説明

物品管理装置

【課題】従来の物品管理庫では、管理している薬品の使用量や残存量等までは管理することができなかった。
【解決手段】この発明の物品管理装置10は、物品を収納するための収納庫31(引き出し12)と、収納庫31への物品の収納または取り出しに関連付けて、収納または取り出しにかかる物品の重量を計量するための計量装置(電子秤)14と、計量装置14の計量結果を、計量した物品の識別情報と対応付けて記憶する記憶装置35とを有している。
【効果】物品が薬品の場合等には、監督行政機関に対して、定期的に薬品の使用量を報告しなければならないが、記憶装置に記憶された内容をプリントすることにより、薬品の使用量を適切に報告することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品管理装置に関し、特に、薬品の使用量等を管理することのできる物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院、薬局、大学等の薬品を取り扱う施設においては、特許文献1に記載されているような薬品管理庫が利用されている。
特許文献1に記載された薬品管理庫は、キャビネット本体と、この本体内に配置されて薬品を収納する複数の引き出しと、引き出しに設けられたロック装置とを備えており、引き出し内に入れられた薬品の種類や個数を厳正に管理できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−275328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術で紹介した薬品管理庫は、薬品を扱う施設等で利用されており、薬品の種類や個数を厳正に管理することはできる。しかしながら、従来技術では、管理している薬品の使用量、残存量等までは管理することができないという課題があった。一方、病院等の薬品を扱う施設においては、監督行政機関に対し、定期的に、薬品の使用量を報告する義務が負わされている。このため、薬品の使用量の管理(薬品の残存重量の管理)が行える薬品管理装置が望まれる。
【0005】
同様の課題は、薬品に限らず、重要な物品を管理する管理装置においても求められるところであり、その物品の使用量を記録し、管理できることが望まれる。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、物品の使用量を計量し、記録することのできる物品管理装置を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、薬品を厳重に管理するとともに、その使用量を正しく記録、管理することのできる薬品管理装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためのこの発明の構成は、各請求項毎に次の構成を有する。
請求項1記載の発明は、物品を収納するための収納庫と、前記収納庫への物品の収納または取出に関連付けて、収納または取出に係る物品の重量を計量するための計量装置と、前記計量装置の計量結果を、計量した物品の識別情報と対応付けて記憶する記憶装置と、を含むことを特徴とする物品管理装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記収納庫への物品収納時に、前記計量装置による計量に応答して、前記収納庫への物品の収納を許可する入庫許可機構を有することを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置である。
請求項3記載の発明は、前記収納庫からの物品取出時に、前記計量装置による計量を義務付けする取出時計量義務付手段を有することを特徴とする、請求項2記載の物品管理装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、前記計量装置は、前記収納庫外に設けられており、前記入庫許可機構は、前記収納庫を開けるのをロックするロック機構を解除する構成を含むことを特徴とする、請求項2記載の物品管理装置である。
請求項5記載の発明は、前記計量装置を能動化するための能動化手段を有し、前記取出時計量義務付手段は、前記収納庫からの物品の取出を検知する手段と、この検知手段の出力に応答して前記計量装置を能動化する能動化手段とを含むことを特徴とする、請求項4記載の物品管理装置である。
【0009】
請求項6記載の発明は、前記計量装置の計量結果に基づいて、物品の使用量または補充量を算出する演算手段をさらに有することを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置である。
請求項7記載の発明は、前記演算手段の算出した使用量に基づいて、その物品の補充の要否を判断する判断手段を有することを特徴とする、請求項6記載の物品管理装置である。
