説明

物理抽選装置及びこれを備えたゲーム装置

【課題】抽選用転動体が転動面上を転動しているときに、その転動面や複数の抽選用ポケットの移動パターンを変更しても、抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に与えにくくする。
【解決手段】抽選用転動体である抽選ボール73を転動面上で転動させて抽選ボールが複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置であって、転動面及び複数の抽選用ポケットの少なくとも一方を複数の移動パターンで移動させることが可能な構成であり、抽選ボールが転動面上を転動しているときに当該移動パターンを変更するが、その変更前に、移動パターンが変更される旨を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選用転動体を転動面上で転動させてその抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置及びこれを備えたゲーム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の物理抽選装置としては、ボール等の球状又はその他の形状の物体で構成される抽選用転動体が複数ある抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行うものがある。このような物理抽選装置は、その物理抽選が行われている間の抽選状況をプレイヤー等の抽選者が実際に目で見て確認することが可能である。これにより、抽選者は、抽選が行われているという実感を直感的に感じることができ、抽選者に対して抽選の興味を惹かせることができる。よって、物理抽選装置は、所定の抽選プログラムを実行するコンピュータにより抽選を行うような、抽選状況が抽選者によって目で確認できない非物理的な抽選装置に比べて、抽選者からの抽選に関する信頼性(抽選が無作為であることの信用度)が高いと言える。
【0003】
特許文献1には、複数の物理抽選装置を備えたゲーム装置が開示されている。このゲーム装置は、ゲームセンタ等のゲーム施設に設置されるメダルゲーム機(業務用ゲーム装置)であり、プレイヤーからメダル(ベット対象)を受け取ることを条件にいわゆるプッシャーゲームの進行を制御し、プレイフィールド内のメダルがメダル落下溝に落下するとメダル(払出対象)がプレイヤーに払い出される。このゲーム装置では、プレイフィールド内に供給されたボールがメダル落下溝に落下すると、そのボールが1段目の物理抽選を行う抽選装置に搬送され、その抽選装置でそのボール(抽選用転動体)を用いた物理的な抽選が行われる。そして、この抽選装置での抽選でボールが所定の抽選用ポケットに入ると、2段目の物理抽選を行う中央抽選装置において、別のボールを用いて更に物理的な抽選が行われる。
【0004】
上記特許文献1に記載されている中央抽選装置は、回転中心軸が鉛直方向と水平方向のいずれにも傾斜しているリング型の本体構造部分を有し、この本体構造部分がその回転中心軸を中心に回転駆動することにより複数の抽選用ポケットが本体構造部分に沿うように周回移動する構成となっている。また、中央抽選装置は、リング型の本体構造部分の下側約120°にわたって隣接するように、その本体構造部分の湾曲に沿って湾曲した転動面を有する固定スロープが設けられている。そして、複数の抽選用ポケットは、本体構造部分の回転駆動により、本体構造部分の下部における固定スロープと隣接する箇所で、固定スロープに対して相対移動することになる。この固定スロープは、本体構造部分の下部に向かってわずかに傾斜している。したがって、固定スロープ上にボールが投入されると、しばらくの間は固定スロープ上でボールが本体構造部分の下部に沿うように往復移動するが、ボールの勢いが弱まってくると、本体構造部分の下部へ向かう傾斜により最終的にはいずれかの抽選用ポケットに入り込むことになる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−215650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、抽選者の物理抽選に対する信頼性を高める上では、複数の抽選用ポケットの移動速度は速い方が望ましい。この移動速度が遅いと、ボールの投入タイミングから、ボールが入ることになる抽選用ポケットを予測することが容易になることから、特に抽選者の意図に反した抽選結果が出たときに、抽選者は、その抽選結果がボール投入タイミングを制御するなど意図的に出されたのではないかと、疑義を抱きやすいからである。しかし、複数の抽選用ポケットの移動速度が速すぎると、ボールが抽選用ポケットに入りにくい結果、ボールが投入されてから抽選用ポケットに入るまでの物理抽選時間が長期化し、抽選者に抽選結果を長時間待ってもらわなければならないという事態を招く。
【0007】
抽選者に対して上記のような疑義を抱かせにくく、かつ、上記のような事態の発生を抑制する方法としては、ボール投入タイミング時には、複数の抽選用ポケットの移動速度を高速にし、固定スロープ上をボールが転動している間に複数の抽選用ポケットの移動速度を十分に減速させてボールが抽選用ポケットに入りやすいようにする方法が考えられる。
しかしながら、このように複数の抽選用ポケットの移動速度を減速すると、その減速後は、やはり、その減速タイミングから、ボールが入ることになる抽選用ポケットを予測することが容易である。そのため、抽選者は、特に自分の意図に反した抽選結果が出たときに、その抽選結果が、減速タイミングを制御するなどして意図的に出されたのではないかという疑義を抱くおそれがある。このような疑義を抱いた抽選者に対しては、物理抽選に対する信頼性が低下してしまうので、このような疑義を抽選者に抱かせないようにする工夫が望まれる。
【0008】
なお、上記のような疑義を抽選者に抱かせてしまう原因は、ボール等の抽選用転動体が転動面上を転動している間に複数の抽選用ポケットの移動速度を変更する場合に限られない。すなわち、抽選結果に影響することになる転動面や複数の抽選用ポケットの移動速度、移動方向、移動速度の変動リズムなどの移動パターンが、抽選用転動体の転動中に急に変更されると、同様に、上記のような疑義を抽選者に抱かせてしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、抽選用転動体が転動面上を転動しているときに、その転動面や複数の抽選用ポケットの移動パターンを変更しても、抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に与えにくくすることができる物理抽選装置及びこれを備えたゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、抽選用転動体を転動面上で転動させて該抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置であって、上記転動面及び上記複数の抽選用ポケットの少なくとも一方を複数の移動パターンで移動させることが可能な移動手段と、抽選用転動体が該転動面上を転動しているときに該移動手段による移動パターンを変更する移動パターン変更手段と、該移動パターン変更手段による移動パターン変更前に、該移動手段による移動パターンが変更される旨を報知する報知手段とを有することを特徴とするものである。
この物理抽選装置においては、転動面や複数の抽選用ポケットの移動パターンが変更される前に、抽選者は移動パターンが変更されることを知ることができる。移動パターンが変更されることを抽選者が事前に知っていることにより、これを知らないまま移動パターンが変更されるのを目の当たりする場合に比べて、抽選が終わった後にその抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に与えにくくすることができる。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の物理抽選装置において、上記報知手段は、該移動手段による移動パターンが変更される旨とともに、その変更時期も報知することを特徴とするものである。
この物理抽選装置においては、移動パターンが変更されることだけでなく、その変更がいつ行われるかも、事前に知ることができる。よって、単に移動パターンが変更されることだけが事前に報知される場合よりも、その抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に対してより与えにくくすることができる。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の物理抽選装置において、上記複数の移動パターンは、互いに異なる一定速度で、上記転動面及び上記複数の抽選用ポケットの少なくとも一方を移動させるものであることを特徴とするものである。
大型の物理抽選装置では転動面や複数の抽選用ポケットが大きく重量も重いので、移動方向を変更したり移動速度を頻繁に変更したりするような移動制御は行うことが困難な場合が多い。本物理抽選装置においては、一定速度で移動する転動面や複数の抽選用ポケットの移動速度を別の一定速度に変更することにより、その移動パターンを変化させるので、転動面や複数の抽選用ポケットが大きくて重いものであっても、その移動パターンの変更を容易に行うことができる。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の物理抽選装置において、上記移動パターン変更手段は、抽選用転動体を転動面上へ供給してから所定期間を経過するまでに該抽選用転動体が上記複数の抽選用ポケットのいずれにも入らないときに、上記移動パターンを変更することを特徴とするものである。
移動速度が変更されることを事前に報知する場合であっても、抽選者は、特に自分の意図に反した抽選結果が出たときには、事前に報知しない場合ほどではないものの、その抽選結果が意図的に出されたのではないかという多少の疑義を抱く可能性がある。本物理抽選装置においては、抽選用転動体を転動面上へ供給してから所定期間が経過するまでに抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれにも入らなかったときに、移動パターンを変更する。これにより、移動速度を変更する制御を行う回数を少なく抑えることができるので、抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に抱かせるおそれのある機会を減らすことができる。
【0014】
また、請求項5の発明は、抽選用転動体を転動面上で転動させて該抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置と、所定のゲームプログラムを実行することにより該物理抽選装置を用いた物理抽選の結果を用いてゲーム進行の制御を行うか、所定のゲームプログラムを実行することによりゲーム進行の制御を行って該ゲーム進行の結果に応じて該物理抽選装置を用いた物理抽選を開始させる制御を行うゲーム進行制御手段を備えたゲーム装置であって、上記物理抽選装置として、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の物理抽選装置を用いたことを特徴とするものである。
