説明

物質を入れたカプセルを使用して飲み物を準備するための方法と装置

本発明は、抽出及び/又は溶解するための物質を入れたカプセル3を通して水を注入することによって飲み物を準備するための装置1に関する。この装置は、水をカプセルの中に導入するための少なくとも1つの水注入システム2を備えている。このシステムを、カプセルの形式及び/又はカプセルの中に入れた物質の性質に応じて湿潤化を調整するためなどの、物質を湿潤化するための少なくとも2つの異なる様式を与えるために切り替えることができる。本発明によれば、抽出するための物質又は可溶性物質から広範囲の発泡飲み物又は非発泡飲み物を準備するための装置を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽出及び/又は溶解しようとする物質などの食品物質を入れたカプセルを使用して飲み物を準備するための方法と装置に関する。本発明は、さらに正確には、最適化された様式でさまざまな形式の物質から多種多様な飲み物を準備するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力の下で抽出又は混合によって飲み物を準備するために物質を入れたカプセルを使用することは、特にエスプレッソ形式のコーヒー又は可溶性のコーヒーの分野でよく知られており、特に衛生、コーヒーの貯蔵の新鮮味、及び使用の容易さという理由で有利である。
【0003】
挽いたコーヒー豆、茶などの抽出しようとする物質、又は可溶性コーヒー、チョコレート、ミルクなどの溶解又は分散しようとする物質、又はこれらの物質の混合物又は簡単な組合せを入れた「カプセル」を使用して飲み物を準備するための、さまざまな機械がある。
【0004】
カプセルは、水の注入のためのチャンバとして使用され、ある一定の圧力しきい値以上で、浮彫り状の要素と接触したカプセルの一面を破断することによって液体を放出するために開く、閉鎖カプセルであってもよい。水は通常、針又はスパイクを使用してカプセルに貫通孔をあけることによって注入される。この形式の抽出システムの一例は、特許EP0512470B1又は別の特許EP0870457に記載されている。まだ未公開の欧州特許出願第02000943.7号には、カプセルがカプセル薄膜又は膜を破断するためのそれ自体の放出形式の手段を有し、これによって、カプセル内部で圧力しきい値に達すると液体抽出物を放出する、カプセルが記載されている。
【0005】
カプセルは、フィルタ形式の透過性チャンバ、又は代わりにフィルタ構成部分を含む半透過性チャンバにすることもできる。
【0006】
さらに広範囲のさまざまな飲み物を提供するように、同じ機械を使用して、混合しようとする物質(可溶性又は分散可能物質)及び圧力下で抽出しようとする物質を使用することは周知である。例えば、1つの同じ機械において、カプセルに挽いたコーヒー豆を入れたときには「エスプレッソ」コーヒーを、物質がココアと粉乳の混合物であるときにはホット・チョコレートを準備することが可能である。しかし、上質の、例えば芳香、味、及び/又は泡の容積の点で上質の飲み物を得ようとするときには、別の形式の物質をカプセルに満たすことでは十分ではないことがわかっている。
【0007】
特に、注入条件、混合条件、又は湿潤化条件は、生成される飲み物の品質にかなりの影響を及ぼすこともある。粉挽きの結果カプセルの中に圧し込まれた物質を必要とするか、又は代わりに、可溶性コーヒー若しくはカプチーノやチョコレートなどのミルクベースの物質などの液体の中に溶解又は分散させようとする物質を必要とするかに応じて、水がカプセルを通って循環する方式は、抽出条件又は混合条件に影響し、したがって飲み物の最終品質に影響する。したがって、コーヒー又はチョコレートなどの製品は急速かつ完全に、好ましくは泡を発生させて、溶解又は分散すべきであり、一方では、溶解性の茶は好ましくは泡を発生することなく溶解すべきである。溶解又は分散は、塊や泡立ちを生じさせることなく、全体的に均質で急速でなければならない。挽いたコーヒー豆などの抽出しようとする製品の場合には、最適な湿潤化条件は異なる。製品を完全に湿潤化しなければならず、これによって水/コーヒーの接触表面を、コーヒーの底部を通る水のための好ましい経路を作ることなく最適化する。コーヒーの底部を通る優先的な経路の創生は、抽出時間が不十分でコーヒーの一部がまだ正しく湿潤化されていないにもかかわらず、結果的に圧力が過度に突然生じ、したがって抽出物の放出も速すぎることになる。
【0008】
注入条件は単に特定の問題に応じるものか、又は特定の物質に関連するものであるが、改善することもできる。例えば、特許出願EP1299022A1は、カプセルを通じて水を分配し、水注入針の閉塞妨害と湯あかの付着を排除するためのブレードと個別の水入口とを含むカプセルに関するものである。例えば特許出願EP1203554A1は、カプセル内部の水流条件を促進し、カプセル外側の固体残留物の発生を防止するための刺し通しスパイクの形状に関するものである。
【0009】
しかし、カプセルの中に入っている物質の抽出又は水との混合の場合に、異なる、矛盾することも多い結果として生ずる湿潤化条件を満たす目的を持つ周知の装置はない。したがって、周知の装置は、さまざまな種類の物質から広範囲にわたる飲み物を各場合に適合した様式で準備するためには不適である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、広範囲の多様な物質から広範囲の飲み物を適合して準備することを十分に可能にする装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は第1に、カプセルの中にある量の水を導入するための少なくとも1つの水注入システムを含む、溶解及び/又は抽出しようとする物質を入れたカプセルを通じてある量の水を注入することによって飲み物を準備するための装置であって、カプセルの形式に従って、及び/又はカプセルの中に入れた物質の性質に従って湿潤化に適合するように、少なくとも2通りの異なる物質湿潤化様式の間で選択を行うために前記注入システム切り替えることができることを特徴とする、装置に関する。
【0012】
「カプセル」という用語は、広い意味では、補充エレメントのための形又は構成部分材料を制限することなく物質を入れたあらゆる形式の補充エレメントとして理解される。特に、カプセルは不透過性、透過性、又は部分透過性の形式であってもよい。
【0013】
注入システムを、少なくとも2つの可能な様式に従って注入構成を変更するように作動させることができ、前記2つの様式はこれらの間に、注入方向、注入スパイクの個数、及びカプセルの中への注入の径方向位置及び/又は深さ位置を含む1つ又は複数の示差的な特徴を有する。
【0014】
したがって本装置は、カプセルの形式及び/又は前記カプセルの中に入れた物質の性質を考慮して探される条件に対応する注入条件を作り出すことができる。したがって、同じ装置を使用して、カプセルの中に入れた各物質の特定の特性と各飲み物のための固有の品質基準とに合致したさまざまな飲み物を作り出すことが可能である。
