説明

物品管理システム

【課題】複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、その物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する。
【解決手段】前後に配置された複数の物品に取り付けられたICタグの全てから固有情報を読み取り可能な第1の強度の電波と、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報を読み取り可能な第2の強度の電波とを切り替えて出力して読み取りを行い、物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報が最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を管理する物品管理システムに関し、特に、物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報を読み取ることにより、物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する物品管理システムに関する
【背景技術】
【0002】
従来より、商品の在庫管理や書類の保管状況管理等といった物品の管理は、その物品に予め与えられた識別情報を管理者あるいは作業者が読み取ることによって行われている。物品に予め与えられた識別情報は、ラベル等に印字されて物品に貼着されたり、物品が収納された段ボール等に印字されたりしており、管理者あるいは作業者は、物品の管理を行う場合は、まずこの識別情報を読み取る。識別情報はどの物品に与えられたものであるかがホストコンピュータ等で管理されており、管理者あるいは作業者が商品等から読み取った識別情報をホストコンピュータ等に入力することにより、商品の在庫や書類の保管状況が把握されることになる。
【0003】
近年、このような物品管理をICタグを用いて行う技術が考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、特定すべき保管場所毎に保管場所を示すICタグを設置しておくとともに、物品にICタグを取り付けておき、これら保管場所に設置されたICタグと、物品に取り付けられたICタグとからの受信強度に基づいて、物品の保管場所を更新していく技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、物品を収納する収納スペースが複数ある場合に、物品に取り付けられたICタグから物品IDを収納スペース毎に読み取っていき、その読み取り率に基づいて、物品の収納スペースを特定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−113893号公報
【特許文献2】特開2010−37104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上述したように収納スペースに物品を収納する場合、複数の物品を前後に配置して収納する場合がある。その場合、上記同様に物品にICタグを取り付け、このICタグに書き込まれた固有情報を読み取ることによって物品の収納スペースを管理するとなると、前後に配置された物品のうち手前の物品側から固有情報を読み取る場合、読み取り用の電波の強度を大きくしないと、前後に配置された物品のうち奥側の物品に取り付けられたICタグから固有情報を読み取ることができない。
【0008】
ところが、複数の収納スペースが互いに隣接するように設けられている場合、読み取り用の電波の強度を大きくすると、隣接した収納スペースに収納された物品に取り付けられたICタグからも固有情報が読み取られてしまい、特許文献2に記載したもののようにその読み取り率に基づいて収納スペースを決定しようとしても読み取り率が収納スペース毎にたいして変わらないものとなってしまい、収納スペースを特定することができなくなってしまうという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、その物品が収納された収納スペースを特定可能に管理することができる物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、当該物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する物品管理システムであって、
前記物品に取り付けられ、固有情報が書き込まれたICタグと、
読み取り用の電波を出力することにより、前記ICタグから固有情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて前記ICタグから読み取られた固有情報に基づいて、前記収納スペースに収納された物品について、当該物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する管理手段とを有し、
前記読取手段は、前記複数の収納スペースのそれぞれにおいて、前記前後に配置された複数の物品を1組とした場合にその組毎に、当該前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品側から前記読み取り用の電波を出力することにより前記ICタグから固有情報を読み取り、当該読み取り時に、前記前後に配置された複数の物品に取り付けられたICタグの全てから固有情報を読み取り可能な第1の強度の電波と、前記前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報を読み取り可能な第2の強度の電波とを切り替えて出力し、
