説明

物理パラメータのその場測定装置およびシステム

【課題】1つ以上の物理パラメータをその場測定するデータ自動記録装置等を提供する。
【解決手段】1つ以上の物理パラメータをその場測定するデータ自動記録装置であって、電源と、1つ以上の物理パラメータを測定する1つ以上のセンサーと、1つ以上の物理パラメータの測定値の少なくともいくつかの表記を蓄積するデータ記憶手段と、測定値の少なくともいくつかの表記をデータ記憶手段に書き込み、データ送信の間にデータ記憶手段からデータを読み取る制御論理と、アンテナと、アンテナに結合され、受動送信によって蓄積されたデータを送信する送信機とを備えたデータ自動記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上の物理パラメータ(physical parameter)をその場測定するデータ自動記録装置、1つ以上の物理パラメータをその場測定するシステム、女性の排卵時期(point of ovulation)を判定するシステムおよび、温度のその場測定をするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
物理パラメータを測定し、蓄積するデータ自動記録装置は、科学技術界において広く用いられている。そのような装置によって、物理パラメータをその場で長時間、自動的に監視し、それを、その場に到達するのが困難であったり環境上危険な条件であったりする、すなわち手動の測定が不便であるか過度に時間を消費する状況で行うことが可能となっている。
【0003】
これまでに開発されているそのようなデータ自動記録システムの1つが、温度を記録するミニミッターシステムである(http://www.minimitter.com)。しかしながら、解決策全体の費用はかなり高く、データ記録装置それ自体がかなり扱い難く、多くのアプリケーションにとって大き過ぎる。
【0004】
とりわけ、様々な生理パラメータ(physiological parameter)を周期的に測定することが、多くの医療状況にとって必須であり、そのパラメータも、体液圧やコンダクタンスから温度や温度勾配に及ぶ。生理パラメータは、例えば医者や看護師によって「手で」測定されるか、(たいてい高額な)医療装置によって監視され、患者は問題の測定を必要とする期間、その装置に繋がれたままであることを求められる。
【0005】
ある生理パラメータを家庭環境で測定することが求められる(糖尿病患者のような)人々にとって、状況はさらに深刻である。診療所または病院に支援組織が無ければ、患者は求められる測定をし忘れることが多くなってしまいがちであり、あるいは折々面倒に感じてしまい、それよりもまず医療設備の恩恵を受ける余裕が無いかもしれない。
【0006】
したがって、その場測定を行う装置で、廉価で自動的に生理パラメータを記録する必要性がある。そのような装置は、医療スタッフの負担を減らすことができたり、測定をし損じるおそれを減らすことができたり、装置が測定を求められる場所に留まっているので、潜在的には患者が耐えなければならない痛みがあるか切開を伴う測定の数を減らしたりするであろう。さらには、例えば睡眠中または多忙な日常のスケジュールの間に、患者をわずらわせることなく測定が行われる。
【0007】
ある生理パラメータまたは長期の医療状況については、埋め込み式装置によって、これらのパラメータの測定が最も容易となろう。埋め込まれる医療装置は、できる限り容量が小さくて、患者の体内でできる限り寿命が長いことが望ましい。これについて、多くの装置で、電池の寿命と電池のサイズとの間に兼ね合いの限界があり、単にこの電池を充電するか取り換えるという目的で、その装置を取り外して再挿入する必要がある。これによって、患者には過度のストレスや不快感が引き起こされる。
【0008】
とりわけ、女性は、毎月自分たちが排卵しそうである時期を判定するために、体温を規則的に測定することを望むことがある。この「自然な方法」は、妊娠することを求める多くの女性にとって魅力があり、またおそらくは特定の宗教的信条を持つ女性の避妊法としても用いることができる。最も信頼できる結果を得るには、排卵サイクル中、ほとんどずっと規則的に体温を測定することが求められる。
【0009】
欧州特許出願公開第0195207号には、分析や表示のために、求めに応じて無線で受信機に送信される体温データを周期的に自動記録する、子宮内への埋め込み装置が記述されている。これによって、自然な家族計画のための基礎体温(BBT)法を用いる上での大きな問題が解決され、ユーザーが日常的に体温を測定するために起きる必要が無くなったり、そのことを覚えておいたりすることさえ必要でなくなる。残念なことに、その装置の電池を交換するか充電する必要があるので、その装置は周期的に引き抜かれ、再挿入されなければならない。アクセス可能な体腔に導入されるが、この引き抜きおよび再挿入手順は、非常に面倒であり、大きな医療上の危険が伴う。(特許文献1参照。)
【0010】
それに代えて、埋め込み装置にデータ測定値を蓄積せず、測定値を直接読み取り装置に送信する埋め込み装置を用いることもできる。この場合、欧州特許出願公開第0476730号におけるように、埋め込み装置の電力は読み取り装置が供給する。これは、受動無線認証(radio-frequency identification, RF‐ID)センサーでは普通に行われている。しかしながら、この仕組みでは、埋め込み装置が測定を行おうとするときにいつでも、埋め込み装置がRF‐ID読み取り装置の近くに位置していることが求められる。(特許文献2参照。)
【0011】
充電可能な電池を用いるデータ自動記録システムにおいては、電池をある回数繰り返して充電すると、データ自動記録装置の動作に適切な放電を維持できないレベルにまで電池の性能が低下してしまうので、電池の寿命が制限されていた。これは、埋め込み装置を交換するのに必要な小さな手術の頻度を最小限に留めるために、十年単位の寿命が望まれる埋め込み式データ自動記録装置に特有の問題である。
【0012】
欧州特許出願公開第0746040号で受動システムが示唆されており、一体化されたセンサーが含まれる受動応答機(passive transponder)が記述されている。応答機は、スキャナーから呼びかけ信号を受け取り、識別情報および体特徴情報をスキャナーに送るように動作可能である。しかしながら、そのシステムは、データ自動記録性能を提供するものではなく、したがって測定が求められるごとにスキャナーを応答機と結合する必要がある。(特許文献3参照。)
【特許文献1】欧州特許出願公開第0195207号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0476730号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0746040号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、1つ以上の物理パラメータをその場測定するデータ自動記録装置、1つ以上の物理パラメータをその場測定するシステム、女性の排卵時期を判定するシステムおよび、温度をその場測定するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の構成により、1つ以上の物理パラメータをその場測定するデータ自動記録装置であって、電源と、1つ以上の物理パラメータを測定する1つ以上のセンサーと、1つ以上の物理パラメータの測定値の少なくともいくつかの表記を蓄積するデータ記憶手段と、測定値の少なくともいくつかの表記をデータ記憶手段に書き込み、データ送信の間にデータ記憶手段からデータを読み取るように設計された制御論理(control logic, 制御手段、制御プログラム)と、アンテナと、アンテナに結合され、蓄積されたデータを受動送信(passive transmission)によって送信するように構成された送信機と、を備えたデータ自動記録装置が提供される。
【0015】
好ましくは、電源が充電可能な電源であって、送信機が、アンテナで受信された電磁電力の少なくとも一部を充電可能な電源に供給してその充電可能な電源を充電するように構成される。
【0016】
データ自動記録装置がさらにセレクタ論理(selector logic, セレクタ手段、セレクタプログラム)を備えており、送信機は、充電可能な電源が充電されるべきであることをセレクタ論理が選ぶならば、アンテナで受信される電磁電力の少なくとも一部を充電可能な電源に供給するように構成されていてもよい。セレクタ論理は、電源にかかる電圧が所定のレベル未満に落ちるならば、充電可能な電源が充電されるべきであることを選ぶように設計されていてもよい。
【0017】
測定値の表記の少なくともいくつかは、物理パラメータの、以前の測定値と引き続いての測定値の差であってもよい。
【0018】
好ましくは、制御論理が、測定値の表記の少なくともいくつかを、それぞれの測定が行われた時刻を指示するタイムスタンプと関連させて、データ記憶手段に書き込むように設計される。好ましくは、各センサーが、所定の周波数で1つ以上の物理パラメータを測定するように構成されている。
【0019】
好ましくは、制御論理が、測定値の表記をデータ記憶手段に書き込む動作が可能な第1の動作モードと、測定値の表記をデータ記憶手段に書き込む動作が不可能な第2の動作モードとを備えており、制御論理は、第2の動作モードにおけるよりも第1の動作モードにおいてより電力を消費し、かつ制御論理は、以下の条件の1つ以上が満たされるときに第2の動作モードに入るように構成されている:
(a)データ記憶手段への書き込み後、所定の時間が経過する;
(b)1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の量を超えてまたはそれ未満だけ測定値間で変化する;
(c)1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の値よりも大きいか小さい値である。
【0020】
好ましくは、制御論理が、第2の動作モードに入って所定の時間の後、第1の動作モードに入るように構成されている。好ましくは、データ自動記録装置がさらに、1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の量を超えてまたはそれ未満だけ測定値間でいつ変化するのかを測定するように構成された比較回路を含み、かつその比較回路は、この測定に応答して、制御論理を第1の動作モードに入れさせて、測定値の少なくともいくつかの表記をデータ記録装置に書き込ませるように設計されている。
【0021】
好ましくは、データ自動記録装置は、1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した一組の値を平均し、制御論理に、測定された一組の値の平均の表記をデータ記憶手段に書き込ませる手段をさらに備えている。
【0022】
物理パラメータは、温度、圧力、pH、光強度、音圧、動き、光スペクトル質(light spectral quality)、データ自動記録装置の向きまたは傾き、および振動の1つ以上であってよい。
【0023】
好ましくは、データ自動記録装置のデータ記憶手段は、追加のデータを蓄積するように設計されている。追加のデータには、個人情報および/または医療情報が含まれていてもよい。
【0024】
1つ以上の物理パラメータの少なくともいくつかは生理パラメータであってもよく、データ自動記録装置は、
(a)人体または動物の体への埋め込みに適するパッケージ、
(b)皮膚への装着に適する粘着パッチ、
(c)衣料品またはその他の着用可能な品、および
(d)保護シェル
の1つに組み込まれていてもよい。
【0025】
1つ以上のセンサーの1つは、第1の温度センサーであってもよい。1つ以上のセンサーの1つは、第2の温度センサーであってもよく、第1の温度センサーは、人体または動物の体の温度を測定するように設けられ、かつ第2の温度センサーは、人体または動物の体の周囲の温度を測定するように設けられている。
【0026】
1つ以上のセンサーの1つが、動きを測定する加速度計またはその他の手段であって、データ自動記録装置の動き、または、その動きを測定する加速度計またはその他の手段が取り付けられた体の動きが測定されてもよい。
【0027】