【0015】
好ましい一実施例では、注入システムは、カプセル内の少なくとも2つの別個の位置に、すなわちカプセルの孔あけされた表面に関して定義することができる位置に転置することができる少なくとも1つの孔あけ注入エレメントを含む。したがって、孔あけエレメントの特定の転置は、所望の湿潤化様式の関数である。
【0016】
したがって、孔あけ注入エレメントを、手動制御される手段、又は機械式、液圧式、電気式、又は代替案として組合せ式の自動的作動手段によって転置させてもよい。
【0017】
ある実施例では、孔あけエレメントをカプセル内の2つの異なる深さに従って転置することができる。
【0018】
第1実施例では、孔あけ注入エレメントを、頂部を通じてカプセルの中に入っている物質を湿潤化するためにカプセル内の高い第1位置に、及び物質の底部からカプセルの中に入っている物質を湿潤化するためにカプセル内のより深いすなわちより低い第2位置に転置することができる。頂部を通じて湿潤化する様式は、すべての溶液が底部を通過すべきであり、抽出を調節し、次いでカプセルを開く正しい瞬間を調節する水ピストンを、底部を通じて形成するという要件に従うので、抽出しようとする物質によく適している。
【0019】
一方、底部を通じて湿潤化する様式は、インスタント・コーヒー又はミルクベースの飲み物などの、溶解しようとする物質の溶解を促進し、したがって、内部隆起部又は縁部に沿うなどのカプセルの底に生じる傾向のある固体の集積領域を無くする。
【0020】
第2実施例では、孔あけエレメントを、少なくとも1つの注入スパイクがカプセルの中でさらされるカプセル内の高い第1位置に、及びより多くの注入スパイクがカプセルの中でさらされるカプセル内の低い第2位置に転置することができる。第2実施例では注入点の個数が増えるので、注入はより拡散又はより分散し、カプセルを通る注入流体の速度は低下し、これは混合しようとする物質よりも抽出しようとする物質によく適している。
【0021】
さらに別の実施例では、注入システムは、少なくとも1つの第1孔あけ注入エレメントと、第1孔あけ注入エレメントとは別の少なくとも1つの第2孔あけ注入エレメントとを含み、これらのエレメントは互いに転置させることができ、各エレメントはカプセル内の物質を湿潤化する異なる様式を提供する。したがって各孔あけ注入エレメントは、1つ又は複数の物質に適合し、及び/又は1つの同じ物質から異なる特性を有する飲み物を形成するための1つの湿潤化様式に専門化される。
【0022】
好ましい一実施例では、第1及び第2エレメントを段階対抗状態で(又は移動対抗状態で)、第1エレメントがカプセル内で係合状態にあって第2エレメントがカプセルから引っ込められる少なくとも1つの第1位置に、及び換位的に、第1エレメントがカプセルから引っ込められて第2エレメントがカプセル内で係合状態にある第2位置に転置することができる。この形式の配置は、ある湿潤化様式を他の湿潤化様式に急速に切り替えることを可能にする。利点は特に、適切な湿潤化様式の選択の速度と簡単さである。
【0023】
エレメントの対抗移動を、例えばロッカー式又はトグル式操作手段で、又は例えばソレノイドを有する形式の手段などの任意の機械的又は電気的に等価の手段によって操作してもよい。この利点は、装置の中にある物質及び/又はカプセルを考慮して最も適当である湿潤化様式の急速で信頼性のある選択を可能にすることである。
【0024】
本発明による注入エレメントが、カプセルの中で液体を物質と混合する渦巻運動を作り出すように構成されたジェットの形で、カプセルの内部に少なくとも1つの注入点を好ましくは含んでもよい。
【0025】
このエレメントが、カプセルの直径方向軸に対して傾斜した注入方向を有する注入オリフィスを有するカプセルの軸に対して、例えば点の形で中心をそれてもよいことは好ましい。注入点からの注入オリフィスの軸は、注入点をカプセルの中心と結ぶ線と、20°〜60°間、好ましくは35°〜45°間にある角度を形成する。
【0026】
この形式の湿潤化様式は、カプセルの内部にその中心軸の周りに渦巻効果を形成するように、物質を回転運動に引き込む少なくとも1つの液圧力モーメントを作り出す効果を有する。注入方向が、内部乱流運動を、渦巻効果を伴うのみではなく、底部から頂部へなどの渦巻の方向に実質的に直角な方向にも発生させるために、カプセルの底部へ向いていることは好ましい。
【0027】
チョコレートベース及び/又はミルクベースの物質などの、溶解又は分散しようとする物質のためには、単一の注入スパイクで十分である。
【0028】
多くの注入スパイクを、カプセルに液体をさらによく分布させるように中心をそれて配置してもよい。この形式の構成はある物質のために、特に、挽いたコーヒー豆などの抽出しようとする物質の底部に十分に分布する液体の混合物を作り出すために有利になり得る。
【0029】
好ましい一実施例では、2つの注入エレメントの1つは、そのカプセルにおける係合によってカプセル表面の複数の位置に孔をあけるためのマルチスパイク・プレートである。この形式の配置はコーヒーなどの挽いた物質の場合に有利であり、この場合、水入口領域を増加してカプセル内においてカプセル断面の大部分にわたって、さらにその断面全体にわたって水を分布させ、こうして物質の底部を通過する水の速度を低下させ、これによって物質を通る好ましい経路を防止し、こうして物質全体の完全な漸進的な湿潤化を保証することが有利である。
【0030】
さらに別の好ましい実施例では、2つの注入エレメントの1つは、実質的にカプセルの中央に位置付けられて、少なくとも1つの薄い水の層の形で多方向に発散する散布を生成するように構成された注入スパイクである。
【0031】
スパイクの周囲の上に連続的に延在してカプセルの中に含まれる物質を循環的に散布する単一層、又はスパイクの周囲の上に実質的に分布する方式で延在するいくつかの断続的な水の層もあり得る。1つ又は複数の薄い水の層は、0.5mm以下、好ましくは0.3mm未満の厚さを有する。好ましいが限定されない一実施例によれば、スパイクは、弾性エレメントに対する水圧のために開いて、圧力を考慮して決定された厚さを有する通路を開放し、これによって水の層を作り出すように構成されている。この形式の外形構成は、妨害などの問題を起こすことなく自己清浄化を行い均一な水層を保証するという利点を有する。別の実施例では、スパイクは、いくつかの水の層を生成するためのスロットの形をなす固定された開口部を含み、これらの水の層は互いに組み合って水を分布させ、約360°にわたる被度を保証する。
【0032】
