説明

物理量検出素子、および電子機器

【課題】ダイアフラム型の圧力センサーにおける支持部と、感圧素子としての振動片基部とを接合して成る物理量検出素子において、接合面に所望する接合面積を確保することを可能とする。
【解決手段】主面に一対の支持部34を備えたダイアフラム32と、枠部36とを備える第2基板30と、振動部22とその両端に一対の基部24とを備えた振動片20と、振動片の外周側に配置された枠部26と、振動片と枠部26とを接続する接続部28と、を備える振動基板18とを有し、基部24を支持部に接合すると共に枠部36と枠部26とを接合した物理量検出素子であって、基部における一対の基部の配置方向に沿った第1の長さ寸法、それに直交する方向の寸法を第1の幅寸法、支持部に対して一対の支持部34の配置方向沿った第2の長さ寸法、それに直交する方向の寸法を第2の幅寸法を、第2の長さ寸法<第1の長さ寸法、第2の幅寸法>第1の幅寸法、とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量検出素子に係り、特にダイアフラム型の圧力センサーにおける振動片基部と支持部との接合面積確保に好適な物理量検出素子に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラムと周波数変化型の感圧素子としての振動片(圧電振動素子片)とを用いた圧力センサー等の物理量検出素子では、特許文献1〜3に開示されているように、外力を受けて生じるダイアフラムの撓みを振動片に張力として伝達することにより、感圧素子の内部に引張り応力を生じさせ、内部に生じた応力に起因して振動片の共振周波数の変化を圧力変化に換算する構成とされている。
【0003】
特に、薄型の圧力センサーでは、特許文献1〜3に開示された構造のように、ダイアフラムの一方の面に振動片を支持するブロック状の支持部を形成し、この支持部に振動片を接合するという形態が採られている。ここで、振動片の形態は、振動部と、その振動部の両端に設けられた一対の基部とから成り、支持部に対しては、基部のみが接合し、固定される構成が採られる。
【0004】
このような基本構造を有する特許文献1〜3に開示されている圧力センサーのうち、特許文献1に開示されているものは、図面から参酌すると、接合対象とされる基部の長さ(振動部の延設方向と平行な方向)に比べて、支持部の長さが長く設定されており、その幅(振動部の幅方向と平行な方向)は基部と同等に設定されている。
【0005】
これに対し、特許文献2に開示されている圧力センサーでは、図面から参酌すると、接合部の長さ・幅と、支持部の長さ・幅とが共に、同等となるように設定されている。
【0006】
また、特許文献3に開示されている圧力センサーは、シングルビーム型振動子の振動に起因したダイアフラムへのシングルビーム型振動子の振動の漏洩によるダイアフラム感度の劣化を抑制し、受圧感度の向上を図ることを目的とする発明であり、即ち、支持部の平面形状を最適な形状に変更することによってダイアフラム受圧感度の向上を図っており、その支持部の形態は種々に及ぶ。しかし、実施形態として示されているいずれの形態に関しても、図面から参酌すると、支持部の長さ、あるいは幅の少なくともいずれか一方が、基部の長さ、または幅と同等、あるいはそれ以上となるように設定されている。
【0007】
つまり、いずれの特許文献に開示されている圧力センサーも、長さ、または幅の少なくとも一方において、支持部の長さ・幅と、基部の長さ・幅が一致する構造が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−333452号公報
【特許文献2】特開2009−68882号公報
【特許文献3】特開2011−107018号公報
【特許文献4】特開2004−179879号公報
【特許文献5】特開2009−164824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、振動片と支持部との接合構造を上記のようなものとした場合、次のような問題が生ずる。すなわち、ダイアフラム層(基板)と受圧素子層(基板)との接合時のアライメントズレに起因して、振動片と支持部との間で積層部の位置にズレが生じた場合、基部と支持部との接合面積が変動してしまうこととなる。このような事象が生ずると、ダイアフラムで受圧した外力を支持部を介して前記一対の基部へ確実に伝達することができなくなり、感圧素子の感度が不安定となってしまう問題があった。このため、圧力値の微小な変化を検出する精度に、ブレ、誤差などが生じてしまうことがあった。
【0010】
ここで、特許文献4、5には、ATカット水晶振動子において、励振電極を形成する際に、励振電極の外形に合わせたマスクを介してスパッタ等の蒸着により励振電極を形成する場合やフォトリソグラフィー技法とエッチング技法とを用いて、レジストからなる励振電極の外形に合わせたマスクによりマスクから露出されている蒸着膜をエッチングにより除去することにより励振電極を形成する場合において、マスクのアライメントのズレによって生ずる圧電振動片の表裏面における励振電極のズレに基づく静電容量の変動を防止するための手段が開示されている。