前記管理手段は、前記収納領域に収納された物品のそれぞれについて、当該物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報が前記読取手段にて最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理する。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、複数の物品が前後に配置されて収納され、互いに隣接するように設けられた複数の収納スペースのそれぞれにて、前後に配置された複数の物品を1組とした場合にその組毎に、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品側から読み取り用の電波を出力することによりICタグに書き込まれた固有情報を読み取る読取手段において、前後に配置された複数の物品に取り付けられたICタグの全てから固有情報を読み取り可能な第1の強度の電波と、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報を読み取り可能な第2の強度の電波とを切り替えて出力してICタグからの固有情報の読み取りが行われる。第1の強度の電波を出力してICタグから固有情報の読み取りが行われた場合、前後に配置された複数の物品のうち奥側に配置された物品に取り付けられたICタグから固有情報を読み取ることができるものの、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品については、隣接する組もしくは隣接する収納スペースに収納された物品に取り付けられたICタグからも固有情報が読み取られてしまう場合がある。ところが、第2の強度の電波を出力して読み取りが行われた場合は、固有情報の読み取り対象となる組について前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報が読み取られるので、その組にて最も手前に配置された物品については、その収納スペースにて固有情報が読み取られた回数がその分だけ増える。そのため、1つの物品について、第1の強度の電波が出力されることによって固有情報が読み取られた回数が、異なる収納スペース間にて差がない場合であっても、第2の強度の電波が出力されることによって固有情報が読み取られた回数に差が生じ、この差を用いて、管理手段において、収納領域に収納された物品のそれぞれについて、その物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報が読取手段にて最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理すれば、複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、その物品が収納された収納スペースを特定可能に管理することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明においては、複数の物品が前後に配置されて収納され、互いに隣接するように設けられた複数の収納スペースのそれぞれにて、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品側から読み取り用の電波を出力することによりICタグに書き込まれた固有情報を読み取る読取手段において、前後に配置された複数の物品に取り付けられたICタグの全てから固有情報を読み取り可能な第1の強度の電波と、前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報を読み取り可能な第2の強度の電波とを切り替えて出力して読み取りが行われる構成としたため、第1の強度の電波を出力してICタグから固有情報の読み取りが行われることにより、固有情報の読み取り対象となる組について前後に配置された複数の物品のうち奥側に配置された物品に取り付けられたICタグから固有情報を読み取ることができ、かつ、第2の強度の電波を出力してICタグから固有情報の読み取りが行われることにより、前後に配置された物品のうち最も手前に配置された物品について、収納スペース毎に固有情報が読み取られた回数に差が生じ、この差を用いて、管理手段において、収納スペースに収納された物品のそれぞれについて、その物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報が読取手段にて最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理すれば、複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、その物品が収納された収納スペースを特定可能に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の物品管理システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は概略構成を示す図、(b)は機能ブロック図である。
【図2】図1に示した物品管理システムにて文書箱の収納状態が管理される文書箱の収納領域の一例を示す図である。
【図3】図2に示した収納領域における文書箱の収納状態の管理方法を説明するための図である。
【図4】図1に示したハンディターミナルにて読み取り動作を行う際に出力される電波の強度を示す図である。
【図5】ハンディターミナルから出力される読み取り用の電波の強度による読み取り状態を説明するための図であり、(a)は第1の強度の電波が出力された場合の読み取り状態を説明するための図であり、(b)は第2の強度の電波が出力された場合の読み取り状態を説明するための図である。
【図6】図1に示した読取データ管理テーブルに登録された情報を示す図である。
【図7】図1に示したロケーションテーブルに登録された情報を示す図である。
【図8】図1に示した在庫管理テーブルに登録された情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の物品管理システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は概略構成を示す図、(b)は機能ブロック図である。
【0016】
本形態は図1(a)に示すように、物品となる文書箱2にICタグ1が貼付されており、このICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号をハンディターミナル3で読み取り、読み取った物品ICタグ番号をクレードル4を介して管理手段となる管理用パソコン5に送信し、それにより、文書箱2が収納された収納スペースを特定可能に管理するものである。
【0017】
ICタグ1は、貼付された文書箱2を識別可能な物品ICタグ番号が固有情報として書き込まれており、ハンディターミナル3からUHF帯の読み取り用の電波が出力されることにより、非接触状態にて物品ICタグ番号が読み取られる。なお、物品ICタグ番号は、この物品ICタグ番号が書き込まれたICタグ1が貼付された文書箱2と対応づけて管理用パソコン5にて登録されている。また、ICタグ1の文書箱2への取り付け方法は貼付に限らない。
【0018】