別の実施例では、1つ又は複数の水層の形で発散する散布を生成する注入スパイクは、装置の唯一の注入手段でもよく、また少なくとも2つの異なる湿潤化深さに従ってカプセル内部で深さに関して転置可能なものであってもよい。多くの深さに従って転置することは、底部を通過する全ての緩やかな水によって湿潤化することが好ましい、抽出しようとする底部として配置された挽いた物質と、塊を形成することなく溶解しようとする集塊を漸進的に破壊してこれを移動させるように水をより深い位置で注入することが有利である、溶解しようとする物質との両方を処理することを可能にする。
【0033】
カプセルのサイズ及び/又は外形を認識することによって1つ又は複数の前記孔あけ注入エレメントを2つの位置に選択的に転置するための、作動手段を備えることが好ましい。この作動手段については、本発明の一般原理から外れることなく、非常にさまざまな形を想定してもよい。例えば、作動手段は、前記孔あけ注入エレメントと一体化された少なくとも1つの支持物を含んでもよく、この支持物はヘッド・ベースに対して弾性的に転置可能であり、作動手段は、カプセルの縁部に相補的に係合することによって作動手段を移動するための少なくとも1つの検出手段を含む。作動手段は、ヘッド・ベースなどの装置の基準エレメントに対して移動可能であってもよく、この基準エレメントは、カプセルの注入表面側に置かれて、閉鎖に関して、カプセルを受け入れてこれを適所に保持するためのカプセル支持物と相互作用するものである。
【0034】
本発明の特定の実施例では、注入システムは、作動手段と一体化された中心をそれた注入スパイクの形の第1注入孔あけエレメントと、ロッカー形式の操作手段によって作動手段に連結されたマルチスパイク・プレートの形の第2注入孔あけエレメントとを含み、ヘッド・ベースに対して転置可能に取り付けられ、したがって前記マルチスパイク・プレートは、作動手段の検出手段がカプセルの相補縁部に遭遇してこれと係合し、カプセルの表面に対して引っ込んだ位置に操作されると、カプセルの表面に孔開けするための位置に向かって操作され、したがって、検出手段がカプセルの相補縁部に遭遇しないときには、注入スパイクがカプセルの中に入ることを可能にする。
【0035】
さらに別の特定の実施例では、注入システムは、作動手段と一体化された中心をそれた注入スパイクの形の第1孔あけ注入エレメントと、作動手段とヘッド・ベースとを通るガイドとして取り付けられた中央注入スパイクの形の第2注入孔あけエレメントとを含み、前記中心をそれた注入スパイクは、作動手段の検出手段がカプセルの相補縁部に遭遇すると、カプセルの表面から引っ込められる位置にあり、検出手段がカプセルの相補縁部に遭遇しないときには、カプセルの中の孔あけ位置にある。
【0036】
別の特徴によれば、本発明の装置の注入システムは、物質の性質及び/又は注入形式に応じて水をある注入温度に保つための手段を含む。この形式の手段は、熱装置、加熱抵抗カートリッジなどの水加熱器、又は代わりに湯わかし、及び例えばサーモスタットなどの注入システムにおける水の温度をモニタリングするための手段を含んでもよい。水の温度を維持するための手段は、第1温度範囲に従って、及び第1温度範囲とは異なる第2温度範囲に従って水を加熱するために切替え可能であり、その逆も可能であり、これは物質の性質及び/又はカプセルの形式に応じて変わる。したがって、カプセルがミルクなどの泡立ちを生じさせるかもしれない製品を含むときには、注入システムは、物質の泡立ちに影響しない温度範囲内での注入に応じて水の温度を確定するために切替え可能である。したがって例えば粉乳の場合には、温度を80℃未満の温度範囲に、好ましくは50〜75℃間の範囲に下げる。切替えを、先に説明したように、カプセルに連結された作動手段によって行ってもよい。
【0037】
同様に、水注入システムは、物質の性質及び/又はカプセルの形式に応じて水の流量を調整するための手段を有する。好ましい一方式では、この手段はポンプを含み、先に説明したように、ポンプの力を調整することができ、この調整はカプセルと関連して作動手段によって実施してもよい。
【0038】
本発明はまた、溶解及び/又は抽出しようとする物質を入れたカプセルを通じて水を注入することによって飲み物を準備するための方法であって、液体が少なくとも2つの異なる注入様式に従ってカプセルを通って注入され、各様式について、カプセルの形式及び/又は前記カプセルの中に入っている物質の性質に応じて選択することが可能である方法にも関する。
【0039】
さらに別の実施例では、液体は、1つ又は複数の注入点が空間的にはっきり区別され、及び/又は個数の面で異なる少なくとも2つの様式に従って注入される。
【0040】
例えば液体は、カプセル内に2つの別個の注入深さを定義する2つの注入様式に従って注入される。
【0041】
さらに別の実施例では、液体は、1つ又は複数の注入点が空間的にはっきり区別され、及び/又は個数の面で異なる少なくとも2つの様式に従って注入される。
【0042】
例えば液体は、カプセル内に2つの別個の注入流深さを定義する2つの注入様式に従って注入される。
【0043】
さらに別の変形形態によれば、カプセルへの液体の導入速度が異なる少なくとも2つの注入様式に従って注入される。さらに詳しくは、カプセルへの液体の導入速度を、1つの同じ加圧液体源からのカプセルへの液体の導入点を増加することによって遅くしてもよい。抽出しようとする物質の場合には、混合しようとする溶解可能又は分散可能物質の場合よりも遅い導入速度を有することが有利である。したがって、抽出しようとする物質の場合には、物質の底部を通る好ましい経路の形成を防止するために、比較的遅い速度での液体の導入を可能にする複数の注入点が好ましい。
【0044】
例えば、液体は、前記のカプセルの中で注入された液体の渦巻運動を作り出して前記物質との混合を起こさせるように、第1様式に従って注入される。
【0045】
同様に、液体は、第1様式におけるよりも遅い注入速度で、いくつかの入口点からカプセルの中への散布を形成するように、第2様式に従って注入される。
【0046】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して例証として限定しない方式で行った実施例の説明を読むことによって明白になろう。
【実施例】
【0047】
図1〜3を参照すると、準備装置1の好ましい第1実施例が断面で示され、カプセル3の内部の少なくとも2つの異なる注入・深さ位置に従って切替え可能な、加圧された流体、好ましくは低温又は高温の加圧された水を注入するためのシステム2を含む。この装置は、カプセル支持物又は「カプセル・ホルダ」40の形の第1下部サブアセンブリを含み、このサブアセンブリは、少なくともカプセル3を部分的に受け入れるのに適した形とサイズとを有する。カプセルは閉鎖、開放、又は部分開放カプセルであってもよい。
【0048】
