説明

物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器

【課題】小型化を図りつつ、優れた検出精度を発揮することのできる物理量センサー素子、また、この物理量センサー素子を備える信頼性に優れた物理量センサーおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】物理量センサー素子1は、X軸方向に振動可能な駆動部31と、駆動部31と共にX軸方向に振動可能で、かつ、駆動部31に対してZ軸方向に振動可能な検出部34と、駆動部31に設けられたY軸方向延在部311、312と、Y軸方向延在部311、312とZ軸方向に配置された駆動用電極41と、検出部34とZ軸方向に離間して配置された検出用電極51とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像機器の手ぶれ補正や、GPS信号を用いた車両等の移動体ナビゲーションシステムなどの姿勢制御として、角速度を検出する角速度センサーが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の角速度センサーは、X軸方向に振動する駆動部と、駆動部に梁を介して連結されX軸方向と直交するY軸方向に振動する検出部とを有している。また、特許文献1の角速度センサーは、櫛歯電極を有しており、この櫛歯電極と駆動部との間に発生する静電力によって駆動部をX軸方向に振動させる。
【0004】
また、特許文献1の角速度センサーでは、検出部にX軸方向に延在するX軸方向延在部が複数形成されており、さらに、この部分が一対の固定電極の間に非接触で設けられている。
【0005】
櫛歯電極に電圧を印加して駆動部をX軸方向に振動させた状態でZ軸まわりの角速度が加わると、Y軸方向にコリオリの力が作用して検出部がY軸方向に振動する。検出部がY軸方向に振動すると、各固定電極間とX軸方向延在部とのギャップ(離間距離)が変化して、各固定電極とX軸方向延在部の間の静電容量が変化する。特許文献1の角速度センサーは、このような静電容量の変化に基づいてZ軸まわりの角速度を検知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−105124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の物理量センサー(角速度センサー)では、駆動部を振動させるために駆動部の外側に櫛歯電極を設けているため、装置の大型化を招いている。なお、実際に、駆動部を充分に振動させるためには、図示されているものよりも多くの櫛歯電極が必要であり、装置の大型化が顕著となる。
【0008】
また、特許文献1の物理量センサーでは、静電容量の変化を検知するために、一対の固定電極の間にX軸方向延在部を位置させているが、固定電極とX軸方向延在部との間に発生する静電力(吸引力)による固定電極とX軸方向延在部との吸着(pull−in)を防止するために、各固定電極とX軸方向延在部の離間距離を比較的大きく確保しなければならず、検出精度が低下する。
【0009】
また、固定電極とX軸方向延在部との間に発生する静電力(静電バネ)によって、検知部のY軸方向への振動を可能とするように駆動部と検知部とを連結する梁の実効的なバネ定数が機械的なバネ定数からずれてしまう。言い換えれば、梁の機械的なバネ定数に前記静電力を加味したものが梁の実効的なバネ定数となる。これにより、予め設定されている検知部の変位量と角速度の大きさとの関係がずれてしまい、この点からも角速度の検出精度が低下する。
【0010】
特に、検出部が変位したときに発生する梁の引張力は、検出部の変位量に対して線形の関係を有しているのに対して、固定電極とX軸方向延在部との間に形成される静電バネの引張力は、検出部の変位量に対して非線形の関係を有している。そのため、これら引張力を合成したもの、すなわち梁の実効的なバネ定数が検出部の変位量に対して非線形の関係を有することとなる。これにより、「検出部の変位量」と「角速度の大きさ」の関係を直線的な比例式で示すことができなくなり、角速度の検出精度が低下するか、または、装置構成(回路構成)が複雑化する。
【0011】
以上のように、特許文献1の物理量センサーでは、装置の大型化を招き、かつ検知精度が低下するという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、優れた検出精度を発揮することのできる物理量センサー素子、また、この物理量センサー素子を備える信頼性に優れた物理量センサーおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の物理量センサー素子は、互いに直交する2つの軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と前記第2軸とを含む面の法線と平行な軸を第3軸としたとき、
基板と、
前記第1軸方向に振動可能な駆動用バネ部と、
前記駆動用バネ部に接続された駆動部と、
前記駆動部に一端が接続され、且つ、前記第3軸方向に振動可能な検出用バネ部と、
前記検出用バネ部の他端に接続された検出部と、
前記駆動部に設けられた少なくとも1つの駆動用導電部と、
前記検出部に設けられた少なくとも1つの検出用導電部と、
前記駆動用導電部に対して前記第3軸方向に離間して前記基板上に配置され、前記駆動用導電部との間に発生する静電力により、前記駆動部を前記第1軸方向に振動させる駆動用電極と、
前記検出部の前記第3軸方向への変位によって、前記検出用導電部との間の静電容量が変化するように前記基板上に設けられた検出用電極と、を有することを特徴とする。
これにより、小型化を図りつつ、優れた検出精度を発揮することのできる物理量センサー素子を提供することができる。
【0014】
本発明の物理量センサー素子では、前記駆動用導電部と前記駆動用電極との間に発生する前記静電力によって前記駆動部を前記第1軸方向に振動させた状態で、前記第2軸まわりの角速度が加わると、コリオリ力を受けて前記検出部が前記駆動部に対して前記第3軸方向に振動し、該振動によって生じる前記検出用導電部と前記検出用電極の間の静電容量の変化に基づいて、前記角速度を検出することが好ましい。
これにより、物理量センサー素子を角速度センサー素子として用いることができる。
【0015】
本発明の物理量センサー素子では、前記駆動用導電部および前記駆動用電極は、それぞれ、前記第2軸方向に延在して設けられていることが好ましい。
これにより、効率的に(大きな力で)駆動部を第1方向に振動させることができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記駆動用電極は、前記第1方向に対向配置された一対の駆動用電極片を有し、
前記駆動用電極片の少なくとも一方は、前記第3軸を法線とする平面視にて、一部が前記駆動用電極部と重なるように配置されたことが好ましい。
これにより、駆動部を第1方向に振動させるための静電力を効率的に発生させることができる。
【0016】
本発明の物理量センサー素子では、前記駆動用電極片の少なくとも一方は、前記第1軸方向の幅が前記駆動部の振幅の最大値よりも大きいことが好ましい。
これにより、駆動部をよりスムーズに第1方向に振動させることができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記検出用導電部および前記検出用電極は、前記第3軸を法線とする平面視にて、一方が他方を覆って配置されたことが好ましい。
これにより、駆動部の第1方向の振動に伴う検出部の第1方向の振動によって、検出用導電部と検出用電極の間の静電容量が変化するのを防止または抑制することができる。