ハンディターミナル3は、アンチコリジョン機能を有し、読み取り用の電波を出力することにより、読取範囲内に存在するICタグ1の全てから物品ICタグ番号を一括して読み取ることができる。ハンディターミナル3は、内蔵された蓄電池で駆動するものであり、クレードル4上に載置されることによって蓄電池が充電される。このクレードル4にはLAN8を介して管理用パソコン5が接続されており、ハンディターミナル3にて読み取られた物品ICタグ番号を含む情報を管理用パソコン5に送信する。
【0019】
図1(a)に示した構成を機能別に説明すると、図1(b)に示すように、図1(a)に示したハンディターミナルターミナル3が、ICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号を読み取る読取部11となり、また、図1(a)に示したクレードル4が、読取部11にて読み取られた物品ICタグ番号を管理用パソコン5に送信する送信部12となる。そして、これら読取部11と送信部12とから、本発明における読取手段となる読取制御部10が構成されている。なお、読取制御部10をハンディターミナル3のみから構成し、ICタグ1から読み取られた物品ICタグ番号を、クレードル4を介さずにハンディターミナル3から管理用パソコン5に直接送信する構成とすることも考えられる。
【0020】
図1(a)に示した管理用パソコン5は図1(b)に示すように、情報取得部21と、読取データ管理テーブル22と、収納スペース算出部23と、在庫管理テーブル24と、ロケーションテーブル25とを有している。
【0021】
情報取得部21は、送信部12から送信されてきた物品ICタグ番号を含む情報を取得し、文書箱2が収納される収納スペース毎に、読取部11にて読み取られた物品ICタグ番号の読取回数を読取データ管理テーブル22に登録して管理する。
【0022】
ロケーションテーブル25には、文書箱2が収納される複数の収納スペースの位置情報が登録されており、収納スペース算出部23は、読取データ管理テーブル22に登録された読取回数と、ロケーションテーブル25に登録された複数の収納スペースの位置情報とに基づいて、文書箱2が収納されている収納スペースを在庫管理テーブル24にて特定可能に管理する。
【0023】
以下に、上記のように構成された物品管理システムにおける処理について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した物品管理システムにて文書箱2の収納状態が管理される文書箱2の収納領域の一例を示す図である。
【0025】
図2に示すように本例における収納領域は、図1に示した文書箱2が収納される4つの収納スペース6a〜6dが設けられたものである。これら4つの収納スペース6a〜6dは、2段の棚からなる収納領域にて、その上段の棚に2つの収納スペース6a,6bが互いに隣接して配置され、下段の棚に2つの収納スペース6c,6dが互いに隣接して配置されており、それにより、4つの収納スペース6a〜6dは互いに隣接するように設けられている。
【0026】
4つの収納スペース6a〜6dのそれぞれには、図1に示した文書箱2が左右3列、前後2列に配置されて収納されている。具体的には、収納スペース6aにおいては、文書箱2a,2dが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2b,2eが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2c,2fが1組となって前後に配置されて収納され、また、収納スペース6bにおいては、文書箱2g,2jが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2h,2kが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2i,2lが1組となって前後に配置されて収納され、また、収納スペース6cにおいては、文書箱2m,2pが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2n,2qが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2o,2rが1組となって前後に配置されて収納され、また、収納スペース6dにおいては、文書箱2s,2vが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2t,2wが1組となって前後に配置されて収納され、文書箱2u,2xが1組となって前後に配置されて収納されている。
【0027】
このようにして4つの収納スペース6a〜6dに収納された文書箱2a〜2xについて、収納された収納スペース6a〜6dを特定可能に管理する。
【0028】
図3は、図2に示した収納領域における文書箱2a〜2xの収納状態の管理方法を説明するための図である。
【0029】
図2に示した収納領域における文書箱2a〜2xの収納状態を管理する場合は、図3に示すように、収納スペース6a〜6dのそれぞれにおいて、図1に示したハンディターミナル3を前後に配置された文書箱2a〜2xのうち、手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2uに順次対向させていき、これら文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2u側から、文書箱2a〜2xに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号を読み取っていく。これにより、収納スペース6a〜6dのそれぞれについて、前後に配置された文書箱の組毎に、収納スペース6a〜6dに収納された文書箱2a〜2xに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号がハンディターミナル3にて順次読み取られていく。この際、収納スペース6a〜6dのそれぞれには、収納スペース6a〜6dを識別可能な情報が書き込まれたICタグ7a〜7dが取り付けられており、ハンディターミナル3を収納スペース6a〜6dにて文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2uに対向させる前にこのICタグ7a〜7dに対向させ、収納スペース6a〜6dを識別可能な情報をハンディターミナル3にて読み取ることにより、その後に物品ICタグ番号が読み取られたICタグ1が貼付された文書箱が収納された収納スペース6a〜6dが特定可能となる。なお、収納スペース6a〜6dの特定は、上述したようなICタグ7a〜7dを用いたものに限らず、ハンディターミナル3を収納スペース6a〜6dにて文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2uに対向させる前に収納スペース6a〜6dを特定可能な情報をハンディターミナル3に入力することや、ハンディターミナル3を収納スペース6a〜6d間を移動させる際にその旨をハンディターミナル3に入力すること等によってもよい。
