬出入コンベヤにおける移載箇所に位置する移載対象の物品Bの存在を確認した後、地上側コントローラに搬出入コンベヤの作動要求情報を送信し、搬出入コンベヤを搬入側に作動させる。これと同時に、前側載置支持部17FにおけるコンベヤモータM3及び後側載置支持部17RにおけるコンベヤモータM3の引き込み側に作動開始させる。なお、搬出入コンベヤの駆動モータの回転作動速度と一対の分割載置支持部17F・17RのそれぞれのコンベヤモータM3の回転作動速度は、搬出入コンベヤによる物品Bの搬送速度と、回転作動する一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれにおける複数の回転ローラ21による物品Bの搬送速度とが同調するように、搬出入コンベヤの制御端末及び制御装置7により制御される。
【0074】
搬出入コンベヤ及び一対の分割載置支持部17F・17Rの搬送作用により搬出入コンベヤにおける移載箇所からスタッカークレーンAの物品移載装置14側に搬送される物品Bは、その端面が物品移載装置14の物品移載方向で外方側の端部に位置するように、はみ出しセンサS1や位置決めセンサの検出情報の組み合わせによる位置決め制御される。すなわち、当該入庫指令にて指令された搬送先としての物品収納棚1における収納箇所が、スタカークレーンAのクレーン走行方向で左右いずれの物品収納棚1に属するかを判別し、例えば、搬送先がクレーン走行方向で左側の物品収納棚1に属する収納箇所であれば、物品Bのクレーン走行方向で右側の側面が物品移載装置14の同右側の端部に位置するように、一対の分割載置支持部17F・17Rにおける物品Bの物品移載方向についての載置位置が制御される。これにより、搬送先としての物品収納棚1における収納箇所に物品Bを卸す場合に、物品Bの大きさに拘らず一対のクランプ部18F・18Rを一定のストロークで突出させるだけで、全ての物品Bの作業空間側の側面が揃った状態で、物品Bを物品載置板1Bの収納箇所に収納させることができる。
【0075】
移載対象の物品Bが一対の分割載置支持部17F・17Rに完全に載置支持されると、一対のクランプ部18F・18Rをこの解除位置から把持位置に切り換えるべく、センタリングモータM4をトルク制御モードで制御する。すなわち、一対のクランプ部18F・18Rが解除位置から物品Bを把持する把持位置となると、センタリングモータM4の駆動トルクが上昇することを利用して、一対のクランプ部18F・18Rが解除位置にある状態から、センタリングモータM4の駆動トルクを一対のクランプ部18F・18Rを移動操作可能な駆動トルク以上に設定された目標トルクに維持しながら接近側に回転作動させ続け、センタリングモータM4の回転速度が把持状態判別用の設定基準値以下まで低下すると、一対のクランプ部18F・18Rが把持位置に位置しているとして、センタリングモータM4の作動を停止させる。
【0076】
こうして、移載対象の物品Bが一対の分割載置支持部17F・17Rに完全に載置支持され、かつ、一対のクランプ部18F・18Rが引退位置で物品Bを把持する把持位置となると、制御装置7は、搬送先としての物品収納棚1における収納箇所についての卸し位置に物品移載装置14を位置させるべく、走行用レーザ距離計及び昇降用レーザ距離計の検出情報に基づいて走行用電動モータM1及び昇降用電動モータM2の作動を制御する。
【0077】
物品移載装置14が搬送先としての収納箇所についての卸し位置に位置すると、制御装置7は、棚上物品検出センサ15の検出情報にて物品収納棚1における収納箇所における他の物品Bの非存在を確認した後、物品Bを当該収納箇所に押し込むために、一対のクランプ部18F・18Rを突出作動させるべく、前後のクランプユニット35F・35RにおけるフォークモータM5を当該収納箇所についての突出側に設定ストロークだけ作動させる。これと同時に、前側載置支持部17FにおけるコンベヤモータM3及び後側載置支持部17RにおけるコンベヤモータM3を当該収納箇所についての押し出し側に作動開始させる。なお、搬送元での掬い動作tp同様に、フォークモータM5の回転作動速度と一対の分割載置支持部17F・17RのそれぞれのコンベヤモータM3の回転作動速度は、突出作動する一対のクランプ部18F・18Rによる物品Bの搬送速度と、回転作動する一対の分割載置支持部17F・17Rのそれぞれにおける複数の回転ローラ21による物品Bの搬送速度とが同調するように、制御装置7により制御される。
【0078】
こうして、一対のクランプ部18F・18Rが突出位置に位置して、移載対象の物品Bが図9に示すように搬送先としての物品収納棚1における収納箇所に位置すると、一対のクランプ部18F・18Rを図9において実線で示す把持位置から図9において仮想線で示す解除位置に切り換えるべく、センタリングモータM4を位置制御モードで制御する。すなわち、一対のクランプ部18F・18Rが把持位置にある状態から、把持解除操作用の設定作動量だけ離間移動させるべく、センタリングモータM4の駆動量を目標駆動量だけ離間作動側に回転作動させたのち停止させる。
【0079】
そして、一対のクランプ部18F・18Rが突出位置で物品Bの把持を解除する解除位置となったら、一対のクランプ部18F・18Rを引退作動させるべく、前後のクランプユニット35F・35RにおけるフォークモータM5を引退側に作動させる。なお、この場合は、前側載置支持部17FにおけるコンベヤモータM3及び後側載置支持部17RにおけるコンベヤモータM3は、停止状態に維持させておけばよい。
【0080】
〔別の実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。
【0081】
(1)上記実施形態では、載置支持部が、一対の分割載置支持部のみにて構成されているものを例示したが、これに限らず、たとえば、載置支持部が、物品の底面における物品横幅方向での中間部を載置支持する物品横幅方向で幅狭の中間支持体を設けて攻勢されているものであってもよい。中間支持体を設けることで、移載対象の物品が一対の分割載置支持部だけで支持すると下方側に撓んで変形する場合でも、中間支持部にて物品の当該部分を支持できるので、載置支持部にて物品を確実に載置支持することができる。