本発明の物理量センサー素子では、前記駆動部は枠状であり、前記駆動部の内側に前記検出部が配置されていることが好ましい。
これにより、各部の配置が最適化され(スペースを有効的に活用することができ)、物理量センサー素子の小型化を図ることができる。
【0017】
本発明の物理量センサー素子は、互いに直交する2つの軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と前記第2軸とを含む面の法線と平行な軸を第3軸としたとき、
基板と、
前記第3軸方向に振動可能な検出用バネ部と、
前記検出用バネ部に接続された検出部と、
前記検出部に一端が接続され、且つ、前記第1軸方向に振動可能な駆動用バネ部と、
前記駆動用バネ部の他端に接続された駆動部と、
前記駆動部に設けられた少なくとも1つの駆動用導電部と、
前記検出部に設けられた少なくとも1つの検出用導電部と、
前記駆動用導電部に対して前記第3軸方向に離間して前記基板上に配置され、前記駆動用導電部との間に発生する静電力により、前記駆動部を前記第1軸方向に振動させる駆動用電極と、
前記検出部の前記第3軸方向への変位によって、前記検出用導電部との間の静電容量が変化するように前記基板上に設けられた検出用電極と、を有することを特徴とする。
これにより、小型化を図りつつ、優れた検出精度を発揮することのできる物理量センサー素子を提供することができる。
【0018】
本発明の物理量センサーは、本発明の物理量センサー素子と、前記物理量センサー素子を収容したパッケージと、を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた物理量センサーを提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の物理量センサーを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた携帯電話、パーソナルコンピューター、デジタルカメラ等の電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の物理量センサー素子の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1中A−A線断面図である。
【図3】図1に示す物理量センサー素子が有する駆動手段を説明するための断面図である。
【図4】物理量センサーを駆動する際に印加する電圧の一例を示す図である。
【図5】駆動手段の作用を説明するための断面図である。
【図6】検出手段の作用を説明するための平面図である。
【図7】図1に示す物理量センサー素子を備えた物理量センサー(本発明の物理量センサー)を示す断面図である。
【図8】本発明の物理量センサー素子の第2実施形態を示す平面図である。
【図9】本発明の物理量センサー素子の第3実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明の物理量センサー素子の第4実施形態を示す平面図である。
【図11】図10に示すB−B線断面図である。
【図12】本発明の物理量センサー素子の第5実施形態を示す平面図である。
【図13】本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
【図15】本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の物理量センサー素子、物理量センサーおよび電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の物理量センサー素子の第1実施形態を示す平面図、図2は、図1中A−A線断面図、図3は、図1に示す物理量センサー素子が有する駆動手段を説明するための断面図、図4は、物理量センサーを駆動する際に印加する電圧の一例を示す図、図5は、駆動手段の作用を説明するための断面図、図6は、検出手段の作用を説明するための平面図、図8は、図1に示す物理量センサー素子を備えた物理量センサー(本発明の物理量センサー)を示す断面図である。
【0021】
なお、各図では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、X軸(第1軸)に平行な方向を「X軸方向」、Y軸(第2軸)に平行な方向をY軸方向、Z軸(第3軸)に平行な方向を「Z軸方向」と言う。また、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図3、図5および図6中の右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0022】
1.物理量センサー素子
まず、物理量センサー素子1について説明する。
本実施形態の物理量センサー素子1は、Y軸まわりの角速度を検出する角速度センサーである。
図1に示すように、物理量センサー素子1は、X−Y面内に設けられた振動系構造体3と、振動系構造体3を支持する基板2と、振動系構造体3を振動させる駆動手段4と、Z軸まわりの角速度を検出する検出手段5とを有している。以下、これら各部について順次詳細に説明する。
【0023】
−振動系構造体−
振動系構造体3は、枠状の駆動部31と、駆動部31を支持する支持部321、322、323、324と、駆動部31と各支持部321、322、323、324とを連結する駆動用バネ部331、332、333、334と、駆動部31の内側に設けられた検出部34と、検出部34と駆動部31とを連結する検出用バネ部351、352、353、354とで構成されている。
【0024】
本実施形態の振動系構造体3は、シリコンを主材料として構成されていて、1枚のシリコン基板(シリコンウエハ)を各種加工技術(例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング技術)を用いて所望の外形形状に加工することにより、駆動部31、支持部321、322、323、324、駆動用バネ部331、332、333、334、検出部34および検出用バネ部351、352、353、354が一体的に形成されている。
【0025】
振動系構造体3の主材料をシリコンとすることにより、優れた振動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な加工が可能となり、物理量センサー素子1の小型化を図ることができる。また、振動系構造体3の主材料をシリコンとすることにより、後述するように、振動系構造体3に電極を形成しなくても、物理量センサー素子1を駆動することができるため、装置の構造をより簡単なものとすることができる。
【0026】
駆動部31は、Z軸を法線とする平面視にて、枠状をなしている。具体的には、駆動部31は、X軸方向に延在する一対のX軸方向延在部313、314と、Y軸方向に延在し、X軸方向延在部313、314を連結する一対のY軸方向延在部(駆動用導部)311、312とで構成されている。
なお、駆動部31の形状は、これに限定されず、例えば、円形の枠状をなしていてもよいし、枠の一部が欠損した形状をなしていてもよい。
【0027】
支持部321、322、323、324は、Z軸を法線とする平面視にて、駆動部31の周囲に沿って互いに離間して配置されている。本実施形態では、支持部321、322、323、324は、それぞれ、駆動部31の角部に対応して配置されている。このような支持部321、322、323、324は、それぞれ、基板2に接合されており、これにより、振動系構造体3が基板2に支持される。
駆動用バネ部331、332、333、334は、支持部321、322、323、324に対して駆動部31をX軸方向に振動可能とするように駆動部31と支持部321、322、323、324とを連結する。