好ましくは、制御論理は、1つ以上の物理パラメータから2番目に選択されたものを以前に測定した値に所定の値未満の変動があるときにのみ、1つ以上の物理パラメータから1番目に選択されたものを測定した値の表記をデータ記憶手段に書き込むように設計されている。
【0028】
好ましくは、制御論理は、測定値が所定の量を超えて測定値間で変化するときにのみ、1つ以上の物理パラメータから選択されたものを測定した値の表記をデータ記録装置に書き込むように設計されている。
【0029】
表記が、変化が測定された時刻を指示するタイムスタンプであってもよい。
【0030】
本発明の第2の構成により、1つ以上の物理パラメータをその場で測定するシステムであって、前記請求項のいずれか一項(前記本発明の第1の構成のいずれか)に記載のデータ自動記録装置と、蓄積されたデータの少なくともいくつかを受動送信によってデータ自動記録装置から受け取るように構成された受信機を備えたデータ読み取り装置と、を備えたシステムが提供される。
【0031】
好ましくは、データ自動記録装置は、データ読み取り装置から受信機が受け取るエネルギーが所定のレベルを超えるときに、その蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信するように構成されている。
【0032】
好ましくは、データ自動記録装置は、データ読み取り装置からの適切な命令に応答して、その蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信するように構成されている。好ましくは、命令は、蓄積されたデータのいずれをデータ自動記録装置が送信すべきかを指示する。
【0033】
好ましくは、各センサーは、所定の周波数で1つ以上の物理パラメータを測定するように構成され、かつデータ読み取り装置は、信号をデータ自動記録装置に送信してこの周波数を設定するように動作可能である。
【0034】
好ましくは、データ自動記録装置のデータ記憶手段は、追加のデータを蓄積するように設計されている。追加のデータには、個人情報および/または医療情報が含まれていてもよい。好ましくは、データ自動記録装置は、データ読み取り装置から適切な命令を受け取ると追加のデータの少なくともいくつかを送信するように構成されている。
【0035】
好ましくは、データ読み取り装置から適切な命令を受け取ることに応答して、データ自動記録装置は、(a)その命令と関連して送信されたデータで追加のデータの少なくともいくつかを書き換えるか、または(b)その命令と関連して送信されたデータをさらなる追加のデータとしてデータ記憶手段に書き込むように構成されている。
【0036】
好ましくは、データ読み取り装置は、データ自動記録装置に認証コードを送信するように動作可能である。認証コードの少なくとも一部が、データ自動記録装置の識別コードに依存して決められてもよい。認証コードの少なくとも一部が、データ読み取り装置の識別コードに依存して決められてもよい。あるいは、データ自動記録装置は、一組の有効な認証コードを保持し、かつデータ自動記録装置は、それが有効な認証コードを受け取るときに限り、その蓄積されたデータの少なくともいくつかをデータ読み取り装置に送信するように構成されている。
【0037】
好ましくは、データ自動記録装置は、データ読み取り装置の公開鍵認証を行う(perform public key authentication)ように構成されており、または逆に、データ読み取り装置は、データ自動記録装置の公開鍵認証を行うように構成されており、かつデータ自動記録装置は、それが有効な応答を受け取るときに限り、その蓄積されたデータの少なくともいくつかをデータ読み取り装置に送信するように構成されている。
【0038】
好ましくは、データ読み取り装置は、データをその読み取り装置に入力する入力手段を備えている。好ましくは、データ読み取り装置は、そのデータ読み取り装置で受け取られるデータの少なくともいくつかを蓄積するように構成されている。
【0039】
データ読み取り装置は、有線または無線通信でデータ自動記録装置から受け取ったデータの少なくともいくつかを、インターネットサーバー、パーソナルコンピュータ(ラップトップ、デスクトップ、PDA、スマートフォンまたは携帯型コンピュータが含まれている)、記憶装置またはその他のデータ処理装置の1つ以上に送信するように動作可能であってもよい。
【0040】
好ましくは、データ読み取り装置は、第1の温度センサーの各測定値を、それに対応する第2の温度センサーの測定値に依存して処理し、第1の温度センサーが測定するように設けられている人体または動物の体の中心の温度(core body temperature, 核心温)を推定するように構成されている。
【0041】
好ましくは、データ読み取り装置は、動きを測定する加速度計またはその他の手段の測定値の変動が所定の値を超えたときに測定された第1の温度センサーの測定値の少なくともいくつかを無視するように構成されている。
【0042】
好ましくは、データ読み取り装置は、動きを測定する加速度計またはその他の手段の測定値が所定の値を超えたときに測定された第1の温度センサーの測定値の少なくともいくつかを無視するように構成されている。
【0043】
本発明の第3の構成により、女性の排卵時期を判定するシステムであって、女性の第1の温度(体温)を測定する第1の温度センサー、1つ以上の第1の温度の測定値を第1の生理データの組として蓄積するデータ記憶手段、第1の温度の測定値の表記をデータ記憶手段に蓄積するように構成された制御論理、および蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信するように構成された送信機を備えたデータ自動記録装置と、データ自動記録装置から蓄積されたデータの少なくともいくつかを受け取るように構成された受信機を備えたデータ読み取り装置と、少なくとも1つの別の生理データの組を受け取るように動作可能な入力手段を有するデータ処理装置と、を備えており、データ処理装置は、データ読み取り装置からの第1の温度のデータと少なくとも1つの別の生理データの組とを組み合わせて、排卵時期を指示するように設計されているシステムが提供される。
【0044】
好ましくは、データ自動記録装置が、
(a)人体または動物の体に埋め込むのに適切なパッケージ、
(b)皮膚に装着するのに適切な粘着パッチ、
(c)衣料品またはその他の着用可能な品、および
(d)保護シェル
の1つに組み込まれている。
【0045】
少なくとも1つの別の生理データの組には、子宮頸管液質(cervical fluid quality)データ、ホルモンレベルデータおよび少なくとも1つの以前の月経の日付(dates of at least one previous menstruation)を示すデータの少なくとも1つが含まれていてもよい。
【0046】
好ましくは、第1の温度データと、相異なる統計的な重みをデータの組の各々に割り当てるように構成された排卵予測アルゴリズムによって設定される少なくとも1つの別の生理データとを組み合わせるように、データ処理装置が動作可能である。統計的な重みは、データの組によって指示される排卵時期と実際の排卵時期との間の以前の相関関係の度合に基づいていてもよい。
【0047】
好ましくは、データ処理装置またはデータ読み取り装置は、データ処理装置の入力手段において追加の生理データの組を提供するようにユーザーを促すよう動作可能である。
【0048】
データ読み取り装置は、好ましくは筐体を備えており、データ処理装置は、データ読み取り装置の筐体に組み込まれていてもよい。好ましくは、データ読み取り装置は、携帯型の装置(hand-held device)である。
【0049】
好ましくは、データ読み取り装置には、データ自動記録装置から受け取られるデータを蓄積するメモリーが含まれている。好ましくは、データ読み取り装置には、データ自動記録装置から受け取られるデータを表示するディスプレイが含まれている。好ましくは、データ処理装置との有線または無線通信によって、データ自動記録装置から受け取られるデータの少なくともいくつかを利用可能とするようにデータ読み取り装置が設計されている。
【0050】
好ましくは、データ自動記録装置はさらに、女性の動きを測定する加速度計またはその他の手段を備えており、制御論理はさらに、データ記憶手段での動き測定の表記を蓄積するように構成されており、データ処理装置は、以下の条件の1つが真であったときに、測定された温度測定の少なくともいくつかを無視するように動作可能である:
(a)動き測定における変動が所定の値を超えた;
(b)動き測定が所定の値を超えた。
【0051】
好ましくは、データ自動記録装置はさらに、女性の動きを測定する加速度計またはその他の手段を備えており、制御論理はさらに、以下の条件の1つが真であるときに、データ記憶手段での第1の温度測定の表記の少なくともいくつかを蓄積しないように構成されている:
(a)以前の動き測定における変動が所定の値を超えている;
(b)少なくとも1つの以前の動き測定が所定の値を超えている。
【0052】
好ましくは、データ処理装置の入力手段で受け取られる少なくとも1つの別の生理データの組の1つが、女性についての動きデータであり、データ処理装置は、以下の条件の1つが真であったときに、測定された第1の温度測定の少なくともいくつかを無視するように動作可能である:
(a)動きデータによって表わされる測定の変動が所定の値を超えた;
(b)動きデータによって表わされる測定が所定の値を超えた。
【0053】
好ましくは、データ自動記録装置がさらに第2の温度センサーを備えており、制御論理がさらに第2の温度測定の表記をデータ記憶手段に蓄積するように構成されている。好ましくは、第2の温度センサーは、女性の周囲の温度を測定するように設けられており、データ読み取り装置は、第2の温度センサーの対応する測定に依存して第1の温度センサーの各測定を処理して、女性の体の中心の温度を推定するように構成されている。
【0054】
好ましくは、データ処理装置は、データ自動記録装置からのデータおよび/または少なくとも1つの別の生理データの組に基づいて、女性が基礎体温に到達したかどうかについての第1の判断を行うように動作可能であり、第1の判断の結果が否定的であるなら、データ処理装置は、少なくとも以下の1つに依存して基礎体温を推定するように構成されている:
(a)温度測定のいずれかにおける変化率;
(b)温度測定のいずれかにおける変化率の変化率;
(c)女性の体温が基礎体温に近づいたときの体温の以前の変動を表すデータ。
【0055】
好ましくは、データ自動記録装置は、それに蓄積されたデータの少なくともいくつかを有線または無線送信によって、データ読み取り装置に送信するように設計されている。
【0056】
本発明の第4の構成により、データ自動記録装置を備えたパッケージであって、データ自動記録装置は、第1の温度を測定する第1の温度センサーと、1つ以上の第1の温度測定を蓄積するデータ記憶手段と、第1の温度測定の表示をデータ記憶手段に蓄積するように構成された制御論理と、蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信するように構成された送信機とを備えており、パッケージはさらに第1および第2の部分を備えており、データ自動記録装置は、それらの間に保持されており、第1の温度センサーは、第1の部分に隣接しており、第1の温度センサーの近くにある、第1の部分の少なくとも1つの領域は、第2の部分よりも高い熱伝導率を有するパッケージが提供される。
【0057】
好ましくは、データ自動記録装置に対向する、第1の部分の面が、粘着層を支持して、パッケージが物か人体または動物の体に貼り付けられ、第1の温度センサーがその物または体に近接するようにする。
【0058】
オプションとして、パッケージにはさらに、物か人体または動物の体の一部に巻きつけられ、使用においてその物か人体または動物の体に対しパッケージを保持し、第1の温度センサーがその物か体に近接するように構成されたバンドまたはストラップが配置されている。
【0059】
好ましくは、第1の部分は、データ自動記録装置の第1の温度センサーを露呈する位置に開口を有する。
【0060】
好ましくは、第1の部分は、データ自動記録装置が挿入されるか取り除かれる開口を有する。
【0061】
