説明

物理インフラ管理システム

本発明のシステムおよび方法を利用すると、ネットワーク資産に関する物理的位置情報を発見し、その情報をネットワーク管理者に配信できるようになる。さらに、ネットワーク資産の位置に関する環境情報および他の情報を、管理者に提供可能になる。利用可能なネットワークリソースに関する情報を含め、物理インフラ情報の取得および報告を容易にするため、インテリジェントパッチパネルおよび電源出力装置がネットワークキャビネットに設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ネットワーク管理システムに関し、より詳細には、ネットワーク構成要素に関して、物理的位置情報、および、環境情報など、物理層インフラに関連する他の情報を取得および提供するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信ネットワークは、数および複雑さにおいて、増大しつつある。ネットワーク構成要素を収容するデータセンターも同様に、次第に大規模で複雑になってきている。この増大する複雑さのために、ネットワーク管理者が、通信ネットワーク内にある資産の物理的位置に関する正確な記録を維持するのが困難なことがある。多くの場合、ネットワーク資産の物理的位置は、相当な間違いや漏れを生じながら、手作業で追跡されている。
【0003】
これは、ネットワーク管理者および技術者にとって、多数の問題を引き起こし得る。管理者や技術者が、論理ネットワークトポロジに基づいて、ネットワーク内の障害箇所を知ることは可能であるが、障害が起こっている特定の建物内の正確な位置を知ることはできない。より詳細には、あるネットワーク管理システムでは、特定のスイッチポートに接続されているサーバーが故障していることを知ることは可能であるが、物理的位置の記録が正確でなければ、故障したサーバーの物理的位置を実際に確定するのに相当な労力を要する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
資産の物理的位置に関する情報不足はまた、ネットワーク拡張計画に関する問題も引き起こす恐れがある。例えば、ネットワーク管理者や技術者は、ネットワーク資産の位置および関連する物理層インフラの構成要素を、キャビネットごとに手作業で綿密に取りまとめるのに相当な努力をすることなく、データセンター内のキャビネットで利用可能な空きスペース、接続性、熱容量、電力容量、または機能する物理層がどれだけあるのかについて知ることはほとんどない。
【0005】
拡張計画で遭遇するもう1つの課題は、拡張が望ましいか、または拡張が必要な物理環境に関する知識の欠如である。例えば、管理者は、新しいサーバーグループの設置にラック空間が利用できることを知っているかもしれない。しかし、その管理者は、サーバーグループの追加が、キャビネットまたはデータセンターの地域の電力消費、発熱、構造的ケーブル配線、電力容量、重量、セキュリティ、または接地に対して及ぼす影響についてほとんど、または全く情報を持っていない可能性がある。場合によっては、ネットワーク拡張計画に追加の費用と遅れをもたらすような、技術的な再検討が必要になることがある。さらに、ネットワークの具現は、ネットワーク内の論理接続と一致しない可能性があるため、重要な情報の不足は、自動化の妨げとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ネットワーク資産に関する物理的位置情報を自動的に取得および追跡し、物理層インフラデータおよびネットワーク設定に関する他の環境情報を提供することによって、前述した問題に対処するシステムを備えることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に従って、インテリジェントパッチパネルを備えたネットワークラックの図である。
【図2】インテリジェントパッチパネルおよび電源出力装置を備えたネットワークラックの図である。
【図3】インテリジェントパッチパネル、電源出力装置、およびセンサーを備えたネットワークラックの図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って、リンク発見プロセスを示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に従って、リンク発見プロセスに関わるデータフィールドの図である。
【図6】コンピュータネットワークの論理トポロジを示す。
【図7】ネットワーク内にある装置の物理的位置を示すマップである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願は、強化パッチコードならびに、ネットワーク構成要素に関する物理的位置情報に加えて、コンテナまたはネットワーク設計に関する他の限界に関連する他の情報および稼働情報の発見および更新を可能にするソフトウェアを備えた、インテリジェントパッチパネルを使用するシステムを提供する。本発明は、2008年11月12日に出願された「Intelligent Patching System」という名称の米国暫定特許出願整理番号61/113,868号に説明のあるハードウェアおよび方法論を使用するが、その出願内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