好ましい一実施例によれば、カプセルは、抽出及び/又は溶解しようとする物質を入れた閉鎖チャンバと、リリーフ形式のエレメント37などの係合手段と接触しているチャンバ内の圧力上昇の効果によって開く膜35などの保留部分とを含む。係合手段は、カプセル自体の一部を形成するか、又はカプセル・ホルダ40の一部を形成してもよい。カプセルはまた、抽出された液体又は混合物を収集するための手段31と、導管手段又は流れオリフィス32とを含むことも好ましく、これらは両方ともカプセルに属する。これは、一体式の開放手段と組み合わせて、装置、特にカプセル支持物40に接触することなく生成物を引き渡すという利点を有する。これは、飲み物の交差汚染がないこと、衛生上の改善、掃除が少なくなること、及び準備装置の実際の設計がもっと簡単になることを保証する。さらに正確には、カプセルは、機能的エレメント、すなわちリリーフ形式のエレメント、密封された開口膜30、及び導管手段32を形成又は収容するための、プラスチックなどから作られたディッシュ33を含んでもよい。ディッシュ33は、カプセルの密封縁部36全体にわたって密封された第2入口膜30によってチャンバ34を形成するために、閉鎖されてもよい。カプセルの外形構成は、もちろん本発明の情況から逸脱することなく多くの他の設計及び/又は形を有してもよい。例えばカプセルは、等価の方式で装置に挿入される主として可とう性の材料から形成される本体(小さな袋)を含むこともできよう。
【0049】
好ましいカプセルが、2003年1月13日に出願された特許出願Euro−PCT第03/00384号に詳しく記載されており、この内容全体は本参照によって本出願に加えられている。
【0050】
本装置は、カプセルを囲む注入チャンバを画定するために、カプセル・ホルダ40と閉鎖によって相互作用する第2サブアセンブリ又は注入システム2を含む。この第1実施例では、第2サブアセンブリ又は注入システム2は、後述する構造を有する中央孔あけ注入エレメント5と、多くの湿潤化様式に従ってカプセル内の実際の注入点を転置するように、エレメント5と一体となった作動手段6とから形成されている。この目的のために、孔あけ注入エレメントは、カプセル支持物40に対して閉鎖によって転置されるヘッド・ベース7を通過している。ヘッド・ベースは固定支持物40に対して移動可能であってもよく、又はその逆もあり、又は代替案として、両方が閉鎖によって移動可能であることが理解されよう。ヘッド・ベース7の上に作動手段が取り付けられ、この作動手段は、本説明の残りの部分では「可動ベル形状部6」と呼ばれるベル形状部品の形の移動可能な支持物の形を呈する。
【0051】
可動ベル形状部6は、ヘッド・ベースの多くのガイド・チューブ70、71とヘッド・ベースの上端壁79と可動ベル形状部6との間に挿入されたばね72、73とによって、ヘッド・ベース7に対して弾性並進ガイド状態で連結されており、これによって、装置が開いた位置では、ヘッド・ベース7は、ばねの圧縮効果によって可動ベル形状部の底に実質的に当てられる。この目的のために、上端壁79は、ねじ790などの任意の適切な連結手段によって、ヘッド・ベースのチューブに確実に連結されている。
【0052】
ヘッド・ベース7はまた、閉鎖によってカプセル・ホルダ40の周囲縁部41に圧迫するように配置された、エラストマ・シールなどの周囲密封手段74も含む。したがって、ヘッド・ベースは、閉鎖のときにカプセルの入口表面の近くに取り付けられた部分を含む。これによって、カプセルを通って、さらに正確にはカプセルの入口膜30を通って中央孔あけ注入エレメント5を導入することが可能になる。注入システムを通って流体が生じて装置から出ることを防止するために、補足密封エレメント75が孔あけ注入エレメントを取り囲んでもよい。
【0053】
図示された本発明の実施例は、注入エレメント又は可動ベル形状部6の作動手段がエレメント5と一体となっており、こうして、そのカプセル支持物に対する相対的位置に応じて、カプセルにおける孔あけ注入エレメントの位置を変更し、したがってカプセルの閉鎖チャンバの中に入れた物質の湿潤化形状を変えることが可能である、という原理に基づくものである。さらに正確には、可動ベル形状部6は、カプセルの相補縁部360に係合することができる、したがって(図2に示すように)カプセルの縁部の幅に応じて方向Aに可動ベル形状部6をヘッド・ベース7に対して押し戻すことができる係合縁部60によって形成された実際のカプセル形式に応じて検出するための手段を有する。したがって孔あけエレメントの導入位置として、カプセルが、ベル形状部6の縁部60に対して係合する広い縁部又は縁部延長部360bを有するか、又は代わりに、ベル形状部の縁部が遭遇しないような狭い構成の縁部360aを有するかに応じて、2つの別個の位置を採用することができる。
【0054】
したがって、図2は、カプセルが延長部又は広い縁部360を有し、ベル形状部6を押し戻し、こうして孔あけ注入エレメントをカプセルの入口近くの導入位置P1に保持することを可能にする構成を示す。このような位置は、例えば抽出しようとする挽いたコーヒーによく適している、実質的に物質の底部の入口のレベルにおいて流体を注入することを可能にする。
【0055】
図3は、カプセルがもっと狭い縁部360aを有し、これらの縁部は、ベル形状部6が装置の閉鎖によってカプセル支持物を押し戻すことなくカプセル支持物に沿って通過することを可能にする、という構成を示す。この場合には、孔あけ注入エレメントは、カプセル内でより深い位置P2に到達することができる。このような位置は、物質をその底部を通じて湿潤化して、物質の塊の漸進的な破壊を起こさせるには有利であることがわかっている。可溶性物質の場合には、例えばこの形式の湿潤化様式は特に効果的であることがわかっている。
【0056】
図4A、4B、及び5は、孔あけ注入エレメント5の好ましい構成を詳細に示している。孔あけ注入エレメント5は、準備装置の加圧流体供給部に連結することができる端部品56を有する。この端部品は、流体を運搬するための中空貫通繰り孔560を含み、その下端において細長い中空注入部分57に直接連結されている。中空部分57は、中空部分に収容されて中空部分の固定点571に取り付けられた延伸ばね59の作用を通じて中央針58によって、制御された方式で、閉じられる開放チューブ570の中で終っている。中央針58は内部ウィングを有し、内部ウィングは、流体の通路を残しながら、中央針がチューブの中を中心にあって詰まることなく滑ることを可能にする。針は閉鎖表面582を有し、この上に加圧流体が、針を押し戻して円形形状と制御された太さの開口部又は通路560を解除するために作用する。太さは、ばね59のために選ばれた力によって制御される。したがって、せいぜい2mm、好ましくは1mm未満、さらに好ましくは0.5mm以下の太さを有することが開口部のためには好ましい。開口部の小さな太さは、物質のかなりの表面積を覆う散布層を生成するのみならず、物質を通じてジェット効果を形成するための十分な速度も得るという効果を有する。
【0057】
図6〜13の実施例は、特に注入システム2Bが上述のものとは実質的に異なり、装置の他の手段は同一か同様のままであってもよい、本発明の装置の一変形実施例である。この実施例は主として、カプセル内の物質について少なくとも2つの異なる湿潤化様式を達成するために、互いに転置することができる2つの別個の孔あけ注入エレメントを含む点で、上述のものと異なっている。