【0030】
図4は、図1に示したハンディターミナル3にて読み取り動作を行う際に出力される電波の強度を示す図である。
【0031】
図1に示したハンディターミナル3においては、文書箱2a〜2xに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号を読み取るために、図4に示すように、その強度が互いに異なる第1の強度と第2の強度の電波とをサイクリックに切り替えて出力する。第1の強度の電波は、ハンディターミナル3にて物品ICタグ番号の読取対象となる組の文書箱に貼付されたICタグ1の全てから物品ICタグ番号を読み取り可能なものである。また、第2の強度の電波は、第1の強度よりも弱く、ハンディターミナル3にて物品ICタグ番号の読取対象となる組の文書箱のうち手前に配置された文書箱に貼付されたICタグ1のみから物品ICタグ番号を読み取り可能なものである。
【0032】
このような第1の強度の電波と第2の強度の電波とがハンディターミナル3からサイクリックに切り替えられて出力されるが、その切り替えサイクルは、例えば、ハンディターミナル3が1組の文書箱に対向している間に1サイクル行うものとすることが考えられる。また、第1及び第2の強度の電波は、継続して出力されており、第1の強度の電波が出力されるサイクル、第2の強度の電波が出力されるサイクルにて一定の時間出力される。例えば、図4に示すt1において第1の強度の電波が継続して出力され、図4に示すt2において第2の強度の電波が継続して出力されており、ハンディターミナル3においては、第1の強度の電波が出力されている間、第2の強度の電波が出力されている間にてそれぞれ5回ずつの読み取り動作が行われている。
【0033】
図5は、ハンディターミナル3から出力される読み取り用の電波の強度による読み取り状態を説明するための図であり、(a)は第1の強度の電波が出力された場合の読み取り状態を説明するための図であり、(b)は第2の強度の電波が出力された場合の読み取り状態を説明するための図である。
【0034】
ハンディターミナル3が収納スペース6aに収納された文書箱2cに対向する領域にて第1の強度の電波が出力された場合は、図5(a)に示すように、ハンディターミナル3が対向する領域の前後に配置された組の文書箱2c,2fに貼付されたICタグ1のいずれからも物品ICタグ番号を読み取ることができるものの、前後に配置された文書箱のうち手前に配置された文書箱については、隣接する組の文書箱2bに貼付されたICタグ1や、隣接する収納スペース6b,6cに収納された文書箱2g,2oに貼付されたICタグ1からも物品ICタグ番号が読み取られてしまう場合がある。すなわち、文書箱2cに対向する領域にて第1の強度の電波が出力された場合は、文書箱2cに左右方向に隣接する文書箱2b,2gに貼付されたICタグ1からも物品ICタグ番号が読み取られ、文書箱2cに上下方向に隣接する文書箱2oに貼付されたICタグ1からも物品ICタグ番号が読み取られてしまう場合がある。また、文書箱2cに斜め方向に隣接する文書箱2n,2sに貼付されたICタグ1からも物品ICタグ番号が読み取られてしまう場合もある。このように、物品ICタグ番号の読み取り対象となる文書箱に隣接する文書箱とは、その文書箱の左右方向、上下方向、斜め方向にて隣り合うものを意味し、その文書箱の左右方向、上下方向、斜め方向にて隣接したものを含めて1つ以上の文書箱を挟んで隣り合うものは、近傍と定義する。この定義は、文書箱が収納される収納スペースについても同様とする。
【0035】
一方、ハンディターミナル3が収納スペース6aに収納された文書箱2cに対向する領域にて第2の強度の電波が出力された場合は、図5(b)に示すように、ハンディターミナル3が対向する領域の前後に配置された組の文書箱2c,2fのうち手前に配置された文書箱2cに貼付されたICタグ1のみから物品ICタグ番号が読み取られることになり、その組について奥側に配置された文書箱2fや、その組に隣接する組や、隣接する収納スペース6b,6cに収納された文書箱に貼付されたICタグ1からは物品ICタグ番号は読み取られない。
【0036】
ここで、本形態においては、文書箱2aに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“F54321”が書き込まれ、文書箱2bに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“G34567”が書き込まれ、文書箱2cに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“B78901”が書き込まれ、文書箱2dに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“P76543”が書き込まれ、文書箱2eに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“C45678”が書き込まれ、文書箱2fに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“A12345”が書き込まれ、文書箱2gに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“E98765”が書き込まれ、文書箱2hに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“X98765”が書き込まれ、文書箱2iに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“H34567”が書き込まれ、文書箱2jに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“Y90123”が書き込まれ、文書箱2kに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“F23456”が書き込まれ、文書箱2lに貼付されたICタグ1には物品ICタグ番号として“Q76543”が書き込まれているものとする。
