説明

特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のためのドレナージ装置

【課題】
【解決手段】シート状要素(5)によって支持されると共に空洞性病変(10)に結合され得る吸引袋(2)を含み、この吸引袋(2)が接続要素(4)により吸引手段(3)に接続していることを特徴とする、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の治療の場合における吸引のためのドレナージ装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、誤嚥、瘻孔、手術創傷による離開、床ずれ、外傷、並びに例えば静脈や動脈の潰瘍または糖尿病足における病変のような、病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のためのドレナージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置は、少なくとも1つのポリウレタン層を覆うフィルムと、ドレナージチューブからなり、それが病変部に適用され、吸引手段への接続を可能にする接続バルブをもったものが知られている。
【0003】
病変部の中への投薬および閉塞性投薬を実施するには、特に病変が空洞病巣をもっている場合、栓(plug)のためにポリウレタンの第1層によって空洞病巣を塞いだ(病変と接触させたポリウレタンの適用)後、ドレナージのために発泡ポリウレタンの圧定布を適用する。
【0004】
第1の公知の装置においては、ドレナージチューブが空洞性病変内に挿入され、次に、その空洞が接着(adhesive)フィルムを貼ることにより塞がれる。
【0005】
別のタイプの装置は、接着フィルムによって空洞を塞ぎ、ドレナージチューブと接続された膨出する接続部をポリウレタン圧定布と接触させるものである。
【0006】
いかなる場合でも、チューブは吸引手段に接続されるので、除去すべきセラム(serum)、滲み出る排せつ物及び液体の吸引が可能となっている。
【0007】
この種の装置には、好ましからざる欠点および問題がある。
【0008】
まずはじめに、排液管の適用は、かなり複雑で資格のある職員が関わることが必要であり、しかも患者にとって不快な場合もあることである。
【0009】
さらに、この種の装置は、しばしばフィルムと、患者さんの病変近傍の影響を受けている部位において特に過敏かつ敏感な皮膚との間の接触を制限する必要があることが多いので、ほとんど実用的でない。
【0010】
しかし、そのような装置では、除去される液体が吸引される時、空洞の縁における吸引の影響による出血の問題がしばしば生じる。これに加えて、これらの空洞が有する不規則な形のため、フィルムの皮膚への接着が完全でなく、これがドレナージ袋の空気の侵入をもたらし、したがって、方法における無菌状態および吸引が確保できない。
【0011】
最後に、ある状況、例えば腰背部や臀部の領域に位置する病変上にでは、患者がフィルムとカニューレを自分の体で圧迫し、接続バルブに圧力を加え:この接続バルブと病変の影響部位との間の接触は、痛みを起こすだけでなく、病変の状態を悪化させる可能性がある。
【0012】
これを回避するために、患者は、72時間にも達することもあるドレナージの期間ずっと、非常に心地の悪い体勢でいることをしばしば強いられる。
【0013】
結局は、既述した態様の方法は、ポリウレタンの数回の操作、すなわち栓の位置決めを行なう第1の操作、ポリウレタンの圧定布を配置する第2の操作、接着フィルムを貼って空洞の閉塞を確保するさらなる操作、ポリウレタンとフィルムの二重層にチューブを接続する最後の第4の操作:を必要とするのである。
【0014】
この方法は、さらに難儀で遅くなることに加えて、フィルムを正しく貼り、チューブのために孔を形成することができる専門の職員を関わらせる必要があるのである。
【0015】
さらに、傷への継続的に続く操作は、患者にとって厄介なもので、痛みを伴うことに加えて、細菌汚染のより大きなリスクも伴う可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、従来公知のドレナージ装置の前記問題と欠点をなくし、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のために、術者がより速くかつ簡単に実施でき、かつより少ない回数操作をもつ方法もって、病変への投薬又は病変を塞いだりするのを可能にすることにある。
【0017】
この狙いの下で、本発明の目的は、患者にとって快適で、何より痛み、出血、発疹または病変の状態を悪化させるリスクを起こさない本発明に従う吸引装置を提供することにある。