【0058】
注入システムの詳細を、図7と関連してここに説明する。図7に、マルチスパイク・プレート50の形の第1孔あけ注入エレメントを見ることができるが、これは、「可動ベル形状部6B」として知られる、作動手段の上に確実に取り付けられた中心をそれたスパイク51の形の第2孔あけ注入エレメントに対して反対に移動することができる。
【0059】
マルチスパイク・プレート50は、カプセルの入口表面30に孔をあけて、こうして作られた複数の孔を通じて流体の流入を可能にするための、複数の刺し通しエレメントを有する(図9)。このプレートはヘッド・ベース7Bの上に取り付けられ、ヘッド・ベース7Bは、とりわけ圧力分布グリッド700と内キャップ710とを含み、内キャップ710はスナップフィット又は任意の等価手段によってグリッドに連結可能である。圧力分布グリッドは特に、別の湿潤化様式が選択されてカプセルが液体圧力の下に置かれた場合に、カプセルの表面をスパイクと接触しないように保つために使用される。
【0060】
リングの形の周辺シール720が、キャップ710を囲んでこれにより内チャンバ730を画定するために設けられており、この内チャンバ730は、加圧流体を満たして、これによりマルチスパイク・プレートとグリッドを通じて流体の等圧分布を可能にするためのものである。ヘッド・ベースもまた、各エレメント700、710、720の上に連結された固定ベル形状部735を含み、可動ベル形状部6と共に弾性ガイドによってリンクを形成する。これを行うために、固定ベル形状部735はガイド・チューブ731を含み、このガイド・チューブ731を通じて、可動ベル形状部6Bは滑動によって滑ることができる。ガイド・チューブは、ねじ又は他の任意の等価連結手段によってヘッド・ベースの上端壁79に連結されている。可動ベル形状部6と端壁79との間に、チューブ732に沿って複数のばね736が配置され、こうして、可動ベル形状部6の固定ベル形状部735に対する転置に弾性的に対抗するために必要な弾性力を発生させる。
【0061】
可動ベル形状部6Bは、カプセルの軸と一致する注入システムの中心軸Iに対して中心をそれて配置された注入スパイク51を支持している。このスパイクを、ベル形状部6Bのハウジングの中にねじ込まれて、注入開口部513の中で終っている傾斜部分を含む中空針512を通じてヘッド・ベースを通って延びているスリーブ510によって、連結することができる。注入開口部513は、この注入様式が作動されると、カプセル内に渦巻流体運動すなわち渦巻を発生させるように向けられている。これは液体をカプセル内に入っている物質と混合する。この目的のために、注入方向はカプセルの直径方向軸に対して傾斜しており、さらにまた、図13に示すように下向きに傾斜していることが好ましい。
【0062】
注入エレメント50、51は、カプセル内で交互に作動されるように相互に配置されている。さらに正確には、マルチスパイク・プレートは、一方ではヘッド・ベース7Bに関節式に繋がり、他方ではロッカー形式の操作システムによって可動ベル形状部6Bに関節式に繋がっている。この目的のために、マルチスパイク・プレートはロッド55を介してヘッド・ベース7を通って延在し、中央の共通関節式結合部734によって2つのレバー80、81の第1端部に連結されている。レバー80、81は、それ自体がその中心でヘッド・ベースの関節式結合部738、739に連結され、これらの第2端部は、可動ベル形状部6Bの関節式結合部600、601に連結されている。関節式結合部を、動きを容易にすると共に詰まりを防止するように、複数の単純なピン又は偏長形式の関節式結合部などの、回転と並進とを組み合わせた複数の回転式ピンによって形成してもよい。
【0063】
次に、注入システムの動作方法を、図8、9、10、及び11と関連して詳細に説明する。
【0064】
図8に示すように、狭い縁部360aを有するカプセル3Aがカプセル支持物の中に導入されて、装置が閉鎖されると、係合縁部60は相補的カプセル縁部を検出しない。これは、可動ベル形状部が上向きに押し戻されず、したがって支持物を部分的に覆うことを意味する。したがってこの構成では、中心をそれた注入スパイク51は、可動ベル形状部と共に一体的に引っ張られ、カプセル内部の注入位置P3を採用する。次いで、ヘッド・ベースは可動ベル形状部の内部を、ばね736の効果を通じて内部的に支え続け、これらのばねは、これら2つのエレメントの弾性密着を維持する。次にマルチスパイク・プレート55は分布グリッド700の表面に対して、したがってカプセルの表面に対しても引っ込められた位置に保持される(図8)。したがって、中心をそれた注入スパイクはカプセルの中で係合状態にある唯一のエレメントである。したがって、この位置は、ただ1つの注入スパイクを通じてカプセルの内部に加圧流体を導入すると、カプセルの中における流体の特定の方向によって渦巻効果すなわち渦巻が作り出される、図13に示す位置に対応する。
【0065】
図9と10に示すように、縁部延長部を有するカプセル3Bが装置の中に導入されて、装置が閉鎖されると、可動ベル形状部の係合縁部60は、カプセルの縁部360bと接触状態になる。この接触は、可動ベル形状部を方向Aに押し戻す効果を有し、次いでこの動きは、マルチスパイク・プレートを反対方向Bに強制するためにロッカー形式の手段8(レバー80、81)を作動する。次にマルチスパイク・プレートはカプセル内の注入位置P4を採用する。次に、それ自体可動ベル形状部と一体化された中心をそれた注入スパイク51は、カプセルの表面に対して引っ込められた位置に残る。
【0066】
水は、流体をチャンバに供給する注入スパイクを介して、次いでマルチスパイク・プレートを通じて、上流でポンプに連結された水取入れホースなどの供給部518から注入される。
【0067】
この形式の実施例は、移動反対状態に切り替えることができる2つの個別エレメントのために単一の水供給源を使用するという利点がある。
【0068】
図12は、マルチスパイク・プレート50の好ましい一実施例の詳細図を示す。プレートは、十分に細いが堅固で多数サイクルにわたってカプセルの表面を通じて効果的な再生可能な刺し通しを行う多数の個別細片53を切って折り曲げた、金属プレート部分52を含んでもよい。各細片の直角折り曲げによって、プレート部分52を通ってチャンバから水を通すための開口54を画定することが可能になる。必要であれば、追加の開口部を加えてもよい。
【0069】