このゲーム装置においては、上述した物理抽選装置を用いるので、抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に与えにくくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、抽選用転動体が転動面上を転動しているときに、その転動面や複数の抽選用ポケットの移動パターンを変更しても、抽選結果が意図的に出されたのではないかという疑義を抽選者に与えにくくすることができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、物理抽選装置を備えた業務用ゲーム装置(アーケードゲーム機)としてのメダルゲーム機に適用した一実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ及び位置関係のみに限定されるものではない。また、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。さらに、後述において例示する数値は、本発明の好適な例に過ぎず、従って、本発明は例示された数値に限定されるものではない。
【0017】
図1は、本実施形態に係るメダルゲーム機1の全体構成を示す部分斜視図である。
本メダルゲーム機1は、物理抽選装置であるセンター抽選装置3を囲うように8つのステーション部2を備えており、各プレイヤーは各ステーション部2でそれぞれゲームをプレイすることになる。
【0018】
図2は、本メダルゲーム機1におけるステーション部2の上部を示す斜視図である。
ステーション部2は、筺体の上部に、表示手段及び操作手段としてのタッチパネル11と、操作手段としてのスタートボタン12及びBETモード選択ボタン13と、ベット対象受取手段を構成するメダル投入口14などが設けられている。タッチパネル11にはゲーム画面が表示され、プレイヤーはそのゲーム画面の表示を見ながらタッチパネル11や各種ボタン12,13を操作することによりゲームをプレイする。本実施形態では、ステーション部2で実行されるゲームがスロットゲーム(図柄合わせ遊技)である場合を例に挙げて説明するが、ステーション部2で実行されるゲームの種類はこれに限られない。なお、スロットゲームとは、複数種類のシンボル(図柄)を変動表示させ、その後にその変動表示を停止させたときに停止表示されるシンボルが、又は停止表示された複数シンボルによる組み合わせが、予め決められた賞に対応していると、プレイヤーへ所定の特典が付与されるゲームをいう。
【0019】
図3は、ステーション部2のタッチパネル11に表示されるゲーム画面の一例を示す説明図である。
タッチパネル11に表示されるゲーム画面には、所定順序で配列する2種以上の複数のシンボルが、5つのシンボル表示域11a〜11eそれぞれに表示される。また、タッチパネル11には、このほかに、ゲーム画面下部に、プレイヤーがメダル投入口5aから投入したメダルの枚数に相当するクレジットの量を表示するクレジット表示部などの、ゲームに必要な各種情報を表示する表示部11fも表示される。更に、ゲーム画面下部には、5つのモード選択ボタン13にそれぞれ対応するBETモード表示部11gも表示されている。なお、本実施形態では、機械式のボタン12,13に対する操作以外の操作の一部又は全部は、タッチパネル11に表示されている各種操作用画像を触れることにより行うが、その操作用画像に代えて機械式のボタンを設けても良いし、逆に、機械式のボタン12,13に代えてタッチパネル11の操作用画像を利用するようにしてもよい。
【0020】
また、ステーション部2の内部には、図示しないが、CPUやROMその他種々の電子部品によって形成された電子回路で構成されるステーション制御装置、受け取ったメダルが不正メダルでないかを確認するための検査装置、メダルを多数枚収容可能であってステーション制御装置から指示された枚数のメダルを外部へ排出するためのメダル払戻装置、音出力手段としてのスピーカーなども組み込まれている。
【0021】
図4は、ステーション部2を制御するステーション制御装置20の概略構成を示すブロック図である。
ステーション制御装置20は、CPU21、入出力ポート21a、ROM22、RAM23、乱数発生回路24、表示制御部25、音響制御部26、払戻制御部27などから構成されている。入出力ポート21aは、後述する中央制御装置30との間でデータ通信を行うために利用される。ROM22は、CPU21が利用する各種プログラムや各種データベース等のデータを格納しており、これらをCPU21に出力する。RAM23は、CPU21によって演算された変数データなどを一時的に格納したり、クレジットデータ等の各種変動データを記憶したりする。乱数発生回路24は、所定のタイミングで乱数を発生させてそのデータをCPU21に出力する。表示制御部25は、タッチパネル11とともに表示手段を構成し、CPU21の制御の下、ゲーム画面等を表示するタッチパネル11の表示制御を行う。音響制御部26は、CPU21の制御の下、スピーカー15から出力する音声によるアナウンスや演出音等を制御する。払戻制御部27は、CPU21の制御の下、メダルを払い戻すためにメダル払戻装置16を制御する。また、CPU21は、メダル投入口に投入されたメダル枚数をカウントする図示しないメダルカウンターや、LED等の照明を制御する照明制御部などにも接続されている。
【0022】
次に、ステーション部2で実行されるスロットゲームの流れに沿って各部の動作を説明する。
図5は、1回のスロットゲームの流れを示すフローチャートである。
プレイヤーによって図示しないメダルがメダル投入口5aに投入されると、そのメダル等はメダルカウンターによりカウントされる。そして、メダルカウンターは、ステーション制御装置20のCPU21に投入メダルデータを出力する。この投入メダルデータを受け取ったCPU21は、投入メダルデータに相当するクレジット量をRAM23のクレジットデータに加算する処理を行う。なお、予めゲーム施設に預けておいたクレジットをクレジット引出処理を行うことにより引き出して使用する場合には、引き出した分のクレジットデータがRAM23に記憶される。
【0023】
プレイヤーは、希望する入賞ライン数及びBETするクレジット量を決めたら、タッチパネル11に触れて入賞ラインを選択するとともに、5つのモード選択ボタン13のいずれかを押すことによりBETモードを選択して各入賞ラインについていくらのクレジットを支払うかを決定する(S1)。この操作内容は、BET操作信号としてステーション制御装置20のCPU21に送られる。BET操作信号を受信したCPU21は、スタートボタン12からの操作信号を受付可能な状態とする。これにより、プレイヤーによるスタートボタン12に対する操作が有効なものとなる。
【0024】
プレイヤーがスタートボタン12を操作すると(S2)、ステーション制御装置20のCPU21は、ベット対象受付手段として機能し、BET操作信号に応じたクレジット量、すなわち、選択したBETモードに対応するクレジット量に対し、選択した入賞ライン数に乗じて得られるクレジット量分を、RAM23のクレジットデータから減額するベット受付処理を行う(S3)。その後、CPU21は、スタート信号生成手段として機能し、スタート信号を生成して、そのスタート信号を表示制御部25に送る。表示制御部25は、このスタート信号を受けて、タッチパネル11の各シンボル表示域11a〜11eに表示されるシンボルを順次切り換える変動表示制御を行う(S4)。
【0025】
また、CPU21は、生成したスタート信号を乱数発生回路24にも送る。このスタート信号を受けた乱数発生回路24は、5つの乱数を生成し(S5)、これらの乱数をCPU21に順次送る。各乱数は、タッチパネル11に表示される各シンボル表示域11a〜11eにそれぞれ対応している。CPU21は、乱数発生回路24とともに停止シンボル決定手段として機能し、乱数発生回路24から送られてくる5つの乱数を受け取ると、各乱数をROM22に格納されている停止位置テーブルに照らし合わせる。この停止位置テーブルは、各シンボル表示域11a〜11eに対して個々に用意されている。そして、各乱数と各停止位置テーブルにより、各シンボル表示域11a〜11eにおける変動表示の停止位置が決まる。したがって、乱数発生回路24から送られてくる5つの乱数によって、各シンボル表示域11a〜11eに停止表示するシンボルが決まる。
【0026】
一方、CPU21は、乱数発生回路24とともに入賞判定手段として機能し、乱数発生回路24から送られてくる5つの乱数を受け取ると、これらの乱数からなる組み合わせを、ROM22に格納されている入賞決定テーブルに照らし合わせて、既定の賞に入賞したか否か又は停止表示した第1特別シンボル及び第2特別シンボルの数を決定する抽選処理も行う(S6)。本実施形態において、賞は、大別すると、プレイヤーに対して当該賞に対応した量のクレジットを払い出す払出賞(配当払出賞)と、後述するセンター抽選装置3での第1センター抽選を行うための第1センター抽選賞と、後述するセンター抽選装置3での第2センター抽選を行うための第2センター抽選賞とがある。そして、CPU21は、乱数の組み合わせと入賞決定テーブルとにより、今回のゲームで入賞する賞を決定し、又は何の賞にも入賞しないハズレを決定する。なお、ROM22には、通常ゲームのときに使用する入賞決定テーブルと、後述するフリーゲームのときに使用する入賞決定テーブルの少なくとも2種類の入賞決定テーブルが、格納されている。そして、前者の入賞決定テーブルについては、選択され得る入賞ライン数ごとに、個別の入賞決定テーブルが用意されている。
【0027】
CPU21は、上記抽選処理を終えたら、決定した停止位置で各シンボル表示域11a〜11eの変動表示がそれぞれ停止するように表示制御部25を制御する(S7)。これにより、タッチパネル11のシンボル表示域11a〜11eには、決定した停止位置で変動表示が停止し、上記5つの乱数に対応したシンボルが各シンボル表示域11a〜11eに停止表示する。
【0028】
上記抽選処理において配当払出賞の入賞が決定された場合(S8のYes,S9のYes)、ステーション制御装置20のCPU21は、各シンボル表示域11a〜11eの変動表示が停止表示した後、照明制御部及び音響制御部26に対して、それぞれ所定の演出信号を出力する。これにより、照明制御部は、LED等の照明を、その演出信号に応じたパターンで発光させる制御を行う。また、音響制御部26は、その演出信号に応じた効果音をスピーカー15から出力させる制御を行う。そして、CPU21は、払出処理手段として機能し、RAM23に記憶されているクレジットデータに、入賞した賞に応じたクレジット量分を加算する払出処理を行う(S10)。
【0029】