【0028】
図1に示すように、駆動用バネ部331は、駆動部31の左上の角部と支持部321とを連結し、駆動用バネ部332は、駆動部31の左下の角部と支持部322とを連結し、駆動用バネ部333は、駆動部31の右下の角部と支持部323とを連結し、駆動用バネ部334は、駆動部31の右上の角部と支持部324とを連結する。
このように駆動部31の四隅に駆動用バネ部331、332、333、334を連結することにより、駆動部31を支持部321、322、323、324に対して安定した状態で支持することができる。
【0029】
これら駆動用バネ部331、332、333、334は、それぞれ、Y軸方向に往復しながらX軸方向に延びる蛇行状をなしている。駆動用バネ部331、332、333、334をこのような形状とすることにより、各駆動用バネ部331、332、333、334がX軸方向に変形(伸縮)し易く、Y軸方向に変形し難いものとなる。このような駆動用バネ部331、332、333、334によれば、駆動部31をX軸方向に正確に振動させることができる。
【0030】
特に、本実施形態のように、駆動用バネ部331、332、333、334のX軸方向の長さL’を短くしつつ、Y軸方向の幅W’を長くすること、すなわち、L’<W’とすることにより、上記効果をより顕著なものとすることができる。
さらに、駆動用バネ部331、332、333、334の厚さ(Z軸方向の長さ)を比較的厚くすることにより、駆動用バネ部331、332、333、334のZ軸方向への変形を防止または抑制し、これにより、駆動部31のZ軸方向の変位を防止または抑制することができる。駆動用バネ部331、332、333、334の厚さは、振動系構造体3の大きさ(質量)等によって適宜設定することができる。
【0031】
検出部34は、板状をなしている。また、検出部34は、駆動部31の内側に設けられている。このように、駆動部31の内側に検出部34を配置することにより、言い換えれば、検出部34の周囲を囲むように駆動部31を設けることにより、駆動部31と検出部34の配置が最適化され(スペースを有効的に活用することができ)、物理量センサー素子1の小型化を図ることができる。
【0032】
本実施形態の検出部34は、前述したように導電性を有するシリコンを主材料として構成されている。そのため、本実施形態の検出部34は、後述する検出手段5の検出用電極51との間に静電容量を形成する検出用導電部を兼ねている。
検出用バネ部351、352、353、354は、駆動部31に対して検出部34をZ軸方向に振動可能とするように検出部34と駆動部31とを連結する。
【0033】
図1に示すように、検出用バネ部351は、検出部34の左上の角部と駆動部31とを連結し、検出用バネ部352は、検出部34の左下の角部と駆動部31とを連結し、検出用バネ部353は、検出部34の右下の角部と駆動部31とを連結し、検出用バネ部354は、検出部34の右上の角部と駆動部31とを連結している。
このように検出部34の四隅に検出用バネ部351、352、353、354を連結することにより、検出部34を駆動部31に対して安定した状態で支持(連結)することができる。
【0034】
検出用バネ部351、353は、それぞれ、X軸方向に往復しながらY軸方向に延びる蛇行状をなしている。検出用バネ部351、353をこのような形状とすることにより、検出用バネ部351、353のX軸方向への変形を防止または抑制することができる。また、検出用バネ部351、353の全長を長くすることができるので、検出用バネ部351、353がZ軸方向に変形し易いものとなる。
【0035】
検出用バネ部352、354は、それぞれ、Y軸方向に往復しながらX軸方向に延びる蛇行状をなしている。検出用バネ部352、354をこのような形状とすることにより、検出用バネ部352、354のY軸方向への変形を防止または抑制することができる。また、検出用バネ部352、354の全長を長くすることができるので、検出用バネ部352、354がZ軸方向に変形し易いものとなる。
検出用バネ部351、352、353、354をこのような構成とすることにより、検出部34の駆動部31に対するX軸方向およびY軸方向への振動を防止または抑制しつつ、検出部34を駆動部31に対してZ軸方向に振動させることができる。そのため、優れた検出特性を有する物理量センサー素子1となる。
【0036】
−基板−
基板2は、振動系構造体3を支持するものである。図2に示すように、基板2は、板状をなしており、X−Y面内に設けられている。そして、基板2の上面に、振動系構造体3の支持部321、322、323、324を接合することにより、振動系構造体3が基板2に固定・支持される。
【0037】
基板2と支持部321、322、323、324の接合方法は、特に限定されず、接着剤等の支持部材を用いて接合してもよしい、振動系構造体3および基板2の構成材料によっては、直接接合や陽極接合等の各種接合方法を用いて接合してもよい。
このような基板2の上面(振動系構造体3と対向する側の面)には、凹部21が形成されている。この凹部21は、基板2と振動系構造体3の実際に振動する部位(駆動部31、駆動用バネ部331、332、333、334、検出部34および検出用バネ部351、352、353、354)との接触を防止する機能を有している。
【0038】
このような構成の基板2は、例えば、各種ガラスを主材料として構成されていて、1枚のガラス板を各種加工技術を用いて所望の外形形状に加工することにより形成されている。なお、基板2は、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス材料、ポリイミド等の各種樹脂材料などの絶縁性材料を主材料として構成されていてもよいし、シリコンを主材料として構成されていてもよい。シリコンを主材料として構成する場合には、必要な絶縁処理を行うことが好ましい。
【0039】
−駆動手段−
図1に示すように、駆動手段4は、駆動部31を検出部34と共にX軸方向に振動させる機能を有している。このような駆動手段4は、一対の駆動用電極片411、412を備える駆動用電極41を複数(本実施形態では2つ)有している。2つの駆動用電極41のうちの一方は、駆動部31のY軸方向延在部311に対応して設けられ、他方は、Y軸方向延在部312に対応して設けられている。
【0040】
以下、各駆動用電極41について説明するが、これらは互いに同様の構成であるため、以下では、Y軸方向延在部311に対応して設けられた駆動用電極41について代表して説明し、Y軸方向延在部312に対応して設けられた駆動用電極41については、その説明を省略する。
一対の駆動用電極片411、412は、基板2の上面に互いにX軸方向に離間して形成されている。
【0041】
また、駆動用電極片411、412は、Y軸方向延在部311の下方に位置し、Y軸方向延在部311と駆動用電極片411、412との間には空隙が形成されている。すなわち、駆動用電極片411、412は、Y軸方向延在部311とZ軸方向に離間にて配置されている。
また、駆動用電極片411、412は、Z軸を法線とする平面視にて、Y軸方向延在部311の軸Y’に対してX軸方向に対向して設けられている。本実施形態では、駆動用電極片411、412は、軸Y’に対して対称的に設けられている。
【0042】
このような駆動用電極片411、412は、それぞれ、Y軸方向に延在する帯状(長尺状)をなしている。駆動用電極片411、412は、Y軸方向延在部311の長さとほぼ同じ長さに形成されており、Z軸を法線とする平面視にて、Y軸方向延在部311のY軸方向全域に対応して設けられている。