パッチパネルは、2つの異なる一般的な配置方法でネットワークに組み込むことができる。第1の方法は、「相互接続」と呼ばれ、パッチパネルが水平配線を経由して直接ネットワークスイッチングに接続されており、その水平配線は通常、パッチパネルの背面パネルに接続されている。相互接続配置では、ネットワークスイッチとの通信のために、別のネットワーク装置がパッチパネルの前面に接続されている。第2の方法は、「交差接続」と呼ばれ、スイッチと、そのスイッチに接続する別のネットワーク装置との間で2つのパッチパネルが使用される。どちらの配置方法にも長所がある。相互接続配置は、必要なパッチパネルが少ないため、費用と場所を節約できるが、交差接続配置は、ネットワーク内での接続性の変更を容易に実装できる。
【0010】
本発明に関連し、特定の応用例に応じて、種々の専用パッチコードが使用できる。パッチコードは、2つの一般的な実施形態:従来の4ペアのイーサネット(登録商標)パッチコードに加えて追加の導体が1つある、「9線式」パッチコード方式と、追加の導体が2つある、「10線式」パッチコード方式、に分類されると考えてもよい。本明細書では「9線式」および「10線式」という用語を使用するが、これらの用語は、パッチコード管理機能のために利用される1つまたは2つの追加の導体を持つパッチコードの参照に使用されることを理解されたい。例えば、「9線式」パッチコードは、光ファイバーに加えて、パッチコード管理機能用に利用される1つの導体を持つ光ファイバーパッチコードと置換することも可能である。
【0011】
本発明のある実施形態および応用例によれば、異なる特定のタイプのパッチコードが使用され得る。相互接続配置では、それらのリモート末端(パッチパネルに接続されていない末端)の挿入および取外しの検出を可能にするために、ハードウェアを統合する9線式または10線式のパッチコードを使用してもよい。交差接続配置では、パッチコードのリモート末端で、挿入または取外しの検出を可能にするハードウェアの組込みを必ずしも必要としない9線式パッチコード方式と共に、インテリジェントパッチパネルが使用できる。これは、2つのインテリジェントパッチパネルが、パッチコードの第9線を介して、接続情報を相互に通信するために使用できることによる。
【0012】
図1を参照すると、本発明は、キャビネットに設置されたインテリジェントパッチパネルを使用し、そして、其のキャビネットは、データセンター、データクローゼット、または別の位置に収容され得る。図1では、2つのインテリジェントパッチパネル10および10’が、2つのキャビネット12および12’に設置されているとして示されている。インテリジェントパッチパネル10および10’には、前面パネルポート20があり、各前面パネルポート20は、対応するパッチパネル用のリアコネクタ(パンチダウンコネクタやモジュラーコネクタなど)に接続されている。そして、リアコネクタは、水平配線16で、ネットワークの別の部分(構造化配線クラウド14として図示)に接続されている。インテリジェントパッチパネル10の管理ポート17(イーサネット(登録商標)ポートでも可)は、管理接続19を経由してネットワーククラウド14に接続され、構造化配線クラウド14を通して、物理インフラ管理(PIM:physical infrastructure management)サーバー15との間でデータの送受信ができる。管理ポート17は、図1〜3では、明確化のため、インテリジェントパッチパネルの前面パネル上に存在するとして示されているが、管理ポート17は、インテリジェントパッチパネルの背面でも提供し得ることを理解されたい。PIMサーバー15は、図1ではラップトップ型のパソコンとして示されているが、PIMサーバーはPIMソフトウェアを実行し、種々のインタフェースを用いて、種々の異なるハードウェアプラットフォーム上で実装され得ることを理解されたい。PIMサーバーは、グラフィカルユーザーインタフェースを備えることが推奨される。
【0013】
10線式パッチコード18は、インテリジェントパッチパネル10のパッチポート20を、スイッチ22およびサーバー24を含め、キャビネット12に設置されたネットワークハードウェアに接続する。例えば、図1では、10線式パッチコード18aは、パッチポート20aをスイッチポート21aに接続する。図1の実施形態では、キャビネット内の全てのネットワーク装置は、10線式パッチコード18で、インテリジェントパッチパネル10の前面にあるパッチポート20と接続されている。この接続方式を利用すると、特にキャビネット12の位置を含め、インテリジェントパッチパネル10の物理的位置が分かっていれば、対応するインテリジェントパッチパネル10に接続されていることが分かっている全てのネットワーク装置の位置も分かり、キャビネットなどのコンテナと関連付けられる。各インテリジェントパッチパネル10または10’は、物理的位置情報が提供され、正確な配置場所を明示する。各インテリジェントパッチパネル10または10’はさらに、この物理的位置情報をPIMサーバー15に報告することができる。