【0082】
(2)上記実施形態では、ローラ駆動手段が複数の回転ローラの全てを回転駆動させるものを例示したが、これに限らず、回転ローラの一部又は全部をフリーローラにて構成したものであってもよい。
【0083】
(3)上記実施形態では、一対の分割載置支持部のそれぞれが、物品移載方向に沿って配列された横軸心周りに回転自在な回転ローラを複数備えて構成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、一対の分割載置支持部のそれぞれが、物品を載置支持する単なる一対の板状体にて構成されたものであってもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、物品移載装置をスタッカークレーンに搭載されたものを例示したこれに限らず、例えば、無人物品搬送台車に物品移載装置を搭載してもよい。
【0085】
(5)上記実施形態では、一対のクランプ部のそれぞれが、出退操作部にて出退操作される爪付きの板状体にて構成されたものを例示したが、これに代えて、いわゆるベルトクランプ式のものであってもよい。すなわち、一対のクランプ部のそれぞれが、把持位置において移載対象の物品の横側部に当接して縦軸心周りに巻回作動される物品搬送用の無端回動体を備えて構成されたものであってもよい。この場合、無端回動体を巻回駆動する巻回駆動手段を、一対のクランプ部のそれぞれに一体移動自在に設けることが好ましい。
【0086】
また、この場合、一対の分割載置支持部にローラコンベヤ等の搬送手段を備えてもよいし、備えなくてもよい。一対の分割載置支持部に、搬送駆動手段としてのコンベヤモータにて駆動されるローラコンベヤ等の搬送手段を備える場合は、前記無端回動体を巻回駆動による搬送速度と、一対の分割載置支持部における搬送手段による搬送速度が同調するように、制御手段にて搬送駆動手段及び巻回駆動手段の作動を制御すればよい。
【0087】
(6)上記実施形態では、一対のクランプ部のそれぞれと一対の分割載置支持部のそれぞれとが一体移動可能に連結され、クランプ駆動手段と載置支持部駆動手段とが兼用されているものを例示したが、これに代えて、一対のクランプ部のそれぞれと一対の分割載置支持部のそれぞれとが分離独立して移動可能に構成され、クランプ駆動手段と載置支持部駆動手段とを各別に備えたものであてもよい。
【符号の説明】
【0088】
A スタッカークレーン
M3 ローラ駆動手段
M4 載置支持部駆動手段,クランプ駆動手段
G 間隙
3 昇降台,基台
7 制御手段
17、17F・17R 一対の分割載置支持部
18、18F・18R 一対のクランプ部
21 回転ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に備えられて移載対象の物品を載置支持する載置支持部と、
前記載置支持部に対して物品移載方向に沿って出退自在で、かつ、移載対象の物品を把持する把持位置とこの把持位置よりも幅広の解除位置とに互いに接近離間移動自在な一対のクランプ部と、
前記一対のクランプ部を接近離間移動させるクランプ駆動手段とが設けられ、
前記物品移載方向に直交する物品横幅方向の長さが異なる複数種類の物品を移載対象とする物品移載装置であって、
前記載置支持部が、移載対象の物品の底面における前記物品横幅方向での両側部を各別に載置支持する一対の分割載置支持部にて構成され、
前記一対の分割載置支持部が、前記物品横幅方向で設定された移動許容範囲の範囲内で互いに接近離間移動自在に構成され、かつ、前記移動許容範囲のうち互いに接近する側の端部である接近限度位置に位置するときに、互いに近接対向するように構成され、
前記一対の分割載置支持部を接近離間移動させる載置支持部駆動手段と、
移載対象の物品における前記物品横幅方向についての長さ情報に基づいて、前記クランプ駆動手段及び前記載置支持部駆動手段の作動を制御する制御手段とが設けられている物品移載装置。
【請求項2】
前記載置支持部が、前記一対の分割載置支持部のみにて構成されている請求項1記載の物品移載装置。
【請求項3】
前記一対の分割載置支持部が前記接近限度位置に位置するときに、前記一対の分割載置支持部の間に形成される間隙の前記物品横幅方向の長さが、前記一対の分割載置支持部のそれぞれについての前記物品横幅方向の長さよりも短い請求項1又は2記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記一対のクランプ部のそれぞれと前記一対の分割載置支持部のそれぞれとが一体移動可能に連結され、
前記クランプ駆動手段と前記載置支持部駆動手段とが兼用されている請求項1〜3の何れか1項記載の物品移載装置。
【請求項5】
前記一対の分割載置支持部のそれぞれが、前記物品移載方向に沿って配列された横軸心周りに回転自在な回転ローラを複数備えて構成され、
前記複数の回転ローラを回転駆動させるローラ駆動手段が、前記一対の分割載置支持部のそれぞれに一体移動自在に設けられている請求項1〜4の何れか1項記載の物品移載装置。
【請求項6】
前記一対のクランプ部のそれぞれが、前記把持位置において移載対象の物品の前記横側部に当接して縦軸心周りに巻回作動される物品搬送用の無端回動体を備えて構成され、
前記無端回動体を巻回駆動する巻回駆動手段が、前記一対のクランプ部のそれぞれに一体移動自在に設けられている請求項1〜4の何れか1項記載の物品移載装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の物品移載装置を昇降台に備えたスタッカークレーンであって、
前記基台が、前記昇降台であるスタッカークレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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