【0018】
本発明の別の目的は、いかなるタイプの病変および空洞であってもその皮膚に対し、装置を完全に接着させることができるすることにある。
【0019】
本発明の別の目的は、市販の容易に入手な手段を有し、一般的に使われている材料を用い、その結果、装置が経済的競争力があると共に組み立てが容易である、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のためのドレナージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この狙いとこれらと他の目的は、請求項1およびあるいは、請求項12によるドレナージ装置により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は、ここに添付の図面の非制限的な例として、望ましいが排他的ではなく示される、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の治療の場合における吸引のためのドレナージ装置の実施例の以下の詳細な説明によって、より明らかとなるだろう。
【図1】本発明のドレナージ装置の斜視図である。
【図2】図1のドレナージ装置の底面側からの斜視図である。
【図3】本発明のドレナージ装置が患者の腹部の空洞性病変に適用されたの図である。
【図4】本発明のドレナージ装置の対称軸に沿った断面図である。
【図5】本発明によるドレナージ装置の分解図である。
【図6】本発明の他の実施例によるドレナージ装置を底面側から見た斜視図である。
【図7】図6における別のアングルから見たドレナージ装置の斜視図である。
【図8】図6におけるドレナージ装置の上から見た斜視図である。
【図9】図6における上から別のアングルで見たドレナージ装置の斜視図である。
【図10】図6におけるドレナージ装置の正面図である。
【図11】図6におけるドレナージ装置の正面側の斜視図である。 ドレナージ層。
【図13】図6におけるドレナージ装置の詳細の斜視図であり、シート状要素とフォイルの間の接続を示す。
【図14】シート状要素とフォイルの間の接続領域の図6におけるドレナージ装置の詳細を示す。
【図15】シート状要素とフォイルの間の接続領域の図6におけるドレナージ装置の詳細を示す。
【図16】第2のシート状要素と組み合わせた図6におけるドレナージ装置の斜視図を示す。
【図17】図16における解体された要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引治療の場合の吸引のためのドレナージ装置は、参照図において一般に参照数字1によって示されている。
【0023】
本装置1の特徴の1つは、空洞性病変10に適用されるシート状要素5により支持された吸引袋2を含み、その吸引袋2は、接続要素4の通路により吸引手段3に接続可能となっている。
【0024】
有利には、シート状要素5が接続要素4を支持し、すなわち、シート状要素5は、袋2と接続要素4の両方を含む表面を有する。好適な実施例のドレナージ装置は図1に示すものである。別の好適な実施例のドレナージ装置は図11示すものである。両方の実施例は創傷の適切な保護を行なう。
【0025】
袋2に対し、シート状要素5を切るか、予め適宜形成した開口によって、病変10に対するアクセス(access)6をシート状要素5に設けることが可能である。好ましくは、シート状要素5が親水コロイド材料(水性分散相及び分散された相によってコロイド状態に形成される)で作られ、この実施例においては粘着面を有する。
【0026】
肌に対して中性を示す親水コロイドの主要な有意性によって、いかなる患者にも不快感も与えない。
【0027】
袋2およびシート状要素5は、好ましくは分離可能に互いに組み合わせることができる。 この実施例においては、この観点で、袋2との接触のために、シート要素5の壁に接着材料12の層が設けられている。
【0028】
この様に、術者は、患者の身体にシート状要素5を貼ることができ、本装置1を誤って適用する場合でも、患者への痛みを起こさずに袋2を貼ることができる。
【0029】
前記接続要素4は、吸引手段3または任意の容器に本装置1を接続する接続バルブによって構成されている。
【0030】
吸引中でも消毒剤を液滴する目的で、吸引袋2に接続する一方向点滴バルブ9を設けることができる。
【0031】
有利には、袋2には、ポリウレタン製の圧定布7、通常は発泡ポリウレタンまたは排液に適した他の素材を用いた排液層を設けられ、この排液層は、治療される部位にある病変10中に、代わりに置かれる栓11を形成するポリウレタンと接触するように設置される。
【0032】
さらに、目視検査を可能にし、血液の漏出や他のタイプの合併症がないことをチェックするために、袋2は光学的に透明な材料で全体または部分的にできている。
