説明

物品管理システム及び方法

【課題】物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み出すことにより物品の数を管理する場合に、その数を手間をかけずに、かつ正確に管理する。
【解決手段】ICタグ部10と識別タグ部20とからなる管理ラベル3を物品1に貼着しておき、情報読出装置40において、載置エリア2に存在するICタグ部10からタグIDをアンテナ41a,41bを介して読み出すとともに、CCDカメラ31a,31bによって載置エリア2を撮影し、画像解析装置30においてその画像データから識別タグ部20に設けられた識別マークを検出し、管理システム50において、ICタグ部10から読み出されたタグIDの数と検出された識別マークの数とを比較し、比較結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管あるいは流通される物品の数を管理する物品管理システム及び方法に関し、特に、RF−IDメディアを用いて物品の数を管理する物品管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品等の物品の在庫管理や物流状態の管理は、その物品に予め与えられた識別情報を管理者あるいは作業者が読み取ることによって行われている。
【0003】
物品に予め与えられた識別情報は、ラベル等に印字されて物品に貼着されたり、物品が収納された段ボール等に印字されたりしており、管理者あるいは作業者は、在庫管理を行う場合や物流状態の管理を行う場合は、まずこの識別情報を読み取る。この識別情報は、どの物品に与えられたものであるかがホストコンピュータ等で管理されており、管理者あるいは作業者が商品等から読み取った識別情報をホストコンピュータ等に入力することにより、物品の在庫や物流状態が把握されることになる。
【0004】
近年においては、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なRF−IDメディアに上述したような識別情報あるいは物品に関する情報を予め書き込んでこのRF−IDメディアを物品に貼着しておき、その後、管理者あるいは作業者がRF−IDメディアに書き込まれた情報を読み出すことにより、物品の在庫や物流状態を管理することも行われている。
【0005】
また、上述したようにRF−IDメディアから情報を読み出すとともに、物品が存在する撮影エリアを撮影し、RF−IDメディアから読み出された情報と物品の撮影データとを対応づけて記録しておくことにより、優れたトレーサビリティを実現する方法も考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−100002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようにRF−IDメディアを用いた場合、複数の物品にそれぞれ貼着されたRF−IDメディアから同時に情報を読み出すことができるため、情報が読み出されたRF−IDメディアの数に基づいて物品の数を管理することができる。
【0007】
しかしながら、複数の物品にそれぞれ貼着されたRF−IDメディアから同時に情報を読み出す場合、RF−IDメディアから情報を読み出すリーダと物品との位置関係や、リーダに対するRF−IDメディアの向き、あるいは、RF−IDメディアのアンテナやICチップの不良等によって情報の読み出しに失敗する可能性があり、その場合、物品の数を正確に管理することができなくなってしまう。そのため、RF−IDメディアを用いているものの、RF−IDメディアを用いて検出された物品の数を人手によって確認する作業が必要となってしまうという問題点がある。
【0008】
また、上述した特許文献1に記載されたものにおいては、RF−IDメディアからの情報の読み出しに失敗したとしても、記録された撮影データを参照することにより物品の数を管理することができるものの、撮影エリアに複数の物品が存在する場合、撮影データを参照して物品の数を数えるという人手による作業が発生してしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み出すことにより物品の数を管理する場合に、その数を手間をかけずに、かつ正確に管理することができる物品管理システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み出すことによって、特定領域内に存在する物品の数を管理する物品管理システムであって、
前記特定領域内に存在するRF−IDメディアから情報を読み出す情報読出手段と、
前記物品に取り付けられ、特定情報が画像読み取り可能に付与された識別タグと、
前記特定領域を撮影し、画像データとして出力する撮影手段と、
前記撮影手段から出力された画像データから前記特定情報を検出する特定情報検出手段と、