【0010】
請求項8記載の発明は、前記計量装置の近傍に、収納または取出す物品の識別情報を入力するための識別情報入力手段が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置である。
請求項9記載の発明は、前記物品識別情報入力手段は、前記物品に付された識別情報を検出する手段を含むことを特徴とする、請求項8記載の物品管理装置である。
【0011】
請求項10記載の発明は、前記計量装置は、前記収納庫内に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置である。
請求項11記載の発明は、前記収納庫には、収納庫をロックするためのロック機構が備えられており、前記計量装置による計量が検知されなければ、前記ロック機構が機能しないことを特徴とする、請求項10記載の物品管理装置である。
【0012】
請求項12記載の発明は、前記収納庫への物品の収納または取出に関連して、前記計量装置が所定時間計量を行わなかった場合に計量異常を報知するための報知手段を有することを特徴とする、請求項4、5または11に記載の物品管理装置である。
請求項13記載の発明は、前記物品は、容器に収容された薬品を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の物品管理装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、物品の重量を、物品の識別情報と関連付けて正しく管理することができる。
また、物品の使用量等を自動的に記憶するので、物品の使用量の管理を煩雑な手続を経ずに行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、物品を収納庫に収納する際(収納庫に戻す際)に物品の重量を計量しなければならない構成であるから、物品返却時の計量が確実に行え、返却される物品の使用前後の重量を計量して、使用量を正しく把握することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、管理している物品の使用前後の重量をより正確に管理することができる。たとえば、物品が揮発性の液体等の場合等であっても、使用前後の重量に基づき、正確に物品を管理することができる。
請求項4または5記載の発明によれば、管理している物品の計量忘れを防止することができ、より正確な物品管理が実現できる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、管理している物品の使用量や補充量を管理することができる。
請求項7記載の発明によれば、物品の補充の要否を、たとえば予め定められた所定の値以下か否かにより自動的に判断し、管理している物品が無くなる前に適宜補充することができる。
【0016】
請求項8記載の発明によれば、計量動作と共に物品の認証処理を行うことができる。
請求項9記載の発明によれば、物品の認証処理は、たとえば物品に付された識別情報、たとえばバーコードをバーコードリーダで検出することにより行うため、物品の識別情報入力が容易に行える。
請求項10記載の発明によれば、収納庫への物品収納と同時に計量を行うことができる。
【0017】
請求項11または12記載の発明によれば、管理している物品の計量忘れを確実に無くすことができる。
請求項13記載の発明によれば、管理する物品が薬品である場合に、その薬品の微少な使用量等を確実に計量して、正確な管理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る物品管理装置10の外観斜視図である。
【図2】図2は、この発明の他の実施形態に係る物品管理装置20の外観斜視図である。
【図3】図3は、この発明の一実施形態に係る物品管理装置10の構成要素を示すブロック図である。
【図4】図4は、登録時(物品管理装置10に薬品を最初に収納する場合の登録動作時)の制御動作のフローチャートである。
【図5】図5は、収納庫から薬品を取り出す際の制御動作のフローチャートである。
【図6】図6は、収納庫に薬品を返却する際の制御動作のフローチャートである。
【図7】図7は、薬品を一括補充する場合の制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る物品管理装置10の外観斜視図である。物品管理装置10は、外殻を形成するキャビネット11と、キャビネット11内に区画された複数の引き出し12および13を有している。そして、引き出し12が、物品としての薬品を収納するための薬品収納庫を構成している。より具体的には、複数の引き出し12には、それぞれ、引き出し番号が付与されているとともに、各引き出し12内は、複数の収納庫に仕切られており、各収納庫が薬品収納庫となっている。薬品を収納する各引き出し12には、それぞれ、施錠装置が備えられている。