【0033】
ドレナージ装置1が使われ、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれの治療のための投薬方法、空洞病変、外傷および、同様の病変の薬剤密封は、次のとおりである。
【0034】
空洞性病変を栓11用のポリウレタンの第1の層で充填した後に、空洞性病変10に対して、袋2の(術者により前もって形成されか切断された)一つのアクセス6がシート状要素5に形成される。
【0035】
その後、装置1は、(既述の親水コロイドの粘着表面によって)、空洞性病変10に対して適用され、ポリウレタン11の栓と袋2内に設けられている排液層(ポリウレタン圧定布7など)とを接触させて配置される。
【0036】
一旦、装置1が適用され且つ配置されると、接続要素4の通路によって吸引手段3と連結でき、また既述のように、排液用の接続バルブに連結される場合もある。
【0037】
要素5にアクセス6を設けるために、まず第一に塞ぐべき空洞性病変10の周辺の輪郭をトレースして、そのトレーシングをカットし、こうして切断して得たトレーシングをシート状要素5に置いてアクセス6の輪郭を描き、この輪郭に沿って要素5を切る。
【0038】
有利には、輪郭線のカットは、空洞性病変10の周囲に対して少なくとも2〜3mm小さくしなければならず、その結果として、病変部10の辺縁は親水コロイドによって、保護される。場合により、病変10の周辺は、装置1を入れた無菌包装上にトレースしてもよい。
【0039】
このように、アクセス6が治療部位に適合して設けられ、先に述べた吸引時の問題を起こさず、最適な方法で、装置1を病変10(傷、創傷、瘻など)と連係できる。
【0040】
ここで提案される解決策においては、まず、アクセス6が既に設けられたシート状要素5を患者の体に貼り、次に病変10の周辺が完全に袋2内に位置するように、袋2を配置する。
【0041】
この時点では、アクセス6によって、ポリウレタン圧定布7が栓11と接触し、接続要素4によって、袋2が吸引手段3につながれる。
【0042】
上述したことから、したがって、本発明が挙げた狙いや目的を達成することは明らかであり、強調すべき事実は、生産が簡単で、専門家や資格のある職員が要らず、特別な操作を要せず、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引治療の場合における吸引のためのドレナージ装置が提供されることにある。
【0043】
特に、シート状要素によって支持される吸引袋の提供は、専門家で高度な資格を持つとは限らない担当の職員が装置を使うのを簡単にするだけでなく、空洞性病変の排液のための吸引手段に対する装置の接続を容易にする。
【0044】
本発明の別の利点は、接続要素(バルブ)のための支持点としてのシート状要素の提供によって、治療期間と回復期間中を患者がもっと快適に過ごせるという事実があり、それ故に、治療している部分の皮膚にバルブが直接作用して不快な痛みを生じ、病変自体を悪化させる危険なしに、排液中(既述のように、何日もかかるかかる手術)において動きのさらなる自由が彼/彼女に与えられることである。
【0045】
本発明のもう一つの利点は、発泡ポリウレタンまたはその他の排液素材でできた圧定布で吸引袋の中を満たすことが、装置の排液能力を高め、病変およびその周囲の組織の圧迫によるさらなる外傷を回避し、治療の有効性を向上させること、そして装置の排液効果を失うことなく、袋を一時的に吸引器から外すことが可能であるという事実をもたらすことである。
【0046】
装置のもう一つの利点は、一方向バルブが消毒剤を点滴するためにつけられており、接続要素がはめ込まれていれば、吸引の間でも使用できることである。
【0047】
装置の別の利点は、光学的に透明な材料を使用した袋の少なくとも1つの壁を設ける態様によって、排出された液体(例えば失血がある場合)の目視検査を可能にすることである。これにより、なにか問題があったときに速やかに対処できる。
【0048】
さらに、形成された孔を特に利用して、空洞の周辺のトレーシングからアクセスを切り取りが可能であることにより、皮膚と袋の間の完璧な接着がもたらされ、排液中における空気の侵入が回避されるだけでなく、病変の縁の出血や皮膚のかぶれといった問題を起こすことなく、薬剤の完全な密封も確保される。
【0049】
本発明の別の利点は、袋およびシート状要素を分離可能に結合できるということである(例えば図17参照)。このように、専門家とは言えない術者が位置決めでミスをした場合に患者への痛みを防ぐことに加えて、再利用のために袋と親水コロイドを滅菌することが可能である。実際には、袋は通常、ガス滅菌を必要とし、親水コロイドはコバルトで滅菌されなければならない。