【0037】
以下に、上述したような状態における物品ICタグ番号の具体的な読取結果について説明する。なお、本例では、説明を簡単にするために図2及び図3に示した4つの収納スペース6a〜6dのうち、2つの収納スペース6a,6bのみについて説明する。
【0038】
上述したような物品ICタグ番号が、文書箱2a〜2lに貼付されたICタグ1に書き込まれた状態において、上述したようにハンディターミナル3を、収納スペース6a,6bのそれぞれにおいて、前後に配置された文書箱2a〜2lのうち、手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2iに順次対向させていく。まず、ハンディターミナル3が文書箱2aに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、ハンディターミナル3においては、文書箱2aに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“F54321”以外に、この文書箱2aに隣接して配置された文書箱2bに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“G34567”と、この文書箱2aの奥側に配置された文書箱2dに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“P76543”とが読み取られる。なお、ハンディターミナル3においては、図4に示したように、第1の強度の電波が出力されるサイクルにて5回の読み取り動作が行われているため、これらの物品ICタグ番号はそれぞれ最大5回読み取られることになる。また、ハンディターミナル3が文書箱2aに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2aに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“F54321”のみが読み取られる。なお、ハンディターミナル3においては、図4に示したように、第2の強度の電波が出力されるサイクルにて5回の読み取り動作が行われているため、文書箱2aに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“F54321”は最大5回読み取られることになる。
【0039】
次に、ハンディターミナル3が移動して文書箱2bに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、上記同様に、ハンディターミナル3においては、文書箱2bに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“G34567”以外に、この文書箱2bに隣接して配置された文書箱2a,2cにそれぞれ貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“F54321”,“B78901”と、この文書箱2bの奥側に配置された文書箱2eに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“C45678”とが読み取られる。また、ハンディターミナル3が文書箱2bに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2bに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“G34567”のみが読み取られる。
【0040】
次に、ハンディターミナル3が移動して文書箱2cに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、上記同様に、ハンディターミナル3においては、文書箱2cに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“B78901”以外に、この文書箱2cに隣接して配置された文書箱2b,2gにそれぞれ貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“G34567”,“E98765”と、この文書箱2cの奥側に配置された文書箱2fに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“A12345”とが読み取られる。また、ハンディターミナル3が文書箱2cに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2cに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“B78901”のみが読み取られる。
【0041】
次に、ハンディターミナル3が移動して文書箱2gに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、上記同様に、ハンディターミナル3においては、文書箱2gに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“E98765”以外に、この文書箱2gに隣接して配置された文書箱2c,2hにそれぞれ貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“B78901”,“X98765”と、この文書箱2gの奥側に配置された文書箱2jに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“Y90123”とが読み取られる。また、ハンディターミナル3が文書箱2gに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2gに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“E98765”のみが読み取られる。
【0042】