【0011】
具体的には、振動片の表裏面に配置される励振電極を、互いに交差する方向に延設するというものである。このような手段を採ることによれば、各励振電極の幅方向の長さによって定まる励振電極間の重複面積は一定となり、エッチング時におけるマスクのアライメントズレに起因する静電容量の変動が抑制される。
【0012】
しかし、特許文献4、5に開示された技術思想を圧力センサーに適用し、一対の基部とその間に配された振動部とを有する振動片と、これを支持する支持部との関係においては、ダイアフラムの撓む領域である受圧部(変位部)の受圧感度を高感度にするために、基部、支持部共に縦横(幅、長さ)の寸法には制限が課されてしまうので、特許文献4、5に開示された励振電極の形成に係る技術思想をそのまま適用することはできない。
【0013】
本発明では、ダイアフラム型の圧力センサーにおける支持部と、センサー素子としての振動片基部とを接合する接合形態において、接合面に所望する接合面積を確保することを可能とする接合構造を備えた物理量検出素子を提供することを目的とする。また、本発明では、このような物理量検出素子を搭載した電子機器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]主面に一対の支持部を備えたダイアフラムと、前記ダイアフラムの外周を囲う外周部と、を備えるダイアフラム基板と、感圧部と当該感圧部の両端に一対の基部とを備えた感圧素子と、前記感圧素子の外周側に配置された枠部と、前記感圧素子と前記枠部とを接続する梁と、を備える振動基板と、を有し、前記一対の基部を前記一対の支持部に接合し、前記外周部と前記枠部とを接合した物理量検出素子であって、前記基部における前記一対の基部の配列方向に沿った方向の寸法を第1の長さ寸法とし、前記第1の長さ寸法に直交する方向の寸法を第1の幅寸法とし、前記支持部に対して前記一対の支持部の配列方向に沿った方向の寸法を第2の長さ寸法とし、前記第2の長さ寸法に直交する方向の寸法を第2の幅寸法とし、前記第2の長さ寸法よりも前記第1の長さ寸法を大きくし、前記第2の幅寸法よりも前記第1の幅寸法を小さくし、前記支持部と前記基部との間の領域と、前記支持部と前記梁との間の領域と、に接合部材を配置したことを特徴とする物理量検出素子。
【0015】
このような特徴を有する物理量検出素子によれば、接合時のアライメントズレが生じた場合であっても、接合面積のバラツキが無く、所望する接合面積を確保することが可能となる。また、梁と支持部との接合により、接合強度の補助を行うことができる。
【0016】
[適用例2]適用例1に記載の物理量検出素子であって、前記支持部と前記基部との間の領域と、前記支持部と前記梁との間の領域と、に設けられた接合部材は、前記支持部の主面全面に設けられた接合部材の一部であることを特徴とする物理量検出素子。
【0017】
このような特徴を有する物理量検出素子によれば、接合時のアライメントズレが生じた場合であっても、基部と支持部との接合面全面、および接続部と支持部との接合面に接合部材が介在されることとなる。
【0018】
[適用例3]適用例1または2に記載の物理量検出素子であって、前記支持部と前記基部の外形を、矩形状としたことを特徴とする物理量検出素子。
このような特徴を有する物理量検出素子によれば、各辺の長さの範囲内であれば、アライメントズレが生じた場合であっても、支持部と基部との間の接合面の面積を確保することができる。
【0019】
[適用例4]適用例1または2に記載の物理量検出素子であって、前記支持部の外形を六角形状とし、前記基部の外形を矩形状としたことを特徴とする物理量検出素子。
【0020】
このような特徴を有する物理量検出素子も同様に、各辺の長さの範囲内であれば、アライメントズレが生じた場合であっても、支持部と基部との間の接合面の面積を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る物理量検出素子の構造を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る物理量検出素子を構成する第1基板の構成を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る物理量検出素子を構成する振動基板の構成を示す平面図である。
【図4】第1実施形態に係る物理量検出素子を構成する第2基板の構成を示す平面図である。
【図5】支持部の平面視形態において、幅方向両端部の長さ寸法のみを短くした場合の変形例を示す図である。
【図6】支持部の平面視形態において、角部の面取りをした場合の変形例を示す図である。