【0020】
また、引き出し12に隣接して計量装置としての電子秤14が備えられている。電子秤14は、キャビネット11から引き出して使用する構成であり、電子秤14を使用しない場合は、電子秤14はキャビネット11内へ押し込まれる。
この実施形態に係る物品管理装置10の特徴は、薬品収納庫としての引き出し12に隣接して電子秤14が設けられており、薬品収納庫(引き出し12)からの薬品の取り出しおよび収納庫への薬品返却時(薬品収納時)に、電子秤14により薬品の重量を計量し、記録することができる点である。
【0021】
物品管理装置10には、さらに、薬品収納庫(引き出し12)への薬品の収納および取り出し時に、操作者を特定したり、引き出し12の番号を特定したり、電子秤14の操作を行ったりするための操作/表示部38が備えられており、操作者は、この操作/表示部38を操作し、薬品収納庫(引き出し12)から薬品を取り出し、薬品を計量し、また、薬品収納庫へ薬品を返却するといった操作を行う。
【0022】
図2は、この発明の他の実施形態に係る物品管理装置20の外観斜視図である。図2に示す物品管理装置20は、引き出し12が物品としての薬品収納庫になっている点では、図1に示す物品管理装置10と同様の構成であるが、この物品管理装置20では、各引き出し12内に区画された各薬品収納庫毎に、その底部に計量装置としての電子秤14が組み込まれている。すなわち、引き出し12内の各薬品収納庫には、それぞれ、その収納庫に収納される薬品の重量を計量するための電子秤が備えられている。従って、引き出し12の各薬品収納庫に、薬品を収納した際、および、各収納庫から薬品を取り出す際には、備えられた電子秤14により自動的に薬品の重量が計量される仕組みになっている。
【0023】
なお、図1および図2に示した物品管理装置10、20は、それぞれ、物品管理装置の構成の一例であり、これら物品管理装置10、20の外観構成や、引き出し12の構成や、計量装置14の構成にこの発明が限定されるものではない。
図3は、この発明の一実施形態に係る物品管理装置10の構成要素を示すブロック図である。収納庫31は、前述したように引き出し12内に区画されており、複数の収納庫31を有する引き出し12には、施錠装置が備えられている。各収納庫31には、たとえば瓶に入れられた薬品を収納することができる。
【0024】
報知装置32は、収納庫31への薬品の入出庫時に薬品の計量が行われなかった場合や、入力された薬品とは異なる種類の薬品が取り出された場合等にアラーム音を鳴らす装置である。
印刷装置33は、薬品の使用量等を、月単位、週単位または日単位で印刷するために設けられている。印刷装置33は、帳票印刷やバーコード印刷も可能である。かかる印刷装置33は、キャビネット11内に組み込まれているが、有線接続または無線接続される外付装置として構成することも可能である。
【0025】
計量装置14は、取り出された薬品や返却する薬品を計量するためのものであり、一例として、電子秤で構成されている。計量装置14は、キャビネット11から引き出す引き出し式とし、引き出しに施錠装置を設け、ロック解除時に引き出すことで使用可能になる装置としてもよい。
記憶装置35は、電子式の記憶装置であり、各種のデータテーブルを記憶することができる。たとえば、
(1)薬品の種類、原材料、使用量、収納場所、薬品の管理期限、補充要否を判断するための基準値、薬品毎の識別情報等を関連付けした、管理している薬品に関連するデータテーブル、
(2)薬品の識別情報と利用可能者(操作者)とを関連付けした権限設定に関連するデータテーブル、
(3)薬品の取り出し・返却・補充履歴を記憶するデータテーブル、操作者IDと薬品の識別情報と使用量・補充量とを関連付けたデータテーブル、
等を記憶するものである。
【0026】
カードリーダ36は、操作者のIDカードを読み取るためのもので、操作者が予め定められた物品管理装置の操作権限を有する者か否か等を判別するために用いられる。
タグリーダ・ライタ37は、薬品に付けられたICタグの情報を読み取ったり、ICタグに情報を書き込んだり、書き換えたりするものである。このタグリーダ・ライタは、計量装置に設けられており、計量時に薬品に付けられたICタグを読み取る構成であってもよいし、単独で設けられている場合であってもよいし、収納庫毎に設けられている構成であってもよい。
【0027】
操作/表示部38は、たとえばタッチパネル方式で各種操作を行うことのできる構成である。
カメラ39は、操作者を撮像するもので、撮像された画像は物品管理装置の操作履歴とするために用いられる。