また、上記抽選処理において第1特別シンボルが停止表示することが決定された場合(S11のYes)、ステーション制御装置20のCPU21は、各シンボル表示域11a〜11eの変動表示が停止表示した後、照明制御部及び音響制御部26に対して、それぞれ所定の演出信号を出力し、所定の演出を行う。続いて、CPU21は、RAM23に記憶されている第1特別シンボルの貯留数カウントデータに、停止表示した第1特別シンボルの数を加算する(S12)。その後、CPU21は、RAM23に記憶されている貯留数カウントデータを表示制御部25へ送り、表示制御部25は、その貯留数カウントデータに対応する数に応じて、第1特別シンボルの貯留数を示す貯留数表示部11h(図3参照)の表示を更新する。また、CPU21は、RAM23に記憶されている貯留数カウントデータが規定値(本実施形態では「5」である。)以上になったか否かを判断する(S13)。この判断において規定値以上になったと判断した場合、CPU21は、照明制御部及び音響制御部26に対して、それぞれ所定の演出信号を出力し、所定の演出を行う。また、CPU21は、貯留数カウントデータから規定値分を減算した後、RAM23に記憶されている減算後の貯留数カウントデータを表示制御部25へ送り、表示制御部25は、その貯留数カウントデータに対応する数に応じて、第1特別シンボルの貯留数を示す貯留数表示部11hの表示を更新する。そして、CPU21は、入出力ポート21aから中央制御装置へ第1センター抽選開始要求を送信する(S14)。これにより、センター抽選装置3において、後述する第1センター抽選が実行される。
【0030】
また、上記抽選処理において第2特別シンボルが停止表示することが決定された場合(S15のYes)、ステーション制御装置20のCPU21は、各シンボル表示域11a〜11eの変動表示が停止表示した後、照明制御部及び音響制御部26に対して、それぞれ所定の演出信号を出力し、所定の演出を行う。そして、CPU21は、入出力ポート21aから中央制御装置へ第2センター抽選開始要求を送信する。これにより、センター抽選装置3において、後述する第2センター抽選が実行される。
【0031】
次に、センター抽選装置3の構成について説明する。
図6は、センター抽選装置3の斜視図である。
図7は、センター抽選装置3を図6とは別の角度から見たときの斜視図である。
本実施形態のセンター抽選装置3は、主に、第1抽選機構である鉛直リング抽選器40と、第2抽選機構である傾斜リング抽選器50と、これらの抽選器40,50を鉛直方向下側から支持する装置支持台60と、表示手段としての2つのディスプレイ装置71,72と、抽選用転動体としての抽選ボール73を各抽選器40,50へ投入しかつ各抽選器40,50から回収するボール搬送装置80とから構成されている。第1ディスプレイ装置71は、鉛直リング抽選器40の中空領域を通じてプレイヤーが視認できるように配置されており、第2ディスプレイ装置72は、傾斜リング抽選器50の中空領域内にその一部が配置されている。
【0032】
装置支持台60の上部には、鉛直リング抽選器40、傾斜リング抽選器50、2つのディスプレイ装置71,72、ボール搬送装置80等を載せた回転テーブル64が設けられている。この回転テーブル64は、図示しないテーブル駆動装置により鉛直方向に平行な回転軸を中心に回転することができる。これにより、それぞれのステーション部2に対し、鉛直リング抽選器40や傾斜リング抽選器50が正面を向くようにすることができる。
【0033】
鉛直リング抽選器40は、図6に示すように、中空領域の一部を外部に露出させた状態でその中空領域を取り囲むように構成された本体構造部分を有しており、その回転軸が水平方向に対して平行となるように配置されている。鉛直リング抽選器40の内周面には、抽選ボール73が約1個分だけ収容可能な内部スペースを有する抽選用ポケット41がその周方向にわたって複数形成されている。本実施形態では、鉛直リング抽選器40の内周面に10個の抽選用ポケット41が均等間隔で設けられている。鉛直リング抽選器40は、骨組基材42のリング内周面側に、各抽選用ポケット41の入口となる開口が形成された内周面部材43が取り付けられている。また、骨組基材42のリング外周面側には、装置支持台60に固定された外周面部材44が対向配置されている。鉛直リング抽選器40の骨組基材42及び内周面部材43は、装置支持台60に設けられた駆動装置61によって図6中反時計回り方向へ回転駆動する。これにより、鉛直リング抽選器40の抽選用ポケット41は周回移動することになる。そして、抽選ボール73が鉛直リング抽選器40のいずれかの抽選用ポケット41に入ると、抽選ボール73は、抽選用ポケット41に収容された状態のまま、抽選用ポケット41とともに移動する。
【0034】
鉛直リング抽選器40で物理抽選を行う場合、抽選ボール73はボール投入口86aから、鉛直リング抽選器40の内周面上へ投入される。本実施形態において、鉛直リング抽選器40の内周面は、回転軸方向に2つの領域に大別できる。すなわち、抽選用ポケット41が設けられるポケット領域(図6中手前側の領域)と、抽選用ポケット41が設けられていない非ポケット領域(図6中奥側の領域)である。ポケット領域と非ポケット領域とは、全周にわたって断続的に配置されている複数の突起壁43aによって分割されている。各突起壁43aの間に形成される隙間は、抽選ボール73が約1個分通過可能な幅を持っている。
【0035】
抽選ボール73は、ボール投入口86aから鉛直リング抽選器40の内周面の非ポケット領域上へ投入される。非ポケット領域は、鉛直リング抽選器40の下方位置においてポケット領域に向けて傾斜するように形成されている。これにより、非ポケット領域上の抽選ボール73は重力によりポケット領域に向けて移動する力を受ける。投入直後の抽選ボール73は、複数の突起壁43aに対する相対移動速度が大きいので、突起壁43aに規制され、突起壁43a間の隙間を通過できないまま、鉛直リング抽選器40の周方向に沿って非ポケット領域上を振り子のように往復移動する。その後、抽選ボール73の勢いが徐々に弱まっていき、複数の突起壁43aに対する相対移動速度が小さくなると、抽選ボール73は、非ポケット領域の傾斜により突起壁43a間の隙間を通過できるようになり、ポケット領域側へ移動する。ポケット領域上には、抽選ボール73が抽選用ポケット41へ入るのを妨げるための複数の突起部43bが設けられている。ポケット領域側に移動した抽選ボール73は複数の突起部43bに弾かれながらポケット領域上を漂い、最終的にはいずれかの抽選用ポケット41に入ることになる。
【0036】
本実施形態においては、ポケット領域における各抽選用ポケット41の周囲部分が、それぞれの抽選用ポケット41へ向かって傾斜する傾斜面となっている。これにより、ポケット領域上を転動する抽選ボール73が抽選用ポケット41に入りやすくなるので、鉛直リング抽選器40による物理抽選時間(抽選ボールが投入されてから抽選用ポケットに入るまでの時間)の短縮化を図ることができるとともに、鉛直リング抽選器40の回転速度を調整することによる物理抽選時間のコントロールが容易となる。
【0037】
鉛直リング抽選器40の下部で抽選用ポケット41に入った抽選ボール73は、回転駆動により抽選用ポケット41の周回移動に伴って鉛直リング抽選器40の上方へと搬送される。鉛直リング抽選器40の上方では、抽選用ポケット41が設けられた内周面が鉛直方向下方を向くことになるため、そのままでは自重により抽選ボール73が抽選用ポケット41からこぼれ落ちてしまう。本実施形態では、図6に示すように、このこぼれ落ちを防止するために、鉛直リング抽選器40の上方部分において内周面と対向するように、こぼれ落ち防止レール47a,47b(図11参照)が設けられている。これにより、鉛直リング抽選器40の上方へ搬送された抽選ボール73は、こぼれ落ち防止レール47a,47bに支持された状態で、回転駆動により鉛直リング抽選器40に沿って周回移動することが可能な構成となっている。
【0038】
一方、傾斜リング抽選器50の構成は、その回転軸が鉛直方向に対しても水平方向に対しても傾斜している点や、抽選用ポケット51の入口が外周面側に開口している点で、上述した鉛直リング抽選器40と異なっているが、図6や図7に示すように、中空領域の一部を外部に露出させた状態でその中空領域を取り囲むように構成された本体構造部分を有している点では鉛直リング抽選器40と同様の構成である。詳しく説明すると、傾斜リング抽選器50の外周面には、抽選ボール73が約1個分だけ収容可能な内部スペースを有する抽選用ポケット51がその周方向にわたって複数形成されている。本実施形態では、傾斜リング抽選器50の外周面に20個の抽選用ポケット51が均等間隔で設けられている。傾斜リング抽選器50は、装置支持台60に固定された基台54上に、各抽選用ポケット51を互いに仕切るための仕切り部材52が設けられている。傾斜リング抽選器50の仕切り部材52は、装置支持台60に設けられた図示しない駆動装置によって図中反時計回り方向へ基台54上を回転駆動する。これにより、傾斜リング抽選器50の抽選用ポケット51は周回移動することになる。
【0039】
抽選ボール73は、図7に示すようにボール投入待機部83でシャッター83aによって堰き止められて一時的に貯留された後、シャッター83aが図8に示すように移動することで傾斜リング抽選器50のスロープ54a上へ投入される。スロープ54aは、傾斜リング抽選器50の下方位置において仕切り部材52に隣接するように配置されており、仕切り部材52に向けて傾斜するように形成されている。これにより、スロープ54a上の抽選ボール73は重力により仕切り部材52に向けて移動する力を受ける。投入直後の抽選ボール73は、仕切り部材52の抽選用ポケット51に対する相対移動速度が大きいので、抽選用ポケット51に入ることができないまま、傾斜リング抽選器50の周方向に沿ってスロープ54a上を振り子のように往復移動する。その後、抽選ボール73の勢いが徐々に弱まっていき、抽選用ポケット51に対する相対移動速度が小さくなると、抽選ボール73は、抽選用ポケット51に入り込むことができるようになり、最終的にはいずれかの抽選用ポケット51に入り込む。
【0040】
本実施形態において、鉛直リング抽選器40及び傾斜リング抽選器50は、互いの中空領域に他方の抽選器の一部分が位置するように配置されている。より詳しくは、本実施形態では、2つの抽選器40,50が互いに鎖状につながるように、各抽選器40,50が配置されている。一般に、鉛直リング抽選器40や傾斜リング抽選器50のように中空領域を持った構成では、その中空領域がデッドスペースになりやすく、このような構成を備えた物理抽選装置は大型化しやすい。特に、本実施形態のように中空領域を持った抽選器が2つ以上存在する場合には、複数のデッドスペースが存在し得ることになるため、物理抽選装置がより大型化しやすい。本実施形態においては、各抽選器40,50のデッドスペースにお互いの本体構造部分を入れ込むことにより、互いのデッドスペースを打ち消し合っている。これにより、中空領域を持った抽選器が2つ以上存在する場合であっても、物理抽選装置(センター抽選装置3)が不必要に大型化することが抑制され、コンパクトな構造をもった物理抽選装置を実現できる。