前記情報読出手段にて読み出された情報の数と、前記特定情報検出手段にて検出された特定情報の数とを比較し、比較結果を出力する管理手段とを有する。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、特定領域内に存在する物品には、特定情報が画像読み取り可能に付与された識別タグとRF−IDメディアとが取り付けられている。情報読出手段においては、特定領域内に存在するRF−IDメディアから情報が読み出され、また、撮影手段においては、特定領域が撮影されて画像データとして出力される。撮影手段から出力された画像データは特定情報検出手段に送られ、特定情報検出手段において、撮影手段から出力された画像データから特定情報が検出される。その後、管理手段において、情報読出手段にて読み出された情報の数と、特定情報検出手段にて検出された特定情報の数とが比較され、比較結果が出力される。
【0012】
このように、物品に取り付けられたRF−IDメディアから読み出された情報の数と、物品に取り付けられた識別タグに付与された特定情報の数とが比較されるので、両者が一致した場合はその数を、特定領域内に存在する物品の数と判断することができ、また、両者が一致しなかった場合は、RF−IDメディアからの情報の読み出しが正常に行われていないか、あるいは識別タグに付与された特定情報が正確に検出されていないかのいずれかであり、特定領域内に存在する物品の数が正確に認識されていないと判断することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明においては、RF−IDメディアが取り付けられた物品に、特定情報が画像読み取り可能に付与された識別タグを取り付けておき、特定領域内に存在するRF−IDメディアから情報を読み出すとともに、特定領域を撮影してその画像データから特定情報を検出し、RF−IDメディアから読み出された情報の数と検出された特定情報の数とを比較し、比較結果を出力する構成としたため、その比較結果に基づいて、特定領域内に存在する物品の数が正確に認識されているかどうかを判断することができ、それにより、物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み出すことにより物品の数を管理する場合に、その数を手間をかけずに、かつ正確に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の物品管理システムの第1の実施の形態を示す図である。また、図2は、図1に示した管理ラベル3の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はICタグ部10の内部構造を示す図である。
【0016】
本形態は図1に示すように、特定領域である載置エリア2に載置された物品1の数を管理するものであって、撮影手段であるCCDカメラ31a,31bと、情報読出手段である情報読出装置40及びアンテナ41a,41bと、特定情報検出手段である画像解析装置30と、管理手段である管理システム50とから構成されている。
【0017】
載置エリア2には、キャスター4aによって移動可能なパレット4上に搭載された8つの物品1が載置され、その8つの物品1にはそれぞれ、物品1の数を管理するための管理ラベル3が貼着されている。この管理ラベル3は、図2に示すように、RF−IDメディアであるICタグ部10の表面に識別タグ部20が貼着されて構成されている。これにより、物品1には、ICタグ部10及び識別タグ部20が取り付けられていることになる。また、8つの物品1は、4つの物品1が2面どうしが当接し、これが2段に積み重ねられた状態でパレット4上に搭載されており、管理ラベル3は図1に示すように、積み重ねられた物品1の表出する側面のうち1つの方向の側面とそれに対向する側面にそれぞれ貼着されている。
【0018】
ICタグ部10は、ベース基材となるPET材13上に互いに空隙を有して配置された導電性材料からなるアンテナ12が設けられ、その2つのアンテナ12を跨ぐようにICチップ11が搭載されて構成されている。PET材13のICチップ11が搭載された面の全面には粘着剤14が塗布されており、この粘着剤14によって管理ラベル3が物品1に貼着されることになる。このように構成されたICタグ部10においては、情報読出装置40に接続されたアンテナ41a,41bに近接させることにより、アンテナ41a,41bにて発生した電波にアンテナ12が共振し、この共振によってアンテナ12に電流が流れ、この電流がICチップ11に供給され、それにより、非接触状態において、ICチップ11に書き込まれたICタグ部10固有のタグIDが情報読出装置40にて読み出される。
【0019】
識別タグ部20は、PET材23の一方の面に、蓄光インク21を用いたスクリーン印刷等によって特定情報である識別マーク21aが印刷され、その上に透明なアクリル材22が積層されて構成されている。PET材23の他方の面の全面には粘着剤24が塗布されており、この粘着剤24によって識別タグ部20がICタグ部10に貼着されている。識別マーク21aを構成する蓄光インク21は、バインダー樹脂に微細粉末からなる蓄光材が混入されて構成される。この蓄光材としては、例えば、SrAl24:Eu、Dy等の成分で緑色発光をする緑色蓄光顔料や、Sr4Al1425:Eu、Dy等の成分で青色発光をする青緑色蓄光顔料等を用いることが考えられる。また、バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂やウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル塩ビ樹脂等を用いることが考えられる。
【0020】