オプションとして、パッケージの第1および第2の部分は、使い捨てである。
【0062】
好ましくは、データ自動記録装置がさらに電源を含み、第1の温度センサーがその電源に搭載されている。
【0063】
好ましくは、データ自動記録装置には、さらに第2の温度を測定する第2の温度センサーが含まれている。好ましくは、第2の温度は、パッケージの周囲の温度である。好ましくは、第2の部分は、データ自動記録装置の第2の温度センサーを露呈する位置に開口を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
ここで本発明を、例をあげて説明する。
図1は、本発明によるデータ自動記録装置100の概略図である。図1のデータ自動記録装置において、制御論理112は、1つ以上のセンサー106から信号を抽出し、その結果をデータ記憶手段110に蓄積する。好ましい実施形態において、制御論理には、センサー106、108からのアナログ信号を、データ記憶手段110に蓄積するためのデジタル値に変換するアナログ‐デジタル(A‐D)変換器が含まれている。制御論理112にはさらに、センサーの値を規則的な間隔で周期的に蓄積することを可能とするタイマーが含まれている。検知される温度を検知するか蓄積する制御論理の少なくとも一部は、電源102によって電力が供給されている。
【0065】
トランシーバ116は、データ記憶手段110に蓄積されるデータを送信するように動作可能である。好ましい実施形態において、電源102での流出を最小限にするために、データ送信のために必要ないかなる論理も、その電力を、トランシーバが接続される、アンテナ114と結び付いた電磁場から引き出す。アンテナ114は、好ましくは、ワイヤーのコイルであって、フェライトのような高い比透磁率を有するコアを備えている。データ読み取り装置によって提供されるような適切な発信電磁場とトランシーバが結合するとき、データ送信が可能となる。したがって、データ送信は、電源102からの正味の電力を必要としない。
【0066】
本発明におけるデータ送信は、好ましくは図2において示される原理によって動作する。あるいは、(とりわけ、受動モードRFIDシステムに関係する)当技術分野で周知の受動送信方法のいずれを用いてもよい。
【0067】
トランシーバ116は、送信機と受信機を備えると考えることができる。ここで「送信機」は、なんらかの手段によってデータ送信を達成する要素または一群の要素を意味するものとする。「受信機」は、それが(好ましくはアンテナを介して)結合される電磁場から電力および/またはデータを受け取る要素または一群の要素を意味するものとする。送信機と受信機の双方の一部として識別される回路の要素があってもよい。
【0068】
受動送信システムにおいて、電力は1つの方向に、そしてデータが別の方向に転送されてもよい。図2は、多くの受動モードRFIDシステムで用いられる受動送信原理を例示する回路である。一般的には、無線周波数信号は、読み取り装置コイル205を駆動する発生器208によって読み取り装置204で生成される。応答機202は、読み取り装置コイル206と応答機コイル205との間の電磁的な結合を介して、読み取り装置204から電力を受け取る。回路216で誘発される発信電圧は、ダイオード212によって整流され、端子214間で有用な電圧を提供する。この電圧は、回路を駆動するのに用いてもよい。
【0069】
特に、応答機で受信される電力は、送信機回路を駆動するのに用いてもよい。図2の送信機回路は、閉じるときにキャパシタ207をショートさせるスイッチ210で表わされている。スイッチ210を開閉することによって、LCR回路216の共振周波数が2つの値の間で切り替えられる。これに続いて、コイル206が生成する発振場から回路216が引き出す電力が決定される。コイル205および206が変圧器を構成するとみなすのが最も分かりやすく、回路216の共振周波数を切り替えることでコイル205の負荷が切り替わる。負荷のこの変化は、電流計であってもよい検出回路209によって読み取り装置で検出できる。このように、スイッチ210によって回路216の2つの共振状態間を単に切り替えるだけで、デジタルデータが応答機202から読み取り装置204に送られる。一般的には、回路216の共振周波数の1つのみが、発生器208で生成される周波数であるかそれに近い。これによって、コイル205で負荷の強い変化がもたらされる。
【0070】
好ましくは、電源102は、充電可能である。トランシーバ116は、アンテナ114で発振電磁場から電力を獲得するように動作可能であるので、トランシーバが、充電可能な電源に電力を供給してもよい。さらには、トランシーバは受動的に送信するので、それは、データを読み取り装置に送信するために読み取り装置からの入射電磁場を必要とする。読み取り装置は、データ自動記録装置に電力を供給する電磁場と、データ自動記録装置による電磁場の操作を介して受動的なデータ送信を可能とする別の電磁場とを提供してもよい。したがって、データ自動記録装置には、第2のアンテナとさらにはトランシーバ回路が備えられる。好ましくは、その2つの電磁場は、1つの同じものである。
【0071】
好ましくは、電源102は充電可能な電池である。充電可能な電池は大抵、充電を何度も繰り返すと容量に低下が見られる。電池が毎日充電され、なおも何か月間も蓄電できる容量を有する必要があるアプリケーションにおいて、これは電池の寿命に不都合な効果をもたらす。したがって、最低の蓄電レベルに到達して、必要となったときのみに電池を充電するのが最適である。しかしながら、ここに説明されるデータ自動記録装置は、充電を要求できるものである必要はないが、この場合は、提示されるときに充電することをうまく利用しなければならない。したがって、過度に充電が繰り返されることで電池の性能に引き起こされる劣化を最小限とするために、推定された充電量に基づくプロトコルが用いられるか、および/または(ロードされているおよび/またはロードされていない条件において)電池電圧で指示される電池の残りの充電量が提示される。
【0072】
電源が充電されるべきか否かを選択するのに、セレクタ論理が提供されてもよい。セレクタ論理によって、電源にかかる電圧が所定のレベル未満に低下するとき、電源を充電することが可能となる。セレクタ論理の製造時に所定レベルが蓄積されてもよい。あるいは、最後の充電から少なくとも所定の時間が経過したときに、セレクタ論理によって、電源を充電することが可能となってもよい。セレクタ論理が指令するある条件下で、(トランジスタのような)電流を流す素子をオンとしたりオフとしたりすることによって、充電の選択が有効となってもよい。
【0073】
好ましい実施形態において、トランシーバは、読み取り装置によって生成される発振電磁場から電力を受け取る。本発明の一実施形態によるデータ自動記録システムが、図3に例示されている。読み取り装置307は、ハンドヘルドのものであって、ユーザーが簡単に位置を定めて読み取り装置とデータ自動記録装置301との間に有効な結合をもたらしてもよい。読み取り装置には、スクリーン303が含まれていて、受信されたデータを見ることが可能となったりユーザーへのインターフェースを目に見えるメニューで提供したりしてもよい。読み取り装置は、電池で電力が供給されても、受信データを処理する処理装置309のような第2の装置に物理的に接続されてもよい。データは、読み取り装置からデータ処理装置に無線または有線の通信で送られてよい。あるいは、データ処理装置は、データ読み取り装置の一部を構成してもよい。
【0074】
読み取り装置には、キーパッド305のような1つ以上の入力が含まれていてもよく、それを介してユーザーは、読み取り装置または読み取り装置への入力データと情報交換をしてもよい。データ処理装置には、1つ以上の入力(手段)311が含まれていて、さらなるデータの組のデータ処理装置への入力を可能としたり、データ処理装置/読み取り装置の機能との情報交換を可能としたりしてもよい。図3における点線の境界で示されるように、データ読み取り装置とデータ処理装置は、同じ装置の一部を構成してもよく、またはそれらは別の装置であってもよい。
【0075】
データ自動記録装置は、トランシーバで受け取られ、読み取り装置が提供する電磁場へとコード化される1つ以上の命令を翻訳する(interpret)受信機論理(receiver logic)をさらに備えていてもよい。データは、電磁場の周波数または振幅を切り替えるか、または当技術分野で周知の他の送信技術でデータ自動記録装置に送られてよい。好ましくは、受信機論理もまた、トランシーバが電磁場から引き出した電力が供給される。
【0076】
読み取り装置は、1つ以上の命令をデータ自動記録装置に送ってもよい。これらの命令には、センサー106の抽出間隔を設定する命令や、データ転送を開始する命令のほか、校正定数、IDコード、リセット命令、ファームウェアとして実施される制御論理についての更新などのような構成命令(configuration command)も含まれる。
【0077】
あるいは、校正係数、抽出間隔および自動記録装置IDは、製造時に固定される。
【0078】
一実施形態において、トランシーバで受け取られる電力が一旦所定のレベルを超えると、トランシーバは、蓄積されたデータを送信し始める。あるいは、トランシーバは、読み取り装置から信号が受け取られるとき送信を開始する。好ましくは、読み取り装置は、識別コードを含むデータ自動記録装置に識別子を送信する。データ自動記録装置は、識別コードがデータ自動記録装置に蓄積されるコードと一致すれば、蓄積されるデータの読み取り装置への送信のみを行う。データ自動記録装置は、(a)1つ以上のデータ読み取り装置に対応する1つ以上の識別コードを蓄積するか、(b)データ読み取り装置がデータ自動記録装置の独自のコードを送信する必要がある。識別コードは、データ記憶手段110に蓄積されてもよい。好ましくは、データ自動記録装置は、そのコードを送信せず、したがって(b)の場合には、読み取り装置はコードを前もって知っておくことが必要となる。これによって、データ自動記録装置に蓄積されるデータが、許可されずにまたは望まれていないのに見られてしまうことを防ぐのに役立つ。あるいは、「チャレンジ‐レスポンス(challenge-response)」プロトコルやその他当技術分野で周知の暗号プロトコルを用いて安全性を高めてもよい。
【0079】
データ自動記録装置は、抽出されたセンサー信号以外のデータをデータ記憶手段110に蓄積する。これには、前述の識別コードが1つ以上および/または、個人識別情報もしくは医療情報のようなユーザーに関係するデータが含まれる。これは、ユーザーが患者であって、データ自動記録装置が患者の生理パラメータを自動記録するのに用いられている、すなわち医療情報が一般の患者識別情報または以前の医療試験の結果または観察ノートである場合に、とりわけ有用である。この、他のデータは、読み取り装置に送られてもよい。
【0080】
読み取り装置は、異なるデータタイプを受け取るために、異なる識別子を提供するように求められてもよい。例えば、第1の識別子が、データ自動記録装置を駆動して蓄積された生理パラメータデータを送信するように要求され、かつ第2の識別子が、データ自動記録装置を駆動してユーザー/患者情報を送信するように要求される。
【0081】
データ記憶手段110は、好ましくは、電池式のRAM、EEPROM,フラッシュRAMのような不揮発性メモリーであり、より好ましくは、FRAMまたはMRAMである。電源102は、キャパシタか電池である。
【0082】
一実施形態において、センサーの少なくとも1つは温度センサーである。好ましくは、温度センサーはサーミスタである。あるいは温度センサーは、「絶対温度に比例する」電圧源のような、シリコンをベースとする装置であってもよい。感度を高めるために、ブリッジ、フィルターおよび増幅器のような信号処理素子によって信号が増幅されてもよい。
【0083】
データ自動記録装置のサイズおよび電力要件を最小のものとするために、可能であればデータ自動記録回路は、単一のマイクロチップとして作製される。
【0084】
1つ以上の生理パラメータを測定するデータ自動記録装置の場合は、装置は、(皮下の)埋め込み装置または着用可能なパッチとして提供される。埋め込み装置としてデータ自動記録装置の筐体は、好ましくは不活性で、埋め込まれた人の免疫系による拒絶反応を防止するのに役立つように被覆される。