次に、ハンディターミナル3が移動して文書箱2hに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、上記同様に、ハンディターミナル3においては、文書箱2hに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“X98765”以外に、この文書箱2hに隣接して配置された文書箱2g,2iにそれぞれ貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“E98765”,“H34567”と、この文書箱2hの奥側に配置された文書箱2kに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“F23456”とが読み取られる。また、ハンディターミナル3が文書箱2hに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2hに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“X98765”のみが読み取られる。
【0043】
次に、ハンディターミナル3が移動して文書箱2iに対向している状態で第1の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われると、上記同様に、ハンディターミナル3においては、文書箱2iに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“H34567”以外に、この文書箱2iに隣接して配置された文書箱2hに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“X98765”と、この文書箱2iの奥側に配置された文書箱2lに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“Q76543”とが読み取られる。また、ハンディターミナル3が文書箱2iに対向している状態で第2の強度の電波が出力されることにより読み取り動作が行われ、ハンディターミナル3においては、文書箱2iに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“H34567”のみが読み取られる。
【0044】
このようにして、収納スペース6a〜6dのそれぞれについて、前後に配置された文書箱2a〜2xのうち、手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2r〜2uにハンディターミナル3を順次対向させていくことで、収納スペース6a〜6dに収納された文書箱2a〜2xに貼付されたICタグ1から読み取られた物品ICタグ番号は、その物品ICタグ番号が読み取られた収納スペース6a〜6dに付与されたICタグ7a〜7dから読み取られた情報と対応づけてハンディターミナル3内のメモリに記憶される。
【0045】
その後、ハンディターミナル3がクレードル4上に載置され、管理用パソコン3に対して所定の操作が行われると、ハンディターミナル3内のメモリに記憶された情報がクレードル4を介して管理用パソコン5に送信される。
【0046】
管理用パソコン5に送信された情報は、情報取得部21にて取得され、読取データ管理テーブル22に登録されて管理される。
【0047】
図6は、図1に示した読取データ管理テーブル22に登録された情報を示す図である。
【0048】
図6に示すように、読取データ管理テーブル22においては、ハンディターミナル3にて読み取られた物品ICタグ番号が、その物品ICタグ番号が読み取られた収納スペースと、ハンディターミナル3における読取回数と対応づけて登録されている。なお、収納スペースは、ハンディターミナル3にて上述したようにICタグ7a〜7dから読み取られた情報に基づいて特定可能となっている。
【0049】
ここで、収納スペース6a,6bに収納された文書箱2a〜2lのうち、奥側に配置された文書箱2d〜2f,2j〜2lに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号は、ハンディターミナル3がその手前にそれぞれ配置された文書箱2a〜2c,2g〜2iに対向している状態で第1の強度の電波が出力された場合にのみ読み取られるのに対して、手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2iに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号は、ハンディターミナル3がその文書箱2a〜2c,2g〜2iに対向している状態で第1の強度の電波が出力された場合と第2の強度の電波が出力された場合と、さらに、その文書箱2a〜2c,2g〜2iに隣接する文書箱にハンディターミナル3が対向している状態にて第1の強度の電波が出力された場合に読み取られるので、その読取回数が大きく異なっている。
【0050】
そのため、図6に示した例においては、実際に収納スペース6aに収納された文書箱2cに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“B78901”が、収納スペース6bにて読取動作が行われた際に読み取られており、また、実際に収納スペース6bに収納された文書箱2gに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“E98765”が、収納スペース6aにて読取動作が行われた際に読み取られている。
【0051】
収納スペース算出部23においては、読取データ管理テーブル22を参照し、物品ICタグ番号が1つの収納スペースにおける読取動作にて読み取られている場合は、その物品ICタグ番号とその物品ICタグ番号が読み取られた収納スペースとを対応づけ、また、物品ICタグ番号が複数の収納スペースにおける読取動作にて読み取られている場合は、さらにロケーションテーブル25を参照し、読取データ管理テーブル22に登録された物品ICタグ番号の読取回数と、ロケーションテーブル25に登録された収納スペースの位置情報による隣接状況とに基づいて、文書箱2a〜2xが収納されている収納スペースを算出する。
【0052】
図7は、図1に示したロケーションテーブル25に登録された情報を示す図である。
【0053】