制御部40は、上述した各構成要素と接続されており、各構成要素の動作や機能を制御するためのものである。制御部40内に設けられた算出手段41は、たとえばソフトウェア(プログラム)により構築されており、計量装置14の計量結果に基づいて、薬品の使用量を算出することができる。算出方法は2パターンが用意されている。
【0028】
パターン1は、記憶されている薬品の最新の計量データから返却時に計量したデータを差し引くことで使用量を算出するものである。
パターン2は、取り出し時に計量したデータから返却時に計量したデータを差し引くことで、使用量を算出するものである。
さらに、検知器42が備えられている。検知器42も制御部40と接続されており、収納庫31からの薬品の取り出し、収納庫31への薬品の収納(返却)を検知するためのものである。
【0029】
上述したタグリーダ・ライタ37については、次のような変形が可能である。すなわち、タグリーダ・ライタ37を、ICチップを検知するタグリーダ・ライタに代えて、薬品収納瓶に付されたバーコードを読み取るためのバーコードリーダとしてもよい。タグリーダ・ライタ37またはバーコードリーダを設ける場所としては、次の4つのパターンが考えられる。
【0030】
パターン1としては、計量装置14に設けられており、計量と同時に読み取る構成、
パターン2としては、収納庫31毎に設けられており、収納庫31から取り出す際に読み取る構成、
パターン3としては、収納庫31内の区画毎に設けられており、その区画から取り出す際に読み取る構成、
パターン4としては、収納庫31とは別途に設けられており、収納庫31から取り出した薬品の瓶を翳す等により、瓶に付されたタグやバーコードを読み取る構成、
等が考えられる。
【0031】
さらに、計量装置14についても、次のような変形が考えられる。
計量装置14を設ける場所としては、この実施形態に係る物品管理装置10では、薬品の収納庫31(引き出し12)に隣接して設けられており、キャビネット11から引き出して計量する構成(施錠装置付)である旨説明したが、計量装置14は、先に説明した物品管理装置20のように、各収納庫31内の区画毎に設けられていて、収納時および取り出し選択時に計量装置14により薬品の計量が自動的に行われる構成としてもよい。
【0032】
図4〜図7は、図3で説明した物品管理装置10の動作、言い換えれば制御部40の制御動作を説明するためのフローチャートである。このうち、図4は、登録時(物品管理装置10に薬品を最初に収納する場合の登録動作時)の制御動作のフローチャート、図5は収納庫から薬品を取り出す際の制御動作のフローチャート、図6は収納庫に薬品を返却する際の制御動作のフローチャート、図7は薬品を一括補充する場合の制御動作のフローチャートである。
【0033】
まず、図4を参照して、登録時の制御動作を説明する。
登録時には、操作者が操作/表示部38を操作し、操作者が保有するIDカードをカードリーダ36に読み取らせることで、個人認証がされる(ステップS1)。その結果、制御部40により権限有りと判別がされる(ステップS2)と、薬品名の入力が行われる(ステップS3)。薬品名の入力では、たとえば操作者が操作/表示部38を介して薬品名を手入力することで、薬品名を登録する処理がされる。
【0034】
次いで、利用者権限登録がされる(ステップS4)。利用者権限登録とは、どの利用者がその薬品に対してアクセスが可能かを登録するものである。
次いで、保管場所が設定される(ステップS5)。保管場所設定では、その薬品を収納する収納庫31が設定される。
次いで、薬品瓶に装着されたICタグにこれまでのステップで登録・設定された情報が書き込まれる。
【0035】
次に、薬品の重量が計量される(ステップS7)。計量された重量は、記憶装置35に記憶される。次に、設定された収納庫31のロックが解除され(ステップS8)、操作者はその収納庫31に薬品を収納する。収納が検知されると(ステップS9)、収納された収納庫31を含む引き出し12が閉められたか否かが判別され(ステップS10)、引き出し12が閉められると、その引き出し12がロックされる(ステップS11)。そして今回登録した結果が記憶装置35に記憶され、テーブルが更新される(ステップS12)。
【0036】
図5は、収納庫31から薬品を取り出す場合の制御動作を表わすフローチャートである。
図5を参照して、取り出し時の制御動作を説明する。取り出し時にも、操作者は操作/表示部38を操作し、操作者が保有するIDカードをカード゛リーダ36に読み取らせることで個人認証がされる(ステップS21)。その結果、制御部40により権限有りと判別がされると(ステップS22)、操作/表示部38に取り出せる薬品の薬品名が表示される(ステップS23)。その表示を確認し、操作者がいずれかの収納庫31を選択する(表示された薬品名を選択し、その薬品名をタッチパネルを用いて押圧する操作を行う)と(ステップS24)、選択された薬品を収納している収納庫のロックが解除され、その引き出し12が引き出せる状態になる(ステップS25)。