情報読出装置40は、物品1に貼着された管理ラベル3のICタグ部10に書き込まれたタグIDをアンテナ41a,41bを介して読み出す。アンテナ41a,41bは、載置エリア2を挟んで対向するように配置されており、それにより、上述したような状態で物品1にそれぞれ貼着された管理ラベル3がアンテナ41a,41bと対向するように物品1が載置エリア2に載置されれば、情報読出装置40において、載置エリア2に存在する全てのICタグ部10からタグIDを読み出すことができるようになる。そして、アンテナ41a,41bを介して読み出したタグIDの数を管理システム50に通知する。
【0021】
CCDカメラ31a,31bは、載置エリア2を撮影し、画像データとして出力するものであって、アンテナ41a,41bと同様に、載置エリア2を挟んで対向するように配置されている。それにより、上述したような状態で物品1にそれぞれ貼着された管理ラベル3がCCDカメラ31a,31bと対向するように物品1が載置エリア2に載置されれば、CCDカメラ31a,31bにおいて、載置エリア2に存在する全ての物品1に貼着された管理ラベル3の識別タグ部20を撮影することができるようになる。
【0022】
画像解析装置30は、CCDカメラ31a,31bから出力された画像データを受け取り、その画像データの中から管理ラベル3の識別マーク21aを検出し、検出した識別マーク21aの数を管理システム50に通知する。
【0023】
管理システム50は、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とを比較する数値比較部51と、数値比較部51における比較結果を表示出力するディスプレイ等の表示部53と、数値比較部51における比較の結果、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが一致した場合、その数を載置エリア2に載置された物品1の数として管理する物品数管理部54と、これらを制御する制御部52とから構成されている。
【0024】
以下に、上記のように構成された物品管理システムを用いて物品1の数を管理する方法について説明する。
【0025】
図3は、図1及び図2に示した物品管理システムを用いて載置エリア2に載置された物品1の数を管理する方法を説明するためのフローチャートである。
【0026】
管理ラベル3が貼着された物品1が、図1に示したようにパレット4上に積み重ねられて搭載された状態で載置エリア2に載置されると、まず、情報読出装置40において、載置エリア2に存在するICタグ部10からアンテナ41a,41bを介してタグIDが読み出される(ステップS1)。載置エリア2には、ICタグ部10を有する管理ラベル3が貼着された物品1が、管理ラベル3がアンテナ41a,41bと対向するように載置されているため、情報読出装置40において、物品1に貼着された管理ラベル3のICタグ部10からタグIDがアンテナ41a,41bを介して読み出されることになる。そして、情報読出装置40にて管理ラベル3のICタグ部10からアンテナ41a,41bを介して読み出されたタグIDは管理システム50に通知される。
【0027】
また、CCDカメラ31a,31bにおいて、載置エリア2が撮影される(ステップS2)。載置エリア2には、識別タグ部20を有する管理ラベル3が貼着された物品1が、管理ラベル3がCCDカメラ31a,31bと対向するように載置されているため、CCDカメラ31a,31bにおいて、物品1に貼着された管理ラベル3が撮影されることになる。この際、載置エリア2を暗所として撮影を行うと、管理ラベル3の識別タグ部20に設けられた識別マーク21aが蓄光インク21を用いて形成されていることから、CCDカメラ31a,31bにおいては、識別マーク21aのみが鮮明に撮影されることになる。
【0028】
CCDカメラ31a,31bにて撮影された画像データは、画像解析装置30に送られ、画像解析装置30において、CCDカメラ31a,31bから送られてきた画像データの中から識別マーク21aが抽出される(ステップS3)。ここで、画像解析装置30においては、管理ラベル3の識別タグ部20に設けられた識別マーク21aの形状が予め登録されており、この予め登録された識別マーク21aの形状を用いて、画像データの中から識別マーク21aが抽出されることになる。また、上述したように、載置エリア2を暗所として撮影を行った場合は、CCDカメラ31a,31bから送られてきた画像データにおいて識別マーク21aのみが鮮明に写し出されているため、この識別マーク21aが予め登録された形状と比較されることになる。そして、画像解析装置30にて検出された識別マーク21aの数が管理システム50に通知される。
【0029】
次に、管理システム50の数値比較部51において、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが比較される(ステップS4)。
【0030】
情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが比較された結果、両者が一致した場合は(ステップS5)、制御部52の制御によって、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが一致した旨が表示部53にて表示出力されるとともに(ステップS6)、その数が載置エリア2に載置された物品1の数であると判断され、物品数管理部54において、その数が載置エリア2に載置された物品1の数として管理される(ステップS7)。