図7に示すように、ロケーションテーブル25には、図2に示した収納スペース6a〜6dのそれぞれについてその位置情報が登録されている。なお、実際には、この位置情報は、収納スペース6a〜6dにそれぞれ取り付けられたICタグ7a〜7dに書き込まれた情報に対応づけられて登録されている。 図6に示した例においては、文書箱2cに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“B78901”が収納スペース6aにて13回、収納スペース6bにて5回読み取られている。また、ロケーションテーブル25を参照すると、これら物品ICタグ番号“B78901”が読み取られた収納スペース6a,6bは、互いに隣接していることがわかる。そこで、収納スペース算出部23においては、物品ICタグ番号“B78901”が読み取られ、互いに隣接している収納スペース6a,6bのうち、文書箱2cの収納スペースとして、物品ICタグ番号“B78901”が最も多く読み取られた収納スペース6aを算出する。また、文書箱2gに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号“E98765”が収納スペース6aにて4回、収納スペース6bにて14回読み取られている。また、ロケーションテーブル25を参照すると、これら物品ICタグ番号“E98765”が読み取られた収納スペース6a,6bは、互いに隣接していることがわかる。そこで、収納スペース算出部23においては、物品ICタグ番号“E98765”が読み取られ、互いに隣接している収納スペース6a,6bのうち、文書箱2gの収納スペースとして、物品ICタグ番号“E98765”が最も多く読み取られた収納スペース6bを算出する。
【0054】
ここで、物品ICタグ番号が複数の収納スペースにおける読取動作にて読み取られている場合に、物品ICタグ番号の読取回数に基づいて文書箱の収納スペースを算出することができる理由について説明する。
【0055】
収納スペース6a,6bに収納された文書箱2a〜2lのうち、手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2iに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号は、上述したように、その文書箱2a〜2c,2g〜2iに隣接する文書箱にハンディターミナル3が対向している状態にて第1の強度の電波が出力された場合にも読み取られるため、例えば、1つの収納スペースに、前後に配置された2つの文書箱が1組だけ存在する場合、その文書箱が収納された収納スペースにおける読取動作にて物品ICタグ番号が読み取られる回数と、隣接する収納スペースにおける読取動作にて物品ICタグ番号が読み取られる回数とがほぼ等しくなってしまう場合が生じてしまう。そこで、本形態においては、その文書箱2a〜2c,2g〜2iにハンディターミナル3が対向している状態において、ハンディターミナル3から出力される第2の強度の電波によって、文書箱2a〜2c,2g〜2iに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号のみを読み取る。そのため、文書箱2a〜2c,2g〜2iにおいては、文書箱2a〜2c,2g〜2iが実際に収納された収納スペースにて物品ICタグ番号が読み取られた回数がその分だけ増え、それにより、第1の強度の電波が出力されることによって物品ICタグ番号が読み取られた回数が、異なる収納スペース間にて差がない場合であっても、第2の強度の電波が出力されることによって物品ICタグ番号が読み取られた回数に差が生じることになる。そして、この差を用いて、収納スペース算出部23において、文書箱2a〜2lのそれぞれについて、文書箱2a〜2lに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号がハンディターミナル3にて最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理すれば、複数の文書箱2a〜2lを前後に配置して収納する収納スペース6a,6bが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された文書箱2a〜2lについて、その文書箱2a〜2lが収納された収納スペース6a,6bを識別可能に管理することができる。また、文書箱のサイズや、ハンディターミナル3の電波強度、あるいは収納領域の環境によっては、収納スペース6a〜6dの互いの隣接状況にも基づいて文書箱2a〜2xの収納スペースを算出することになる。例えば、同一の物品ICタグ番号が3つ以上の収納スペースにて読み取られた場合、収納スペース算出部23において、ロケーションテーブル25を参照し、同一の物品ICタグ番号が読み取られた3つ以上の収納スペースの隣接状況を判断し、そのうち隣接しない収納スペースがあれば、まず、その収納スペースを、文書箱が収納された収納スペースの候補から外す等というように収納スペースを算出することとなる。
【0056】
また、収納スペース6a〜6dを構成するための棚板を金属で構成した場合、ハンディターミナル3から出力された電波は上下の収納スペース間を通り抜けることができず、そのため、収納スペース6a〜6dに収納された文書箱2a〜2xのうち、奥側に配置された文書箱2d〜2f,2j〜2l,2p〜2r,2v〜2xに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号は、上下の収納スペースに対する読み取り時にはほとんど読み取られることはない。また、その手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2uにハンディターミナル3が対向していない状態では読み取られる回数が少ない。すなわち、奥側に配置された文書箱2d〜2f,2j〜2l,2p〜2r,2v〜2xに貼付されたICタグ1に書き込まれた物品ICタグ番号は、その手前に配置された文書箱2a〜2c,2g〜2i,2m〜2o,2s〜2uにハンディターミナル3が対向している場合に最大の読み取り回数を算出し、隣接するあるいは上下の収納スペースにハンディターミナル3が位置している場合には少数回しか読み取られないこととなり、読み取り回数で収納スペースを算出できる。
【0057】
そして、収納スペース算出部23において、算出した収納スペースを物品ICタグ番号と対応づけて在庫管理テーブル24に登録し、文書箱2a〜2lが収納されている収納スペースを在庫管理テーブル24にて特定可能に管理する。
【0058】
図8は、図1に示した在庫管理テーブル24に登録された情報を示す図である。
【0059】
図8に示すように、在庫管理テーブル24においては、ハンディターミナル3にて読み取られた物品ICタグ番号が、その物品ICタグ番号が読み取られた収納スペースと、ハンディターミナル3における読取回数と対応づけて登録されている。そして、図6に示した読取データ管理テーブル22と比較すると、物品ICタグ番号が、収納スペース6a,6bにて重複しているものがなく、それにより、物品ICタグ番号が書き込まれたICタグ1が貼付された文書箱2a〜2lの収納スペースが特定可能に管理される。