【0085】
データ自動記録装置によって測定される生理パラメータの例は、温度、圧力、pH、光強度、振動、音圧、向きまたは動きである。データ自動記録装置が測定する生理パラメータの例は、体温、血液のpH、血糖、脈拍数、血圧である。これらのパラメータは、当業界で知られているいかなる方法によって測定されてもよい。
【0086】
本発明によるデータ自動記録装置は、体温を測定して基礎体温の自動的な測定を可能とするように構成されてもよい。これによって、何日間にもわたる基礎(最低安静)体温の上昇を探すことによって、ある排卵期から次の排卵期までで排卵時期を推定することが可能となる。これは、活動レベル、環境温度その他が変化する結果、一日を通して急激に変化し得るユーザーの皮膚の温度における短期間の変化とは実質的に独立している。
【0087】
体温は一般的には、ゆっくりと変化するので、データ自動記録処理にはいくつかの改良を施すことができる。最初の改良は、データ自動記録装置でのセンサーデータを圧縮することである。以前測定された温度と今測定されている温度との間の差のデータの流れは、「エントロピーの解読」のための良い候補であるか、またはより低い頻度で起こる値と比べて頻繁に起こる値についてのメモリー要件を最小限化するその他の手段である。これによって、より多くの測定値をデータ自動記録装置に蓄積することが可能となる。
【0088】
適切な圧縮機構、例えばフィボナッチ符号化を用いることによって、個々のデータ点を分けることが可能である。データは、循環するバッファ(circular buffer)から簡単に読み取ることができ、エラーはメモリーにおける最後の2つの測定値のみに導入され、それは簡単に捨てることができる。
【0089】
一定の間隔で記録されていないデータは、いつデータ(またはデータ群)が測定されたかの記録(例えばタイムスタンプ)を付けることが必要である。例えば、メモリーが一杯になると、古い値が新しい値で置き換えられ、タイムスタンプによって、いつ各センサー値が測定されたのかが確認される。
【0090】
第2の改善は、最後に測定された値から所定量(例えば、0.01度)を超えて温度が変化するときのみにタイムスタンプを記録するというものである。所定の頻度で測定を行うか、温度の変化についてセンサーを本質的に連続して監視することができる。温度値または温度差はタイムスタンプと一緒に記録してもしなくてもよい。時間差を記録することによって前述のようにデータを圧縮することが可能となる。
【0091】
しばしば起こるセンサー値における急激で小さな変動は、排卵時期を判定する温度測定などにおいては、重要ではない。そのような場合、非常に簡単なA/Dコンバーターまたは抽出保持回路を用いて、温度値を比較し、最後の値と現在の値との差を測定することができる。メインのA/Dコンバーターは、差が所定の量より大きくなって、タイムスタンプおよび/または温度値がデータ記録装置に蓄積されるようになるまでスリープ状態に保たれる。この構成はさらに、スリープ時間を最小として、メインのA/Dコンバーターが、大きく急激な温度変動の期間に頻繁にスリープから解除され過ぎるのを回避するように改良される。これらの構成は、データ自動記録装置でメモリーと電力の双方を節約するのに役立つ。
【0092】
第3の改善は、時間を経て得られる値を平均化することである。これは、センサー値における急激な変動についての情報を捨て、本質的に高周波「ノイズ」を取り除く効果がある。これは、スライドする窓を用いて達成することができ、例えば循環するバッファは、14ビットの解像度で測定される最後の測定値を16保持することができ、そして測定値の16ビット平均は、メモリーに蓄積される。これらの14ビット測定値の合計は、18ビットの数字であるが、A/D信号の最も小さなビットにおけるノイズのガウス分布を想定すると、16の平方根16=4の信号:ノイズの向上が見られ、18ビットの数の上位16ビットのみを用いることで14ビットの測定値から16ビットの値がもたらされる。他のビット長およびバッファのサイズを用いることもできる。
【0093】
さらなる改善は、平均化する計算においてバッファの最大および最小測定値を含めないことである。これは、範囲外の測定値の影響を最小限とするのに役立つ。いくつかの測定値を選択的に除外することもでき、例えば16のうち中間の12の測定値のみとして範囲外の測定値の短い期間の影響をさらに低減する。
【0094】
生理中に起こるある生理上の徴候を監視することによって、自然な家族計画を進めることができる。最も普通に観察される徴候は、生理出血、子宮頸粘液の変化および体温の変化である。
【0095】
カレンダー利用のリズム式避妊法が、受精の可能性を認識する方法として最も古くから最も広く使われている。カレンダーに記録することで、精子によって卵が受精する状態にある期間とその始まりを女性が推定することが可能となる。受精期間の計算は、1)次の生理が始まる前の14日目(プラスマイナス2日)に排卵が起こり、2)精子は2日から3日生き続け、3)卵子または卵は24時間生き続けるという3つの仮定からなされる。
【0096】
基礎体温(BBT)法は、朝最初に、好ましくは毎朝同じ時間に、口内で検温し、それらの温度をグラフにつけることで広く行われている。前の7日のいずれよりも体温が3日続けて高くなった後、排卵が起こっていると一般には示されている。この方法を用いると、排卵を予想することはできないが、一度それが起こると識別することができる。この方法は、女性が妊娠しない時期がいつ始まったかを識別するのに最も有用である。
【0097】
子宮頸粘液の変化は、生理が不規則であっても、排卵の起こるたいていの女性の間ではっきりとしたパターンがある。子宮頸粘液を評価するために、女性は彼女の膣口から粘液を得る。粘液をチェックすることで、女性はそれが湿っていると感じるか乾いていると感じるかを判定する必要がある。粘着性、弾性および湿り具合といった粘液の質によって、彼女が周期においてどこにいるのかが示唆される。通常、最後の「滑りやすく湿った」粘液の日の前またはその日の間に、卵の放出が起こる。粘液が、熱の通っていない卵白の特性を有するときが、妊娠する時期である。膣潤滑剤や、膣洗浄を用いるとこれらの特性を認識するのがより困難となる。
【0098】
種々のグラフ付け方法は、単独でまたは組み合わせて用いられる。普通の技法は、女性が粘液の変化と基礎体温を記録することである。女性によってはまた、生理痛を認め、それを記録するが、それには、重苦しさ、腹部の腫れ、直腸の痛みまたは不快感、および、下腹部の痛みまたは不快感が含まれる。痛みは、排卵の直前、排卵期間中または排卵後に起こり得る。
【0099】
ここに記述されているデータ記録装置は、自動的な体温の監視を行うことができ、一方、女性は、粘液の変化のような主観的なパラメータの記録を自分で行う必要がある。これらの追加の主観的なパラメータを(前述のような)読み取り装置または温度データが送られるデータ処理装置に入力し、利用可能な時のみ(それが利用可能であることが必要ではないが)それを用いることによって、それを温度データや時間/日付データと選択的に組み合わせて、将来の排卵日および/または、主観的なパラメータの変化が期待される将来の日付を推定して、最も必要であるように思われるときに女性がそれらを監視することが奨励される。
【0100】
これらの追加の主観的なパラメータは、体温は排卵後に上昇する一方、他の主観的なパラメータは排卵前に変化するという点において重要である。体温のみを用いて妊娠する期間を特定しようとすると、不確実な期間がより広くなるが、それは、サイクルにおける排卵後の部分がはっきりと定義されていて(一般的には生理前およそ10日〜12日)、サイクルによって長さがあまり違わないからである。したがって、体温を記録することでこの期間を識別することができる。しかしながら、サイクルの排卵前の部分は、サイクルによって長さが異なる。生理の初日についてのデータを加えることで、2つ目の全く客観的なパラメータが加えられ、排卵のタイミングの推定が改善できる。
【0101】
たとえば、子宮頸粘液の質についての情報を加えることによって、妊娠できる期間の始まりをより正確に測定できる。しかしながら、子宮頸粘液の質は、女性によっては、とりわけ前日に性交した後では、確認するのが非常に困難である。さらなる生理上のデータが提供されさえすれば、それを用いるのが最も有益であり、体温の測定値および、さらなるデータが提供されないときに妊娠する期間の始まりを計算するタイミングに、システムが依存する。同様に、唾液の質、胸の柔らかさ、生理痛およびホルモンの測定値のようなその他のパラメータが観察されるならば、それらを全て加えることもできる。
【0102】
体温を監視するデータ自動記録装置は、女性に注射されるか小さな手術をして挿入される埋め込み装置の形をとってよい。データ自動記録装置は、好ましくは、データ自動記録装置によって記録される温度が正確に体の中心の温度を反映するように、腹部または上腕の内側に挿入される。あるいはデータ自動記録装置をパッチ、着用可能なバンドまたは(下着のような)衣類に組み込むこともできる。これは以下に記述されるように実施される。
【0103】
図6Aは、温度データ記録装置を用いて基礎体温を推定する利点を例示する。図6Aのプロットは、本発明の実施形態による試作のデータ自動記録装置によって、ユーザーが寝ている間に夜通し周期的に自動記録したデータから推定される日常の基礎体温についてのものである。動きが盛んな期間に取られた温度測定値は無視され、データ自動記録装置からの残りの温度データが処理されて範囲外の温度測定値が除外された。そのとき残っている温度測定値の平均が取られて、測定された温度における短期の変動が除去された。
【0104】
図6Bのプロットは、図6Aのプロットと同じ日に通常の技法を用いて推定された基礎体温についてのものであり、耳体温計(ブラウン(Braun, 会社名)・サーモスコープ(ThermoScope, 商品名))で起床時午前6時30分にユーザーが2つの測定を行った。試作のデータ自動記録装置は、(プロットにおいて矢印で示される)排卵日をはっきりと検出しており、一方通常のアプローチを用いて検出するのは非常に困難である。データ自動記録装置を用いることで、毎朝早くユーザーが起床して体温を測りそれを記録簿に書きとめる必要もなくなる。
【0105】
図7は、図6Aに示されるデータを収集するのに用いられた試作のデータ自動記録装置の回路図を示す。
【0106】
データ自動記録装置からのデータの規則的な読み取りについて設計(し、排卵を予想)することで、読み取り装置が生成する電磁場から得られる電力によって電源が規則的に充電される。したがって、装置のための電源は、比較的小さい。装置のサイズが小さくなることと、データ送信の間無線で充電が行われることとがこのように組み合わさって、実際に埋め込み装置としての装置を実施することが可能となり、あるいは、装置を、通常の絆創膏やバンドエイドと同じように皮膚に固着できる小さな粘着パッチに別個に組み込むことが可能となる。
【0107】
一実施形態において、データ自動記録装置には、制御論理、タイミング、測定、電力制御、温度検知および無線通信を含む集積回路が含まれており、それを、電力を蓄積するリチウムポリマー電池およびアンテナに結合する。データ自動記録装置は、体温を測定するので、装置がさらされる温度範囲は非常に狭く、そうしてサンプリング周波数のための超低電力アナログタイミングが、R−C時定数を用いて受け入れ可能な精度で可能である。電力供給の経時変化もまた周期的に測定することができ、そうして測定の頻度を自動記録する間に調節することができる。一般的には、データ自動記録装置は、所定の頻度(たとえば10分ごと)で温度を記録し、そしてこれをメモリーに記録する。
【0108】
排卵時期を判定するシステムは、ここに記述されるいずれかの形をしていて、温度を測定するように構成されるデータ自動記録装置と、ここに記述されているいずれかの形をしているデータ読み取り装置と、データ処理装置とを備えてよい。あるいは、データ自動記録装置は、受動送信が可能であって、データ読み取り装置と両立して使うことのできる周知の温度データ自動記録装置のいずれであってもよい。データ自動記録装置は、蓄積されたデータを受動送信によってデータ読み取り装置に送信する。データ読み取り装置とデータ処理装置は、何らかの周知の方法によって通信してもよい。
【0109】