また、図3に示すように、駆動用電極片411は、Z軸を法線とする平面視にて、その一部がY軸方向延在部311と重なるように設けられている。具体的には、駆動用電極片411の図2中右側の部位411aがY軸方向延在部311と重なっており、左側の部位411bがY軸方向延在部311から露出している。
【0043】
同様に、駆動用電極片412も、Z軸を法線とする平面視にて、その一部がY軸方向延在部311と重なるように設けられている。具体的には、駆動用電極片412の図3中左側の部位412aがY軸方向延在部311と重なっており、右側の部位412bがY軸方向延在部311から露出している。
駆動用電極片411、412をこのように配置することにより、後述するように、より確実に図5中矢印A、Bで示す静電力を発生させることができ、駆動部31を安定してX軸方向に振動させることができる。
【0044】
駆動用電極片411、412の幅(X軸方向の長さ)aは、特に限定されないが、駆動部31の振幅の最大値(図3中の実線で示す非駆動状態と、鎖線で示す振動方向が切り替わる時刻の状態との移動距離)bよりも大きいことが好ましい。これにより、駆動部31を振動させても、駆動用電極片411、412の少なくとも一部が駆動部31と重なった状態を維持できるため、後述する静電力を効率的に駆動部31に作用させることができる。
【0045】
駆動用電極411、412の構成材料としては、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料や、ITO、ZnO等の電極材料により形成することができる。
このような駆動手段4は、例えば、下記のようにして駆動部31をX軸方向に振動させる。
【0046】
例えば、図示しない電圧印加手段によって、振動系構造体3(Y軸方向延在部311、312)に図4(a)に示す電圧V1を印加し、各駆動用電極片411に同図(b)に示す正弦波状の第1交番電圧V2を印加し、各駆動用電極片412に同図(c)に示す正弦波状の第2交番電圧V3を印加する。なお、第2交番電圧V3は、第1交番電圧V2の位相を180℃ずらしたものである。
【0047】
図5に示すように、このような電圧V1、V2、V3が物理量センサー素子1に印加されると、Y軸方向延在部311、312に矢印Aで示す静電力が発生する状態と、矢印Bで示す静電力が発生する状態とが交互に切り替わり、これにより、駆動用バネ部331、332、333、334が弾性変形しつつ、駆動部31が検出部34と共にX軸方向に正弦波で振動する。
なお、前述したように、駆動部31の内側に位置する検出部34は、検出用バネ部351、352、353、354によって駆動部31に対するX軸方向およびY軸方向の変位が規制されているため、駆動部31がX軸方向に振動しているとき、駆動部31と検出部34の位置関係は実質的に一定に保たれている。
【0048】
このような駆動方法によれば、Y軸方向延在部311と駆動用電極411、412との間に発生する静電力(吸着力)によって形成され得る静電バネのバネ定数を0とすることができるため、駆動用バネ部331、332、333、334の実効的なバネ定数を機械的なバネ定数と等しくすることができる。すなわち、物理量センサー素子1によれば、Y軸方向延在部311と駆動用電極片411、412との間に発生する静電力の影響を受けずに駆動部31を振動させることができる。そのため、角速度の検出精度の低下を防止することができる。
【0049】
本実施形態では、前述したように、Y軸方向延在部311、312および駆動用電極片411、412が共にY軸方向に延在して設けられているため、矢印A、Bで示す静電力をより大きくすることができる。その結果、効率的に駆動部31をX軸方向に振動させることができる。
第1交番電圧V2および第2交番電圧V3の周波数としては、特に限定されないが、駆動部31(駆動部31と一体的に振動する検出部34、検出用バネ部351、352、353、354を含む)と駆動用バネ部331、332、333、334とで構成される振動係の共振周波数とほぼ等しい周波数であることが好ましい。これにより、駆動部31をX軸方向に大きくかつスムーズに振動させることができる。
【0050】
ここで、振動系構造体3および駆動用電極片411、412に印加される電圧が同じ場合、Y軸方向延在部311と駆動用電極片411、412とのギャップgを小さくするほど矢印A、Bで示す静電力を大きくすることができる。しかしながら、ギャップgを小さくするとY軸方向延在部311と駆動用電極片411、412との間に発生する静電力(吸着力)によって、Y軸方向延在部311が駆動用電極片411、412に吸着(pull−in)してしまうおそれがある。
【0051】
そこで、物理量センサー素子1では、前述したように、駆動用バネ部331、332、333、334の厚さを比較的厚くし、駆動部31のZ軸方向の変位を規制(防止)することにより、前述のようなY軸方向延在部311の駆動用電極片411、412への吸着を効果的に防止または抑制し、ギャップgをより小さくすることができるように構成されている。その結果、物理量センサー素子1は、効率的に駆動部31をX軸方向に振動させることができ、装置の小型化および省電力化を図ることができる。
ギャップgとしては、特に限定されないが、0.1μm以上0.5μm以下程度であるのが好ましい。このような範囲によれば、矢印A、Bで示す静電力を大きくしつつ、Y軸方向延在部311の駆動用電極片411、412への吸着をより確実に防止することができる。
【0052】
−検出手段−
検出手段5は、物理量センサー素子1に加わるZ軸まわりの角速度を検出する機能を有している。検出手段5は、検出部34とZ軸方向に離間して設けられた検出用電極51を有している。
検出用電極51は、Z軸を法線とする平面視にて、検出部34の縁部を除く中央部と重なるように設けられている。検出用電極51の縁部と、検出用電極の縁部のX軸方向bにおける離間距離dは、特に限定されないが、駆動部31の振幅の最大値(図3中の実線で示す非駆動状態と、鎖線で示す振動方向が切り替わる時刻の状態との移動距離)bよりも大きいことが好ましい。
これにより、駆動部31のX軸方向への振動に伴って検出部34がX軸方向に振動しても、検出用電極51の検出部34に重なり合っている部分の面積が変化しない。そのため、検出部34のX軸方向の振動に起因して、検出部34と検出用電極51との間で静電容量の変化が起こるのを防止することができる。
【0053】
検出用電極51の構成材料としては、導電性を有していれば特に限定されず、例えば、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料や、ITO、ZnO等の電極材料により形成することができる。
【0054】
このような検出手段5は、例えば、下記のようにして物理量センサー素子1にZ軸周りに加わる角速度を検出する。
まず、前述したように、駆動手段4によって、駆動部31を検出部34と共にX軸方向に振動させる。この状態で、Y軸まわりの角速度が加わると、X軸およびY軸に直交するZ軸方向にコリオリ力が発生し、Z軸方向の振動が励起される。これにより、検出部34が検出用バネ部351、352、353、354をZ軸方向に弾性変形させつつ、駆動部31に対してZ軸方向に振動(変位)する。
【0055】
これにより、検出部34と検出用電極51との離間距離が変化し、検出部34と検出用電極51との間の静電容量が変化する。具体的には、図6(a)に示すように、物理量センサー素子1にY軸まわりの角速度が加わっておらず、検出部34が駆動部31に対してZ軸方向に振動していないときの検出部34と検出用電極51との間の静電容量がCであるとする。
【0056】