【図7】感圧素子である振動片の形態をシングルビーム型の振動片とした場合の構成を示す図である。
【図8】本発明に係る物理量検出素子を車両用情報記録装置に適用した場合の例を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る物理量検出素子を車両用の側面衝突検出装置に適用した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の物理量検出素子、および電子機器に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明に係る振動デバイス(物理量検出素子)10について説明する。なお、図1において、図1(A)は同図(B)に示す物理量検出素子におけるB−B断面の平面構成を示す図であり、図1(B)は同図(A)におけるA−A断面を示す図であり、図1(C)は同図(A)におけるC−C断面を示す図である。また、図2〜図4は、それぞれ物理量検出素子を構成する各基板の形態を示す平面図である。具体的には、図2は第1基板、図3は振動基板、図4は第2基板の構成を示す平面図である。
【0023】
図1に示す振動デバイス10は、ダイアフラムを用いた圧力センサーを構成するデバイスである。具体的な構成としては、第1基板12と振動基板18、および第2基板30とを有する。
【0024】
第1基板12は、詳細を後述する第2基板30と共に振動基板18を挟み込むためのカバー基板であり、振動基板18と対向する側の面に凹部が設けられている。このため、第1基板12は、凹部を形成する薄肉部14と、薄肉部14の外周を囲う厚肉の枠部16とを基本として構成される。振動基板18と接合された後に、振動基板18に形成された振動片20の振動領域を確保するためである。なお、本実施形態に係る第1基板12は、量産性や形状形成の容易さを考慮して、平面視の形態を長方形としている。
【0025】
振動基板18は、感圧素子としての振動片20と枠部(振動基板枠部)26、および接続部28を基本として構成されている。また、振動基板18の平面形態は、上述した第1基板12と同様に長方形としている。振動片20は、感圧部として機能する振動部22と基部24から成る。本実施形態の場合、振動部22は、2本が一対となった柱状ビームから成り、ビーム表面に、図示しない励振電極を備えている。振動基板18を圧電部材で構成した場合、このような構成とすることで、励振電極に電圧を印加することにより、所定の共振周波数での発振が成される。なお、振動部22は、振動基板18の長辺方向に沿って形成することで、励振に必要とされる長さを確保し易くなる。
【0026】
基部24は、振動部22を長手方向(振動基板18における長辺方向)に挟み込むように配置された固定部である。基部24を一対備えることで、2つの基部24をそれぞれ別部材に固定することができる。本実施形態では、2つの基部24をそれぞれ、詳細を後述する支持部34に接合することで、支持部34の接合面間の距離変動に応じて、振動部22に負荷される張力の変動を得ることができるようにしている。振動部22に負荷される張力が変化すると、振動部22によって励起される振動の共振周波数が変化する。このため、この共振周波数の変化を検出して、変化した共振周波数の値をセンシング値(検出値)として利用することができる。
【0027】
枠部26は、振動片20の外周に形成された平面視形状を長方形とした接合部材であり、一方の面を上述した第1基板12の枠部16と、他方の面を後述する第2基板30の枠部36と接合することとなる。接続部28は、前述した振動片20と枠部26とを接続する梁である。
【0028】
第2基板30は、ダイアフラム32と枠部(基板枠部)36、および支持部34とを基本として構成されている。なお、第2基板30も、上述した第1基板12や振動基板18と同様に、その平面視形態を長方形としている。
【0029】
ダイアフラム32は、可撓性を有する薄肉部材であり、その主面に力が加えられることにより、主面と交差する方向への撓みを生じさせる性質を持つ。このため、本実施形態に係る振動デバイス10では、圧力センサーにおける受圧部としての働きを担う。
【0030】
枠部36は、薄肉とされるダイアフラム32に比して厚肉に構成され、上述した振動基板18における枠部26との接合部としての役割を担うと共に、第2基板30における機械的強度を補う。上述したダイアフラム32は、枠部36における厚み方向の一端側へ片寄せするようにして形成する。このような構成とすることで、一枚の基板を片側から掘り込むことで、枠部36とダイアフラム32の双方を形成することが可能となる。このため、振動基板18と第2基板30とを接合した際には、振動部22とダイアフラム32との間に、振動のための空間が形成されることとなる。
【0031】