【0014】
一実施形態によれば、其のパッチコード18は、スイッチやサーバーなどのネットワーク構成要素に接続されているパッチコードのプラグ(つまり、インテリジェントパッチパネル10に接続されていない方のパッチコードの末端にあるプラグ)に挿入検出スイッチが装備されている。別の実施形態によれば、挿入または取外し検出は、米国暫定特許出願整理番号61/113,868号に記載のある、接地検出方式によって実現される。
【0015】
図2は、本発明の一実施形態で使用可能な追加のハードウェアを示す。図2は、基本的に、図1に示すのと同一のハードウェアおよび接続に、電源出力装置(POU)26を追加したものである。POU 26のPOU管理ポート27は、パッチコード28を用い、デイジーチェーン接続を経由して、POU 26の対応するラックに設置されたインテリジェントパッチパネル10の管理ポート17に接続できる。POU 26は、スイッチ22およびサーバー24などのネットワーク装置に電力を供給するために使用される電源出力を備え、キャビネット12での電力消費に関する情報をインテリジェントパッチパネル10が収集できるようにする。POU 26のインテリジェントパッチパネル10への接続により、電力および環境データを定義済みの場所(例えば、キャビネット)と関連付けることが可能になる。電源出力装置の態様は、2008年3月31日に出願された「Power Outlet Unit」という名称の米国暫定特許出願整理番号61/040,870号で開示されており、その出願内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態に組込み可能な追加のハードウェアを示す。図3の実施形態では、種々のタイプのセンサーが、POU 26に備わっている検出および制御ポート30に接続されている。本発明で使用するセンサーには、相対湿度および温度センサー32を含めることができる。追加のセンサー34も示されている。本発明で使用可能なセンサーの例には、温度、相対湿度、またはキャビネットのドア位置(磁石の付いたリードスイッチまたは同等の装置を含む)のためのセンサー、およびキャビネット12内の接地接続の質の検出用センサーがある。使用可能なセンサーの別の例としては、電力特性、ビット誤り率、および水平配線の質のためのセンサーがある。
【0017】
センサーで収集された環境データは、物理的サーバー配置に関する意思決定のため、データセンター管理者に重要な情報を提供することができる。環境情報はまた、仮想化ソフトウェアに対して、仮想マシンのホストに最適なハードウェア(物理インフラおよびサーバーハードウェアを含む)リソース選択のための、役立つ基準を提供できる。センサーデータログはまた、ハードウェアベンダーに保証修理義務の履行を強制する証拠の記録も提供できる。ソフトウェアは、温度や電流などのデータを、例えば、熱容量、電力容量、および接地の質に関する情報など、簡便で関連のある情報に変えることができる。
【0018】
アクチュエータ36も、検出および制御ポート36に接続することができる。本発明で使用可能なアクチュエータの例には、セキュリティのためのキャビネットのドアロック、および、大規模なデータセンター内で、対象とする物理的資産を探すのを支援する光信号ビーコン(例えば、各キャビネットの上に取り付けられる)がある。
【0019】
本発明のシステムおよび方法では、インテリジェントパッチパネルに接続されたネットワーク資産に関する物理的位置情報が、ネットワーク管理システムまたはPIMソフトウェアに提供されるよう許可される。さらに、ネットワーク内にある各インテリジェントパッチパネルの物理的位置が、PIMサーバー15上のソフトウェア、および、おそらく特定のネットワーク配置で使用され得るような別のネットワーク管理ソフトウェアによって知られているため、後でインテリジェントパッチパネルに接続される(インテリジェントパッチパネルの初期設置に続いて)ネットワーク資産の物理的位置も知られるだろう。
【0020】
図1の右側のサーバーキャビネット12’は、クラウド14として図示された、データセンターの水平構造化配線を経由して、左側のスイッチキャビネット12に接続する。キャビネット12と12’との間の水平構造化配線は、スイッチキャビネットのインテリジェントパッチパネルの背面から、サーバーキャビネットのパッチパネルの背面に、直接にのみ接続すべきである。このシステムには、唯1つのスイッチキャビネット12と唯1つのサーバーキャビネット12’のみが図示されているが、複数のキャビネット内に複数のスイッチを分散させることも可能であり、また複数のサーバーを同様に分散させることも可能である。本発明の位置情報の方法は、これらの状況でも同様に機能するであろう。