読み取り装置は、ディスプレイと、ユーザー入力性能(user input capability)とを有していて、ユーザーが、データ自動記録装置から受け取られるデータの表やグラフを見たり、および/または、ユーザーが、図形メニューのシステムで情報交換したりすることが可能であってもよい。読み取り装置は、データ処理装置と接続されていてもよく、またはデータ処理装置は、読み取り装置の一部を構成していてもよい。システムには、データ自動記録装置から受け取られるデータを処理して、女性ユーザーの排卵時期を指示することが可能であるという面があることが重要であるにすぎない。データ処理装置は、単純に、データ処理を行うように設計されているソフトウェアを支援するパソコンであってよい。
【0110】
データ読み取り装置かデータ処理装置かには、女性ユーザーについて少なくとも1つの別の生理データを入力する入力手段が含まれている。データ処理装置は、体温データを(子宮頸粘液の質、血液または尿からのホルモン試験の結果その他のような)別の生理データと組み合わせて、前述のようなまたは周知の排卵検出の原理のいずれかに従って排卵時期を指示することができる。
【0111】
好ましくは、読み取り装置は、適度に近いところで作動させるとき埋め込み装置と双方向通信を行う、持ち運び可能な無線読み取り装置からなる。ユーザーインターフェースには、生理日や子宮頸液質のようなデータを入力する多数のボタン、および、測定値についてプロンプトで指示を求めたり、埋め込み装置や読み取り装置の電池チャージのようなパラメータを指示したりする簡単なLCDディスプレイが含まれている。同様に、もしデータ処理装置がそのような入力を受け取るように設計されているならば、ユーザーはさらなる生理データを、直接データ処理装置に入力してもよく、データ処理装置がパソコンであるならば、これはユーザーにとって都合がよい。読み取り装置自体は、(読み取り装置および/またはデータ処理装置に蓄積される)以前に記録されたデータに基づいて排卵時期を推定する能力があってもよく、次の排卵までの期待される日数をユーザーに表示する能力があるのも適切である。プライバシーを理由として、装置は、キーを操作してそれがデータを与えられている埋め込み装置と最近接触していなければ、妊娠の可能性についての情報を、好ましくは表示しない。
【0112】
読み取り装置は、USBポート(または有線もしくは無線のその他適切な接続形態)を含んでいて、パソコンに接続が可能であってもよい。これによって、(a)読み取り装置の内部電池の充電および/または(b)データの蓄積のため、データのさらなる処理のため、データの表示のためまたは単純にコンピュータがシステムにおいて温度データの処理を行うために、コンピュータからのまたはコンピュータへのデータ送信が可能になる。読み取り装置またはデータ処理装置が、期待される排卵のモデルに適合するデータを見つけられないか、さらなるユーザーとの情報交換が必要であるとき、ユーザーにそれをパソコンに接続するように促すことができる。
【0113】
装置は、コンピュータにはUSB「ドライブ」蓄積装置として現われ、装置のためのソフトウェアとマニュアルがドライブで利用でき、そうすると、別のソフトウェア(例えばCD)を装置と共に持ち運ぶことが必要でなくなる。ソフトウェアによってさらに拡張されたユーザーインターフェースが提供され、それはソフトウェアとファームウェアの更新を行うためにインターネットに接続するように動作可能であってもよい。オプションとして、ユーザーのデータは、第三者、例えば開業医が分析するためにインターネットでアップロードすることができる。
【0114】
コンピュータを読み取り装置とのインターフェースの面からみると、システムを、子宮頸液の質のような、より主観的な生理パラメータの測定におけるユーザーのためのトレーニングシステムとして活用することが可能となるが、それは、トレーニングソフトウェアが体温履歴やその他のユーザーのデータを組み込むことができるからである。これによって、身体について第三者から教えてもらうこと(これはしばしば出過ぎたことであったり困ったことであったりすると考えられる)にユーザーが頼ることが少なくなる。
【0115】
ユーザーがこれらの追加のパラメータを測定することにより精通するにつれ、排卵予想についての統計的なモデルが変更されて、これらの観察により重点が置かれることになる。これによって、避妊のために性交を抑制しなければならない排卵期ごろの「安全期間」を漸進的に減らしていくことが可能となる。
【0116】
ここに記述されるデータ自動記録装置は、図4および図5に示されるような着用可能な粘着パッチ407、503に組み込まれる人間または動物の体温(人体または動物の体の温度)データ自動記録装置である。粘着剤411は、周知の皮膚粘着剤から選択され、好ましくは、ユーザーの皮膚401との有害な反応の危険を最小限とするようにアレルギー反応が低い。パッチは、好ましくはデータ自動記録装置403、405を袋の中に入れて保持し、それによってデータ自動記録装置を取り除いて、例えば粘着剤が粘性を失ったりユーザーが新しいパッチを望んだりするときに便利なように、新しいパッチに据え付けることが可能となる。図5は、データ自動記録装置501を取り除いたり据え付けたりする開口507を示す。あるいは、データ記録装置は、袋の中に密閉できるものであり、それはパッチとデータ自動記録装置が使い捨てであるならば都合がよい。
【0117】
好ましい実施形態において、パッチは、おおよそ円形であって、直径が約2cmで肌色である。体温センサーを温度の環境的な変化から熱的に絶縁するために、パッチは、データ自動記録装置の、データ自動記録装置が体に対して保持される側と反対の部分を覆って広がる(柔らかい発泡体の裏張りのような)断熱領域405を有する。パッチには、開口509があって、それを通してデータ自動記録装置の伝熱鋲409、505が突出し、パッチが固定される体と物理的に接触する。図5において、これは、データ自動記録装置がパッチに挿入されるための開口507の一部を形成する。
【0118】
データ自動記録装置が伝熱鋲を有していない場合には、パッチ(および可能であるならばデータ自動記録装置のシェル)が、体温センサーと、パッチ/シェルの上の他の部分よりも体自体との関係においてより伝熱性が高いことが一般には望ましい。これは、パッチ/シェルにおいて用いられる材料を選択することで、および/またはパッチ/シェルを、温度センサーの上の領域において材料がより薄くなるように作製することによって達成される。
【0119】
前述のパッチの構成は、殺菌した使い捨ての装置として都合よく供給される。
【0120】
あるいは、データ自動記録装置は、(腕周りに着用されるような)バンドまたは衣料品に組み込まれるか、ストラップやバンドを用いてデータ自動記録装置を適切な位置に保持する。好ましくは、バンドは上腕の周りに着用されて、温度センサーが腕の内側の脇の下の近くに位置する。体温の小さな変化を正確に測定することができるためには、ユーザーがバンドを装着し直すごとにユーザーの体の同じ位置(測定点)にデータ自動記録装置が再度位置付けられることがとりわけ重要である。したがって、バンド内に保持されるデータ自動記録装置を正しく位置付けるようにユーザーの助けとなる印がバンドに付けられていてもよい。長期間着用しても快適で良好な断熱材であるネオプレンがバンドの材料としてとりわけ適切である。
【0121】
バンドにおける輪の中に、いくつかの温度センサーが保持されてもよい。こうすれば、バンドが回転してユーザーが上手く位置づけできなくとも、その影響を緩和するのに役立つ。一般的には、バンドが着用される(例えば)腕の周りの温度には違いがあり、その違いを既知とできる。この違いを測定して、データ自動記録装置に、より好ましくは温度測定値が送られて処理されるデータ処理装置に、特定のユーザーのプロフィールとして蓄積することができる。そのプロフィールによって、各センサーからの温度測定値が、後で腕の周りの位置と関係付けられてどのセンサーが「測定点」に最も近いかが判定される。バンドが交換されるごとに測定点の温度をより正確に測定するために、既知の温度プロフィールを用いて温度測定値間を補完することがさらに望ましい。これらの計算は、データ処理装置で行うことができる。
【0122】
図3、図4および図5に例示される実施形態において、温度センサーとアンテナがデータ自動記録装置自体の本体に組み込まれる。この実施形態において、温度センサーの上にデータ自動記録装置のシェルの伝熱部があるか、図示されているような、温度センサーを体に結合する伝熱鋲がある。しかしながら、温度センサーは、データ自動記録装置の本体の外側にあってデータ自動記録装置とワイヤーで接続されている。同様に、アンテナも、おそらくはデータおよび電力の転送を向上するように、データ自動記録装置の本体の外にある。温度センサーおよび/またはアンテナは、パッチ/バンドと一体化されていて、ワイヤーでデータ自動記録装置に接続されている。
【0123】
好ましくは、データ自動記録装置自体が密閉したシェルの中に包みこまれていて、データ自動装置の構成要素を衝撃や液体や腐食から保護する。異なるユーザーが装置を再使用できるように、自動記録装置がオートクレーブで殺菌できることもまた有利である。好ましくは、シェルは、シリコーンまたはその他の不活性材料の外側層を有する。温度センサーの上のシリコーン層が薄く(おそらくは0.1mm)またシェルのその他の領域上ではシリコーン層が厚い(おそらくは0.5mm)というように、シリコーンはシェルの上で厚みに変化があってもよい。シリコーンの厚い層は、センサーを断熱するのに役立つ。温度センサーの上でシリコーンに金属粒子が混入されて、その領域でのシリコーンの伝熱性が高められていてもよい。
【0124】
シリコーンやその他の保護材料は、好ましくは、射出成型可能であり、インサート成型可能であり、防水性があり、および/または生体適合性がある。
【0125】
前述のように、データ自動記録装置は、データ自動記録装置のシェル/シリコーン中に幾分突出するかそれを貫通する高伝熱材料(例えば金属)の鋲を有していて、データ自動記録装置の温度センサーと、それが適用される体との間の熱結合が向上するものであってもよい。
【0126】
体の中心の温度を推定することが求められるが、体の外部の点で測定が行われる場合は、皮膚温度の簡単な測定を改良することができる。皮膚温度が伝熱パッチの下で測定され、かつ絶縁体の外面の温度も測定される(すなわち2つの測定値を得る)なら、皮膚温度と体の中心の温度との間の差を推定することが可能である。最も簡単にこれを実施するには、2つのセンサーの温度差に一定の係数を適用し、すなわち Tcore = Tskin + k (Tskin - Touter) とする。より複雑ではあるが正確な方法は、周囲の温度が皮膚温度よりも高い場合と低い場合とを考慮し、また補正を非線形関数とすることである。好ましくは、そのような補正は、結果として得られる体の中心の温度の推定値をデータ自動記録装置に蓄積しさえすればよいように、データ自動記録装置で適用される。あるいは、双方の温度データを蓄積して、温度データが送られるデータ処理装置で補正を適用してもよい。
【0127】
様々な外部温度状況のもとで、(いずれの従来技法で測定されても)体の中心の温度に対してそのようなパッチ装置を校正すること(calibrating)によって、より正確な補正システムが案出される。あるいは、データからおよそ一定の体の中心の温度を得るために必要な補正機能を決定するという目的で、以下の方法のいずれかによって校正(calibration)が行われる。
1.パッチを横切る既知の温度勾配を適用し、温度計2つの反応を測定する。
2.ユーザーがパッチを着用する間の温度範囲に、外部温度センサーを露呈する。適用される温度は、体温が温度変化に反応できるよりも速く変化することが重要である。
3.測定される皮膚の温度に比べて外部温度の自然で急激な変化について、使用の間の温度測定値を分析する。この方法は、好ましくは、データ自動記録装置で行われ、環境の変化に応答して補正機能を継続的に調節するのに用いられる。
【0128】
一実施形態において、データ読み取り装置または(読み取り装置が接続される)データ処理装置で校正の計算が以下のように行われる。
1.データ読み取り装置は、データ自動記録装置に命令を送り、それに校正モードに入るように指示する。
2.校正処理が開始され、データ自動記録装置は、温度センサーからの温度データをリアルタイムで送信する。