【0037】
そして、検知器42によって選択された薬品の取り出しが検知されると(ステップS26)、次いで収納庫が閉められたか否かの判別がされる(ステップS27)。
引き出し12が引き出され、収納庫31から薬品が取り出され、その引き出し12が閉じられると、計量装置14のロックが解除される(ステップS28)。計量装置14は、電子秤であり、引き出し12に隣接して、たとえば操作/表示部38の下方に、キャビネット11から引き出し可能に設けられている。ステップS28では、計量装置14のロックを解除して、計量装置14を引き出すことができるようにする。操作者は、計量装置14を引き出し、計量装置14を動作可能にして、取り出した薬品を計量装置に乗せる。
【0038】
計量装置14では、薬品の入った瓶が乗せられると、その重量を計量するとともに、薬品の瓶に装着されたタグを読み取ることにより、薬品を認識する(ステップS29)。
そして、認識した薬品が、計量すべき薬品か否かの判別がされ(ステップS30)。この判別は、ステップS24で操作者が選択した薬品か否かにより、計量すべき薬品か否かの判別がされる。もし、計量すべき薬品でないと判別されると、報知装置32を用いてエラー報知がされる(ステップS31)。
【0039】
ステップS29で、薬品認識とともに薬品の重量計量が行われているが、これに代え、ステップS29では、薬品の認識だけを行い、薬品の重量計量は、ステップS30の判断が肯定された場合に行うようにしてもよい。
すなわち、ステップS30の判断が肯定されると、薬品の重量計量が行われ(ステップS32)、計量された重量が表示されるとともに、収納時の重量との差の有無が表示される構成としてもよい(ステップS33)。
【0040】
次いで、計量が終了したことが判別されると(ステップS34)、計量装置14がキャビネット11内に収められたか否か、すなわち引き出されていた電子秤14がキャビネット11内に押し込まれたか否かの判別がされる(ステップS35)。計量終了後、所定時間経過しても、計量装置14がキャビネット11内に収められない場合は、アラーム報知を行ってもよい。
【0041】
計量装置14がキャビネット11内に収められると、計量装置14の引き出しをロックし(ステップS36)、計量結果や取り出した薬品名、取り出した操作者のID、取り出した時間などを記憶装置35に記憶して、処理を終える(ステップS37)。
図6は、収納庫31に薬品を返却する際の制御動作のフローチャートである。
次に、図6を参照して、返却時の制御動作を具体的に説明する。
【0042】
返却するために操作者は、操作/表示部38を操作し、操作者の個人認証を行うとともに、返却する薬品を特定する情報を入力する(ステップS41)。その結果、制御部40により、操作者が権限有りと判別され、かつ、入力された薬品の取り出し履歴があると判別されると(ステップS42)、計量装置14のロックが解除される(ステップS43)。これに応じて、操作者は、計量装置14を引き出し、計量装置14により薬品の重量を計量する。このとき、同時に、薬品の入った瓶のICタグを読み取ることで薬品認証を行い、薬品の種別等も確認される。そして、計測データが制御部40へ与えられると、制御部40は計測終了を判別し(ステップS44)、薬品重量の増減を算出する(ステップS45)。算出された重量の増減は、操作/表示部38に表示されてもよい。
【0043】
増減を算出した結果、制御部40は、テーブルに記憶された補充要否を判断するための基準値に基づき、補充の要否を判別する(ステップS46)。そして、補充が必要である場合に、さらに、その薬品を登録抹消するか否かを判別し(ステップS47)、登録抹消する場合には薬品の登録を抹消処理する(ステップS48)。一方、登録抹消しない場合は、補充するか否かの判別をし(ステップS49)、補充する場合には、操作者にその旨を報知し、操作者に補充処理を行わせる(ステップS50)。
【0044】
薬品の瓶に薬品が補充されると、再度計量装置14を動作可能にし、操作者に計量装置14を用いて薬品の再計量を行わせる(ステップS51)。
そして次のステップS52において、登録抹消を行ったか否か、補充を行ったか否かの結果が記憶される。なお、補充がされなかった場合には、補充が必要な旨が記憶されるのが望ましい。
【0045】
次いで、計量装置14が閉められたか否かの判別がされ(ステップS52)、計量装置14がキャビネット11内へ押し込まれると、計量装置14をロックする(ステップS54)。
その後、収納庫31(引き出し12)のロックを解除し(ステップS55)、ロックが解除された引き出し12が引き出されて、収納庫31へ薬品が収納されたか否かの検知がされる(ステップS56)。