【0060】
これにより、複数の文書箱2a〜2xを前後に配置して収納する収納スペース6a〜6dが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された文書箱2a〜2xについて、その文書箱2a〜2xが収納された収納スペースを特定可能に管理することができる。
【0061】
なお、本形態においては、ハンディターミナル3における物品ICタグ番号の読取結果に基づいて、文書箱2a〜2xが収納された収納スペースを特定可能に管理しているが、ハンディターミナル3から第2の強度の電波が出力された際に読み取られた物品ICタグ番号を識別可能に管理しておけば、その物品ICタグ番号が読み取られたICタグ1が貼付された文書箱が、収納スペース6a〜6dにて手前に配置されていることを管理することができる。
【0062】
また、本形態においては、物品ICタグ番号がハンディターミナル3によって読み取られた回数が最も多かった収納スペースを、その物品ICタグ番号が書き込まれたICタグ1が貼付された文書箱の収納スペースとして特定可能に管理しているが、物品ICタグ番号の読み取り回数はハンディターミナル3の移動速度に依存しており、移動速度が遅ければ物品ICタグ番号が読み取られる回数が多くなる。各収納スペースにて物品ICタグ番号が読み取られた回数を正しく比較するために、例えば、物品ICタグ番号の単位時間当たりの読み取り回数で比較する等の手段が考えられる。また、収納スペースに収納された文書箱のそれぞれに対してハンディターミナル3から電波が照射される時間が均一になるように、音や光の強弱、メトロノームのようなリズムで電波の照射時間を判断できるようにしておくことも考えられる。
【0063】
また、ハンディターミナル3によって読み取られた物品ICタグ番号を読取データ管理テーブル22に登録する際に、ハンディターミナル3によって物品ICタグ番号が読み取られた時刻も読取データ管理テーブル22に登録し、その後、収納スペース算出部23において、物品ICタグ番号が読み取られた時刻も参照して文書箱の収納スペースを算出することも考えられる。例えば、物品ICタグ番号が読み取られた時刻が、その物品ICタグ番号が他の収納スペースにて読み取られた時刻に対して大きく異なる場合、その読取回数を無視することにより、上述したようにして現在行われている文書箱の在庫管理作業とは異なる作業(以前の在庫管理作業等)における読み取り結果が排除され、現在の文書箱の収納スペースを正確に管理することができる。
【0064】
また、本形態においては、文書箱2a〜2xが収納される収納領域に4つの収納スペース6a〜6dが設けられたものを例に挙げて説明したが、収納スペースの数は4つに限らない。また、1つの収納スペースに収納される文書箱の数も本形態のように6つに限らず、上述したように、1つの収納スペースに、前後に配置された2つの文書箱が1組だけ存在するものであってもよい。また、前後に配置される文書箱の数は2つに限らない。すなわち、組となる文書箱は複数であれば2つに限らず、その場合においても、ハンディターミナル3から第1の強度の電波が出力された場合に、その組の文書箱に貼付されたICタグ1の全てから物品ICタグ番号が読み取られ、また、ハンディターミナル3から第2の強度の電波が出力された場合に、その組の文書箱のうち最も手前に配置された文書箱に貼付されたICタグ1からのみ物品ICタグ番号が読み取られることになる。
【0065】
また、本形態においては、読取手段としてハンディターミナル3を用いたものを例に挙げて説明したが、クレーン等によって収納スペース6a〜6dを自動的に移動してICタグ1から物品ICタグ番号を読み取るものを利用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1,7a〜7d ICタグ
2,2a〜2x 文書箱
3 ハンディターミナル
4 クレードル
5 管理用パソコン
6a〜6d 収納スペース
8 LAN
10 読取制御部
11 読取部
12 送信部
21 情報取得部
22 読取データ管理テーブル
23 収納スペース算出部
24 在庫管理テーブル
25 ロケーションテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を前後に配置して収納する収納スペースが、互いに隣接するように複数設けられた収納領域に収納された物品について、当該物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する物品管理システムであって、
前記物品に取り付けられ、固有情報が書き込まれたICタグと、
読み取り用の電波を出力することにより、前記ICタグから固有情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて前記ICタグから読み取られた固有情報に基づいて、前記収納スペースに収納された物品について、当該物品が収納された収納スペースを特定可能に管理する管理手段とを有し、
前記読取手段は、前記複数の収納スペースのそれぞれにおいて、前記前後に配置された複数の物品を1組とした場合にその組毎に、当該前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品側から前記読み取り用の電波を出力することにより前記ICタグから固有情報を読み取り、当該読み取り時に、前記前後に配置された複数の物品に取り付けられたICタグの全てから固有情報を読み取り可能な第1の強度の電波と、前記前後に配置された複数の物品のうち最も手前に配置された物品に取り付けられたICタグのみから固有情報を読み取り可能な第2の強度の電波とを切り替えて出力し、
前記管理手段は、前記収納領域に収納された物品のそれぞれについて、当該物品に取り付けられたICタグに書き込まれた固有情報が前記読取手段にて最も多く読み取られた収納スペースに収納されていることを管理する物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−23358(P2013−23358A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160977(P2011−160977)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】