【0021】
ここで、物理的位置データおよび自動水平リンク検出を、ネットワーク資産と関連付ける方法について説明する。図1を参照すると、スイッチ22が設置されている第1キャビネット12と、サーバー24が設置されている第2キャビネット12’が示されている。まず、第1キャビネット12にインテリジェントパッチパネル10を提供するプロセスについて説明する。本明細書で使用される「提供」という用語は、インテリジェントパッチパネルが、それに接続されている装置に関する情報を取得できるようにするため、インテリジェントパッチパネルに情報を提供するプロセスを指す。この用語はまた、PIMソフトウェアが、インテリジェントパッチパネルと、それに接続されている装置との間に論理接続を形成するプロセスも指す。これは、インテリジェントパッチパネルおよびキャビネット内の装置のポートを、インテリジェントパッチパネルに備わったプロビジョニングポート23に、連続的に接続するための所定の手順を用いて実行できる。
【0022】
PCを用いてインテリジェントパッチパネルの管理ポートにアクセスするため、データセンターの技術者は、各インテリジェントパッチパネルの不揮発性メモリに一意の識別子を割当てて、
(a)キャビネットの識別ラベル付け(キャビネット番号)、
(b)データセンターの物理的間取図上の位置、
(c)キャビネットのタイプ(スイッチキャビネットかサーバーキャビネット)、および
(d)インテリジェントパッチパネルと関連付けられたネットワーク構成要素
を表す。
【0023】
所与のキャビネットに2つ以上のインテリジェントパッチパネルが存在する場合、それらは全て同一のキャビネット番号とタイプ識別を受け取る。
【0024】
第1キャビネットへのスイッチ22およびインテリジェントパッチパネル10の設置に続いて、どのスイッチポート21がどのパネルポート20に接続されているかを、インテリジェントパッチパネル10がPIMサーバー15に報告できるようにするため、プロビジョニングポート23が10線式パッチコード18で使用される。これは、米国暫定特許出願整理番号61/113,868号で説明されている、パッチコード取付け手順を用いて実現可能で、パッチコードのスイッチプラグがスイッチポートに差し込まれ、パッチコードのパネルプラグがインテリジェントパッチパネルのプロビジョニングポートに接続されるときに、スイッチポート接続に関する情報が収集される。
【0025】
PIMソフトウェアによって収集可能、またはPIMソフトウェアに提供可能な、例示的で役立つ追加の情報には:
(a)スイッチMACアドレス、
(b)スイッチIPアドレス、
(c)スイッチシャーシIDまたはシリアル番号、
(d)スイッチポート識別、MACアドレス、またはIPアドレス、
(e)割り当てられたホスト名、
(f)リアルタイムでの3D可視化情報、
(g)動作可能時間、
(h)モデルおよび製造業者、
(i)サービスレベル合意書情報、
(j)平均修復時間情報(MTTR)、および
(k)平均故障間隔(MTBF)
がある。
【0026】
次に、インテリジェントパッチパネル12’の提供プロセスについて説明する。本発明の一実施形態によれば、物理的位置情報を、PIMサーバーまたは別の管理システムによって収集および管理できるようにするため、インテリジェントパッチパネルおよび他のネットワーク資産をキャビネット内に設置する際に、特定の提供方法が使用されるべきである。これらのステップは、インテリジェントパッチパネルとともに、主要な分散地域のキャビネットおよびスイッチ、水平配線、ならびにサーバーキャビネットの設置後に生じる:
a)ラップトップ型PCのプラグを、インテリジェントパッチパネル10’の背面にある管理ポート17に差し込む。インテリジェントパッチパネルの不揮発性メモリに、キャビネットID(識別番号)およびタイプ(サーバーキャビネットのパッチパネル)、およびキャビネト12’の物理的位置を割り当てる。
b)9線式パッチコード18をサーバーキャビネットのインテリジェントパッチパネルにあるプロビジョニングポート23(図1に示す)に差し込む。これにより、インテリジェントパッチパネル10にシグナル通知して、水平ケーブル16(プロビジョニング)の初期マッピングを開始する。
c)9線式パッチコード18のもう一方の末端をキャビネットの第1フロントパッチパネルポート20(このポートの背面からの配線が、水平配線を経由して、対象とされた外部スイッチポートに既に接続している)に差し込む。プロビジョニングポートは、CDP(Cisco Discovery Protocol)またはLLDP(Link Layer Discovery Protocol)を使用して、特定の外部スイッチおよびスイッチポートを一意に示す情報(ポートMACアドレス、またはスイッチMACアドレスおよびポートID)を取得および記憶する。インテリジェントパッチパネル10’は、この情報を記憶する(および完了をユーザーにシグナル通知する)。