【0046】
そして、薬品が収納庫に収納されると、その収納庫31(引き出し12)が閉められるのを待ち(ステップS57)、収納庫31(引き出し12)が閉められると、その収納庫(引き出し12)をロックして(ステップS58)、処理を終える。
図7は、薬品を一括補充する場合の制御動作のフローチャートである。薬品を一括補充する場合の動作につき、図7を参照して説明する。
【0047】
一括補充の場合も、最初に、個人認証が行われ(ステップS71)、権限があるか否かの判別がされる(ステップS72)。その結果、操作者に権限有りと判別されると、収納庫31(引き出し12)および計量装置14のロックを解除する(ステップS73)。
操作者は、ロックが解除された収納庫の薬品のうち、どの薬品を補充するかにつき、操作者は操作/表示部38で選択処理をし、選択した薬品を収納庫31から取り出す(ステップS74)。
【0048】
制御部40では選択された薬品の取り出し検知を行い、選択した薬品と異なる薬品が取り出された場合等にはエラー報知をする(ステップS76)。
選択された薬品が取り出された場合には、操作者はその薬品の補充処理を行う(ステップS77)。
そして薬品の瓶に薬品を補充後、計量装置14を用いて重量計量がされる(ステップS78)。計量された重量に基づき、薬品の増減が算出される(ステップS79)。そして計量結果が記憶される(ステップS80)。
【0049】
次いで、ステップS8で、補充終了か否かの判別がされ、補充が終了でなければ、次の薬品が選択され(ステップS74)、選択された薬品が補充され、その計量結果が記憶されるという処理(ステップS75→S77→S78→S79→S80)が、複数の薬品に対して順次行われる。
そして補充終了が判別されると、制御部40は計量装置14が閉められたか否かの判別をし(ステップS82)、計量装置14が閉められるとそれをロックして(ステップS83)、処理を終える。
【0050】
なお、フローチャートでは示されていないが、補充終了が判別されると(ステップS81)、収納庫31(引き出し12)のロックがされる。
以上、収納庫31への薬品の収納(登録)、収納庫31からの薬品の取り出し、収納庫31への薬品の返却および各収納庫の薬品の一括補充に関して、フローチャートを参照して制御動作について説明した。この説明から明らかなように、この実施形態に係る物品管理装置では、薬品を収納する収納庫31への薬品の収納、取り出し、返却、補充の際に、必ず、計量装置14により薬品の重量を計量しなければ、適切に薬品を収容し、取り出し、返却し、あるいは補充することができないといった構成とされている。すなわち、制御部40を設け、この制御部の制御下に各構成要素を置いて、収納庫31への薬品の収納、取り出し時に、必ず計量装置14を用いた重量計量を行う構成とされている。その結果、どの薬品が、どれだけ使用されたかが、記憶装置35に逐次記憶され、薬品の使用量を厳密に管理することができるものである。
【0051】
上述した実施形態における薬品の登録処理における利用者権限登録のステップ(図4のステップS4)で、二者認証が必要なように権限登録しても良い。この場合には、薬品の取り出し処理、およびまたは、返却処理において、上位者の認証と操作者の認証の二者の認証がなければ、薬品を取り出したり、返却したり出来ないようになる。こうすることで、取り扱いに注意が必要な薬品について、更なる厳正管理を行うことが可能となる。
【0052】
また、上述の実施形態では、ICタグリーダ・ライタ37により、薬品の瓶などに付されたICタグに対して、登録処理時にデータを書き込み、取り出し処理や返却処理時には、ICタグを読み取ることで薬品認証を行う例を説明したが、これに限定されるものではなく、ICタグリーダ・ライタ37の代わりにバーコードリーダを設け、ICタグの代わりに薬品の瓶などに付されたバーコードを読み取るようにしても良い。
【0053】
なお、この場合、登録処理(図4参照)のステップS3では、入庫された薬品の箱に付されたバーコードなどをバーコードリーダで読み取ることで、これから登録される薬品名を取得することができる。
また、登録処理のステップS6では、登録・設定された情報および薬品のID情報が書き込まれた管理用バーコードを印刷装置で発行し、操作者によって、この管理用バーコードが登録される薬品の瓶などに貼り付けられる。
【0054】
なお、ICタグリーダ・ライタが電子秤と別体に設けられている場合には、薬品の返却時に、薬品の瓶に付されたICタグをICタグリーダ・ライタ37に読取らせて、返却する薬品の指定と認証を同時に行うようにしても良い。こうすることで、返却処理における薬品名の入力を省略することができる。