なお、本実施形態における鉛直リング抽選器40及び傾斜リング抽選器50は、いずれも本体構造部分のループが閉じているドーナツ形状のものであったが、本体構造部分のループの一部が開いたU字形状やC字形状のものとしてもよい。
【0041】
図9は、センター抽選装置3を制御する中央制御装置30の主要部分の概略構成を示すブロック図である。
中央制御装置30は、CPU31、入出力ポート31a、ROM32、RAM33、第1回転制御部34a、第2回転制御部34b、テーブル駆動制御部35、表示制御部36、搬送制御部37、第1センサ制御部38a、第2センサ制御部38bなどから構成されている。入出力ポート31aは、各ステーション制御装置20との間でデータ通信を行うために利用される。ROM32は、CPU31が利用する各種プログラムや各種データベース等のデータを格納しており、これらをCPU31に出力する。RAM33は、CPU31によって演算された変数データなどを一時的に格納したり、ジャックポット貯留枚数等の各種変動データを記憶したりする。第1回転制御部34aは、CPU31の制御の下、鉛直リング抽選器40を回転駆動させる第1駆動装置61を制御する。第2回転制御部34bは、CPU31の制御の下、傾斜リング抽選器50を回転駆動させる第2駆動装置62を制御する。テーブル駆動制御部35は、CPU31の制御の下、回転テーブル64を回転駆動させるテーブル駆動装置63を制御する。表示制御部36は、鉛直リング抽選器40用の第1ディスプレイ装置71と、傾斜リング抽選器50用の第2ディスプレイ装置72とともに表示手段を構成し、CPU31の制御の下、抽選の説明や演出用の画面等を表示するこれらのディスプレイ装置71,72の表示制御を行う。搬送制御部37は、CPU31の制御の下、ボール搬送装置80に存在する搬送経路切替装置等の各種駆動装置を制御する。第1センサ制御部38aは、鉛直リング抽選器40に設けられた後述する第1ボールセンサ45及び第1パターンセンサ46からの出力信号に応じて、抽選ボール73が入った抽選用ポケット41に対応する当選ポケット信号をCPU31へ出力する。第2センサ制御部38bは、傾斜リング抽選器50に設けられた後述する第2ボールセンサ55及び第2パターンセンサ56からの出力信号に応じて、抽選ボール73が入った抽選用ポケット51に対応する当選ポケット信号をCPU31へ出力する。
【0042】
図10は、鉛直リング抽選器40及び傾斜リング抽選器50のそれぞれに設けられたボール排出部に接続されるボール搬送装置80の全体構成を示す斜視図である。
図11は、ボール搬送装置80及びその周辺構成を説明するための斜視図である。
図12は、ボール搬送装置80及びその周辺構成を説明するための側面図である。
【0043】
まず、鉛直リング抽選器40のボール排出部から排出される抽選ボール73の搬送経路に沿ってボール搬送装置80の構成を説明する。
本実施形態では、上述したように、鉛直リング抽選器40の上方部分に、抽選用ポケット41に入ったまま周回移動する抽選ボール73が抽選用ポケット41からこぼれ落ちるのを防止するためのこぼれ落ち防止レール47a,47bが設けられている。このこぼれ落ち防止レール47a,47bは、図11に示すように、その周方向に2つに分割されており、その間には抽選ボール73が通過可能な空隙が形成されている。この空隙が鉛直リング抽選器40のボール排出部(以下「第1ボール排出部」という。)48として機能する。すなわち、鉛直リング抽選器40の回転駆動により搬送されてきた抽選ボール73は、この第1ボール排出部48との対向位置に到達すると、自重により第1ボール排出部48を通じて下方へ落下する。
【0044】
また、第1ボール排出部48には、抽選ボール73を第1ボール排出部48から排出させる排出状態か又は排出させない非排出状態となる排出切替手段としてのシャッター47cが設けられている。このシャッター47cは、中央制御装置30の搬送制御部37によって制御される駆動装置47dにより、第1ボール排出部48を塞ぐ図13に示すボール通過位置と、第1ボール排出部48を開口させる図14に示すボール排出位置とに移動可能となっている。シャッター47cが図13に示すようにボール通過位置に位置するときに抽選ボール73が第1ボール排出部48を通過する場合には、抽選ボール73は第1ボール排出部48から落下せず、抽選用ポケット41に入った状態のまま、もう1周、鉛直リング抽選器40を周回移動することになる。一方、シャッター47cが図14に示すようにボール排出位置に位置するときに抽選ボール73が第1ボール排出部48を通過する場合には、抽選ボール73は第1ボール排出部48から落下する。このように、本実施形態では、シャッター47cの動作を制御することで、抽選用ポケット41に入った抽選ボール73を第1ボール排出部48から排出するか、排出せずに第1ボール排出部48を通過させて、もう1周、鉛直リング抽選器40を周回移動させるかを選択的に実行することができる。
【0045】
第1ボール排出部48の下方には、ボール搬送装置80の第1搬送レール82の上端部が配置されている。この第1搬送レール82は、図12に示すように、ゆるやかに傾斜しており、その下端部は開放されている。第1搬送レール82の下端部の下方には、後述する搬送経路切替装置81から傾斜リング抽選器50のボール投入待機部83へ抽選ボール73をその自重により搬送するためにボール投入待機部83に向けて傾斜している第2搬送レール84が配置されている。よって、第1搬送レール82を搬送される抽選ボール73は、第1搬送レール82の下端部から落下すると、第2搬送レール84に受け取られ、第2搬送レール84に沿って傾斜リング抽選器50のボール投入待機部83へと搬送される。
【0046】
また、第1搬送レール82の途中には、図15及び図16に示すように、抽選ボール73が通過可能な落下口82aが形成されている。この落下口82aには、抽選ボール73を落下口82aから排出させる排出状態か又は排出させない非排出状態となるシャッター82bが設けられている。このシャッター82bは、中央制御装置30の搬送制御部37によって制御される駆動装置82cにより、落下口82aを塞ぐ図15に示す閉塞位置と、落下口82aを開口させる図16に示す開口位置とに移動可能となっている。シャッター82bが図15に示すように閉塞位置に位置するときに抽選ボール73が落下口82aを通過する場合には、抽選ボール73は落下口82aから落下せずに、第1搬送レール82の下端部まで搬送される。一方、シャッター82bが図16に示すように開口位置に位置するときに抽選ボール73が落下口82aを通過する場合には、抽選ボール73は落下口82aから落下する。
【0047】
第1搬送レール82の落下口82aの下方には、ボール搬送装置80の第3搬送レール85の上端部が配置されている。この第3搬送レール85は、図12に示すようにゆるやかに傾斜しており、その下端部は搬送経路切替装置81の入口に接続されている。ここで、本実施形態では、搬送経路切替装置81を後述するように駆動制御することで、抽選ボール73が鉛直リング抽選器40又は傾斜リング抽選器50へ供給され、鉛直リング抽選器40又は傾斜リング抽選器50で抽選ボール73を用いた物理抽選が可能となる。そして、鉛直リング抽選器40又は傾斜リング抽選器50へ供給するための抽選ボール73は、搬送経路切替装置81の入口側に接続された第3搬送レール85の下端側部分に並んだ状態で貯留される。すなわち、本実施形態においては、第3搬送レール85の下端側部分及び搬送経路切替装置81によってボール貯留部が構成されている。
よって、本実施形態では、シャッター82bの動作を制御することで、第1ボール排出部48から排出された抽選ボール73を、傾斜リング抽選器50のボール投入待機部83へ送るか、ボール貯留部へ送るかを、選択的に実行することができる。
【0048】
次に、傾斜リング抽選器50のボール排出部から排出される抽選ボール73の搬送経路に沿ってボール搬送装置80の構成を説明する。
本実施形態では、上述したように、傾斜リング抽選器50の基台54における抽選用ポケット51の周回移動経路上に、抽選ボール73が通過可能な切欠部が形成されている。この切欠部が傾斜リング抽選器50のボール排出部(以下「第2ボール排出部」という。)58として機能する。すなわち、傾斜リング抽選器50の回転駆動により搬送されてきた抽選ボール73は、この第2ボール排出部58との対向位置に到達すると、図10に示すように、自重により第2ボール排出部58を通じて排出される。
【0049】
また、第2ボール排出部58には、鉛直リング抽選器40の第1ボール排出部48と同様に、抽選ボール73を第2ボール排出部58から排出させる排出状態か又は排出させない非排出状態となる排出切替手段としてのシャッター57が設けられている。このシャッター57は、駆動装置47dにより駆動され、鉛直リング抽選器40のシャッター47cと一体的に動作し、第2ボール排出部58を塞ぐ図13に示すボール通過位置と、第2ボール排出部58を開口させる図14に示すボール排出位置とに移動可能となっている。このシャッター57が図13に示すようにボール通過位置に位置するときに抽選ボール73が第2ボール排出部58を通過する場合には、抽選ボール73は第2ボール排出部58から落下せずに、抽選用ポケット51に入った状態のまま、もう1周、傾斜リング抽選器50を周回移動することになる。一方、このシャッター57が図14に示すようにボール排出位置に位置するときに抽選ボール73が第2ボール排出部58を通過する場合には、抽選ボール73は第2ボール排出部58から落下する。このように、本実施形態では、シャッター57の動作を制御することで、抽選用ポケット51に入った抽選ボール73を第2ボール排出部58から排出するか、排出せずに第2ボール排出部58を通過させて、もう1周、傾斜リング抽選器50を周回移動させるかを選択的に実行することができる。
【0050】
第2ボール排出部58の第2ボール排出部58から排出される抽選ボール73は、排出スロープ58aにより、ボール搬送装置80の上述した第3搬送レール85の上端部に案内される。したがって、第2ボール排出部58から排出された抽選ボール73は、第3搬送レール85により搬送経路切替装置81の入口すなわちボール貯留部へと搬送される。
【0051】
図17、図18及び図19は、搬送経路切替装置81の概略構成及び動作を説明するための説明図である。
搬送経路切替装置81は、主に、偏心回転部材81aと、偏心回転部材81aを回転させる図示しない駆動モータとから構成されている。偏心回転部材81aは、円盤状部材で構成されており、その円盤中心からズレた偏心位置に設けられる回転軸に駆動モータが接続されている。駆動モータは、中央制御装置30の搬送制御部37により、その回転方向や回転角が制御される。本実施形態において、偏心回転部材81aは、スタンバイ状態では、図17に示すように、偏心回転部材81aの回転軸から最も離れた長半径側端部が鉛直方向真下を向く状態で停止する。このスタンバイ状態では、搬送経路切替装置81の入口に接続された第3搬送レール85の下端側部分に並んで貯留される複数の抽選ボール73のうち最下流側に位置する抽選ボール73が、図17に示すように搬送経路切替装置81内に入り込む。このとき、最下流側の抽選ボール73は、偏心回転部材81aの鉛直方向上方に位置決めされる。