【0031】
一方、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが比較された結果、両者が一致しなかった場合は、制御部52の制御によって、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが一致していない旨が表示部53にて表示出力される(ステップS8)。この際、情報読出装置40において管理ラベル3のICタグ部10からタグIDが正常に読み出されていなければ、情報読出装置40から通知されたタグIDの数が画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数よりも少なくなり、また、画像解析装置30にて識別マーク21aが正しく検出されていなければ、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数が情報読出装置40から通知されたタグIDの数よりも少なくなる。
【0032】
このように、情報読出装置40から通知されたタグIDの数と、画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数とが比較された結果、両者が一致した場合にのみ、その数を載置エリア2に載置された物品1の数として管理するため、載置エリア2に載置された物品1の数を正確に管理することができる。
【0033】
また、情報読出装置40において管理ラベル3のICタグ部10からタグIDが正常に読み出されていない場合に、情報読出装置40から通知されたタグIDの数が画像解析装置30から通知された識別マーク21aの数よりも少なくことから、ICタグ部10のICチップ11やアンテナ12が不良であるかどうかを検査することもできる。
【0034】
その後、物品1は、保管あるいは流通処理工程において、物品1に貼着された管理ラベル3のICタグ部10に対して、情報が書き込まれたり情報が読み出されたりすることにより、その工程管理が行われることになる。
【0035】
なお、本形態においては、管理ラベル3が物品1に貼着されることによりICタグ部10及び識別タグ部20が物品1に取り付けられているが、物品1に設けられたポケットあるいは嵌め込み部に管理ラベル3を挿入あるいは嵌め込むことによりICタグ部10及び識別タグ部20を物品1に取り付ける構成とすることも考えられる。
【0036】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の物品管理システムの第2の実施の形態を示す図である。また、図5は、図4に示したICタグ110の構成を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。また、図6は、図4に示した識別タグ120の構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0037】
本形態は図4に示すように、特定領域である載置エリア102に載置された物品101の数を管理するものであって、撮影手段であるCCDカメラ131と、情報読出手段である情報読出装置140及びアンテナ141と、特定情報検出手段である画像解析装置130と、管理手段である管理システム150と、CCDカメラ131による撮影方向から載置エリア102に紫外線を照射する紫外線ランプ160とから構成されている。
【0038】
載置エリア102には、キャスター104aによって移動可能なパレット104上に搭載された4つの物品101が載置され、その4つの物品101にはそれぞれ、物品101の数を管理するためのRF−IDメディアであるICタグ110及び識別タグ120が貼着されている。また、4つの物品101は、2つの物品101が1つの面にて当接し、これが2段に積み重ねられた状態でパレット104上に搭載されており、ICタグ110及び識別タグ120は図4に示すように、積み重ねられた物品1の表出する側面のうち同一方向の面に貼着されている。
【0039】
ICタグ110は図5に示すように、ベース基材となるPET材113上に互いに空隙を有して配置された導電性材料からなるアンテナ112が設けられ、その2つのアンテナ112を跨ぐようにICチップ111が搭載されて構成されている。PET材113のICチップ111が搭載された面の全面には粘着剤114が塗布されており、この粘着剤114によって物品101に貼着されることになる。このように構成されたICタグ110においては、情報読出装置140に接続されたアンテナ141に近接させることにより、アンテナ141にて発生した電波にアンテナ112が共振し、この共振によってアンテナ112に電流が流れ、この電流がICチップ111に供給され、それにより、非接触状態において、ICチップ111に書き込まれたICタグ110固有のタグIDが情報読出装置140にて読み出される。
【0040】