d)この9線式パッチコード18の一方の末端をプロビジョニングポート23に差し込んだまま、もう一方の末端をパッチパネルポート1から外し、それをポート2に差し込む。プロビジョニングポート23は、再度、次のスイッチポートを識別する情報を取得して、その情報を記憶する。サーバーキャビネット12’の全てのインテリジェントパネルポート20について、つまり、サーバーキャビネットで終端されている全ての水平ケーブルについてこれを繰り返す。
e)PIMソフトウェア(構造化配線クラウド14に接続されているラップトップ型PCとして示されるPIMサーバー15上に常駐する)は、インテリジェントパッチパネル10から、キャビネット番号、キャビネットタイプ、および位置に加えて、この情報を収集する。PIMソフトウェアは、インテリジェントパッチパネル10を最初に発見した後、および、その後のインテリジェントパッチパネル10の定期ポーリング中に、この情報を収集する可能性がある。
f)PIMサーバー15上に常駐するPIMソフトウェアは、次に、:
・識別された各スイッチポートの全てのインスタンスをそのデータベース内で探し(2つだけ見つかるはず)、
・個々のサーバーキャビネットのインテリジェントパッチパネルポートの各々を、その一致するスイッチキャビネットのインテリジェントパッチパネルポートに関連付け、そして、
・これらポート対の各々を水平ケーブルで相互に接続されたように論理的に接続する。
【0027】
この方法を、ネットワーク内にある全てのサーバーキャビネットの全てのインテリジェントパッチパネルポートで繰り返すことにより、PIMソフトウェアは、データセンター内にある全ての銅線水平配線のエンドツーエンド接続のマップを作成する。PIMソフトウェアは、すると、(1)各水平ケーブルの各終端の空間的位置および論理ポート識別、(2)スイッチおよびそのキャビネットの物理的位置と論理的位置、ならびに(3)サーバーキャビネットの物理的位置と論理的位置および関連するインテリジェントパッチパネル、を認識する。プロセスのこの段階で、PIMソフトウェアは、特定のサーバーの識別または位置に関する情報を持っていない。
【0028】
次に、サーバーは、サーバーの特定の物理的位置を知られるようにする方法でパッチされる。これらのステップは、前述の(a)〜(f)のステップとともに、サーバーキャビネットの提供後に生じる。前述のとおり、インテリジェントパッチパネル10’のポートの提供に関連して、2つの異なるパッチコード方式が使用できる。
a)10線式パッチコード18のブレード末端を、サーバーキャビネット12’に格納された対象とするインテリジェントパッチパネルポート20に差し込む。インテリジェントパッチパネル10’は、このポートへの挿入を検出して記憶する(PIMソフトウェアは、既に、このポートを、水平ケーブルのもう一方の末端で、例えば、分散地域のスイッチポートと関連付けている)。
b)その同一の10線式パッチコード18のスイッチ末端(「遠」末端)を、対象とするサーバーポート25に差し込む。
c)インテリジェントパッチパネルポート20は、インテリジェントパッチコード18のサーバーポートへの挿入を検出して、このパッチ接続のイベントを、PIMソフトウェアまでシグナル通知する。
d)PIMソフトウェアは、識別されたスイッチに対し、水平ケーブルのもう一方の末端に接続することが知られているその特定のポートについて、定期的に問合せを行う。この定期的な問合せでは、キャビネット内のサーバーの初期パッチングと、その結果として生じるそれらサーバーとのイーサネット(登録商標)通信の開始との間の経過時間を考慮に入れる。
e)スイッチは、直ちに、または、最終的に、その識別されたポートに接続されているサーバーのMACアドレスを生成する。
f)PIMソフトウェアは、そのサーバーのMACアドレスを、サーバーキャビネット10’内に常駐する在庫管理として指定する。
【0029】
PIMソフトウェアは、SNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)を利用して、ネットワーク装置と、中央管理コンソールまたはサーバーとの間のメッセージ通信を可能にする。管理情報ブロック(MIB)は、統計カウンタ、ポート状態、およびこれらのネットワーク装置に関する他の情報を含む。管理コンソールは、ネットワーク装置ノード用の特定のMIB変数に作用するGETおよびSETコマンドを発行する。分散インテリジェントパッチパネルモジュールに包含されているような、種々のネットワーク装置エージェントは、パッチ切断や他の警告などのイベントを報告するため、TRAPメッセージをPIMサーバーに発行できる。HP OpenViewなど、サードパーティ製のSNMPに基づくネットワーク管理システムは、拡張MIBの変数構成が共有される場合、Panduit PIMソフトウェアと統合または連携することが出来る。