これに対して、図6(b)に示すように、前述のコリオリ力に起因する検出部34の振動によって、検出部34が検出用電極51から離間する方向へ変位すると、これらの離間距離が長くなることによって、検出部34と検出用電極51との間の静電容量が(C−ΔC)に減少する。反対に、図6(c)に示すように、検出部34が検出用電極51に接近する方向に変位すると、検出部34と検出用電極51との間の静電容量が(C+ΔC)に減少する。
このような検出部34と検出用電極51との間の静電容量の変化を図示しない検出回路によって検出することにより、物理量センサー素子1に加わったY軸まわりの角速度を検出する。
【0057】
以上のような構成の物理量センサー素子1では、駆動用電極41を振動系構造体3に対してZ軸方向にずれた位置でかつ振動系構造体3と重なるようにして設けることができ、同様に、検出用電極51も振動系構造体3に対してZ軸方向にずれた位置でかつ振動系構造体3と重なるようにして設けることができる。そのため、物理量センサー素子1によれば、装置の小型化を図ることができる。また、前述したように、静電バネの影響を受けずに振動系構造体3を振動させることができるため、優れた検出精度を発揮することができる。
【0058】
2.物理量センサー
次に、物理量センサー10について説明する。
図7に示すように、物理量センサー10は、パッケージ6と、パッケージ6に収容された2つの物理量センサー素子1とを有している。
パッケージ6は、各物理量センサー素子1の基板2を兼ねるベース基板61と、枠状の枠部材62と、板状の蓋部材63とを有している。ベース基板61と枠部材62、枠部材62と蓋部材63は、接着剤あるいはろう材等により接合されている。
【0059】
ベース基板61は、前述した基板2と同様の構成材料で構成されている。また、枠部材62および蓋部材63は、例えば、ベース基板61と同様の構成材料、Al、Cuのような各種金属材料、各種ガラス材料等で構成されている。
物理量センサー10では、2つの物理量センサー素子1がX軸方向に並んで設けられている。このような物理量センサー10では、一方の物理量センサー素子1が有する駆動部31と、他方の物理量センサー素子1が有する駆動部31とが互いにX軸方向に逆相で振動するように駆動する。すなわち、2つの駆動部31が互いにX軸方向に互いに接近する方向に変位する状態と、X軸方向に互いに離間する方向に変位する状態とを交互に繰り返すように駆動する。このような駆動によれば、2つの駆動部31により生じる漏れ振動を互いに相殺することができる。その結果、振動漏れを防止することができ、優れた振動特性を有する物理量センサー10となる。
【0060】
<第2実施形態>
図8は、本発明の物理量センサー素子の第2実施形態を示す平面図である。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
本実施形態の物理量センサー素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の物理量センサー素子1Aは、駆動部と検出部の位置関係が逆であること以外は、前述した第1実施形態の物理量センサー素子と同様である。なお、図8にて、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
【0061】
1.物理量センサー素子
−振動系構造体−
図8に示すように、振動系構造体3Aは、枠状の検出部34Aと、検出部34Aを支持する支持部321A、322A、323A、324Aと、検出部34Aと各支持部321A、322A、323A、324Aとを連結する検出用バネ部351A、352A、353A、354Aと、検出部34Aの内側に設けられた駆動部31Aと、駆動部31Aと検出部34Aとを連結する駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aとで構成されている。
【0062】
検出部34Aは、Z軸を法線とする平面視にて、枠状をなしている。
支持部321A、322A、323A、324Aは、Z軸を法線とする平面視にて、検出部34Aの周囲に沿って互いに離間して配置されている。本実施形態では、支持部321A、322A、323A、324Aは、それぞれ、検出部34Aの角部に対応して配置されている。支持部321A、322A、323A、324Aは、それぞれ、基板2に接合されており、これにより、振動系構造体3が基板2に支持される。
検出用バネ部351A、352A、353A、354Aは、支持部321A、322A、323A、324Aに対して検出部34AをZ軸方向に振動可能とするように、検出部34Aと支持部321A、322A、323A、324Aとを連結する。
【0063】
図8に示すように、検出用バネ部351Aは、検出部34Aの左上の角部と支持部321Aとを連結し、検出用バネ部352Aは、検出部34Aの左下の角部と支持部322とを連結し、検出用バネ部353Aは、検出部34Aの右下の角部と支持部323Aとを連結し、検出用バネ部354Aは、検出部34Aの右上の角部と支持部324Aとを連結している。このように検出部34Aの四隅に検出用バネ部351A、352A、353A、354Aを連結することにより、検出部34Aを支持部321A、322A、323A、324Aに対して安定した状態で支持することができる。
【0064】
検出用バネ部351A、353Aは、それぞれ、X軸方向に往復しながらY軸方向に延びる蛇行状をなしている。検出用バネ部351A、353Aをこのような形状とすることにより、検出用バネ部351A、353AのX軸方向への変形を防止または抑制することができる。また、検出用バネ部351A、353Aの全長を長くすることができるので、検出用バネ部351A、353AがZ軸方向に変形し易いものとなる。
【0065】
検出用バネ部352A、354Aは、それぞれ、Y軸方向に往復しながらX軸方向に延びる蛇行状をなしている。検出用バネ部352A、354Aをこのような形状とすることにより、検出用バネ部352A、354AのY軸方向への変形を防止または抑制することができる。また、検出用バネ部352A、354Aの全長を長くすることができるので、検出用バネ部352A、354AがZ軸方向に変形し易いものとなる。
【0066】
検出用バネ部351A、352A、353A、354Aをこのような構成とすることにより、検出部34Aの支持部321A、322A、323A、324Aに対するX軸方向およびY軸方向への振動を防止または抑制しつつ、検出部34Aを支持部321A、322A、323A、324Aに対してZ軸方向に振動させることができる。そのため、優れた検出特性を有する物理量センサー素子1Aとなる。
【0067】
駆動部31Aは、検出部34Aの内側に設けられている。このように、検出部34Aの内側に駆動部31Aを配置することにより、言い換えれば、駆動部31Aの周囲を囲むように検出部34Aを設けることにより、駆動部31Aと検出部34Aの配置が最適化され(スペースを有効的に活用することができ)、物理量センサー素子1Aの小型化を図ることができる。
【0068】
このような駆動部31Aは、枠状の基部311Aと、基部311Aの内側に設けられた複数のY軸方向延在部(駆動用導電部)312Aとで構成されている。複数のY軸方向延在部312は、間隔を隔ててX軸方向に並んで設けられている。
駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aは、検出部34Aに対して駆動部31AをX軸方向に振動可能とするように駆動部31Aと検出部34Aとを連結する。
【0069】
図8に示すように、駆動用バネ部331Aは、駆動部31の左上の角部と検出部34Aとを連結し、駆動用バネ部332Aは、駆動部31の左下の角部と検出部34Aとを連結し、駆動用バネ部333Aは、駆動部31Aの右下の角部と検出部34Aとを連結し、駆動用バネ部334Aは、駆動部31の右上の角部と検出部34Aとを連結する。このように駆動部31Aの四隅に駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aを連結することにより、駆動部31Aを検出部34Aに対して安定した状態で支持することができる。