図13には、湿潤化様式における準備装置が示されており、特にカプセルの内壁にぶつかるジェットの複数の場合によってカプセルの中心の周りに液体の渦巻運動を作り出すように、液体がカプセルの中に注入される。孔あけ注入エレメント512が、さらに正確には注入オリフィス513が(システムの内表面700上の点Cによって示される)カプセルの中心からある距離の個所に配置され、したがってカプセルの垂直軸に対して中心がそれている。したがって、こうして作られる注入ジェットJの方向は、一方では中心Cを外れて通る軸に、他方ではカプセルの底に向かう第2軸に向けられる。カプセルにおける注入オリフィス513の位置と注入方向Jの特定の配向との構成は、カプセルの内壁にぶつかるジェットの複数の場合によってカプセルの中心の周りに渦巻運動を作り出す。こうして作られた全体的な動きによって、カプセルに入れた物質と液体との十分な混合を得ることができ、及び物質の完全な溶解又は湿潤化を達成することができる。
【0070】
図14と15は、本発明によるカプセルを通じた液体の注入によって飲み物を準備するための装置のさらなる実施例を示す。この2つの図では、準備装置は閉じた位置で示されているが、図14では第1湿潤化様式、図14では第2湿潤化様式によるものである。「湿潤化様式」とは、本発明の情況内では、カプセル2内に入った物質の得ようと望む湿潤化形式、つまり本質的に前記物質の性質に応じた湿潤化の形式であると理解される。
【0071】
図14には第1湿潤化様式における準備装置が示されており、この場合、図1及び2と関連して上に説明したように、特にカプセルの内壁にぶつかるジェットの複数の場合によってカプセルの中心Cの周りに液体の渦巻運動を作り出すように、液体がカプセルの中に注入される。この湿潤化様式は、溶解可能な物質を完全かつ急速に溶解できるようにするので、この種の物質を入れたカプセルには特に好適である。
【0072】
図15には第2湿潤化様式における準備装置が示されており、この場合、カプセルの中心Cの周りの液体の渦巻運動に加えて、カプセルの中に入れた物質の頂部を湿潤化するための薄い液体層の形の液体の拡散液体ジェットの助けによって、カプセルの上部分が湿潤化するように、液体がカプセルの中に注入される。この湿潤化様式は、抽出しようとする物質を完全かつ急速に溶解できるようにするので、この種の物質を入れたカプセルには特に好適である。
【0073】
本発明のこの第2実施例によれば、準備装置は孔あけ注入エレメント500を備え、この孔あけ注入エレメント500は、図8〜11と関連して説明した孔あけ注入エレメントの注入オリフィス513と同一の方式で配置され方向付けられた第1注入オリフィス513と、薄い液体層の形で発散ジェットを生成するために実質的に水平に延びる注入軸を有する第2注入手段515とを備えている。さらに図16及び17を参照すると、図示された実施例では、穴あけ注入エレメント500は、第1注入手段513と第2注入手段515とを介して第1端部において外方向に開いたチャネル513aを含む中空針の形を呈することが理解されよう。チャネル513aはまた、その中間部分において開口部21を介して供給チャネル20と連絡している。穴あけ注入エレメントは、注入手段513及び515とは反対側の端部において、ヘッド2Cと一体となった切替え手段(図示せず)によって操作されるレバー23と相互作用する作動フィンガ22によって延長されている。孔あけ注入エレメント500は、その中央部に、直径を大きくした部分を含み、この部分に開口部21が作られており、この部分を介して、エレメントはコア25の中に作られた注入ヘッドの垂直軸に平行に延びるショルダ付き通路24の中で並進移動可能に取り付けられ、通路の底と孔あけ注入エレメント500のショルダとの間には戻しばね26が挿入されている。2つのOリング・シール270、271が、通路24の内表面と相互作用するために孔あけ注入エレメント500の開口部21のいずれの側にも置かれている。
【0074】
この実施例では、孔あけエレメント500は、2つ別個の位置、すなわち第1オリフィス513のみがカプセル3の内部で開く、第1湿潤化様式に対応する第1位置(図14)と、第1オリフィス513とさらに第2注入手段515もカプセル3の内部で開く、第2湿潤化様式に対応する第2位置(図15)との間で、移動可能である。第1湿潤化様式から第2湿潤化様式への切替えは、レバー23を介して戻しばね26に対抗して孔あけ注入エレメント500に作用する切替え手段を介して達成される。供給チャネル20と開口部21との直径、及び第1湿潤化様式から第2湿潤化様式515へ切り替えるための孔あけ注入エレメントの経路もまた、選択された湿潤化様式に関係なく開口部21が供給チャネル20と少なくとも部分的に常に連絡するように配置されていることを、よく理解されたい。
【0075】
好ましくは、また図16及び17から明らかであるように、薄い液体層の形で発散ジェットの生成を可能にする第2注入手段515は、孔あけ注入エレメント500の周辺の一部分にわたって分布する複数のオリフィス515aを含む。孔あけ注入エレメント500はカプセル内部で中心をそれて、さらに正確にはカプセルの横壁の近傍に配置されているので、オリフィス515aはカプセルの中心に向かっている。エレメント500の製造に関連する理由によって、オリフィス515aは高さの点で互いにずれていることが有利である。したがって、これらのオリフィス515aは、カプセルの上部分に入れられた物質に散布されて湿潤化する薄い液体層を形成するために重複する複数の発散ジェットを生成する。
【0076】
もちろん、図18及び19に示すように、エレメント500の縦方向に対して横断方向に延在するスロットの形を有する単一オリフィス515bを使用して、薄い液体層の形成を計画することも可能である。このような場合には、発散ジェットは、カプセルの上部分に位置する物質の実質的にすべてを湿潤化するために十分に広い円状扇形区域にわたって広がる。
【0077】
オリフィス515aとオリフィス515bはそれぞれ、薄い液体層が90°と180°との間にある角扇形区域、好ましくは160°程度の角扇形区域にわたって実質的に連続して生成されるように、配置されていることに留意されたい。さらにまた、これらのオリフィス515a及び515bは、0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下の厚さを有する層を生成するために配置されている。この目的のために、オリフィス515aの各々については、ほぼ0.5mm程度の直径を選び、オリフィス515bについては、ほぼ0.7mm程度の直径を選ぶことが好ましい。
【0078】
この第2実施例の有利な変形形態によれば、第2注入手段515の軸、すなわち液体ジェットの方向を定義するオリフィス515a及び515bの軸はそれぞれ、水平と共に0〜25°間にある角度、好ましくはほぼ15°の角度γを形成する。したがって、これらのオリフィスから注入される液体は上方に向けられ、第1段階ではキャップの下表面に突き当たり、第2段階では物質の底部に向かって戻り、これによってさらに分散される。これを行うことによって、物質の湿潤化の均質性は改善される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、開いている第1実施例による装置の断面図である。