【0050】
さらに、医療分野で一般的に使用される素材によってシート状要素を提供すること、並びに吸引装置を設置し使用するのが簡単で安価である技術を活用することによって、本発明を背景技術に対して強い競争力及び同等の有効性を与える。
【0051】
実際に、ここに述べる本発明装置は、ストーマ、瘻孔、手術創離開、床ずれなどの病変のある患者または、薬剤特に薬剤の密封が必要な患者の治療を、入院や有資格職員や高い専門技術のある職員の助けなしで可能にし、治療進捗を患者にとってより快適にすることが見出された。
【0052】
以下に、図6〜図17に関連させながら本発明の別の実施例について説明する。別の実施例は、シート状要素25によって支持される吸引袋22を含むドレナージ装置20に関するものである。この目的を達成するために、シート状要素は、少なくとも部分的に、特に完全に吸引袋22に重なって吸引袋の底部側に配置される。このように、シート状要素25は、空洞性病変(図示しない)と連結させるために適用され、シート状要素25上に配置される吸引袋22を支持をする。換言すれば、シート状要素25は、空洞性病変と吸引袋22の間の使用されるように配置される。図8、9に示すように、吸引袋22は吸引手段(図示しない)または排液袋(図示しない)に、バルブなどの接続要素24によって接続可能となっている。図6、7から明らかななように、吸引袋は、少なくとも1つのガス・液体密封フォイル27によって囲まれる排液層26を含んでいる。フォイル27は、排液層26の上面及び排液層26のすべての側面において排液層26を囲んでいる(図8、9、10、11)。さらにフォイル27は、排液層26の底面おいて排液層26を囲んでおりし、排液層26の底面の少なくとも一部を覆うように、放射状に内側に向けて延在している(図14、15)。
【0053】
フォイル27は、空洞性病変からの液体のコントロール吸引を可能にする、ガス及び液体バリアの機能を果たすたガス・液体密封材料でできている。
【0054】
図6、7および図13、14に示されるように、フォイル27は、第1の開口28を形成している。第1の開口28を通して、空洞性病変からの液体を取り除くことができる。このように、第1の開口28は空洞性病変に連結されるように適用される。
【0055】
シート状要素25は、フォイル27の第1の開口28と同じ排液層26側に設けられている。シート状要素25は、第1の開口28を強化している。この目的のために、シート状要素25は、第1の開口28とマッチする第2の開口29を含んでいる。空洞性病変と排液層26の間の液体の接続を可能にするアクセスが形成されている限り、第1開口と第2開口部とが部分的に重なっていてもよい。シート状要素25はガス・液体密封的にフォイル27とつながっている。それ故に、シート状要素25およびフォイル27は、排液層26が含まれるガス・液体密封袋またはエンベロープを一緒に形成する。排液層26へのアクセスは、シート状要素25およびフォイル27内に形成される第1および第2の開口部28、29によって実現する。
【0056】
シート状要素25とフォイル27の間の液体・ガス密封連結部を図13〜14に示す。ここにおいて、第1および第2の開口28、29を囲んでいるシート状要素25の環状縁部を、たとえば接着剤の手段などによって、フォイル27と接続することを考えてもよい。シート状要素25とフォイル27を接続する前記縁部の幅は、密封機能が確保される限り、当業者が適宜選択することができる。接続の他の手段としては溶着手段などを用いることができる。
【0057】
図6、7に示す最適例においては、シート状要素25が環状要素を形成している。環状要素が排液層26に、使用中に同じものを支持するように、重なっているか、重ねることができる。シート状要素が、同じものを支持し吸引袋22の中の排液層にアクセスできるように排液層と重なる限り、シート状要素は他の形状も可能である。シート状要素25は、一体的要素またはその上で使用するいずれかの形で、親水コロイドプレート(図16、17)につなぐことができる。図10に示されるように、シート状要素25と接続要素24とは、異なる側、特に吸引袋22の反対側に設けられている。特に、接続要素24が排液層の上部に設けられ、排液層26の使用過程で、空洞性病変と接続要素24との接触を避けるように、空洞性病変と接続要素24の間に配置されている。接続要素24は、開口部28、29とほぼ同じレベルでフォイル27に接続され、空洞性病変からの液体の効率的な吸引を可能にしている。
【0058】
図12に示されるように、排液層26は、空洞性病変からの液体を吸収することができる多孔質材料で形成される。
【0059】