【0070】
これら駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aは、それぞれ、Y軸方向に往復しながらX軸方向に延びる蛇行状をなしている。駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aをこのような形状とすることにより、各駆動用バネ部331A、332A、333A、334AがX軸方向に変形し易く、Y軸方向に変形し難いものとなる。このような駆動用バネ部331A、332A、333A、334Aによれば、駆動部31AをX軸方向に正確に振動させることができる。
【0071】
−駆動手段−
駆動手段4Aは、一対の駆動用電極片411A、412Aを備える駆動用電極41Aを複数有している。駆動用電極41Aは、駆動部31Aが有するY軸方向延在部312Aに対応して、すなわち、Y軸方向延在部312Aと同数設けられている。
以下、複数の駆動用電極41Aについて説明するが、これらは互いに同様の構成であるため、以下では、1つの駆動用電極41Aについて代表して説明し、その他の駆動用電極41Aについては、その説明を省略する。
【0072】
駆動用電極片411A、412Aは、基板2の上面に互いにX軸方向に離間して設けられている。また、駆動用電極片411A、412Aは、Y軸方向延在部312Aの下方に位置し、Y軸方向延在部312Aと駆動用電極片411A、412Aとの間には、空隙が形成されている。また、駆動用電極片411A、412Aは、Z軸を法線とする平面視にて、Y軸方向延在部312Aの軸Y”に対してX軸方向に対向して設けられている。
また、駆動用電極片411Aは、Z軸を法線とする平面視にて、その一部がY軸方向延在部312Aと重なるように設けられている。具体的には、Z軸を法線とする平面視にて、駆動用電極片411Aの右側の部位がY軸方向延在部312Aと重なっており、左側の部位がY軸方向延在部312Aから露出している。
【0073】
同様に、駆動用電極片412Aも、Z軸を法線とする平面視にて、その一部がY軸方向延在部312Aと重なるように設けられている。具体的には、Z軸を法線とする平面視にて、駆動用電極片412Aの左側の部位がY軸方向延在部312Aと重なっており、右側の部位がY軸方向延在部312Aから露出している。
このような駆動手段4Aは、前述した第1実施形態と同様にして、駆動用バネ部331A、332A、333A、334AをX軸方向に弾性変形させつつ、駆動部31Aを検出部34Aに対してX軸方向に振動させる。
【0074】
−検出手段−
検出手段5Aは、検出部34AとZ軸方向に離間して設けられた枠状の検出用電極51Aを有している。この検出用電極51Aは、Z軸を法線とする平面視にて、検出部34Aと重なるように設けられている。
このような検出手段5Aは、前述した第1実施形態と同様にして、物理量センサー素子1Aに加わるY軸まわりの角速度を検出する。
【0075】
<第3実施形態>
図9は、本発明の物理量センサー素子の第3実施形態を示す断面図である。
本実施形態の物理量センサー素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の物理量センサー素子1Bは、駆動手段および検出手段の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の物理量センサー素子と同様である。なお、図9にて、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
【0076】
図9に示すように、物理量センサー素子1Bは、振動系構造体3と、振動系構造体3を介してZ軸方向に対向配置された一対の基板2、7を有している。基板7は、基板2と同じ構成である。
駆動手段4が有する駆動用電極41(駆動用電極片411、412)は、各基板2、7に設けられている。すなわち、図9に示すように、一対の駆動用電極41がY軸方向延在部311を介してZ軸方向に対向配置されている。同様に、Y軸方向延在部312を介して一対の駆動用電極41がZ軸方向に対向配置されている。
【0077】
駆動手段4をこのような構成とすることにより、駆動手段4によって駆動部31をX軸方向に振動させる際、基板2に設けられた駆動用電極41とY軸方向延在部311の間に作用するZ軸方向の静電力(吸着力)と、基板7に設けられた駆動用電極41とY軸方向延在部311の間に作用するZ軸方向の静電力(吸着力)とを相殺することができ、Y軸方向延在部311の駆動用電極41との吸着をより確実に防止または抑制することができる。Y軸方向延在部312についても同様である。
【0078】
また、Y軸方向延在部311をZ軸方向へ移動させる静電力(図5中の矢印A、Bで示す力)を、Y軸方向延在部311のZ軸方向の両側(基板2側および基板7側)で作用させることができるため、駆動部31をより安定してかつスムーズにX軸方向に振動させることができる。
また、図9に示すように、検出手段5が有する検出用電極51は、各基板2、7に設けられている。すなわち、一対の検出用電極51が検出部34を介してZ軸方向に対向配置されている。
【0079】
検出手段5をこのような構成とすることにより、基板2側の検出用電極51と検出部34の間の静電容量の変化と、基板7側の検出用電極51と検出部34の間の静電容量の変化とに基づいて、より高精度に、Y軸まわりの角速度を検出することができる。
以上のような構成の物理量センサー素子1Bを組み込んだ物理量センサーは、前述した第1実施形態で説明した物理量センサー10のベース基板61が基板2を兼ね、蓋部材63が基板7を兼ねるように構成するのが好ましい。これにより、物理量センサーの構成が簡単なものとなる。
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0080】
<第4実施形態>
図10は、本発明の物理量センサー素子の第4実施形態を示す平面図、図11は、図10に示すB−B線断面図である。
本実施形態の物理量センサー素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の物理量センサー素子1Cは、検出部および検出手段の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態の物理量センサー素子と同様である。なお、図10および図11にて、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
【0081】
図10に示すように、物理量センサー素子1Cの検出部34Cは、枠状の基部341Cと、基部341Cの内側に設けられた複数のX軸方向延在部(検出用導電部)342Cとで構成されている。複数のX軸方向延在部342Cは、間隔を隔ててY軸方向に並んで設けられている。
図11に示すように、検出手段5Cは、検出用電極51Cを複数有している。検出用電極51Cは、それぞれ、X軸方向に延在し、かつ、Z軸方向に向けて突出して設けられている。そして、Z軸を法線とする平面視にて、隣り合う一対の検出用電極51Cの間に1つのX軸方向延在部342Cが設けられている。また、検出用電極51Cは、検出部34CがZ軸方向に振動していない自然状態にて、その先端がX軸方向延在部342CのZ軸方向のほぼ中央に位置するように設けられている。
【0082】
このような検出手段5Cは、例えば、次のようにして、Y軸まわりの角速度を検出する。