支持部34は、ダイアフラム32の一方の主面に設けられる凸部である。支持部34は、第2基板30における掘り込み部側に位置するダイアフラム32の主面に設ける構成とすることで、枠部36、ダイアフラム32の形成と同時に、支持部34の形成も行うことが可能となる。支持部34は、ダイアフラム32の主面に一対設けられる。各支持部34の配置位置は、ダイアフラム32の中心を基点として、線対象となるようにしている。具体的には、第2基板30と振動基板18とを接合した際に、振動基板18における振動片20の基部24の配置位置と、支持部34の配置位置とが重なるように、第2基板30の長辺方向に沿って配置している。
【0032】
このような構成とすることにより、ダイアフラム32に外力(圧力)が加えられてダイアフラム32が撓んだ場合、ダイアフラム32の主面に基端を有する支持部34は、ダイアフラム32の撓みに沿って傾倒する。ここで、ダイアフラム32の撓み(変位量)は、中心部が最も大きくなるため、中心部を基点として線対称に配置された支持部34は、互いに逆方向に傾倒することとなる。このため、振動片20の基部24との接合面である支持部端面(接合端面34a)間の距離は、ダイアフラム32の撓みに応じて離間することとなる。よって、接合端面34aに接合された基部24間の距離も離間することとなり、基部24に挟まれている振動部22に付与される張力が増加する。
【0033】
振動部22に付与される張力が増加すると、振動部22が励起する振動の共振周波数は高くなる特性を有する。このため、振動部22の共振周波数の変化をモニターすることにより、ダイアフラム32に加えられた圧力を検知することが可能となる。
【0034】
ここで、上記第1基板12、振動基板18、および第2基板30は、その構成材料を同一とすると良い。このような構成とすることにより、熱膨張率の違いによって生ずる基板間の剥離や、熱応力等を抑制することができるからである。本実施形態では、振動片20を双音叉振動子(圧電振動片)としていることより、第1基板12、第2基板30の構成材料は、振動基板18の構成材料に合わせるようにする。具体的には、水晶を用い、屈曲振動を励起する振動部22を構成する振動基板18には、Zカット、或いは2〜3°Z(振動片の主面に対する法線と結晶光学軸であるZ軸との交差角度が2〜3°である)と呼ばれるカット角で切り出された水晶基板を用いるようにすれば良い。
【0035】
また、第1基板12、振動基板18、第2基板30を構成する材料を同一にするほかの手法として、互いに熱膨張係数の値が同じ、あるいは熱膨張係数の値が近い材料で構成しても良い。
【0036】
更に、接合材については、第1基板12、振動基板18、第2基板30を構成する材料の熱膨張係数の値と同じ或いは近い値の、例えば、低融点ガラスや接着剤等を用いると好適である。
【0037】
また更に、前述の実施例では振動基板18を双音叉振動子を前提としていたので、Zカット水晶基板を用いたが、これに限定されず、振動基板18の振動モード(に応じたカットアングル)に合わせて、第1基板12と第2基板30の水晶のカットアングルも揃えれば良いことは言うまでもない。
【0038】
即ち、振動基板18の水晶カットアングルが、例えばX−cut、Z−cut、AT−cut、BT−cut、SC−cutの何れかであれば、第1基板12と第2基板30の水晶のカットアングルもそれに合わせれば良い。
また、第1基板12、振動基板18、第2基板30の材料は水晶に限定されず、その他の圧電材料であっても熱膨張係数の値が近い圧電材料であれば良い。
【0039】
上記のような基本構成を有する振動デバイス10において本実施形態では、基部24における一対の基部24の配置(配列)方向に沿った方向の寸法を第1の長さ寸法と定義すると共に、第1の長さ寸法に直交する方向の寸法を第1の幅寸法と定義する。そして、支持部34に対して一対の支持部34の配置(配列)方向に沿った方向の寸法を第2の長さ寸法と定義すると共に、第2の長さ寸法に直交する方向の寸法を第2の幅寸法と定義する。なお、本実施形態では、基部24の平面視形状と支持部34の平面視形状の双方を矩形としている。
【0040】
本実施形態では、支持部34(具体的には、接合端面34a)の長さ寸法である第2の長さ寸法a2よりも、基部24の長さ寸法である第1の長さ寸法a1の寸法が大きくなるように定めている。すなわち、a2<a1の関係が成り立つように構成されている。一方、幅寸法に関しては、支持部34(具体的には、接合端面34a)の幅寸法である第2の幅寸法b2よりも、基部24の幅寸法である第1の幅寸法b1の寸法が小さくなるように定めている。すなわち、b2>b1の関係が成り立つように構成されている。このような構成とした場合、長さ方向に関しては、a1とa2の差分(a1−a2)にあたる範囲内、幅方向に関しては、b2とb1の差分(b2−b1)にあたる範囲内であれば、基部24と支持部34との接合部に位置ズレが生じた場合であっても、両者の接合に係る部分の面積に変動が生じない。よって、振動基板18と第2基板30との積層時にアライメントズレが生じた場合であっても、接合面の面積に変動を生じさせず、安定した接合状態を確保することができる。このため、ダイアフラム32での受圧圧力の伝達を安定させることができ、圧力センサーとしての精度の向上、ブレ、誤差の抑制を図ることができる。