【0052】
搬送経路切替装置81には、鉛直リング抽選器40のボール投入位置へ向けて傾斜した第4搬送レール86の上端部に接続された第1出口と、傾斜リング抽選器50のボール投入待機部83へ向けて傾斜した第2搬送レール84の上端部に接続された第2出口の2つの出口が備わっている。これらの出口の各底面は、それぞれ、スタンバイ状態において搬送経路切替装置81内に位置決めされる抽選ボール73の下部位置よりも高い位置に位置する。よって、スタンバイ状態においては、搬送経路切替装置81内に抽選ボール73が入り込むと、入口の底部を形成する部材81cと、第1出口及び第2出口の各底面を形成する部材81d,81eと、入口に対向する側部に設けられる壁面部材81fとが、抽選ボール73の四方側部に当接し、抽選ボール73は転動が規制された状態で載置され、搬送経路切替装置81の出口から出ることなく保持される。
【0053】
その後、駆動モータが図中反時計回り方向へ回転駆動すると、図18に示すように、偏心回転部材81aの長半径側端部が鉛直方向上方へ回動してくる。これにより、偏心回転部材81aの回転方向に面した周縁部分が、抽選ボール73の下方から、第4搬送レール86の上端部に接続された第1出口側に向けて、抽選ボール73を徐々に押し上げていく。そして、偏心回転部材81aの長半径側端部が鉛直方向真上を向く頃には、偏心回転部材81aの周縁部分によって抽選ボール73が第1出口の高さへ持ち上げられるとともに第4搬送レール86側へ押し出され、その抽選ボール73は、第1出口から第4搬送レール86を通じて鉛直リング抽選器40のボール投入位置へ搬送される。
【0054】
同様に、搬送制御部37からの制御により、駆動モータが図中時計回り方向に回転駆動すると、図19に示すように、偏心回転部材81aの長半径側端部が鉛直方向上方へ回動してくる。これにより、偏心回転部材81aの回転方向に面した周縁部分が、抽選ボール73の下方から、第2搬送レール84の上端部に接続された第2出口側に向けて、抽選ボール73を徐々に押し上げていく。そして、偏心回転部材81aの長半径側端部が鉛直方向真上を向く頃には、偏心回転部材81aの周縁部分によって抽選ボール73が第2出口の高さへ持ち上げられるとともに第2搬送レール84側へ押し出され、その抽選ボール73は、第2出口から第2搬送レール84を通じて傾斜リング抽選器50のボール投入待機部83へ搬送される。
【0055】
次に、抽選ボール73がどの抽選用ポケット41,51に入ったかを検知するための構成及び動作について説明する。
なお、本実施形態において、この検知に関わる構成及び動作は、鉛直リング抽選器40も傾斜リング抽選器50もほぼ同様の構成であるため、以下の説明では、傾斜リング抽選器50を例に挙げて説明し、鉛直リング抽選器40についての説明は省略する。
【0056】
図20は、傾斜リング抽選器50に設けられる第2パターンセンサ56の構成を示す斜視図である。
本実施形態では、上述したように、抽選用ポケット51を周回移動させるために、その抽選用ポケット51を形成する仕切り部材52が周回移動するように駆動させている。一方で、中央制御装置30は、装置支持台60の内部に固定配置されている。そのため、各抽選用ポケット51に抽選ボール73が入ったことを検知するためのセンサを抽選用ポケット51と一緒に周回移動するように仕切り部材52に設けると、そのセンサの出力信号を安定して中央制御装置30へ伝達することが困難である。
そこで、本実施形態では、固定配置されるセンサだけを用いて、周回移動する抽選用ポケットのいずれに抽選ボール73が入ったかを検知する構成を採用している。
【0057】
詳しく説明すると、図7に示すように、傾斜リング抽選器50の下方部分であって抽選用ポケット51が通過する基台54の一部分に、第2ボールセンサ55が固定配置されている。本実施形態においては、抽選用ポケット51の周回移動経路の最下部に1つと、その周方向両側に3つずつの合計7つの第2ボールセンサ55が、抽選用ポケット51間の周方向間隔と同じ間隔だけ離間して配置されている。7つの第2ボールセンサ55は、いずれもメカニカルスイッチで構成されたセンサであり、いずれかの抽選用ポケット51に入った抽選ボール73が最初に通過することになる第2ボールセンサ55のスイッチ片を自重により押し倒すことにより、その抽選ボール73は当該第2ボールセンサ55により検知される。
【0058】
ここで、第2ボールセンサ55の出力信号(ボール検知信号)だけでは、どの抽選用ポケット51に抽選ボール73が入ったかを特定することができない。そこで、本実施形態では、第2ボールセンサ55のボール検知信号だけでなく、図20に示す第2パターンセンサ56の出力信号(パターン信号)を併用することで、どの抽選用ポケット51に抽選ボール73が入ったかを特定することにしている。
【0059】
第2パターンセンサ56は、傾斜リング抽選器50の内周面側であって、ボール投入待機部83に対向する箇所(図7中符号Aで示す箇所)に固定配置されている。この第2パターンセンサ56は、各抽選用ポケット51と同じ数だけ互いに等間隔となるように仕切り部材52の内周面に設けられたマーク板52aのマークパターンを読み取る。各マーク板52aは、1枚のトリガー片52bと、最大5枚のマーク片52cとを備えており、マーク片52cの有無の組合せによって、互いに異なるマークパターンが形成されている。第2パターンセンサ56は、マーク板52aのマーク片52cを検知するための5つのマークセンサ56aと、マーク板52aのトリガー片52bを検知する1つのトリガーセンサ56bとから構成されている。マークセンサ56a及びトリガーセンサ56bはいずれも透過型の光学センサであり、マーク片52cやトリガー片52bによって光路が遮られるか否かによって検知を行う。
【0060】
第2パターンセンサ56は、トリガーセンサ56bによってトリガー片52bを検知するたびに、その検知時における5つのマークセンサ56aの出力信号の組合せを示すパターン信号を中央制御装置30の第2センサ制御部38bへ出力している。そして、抽選ボール73が抽選用ポケット51に入り、これが7つの第2ボールセンサ55のうち例えば最下部に位置する第2ボールセンサ55(周方向中央の第2ボールセンサ55)によって検知されたとする。この場合、その第2ボールセンサ55からボール検知信号が出力され、このボール検知信号が中央制御装置30の第2センサ制御部38bに入力される。このボール検知信号を受信した第2センサ制御部38bは、その受信と同時又はその直後に第2パターンセンサ56からのパターン信号の入力を受けることで、そのパターン信号に対応する抽選用ポケット51を、抽選ボール73が入った抽選用ポケットであると特定する。
【0061】
すなわち、第2パターンセンサ56と最下部に位置する第2ボールセンサ55との位置関係は固定されている。具体的には、抽選ボールの入った抽選用ポケット51が最下部の第2ボールセンサ55との対向位置に位置する時、その抽選用ポケット51に対して抽選用ポケットの周回移動方向下流側に5個ずれた抽選用ポケットの内周面側に設けられたマーク板52aのマークパターンが、第2パターンセンサ56によって検知される。したがって、最下部に位置する第2ボールセンサ55で抽選ボール73を検知した場合、第2パターンセンサ56で検知したマーク板52aのマークパターンは、そのマーク板52aの対向位置に配置されている抽選用ポケット51に対して抽選用ポケットの周回移動方向上流側に5個ずれた抽選用ポケットに対応している。よって、最下部の第2ボールセンサ55からボール検知信号を受信した第2センサ制御部38bは、その受信と同時又はその直後に第2パターンセンサ56からパターン信号を受信することにより、例えばその対応関係を示すデータテーブルを参照して、抽選ボール73が入った抽選用ポケットを特定することができる。そして、第2センサ制御部38bは、特定した抽選用ポケットを示す当選ポケット信号をCPU31へ出力する。
【0062】
ここで、本実施形態では、7つの第2ボールセンサ55を備えており、各第2ボールセンサ55と第2パターンセンサ56との位置関係が互いに異なっている。そのため、第2パターンセンサ56からパターン信号と抽選ボール73が入った抽選用ポケットとの対応関係は、抽選ボール73を検知する第2ボールセンサ55ごとに異なることになる。具体的には、例えば、抽選用ポケットの周回移動方向最上流側に配置された第2ボールセンサ55が抽選ボール73を検知した時に第2パターンセンサ56で読み取ったマークパターンは、そのマーク板52aの対向位置に配置されている抽選用ポケット51に対して抽選用ポケットの周回移動方向上流側に8個ずれた抽選用ポケットに対応することになる。また、例えば、抽選用ポケットの周回移動方向最下流側に配置された第2ボールセンサ55が抽選ボール73を検知した時に第2パターンセンサ56で読み取ったマークパターンは、そのマーク板52aの対向位置に配置されている抽選用ポケット51に対して抽選用ポケットの周回移動方向上流側に2個ずれた抽選用ポケットに対応することになる。
【0063】
なお、第2ボールセンサ55は少なくとも1つ設ければよいが、本実施形態で複数設けている理由は次のとおりである。
第1に、抽選ボール73が抽選用ポケット51に入った時点からなるべく早い時期にその抽選用ポケット51を特定するためである。すなわち、本実施形態においては、抽選ボール73は必ず最下部の抽選用ポケットに入るとは限らず、最下部の抽選用ポケットの両側2つずつの合計5つの抽選用ポケットの範囲で、いずれかの抽選用ポケット51に入る可能性がある。この場合、この範囲内における抽選用ポケットの周回移動方向最下流側付近にのみ1つの第2ボールセンサ55を設ければ、抽選ボール73が入った抽選用ポケットを特定できる。しかし、この場合、抽選ボール73が入った抽選用ポケット51に入った後、その抽選用ポケット51がその第2ボールセンサ55の位置まで移動してくるまでは、その抽選用ポケット51を特定することができない。したがって、抽選用ポケット51に抽選ボール73が入ってからしばらくの間、その抽選用ポケット51を特定できず、演出が遅れるなどの弊害をもたらす場合がある。これに対し、本実施形態のように複数の第2ボールセンサ55を設けることで、抽選用ポケット51に抽選ボール73が入ってからこれが検知されるまでの最大遅延時間を小さくすることができる。これにより、抽選用ポケット51に抽選ボール73が入った時点から早期にその抽選用ポケット51を特定でき、演出が遅れるなどの弊害を軽減することができる。