3.データ読み取り装置、またはデータ読み取り装置が接続されるデータ処理装置が、補正関数を計算する。
4.データ読み取り装置が、皮膚および外部温度センサーの値から体の中心の温度を外挿して推定するのに用いられるデータ自動記録装置に校正関数のパラメータを送信する。
【0129】
校正係数は、データ自動記録装置に蓄積される(校正の計算が読み取り装置/データ処理装置で行われるならば、おそらくは、データ読み取り装置から送信された後)。データ自動記録装置シェル、および/または、パッチ/バンドの、熱特性もしくはその熱特性を表わす派生的な数字が、測定されたデータを処理するのに用いられるデータ自動記録装置またはデータ読み取り装置/処理装置に蓄積される。熱特性は、校正処理中に測定されるか、データ自動記録装置シェルおよび/またはパッチ/バンドが既知の特性を有する材料を用いているならば、利用が可能である。これらの特性を知ることで、例えば、データ処理装置が、体の中心の温度を外挿して推定するのに用いることができる、データ自動記録装置およびその封入物を横切る論理上の温度勾配を、計算することができるようになる。
【0130】
その他のセンサーの型については、関連する物理特性が代わりに蓄積される。例えば、データ自動記録装置が組み込まれる封入物の音または光送信特性が蓄積される。前述の校正原理は、他の型のセンサーによる他の物理パラメータの校正測定値に等しく適用される。
【0131】
皮膚温度センサーおよび周囲温度センサー(またはデータ自動記録装置自体の外部にある2つの温度センサーのための2つのセンサー入力)は、前述のようにパッチまたはバンドに組み込まれるが、外部温度センサーの上に開口または伝熱率を高める領域が加えられていて、その温度センサーを外部環境に熱的により良く結合している。
【0132】
局部熱容量および伝熱性のような異なる温度パラメータを備える位置に配置される3つ以上の温度センサーを用いることによって、さらなる改良が行われる。例えば、装置の体側に1つのセンサーがあって、体への熱抵抗が低く、装置の外側に1つのセンサーがあって、外部環境への熱抵抗が低く、かつ装置の中央に1つのセンサーがあって、いずれかの点への熱抵抗が比較的高くかつ局部熱量が比較的高いならば、適切な校正機構を用いて体の中心の温度をより正確に推定することができる。校正機構はプリセットでき、または経験的なもしくは適応性のあるアルゴリズムに基づくものとすることができる。
【0133】
前述のデータ自動記録装置の構成は、人間または動物の皮膚の温度/体温を測定するように設計されるデータ自動記録装置に限定されるものではなく、植物相、動物相、機械、岩等いかなる体の温度または他の物理パラメータを測定するのにも広く適用できる。
【0134】
女性の排卵時期を判定するシステムのためのデータ自動記録装置において、データ自動記録装置からの温度データが、女性の活動状態を指示するデータと組み合わされるのが有利である。(この明細書において用いられる語「女性(female)」は、動物の雌性(雌)および人間の女性の双方を意味する。)とりわけ、外部に着用するデータ自動記録パッチまたはバンドでは(それはまた埋め込まれたデータ自動記録装置での問題でもあるが)、温度データを女性ユーザーの活動と関連させることができなければ、「基礎体温」の低下を指示する体温の低下を特定するのは困難である。
【0135】
ユーザーが起きていて動き回っているときは、データ自動記録装置の周りで皮膚を覆う空気流が皮膚の温度を下げ得る。反対に、ユーザーが寝ているとき(体の中心および皮膚の温度が安定するので、温度測定値を得るにはしばしばこれが最適の時間であるが)は、データ自動記録装置は十分に断熱される傾向にあって、皮膚はより暖かい温度である。そしてユーザーが運動しているか熱があるときは皮膚および体の中心の温度が双方とも上昇し得る。安静時にユーザーの体温を測定するのが最も好ましいが、これは、基礎体温が変化することに関係しない温度状況の変化による誤った測定値を避けるのに役立つからである。
【0136】
データ自動記録装置またはその他の所で動きを測定し、データ処理装置で、このデータを、測定した温度データと関係させてユーザーの基礎体温をより良く測定するのが有益である。例えば、運動の度合いが30分を超えて低くあり続ける間に測定される最低の温度から基礎体温が測定される。動きデータは、例えば、データ自動記録装置に加速度計を備えることによって、データ自動記録装置自体で捉えることができる。この場合、加速/振動データを記録するか、当業界で周知の重力の知識を用いてデータ自動記録装置の「傾き」を測定することができる。ユーザーが動くと傾きが変化し、そうして動きが推定できる。あるいは、データ処理装置に結合される動き検出ビデオカメラ、(ユーザーが動いている/運動しているときを間接的に指示する)脈拍センサーおよびベッド上での動き(例えばユーザーが寝返る)を検出するベッド/マットレス中のセンサーなどの、動きを検出する他の手段を用いることもできる。
【0137】
好ましくは、ユーザーの動きは、データ自動記録装置自体で測定される。動く度合が高い期間は、データ自動記録装置をいかなる温度データも記録しないように設定することができる。したがって、動きデータ自体もデータ自動記録装置で記録する必要はなく、それは、いつ測定し温度を記録すべきか、またいつそうすべきでないかを判断するのに用いる。これによって、データ自動記録装置のメモリーを効率的に用いることができる。
【0138】
あるいは、動きと温度の双方ともデータ自動記録装置で記録して、それに続いて、データ処理装置が、これらのデータを組み合わせて、温度データのどの部分がユーザーの真の体の中心の温度に密接に関係していそうであり、データのどの部分が信頼できなさそうであるかを判定する。データ処理装置でこれを行うことによって、より洗練されたアプローチを取ることができる。例えば、より複雑なアルゴリズムを適用して、良質の温度測定値が得られていそうである、動きの度合が低い期間が比較的長く続いた時を判定するのに、(ユーザーが睡眠中に寝返るといったような)動きの短い期間を見過ごすことが可能となる。動きの度合が低い期間が比較的長く続く間に得られたこれらの温度測定値は、好ましくは基礎体温(またはそれに幾分類似するもの)を測定するのに用いられ、残りのデータは捨てられる。
【0139】
データ自動記録装置からの温度データがユーザーについての(データ自動記録装置または外部測定値からの)動き情報と組み合わされてデータ処理装置で処理される好ましい方法がここに記述される。
1.少なくとも所定の長さの期間(例えば30分)、ユーザーの動きの度合が低い期間を識別する。
2.動きの度合が低い期間に時間的に対応する温度測定値を識別する。
3.これらの測定値の平均を計算して安静時の平均体温を得る。
【0140】
好ましくは、続けざまにデータがあって、ユーザーの日常の基礎体温を推定できる日中(または夜)のデータについてこの処理を行う。温度データは、ある時間(例えば、午後11時から午前6時までの間)に取られた温度データのみを処理することによって、ユーザーが寝ているか安静時にあるときに得られたこれらの測定値に限定してもよい。あるいは、ユーザーは、単純に寝ている時に(パッチ、アームバンドなどのような)データ自動記録装置を着用することもできる。
【0141】
ユーザーが寝ている間に取られる温度データから、基礎体温を推定して、信頼できる値を得られることが見出された。しかしながら、ユーザーは、短時間しか寝ることができないときがあったり、一部の睡眠時間のために温度データの質が低くなったりすることもある。これらの場合、ユーザーが寝ている間にゆっくりと低下する体温を外挿して、ユーザーが十分長時間寝ることができたとする(または十分質の良い体温データがあったとする)ときに到達していたであろう、最低の体温を推定することによって、ユーザーの基礎体温を推定することが可能である。この最低体温は、体温‐時間曲線の傾きから周知の技法を用いて推定でき、例えば曲線の傾きの変化率を用いて、いつ体温が最低になるのかを予想できる。不完全な体温データを、以前の睡眠時に取られた体温−時間曲線と比較することによってより良く推定でき、例えば、ユーザーの体温が最低値に到達するのに概してどれだけかかるのかを知ることで、所定の最初の体温および体温‐時間曲線の傾きについて、いつそのように値が最低となるのかを予想できる。
【0142】
本発明によるデータ自動記録装置には、任意の数の入力がされ、その各々が(温度センサー、加速度計のような)いかなる種類のセンサーからの入力であってもよいということが前述から明らかである。データ読み取り装置でポーリングして、データ自動記録装置は、センサーのデータを一組以上送信する。データ自動記録装置は、多数の方法のうちのいずれかで読み取り装置にデータを送信し、その方法には、読み取り装置が要求するこれらのデータの組のみを送信すること、所定の順番でデータの組を送信することおよび、得られた順に(または反対の順に)測定値を送信することが含まれている。
【0143】
データ自動記録装置は、プログラム可能なデータ記録間隔を有していて、それは、パッチが最初に患者に適用されるときに(例えば、データ読み取り装置からデータ自動記録装置への命令によって)設定されてもよい。そしてデータ自動記録装置は、止まるように指示されるまで(または電池が切れるまで)、特定の間隔でデータを記録する。いくつかの実施形態においては、データ自動記録装置は、各測定値とともにタイムスタンプを蓄積するか、データ自動記録装置が記録を開始(再開)するごとにタイムスタンプを蓄積する。
【0144】
女性の排卵時期を判定するシステムで用いられるデータ自動記録装置との関係で、上に記述されたデータ自動記録装置の全ての実施形態は、アプリケーションやセンサーの型が任意の数であるデータ自動記録装置に広く適用可能である。
【0145】
データ自動記録装置に蓄積される温度データは、それを付着して時間が経った体の熱履歴を表す。女性(人間または動物)の排卵時期を判定するもののように、アプリケーションによっては、一日を通してあらゆる時点での体温を測定することが必要なわけではない。この場合、データ自動記録装置を、上腕の周りに装着されるバンドに組み込むのがユーザーにとって便利であるが、それは、シャワーを浴びたりスポーツをしたりするために、取り外される。これらの場合、いくつか例を挙げると、データ自動記録装置は、(例えば)温度が(センサーがもはや皮膚と接触していないので)あるレベルより下がったり、データ自動記録装置/アームバンドのボタンを押したり、データ読み取り装置からの命令を受けたりすると、記録するのを止めることができる。
【0146】
医療アプリケーションにおいては、患者の体温の、完全なかつ途切れない測定値を得ることが重要であり、(可能ならば使い捨ての)パッチ構成が有用である。多数の病状、例えばある種の感染、低体温症または発熱を診察するのに、(温度の正確さおよび測定の頻度の双方において)分解度の高い温度データが用いられる。患者が着用するデータ自動記録装置に蓄積される完全な体温履歴にアクセスできることで、医者がより迅速に正確な診断を下すのに役立つ。
【0147】
このように、出願人は、ここに記述される個々の構成要件を分離して、およびそのような構成要件を2つ以上組み合わせて開示しており、そのような構成要件や組み合わせを、当業者の通常の知識に照らせば、本明細書の全体に基づいて実施することができるようにしているが、そのような構成要件や構成要件の組み合わせによって、ここに開示される問題が解決されるかどうかとの関わりはなく、また特許請求の範囲を制限するものでもない。出願人は、本発明の構成が、そのような個々の構成要件または構成要件の組み合わせからなることを示すものである。先の記述に照らして、当業者であれば、発明の範囲内で種々の変更を行えることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】データ自動記録装置の概略図である。
【図2】受動データ送信の原理を例示する回路である。
【図3】本発明の実施形態による、データ自動記録装置と、データ読み取り装置とデータ処理装置の間の関係を例示する。
【図4】粘着パッチに組み込まれるデータ自動記録装置を描写する。
【図5】データ自動記録装置と使い捨ての粘着パッチを描写する。
【図6A】本発明の実施形態による試作のデータ自動記録装置によって推定されるBBTのプロットを示す。