識別タグ120は図6に示すように、PET材123の一方の面に、蛍光インク121を用いたスクリーン印刷等によって特定情報である識別マーク121aが印刷され、その上に透明なアクリル材122が積層されて構成されている。PET材123の他方の面の全面には粘着剤124が塗布されており、この粘着剤124によって物品101に貼着されている。識別マーク121aを構成する蛍光インク121は、バインダー樹脂に微細粉末からなる蛍光材が混入されて構成される。この蛍光材としては、クマリン系またはペリレン系イエロー蛍光染料、クマリン系またはペリレン系オレンジ蛍光染料、クマリン系またはペリレン系レッド蛍光染料等を用いることが考えられる。また、バインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂やウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル塩ビ樹脂等を用いることが考えられる。
【0041】
情報読出装置140は、物品101に貼着されたICタグ110に書き込まれたタグIDをアンテナ141を介して読み出す。上述したように、積み重ねられた物品101の表出する側面のうち同一方向の面に貼着されたICタグ110がアンテナ141と対向するように物品101が載置エリア102に載置されれば、情報読出装置140において、載置エリア102に存在する全てのICタグ110からタグIDを読み出すことができるようになる。そして、アンテナ141を介して読み出したタグIDの数を管理システム150に通知する。
【0042】
CCDカメラ131は、載置エリア102を撮影し、画像データとして出力するものであって、上述したように、積み重ねられた物品101の表出する側面のうち同一方向の面に貼着されたICタグ110がCCDカメラ131と対向するように物品101が載置エリア102に載置されれば、CCDカメラ131において、載置エリア102に存在する全ての物品101に貼着された識別タグ120を撮影することができるようになる。
【0043】
画像解析装置130は、CCDカメラ131から出力された画像データを受け取り、その画像データの中から識別タグ120の識別マーク121aを検出し、検出した識別マーク121aの数を管理システム150に通知する。
【0044】
管理システム150は、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とを比較する数値比較部151と、数値比較部151における比較結果を表示出力するディスプレイ等の表示部153と、数値比較部151における比較の結果、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが一致した場合、その数を載置エリア102に載置された物品101の数として管理する物品数管理部154と、これらを制御する制御部152と、紫外線ランプ160からの紫外線の照射を制御するランプ制御部155とから構成されている。
【0045】
以下に、上記のように構成された物品管理システムを用いて物品1の数を管理する方法について説明する。
【0046】
図7は、図4〜図6に示した物品管理システムを用いて載置エリア102に載置された物品101の数を管理する方法を説明するためのフローチャートである。
【0047】
ICタグ110及び識別タグ120が貼着された物品101が、図4に示したようにパレット104上に積み重ねられて搭載された状態で載置エリア102に載置されると、まず、情報読出装置140において、載置エリア102に存在するICタグ110からアンテナ141を介してタグIDが読み出される(ステップS101)。載置エリア102には、ICタグ110が貼着された物品101が、ICタグ110がアンテナ141と対向するように載置されているため、情報読出装置140において、物品101に貼着されたICタグ110からタグIDがアンテナ141を介して読み出されることになる。そして、情報読出装置140にてICタグ110からアンテナ141を介して読み出されたタグIDは管理システム150に通知される。
【0048】
また、CCDカメラ131において、載置エリア102が撮影される(ステップS102)。載置エリア102には、識別タグ120が貼着された物品101が、識別タグ120がCCDカメラ131と対向するように載置されているため、CCDカメラ131において、物品101に貼着された識別タグ120が撮影されることになる。この際、載置エリア102を暗所として撮影を行うと、識別タグ120に設けられた識別マーク121aが蛍光インク121を用いて形成されていることから、紫外線ランプ160から載置エリア102に紫外線を照射すれば、CCDカメラ131においては、識別マーク121aのみが鮮明に撮影されることになる。
【0049】
CCDカメラ131にて撮影された画像データは、画像解析装置130に送られ、画像解析装置130において、CCDカメラ131から送られてきた画像データの中から識別マーク121aが抽出される(ステップS103)。ここで、画像解析装置130においては、識別タグ120に設けられた識別マーク121aの形状が予め登録されており、この予め登録された識別マーク121aの形状を用いて、画像データの中から識別マーク121aが抽出されることになる。また、上述したように、載置エリア102を暗所とし、紫外線ランプ160から載置エリア102に紫外線を照射しながら撮影を行った場合は、CCDカメラ131から送られてきた画像データにおいて識別マーク121aのみが鮮明に写し出されているため、この識別マーク121aが予め登録された形状と比較されることになる。そして、画像解析装置130にて検出された識別マーク121aの数が管理システム150に通知される。
【0050】
次に、管理システム150の数値比較部151において、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが比較される(ステップS104)。
【0051】
情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが比較された結果、両者が一致した場合は(ステップS105)、制御部152の制御によって、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが一致した旨が表示部153にて表示出力されるとともに(ステップS106)、その数が載置エリア102に載置された物品101の数であると判断され、物品数管理部154において、その数が載置エリア102に載置された物品101の数として管理される(ステップS107)。
【0052】
一方、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが比較された結果、両者が一致しなかった場合は、制御部152の制御によって、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが一致していない旨が表示部153にて表示出力される(ステップS108)。この際、情報読出装置140においてICタグ110からタグIDが正常に読み出されていなければ、情報読出装置140から通知されたタグIDの数が画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数よりも少なくなり、また、画像解析装置130にて識別マーク121aが正しく検出されていなければ、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数が情報読出装置140から通知されたタグIDの数よりも少なくなる。
【0053】
このように、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが比較された結果、両者が一致した場合にのみ、その数を載置エリア102に載置された物品101の数として管理するため、載置エリア102に載置された物品101の数を正確に管理することができる。
【0054】
また、情報読出装置140においてICタグ部110からタグIDが正常に読み出されていない場合に、情報読出装置140から通知されたタグIDの数が画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数よりも少なくことから、ICタグ110のICチップ111やアンテナ112が不良であるかどうかを検査することもできる。
【0055】
その後、物品101は、保管あるいは流通処理工程において、物品101に貼着されたICタグ110に対して、情報が書き込まれたり情報が読み出されたりすることにより、その工程管理が行われることになる。
【0056】
なお、本形態においては、ICタグ110及び識別タグ120がそれぞれ物品101に貼着されることにより物品101に取り付けられているが、物品101に設けられたポケットあるいは嵌め込み部に挿入あるいは嵌め込むことにより物品101に取り付ける構成とすることも考えられる。
【0057】
また、上述した2つの実施の形態にて示した識別タグ部20や識別タグ120のように、印刷される識別マーク21a,121aを上下非対称の形状のものとすることにより、載置エリア2,102における物品1,101の載置状態の天地を確認することができる。また、識別マーク21a,121aとして、物品1,101を管理する管理番号を印刷しておけば、物品1,101の保管あるいは流通処理工程において、この識別マーク21a,121aを読み取ることにより、その工程管理を行うことができる。
【0058】
また、識別マーク21a,121aは、上述した2つの実施の形態に示したように蓄光インクや蛍光インクを用いて印刷するものに限らない。
【0059】
図8は、本発明の物品管理システムにおいて識別マークを印刷する素材とそれに応じた検出方法を示す図である。
【0060】
図8に示すように、識別マーク21a,121aを印刷する素材においては、上述したような蓄光インクや蛍光インクに限らず、赤外インクを用いることもできる。また、特殊なインクではなく一般的なインクを用いることもできる。ただし、図8に示すように、識別マーク21a,121aを印刷する素材に応じて、識別マーク21a,121aを読み取る際に載置エリア2,102に照射すべき光の種類と、載置エリア2,102を撮影する撮影手段の種類と、その撮影した画像データから識別マーク21a,121aを検出するための光の種類とを適宜設定する必要がある。なお、一般的な画像認識技術のみを利用する場合は、図8中「4」に示すように、一般的なインクを用いて識別マーク21a,121aを印刷しておき、CCDカメラを用いて物品1,101を撮影し、画像解析装置30,130において、その画像データの中から一般的な画像認識技術を用いて識別マーク21a,121aを検出することになる。いずれの場合においても、特定情報となる識別マーク21a,121aが識別タグ部20あるいは識別タグ120に対して画像読み取り可能に付与されていればよい。