【0030】
PIMソフトウェアは、ネットワーク内の全ての装置を発見する。一実施形態によると、スイッチ情報の可用性に関して、ある制約が存在する:つまり、スイッチは、SNMPを有効にしておく必要があり、かつ、それらのアドレステーブル情報が通常、PIMソフトウェアで利用可能になっていなければならない。これらの許可を得て、PIMソフトウェアは:
a)スイッチMACアドレス、
b)スイッチIPアドレス、
c)スイッチシャーシIDまたはシリアル番号、
d)スイッチポート識別、MACアドレス、またはIPアドレス、
e)割り当てられたホスト名、
f)モデルおよび製造業者、および
g)各スイッチポートに接続されている稼働中の装置のIPアドレスおよびMACアドレス、
の発見および集約が可能になる。
【0031】
また、データセンターの社員は、そのキャビネットを表わすために、現地でインテリジェントパッチパネルに一意の識別子を割り当てた。インテリジェントパッチパネル10および10’(そして、従って、そのPIMソフトウェア)は、そのインテリジェントパッチパネルの接続されているスイッチポートのリストを記憶していて、かつ、これらのスイッチが、ポートのサーバーへの接続データをPIMソフトウェアで利用可能にしているため、PIMソフトウェアは、これら接続されているスイッチおよびサーバーの各々を、それらそれぞれのキャビネット内に物理的に常駐するとして、マップおよび指定できる。PIMソフトウェアはまた、データセンター内にある水平配線の接続をマップすることもできる。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態における既知の接続および推定接続を示す。インテリジェントパッチパネル10が設置され、提供されて、スイッチ22に接続されると、そのスイッチIDが知られて、インテリジェントパッチパネル10の特定のポートに関連付けられる。これは、図4の矢印40で示されている。さらに、インテリジェントパッチパネル10’が設置されて、提供されると、PIMソフトウェアは、スイッチ22と、インテリジェントパッチパネル10’の特定のポートとの間で、リンクの情報を完了できる。これは、矢印42で示されている。第1のインテリジェントパッチパネル10のリアパネルと、インテリジェントパッチパネル10’のリアパネルとの間の水平配線接続の推定情報も、この時取得される。この推定情報は、図4の矢印43で示されている。最後に、サーバーIDの問合せが(それが接続されている対応するスイッチポートからサーバーIDを取得することにより)達成されると、PIMソフトウェアは、第2のインテリジェントパッチパネル10’の各フロントポートに接続されている各サーバーポートのサーバーIDがわかる。これは、図4の矢印44で示されている。
【0033】
図5は、前述した概略のように、提供ステップに続いて、PIMソフトウェアによって知られるデータを示す。左側のデータセット46は、スイッチキャビネット12にある第1のインテリジェントパッチパネル10によってソフトウェアに提供される情報に基づき、PIMソフトウェアによって知られる情報を示す。右側のデータセット48は、サーバーキャビネット12’にある第2のパッチパネル10’によってソフトウェアに提供される情報に基づき、PIMソフトウェアによって知られる情報を示す。強調表示されたデータ列50および52は、特定の水平ケーブルが、スイッチポート番号13を、第1のインテリジェントパッチパネルのポート番号7を経由して、特定のサーバーポートに接続する第2のインテリジェントパッチパネルポート21に接続することを知っているソフトウェアに基づき、PIMソフトウェアによってリンクされるデータを示す。図5では、サーバーIDは、まだ、PIMソフトウェアによって、スイッチから後で取得されることに留意されたい。
【0034】
本発明のインテリジェントパッチパネルの物理的位置が分かると、図7に示すネットワーク資産の物理的位置マップ56を提供するために図6に示すように、PIMソフトウェアは、ネットワーク資産の標準的なトポロジマップ54の範囲を超えることが可能になる。本発明の技術およびハードウェアを用いると、どの具体的なキャビネット(図7にキャビネット12a〜12eを示す)に特定のネットワーク資産があるかを、ネットワーク管理者またはユーザーに対して、明らかにすることが可能になる。問題となっているネットワークキャビネットのサイズが分かると、PIMソフトウェアは、具体的なキャビネットで、追加のハードウェア用に利用可能な空きスペース58の量を管理者に通知することも可能になる。空きスペース58の自動認識を、環境情報および電力使用情報認識と組み合わせることが可能になれば、管理者は、拡張地域を直接物理的に調査することなく、情報を利用して、ネットワーク拡張の計画を立てることが可能になる。本発明のシステムおよび方法は、また、技術者に位置情報および他の情報を提供することによって、作業命令書作成の支援に使用することもできる。