即ち、アライメントによるずれ量を、長さ方向差分(a1−a2)、幅方向差分(b2−b1)の範囲内で制御しさえすればよいのである。
【0041】
第1基板12、振動基板18、および第2基板30の接合には、接合部材(接着剤)40として低融点ガラスを用いる。第1基板12、振動基板18、および第2基板30を構成する部材と熱膨張係数が近いためである。このため、第2基板30を構成する支持部34の接合端面34aと、振動基板18を構成する基部24との間にも、接合部材40が介在されることとなる。振動基板18と第2基板30との接合における接合部材40の塗布について、本実施形態では、支持部34における接合端面34a全面に接合部材40を塗布する構成としている。これにより、支持部34と基部24の接合に用いられる接合部材40は、接合端面34aに設けられた接合部材40のうちの一部となる。そして、本実施形態では、支持部34における接合端面34aと接続部28との間にも、接合部材40が介在されることとなる。
【0042】
このような構成とすることで、振動基板18と第2基板30との間の接合時にアライメントズレが生じた場合であっても、基部24と接合端面34aとの間には、必要十分な接合面積を確保することができ、圧力の伝達感度が低下する虞も無い。また、本実施形態では、支持部34と基部24との接合の際に、接続部28の一部も支持部34に接合する構成としているため、接合強度の確保を図ることができる。すなわち、基部24の面積を小さくした場合であっても、接合強度を補助することができる。また、アライメントズレなどが生じた場合であっても、接続部28と支持部34との接合面の総面積に変わりが無い。このため、接合面全体での接合面積の変動も無い。
【0043】
上記実施形態では、支持部34と基部24の平面視形態は、いずれも長方形であるように示している。しかしながら、本実施形態に係る振動デバイス10では、支持部34と基部24のうち、いずれか一方の平面視形態を正方形、いずれか他方の平面視形態を長方形とした場合であっても、同様な形態を採ることができる。
【0044】
さらに、支持部34の平面視形態については、図5に示すように、幅方向端部の長さを短くした形状や、図6に示すように、角部を面取りした形状、すなわち六角形とすることもできる。なお、支持部34の平面視形態を図5や図6のような形態とした場合、支持部34の長さ寸法a1、幅寸法b1は、最も寸法が小さくなる部分を基準として定めるようにする。このように寸法を定めることで、上述した実施形態に係る振動デバイス10と同様な効果を得ることができる。その他の構成、作用、効果については、上述した実施形態に係る振動デバイス10と同様である。
【0045】
また、上記実施形態では、振動片20として、いわゆる2本一対の振動部22を持ったいわゆる双音叉型のものを採用した形態で図面に示した。しかしながら、振動片は、このような形態に限るものでは無い。例えば、図7に示すように、振動部22を1本の柱としたシングルビーム型の振動片20aとしても良い。このような形態であっても、本発明を実施するにあたり、不具合を生じさせず、かつ上述した効果を奏することができるからである。
なお、上記実施形態ではいずれも、振動基板18を水晶で構成するように記載したが、圧電振動基板は、水晶以外の圧電材料を用いることもできる。
【0046】
このように振動デバイス10は、例えば携帯電話、ハードディスク、パーソナルコンピューター、BS及びCS放送用の受信チューナー、同軸ケーブルや光ケーブル中を伝搬する高周波信号や光信号用の各種処理装置、広い温度範囲で高周波・高精度クロック(低ジッタ、低位相雑音)を必要とするサーバー・ネットワーク機器、無線通信用機器等の様々な電子機器に適用することができる。
【0047】
また、振動デバイス10は、加速度センサーや、回転速度センサー等の各種センサーにも広く利用することができる。
また、実施形態に係る振動デバイス10は、燃料電池システムの一部として機能させることもできる。近年注目をされるようになった水素やメタノール等の燃料電池は、軽量化や利便性等に起因して、例えば、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末機(Personal Digital Assistants:PDA)、オーディオプレーヤ、プロジェクタ載置台、カプセル型医療機器の通信機能を具備した電子機器といった各種情報処理装置の燃料電池としての用途が考えられる。
【0048】