第2に、例えば、第2ボールセンサ55が故障したり、抽選ボール73による第2ボールセンサ55のスイッチ片の押し込みが経時変化するなどして検知が不安定になったりした場合でも、ダウンタイムを発生させずに、ゲーム進行(物理抽選)を継続可能とするためである。すなわち、本実施形態のように複数の第2ボールセンサ55を設けることで、抽選用ポケット51に抽選ボール73が入った直後に到達する第2ボールセンサ55でボール検知ができない場合であっても次の第2ボールセンサ55でボール検知が可能となり、ダウンタイムを発生させずに、ゲーム進行(物理抽選)を継続することが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態では、ボール検知信号を受信した第2センサ制御部38bが、その受信と同時又はその直後に受信するパターン信号に基づいて抽選ボール73が入った抽選用ポケットを特定する場合について説明したが、他の方法を採用してもよい。例えば、第2センサ制御部38bは、常に最新のパターン信号を記憶しておくようにし、ボール検知信号を受信した時に記憶されている最新のパターン信号に基づいて抽選ボール73が入った抽選用ポケットを特定する方法を採用することもできる。この方法は、より早期に抽選用ポケット51を特定できる点で優れている。
【0065】
次に、センター抽選装置3で実行される鉛直リング抽選器40を用いた第1センター抽選(物理抽選)の流れについて説明する。
図21は、1回の第1センター抽選の流れを示すフローチャートである。
中央制御装置30のCPU31は、入出力ポート31aを介して、いずれかのステーション部2から第1センター抽選開始要求を受信した場合(S21)、CPU31は、RAM33の抽選待ちデータベースに当該ステーション部2を特定するためのステーションIDを登録する(S22)。そして、第1センター抽選開始要求を受信した順番で、順次、そのステーション部2のプレイヤーに対する第1センター抽選を行う。第1センター抽選を開始する場合、まず、CPU31は、テーブル駆動制御部35に対し、第1センター抽選を行うプレイヤーのステーション部2に、鉛直リング抽選器40の正面を向かせる駆動命令を出力する。これにより、テーブル駆動制御部35は、そのステーション部2に鉛直リング抽選器40の正面が向くように、回転テーブル64を回転駆動させる。その後、CPU31は、搬送制御部37に対し、抽選ボール73をボール投入口86aへ送る命令を出力する。搬送制御部37は、この命令を受けて、搬送経路切替装置81の駆動モータ81bを回転駆動させ、偏心回転部材81aを図18に示したように回転させる。これにより、抽選ボール73は、第4搬送レール86を通ってボール投入口86aから鉛直リング抽選器40の内周面上の非ポケット領域へ投入される(S23)。
【0066】
非ポケット領域へ投入された抽選ボール73は、突起壁43aに規制されながら鉛直リング抽選器40の周方向に沿って非ポケット領域上を振り子のように往復移動し、徐々に勢いが弱まっていく。そして、複数の突起壁43aに対する相対移動速度が十分に小さくなると、抽選ボール73は、非ポケット領域の傾斜により突起壁43a間の隙間を通過してポケット領域側へ移動する。その後、ポケット領域上に移動した抽選ボール73は、移動するポケット領域の表面から一定の外力を受けながらポケット領域上を漂い、いずれかの抽選用ポケット41を通過するときに抽選用ポケット41へ入ることになる。
【0067】
ここで、鉛直リング抽選器40の回転速度が常に一定であると、ポケット領域の表面移動速度も一定となり、抽選ボール73がポケット領域の表面から受ける外力も一定となる。そのため、ポケット領域上の抽選ボール73が抽選用ポケット41を避ける軌道に乗って転動し続けてしまい、抽選ボール73がいつまで経っても抽選用ポケット41に入らないという事態が起こり得る。そこで、本実施形態では、図示しない計時手段により抽選ボール73を鉛直リング抽選器40へ投入してからの経過時間を計時する構成を設けている。そして、CPU31は、計時手段が計時した経過時間に基づき、予め決められた規定時間が経過したか否かを判断する(S25)。この規定時間は、任意に設定可能である。本実施形態において、この規定時間は、ポケット領域上の抽選ボール73が抽選用ポケット41を避けるような軌道に乗って転動し続けてしまうような事態に陥らない限りは(通常の場合は)、抽選ボールが抽選用ポケット41に入るまでに要する時間を十分に確保できる程度の期間に設定されている。したがって、通常の場合は、規定時間が経過する前に抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット41に入り、その抽選用ポケット41に対応する当選ポケット信号が第1センサ制御部38aからCPU31へ出力される(S24)。
【0068】
一方、CPU31が当選ポケット信号を受信しないまま規定時間が経過した場合(S25のYes)、CPU31は、まず、減速予告報知処理を行う(S26)。この減速予告報知処理は、第1ディスプレイ装置71にカウントダウン映像を表示させ、鉛直リング抽選器40の移動パターンがいつ変更されるのか、具体的には鉛直リング抽選器40の回転速度がいつ減速するのかを予めプレイヤーに報知するための処理である。具体的に説明すると、規定時間が経過したと判断したCPU31は、カウントダウン演出命令を表示制御部36へ送る。表示制御部36は、このカウントダウン演出命令を受けて、第1ディスプレイ装置71にカウントダウン映像を表示させる表示制御を行う。そして、カウントダウン映像が減速時期を示す映像になるタイミングとほぼ同時に、第1回転制御部34aにより、鉛直リング抽選器40の移動パターンを変更する処理、具体的には鉛直リング抽選器40の回転速度を減速させる処理を行う(S27)。
【0069】
なお、仮に、規定時間が経過した後であって、鉛直リング抽選器40の回転速度を減速する前に、抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット41に入り、その当選ポケット信号をCPU31が受信した場合には、その時点でカウントダウン演出をキャンセルし、鉛直リング抽選器40の回転速度を減速させる処理(S27)も行わないようにする。
また、鉛直リング抽選器40の回転速度を減速した後も、抽選ボール73が抽選用ポケット41に入らず、抽選用ポケット41を避け続ける別の軌道に乗ってしまうような事態が生じることが想定される場合には、例えば、減速してからの経過時間を計時手段により計時し、その経過時間が規定時間(上記の規定時間とは異なる期間に設定してもよい。)を経過したら、減速予告報知処理を行った後に鉛直リング抽選器40の回転速度を更に減速させたり、逆に増速させたりするような構成も採用できる。
【0070】
本実施形態のように鉛直リング抽選器40の回転速度が減速すると、ポケット領域の表面移動速度が変動するので、移動するポケット領域表面(転動面)から抽選ボール73が受ける外力に変化を与えることができる。これにより、ポケット領域上を転動する抽選ボール73が抽選用ポケット41を避け続ける軌道に乗ってしまった場合であっても、その抽選ボール73をその軌道から外すことができる。その結果、ポケット領域上を転動する抽選ボール73がいつまで経っても抽選用ポケット41に入らないという事態の発生を防止することができる。
【0071】
なお、本実施形態においては、鉛直リング抽選器40の移動パターンの変更は、鉛直リング抽選器40の回転速度を減速する方法により行うが、他の方法であってもよい。例えば、鉛直リング抽選器40の回転速度を増速することにより、鉛直リング抽選器40の移動パターンを変更する方法も考えられる。また、例えば、鉛直リング抽選器40の移動速度が規則的に変化するような移動パターンから、鉛直リング抽選器40の移動速度が一定速度となる移動パターンへ変更したり、逆に、鉛直リング抽選器40の移動速度が一定速度となる移動パターンから、鉛直リング抽選器40の移動速度が規則的に変化する移動パターンへ変更したりする方法が考えられる。また、例えば、鉛直リング抽選器40の移動方向を変更することにより、鉛直リング抽選器40の移動パターンを変更する方法も考えられる。
【0072】
投入された抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット41に入り、その抽選用ポケット41に対応する当選ポケット信号を第1センサ制御部38aから受信すると(S24のYes)、CPU31は、RAM33に記憶されている第1賞決定テーブルを参照して、その当選ポケット信号に対応する賞を決定する。本実施形態において、第1センター抽選で当選し得る賞は、大別すると、プレイヤーに対して当該賞に対応した量のクレジットを払い出す払出賞(配当払出賞)と、ステーション部2で実行されるスロットゲームにおいて特別ゲームであるフリーゲームを開始するためのフリーゲーム賞と、傾斜リング抽選器50を用いた第2センター抽選を行うための第2センター抽選賞とがある。そして、CPU31は、第1センサ制御部38aから受信した当選ポケット信号と第1賞決定テーブルとにより、今回の第1センター抽選で当選した賞を特定する。
【0073】
配当払出賞の当選が決定した場合(S28のYes)、CPU31は、第1ディスプレイ装置71やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、払出処理手段として機能し、入出力ポート31aから、当該ステーション部2のステーション制御装置20へ配当払出命令を送信する(S29)。この配当払出命令を受信したステーション制御装置20のCPU21は、RAM23に記憶されているクレジットデータに、当該配当払出命令に応じたクレジット量分を加算する払出処理を行う。
【0074】
また、フリーゲーム賞の当選が決定した場合(S30のYes)、CPU31は、第1ディスプレイ装置71やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、入出力ポート31aから、当該ステーション部2のステーション制御装置20へフリーゲーム開始命令を送信する(S31)。このフリーゲーム開始命令を受信したステーション制御装置20のCPU21は、フリーゲーム用のプログラムを実行し、所定のフリーゲーム終了条件が満たされるまで、フリーゲームの進行を制御する。なお、本実施形態のフリーゲームは、クレジットをベットすることなくプレイできるスロットゲームであり、そのスロットゲームの内容は通常のスロットゲームと同じものでも異なるものでもよい。なお、フリーゲーム賞に代えて、特別ゲームであるボーナスゲーム(スロットゲーム以外のゲームであってもよい。)を開始するためのボーナスゲーム賞などを採用してもよい。
【0075】
また、第2センター抽選賞の当選が決定した場合(S30のNo)、CPU31は、第1ディスプレイ装置71やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、第2センター抽選を行う動作モードへ移行する(S40)。
【0076】
次に、センター抽選装置3で実行される傾斜リング抽選器50を用いた第2センター抽選(物理抽選)の流れについて説明する。
図22は、1回の第2センター抽選の流れを示すフローチャートである。