【図2】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、第1湿潤化構成におけるカプセルの周りを閉鎖した第1実施例による装置の断面図である。
【図3】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、第2湿潤化構成におけるカプセルの周りを閉鎖した第1実施例による装置の断面図である。
【図4A】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、第1実施例の注入システムの斜視図である。
【図4B】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、図4AのA−Aに沿った断面図である。
【図5】本発明の装置の第1実施例を示す図であり、水圧を使用して機能する、開いている注入システムの詳細図である。
【図6】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、開いている第2実施例による装置の頂部の断面図である。
【図7】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、図6の装置の頂部の分解図である。
【図8】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、第1湿潤化構成におけるカプセルの周りを閉鎖した第2実施例による装置の断面図である。
【図9】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、第2湿潤化構成におけるカプセルの周りを閉鎖した第2実施例による装置の断面図である。
【図10】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、装置の頂部だけの図9のB−Bに沿ったさらに別の断面図である。
【図11】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、装置の頂部だけの図8の断面図に対して直角をなすさらに別の断面図である。
【図12】本発明による装置の第2実施例を示す図であり、図6〜11の実施例の2つの孔あけ注入エレメントの1つの詳細図である。
【図13】図6〜12の実施例の別の孔あけ注入エレメントの注入構成を示す簡略化された底面図である。
【図14】本発明によるカプセルを通じて液体を注入することによって飲み物を準備するための装置であって、閉鎖された位置にあって第1使用様式によって示された装置の別の実施例の概略断面図である。
【図15】閉鎖された位置にあって第2使用様式によって示された、図14に示す準備装置の概略図である。
【図16】図14〜15の準備装置の実施例と関連して使用することができる孔あけ注入エレメントの、それぞれ概略斜視図と概略断面斜視図である。
【図17】図14〜15の準備装置の実施例と関連して使用することができる孔あけ注入エレメントの、それぞれ概略斜視図と概略断面斜視図である。
【図18】図14〜15の準備装置の実施例と関連して使用することができる孔あけ注入エレメントの変形実施例の、それぞれ概略斜視図と概略断面斜視図である。
【図19】図14〜15の準備装置の実施例と関連して使用することができる孔あけ注入エレメントの変形実施例の、それぞれ概略斜視図と概略断面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルの中にある量の水を導入するための少なくとも1つの水注入システムを含む、溶解及び/又は抽出しようとする物質を入れた前記カプセルを通じて水を注入することによって飲み物を準備するための装置であって、
カプセルの形式に従って、及び/又は前記カプセルの中に入れた前記物質の性質に従って湿潤化に適合するように、少なくとも2通りの異なる物質湿潤化様式の間で選択を行うために前記注入システムを切り替えることができることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記注入システムを、少なくとも2つの可能な様式に従って注入構成を変更するように作動させることができ、前記2つの様式はこれらの間に、注入方向、注入スパイクの個数、及び前記カプセルの中への注入の径方向位置及び/又は深さ位置を含む1つ又は複数の示差的な特徴を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記注入システムが、カプセルの孔あけされた表面に関して前記カプセル内の少なくとも2つの別個の位置に転置することができる少なくとも1つの孔あけ注入エレメントを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記孔あけエレメントを前記カプセル内の2つの異なる深さに従って転置できることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記孔あけ注入エレメントを、頂部を通じて前記カプセルの中に入っている物質を湿潤化するためにカプセル内の高い第1位置に、及び底部を通じて前記カプセルの中に入っている物質を湿潤化するために前記カプセル内の低い第2位置に転置できることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記孔あけエレメントを、少なくとも1つの注入スパイクが前記カプセルの中でさらされるカプセル内の高い第1位置に、及びより多くの注入スパイクが前記カプセルの中でさらされるカプセル内の低い第2位置に転置できることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記注入システムが、少なくとも1つの第1孔あけ注入エレメントと、第1孔あけ注入エレメントとは別の少なくとも1つの第2孔あけ注入エレメントとを含み、これらのエレメントは互いに転置させることができ、各エレメントは前記カプセル内の物質を湿潤化する異なる様式を提供することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1及び第2エレメントを互いに段階対抗状態で、第1エレメントが前記カプセル内で係合状態にあって第2エレメントがカプセルから引っ込められる少なくとも1つの第1位置に、及び換位的に、第1エレメントがカプセルから引っ込められて第2エレメントが前記カプセル内で係合状態にある少なくとも1つの第2位置に転置できることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第2注入エレメントが、そのカプセルにおける係合によって前記カプセル表面の複数の位置に孔をあけるためのマルチスパイク・プレートであることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2エレメントが、実質的に前記カプセルの中心に置かれ、少なくとも1つの薄い水層の形で多方向発散散水を生成するように構成された注入スパイクであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記第1エレメントが、前記カプセルの中で液体を物質と混合する渦巻運動を作り出すように構成されたジェットの形で、前記カプセルの内部に少なくとも1つの注入点を含むことを特徴とする請求項7又は8又は9に記載の装置。
【請求項12】
前記カプセルのサイズ及び/又は外形を認識することによって少なくとも前記孔あけ注入エレメントを2つの位置に選択的に転置するための、作動手段を備えることを特徴とする請求項3から11までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記作動手段が、前記孔あけ注入エレメントと一体化された少なくとも1つの支持物を含み、この支持物はヘッド・ベースに対して弾性的に転置可能であり、前記作動手段は、カプセルの縁部に相補的に係合することによって前記作動手段を前記ヘッド・ベースに対して移動するための少なくとも1つの検出手段を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記注入システムが、前記検出手段が前記カプセルの相補縁部に遭遇しないときには前記カプセル内の低い位置に、前記検出手段が前記カプセルの相補縁部に遭遇して係合するときには前記カプセル内の高い位置に位置付けられるように、前記作動手段と一体となった、単一の中央注入スパイクを含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記中央注入スパイクが、少なくとも1つの薄い水の層の形で多方向に発散する散布を生成するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記の薄い水層が、前記スパイクの周辺にわたって連続的に延在し、前記カプセル内の物質を実質的に円形に散水することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
多数の断続的な水層が、実質的に前記スパイクの周辺にわたって分布して広がることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記の薄い水層が0.5mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記スパイクが、弾性エレメントに対する水圧のために開くように、圧力を考慮して決定された厚さを有する通路を開放し、これによって前記水の層を作り出すように、構成されていること特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記注入システムが、前記作動手段と一体化された中心をそれた注入スパイクの形の第1注入孔あけエレメントと、ロッカー形式の操作手段によって前記作動手段に連結されたマルチスパイク・プレートの形の第2注入孔あけエレメントとを含み、前記ヘッド・ベースに対して転置できるように取り付けられ、したがって前記マルチスパイク・プレートは、前記作動手段の前記検出手段が前記カプセルの相補縁部に遭遇してこれと係合し、前記カプセルの表面に対して引っ込んだ位置に操作されると、前記カプセルの表面に孔開けするための位置に操作され、したがって、前記検出手段がカプセルの前記相補縁部に遭遇しないときには、前記注入スパイクが前記カプセルの中に入ることを可能にすることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項21】
前記ヘッド・ベースが、前記マルチスパイク・プレートを案内するための中空組立体を形成し、前記カプセルを受け入れるためのコレクタの上を閉じる密封リムを有し、前記注入スパイクは、前記マルチスパイク・プレートを通じて、又は実質的に前記マルチスパイク・プレートのレベルで前記中空組立体の中に水を分布させるために、前記組立体と連絡していることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記カプセルにおける注入温度又は代替案として注入流量が切替え可能であることを特徴とする前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
溶解及び/又は抽出しようとする物質を入れたカプセルを通じて水を注入することによって飲み物を準備するための方法であって、液体は少なくとも2つの異なる注入様式に従って前記カプセルを通じて注入され、各様式については、前記カプセルの形式に応じて、及び/又は前記カプセルの中に入れた前記物質の性質に応じて選択することが可能である方法。
【請求項24】
前記液体が、1つ又は複数の注入点が空間的にはっきり区別され、及び/又は個数の面で異なっている少なくとも2つの様式に従って注入されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記液体が、カプセル内に2つの別個の注入深さを定義する2つの注入様式に従って注入されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記液体が、前記カプセルへの前記液体の導入速度が異なる少なくとも2つの注入様式に従って注入されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記液体が、前記のカプセルの中で注入された液体の渦巻運動を作り出して前記物質との混合を起こさせるように、第1様式に従って注入されることを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記液体が、前記第1様式におけるよりも遅い注入速度で、いくつかの入口点から前記カプセルの中への散布を形成するように、第2様式に従って注入されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
適切な注入様式が、前記カプセルのサイズ及び/又は特定の形を認識することによって自動的に選択されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項30】
注入様式の選択が、前記カプセルが係合縁部を有するかどうかに応じて2つの位置に従って行われることを特徴とする請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2007−503231(P2007−503231A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524254(P2006−524254)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008566
【国際公開番号】WO2005/020768
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】