なお、上述の実施形態では、電子秤を引き出しに設け、操作者によって選択された薬品が取り出された場合にその引き出しのロックを解除する例を説明したが、これに限定されるものではなく、選択された薬品が取り出された場合にのみ、電子秤に電力が供給されて利用が可能になるようにしても良い。
【0055】
また、上述の実施形態では薬品の補充管理として、使用中の瓶に対して薬品を注入することで補充する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、補充が必要な薬品と新しい薬品とを瓶ごと入れ替えるようにしても良い。この場合には、補充が必要な薬品の瓶に貼り付けられているICタグやバーコードが新しい薬品の瓶に貼り付けられこととなる。
【0056】
この発明は、以上説明した実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10、20 物品管理装置(薬品管理装置)
11 キャビネット
12 引き出し
14 計量装置(電子秤)
31 収納庫(薬品収納庫)
32 報知装置
33 印刷装置
35 記憶装置
36 カードリーダ
37 タグリーダ・ライタ
38 操作/表示部
39 カメラ
40 制御部
41 算出手段
42 検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納するための収納庫と、
前記収納庫への物品の収納または取出に関連付けて、収納または取出に係る物品の重量を計量するための計量装置と、
前記計量装置の計量結果を、計量した物品の識別情報と対応付けて記憶する記憶装置と、
を含むことを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記収納庫への物品収納時に、前記計量装置による計量に応答して、前記収納庫への物品の収納を許可する入庫許可機構を有することを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記収納庫からの物品取出時に、前記計量装置による計量を義務付けする取出時計量義務付手段を有することを特徴とする、請求項2記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記計量装置は、前記収納庫外に設けられており、
前記入庫許可機構は、前記収納庫を開けるのをロックするロック機構を解除する構成を含むことを特徴とする、請求項2記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記計量装置を能動化するための能動化手段を有し、
前記取出時計量義務付手段は、前記収納庫からの物品の取出を検知する手段と、この検知手段の出力に応答して前記計量装置を能動化する能動化手段とを含むことを特徴とする、請求項4記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記計量装置の計量結果に基づいて、物品の使用量または補充量を算出する演算手段をさらに有することを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置。
【請求項7】
前記演算手段の算出した使用量に基づいて、その物品の補充の要否を判断する判断手段を有することを特徴とする、請求項6記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記計量装置の近傍に、収納または取出す物品の識別情報を入力するための識別情報入力手段が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置。
【請求項9】
前記物品識別情報入力手段は、前記物品に付された識別情報を検出する手段を含むことを特徴とする、請求項8記載の物品管理装置。
【請求項10】
前記計量装置は、前記収納庫内に設けられていることを特徴とする、請求項1記載の物品管理装置。
【請求項11】
前記収納庫には、収納庫をロックするためのロック機構が備えられており、
前記計量装置による計量が検知されなければ、前記ロック機構が機能しないことを特徴とする、請求項10記載の物品管理装置。
【請求項12】
前記収納庫への物品の収納または取出に関連して、前記計量装置が所定時間計量を行わなかった場合に計量異常を報知するための報知手段を有することを特徴とする、請求項4、5または11に記載の物品管理装置。
【請求項13】
前記物品は、容器に収容された薬品を含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の物品管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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