【図6B】ブラウン(Braun, 会社名)・サーモスキャン(ThermoScan, 商品名)で6:30amに測定された2つの体温の平均のプロットを示す。
【図7】本発明の実施形態による試作のデータ自動記録装置の回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の物理パラメータをその場測定するデータ自動記録装置であって、
電源と、
前記1つ以上の物理パラメータを測定する1つ以上のセンサーと、
前記1つ以上の物理パラメータの測定値の少なくともいくつかの表記を蓄積するデータ記憶手段と、
前記測定値の少なくともいくつかの表記を前記データ記憶手段に書き込み、データ送信の間に前記データ記憶手段からデータを読み取る制御論理と、
アンテナと、
そのアンテナに結合され、前記蓄積されたデータを受動送信によって送信する送信機とを備えたデータ自動記録装置。
【請求項2】
前記電源が充電可能な電源であって、前記送信機が、前記アンテナで受信される電磁電力の少なくとも一部を前記充電可能な電源に供給してその充電可能な電源を充電する請求項1に記載のデータ自動記録装置。
【請求項3】
当該データ自動記録装置がセレクタ論理を備え、前記送信機は、前記充電可能な電源が充電されるべきであることを前記セレクタ論理が選ぶと、前記アンテナで受信される電磁電力の少なくとも一部を前記充電可能な電源に供給する請求項2に記載のデータ自動記録装置。
【請求項4】
前記セレクタ論理は、前記充電可能な電源の電圧が所定のレベル未満に降下すると、前記充電可能な電源が充電されるべきであることを選ぶ請求項3に記載のデータ自動記録装置。
【請求項5】
前記測定値の表記の少なくともいくつかが、物理パラメータの、以前の測定値と引き続く測定値の差である請求項1〜4のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項6】
前記制御論理が、前記測定値の表記の少なくともいくつかを、それぞれの測定が行われた時刻を指示するタイムスタンプと関連させて、前記データ記憶手段に書き込む請求項1〜5のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項7】
前記センサーのそれぞれが、所定の周波数で前記1つ以上の物理パラメータを測定する請求項1〜6のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項8】
前記制御論理が、測定値の表記を前記データ記憶手段に書き込む動作が可能な第1の動作モードと、測定値の表記を前記データ記憶手段に書き込む動作が不可能な第2の動作モードとを備え、前記制御論理が、前記第2の動作モードにおけるよりも前記第1の動作モードにおいてより電力を消費し、かつ前記制御論理が、以下の条件の1つ以上が満たされるときに前記第2の動作モードに入る請求項1〜7のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置:
(a)前記データ記憶手段への書き込み後、所定の時間が経過する;
(b)前記1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の量を超えてまたはそれ未満だけ測定値間で変化する;
(c)前記1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の値よりも大きいか小さい値である。
【請求項9】
前記制御論理が、前記第2の動作モードに入って所定の時間の後、前記第1の動作モードに入る請求項8に記載のデータ自動記録装置。
【請求項10】
前記1つ以上の物理パラメータの、選択された1つを測定した値が、所定の量を超えてまたはそれ未満だけ測定値間でいつ変化するのかを測定する比較回路を当該データ自動記録装置が含み、かつその比較回路が、この測定に応答して、前記制御論理を前記第1の動作モードに入れさせて、前記測定値の少なくともいくつかの表記を前記データ記録装置に書き込ませる請求項8に記載のデータ自動記録装置。
【請求項11】
前記1つ以上の物理パラメータのうちの選択された1つの物理パラメータについて測定値の組を平均し、前記制御論理に、前記測定値の組の平均の表記を前記データ記憶手段に書き込ませる手段を備えた請求項1〜10のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項12】
前記物理パラメータが、温度、圧力、pH、光強度、音圧、動き、光スペクトル質、当該データ自動記録装置の向きまたは傾き、および振動の1つ以上である請求項1〜11のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項13】
前記データ記憶手段が、追加のデータを蓄積する請求項1〜12のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項14】
前記追加のデータには、個人情報および/または医療情報が含まれている請求項13に記載のデータ自動記録装置。
【請求項15】
前記1つ以上の物理パラメータの少なくともいくつかが生理学上のパラメータであり、当該データ自動記録装置が、
(a)人体または動物の体への埋め込みに適したパッケージ、
(b)皮膚への装着に適した粘着パッチ、
(c)衣料品または他の着用可能な品、および
(d)保護シェル
の1つに組み込まれた請求項1〜14のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサーの1つが、第1の温度センサーである請求項1〜15のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項17】
前記1つ以上のセンサーの1つが、第2の温度センサーであり、前記第1の温度センサーが、人体または動物の体の温度を測定するように配置され、かつ前記第2の温度センサーが、人体または動物の体の周囲の温度を測定するように配置された請求項16に記載のデータ自動記録装置。
【請求項18】
前記1つ以上のセンサーの1つが、動きを測定する加速度計または他の手段であって、当該データ自動記録装置の動き、または、前記加速度計もしくは他の手段が取り付けられた体の動きを測定する請求項1〜17のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項19】
前記制御論理が、前記1つ以上の物理パラメータから2番目に選択された1つについて以前の測定値の変動が所定の値未満であるときにのみ、前記1つ以上の物理パラメータから1番目に選択された1つの測定値の表記を前記データ記憶手段に書き込む請求項1〜18のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項20】
前記制御論理が、測定値が所定の量を超えて測定値間で変化するときにのみ、前記1つ以上の物理パラメータから選択された1つの測定値の表記を前記データ記録装置に書き込む請求項1〜19のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置。
【請求項21】
前記表記が、前記変化が測定された時刻を指示するタイムスタンプである請求項20に記載のデータ自動記録装置。
【請求項22】
1つ以上の物理パラメータをその場測定するシステムであって、
請求項1〜21のいずれか一項に記載のデータ自動記録装置と、
前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを受動送信によって前記データ自動記録装置から受け取る受信機を備えたデータ読み取り装置とを備えたシステム。
【請求項23】
前記データ自動記録装置が、前記データ読み取り装置から前記受信機が受け取るエネルギーが所定のレベルを超えるときに、前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信する請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記データ自動記録装置が、前記データ読み取り装置からの適切な命令に応答して、前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信する請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記命令が、前記蓄積されたデータのいずれを前記データ自動記録装置が送信すべきかを指示する請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
各センサーが、所定の周波数で前記1つ以上の物理パラメータを測定し、前記データ読み取り装置が、信号を前記データ自動記録装置に送信して前記所定の周波数を設定する請求項22〜25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記データ自動記録装置の前記データ記憶手段が、追加のデータを蓄積する前記請求項22〜26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記追加のデータには、個人情報および/または医療情報が含まれている請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記データ自動記録装置が、前記データ読み取り装置から適切な命令を受け取ると前記追加のデータの少なくともいくつかを送信する請求項27または28に記載のシステム。
【請求項30】
前記データ読み取り装置から適切な命令を受け取ることに応答して、前記データ自動記録装置が、(a)前記命令と関連して送信されたデータで前記追加のデータの少なくともいくつかを書き換えるか、または(b)前記命令と関連して送信されたデータをさらなる追加のデータとして前記データ記憶手段に書き込む請求項27〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記データ読み取り装置が、前記データ自動記録装置に認証コードを送信する請求項22〜30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記認証コードの少なくとも一部が、前記データ自動記録装置の識別コードに依存して決められる請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記認証コードの少なくとも一部が、前記データ読み取り装置の識別コードに依存して決められる請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記データ自動記録装置が、一組の有効な認証コードを保持し、かつ前記データ自動記録装置が、有効な認証コードを受け取るときに限り、前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを前記データ読み取り装置に送信する請求項31〜33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記データ自動記録装置が、前記データ読み取り装置の公開鍵認証を行い、または逆に、前記データ読み取り装置が、前記データ自動記録装置の公開鍵認証を行い、かつ前記データ自動記録装置が、有効な応答を受け取るときに限り、前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを前記データ読み取り装置に送信する請求項22〜34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記データ読み取り装置が、データを入力する入力手段を備えた請求項22〜35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記データ読み取り装置が、そのデータ読み取り装置で受け取るデータの少なくともいくつかを蓄積する請求項22〜36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記データ読み取り装置が、有線または無線通信で前記データ自動記録装置から受け取ったデータの少なくともいくつかを、インターネットサーバー、パーソナルコンピュータ(ラップトップ、デスクトップ、PDA、スマートフォンまたは携帯型コンピュータが含まれている)、記憶装置または他のデータ処理装置の1つ以上に送信する請求項22〜37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