また、本発明に係る振動デバイス10を車両用情報記録装置に搭載することもできる。その場合のブロック図を図8に示す。図8に示す車両用情報記録装置450は、デジタルタコグラフ452と、ドライブレコーダー462を備え、事故等のイベント発生時前後の必要な時間のみについて、双方が生成するデータを関連付けて記録し、その後の解析等に有用なデータを提供することを可能とするものである。
【0049】
この車両用情報記録装置450では、デジタルタコグラフ452と、ドライブレコーダー462との他に、走行状況検知手段454、デジタルタコグラフ通信手段456、デジタルタコグラフ記録手段458、およびデジタルタコグラフ制御部460等を備えている。ここで、走行状況検知手段454は、車両速度やエンジン回転数、タイヤ圧力、テンキーやタッチパネルからの車両運転者による入力情報、その他気温、湿度等の外部入力情報、カメラによる走行時等の映像、Gセンサーによって得られる加速度や衝突時の衝撃等の情報等を得るための手段である。
【0050】
また、デジタルタコグラフ通信手段456は、デジタルタコグラフ452によって得られた情報と、ドライブレコーダー462によって得られた情報とを送受信する手段である。そして、デジタルタコグラフ記録手段458は、デジタルタコグラフ制御部460からの制御信号を受け、各種取得情報を記録するための手段である。このような構成の車両用情報記録装置450において、本発明に係る振動デバイス10は、走行状況検知手段454の一部として利用することで、高精度な圧力(高度)検出が可能となる。
【0051】
図9に、本発明に係る振動デバイス10を側面衝突検出装置500に搭載した場合の模式図を示す。側面衝突検出装置500に、本実施形態に係る振動デバイス10を適用する場合、例えば、車両502のサイドドア504の内部に、圧力センサーとしての振動デバイス10を配置すれば良い。このような構成とすれば、サイドドア504の内部空間506の圧力変動を検出することで、これを車両502の側面に加えられた衝撃として検出することが可能となる。
【0052】
上記実施形態においては、本発明に係る振動デバイス10を搭載した電子機器の例として、特に車両に係わる具体例を示して説明したが、例えば本発明に係る振動デバイス10を圧力センサーとして機能させる場合、圧力検出を必要とする電子機器全般に適用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
10………振動デバイス、12………第1基板、14………薄肉部、16………枠部、18………振動基板、20………振動片、22………振動部、24………基部、26………枠部、28………接続部、30………第2基板、32………ダイアフラム、34………支持部、34a………接合端面、36………枠部、40………接合部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に一対の支持部を備えたダイアフラムと、
前記ダイアフラムの外周を囲う外周部と、
を備えるダイアフラム基板と、
感圧部と当該感圧部の両端に一対の基部とを備えた感圧素子と、
前記感圧素子の外周側に配置された枠部と、
前記感圧素子と前記枠部とを接続する梁と、
を備える振動基板と、
を有し、
前記一対の基部を前記一対の支持部に接合し、
前記外周部と前記枠部とを接合した物理量検出素子であって、
前記基部における前記一対の基部の配列方向に沿った方向の寸法を第1の長さ寸法とし、
前記第1の長さ寸法に直交する方向の寸法を第1の幅寸法とし、
前記支持部に対して前記一対の支持部の配列方向に沿った方向の寸法を第2の長さ寸法とし、
前記第2の長さ寸法に直交する方向の寸法を第2の幅寸法とし、
前記第2の長さ寸法よりも前記第1の長さ寸法を大きくし、
前記第2の幅寸法よりも前記第1の幅寸法を小さくし、
前記支持部と前記基部との間の領域と、
前記支持部と前記梁との間の領域と、
に接合部材を配置したことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出素子であって、
前記支持部と前記基部との間の領域と、
前記支持部と前記梁との間の領域と、
に設けられた接合部材は、前記支持部の主面全面に設けられた接合部材の一部であることを特徴とする物理量検出素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の物理量検出素子であって、
前記支持部と前記基部の外形を、矩形状としたことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項4】
請求項1または2に記載の物理量検出素子であって、
前記支持部の外形を六角形状とし、
前記基部の外形を矩形状としたことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の物理量検出素子を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate