説明

特に、柔らかく、耐性があり、しかも価値ある外観を有する不織布を製造する方法

本発明は、最適の柔らかさ及び耐性特徴ばかりでなく、魅力的な外観も備わった不織布を製造する方法及び装置に関する。特に、本発明は、スパン結合及びカード漉きの両スパンレース・タイプ(ハイドロ交絡不織布)の不織布を製造する方法及び装置に関し、それによって、不織布はハイドロエンボス及びサーモエンボス処理によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適の柔らかさ及び耐性特徴が備わっているばかりでなく、視覚的にも魅力的な不織布を製造する方法及び装置に関する。特に、本発明は、スパンレース(ハイドロ交絡不織布)タイプの不織布を製造する方法及び装置、並びにこれらから得られる不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の目的に適切な様々な特徴が備わった不織布を基にした製品が長い間知られている。例えば、濡れナプキンなどの個人衛生分野で使用される、特に柔らかい不織布を基にした製品が知られている。他の製品は、乾いているか又は様々な性質の物質が含浸されている不織布であり、これらは、特に、家庭用洗浄分野に又は産業規模での使用に耐性がある。
【0003】
現在市販されている製品は、異なる使用要件に適合するために実施される様々な構造及び加工に起因する特定的な性質が相互に異なる。
【0004】
本発明の核心にある技術的問題は、個人衛生分野及び家庭用洗浄分野で共に使用するために、最適の柔らかさ特徴ばかりでなく、同時に、最適の耐性特徴も備わっている不織布を基にした製品を製造する方法を提供することである。
【0005】
この問題は、特許請求の範囲の独立項で請求された、不織布を製造する方法によって解決される。
【0006】
本発明によって解決された他の技術的問題は、費用効果的な生産性を保証する印刷方法を実現するように、信頼性が高くかつ迅速な態様で表面に印刷された標示及び/又は図形を有する、上述したものなどの不織布を製造する方法及び設備を提供することである。
【0007】
この問題は、特許請求の範囲で請求された方法及び製造設備によって解決される。
【0008】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図を参照して非限定的な実施例として供される幾つかの実施例の以下の説明からより適切に理解されよう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、不織布に柔らかさ/ふわふわ特徴ばかりでなく、耐性特徴も付与するのに適切な不織布を製造する方法を提供することである。
【0010】
第2の目的は、該特徴が備わった不織布を製造する装置を提供することである。
【0011】
第3の目的は、個人衛生用途及び家庭用洗浄用途の製品として共に使用するために、柔らかさ/ふわふわ特徴ばかりでなく、耐性も備えた不織布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、上述の技術的問題を解決するために、不織布は、ハイドロエンボス処理及びサーモエンボス処理を含む過程に掛けることが可能であること、換言すれば、不織布は、当業で知られた2つの異なる方法に従ってエンボス加工を利用することによって処理されることが観察された。
【0013】
特に、ハイドロエンボス処理は、最適の柔らかさ特徴が備わった製品の獲得を可能とする。さらには、この技術を使って処理された不織布は、同時に、繊細な陰影付けの視覚的効果を有する浮出しとして図形及び/又は標示の作成も可能とし、それによって視覚的に及び触覚的に柔らかい感覚を創出し、「遠近」というよりは「深み」感を与える。これらの触覚的及び視覚的特徴は、高圧噴射水を送達する複数の非常に微細なノズルから成る1つ又は複数のステーションを備える装置によって付与される。好ましくは、これらのノズルは所望の標示又は図形を生み出すように配置される。
【0014】
該処理に続いて、不織シートは、所望の柔らかい効果を創出するために、それを形成する繊維が相互に対して自由に動ける状態のままで繊維を相互に絡ませるように加工される。
【0015】
サーモエンボスは、それが、不織布を形成する繊維の結合点を実現することによって、不織布に耐性特徴を付与することを可能とする点で上記処理とは異なる。特に、繊維は、それらの相互に対する動きが可能であることを防止するために加熱及び圧搾によって相互に封止され、それによって緻密さ及び耐性を付与する。
【0016】
さらには、本製品はまた、このような処理時に標示又は図形によって装飾され得る。実際には、サーモエンボスは、不織シートが2つの対向シリンダに通される従来のサーモエンボス用カレンダを使用して実行される。該シリンダの一方又は両方が加熱され、所望の標示又は図形を作成するように、通常は金属製の食刻された表面を有する一方で、他方が、このエンボス加工されたシリンダに通常は回転自在に押し付けられ、かつゴム又は金属表面が備わっている。この押し付け及び加熱処理の結果として、繊維間に強力な結合点が形成され、同時に明確に表示されかつ適切に画定された標示又は図形を得る。
【0017】
本発明の方法に掛けられた不織布はスパンレース・タイプであり得るが、この不織布を形成する材料はカード漉き又はスパン結合される。
【0018】
カード漉き材料は、天然繊維のみから、又はポリエステル、ポリプロピレン、PLA、ビスコース、LYOCELL(商標)、随意選択的に相互の混和材として、若しくはセルロース・パルプと組み合わされた該繊維など、合成繊維(0.9デニールと7デニールとの間にわたる)から実質的に成る。さらには、使用材料に関わらず、不織布は、特定の要件又は個別の選好に従って、単層又は多層から成っていてもよい。不織布は、3層、即ち、合成又は天然繊維の2層の間にサンドイッチ状に挟まれているセルロース・パルプ層から成ることが好ましい。得られた製品は一般に多層不織布と呼ばれ、様々な層が、所望の順番に従って上下に重ねられ、完全に従来的な技法に従って一体に保持、即ち、固結される。固結はハイドロ交絡によって実行されることが好ましい。
【0019】
スパン結合材料は、ポリプロピレン、ポリエステル,PLA、及びLYOCELL(商標)などの、0.9デニールと2.2デニールとの間にわたる重合体のみから、又はナノファイバ(NANOVAL)からも、及び上で説明したようなセルロース・パルプと組み合わされた複合繊維からも実質的に成っていてもよい。この場合も、堆積、多層組成、及び固結は、当業で知られた技術を使用して実行可能であり、したがってそれらは以下の本明細書に例示されない。
【実施例】
【0020】
図1を参照して、本発明に係る方法並びに該方法を実施するために設計された例示的な装置も以下に説明される。
【0021】
不織布を製造する本方法は、ハイドロエンボス及びサーモエンボスから任意の順番で選択されたいずれかの方法によって不織シートを様々に処理する2つの引き続いて行われる工程を含む。
【0022】
換言すれば、本方法は、単層又は多層であり得る不織シートに対して実施される第1のハイドロエンボス処理工程及び第2のサーモエンボス処理工程を含むことができる。別法として、これらの工程は逆転される、即ち、サーモエンボスが第1の処理工程であり、ハイドロエンボスが第2の処理工程である。
【0023】
図1は、ハイドロエンボス工程が最初に例示されており、この工程は、少なくとも1つの装置1、2で、上記分野で知られた技術を使用して実施される。例えば、ハイドロエンボス処理は第1の装置1で実施され得るが、その装置では、不織シートWが支持体ローラ3の上を搬送され、そのローラの円周上にハイドロエンボス・ノズルが配置されている。次に、不織布Wは、随意選択的にさらなる処理に掛けられるために第2のハイドロエンボス装置2の下方の平面支持体4の上を搬送される。2つの装置を設けると、2つの異なるハイドロエンボス効果を(ベルト及びローラの両方を使って)実現することができる。
【0024】
次いで、この湿った不織布は、ドラム乾燥機などの完全に従来的な乾燥機(鉄製)5に搬送される。
【0025】
ここで、不織布Wは、ローラ上に巻き取られてサーモエンボス処理のために専用の製造ラインに搬送されるか、又はインラインで、図1に示したサーモエンボス工程に進む。
【0026】
サーモエンボス工程では、不織布は、適切な支持体に乗って又は乗らずに、従来のカレンダ/エンボス機6を通過し、そこで不織布は、事前設定された位置で、かつ設けられるべき標示及び/又は図形にも従って、その繊維を結合させるように圧搾及び加熱処理に掛けられる。
【0027】
有利なことに、こうして得られた不織布には、取り扱い及び摩耗に耐性を有しながら、最適の柔らかさ及びふわふわ特性が備わっている。特に、この不織布は個人衛生用の繊細な補助物として、かつ家庭用又は産業用の洗浄に耐性のある布として、両方で効果的に使用するのに適切である。
【0028】
さらには、ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理は、人間の目に近接する物体がサーモエンボス処理によって模擬され、水平線上の遠くの物体がハイドロエンボス処理によって模擬されるので、上で述べたように、該機能態様を顕著で魅力的な外観及び視野の深さと組み合わせるように実施することができる。実際に、上記の技術の組合せにより、柔らかくかつ陰影付きの3次元図形及び/又は標示がハイドロエンボスによって実現可能であり、他方では適切に表示されかつ画定された図形及び/又は標示が実現可能である。この魅力的な外観は、背景を創出する陰影効果及び前景を創出する識別効果が得られることによる。
【0029】
上述の方法を用いると、ハイドロエンボスによって創出された柔らかくかつふわふわした効果が、サーモエンボスによって得られる耐性及び結合効果と重複することに留意されるべきである。換言すれば、不織布の柔らかい部分は幾つかの結合点を有する、即ち、これらの部分では、不織布繊維は自由度及び動きが相対的に限定されている。その結果として、望ましい技術的特徴が適切に組み合わされるけれども、しかし、得られる製品は柔らかさの程度が限定されている。
【0030】
本方法の変形の実施例によれば、実質的な様態で耐性及び結合の特徴を変えることなく、不織布の柔らかさを増大させる方法が研究された。
【0031】
驚くべきことには、ハイドロエンボス処理が関与しなかった当該部分にサーモエンボス処理が実施されるとき、不織布は大幅により柔らかくなり、他方では同時に強度及び耐性が実質的に不変のままに維持されることが判明した。
【0032】
この目的には、特定の方法及び装置の設計が必要であった。
【0033】
本製造方法は、被駆動部材と処理ステーションの装置とに接続された制御及び指令システムを含む。
【0034】
特に、本システムは、ハイドロエンボス装置1及び2とサーモエンボス装置6とに接続され、個別の様態で該装置を指令しかつ制御する機能を有する制御及び指令ユニット7(図6に模式的に示す)を含む。したがって、制御及び指令ユニット7は、単一の電気軸のみを創出するように該装置の機械的及び電子的構成要素に作用的に接続される。
【0035】
したがって、本方法では、有利なことに、上記のハイドロエンボス及びサーモエンボス処理工程は、該処理が、事前設定パターンに従って不織布の専用部分に実施されるように、制御及び指令ユニットの制御及び指令を受ける。換言すれば、このユニットは不織布の加工パターンを格納する記憶装置を含み、制御及び指令ユニットに読み込まれたプログラムが、その加工パターンに従って、既に実施済みであるか又はこれから実施されるサーモエンボス処理に関与している部分以外の事前設定された部分に、ハイドロエンボス処理が実施されるように制御しかつ指令するための命令を電気信号によって与える。実際には、第2の処理は、不織布の自由部分、即ち、第1の処理が関与しない部分に実施されるように誘導される。その結果として、両方の処理が1つの箇所に実施されることはなく、即ち、これらの処理は重複しない。
【0036】
さらには、本方法は、該不織布(単層及び多層)を、その表面全体の5%から95%にわたって網羅するようにハイドロエンボス技術によって処理することを含む。残りの表面、即ち、95%から5%は、2%から30%の表面を含むようにサーモエンボス技術によって処理される。換言すれば、ハイドロエンボス処理が関与しない不織布の表面は、次に、上記パーセンテージ(2%〜30%)の範囲がサーモエンボスで処理される。好ましくは、ハイドロエンボスで処理される不織布の総表面が不織布の総表面の約50%を占め、残りの50%は、約10%がサーモエンボスで処理される。印刷の場合では、5%と95%との間にわたる部分が、2%〜100%の印刷有効範囲を有し得る。
【0037】
さらには、制御及び指令ユニットも、全てが製造ラインに沿って配置された駆動部材3、4、Mの全てのモータに接続され得る。これらの駆動部材は、それらが完全に従来型なので本明細書では説明しないが、通常は、回転ロール又は回転ドラムによって駆動されるベルトの形態にあるばかりでなく、各処理装置の入口及び出口に位置する回転部材の形態でもある、不織布の支持体を通常含む。
【0038】
特に、制御及び指令ユニットは、該部材から生成される電気信号を検出し、該信号をこれらの部材の角速度及びトルクの状態を表す数値に変換し、該数値を該角速度及び該トルクに関して予め確立された比率と比較し、該比率から外れる、該値に生じ得る変動をいずれも補正するために信号を該部材に送信することができる。
【0039】
実際に、不織布は柔らかく伸縮可能な材料であるので、この不織布は、主としてハイドロエンボス・ステーション、乾燥機、及びサーモエンボス用カレンダを通過するときに容易に皺が形成される。これらの状況下では、不織布を形成する繊維は、不織布の長さに対して長手方向の伸び又は延伸を蒙り、かつ反動によって、これらの繊維は不織布の幅方向へ縮む。1つのステーションと次のステーションとの間では、不織布はむしろ、その繊維が蒙った張力からの解放に厳密に応答して、弛緩状態に戻ろうとするか又は皺を形成しようとさえする傾向を有し、それによって厚さ及び重量の変動をもたらし、機械的特徴(横方向/縦方向の強度及び伸び)を低下させる。
【0040】
皺が形成されると、適切な処理が実施可能な実質的に平坦な表面を確保することができない。
【0041】
したがって、上述の制御及び指令システムは、該欠点を回避して、適切な位置に第2の処理を実施するように定められた不織布の「エリア」を獲得することを可能にする。
【0042】
換言すれば、制御ユニットは、例えば、回転部材の角速度及びトルク(トルク・モーメント)を示すパラメータに変換される電気信号を受け取る。この目的のために、次いで、部材の角速度は、相互に比較されて、その部材の固有の特徴(重量、耐性、伸び)に応じて、それぞれの異なる部材及び不織布製品に関して一定である事前設定値と参照される。特に、該事前設定値は、本明細書の導入部で例示されたように、不織布の物理的特徴に従って、即ち、不織布の類型学的特徴に従って規定されたそれらの比率を設定するように算出される。したがって、全ての回転部材の駆動システムは、装置内部における不織布の送出が上述の皺形成効果をもたらさないように協働しなければならない。このようにして、制御及び指令ユニットは、事前設定の角速度値が既定の比率から外れるとき、これらの値に生じ得る変動をいずれも補正するように電気信号を上記モータに送信する。換言すれば、制御及び指令ユニットは、不織シートの物理的特徴のいずれかの不整合に、即ち、例えば、厚さ、重量、及び湿度のいずれかの変動に続いて生じ得る変動をいずれも表す、回転部材の個々の角速度を絶えず制御する。これらの変動は、1つのステーションと次のステーションとの間で不織シートの繊維の伸びを引き起こす恐れがある。よって、制御及び指令ユニットは、生じ得る伸び効果をいずれも丁度打ち消すために、回転部材の角速度に対して作用する。ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理方法が連続的にかつ不織布の製造とインラインで実施される(高速で、400m/分さえも超える速さで)ことを主に考慮するとき、この調整は非常に重要である。
【0043】
図2を参照すると、図1を参照して説明した製造ラインと実質的に同様の製造ラインが模式的に例示されており、共通の参照数字は、同一のステーション又は装置を指す。
【0044】
本方法で実施可能なさらなる制御が、駆動部材の結合トルク及び角速度の連続補正システムで電子的に(閉ループ自動制御によって)実施される。特に、閉ループは、処理時に作成された固定「標識」を制御下に維持し、比率/距離が設定及び格納されたものと異なる場合に介入する変換器として、カラー・ビデオ・カメラ・システムを使用して作成される。換言すれば、閉ループ制御は、図2に図式的に表示された少なくとも1つの画像取得装置TV1、TV2を含み、この装置は制御及び指令ユニットに作用的に接続されて、ハイドロエンボス又はサーモエンボス処理パターンにおける事前設定標準に対する皺若しくは変動の存在をいずれも検出するために、不織布シートを絶えず制御するのに適切である。
【0045】
画像取得装置TV1は、例えば、カメラ又はビデオ・カメラでよい。デジタル式カラー・ビデオ・カメラが特に好ましく、それは、例えば、不織布が装置から出力されている間、その一部をカメラに収めることができる。ビデオ・カメラによって取得された画像は制御及び指令ユニットに電気信号の形態で送信され、その信号は該ユニットでデジタル・データに変換される。これらのデジタル・データは、制御及び指令ユニットの記憶装置に格納された、例えば、不織布上の所定の位置に再現されねばならない標示又は図形を表す標準データと比較される。該制御及び指令ユニットに読み込まれた適切なプログラムは、前述のデータ比較演算を実行し、そのプログラムが少しでも差異を検出する場合には、それは、誤差を補正するために、例えば、様々な処理又は駆動部材の角速度を変更する目的で、これらの部材に電気信号を送信する。別法として又は同時に、不織布に沿って存在する皺は、該ビデオ・カメラによって検出され、先に説明された方法と全く同様の方法で補正されてもよい。
【0046】
さらには、本システムは、製造ラインに沿って位置決めされた複数のセンサS1、S2、S3、S4を含んでもよく、これらのセンサは、不織布シート上の適切に決められた位置に延伸効果の存在を検出する機能を有する。この延伸効果は、不織布シートが処理されかつ搬送されている間に皺の形成を防止するばかりでなく、その縮みをいずれも防止するように、繊維の伸びを引き起こすことなく、張力が掛かった状態、即ち、延伸された状態に維持されている状態である。
【0047】
延伸センサS1、S2、S3、S4はそれ自体が知られている装置で、これらは不織布シートの張力状態に関する信号を制御及び指令ユニットに送り、次いで、該ユニットは、上述と同じ様態で、即ち、駆動部材の角速度及び/又はトルク・モーメントを調整することによって、延伸効果(又は張力)の変動を調整するように駆動部材に対して作用する。
【0048】
位置合わせ制御は、本方法に含まれ得るさらに他の制御である。この制御は、中間センサC及び横側センサLによって、標示及び/又は図形が不織布シートの幅に対して位置合わせされた状態に維持することから成る。横側センサL(図3Bに例示)は、不織布の支持体Mの縁部Eに沿って位置決めされ、他方で中間センサCは支持体の上方又は下方で、不織布の幅に対して中間に位置決めされる。これらのセンサは、変動をいずれも検出して、シートを位置決めする補正システムが介入できるように信号を制御ユニットに送信するために、不織布を長手方向に分ける中間線と横側縁部との間の距離を絶えず測定することが可能である。補正システムは、当業で知られている装置(図示せず)によって具体化されており、したがってそれらは以下で説明されない。
【0049】
本発明の第1の変形実施例に従って、上述のような不織布を製造する方法は、
不織布Wを搬送する被駆動支持体9と少なくとも1つの被駆動印刷部材10とを備える、該不織布用の印刷装置8を設ける工程と、
該不織布シートを該装置に送出する工程と、
上記制御及び指令ユニット7の制御及び指令下で該不織布に印刷を実行する工程と、を有する印刷工程を含むことが可能であり、
制御及び指令ユニットは、支持体及び少なくとも1つの印刷部材から生成される電気信号を検出し、該信号をそれらの角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、該数値を角速度及びトルク・モーメントの事前設定数値の比率と比較し、該比率から外れる、該数値の生じ得る変動をいずれも補正するために、信号を支持体及び少なくとも1つの印刷部材に送信するように、支持体及び少なくとも1つの印刷部材に作用的に接続される。
【0050】
有利なことに、印刷装置及びそれに対応する印刷方法は共に、参照により本明細書に援用される本出願人の国際特許出願公開PCT/伊国第2004/000127号パンフレットに説明されているものに対応する。
【0051】
好ましくは、本方法は、装置の回転部材を動作させるモータが、同じ電気軸を基準とするように制御及び指令ユニットによって別々に電子的に制御される工程を含む。
【0052】
特に、該制御は、回転部材の全てのモータに関して同じ基準電気軸を有するために、ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理の制御及び指令に関して上で説明したものを参照する。
【0053】
さらにより好ましくは、制御及び指令ユニットによって実行された制御は、上述のものと同様のビデオ・カメラTV3(図3)の補助を含み、国際特許出願公開PCT/伊国第2004/000127号パンフレットに説明されているものと実質的に同じ機能を有する追加的な自動閉ループ制御のおかげで実施可能である。
【0054】
本方法はまた、有利なことに、該国際特許出願に説明されたように、不織布シートを支持体の外表面上に保持するために保持手段11を動作させる工程も含む。
【0055】
保持手段を動作させる工程は、該国際特許出願公開に詳細に説明されている吸引ファンを使用して実行されてもよく、この吸引ファンは、空気を支持体9、即ち、加圧ローラ(図3〜図5に示す)の外部から、そのローラの周方向帯の中に作成された貫通穴(図示せず)を介して吸引することによって、印刷の適正な実行(異なる染料/形状間の印刷比率)を保証する目的で不織布を定位置に保持する。
【0056】
好ましくは、本発明の方法は、加圧ローラ9によって支持されかつ搬送される不織布の類型学的特徴に従って吸引力を変更できるように、該制御及び指令ユニットによって吸引ファン用の動作モータを制御する工程も含む。実際には、例えば、不織布が多層不織布であれば、単層不織布に比較して吸引力を増大させることが必要である。
【0057】
さらには、本方法は、吸引ファンによって吸引された空気から水分を分離する工程を含み得る。該分離する工程は、上記特許出願に説明されたものなどの分離器(図示せず)によって実行されることが好ましい。
【0058】
印刷する工程はフレキソグラフィ(インク)法又はセリグラフィ(着色ペースト)法によって実行され、これらの方法は従来的なものであり、したがって本明細書ではこれ以上詳細に説明されない。しかし、本発明の方法及び装置は、ローラ・プレス9の回りに配置されている食刻ローラと同じ数の色で標示及び/又は図形/模様の印刷を可能にすることに留意されるべきである。好ましくは、印刷は2〜12の染料を使って実行可能であり、したがって本方法は染料を管理する工程を含む。
【0059】
さらには、本方法は、不織布の表面を全体の5%から95%にわたって網羅するように、該不織布をハイドロエンボス技術で処理することを含む。残りの表面、即ち、95%〜5%は、2%〜30%にわたる表面を含むようにサーモエンボス技術で処理される。さらには、これらの2つの処理に関与しない表面は印刷可能であり、その表面の2%〜100%を含む。
【0060】
本発明のさらなる目的は、上で説明したような処理ライン上で直接的に不織布を製造する設備(スパンレース式、スパン結合式、機械的ニードル式、ニードル式、及びコーティング式)を提供することである。
【0061】
図3には、不織布Wを処理する少なくとも1つのハイドロエンボス装置1、2及び1つのサーモエンボス装置6を含む、同じ製造ラインに沿って配置された装置の組と、各々の処理が不織布の専用部分で実行されるように、該ハイドロエンボス装置及びサーモエンボス装置のそれぞれの機械的及び電子的構成要素に作用的に接続される制御及び指令ユニット7(図6)とから成る設備が示されている。
【0062】
特に、制御及び指令ユニット7は、処理過程に関連して上で説明したものに対応し、したがって本明細書ではさらに説明されない。
【0063】
さらには、上述のように、制御及び指令ユニット7は、図6に例示したように、製造ラインに沿って位置決めされる駆動部材4、Mの全てのモータに、電気配線を介して接続され得る。
【0064】
さらには、本設備は、連続的で閉ループの自動補正システムを介して製造過程のさらなる制御を実現するために、上述のように、ビデオ・カメラ・システムTV1、TV2を変換器として備えることができる。
【0065】
本設備には、上記延伸効果の存在を絶えず検出するために、製造ラインに沿って配置される複数のセンサS1〜S4がさらに設けられ得る。
【0066】
有利なことに、本設備にはまた、上述のように、該中間センサC及び横側センサLを含む位置合わせ制御装置も設けられ得る。
【0067】
本発明の変形の実施例によれば、本設備は、国際特許出願公開PCT/伊国第2004/000127号パンフレットに説明された、不織布に印刷する装置8を備えることができる。
【0068】
特に、この装置は、高品質及び高速の印刷を実現するために革新的な改作が実施された、知られている印刷機械に対応する。これらの改作は、フォーカス/フツーラ社(FOCUS/FUTURA)から入手可能なフレキソグラフィ印刷機械F80若しくはフレキソテクニカ社(FLEXOTECNICA)から発売されたフレキソグラフィ機械906 FAST 2型160/3500、又は同様の機械などの、それ自体が当業で知られているフレキソグラフィ機械に実施された特定の改造から成る。好ましくは、この種の機械には、フォーカス/フツーラ社(FOCUS/FUTURA)から発売された、F70巻出機、F90A巻取機、F401ローダ、F11Aチューブ機械、F30A切断機械、及びチューブ機械用F12巻出機などの補助的な機械が付随してもよい。
【0069】
全般的に、これらの改造は、
それぞれの回転部材、即ち、製品用の入力/出力搬送器ローラ、加圧ローラ、及び食刻ローラを個々に動力化すること、
該回転部材の角速度を相互に指令しかつ制御するために制御及び指令ユニットを設けること、
随意選択的に、閉ループ制御システムにビデオ・カメラを設けること、
随意選択的に、加圧ローラに吸引穴を設けるようにこのローラを改造すること、
随意選択的に、吸引ファンを加圧ローラの内側で該穴と面一にかつ様々な食刻ローラのニップに位置決めすること、
随意選択的に、染料を乾燥させるために個々の印刷ローラ間に熱風を送出すること、
随意選択的に、湿った不織布に印刷することが所望であればポンプに水分離器を設けること、
随意選択的に、入力ローラに機械的拡幅器の機能を設けること、
によって実質的に表される。
【0070】
不織布用の印刷装置は、一般に、支持体ローラとも呼ばれる加圧ローラ9と、少なくとも1つの食刻ローラ10又は印刷部材と、不織布シートを支持体上に保持する手段11と、水分離器(図示せず)と、制御及び指令ユニット7と、不織布シート(入力されているものだけを図3に示す)を該装置にかつ該装置から案内及び支持するのに適切な案内手段12とを備える。
【0071】
特に、加圧ローラは従来的なローラによって表されているが、全てそのローラの周方向帯に沿ってドリル貫通穴(図示せず)が存在している。これらの貫通穴は、周方向帯の外表面と加圧ローラの内部との間の連通を可能にする。
【0072】
さらには、少なくとも1つの回転式の被駆動食刻ローラ10が、該加圧ローラの回りに配置される。好ましくは、該少なくとも1つの食刻ローラは、加圧ローラによって支持されている材料に標示、染料、及び/又は図形を印刷する機能を有する複数の回転食刻ローラから成る。特に、それぞれの食刻ローラは別々のモータによって駆動されてもよい。
【0073】
加圧ローラの内側に及び2つの回転食刻ローラのニップに、加圧ローラの周方向帯の外表面上に押し込まれた熱風の吸引機能を有する吸引ファンによって好ましく具体化された被駆動保持手段11が設けられており、該手段は従来の染料乾燥装置である。この吸引ファンは、加圧ローラの外側から貫通穴を介してローラの内側に向かって空気を吸引するように、例えば、それ自体も完全に従来型であるモータによって駆動される簡素な完全に従来型のファンでよい。別法として、該吸引ファンは、圧縮機のポンプ又は真空ポンプ型である。
【0074】
吸引ファン及び加圧ローラの周方向帯の中に作成された貫通穴の機能は、不織布支持体が、一方では印刷経路に沿って搬送中に移動せず、他方では皺の形成を妨げることを保証するために、保持体を加圧ローラ上に堅固に繋止された状態に維持する機能である。
【0075】
該吸引ファンは、印刷されるべき不織布が湿っている場合に、完全に従来型の水分離器(図示せず)に連結されていることが好ましい。実際に、この場合には、吸引された空気には湿気が含まれており、このような湿気を周囲環境の中へ放出しないために、又は機械的部品のいずれにも直に放出しないために、本装置にはそれぞれの吸引ファンに連結された1つ又は複数の水分離器が設けられてもよい。特に、水分離器は、例えば、従来の凝縮器でよく、そこでは流体が、最初に圧縮機によって圧縮され、次いで経路(コイル)の内部で膨張して冷却され得る。吸引ファン4によって吸引された空気は、より低温の表面と接触することによって空気中に含まれた水分を凝縮の形態で放出させるように、コイルの低温表面上に誘導される。別法として、水分の分離は、コイル蒸留缶の原理に従って動作する従来の蝸牛形状の蒸留器スクリューの内部で単なる機械的及び物理的作用(遠心力及び異なる比重)によって行われる。
【0076】
案内手段12は、被駆動ローラによって具体化される。特に、該案内手段は個々別々にモータ駆動される。
【0077】
ローラ12は、印刷ステーションに至る、加圧ローラ付近の不織布T入口に位置決めすることができる。該手段は機械的拡幅手段である、即ち、これらの手段は、製品の高さを増やし、かつ製品の長さに対する長手方向における、不織布支持体上の皺の形成を回避することを可能にする。換言すれば、不織布は、その長さに対して長手方向へ延伸を受けるとき、その高さ(幅)の縮みを蒙る。当該拡幅手段は、したがって、不織布支持体の元の高さを回復する機能を有する。
【0078】
乾燥オーブン(湿式印刷の場合)であれ又は巻取器(乾式印刷の場合)であれ、後続の機械が存在すれば、その機械まで不織布を適正に管理(延伸制御)するために、ローラが、本装置の上流に、即ち、印刷過程の終わりに位置決めされ得る。
【0079】
有利なことに、本装置は、全ての回転部材の動作ばかりでなく、吸引ファン及び随意選択のポンプの動作も別々に制御しかつ指令する機能を有する、図6に例示した上記の制御及び指令ユニット7に接続される。
【0080】
特に、制御及び指令ユニット7は、全ての構成要素の単一電気軸を創出するように、本装置の全ての機械的及び/又は電子的構成要素に直に作用的に接続される。実際に、該制御及び指令ユニットは、全ての回転部材から生成される電子信号を検出し、該信号をこれらの部材の角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、該数値を該角速度及び該トルクに関する事前設定数値の比率と比較して、該比率から外れる、該数値に生じ得る変動をいずれも補正するために信号を該回転部材に送信するように配置される。
【0081】
特に、制御及び指令ユニットは、加圧ローラのモータ、食刻ローラの各モータ、案内ローラの各モータばかりでなく、吸引ファンのモータ及び随意選択の水分離器のモータにも、直接的にかつ別々に接続される。次に、電気信号は、例えば、回転部材の角速度及びトルク(トルク・モーメント)を示す回転部材のパラメータに変換される。この目的のために、これらの部材の角速度は、次に相互に比較され、かつその部材の固有の特徴(重量、耐性、伸び)に応じた、それぞれの異なる部材及び製品に関して一定である事前設定値と参照される。特に、該事前設定値は、本明細書の導入部で例示したように、不織布の物理的特徴に従って、換言すれば、不織布の類型学的特徴に従って画定された、これらの設定値の比率を設定するように算出されている。したがって、駆動システム及び全ての回転部材は、本装置内部における不織布の送出が上述の皺形成効果を引き起こさないように協働しなければならない。よって、制御及び指令ユニット7は、事前設定角速度値が画定された比率から外れるとき、これらの値に生じ得る変動をいずれも補正するように電気信号を上記モータに送信する。換言すれば、制御及び指令ユニット7は、不織布シートの物理的特徴のいずれかの不整合、例えば、厚さ、重量、又は湿度のいずれかの変動に続いて起こり得る変動をいずれも表す、回転部材の個々の角速度を絶えず制御する。これらの変動は、1つの印刷ステーションと次のステーションとの間で不織布シートの繊維の伸びを引き起こす恐れがある。その結果として、印刷に変化が生じる恐れがある。したがって、制御及び指令ユニット7は、生じ得る延伸効果をいずれも打ち消すために、回転部材自体の角速度に対して作用する。例えば、既に最初の印刷過程に掛けられた先行部分よりも大きな厚さを有する不織布支持体の区間が、この最初の印刷過程に到達すると、その区間は加圧ローラ及び第1の食刻ローラを通過する速度が遅くなり、その繊維は、先行部分と比較して押し潰し及び延伸を受けることになる。したがって、得られる印刷は、それに先行する印刷と正確に同期され得ない。この時点で、加圧プレス、該部分に続く食刻ローラ、及び他の全ての回転部材の角速度は、上述の事前設定比率を維持するように再度平衡化されねばならない。この調整は、印刷過程が連続的にかつ不織布の製造(300m/分を超える高速に達する)とインラインで実行されることを主に考慮するとき、非常に重要である。
【0082】
さらには、制御及び指令ユニット7は吸引ファン及び水分離器からも電気信号を受信することに留意されるべきである。それによって、不織布を様々な印刷ステーション、即ち、食刻ローラを通過させて輸送することが、加圧ローラによって具体化された支持体に適切に繋止された不織布支持体を保持しながら微調整可能になる。さらには、不織布の類型学的特徴に従って、吸引及び生じ得る水分の凝縮をいずれも較正することが可能であり、したがって最適の印刷状態を常に維持する。
【0083】
さらには、制御及び指令ユニットは、流量、圧力、及び粘度を制御することによって、食刻ローラにより堆積された染料の制御に対しても作用することができる。
【0084】
これまで説明してきたことから、不織布に印刷する装置は、一方では、吸引システムによって加圧ローラ上に適切に繋止された材料支持体を保持することを可能にし、他方では、同じ電気軸を有するために回転部材の個々のモータに制御及び指令ユニットを配置したおかげで、かつ一部には該吸引システムのおかげで、繊維の望ましくない伸びをいずれも回避することが理解されるべきである。
【0085】
さらなる制御、即ち、上で説明したものと同じで制御が、印刷ローラのトルク及び角速度用の連続補正システムを使って電子的に(閉ループ自動制御によって)実行される。特に、この閉ループは、印刷過程時に作成された固定「標識」を制御下に維持して、比率/距離が設定及び格納されたものと異なる場合に介入する変換器として、カラー・ビデオ・カメラ・システムTV3を使用することによって作成される。
【0086】
画像取得装置7は、例えば、カメラ又はビデオ・カメラでよい。例えば、印刷ステーションから出力中に不織布の一部をカメラに収めることができるデジタル式カラー・ビデオ・カメラが特に推奨される。ビデオ・カメラによって取得された画像は、電気信号の形態で制御及び指令ユニット7に送信され、該ユニットによってデジタル・データに変換される。これらのデジタル・データは、制御及び指令ユニット7の記憶装置に格納された、例えば、不織布上に再現されねばならない標示又は図形を表す標準データと比較される。該制御及び指令ユニットに読み込まれた適切なプログラムは、前述のデータの比較演算を実行し、そのプログラムが少しでも差異を検出する場合には、それは、誤差を補正するために、例えば、様々な印刷部材の角速度を変更する目的で、これらの部材に電気信号を送信する。別法として又は同時に、不織布に沿って存在する皺は、該ビデオ・カメラによって検出され、かつ上で説明したものと全く同様の方法で補正されてもよい。
【0087】
さらには、印刷装置は、図3に示したように、印刷過程の終わりにかつ巻取ローラ13の前に位置決めされた延伸センサS5を含んでもよい。該センサは、上で説明した(段落46)の延伸センサに対応し、それらのセンサと協働して延伸又は張力効果を制御する。
【0088】
本発明の印刷過程に掛けられ得る不織布は、個々に、或いは混合製品又はセルロース・パルプを有する三層製品、即ち、2層間に「ふわふわのパルプ」を有する三層製品として若しくは2層の繊維/ふわふわのパルプ層として、本明細書の導入部で列挙した繊維から成ることが好ましい。
【0089】
特に、不織布がカード・スパンレース法に従って形成される場合に、その不織布は、30g/mと250g/mとの間にわたる秤量特徴と、1mmと70mmと間にわたる繊維長(短い、一成分及び二成分繊維)と、機械的な「開口」に続いて2.5mm未満の長さを有するふわふわのパルプとを有する。
【0090】
別法として、その不織布がスパンレース・スパン結合法に従って形成される場合に、それは、単層及び三層製品(2層がスパン結合され、それらの層間にパルプを有する)用に、10g/mと100g/mとの間にわたる秤量及び連続繊維を有する。
【0091】
この時点で、このように単一シートの形態で得られた不織布は、本発明に従う印刷過程に直接的に掛けられ得るか、又は複合材料を得るために最初にさらなる処理を受け得る。
【0092】
通常、不織布複合材料は、スパンレース又はスパン結合法を使って得られた2つの外層と、一般にこれらの間に配置されている、引き続いてハイドロ交絡されたセルロース又はセルロース誘導体パルプ層とを含むサンドイッチ状構造である。
【0093】
複合不織布の製造は、通常では、適切な支持体の上に不織布の第1の層を堆積し、該第1の層の上にセルロース・パルプを堆積し、不織布の第2の層を堆積し、ハイドロ交絡によって固結し、次いで最終的な乾燥を行う。好ましくは、不織布の第1の層の堆積に続いて、事前ハイドロ交絡工程(その後に乾燥が続く)を実行してもよい。
【0094】
上で説明したことから、本発明に従う方法及び装置は、柔らかさ及び/又は耐性という特に有利な特性ばかりでなく、価値ある美的特徴も備える不織布の獲得を可能にする。さらには、最終的な製品は、極めて高精度でかつ驚異的な製造速度で実行される多色印刷によって装飾され得る。
【0095】
実際に、不織布は6000mmの高さまで、好ましくは30mmと6000mmとの間にわたる高さ、さらにより好ましくは100mmと6000mmとの間にわたる高さを有するように製造することができる(推奨高さは1650mm又は3300mmである)。
【0096】
連続印刷速度は400m/分を超えて約700m/分に達し、好ましくは20m/分と300m/分との間にわたる。
【0097】
不織布は、不織布自体の用途、即ち、個人衛生、家庭洗浄、敷物、被服用不織布、テーブル掛け、ハンカチ、カーテン(室内装備品)、バック、小物入れに応じて、その表面に対するほんの僅かなパーセンテージ(2%〜3%)から、所望によりその表面全体にわたって印刷(1色から12色)することができる。
【0098】
まさに説明された特徴によって、従来技術の技法及び装置に対して絶対的に優位な製造条件下で動作が可能になり、明らかなことであるが、適切なオフライン機械上ばかりでなく、直接的にスパンレース製造ライン上でも実行可能になる。
【0099】
さらには、制御及び指令ユニットの前述の配置は、皺の形成に関わる問題ばかりでなく、高い印刷速度が維持されるにも関わらず不織布裏当てが裂ける危険も回避する。
【0100】
明らかなことであるが、当業者は、付随的かつ特定の要件を満たす目的で、不織布に印刷する装置及び方法に幾つもの改造及び変更を実施することができるが、全ては、特許請求の範囲によって画定されるように本発明の範囲内であることが企図されている。
【0101】
例えば、機械動特性制御プログラムが、電気軸、染料の電子制御、及び閉ループ・ビデオ・カメラによって制御可能である適切な電子的レシピに格納され得る。
【0102】
本発明の別の目的によれば、標示及び/又は図形が印刷されかつ特別の柔らかさ又は耐性が備わる不織布を製造する方法が提供される。
【0103】
本方法は、ハイドロエンボス(図4)又はサーモエンボス(図5)によって不織布を処理する工程及び引き続いて行われる印刷工程を含み、
この印刷工程は、
不織布を搬送する被駆動支持体及び少なくとも1つの被駆動印刷部材を備える、該不織布に印刷する装置を提供すること、
該装置に該不織布シートを送出すること、
上で説明した(特に、段落0038、0049、0080、0084で)制御及び指令ユニットの制御及び指令下で、該不織布に印刷(1色から12色)を実行することを含み、該制御及び指令ユニットは、該支持体及び少なくとも1つの印刷部材からの電気信号を検出し、該信号をそれらの角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、該数値を該角速度及び該トルク・モーメントの事前設定数値の比率と比較し、該比率から外れる、該値の生じ得る変動をいずれも補正するために信号を該支持体及び少なくとも1つの印刷部材に送信するように、該支持体及び少なくとも1つの印刷部材に作用的に接続される。
【0104】
制御及び指令ユニットは、同じ電気軸を参照するように、装置の対応する回転部材を動作させる各モータに対して個々別々に作用することが好ましい。
【0105】
さらには、制御ユニットは、印刷する工程が、ハイドロエンボス又はサーモエンボス処理が実行される部分以外の専用部分に実行されるように制御することができる。換言すれば、ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理が重複しないことに関連して上で論じたように、印刷も同様に、この場合では、重複が回避されるように該処理が関与しない部分に実行されるように制御される。
【0106】
制御及び指令ユニットによる制御はまた、上で説明したように(特に段落0053で)、画像取得装置の補助を含む追加的な自動閉ループ制御によって実施することもできる。
【0107】
本方法は、不織布シートを支持体の外表面上に保持するために、上で説明したように(特に段落0072〜0074で)、保持手段を動作させる工程をさらに含む。保持手段を動作させる工程は、外側から貫通穴を介して空気を支持体の内側に向かって吸引することによって、不織布を該支持体上に保持する吸引ファンによって実現される。
【0108】
本方法はまた、上で説明したように、該制御及び指令ユニットによって保持手段の動作を制御する工程も含む。
【0109】
さらには、吸引ファンによって吸引された空気から水分を分離する工程が提供され得る。
【0110】
印刷する工程(1色から12色)は、当分野で知られたフレキソグラフィ(インク)又はセリグラフィ(着色ペースト)法によって実行され、好ましくは、印刷されるべき不織布の種類に応じて、流量、圧力、及び粘度などの各染料の特徴を最適化することを通じて制御及び指令ユニットによって実行される、染料を管理する工程を含む。さらには、この印刷する工程は、上で説明したように厳密に実行されることになる。
【0111】
製品の高さが一定に維持されることを保証するために、拡幅工程がさらに配置され得る。
【0112】
ハイドロエンボス及びサーモエンボス工程は上で説明した工程に対応し、したがって、それらは本明細書で反復されない。
【0113】
本発明のさらに他の目的によれば、印刷装置8と少なくとも1つのハイドロエンボス装置1、2(図4)又はサーモエンボス装置6(図5)とを備える、印刷された不織布を製造する設備が提供される。各々の装置は、既に上で詳細に説明したものに対応し、特定の制御(それぞれ段落0066〜0085及び段落0035〜0048)を含み得る。
【0114】
不織布は、例えば、全体の5%から95%のハイドロエンボスによって処理された表面を含み、残りの表面、即ち、95%から5%は、2%から100%だけ印刷される。サーモエンボス処理及び印刷処理が用いられる場合には、不織布は、2%から30%のハイドロエンボスによって処理された表面を含んでもよく、残りの部分に印刷が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係る、不織布用の製造ラインの模式図である。
【図2】第1の変形実施例に係る、図1に由来する製造ラインの模式図である。
【図3A】第2の変形実施例に係る、図1に由来する製造ラインの模式図である。
【図3B】位置合わせセンサを有する、不織布の支持体部分の上面模式図である。
【図4】第3の変形実施例に係る、図1に由来する製造ラインの模式図である。
【図5】第4の変形実施例に係る、図1に由来する製造ラインの模式図である。
【図6】本発明に係る、製造ライン用の制御及び指令ユニットのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロエンボス方法及びサーモエンボス方法から任意の順番で選択されたいずれかの方法によって単層又は多層の不織布のシートを様々に処理する2つの引き続いて行われる工程を含む、不織布を製造する方法。
【請求項2】
ハイドロエンボス方法による第1の処理工程とサーモエンボス方法による第2の処理工程とを含む、請求項1に記載の不織布製造方法。
【請求項3】
ハイドロエンボス方法による前記第1の処理工程は、円筒支持体上を搬送されている間の前記不織布シートの第1の処理と、平面支持体上を搬送されている間のハイドロエンボス方法による第2の処理とを含む、請求項2に記載の不織布製造方法。
【請求項4】
前記ハイドロエンボス処理工程後に及び前記サーモエンボス処理工程前に、前記不織布シートは乾燥工程に掛けられる、請求項2又は3に記載の不織布製造方法。
【請求項5】
サーモエンボス方法による第1の処理工程とハイドロエンボス方法による第2の処理工程とを含む、請求項1に記載の不織布製造方法。
【請求項6】
ハイドロエンボス方法及びサーモエンボス方法の前記2つの処理工程後に、前記不織布をローラ上に巻き取る工程を含む、請求項1から5のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項7】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス工程は、柔らかさ及びふわふわ効果のそれぞれが重複するように前記不織布シートに対して実行される、請求項1から6のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項8】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス工程は、前記不織布シートの異なる専用部分に実行される、請求項1から6のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項9】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス工程は、前記両工程が、事前設定パターンに従って前記不織布の異なる専用の部分に実行されるように、制御及び指令ユニットの制御及び指令を受ける、請求項8に記載の不織布製造方法。
【請求項10】
前記事前設定パターンは、前記ハイドロエンボス工程が、前記サーモエンボス工程に関与する部分以外の前記不織布の事前設定部分に実行されることを指令及び制御するために、電気信号を介して命令を与えるように、前記制御及び指令ユニットに読み込まれたプログラムによって読み取られる、請求項9に記載の不織布製造方法。
【請求項11】
前記ハイドロエンボス処理工程は、総表面の95%〜5%に対応する前記不織布シートの表面を網羅するように実行され、残りの表面部分はサーモエンボス方法によって処理される、請求項8から10のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項12】
前記ハイドロエンボス処理用の少なくとも1つの装置と前記サーモエンボス処理用の1つの装置とを設ける工程と、
不織布シートを前記装置に送出する工程と、
制御及び指令ユニットの前記制御下で、前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理を任意の順番で実行する工程と、を含み、
前記制御及び指令ユニットは、前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理が前記不織布シートの事前設定された専用部分に実行されることを指令及び制御するために、電気信号を介して命令を与えるように前記装置に作用的に接続される、請求項8から11のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項13】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理時に、前記制御及び指令ユニットは、前記不織布の駆動部材から生成される電気信号を検出し、前記信号を前記部材の角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、前記数値を前記角速度及びトルク・モーメントの事前設定数値の比率と比較し、前記比率から外れる、前記値に生じ得る変動をいずれも補正するために信号を前記部材に送信する、請求項12に記載の不織布製造方法。
【請求項14】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理工程は、単一の製造ラインにおいて、400m/分を超過し得る送出速度で連続的に実行される、請求項8から13のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項15】
閉ループ自動制御の工程を含む、請求項1から14のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項16】
前記閉ループ制御は、前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理時に作成された固定標識を制御下に維持し、比率/距離が設定及び格納されたものと異なる場合に介入する変換器としてカラー・ビデオ・カメラ・システムを含む、請求項15に記載の不織布製造方法。
【請求項17】
前記閉ループ制御は、前記制御及び指令ユニットに作用的に接続され、前記ハイドロエンボス又はサーモエンボス処理パターン中の皺又は変動の存在を絶えず監視するのに適切である少なくとも1つの画像取得装置を含む、請求項16に記載の不織布製造方法。
【請求項18】
延伸制御工程を含む、請求項1から17のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項19】
位置合わせ制御工程をさらに含む、請求項1から18のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項20】
前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス処理工程後に、印刷工程をさらに含む、請求項1から19のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項21】
前記印刷工程は、
前記不織布を搬送する被駆動支持体と少なくとも1つの被駆動印刷部材とを備える、不織布用の印刷装置を設ける工程と、
前記不織布シートを前記装置に送出する工程と、
前記制御及び指令ユニットの前記制御及び指令下で、前記不織布に前記印刷を実行する工程と、を含み、
前記制御及び指令ユニットは、前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材から生成される電気信号を検出し、前記信号を前記支持体及び部材の角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、前記数値を前記角速度及び前記トルク・モーメントの事前設定数値の比率と比較し、前記比率から外れる、前記値の生じ得る変動をいずれも補正するために、信号を前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材に送信するように、前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材に作用的に接続される、請求項20に記載の不織布製造方法。
【請求項22】
不織布(W)を処理する、少なくとも1つのハイドロエンボス装置(1、2)及び少なくとも1つのサーモエンボス装置(6)と、駆動部材システム(3、4、M)であって、前記システムに沿って前記不織布を搬送する駆動部材システムと、前記各々の処理が前記不織布の専用部分に実行されるように、前記ハイドロエンボス及びサーモエンボス装置のそれぞれの機械的及び電子的構成要素に作用的に接続された制御及び指令ユニット(7)とを備える、不織布製造設備。
【請求項23】
前記制御及び指令ユニット(7)は、製造ラインに沿って位置決めされた前記駆動部材(3、4、M)の全てのモータに電気配線を介して接続されている、請求項22に記載の不織布製造設備。
【請求項24】
連続的な閉ループ自動補正システムを介して製造過程をさらに制御することを実現するために、変換器としてビデオ・カメラ・システムTV1、TV2を備える、請求項22又は23に記載の不織布製造設備。
【請求項25】
延伸効果の存在を絶えず検出するために前記製造ラインに沿って位置決めされた複数のセンサ(S1〜S4)をさらに備える、請求項22、23、又は24に記載の不織布製造設備。
【請求項26】
前記製造ライン全体にわたって前記不織布の位置合わせを制御する装置をさらに備える、請求項22から25のいずれかに記載の不織布製造設備。
【請求項27】
前記装置は、前記駆動部材(3、4、M)に対する不織シート(W)の位置を測定するのに適切なセンサ(L、C)と前記シートの位置決めを補正するのに適切な装置とを含む、請求項26に記載の不織布製造設備。
【請求項28】
不織布に印刷する装置(8)であって、支持体(9)と、少なくとも1つの印刷部材(10)と、前記不織布シート(W)を前記支持体上に保持する手段(11)と、前記不織布シートを前記装置に及び前記装置から案内しかつ支持するのに適切な案内手段(12)と、を含む装置をさらに備え、前記装置は前記制御及び指令ユニット(7)に接続されている、請求項22から27のいずれかに記載の不織布製造設備。
【請求項29】
請求項21から31のいずれかに記載の方法によって得られる不織布。
【請求項30】
前記不織布が、ハイドロエンボス方法によって処理された部分と、サーモエンボス方法によって処理された部分とを有することを特徴とする、請求項29に記載の不織布。
【請求項31】
ハイドロエンボス方法によって処理された前記部分は、前記不織布の総表面の5%から95%を占め、残りの部分はサーモエンボス方法によって処理されている、請求項29に記載の不織布。
【請求項32】
ハイドロエンボス方法によって処理された部分は、サーモエンボス方法によって処理された部分と重複する、請求項29に記載の不織布。
【請求項33】
請求項29から32のいずれかに記載の前記不織布を、衛生看護用の濡れナプキンとして使用すること。
【請求項34】
請求項29から32のいずれかに記載の前記不織布を、家具用の洗剤又はワックスが含浸され得る洗浄布として使用すること。
【請求項35】
印刷工程が続くハイドロエンボス又はサーモエンボス処理工程を含み、着色までも行われた標示及び/又は図形を有する印刷された不織布を製造する方法であって、前記印刷工程は、
前記不織布を搬送する被駆動支持体と少なくとも1つの被駆動印刷部材とを備える、不織布用の印刷装置を設ける工程と、
前記不織布シートを前記装置に送出する工程と、
制御及び指令ユニットの制御及び指令下で、前記不織布に前記印刷を実行する工程と、を含み、
前記制御及び指令ユニットは、前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材から生成される電気信号を検出し、前記信号を前記支持体及び部材の角速度及びトルク・モーメントの状態を表す数値に変換し、前記数値を前記角速度及び前記トルク・モーメントの事前設定数値の比率と比較し、前記比率から外れる、前記値の生じ得る変動をいずれも補正するために、信号を前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材に送信するように、前記支持体及び少なくとも1つの印刷部材に作用的に接続される、不織布を製造する方法。
【請求項36】
印刷装置(8)と少なくとも1つのハイドロエンボス装置(1、2)又は少なくとも1つのサーモエンボス装置(6)とを備える、印刷された不織布を製造する設備。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−531863(P2008−531863A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557682(P2007−557682)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/IT2005/000118
【国際公開番号】WO2006/092814
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】