まず、駆動手段4によって、駆動部31をX軸方向に振動させる。この状態で、物理量センサー素子1CにY軸まわりの角速度が加わると、Z軸方向にコリオリ力が発生し、これにより、Z軸方向の新たな振動が励起され、検出部34Cが検出用バネ部351、352、353、354をZ軸方向に弾性変形させつつ、駆動部31に対してZ軸方向に振動する。
【0083】
これにより、X軸方向延在部342CがZ軸方向に振動し、検出用電極51Cに対してZ軸方向に変位する。すると、各検出用電極51CとX軸方向延在部342CとがY軸方向に重なっている部分の面積が変化し、それに伴って、これらの間の静電容量も変化する。このような静電容量の変化に基づいて、Y軸方向に加わった角速度を検出することができる。
【0084】
特に、本実施形態では、検出部34がZ軸方向に振動していない自然状態にて、検出用電極51Cの先端がX軸方向延在部342CのZ軸方向のほぼ中央に位置しているため、検出部34CがZ軸方向のいずれの方向(基板2から離間する方向および基板2に接近する方向)に変位しても、各検出用電極51CとX軸方向延在部342CとがY軸方向に重なり合っている状態をより確実に維持することができるため、前述のような静電容量の変化をより正確に検出することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
<第5実施形態>
図12は、本発明の物理量センサー素子の第5実施形態を示す平面図である。
本実施形態の物理量センサー素子について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態の物理量センサー素子1Dは、検出用バネ部の構成と、それに伴う検出部の振動の仕方が異なること以外は、前述した第1実施形態の物理量センサー素子と同様である。なお、図12にて、前述した第1実施形態と同様の構成には同一符号を付してある。
【0086】
図12に示すように、物理量センサー素子1Dは、検出部34と駆動部31とを連結する2つの検出用バネ部351D、352Dを有している。検出用バネ部351D、352Dは、それぞれ、X軸方向に延在している。また、検出用バネ部351D、352Dは、互いに同軸的に設けられている。検出用バネ部351D、352Dの軸X1は、Z軸を法線とする平面視にて、検出部34の重心(中心)Gと交わりX軸に平行な軸X2に対して、Y軸方向に離間している。本実施形態では、検出用バネ部351Dは、検出部34の左下の角部と駆動部31とを連結し、検出用バネ部352Dは、検出部34の右下の角部と駆動部31とを連結している。
【0087】
このような検出用バネ部351D、352Dにより駆動部31に連結された検出部34は、検出用バネ部351D、352Dを捩じり変形させながら、軸X1まわりに回動可能、すなわちZ軸方向に振動可能となっている。駆動部31をX軸方向に振動させた状態で物理力センサー素子1DにY軸まわりの角速度が加わると、検出部34が検出用バネ部351D、352Dを捩じり変形させつつ軸X1まわりに回動し、これにより検出部34と検出用電極51との間の静電容量が変化する。このような静電容量の変化に基づいてもY軸まわりの角速度を検出することができる。
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
以上説明したような各実施形態の振動片は、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
【0088】
ここで、本発明の物理量センサーを備える電子機器について、図13〜図15に基づき、詳細に説明する。
図13は、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する物理量センサー10が内蔵されている。
【0089】
図14は、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
このような携帯電話機1200には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する物理量センサー10が内蔵されている。
【0090】
図15は、本発明の物理量センサーを備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0091】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0092】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
【0093】
このようなディジタルスチルカメラ1300には、角速度検知手段(ジャイロセンサー)として機能する物理量センサー10が内蔵されている。
なお、本発明の物理量センサーを備える電子機器は、図13のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図14の携帯電話機、図15のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレーター等に適用することができる。
【0094】
以上、本発明の物理量センサー、周波数調整方法、振動子、振動デバイスおよび電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、上記実施例においては、第1の質量部または第2の質量部にエネルギー線を照射させて周波数調整を行う例について説明したが、これに限らず、イオンエッチング、サンドブラスト、ウェットエッチングにより質量部の質量を減少させても良い。また、第1の質量部または第2の質量部にスパッタリングや蒸着で膜を付けて質量部の質量を増加させることにより周波数調整しても良い。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0095】
また、前述した実施形態では、振動系構造体がシリコンを主材料として構成されたものについて説明したが、振動系構造体の主材料は、シリコンに限定されず、例えば、各種ガラスであってもよい。振動系構造体をガラスを主材料として構成する場合、各Y軸方向延在部の駆動用電極側の面に、導電性材料(例えば金属材料)で構成された薄膜状の駆動用導電部を形成し、各X軸方向延在部の検出用電極側の面に、導電性材料(例えば金属材料)で構成された薄膜状の検出用導電部を形成する必要がある。
【0096】
また、前述した第1、第3実施形態では、Y軸方向延在部が、検出部に対してX軸方向一方側と他方側とに、それぞれ、1つしか設けられていないが、Y軸方向延在部(駆動用導電部)の設置数は、これに限定されず、例えば、検出部に対してX軸方向一方側と他方側とに、それぞれ、複数設けられていてもよい。Y軸方向延在部の数が多くなるほど、より強い力で駆動部をX軸方向に振動させることができる。
【0097】
また、前述した第2実施形態では、X軸方向延在部が、駆動部に対してY軸方向一方側と他方側とに、それぞれ、1つしか設けられていないが、X軸方向延在部(検出用導電部)の設置数は、これに限定されず、例えば、駆動部に対してY軸方向一方側と他方側とに、それぞれ、複数設けられていてもよい。X軸方向延在部の数が多くなるほど、静電容量の変化が大きくなるため、より正確に、角速度を検出することができる。
【0098】
また、前述した実施形態では、駆動用電極片の一部がY軸方向延在部とZ軸方向に重なり合っている構成について説明したが、前述のような静電力を発生させることができれば、これに限定されず、例えば、駆動用電極片がY軸方向延在部と重なり合っていなくてもよい。
また、前述した第1実施形態では、Z軸を法線とする平面視にて、検出部の縁部を除く中央部と重なるように検出用電極を配置した構成について説明したが、検出部(検出用導電部)と検出用電極との間に静電容量が発生すれば、検出用電極の配置は、特に限定されない。例えば、Z軸を法線とする平面視にて、検出用電極の外形(縁)と検出部の外形(縁)とが一致するように検出用電極を配置してもよい。また、検出用電極の縁部が検出部から露出(突出)するように検出電極を配置してもよい。
また、前述した実施形態では、物理量センサー素子を角速度を検出する角速度センサーとして用いたが、これに限定されず、例えば、加速度を検出する加速度センサーとして用いてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1‥‥物理量センサー素子 1A‥‥物理量センサー素子 1B‥‥物理量センサー素子 1C‥‥物理量センサー素子 1D‥‥物理量センサー素子 10‥‥物理量センサー 2‥‥基板 21‥‥凹部 3‥‥振動系構造体 3A‥‥振動系構造体 31‥‥駆動部 31A‥‥駆動部 311‥‥Y軸方向延在部 311A‥‥基部 312‥‥Y軸方向延在部 312A‥‥Y軸方向延在部 313‥‥X軸方向延在部 314‥‥X軸方向延在部 321‥‥支持部 321A‥‥支持部 322‥‥支持部 322A‥‥支持部 323‥‥支持部 323A‥‥支持部 324‥‥支持部 324A‥‥支持部 331‥‥駆動用バネ部 331A‥‥駆動用バネ部 332‥‥駆動用バネ部 332A‥‥駆動用バネ部 333‥‥駆動用バネ部 333A‥‥駆動用バネ部 334‥‥駆動用バネ部 334A‥‥駆動用バネ部 34‥‥検出部 34A‥‥検出部 34C‥‥検出部 341C‥‥基部 342C‥‥X軸方向延在部 351‥‥検出用バネ部 351A‥‥検出用バネ部 351D‥‥検出用バネ部 352‥‥検出用バネ部 352A‥‥検出用バネ部 352D‥‥検出用バネ部 353‥‥検出用バネ部 353A‥‥検出用バネ部 354‥‥検出用バネ部 354A‥‥検出用バネ部 4‥‥駆動手段 4A‥‥駆動手段 41‥‥駆動用電極 41A‥‥駆動用電極 411‥‥駆動用電極片 411a‥‥部位 411b‥‥部位 411A‥‥駆動用電極片 412a‥‥部位 412b‥‥部位 412‥‥駆動用電極片 412A‥‥駆動用電極片 5‥‥検出手段 5A‥‥検出手段 5C‥‥検出手段 51‥‥検出用電極 51A‥‥検出用電極 51C‥‥検出用電極 6‥‥パッケージ 61‥‥ベース基板 62‥‥枠部材 63‥‥蓋部材 7‥‥基板 100‥‥表示部 1100‥‥パーソナルコンピューター 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 1106‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッターボタン 1308‥‥メモリ 1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニター 1440‥‥パーソナルコンピューター V1‥‥電圧 V2‥‥第1交番電圧 V3‥‥第2交番電圧 X1‥‥軸 X2‥‥軸 Y’‥‥軸 Y”‥‥軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する2つの軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と前記第2軸とを含む面の法線と平行な軸を第3軸としたとき、
基板と、
前記第1軸方向に振動可能な駆動用バネ部と、
前記駆動用バネ部に接続された駆動部と、
前記駆動部に一端が接続され、且つ、前記第3軸方向に振動可能な検出用バネ部と、
前記検出用バネ部の他端に接続された検出部と、
前記駆動部に設けられた少なくとも1つの駆動用導電部と、
前記検出部に設けられた少なくとも1つの検出用導電部と、
前記駆動用導電部に対して前記第3軸方向に離間して前記基板上に配置され、前記駆動用導電部との間に発生する静電力により、前記駆動部を前記第1軸方向に振動させる駆動用電極と、
前記検出部の前記第3軸方向への変位によって、前記検出用導電部との間の静電容量が変化するように前記基板上に設けられた検出用電極と、を有することを特徴とする物理量センサー素子。
【請求項2】
前記駆動用導電部と前記駆動用電極との間に発生する前記静電力によって前記駆動部を前記第1軸方向に振動させた状態で、前記第2軸まわりの角速度が加わると、コリオリ力を受けて前記検出部が前記駆動部に対して前記第3軸方向に振動し、該振動によって生じる前記検出用導電部と前記検出用電極の間の静電容量の変化に基づいて、前記角速度を検出することを特徴とする請求項1に記載の物理量センサー素子。
【請求項3】
前記駆動用導電部および前記駆動用電極は、それぞれ、前記第2軸方向に延在して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の物理量センサー素子。
【請求項4】
前記駆動用電極は、前記第1方向に対向配置された一対の駆動用電極片を有し、
前記駆動用電極片の少なくとも一方は、前記第3軸を法線とする平面視にて、一部が前記駆動用電極部と重なるように配置されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の物理量センサー素子。
【請求項5】
前記駆動用電極片の少なくとも一方は、前記第1軸方向の幅が前記駆動部の振幅の最大値よりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の物理量センサー素子。
【請求項6】
前記検出用導電部および前記検出用電極は、前記第3軸を法線とする平面視にて、一方が他方を覆って配置されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の物理量センサー素子。
【請求項7】
前記駆動部は枠状であり、前記駆動部の内側に前記検出部が配置されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の物理量センサー素子。
【請求項8】
互いに直交する2つの軸を第1軸および第2軸とし、前記第1軸と前記第2軸とを含む面の法線と平行な軸を第3軸としたとき、
基板と、
前記第3軸方向に振動可能な検出用バネ部と、
前記検出用バネ部に接続された検出部と、
前記検出部に一端が接続され、且つ、前記第1軸方向に振動可能な駆動用バネ部と、
前記駆動用バネ部の他端に接続された駆動部と、
前記駆動部に設けられた少なくとも1つの駆動用導電部と、
前記検出部に設けられた少なくとも1つの検出用導電部と、
前記駆動用導電部に対して前記第3軸方向に離間して前記基板上に配置され、前記駆動用導電部との間に発生する静電力により、前記駆動部を前記第1軸方向に振動させる駆動用電極と、
前記検出部の前記第3軸方向への変位によって、前記検出用導電部との間の静電容量が変化するように前記基板上に設けられた検出用電極と、を有することを特徴とする物理量センサー素子。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物理量センサー素子と、前記物理量センサー素子を収容したパッケージと、を備えることを特徴とする物理量センサー。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の物理量センサーを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−83112(P2012−83112A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226920(P2010−226920)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】