中央制御装置30のCPU31は、入出力ポート31aを介していずれかのステーション部2から第2センター抽選開始要求を受信するか、第1センター抽選において第2センター抽選賞の当選が決定するかの第2センター抽選開始条件が満たされた場合(S41)、CPU31は、そのステーション部2のプレイヤーに対する第2センター抽選を行う。第2センター抽選を開始する場合、CPU31は、テーブル駆動制御部35に対し、第2センター抽選を行うプレイヤーのステーション部2に、傾斜リング抽選器50の正面を向かせる駆動命令を出力する。これにより、テーブル駆動制御部35は、そのステーション部2に傾斜リング抽選器50の正面が向くように、回転テーブル64を回転駆動させる。
【0077】
その後、CPU31は、搬送制御部37に対し、抽選ボール73をボール投入待機部83へ送る命令を出力する。ここで、搬送制御部37は、満たした第2センター抽選開始条件の違いにより異なる動作をする。具体的には、ステーション部2から第2センター抽選開始要求を受信することで第2センター抽選開始条件を満たした場合には、搬送経路切替装置81の駆動モータ81bを回転駆動させ、偏心回転部材81aを図19に示したように回転させる。これにより、抽選ボール73は、第2搬送レール84を通ってボール投入待機部83へと搬送される(S42)。一方、第1センター抽選において第2センター抽選賞の当選が決定したことにより第2センター抽選開始条件を満たした場合には、鉛直リング抽選器40の第1ボール排出部48に設けられたシャッター47cを図14に示したようにボール排出位置に移動させ、かつ、第1搬送レール82の落下口82aに設けられたシャッター82bを図15に示したように閉塞位置に移動させる。これにより、第1センター抽選の第2センター抽選賞に対応した抽選用ポケット41に入った抽選ボール73が、第1ボール排出部48から第1搬送レール82を通ってボール投入待機部83へと搬送される(S42)。
【0078】
次に、CPU31は、搬送制御部37に対し、抽選ボール73の投入命令を出力する。この投入命令を受けた搬送制御部37は、ボール投入待機部83で抽選ボール73を堰き止めていたシャッター83aを図8に示すように移動させる駆動制御を行う。これにより、シャッター83aで堰き止められていた抽選ボール73は、傾斜リング抽選器50のスロープ54a上へ投入される(S43)。
【0079】
ここで、傾斜リング抽選器50の回転速度が常に一定であると、スロープ54aに対する抽選用ポケット51の相対移動速度も一定となるので、例えば、抽選ボール73の勢いが十分に弱まった状態でも、毎回同じように抽選ボール73が抽選用ポケット51の開口縁部分(仕切り部材52)に弾かれるという状況に陥る場合がある。そこで、本実施形態では、図示しない計時手段により抽選ボール73を傾斜リング抽選器50へ投入してからの経過時間を計時する構成を設けている。そして、CPU31は、計時手段が計時した経過時間に基づき、予め決められた規定時間が経過したか否かを判断する(S45)。この規定時間は、任意に設定可能である。本実施形態において、この規定時間は、スロープ54a上の抽選ボール73が上記のような状況に陥らない限りは(通常の場合は)、抽選ボールが抽選用ポケット51に入るまでに要する時間を十分に確保できる程度の期間に設定されている。したがって、通常の場合は、規定時間が経過する前に抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット51に入り、その抽選用ポケット51に対応する当選ポケット信号が第2センサ制御部38bからCPU31へ出力される(S44)。
【0080】
一方、CPU31が当選ポケット信号を受信しないまま規定時間が経過した場合(S45のYes)、CPU31は、まず、減速予告報知処理を行う(S46)。この減速予告報知処理は、第2ディスプレイ装置72にカウントダウン映像を表示させ、傾斜リング抽選器50の移動パターンがいつ変更されるのか、具体的には傾斜リング抽選器50の回転速度がいつ減速するのかを予めプレイヤーに報知するための処理である。具体的に説明すると、規定時間が経過したと判断したCPU31は、カウントダウン演出命令を表示制御部36へ送る。表示制御部36は、このカウントダウン演出命令を受けて、第2ディスプレイ装置72にカウントダウン映像を表示させる表示制御を行う。そして、カウントダウン映像が減速時期を示す映像になるタイミングとほぼ同時に、第2回転制御部34bにより、傾斜リング抽選器50の移動パターンを変更する処理、具体的には傾斜リング抽選器50の回転速度を減速させる処理を行う(S47)。
【0081】
なお、仮に、規定時間が経過した後であって、傾斜リング抽選器50の回転速度を減速する前に、抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット51に入り、その当選ポケット信号をCPU31が受信した場合には、その時点でカウントダウン演出をキャンセルし、傾斜リング抽選器50の回転速度を減速させる処理(S47)も行わないようにする。
また、傾斜リング抽選器50の回転速度を減速した後も、抽選ボール73が抽選用ポケット51に入らずに上記のような状況に陥ることが想定される場合には、例えば、減速してからの経過時間を計時手段により計時し、その経過時間が規定時間(上記の規定時間とは異なる期間に設定してもよい。)を経過したら、減速予告報知処理を行った後に傾斜リング抽選器50の回転速度を更に減速させたり、逆に増速させたりするような構成も採用できる。
【0082】
本実施形態のように傾斜リング抽選器50の回転速度が減速すると、スロープ54aに対する抽選用ポケット51の相対移動速度が変動するので、上記のような状況に変化を与えることができる。その結果、スロープ54a上を転動する抽選ボール73がいつまで経っても抽選用ポケット51に入らないという事態の発生を防止することができる。
【0083】
なお、本実施形態においては、傾斜リング抽選器50の移動パターンの変更は、傾斜リング抽選器50の回転速度を減速する方法により行うが、他の方法であってもよい。例えば、傾斜リング抽選器50の回転速度を増速することにより、傾斜リング抽選器50の移動パターンを変更する方法も考えられる。また、例えば、傾斜リング抽選器50の移動速度が規則的に変化するような移動パターンから、傾斜リング抽選器50の移動速度が一定速度となる移動パターンへ変更したり、逆に、傾斜リング抽選器50の移動速度が一定速度となる移動パターンから、傾斜リング抽選器50の移動速度が規則的に変化する移動パターンへ変更したりする方法が考えられる。また、例えば、傾斜リング抽選器50の移動方向を変更することにより、傾斜リング抽選器50の移動パターンを変更する方法も考えられる。
【0084】
投入された抽選ボール73がいずれかの抽選用ポケット51に入り、その抽選用ポケット51に対応する当選ポケット信号を第2センサ制御部38bから受信すると(S44)、CPU31は、RAM33に記憶されている第2賞決定テーブルを参照して、その当選ポケット信号に対応する賞を決定する。本実施形態において、第2センター抽選で当選し得る賞は、大別すると、プレイヤーに対して当該賞に対応した量のクレジットを払い出す払出賞(配当払出賞)と、ステーション部2で実行されるスロットゲームにおいて特別ゲームであるフリーゲームを開始するためのフリーゲーム賞と、第1ジャックポット賞と、第2ジャックポット賞とがある。そして、CPU31は、第2センサ制御部38bから受信した当選ポケット信号と第2賞決定テーブルとにより、今回の第2センター抽選で当選した賞を特定する。
【0085】
ここで、本実施形態では、ジャックポット賞が2種類存在する。第1ジャックポット賞は、第1ジャックポット貯留枚数(払出量)分のメダル(クレジット)が、当該ステーション部2でプレイするプレイヤーに払い出される賞である。第1ジャックポット貯留枚数を示す第1貯留枚数データ(払出量データ)は、中央制御装置30のRAM33に記憶されている。この第1貯留枚数データのカウント値すなわち第1ジャックポット貯留枚数は、所定の初期値(例えば500枚)に対し、すべてのステーション部2でクレジットがベットされるたびにそのベット量の一部に相当する量(例えば0.03)を累積的に加算したものである。
第2ジャックポット賞は、第2ジャックポット貯留枚数(払出量)分のメダル(クレジット)が、当該ステーション部2でプレイするプレイヤーに払い出される賞である。第2ジャックポット貯留枚数を示す第2貯留枚数データ(払出量データ)も、中央制御装置30のRAM33に記憶されている。この第2貯留枚数データのカウント値すなわち第2ジャックポット貯留枚数も、所定の初期値(例えば500枚)に対し、すべてのステーション部2でクレジットがベットされるたびにそのベット量の一部に相当する量(例えば0.03)を累積的に加算したものである。
なお、本実施形態では、第1ジャックポット賞と第2ジャックポット賞とで、ジャックポット貯留枚数の増加条件が同じであるが、互いに異なるようにしてもよい。
【0086】
配当払出賞の当選が決定した場合(S48のYes)、CPU31は、第2ディスプレイ装置72やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、払出処理手段として機能し、入出力ポート31aから、当該ステーション部2のステーション制御装置20へ配当払出命令を送信する(S49)。この配当払出命令を受信したステーション制御装置20のCPU21は、RAM23に記憶されているクレジットデータに、当該配当払出命令に応じたクレジット量分を加算する払出処理を行う。なお、第2センター抽選での配当払出賞の配当は、第1センター抽選での配当払出賞よりも高い配当となるように設定することが好ましい。
【0087】
また、フリーゲーム賞の当選が決定した場合(S50のYes)、CPU31は、第2ディスプレイ装置72やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、入出力ポート31aから、当該ステーション部2のステーション制御装置20へフリーゲーム開始命令を送信する(S51)。このフリーゲーム開始命令を受信したステーション制御装置20のCPU21は、フリーゲーム用のプログラムを実行し、所定のフリーゲーム終了条件が満たされるまで、第1センター抽選のフリーゲーム賞の場合と同様に、フリーゲームの進行を制御する。もちろん、フリーゲーム賞に代えて、特別ゲームであるボーナスゲーム(スロットゲーム以外のゲームであってもよい。)を開始するためのボーナスゲーム賞などを採用してもよい。なお、第2センター抽選でのフリーゲーム賞に当選することで実行されるフリーゲームは、第1センター抽選でのフリーゲーム賞に当選することで実行されるフリーゲームよりも、所定のフリーゲーム終了条件を緩和するなど、プレイヤーに有利な条件となるように設定することが好ましい。
【0088】
また、第1ジャックポット賞の当選が決定した場合(S52のYes)、CPU31は、第2ディスプレイ装置72やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、払出処理手段として機能し、RAM33から第1貯留枚数データを読み出し、そのデータのカウント値が示す分のクレジット量を、当該ステーション部2でプレイするプレイヤーへ払い出すための処理を行う(S53)。具体的には、例えば、配当払出賞の場合と同様に、入出力ポート31aから当該ステーション部2のステーション制御装置20へ配当払出命令を送信する。または、ゲーム施設の係員がプレイヤーへ直接メダルを支払うなど、アテンダントペイとしてもよい。また、CPU31は、RAM33に記憶されている第1貯留枚数データを初期値にリセットする(S54)。