【0061】
また、制御部52,152において、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とに優先度を付与しておき、情報読出装置140から通知されたタグIDの数と、画像解析装置130から通知された識別マーク121aの数とが比較された結果、両者が一致しなかった場合に、優先度の高い方の数を、載置エリア2,102に載置された物品1,101の数として管理することも考えられる。
【0062】
また、管理ラベル3のICタグ部10あるいはICタグ110のアンテナ12,112の形状は、上述したようなボウタイ形状に限らず、棒状のアンテナであってもよく、また、1つのアンテナからなるモノポール形態としてもよい。また、コイル状のアンテナとし、情報読出装置40,140からの電磁誘導によってICチップ11,111からタグIDを読み出す構成とすることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の物品管理システムの第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1に示した管理ラベルの構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はICタグ部の内部構造を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した物品管理システムを用いて載置エリアに載置された物品の数を管理する方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の物品管理システムの第2の実施の形態を示す図である。
【図5】図4に示したICタグの構成を示す図であり、(a)は内部構造を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図6】図4に示した識別タグの構成を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図7】図4〜図6に示した物品管理システムを用いて載置エリアに載置された物品の数を管理する方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の物品管理システムにおいて識別マークを印刷する素材とそれに応じた検出方法を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1,101 物品
2,102 載置エリア
3 管理ラベル
4,104 パレット
4a,104a キャスター
10 ICタグ部
11,111 ICチップ
12,41a,41b,112,141 アンテナ
13,23,113,123 PET材
14,24,114,124 粘着剤
20 識別タグ部
21 蓄光インク
21a,121a 識別マーク
22,122 アクリル材
30,130 画像解析装置
31a,31b,131 CCDカメラ
40,140 情報読出装置
50,150 管理システム
51,151 数値比較部
52,152 制御部
53,153 表示部
54,154 物品数管理部
110 ICタグ
120 識別タグ
121 蛍光インク
155 ランプ制御部
160 紫外線ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み出すことによって、特定領域内に存在する物品の数を管理する物品管理システムであって、
前記特定領域内に存在するRF−IDメディアから情報を読み出す情報読出手段と、
前記物品に取り付けられ、特定情報が画像読み取り可能に付与された識別タグと、
前記特定領域を撮影し、画像データとして出力する撮影手段と、
前記撮影手段から出力された画像データから前記特定情報を検出する特定情報検出手段と、
前記情報読出手段にて読み出された情報の数と、前記特定情報検出手段にて検出された特定情報の数とを比較し、比較結果を出力する管理手段とを有する物品管理システム。
【請求項2】
特定情報が画像読み取り可能に付与された識別タグとRF−IDメディアとが取り付けられ、特定領域に存在する物品の数を管理する方法であって、
前記RF−IDメディアから情報を読み出す情報読出手段が、前記特定領域内に存在するRF−IDメディアから情報を読み出す処理と、
前記特定領域を撮影する撮影手段が、前記特定領域を撮影し、画像データとして出力する処理と、
前記撮影手段に接続された特定情報検出手段が、前記撮影手段から出力された画像データから前記特定情報を検出する処理と、
前記物品の数を管理する管理手段が、前記情報読出手段にて読み出された情報の数と、前記特定情報検出手段にて検出された特定情報の数とを比較し、比較結果を出力する処理とを有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−197122(P2007−197122A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15542(P2006−15542)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】