請求項17に記載のデータ自動記録装置を備え、
前記データ読み取り装置が、前記第1の温度センサーの各測定値を、前記第2の温度センサーの対応する測定値に応じて処理して、前記第1の温度センサーが測定するように配置された人体または動物の体の中心の温度を推定する請求項22〜38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
請求項16に記載のデータ自動記録装置を備え、
前記1つ以上のセンサーの1つが、動きを測定する加速度計または他の手段であって、前記データ自動記録装置の動き、または、前記加速度計もしくは他の手段が取り付けられた体の動きを測定し、
前記データ読み取り装置が、前記加速度計または他の手段の測定値の変動が所定の値を超えたときに測定された前記第1の温度センサーの測定値の少なくともいくつかを無視する請求項22〜39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
請求項16に記載のデータ自動記録装置を備え、
前記1つ以上のセンサーの1つが、動きを測定する加速度計または他の手段であって、前記データ自動記録装置の動き、または、前記加速度計もしくは他の手段が取り付けられた体の動きを測定し、
前記データ読み取り装置が、前記加速度計または他の手段の測定値が所定の値を超えたときに測定された前記第1の温度センサーの測定値の少なくともいくつかを無視する請求項22〜39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
女性または雌性の排卵時期を判定するシステムであって、
前記女性または雌性の第1の温度を測定する第1の温度センサー、
1つ以上の前記第1の温度の測定値を第1の生理データの組として蓄積するデータ記憶手段、
前記第1の温度の測定値の表記を前記データ記憶手段に蓄積する制御論理、および
前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信する送信機を備えたデータ自動記録装置と、
前記データ自動記録装置から前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを受け取る受信機を備えたデータ読み取り装置と、
少なくとも1つの他の生理データの組を受け取る入力手段を有するデータ処理装置とを備え、
前記データ処理装置が、前記データ読み取り装置からの前記第1の温度のデータと前記少なくとも1つの他の生理データの組とを組み合わせて、排卵時期を指示するシステム。
【請求項43】
データ自動記録装置が、
(a)人体または動物の体への埋め込みに適したパッケージ、
(b)皮膚への装着に適した粘着パッチ、
(c)衣料品または他の着用可能な品、および
(d)保護シェル
の1つに組み込まれた請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記少なくとも1つの他の生理データの組には、子宮頸管液質データ、ホルモンレベルデータおよび少なくとも1つの以前の月経の日付を示すデータの、少なくとも1つが含まれている請求項42または43に記載のシステム。
【請求項45】
前記データ処理装置が、前記第1の温度データと、相異なる統計的な重みを前記データの組の各々に割り当てる排卵予測アルゴリズムによって設定される前記少なくとも1つの他の生理データとを組み合わせる請求項42〜44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記統計的な重みが、前記データの組によって指示された排卵時期と実際の排卵時期との間の以前の相関関係の度合に基づいている請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記データ処理装置またはデータ読み取り装置が、前記データ処理装置の入力手段に追加の生理データの組を提供するようにユーザーを促す請求項42〜46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記データ読み取り装置が筐体を備え、前記データ処理装置が、前記データ読み取り装置の筐体に組み込まれた請求項42〜47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記データ読み取り装置が、携帯型の装置である請求項42〜48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記データ読み取り装置が、前記データ自動記録装置から受け取るデータを蓄積するメモリーを含む請求項42〜49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記データ読み取り装置が、前記データ自動記録装置から受け取るデータを表示するディスプレイを含む請求項42〜50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
前記データ読み取り装置が、前記データ処理装置との有線または無線通信によって、前記データ自動記録装置から受け取るデータの少なくともいくつかを利用可能である請求項42〜51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記データ自動記録装置が、前記女性または雌性の動き測定をする加速度計もしくは他の手段を備え、前記制御論理が、前記データ記憶手段に前記動き測定の表記を蓄積し、前記データ処理装置が、以下の条件の1つが真であったときに、前記温度の測定値の少なくともいくつかを無視する請求項42〜52のいずれか一項に記載のシステム:
(a)前記動き測定における変動が所定の値を超えた;
(b)前記動き測定が所定の値を超えた。
【請求項54】
前記データ自動記録装置が、前記女性または雌性の動き測定をする加速度計もしくは他の手段を備え、前記制御論理が、以下の条件の1つが真であるときに、前記データ記憶手段に前記第1の温度の測定値の表記の少なくともいくつかを蓄積しない請求項42〜52のいずれか一項に記載のシステム:
(a)以前の動き測定における変動が所定の値を超えている;
(b)少なくとも1つの以前の動き測定が所定の値を超えている。
【請求項55】
前記データ処理装置の入力手段で受け取られる前記少なくとも1つの他の生理データの組の1つが、前記女性または雌性についての動きデータであり、前記データ処理装置が、以下の条件の1つが真であったときに、前記第1の温度の測定値の少なくともいくつかを無視する請求項42〜52のいずれか一項に記載のシステム:
(a)前記動きデータによって表わされる測定における変動が所定の値を超えた;
(b)前記動きデータによって表わされる測定が所定の値を超えた。
【請求項56】
前記データ自動記録装置が第2の温度センサーを備え、前記制御論理が第2の温度測定の表記を前記データ記憶手段に蓄積する請求項42〜55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記第2の温度センサーが、前記女性または雌性の周囲の温度を測定するように配置され、前記データ読み取り装置が、前記第1の温度センサーの各測定値を、前記第2の温度センサーの対応する測定値に応じて処理して、前記女性または雌性の体の中心の温度を推定する請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記データ処理装置が、前記データ自動記録装置からのデータおよび/または前記少なくとも1つの他の生理データの組に基づいて、前記女性または雌性が基礎体温に到達したか否かについての第1の判断を行い、前記第1の判断の結果が否定的であれば、前記データ処理装置が、少なくとも以下の1つに応じて基礎体温を推定する請求項42〜57のいずれか一項に記載のシステム:
(a)前記温度の測定値のいずれかにおける変化率;
(b)前記温度の測定値のいずれかにおける変化率の変化率;
(c)前記女性または雌性の温度が基礎体温に近づいたときの、以前の温度の変動を表すデータ。
【請求項59】
前記データ自動記録装置が、それに蓄積されたデータの少なくともいくつかを有線または無線送信によって、前記データ読み取り装置に送信する請求項42〜58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
データ自動記録装置を備えたパッケージであって、
前記データ自動記録装置が、
第1の温度を測定する第1の温度センサーと、
1つ以上の前記第1の温度の測定値を蓄積するデータ記憶手段と、
前記第1の温度の測定値の表示を前記データ記憶手段に蓄積する制御論理と、
前記蓄積されたデータの少なくともいくつかを送信する送信機とを備え、
当該パッケージが第1および第2の部分を備え、前記データ自動記録装置が、前記第1および第2の部分の間に保持され、
前記第1の温度センサーが、前記第1の部分に隣接し、前記第1の温度センサーの近くにある、前記第1の部分の少なくとも1つの領域が、前記第2の部分よりも高い熱伝導率を有するパッケージ。
【請求項61】
前記データ自動記録装置とは反対側の、前記第1の部分の面が、粘着層を支持して、当該パッケージが物または人体もしくは動物の体に貼り付けられ、前記第1の温度センサーが前記物または人体もしくは動物の体に近接する請求項60に記載のパッケージ。
【請求項62】
物または人体もしくは動物の体の一部に巻きつけられ、使用により、前記物または人体もしくは動物の体に対して当該パッケージを保持し、前記第1の温度センサーが前記物または人体もしくは動物の体に近接する、バンドまたはストラップを備えた請求項60または61に記載のパッケージ。
【請求項63】
前記第1の部分が、前記データ自動記録装置の第1の温度センサーが露出する位置に開口を有する請求項60〜62のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項64】
前記第1の部分が、前記データ自動記録装置が挿入されるか取り除かれる開口を有する請求項60〜63のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項65】
当該パッケージの前記第1および第2の部分が、使い捨てである請求項60〜64のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項66】
前記データ自動記録装置が電源を含み、前記第1の温度センサーが前記電源に取り付けられた請求項60〜65のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項67】
前記データ自動記録装置が、第2の温度を測定する第2の温度センサーを含む請求項60〜66のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項68】
前記第2の温度が、当該パッケージの周囲の温度である請求項67に記載のパッケージ。
【請求項69】
前記第2の部分が、前記データ自動記録装置の第2の温度センサーが露出する位置に開口を有する請求項67または68に記載のパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−535141(P2009−535141A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508541(P2009−508541)
【出願日】平成19年5月4日(2007.5.4)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001822
【国際公開番号】WO2008/035151
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
2.FRAM
【出願人】(508326600)ケンブリッジ・テンパラチャー・コンセプツ・リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE TEMPERATURE CONCEPTS LIMITED
【Fターム(参考)】