【0035】
本明細書で開示するとおり、自動的に自身を調整する(すなわち、全ての接続が意図したとおりに実装されていることを確認して、不適切な実装があれば警告する)という物理インフラ管理システムの能力は、手作業による検証または調整ステップを必要とすることなく、1つのサーバーから別のサーバーへのアプリケーションの仮想移動のような、自動決定を可能にする。
【0036】
前述の説明で、「キャビネット」とは、本発明の一実施形態を指すことを理解されたい。また、物理的位置情報および本発明による他の恩恵が、インテリジェントパッチパネルを格納するラックまたは部屋または他の関係する物理的位置(すなわち、コンテナ)に関連して、提供されることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
10、10’ インテリジェントパッチパネル
12、12’ キャビネット
15 PIMサーバー
17 管理ポート
18 パッチコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理インフラ管理サーバーと、
前記物理インフラ管理サーバーへのネットワーク接続を有するインテリジェントパッチパネルであって、前記インテリジェントパッチパネルがネットワークキャビネットに設置され、かつ、その場所で、パッチパネルメモリに、前記インテリジェントパッチパネルが設置されている物理的位置を表す物理的位置情報を記憶している、少なくとも1つのインテリジェントパッチパネルと、
前記キャビネットに設置され、かつ、前記インテリジェントパッチパネルのパッチポートに接続されている、少なくとも1つのネットワーク装置と、
前記キャビネットに設置され、前記キャビネット内の電源消費に関する情報が前記インテリジェントパッチパネルによって収集され、前記キャビネットに関連付けられるように、前記インテリジェントパッチパネルに接続されている電源出力装置管理ポートを備え、さらに検出および制御ポートを備えた、少なくとも1つの電源出力装置と、
前記電源出力装置の前記検出および制御ポートに接続された環境センサーであって、前記環境センサーからの環境データが前記インテリジェントパッチパネルによって収集され、前記キャビネットに関連付けられる、少なくとも1つの環境センサーと、
を備える物理インフラ管理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの環境センサーが温度センサーを備える、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの環境センサーが相対湿度センサーを備える、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項4】
前記電源出力装置の前記検出および制御ポートに接続された少なくとも1つのアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項5】
前記アクチュエータがキャビネットドアロックアクチュエータを備える、請求項4に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項6】
前記アクチュエータが光信号ビーコンアクチュエータを備える、請求項4に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項7】
前記物理インフラ管理サーバーがグラフィカルユーザーインタフェースを備える、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項8】
前記ネットワーク装置の一部がネットワークスイッチである、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項9】
前記ネットワーク装置の一部が、10線式パッチコードを経由して前記インテリジェントパッチパネルに接続されている、請求項1に記載の物理インフラ管理システム。
【請求項10】
前記10線式パッチコードに、挿入検出スイッチが備わっている、請求項9に記載の物理インフラ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−513709(P2012−513709A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542466(P2011−542466)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/068650
【国際公開番号】WO2010/075198
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(507202736)パンドウィット・コーポレーション (70)
【Fターム(参考)】