【0089】
また、第2ジャックポット賞の当選が決定した場合(S52のNo)、CPU31は、第2ディスプレイ装置72やその他の演出手段(照明手段や音出力手段等)を制御して所定の演出を行う。そして、CPU31は、払出処理手段として機能し、RAM33から第2貯留枚数データを読み出し、そのデータのカウント値が示す分のクレジット量を、第1ジャックポット賞の場合と同じ方法で又は異なる方法で、当該ステーション部2でプレイするプレイヤーへ払い出すための処理を行う(S55)。また、CPU31は、RAM33に記憶されている第2貯留枚数データを初期値にリセットする(S56)。
【0090】
本実施形態では、いずれかのステーション部2でプレイするプレイヤーが第1ジャックポット賞に当選しても、第2ジャックポット賞に係る第2貯留枚数データはリセットされない。同様に、いずれかのステーション部2でプレイするプレイヤーが第2ジャックポット賞に当選しても、第1ジャックポット賞に係る第1貯留枚数データはリセットされない。すなわち、いずれか一方のジャックポット賞がだれかに当選してしまった後も、他方のジャックポット賞の貯留枚数は維持されたままとなる。よって、だれかがいずれか一方のジャックポット賞に当選した場合、残りのプレイヤーは、そのジャックポット賞に当選したいという欲求については減退するものの、他方のジャックポット賞こそは自分が当選したいという強い欲求が生まれる。その結果、だれかがいずれか一方のジャックポット賞に当選してしまっても、他のプレイヤーにとってのゲーム性は低下するどころか、そのゲーム性がより一層高まるという効果が期待できる。
【0091】
なお、本実施形態では、プレイヤーからメダル(ベット対象)を受け取ることを条件にゲーム進行を制御するメダルゲーム機を例に挙げて説明したが、貨幣を直接受け取ることを条件にゲーム進行を制御するカジノ等に設置されるゲーム装置などにも同様に適用することができる。
また、本実施形態では、センター抽選装置3を用いて、抽選用転動体である抽選ボール73が複数ある抽選用ポケット41,51のいずれに入るかにより、当選する賞を決定するという物理抽選を行う場合について説明したが、センター抽選装置3を用いて他の種類の物理抽選を行うことも可能である。例えば、センター抽選装置3をビンゴゲーム機に適用し、複数ある抽選用ポケット41,51にそれぞれビンゴ数字を割り当てておき、各抽選用転動体である抽選ボール73が入った抽選用ポケット41,51に割り当てられたビンゴ数字を当選ビンゴ数字として順次決定していくという物理抽選にも適用できる。この場合、鉛直リング抽選器40を用いる場合を例に挙げると、第1ボール排出部48に設けられたシャッター47cを図13に示すようにボール通過位置に移動させた状態で、抽選ボール73を複数回投入すれば、すでに抽選ボール73が入っている抽選用ポケット41はその抽選ボール73で塞がれるため、同じビンゴ数字が繰り返し当選する事態を防ぐことができるとともに、迅速なビンゴ抽選が可能となるため、有益である。
【0092】
また、本実施形態において、第1ボール排出部48に設けられたシャッター47cを図13に示すようにボール通過位置に移動させた状態で、抽選ボール73を複数回投入すれば、すでに抽選ボール73が入っている抽選用ポケット41はその抽選ボール73で塞がれるため、その後の抽選ボールは残りの抽選用ポケット41のいずれかに入ることになる。このような構成とすれば、例えば第2センター抽選賞に当選することが最大の目標となるようにゲーム設定されている場合、最初に投入された抽選ボール73が第2センター抽選賞以外の賞が割り当てられた抽選用ポケット41に入ったとき、次に投入された抽選ボール73が第2センター抽選賞が割り当てられた抽選用ポケット41に入る確率が高まるというゲーム性を提供することが可能となる。この説明は、鉛直リング抽選器40の場合であるが、傾斜リング抽選器50の場合でも同様である。
【0093】
また、本実施形態の傾斜リング抽選器50は、抽選用転動体である抽選ボール73を転動面であるスロープ54a上で転動させることにより、そのスロープ54aの面に隣接して開口する複数の抽選用ポケット51のいずれに抽選ボール73が入るかにより抽選を行う物理抽選装置であり、そのスロープ54aが固定されていて表面が移動しない構成であるが、そのスロープ54aの表面が複数の抽選用ポケット51に対して相対移動するようにスロープ54aの表面を移動させてもよい。この場合、複数の抽選用ポケット51は本実施形態のように移動する構成としても移動しない構成としてもよい。
また、本実施形態では、鉛直リング抽選器40の場合も、傾斜リング抽選器50の場合も、回転速度の変更タイミングは、抽選ボール73を供給してから所定時間(規定時間+カウントダウンに要する時間)が経過したタイミングである場合について説明したが、他のタイミングであってもよい。例えば、本センター抽選装置3による抽選を待っているプレイヤーが規定数以上になるタイミングとしてもよい。このタイミングは、中央抽選装置30のRAM33に記憶される抽選待ちデータベースを参照することで特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、実施形態に係るメダルゲーム機の全体構成を示す部分斜視図である。
【図2】図2は、同メダルゲーム機におけるステーション部の上部を示す斜視図である。
【図3】図3は、同ステーション部のタッチパネルに表示されるゲーム画面の一例を示す説明図である。
【図4】図4は、同ステーション部を制御するステーション制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、同ステーション部で実行される1回のスロットゲームの流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、同メダルゲーム機におけるセンター抽選装置の斜視図である。
【図7】図7は、同センター抽選装置を図6とは別の角度から見たときの斜視図である。
【図8】図8は、同センター抽選装置における傾斜リング抽選器のボール投入待機部83に設けられたシャッターが抽選ボールを開放した状態を示す説明図である。
【図9】図9は、同センター抽選装置を制御する中央制御装置の主要部分の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、同センター抽選装置におけるボール搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、同ボール搬送装置及びその周辺構成を説明するための斜視図である。
【図12】図12は、同ボール搬送装置及びその周辺構成を説明するための側面図である。
【図13】図13は、同鉛直リング抽選器の第1ボール排出部に設けられたシャッターがボール通過位置に位置する状態を示す説明図である。
【図14】図14は、同シャッターがボール排出位置に位置する状態を示す説明図である。
【図15】図15は、第1搬送レールの途中の落下口に設けられたシャッターが閉塞位置に位置する状態を示す説明図である。
【図16】図16は、同シャッターが開口位置に位置する状態を示す説明図である。
【図17】図17は、同ボール搬送装置におけるスタンバイ状態の搬送経路切替装置を示す説明図である。
【図18】図18は、第1出口へ抽選ボールを送り出すときの搬送経路切替装置を示す説明図である。
【図19】図19は、第2出口へ抽選ボールを送り出すときの搬送経路切替装置を示す説明図である。
【図20】図20は、同傾斜リング抽選器に設けられる第2パターンセンサの構成を示す斜視図である。
【図21】図21は、1回の第1センター抽選の流れを示すフローチャートである。
【図22】図22は、1回の第2センター抽選の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 メダルゲーム機
2 ステーション部
3 センター抽選装置
11 タッチパネル
20 ステーション制御装置
30 中央制御装置
40 鉛直リング抽選器
41,51 抽選用ポケット
50 傾斜リング抽選器
60 装置支持台
71,72 ディスプレイ装置
73 抽選ボール
80 ボール搬送装置
81 搬送経路切替装置
82 第1搬送レール
83 ボール投入待機部
84 第2搬送レール
85 第3搬送レール
86 第4搬送レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選用転動体を転動面上で転動させて該抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置であって、
上記転動面及び上記複数の抽選用ポケットの少なくとも一方を複数の移動パターンで移動させることが可能な移動手段と、
抽選用転動体が該転動面上を転動しているときに該移動手段による移動パターンを変更する移動パターン変更手段と、
該移動パターン変更手段による移動パターン変更前に、該移動手段による移動パターンが変更される旨を報知する報知手段とを有することを特徴とする物理抽選装置。
【請求項2】
請求項1の物理抽選装置において、
上記報知手段は、該移動手段による移動パターンが変更される旨とともに、その変更時期も報知することを特徴とする物理抽選装置。
【請求項3】
請求項1又は2の物理抽選装置において、
上記複数の移動パターンは、互いに異なる一定速度で、上記転動面及び上記複数の抽選用ポケットの少なくとも一方を移動させるものであることを特徴とする物理抽選装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の物理抽選装置において、
上記移動パターン変更手段は、抽選用転動体を転動面上へ供給してから所定期間を経過するまでに該抽選用転動体が上記複数の抽選用ポケットのいずれにも入らないときに、上記移動パターンを変更することを特徴とする物理抽選装置。
【請求項5】
抽選用転動体を転動面上で転動させて該抽選用転動体が複数の抽選用ポケットのいずれに入るかにより抽選を行う物理抽選装置と、
所定のゲームプログラムを実行することにより該物理抽選装置を用いた物理抽選の結果を用いてゲーム進行の制御を行うか、所定のゲームプログラムを実行することによりゲーム進行の制御を行って該ゲーム進行の結果に応じて該物理抽選装置を用いた物理抽選を開始させる制御を行うゲーム進行制御手段を備えたゲーム装置であって、
上記物理抽選装置として、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の物理抽選装置を用いたことを特徴とするゲーム装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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