図16、17に示される別の実施例によれば、吸収袋は、第3の開口部31が設けられた他のシート状要素30と組み合わせることができる。使用中、第3の開口部31は第1および第2の開口部28、29とマッチするか並んでいて、排液層26とアクセスすることができるようになっている。他のシート状要素30の外面形状は、吸引袋20の外面形状より大きい。さらに、第3の開口部31は第1および第2の開口部28、29より小さい。これらの特徴は、空洞性病変上の吸引袋20の位置決めを容易にし、排液層26が空洞性病変に作用するような安全な取扱性を高める。
【0060】
図6〜17による本発明の実施例は、排液層26を封入するガス・液体密封フォイル27の存在のおかげで、排液層と吸引袋とが一体部分を形成するという利点がある。フォイル27のアクセス開口部28は、吸引袋20を支持する機能もさらに持つシート状要素25によって強化されている。吸引袋20の一体構造は、保存と吸引袋20の取扱い易さを可能にさせる。吸引袋が装置の位置決めを容易にする追加のシート状要素30と一緒に使用される場合、保存と吸引袋20の取扱い易さはさらに向上する。
【0061】
本発明装置、ウーンドバック(Wound Bag)とも呼ばれる装置は、外部包帯である。これは、ユーザーによって適宜選択できる包帯材により傷または空洞性病変が完全に充填された後に、使用される。
【0062】
ウーンドバックシステムは単一コンポーネント(図6〜15)である場合もあれば、2つの別々のコンポーネント(図16、17)で構成される場合もあれば、それより多い別々のコンポーネントで構成される場合もある。1つのコンポーネントを備えたシステムは、ポリウレタン製などの排液層26で満たされたウーンドバックが取り付けられる親水コロイドベースまたはプレートを含む。2つのコンポーネントを含むシステムは、別々に扱われ且つ病変に対して使う時にだけ一緒にされる親水コロイドベースおよび充填されたウーンドバックからなる。
【0063】
単一パートシステムも2パートシステムと同様に既製のパーツ群からできていて、密封包帯を構成するために使われる。
【0064】
ウーンドバックは、しっかりと接続されたバルブを備える。以下のように、バルブを使用できる:
【0065】
閉じられたドレナージを与えるために、前記バルブは、接続管手段によって袋と連結できる。このバルブは、接続管手段によって吸引機器に接続できる。このバルブは簡単に閉じることができる。
【0066】
ポリウレタン層またはその他の吸収層の入ったウーンドバックには、2つまたは2つ以上のバルブを持つものもある。第2のバルブは、連続洗浄を実現するように、ネラトン(nelaton)または排液手段と接続される。この場合において、閉じられたドレナージを与えるために、第1のバルブはチューブで受け入れ袋に連結できる。もう一つの方法として、第1のバルブを吸引装置に接続できる。
【0067】
1つのパート及びバリエーションにおける2つのパートの両者において、ウンドバックシステムの親水コロイドプレートは、病変の縁や病変の周辺部分を保護するのに使われる。さらに、親水コロイドプレートは病変を塞ぐ機能がある。袋はポリウレタン層または他の吸収素材層を含み、外部包帯の機能を持つ。ウーンドバックシステムは、病変の閉塞を実現するための接着フィルムを必要としない。1つまたは2つの固定されて取り付けられたバルブを含むウーンドバックによる実施例は、閉鎖された排液による方法または吸引装置による方法のいずれかによる潜在的な治療を行うのに、追加のコネクタが必要でないという利点がある。
【0068】
図6〜17による実施例のすべての特徴は、図1〜5による実施例の前記特徴と関連して開示されている。
【0069】
このように案出された本発明は、多くの修正およびバリエーションを受け入れる余地があり、これらのすべては附属の特許請求の範囲内にある。
【0070】
すべての詳細は、さらに他の技術的に均等の要素によって変更される可能性がある。
実際には、使用される材料及び同様に寸法は、要求条件に従っていかなるものでもよい。
本願が優先権を主張しているイタリア特許出願番号AR2008A000022の中の開示は、ここに参照して組み込まれる。
【0071】
いずれの請求項においても技術的特徴が述べられている箇所は、引用符号が続き、これらの引用符号は、請求項の読みやすさを向上するためのみの目的で付けられている。したがって、引用符号にはそのような引用符号の例によって識別される各要素の解釈を制限する効果はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状要素(5)によって支持されると共に空洞性病変(10)に連結され得る吸引袋(2)を含み、
この吸引袋(2)が接続要素(4)により吸引手段(3)に接続していることを特徴とする、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のためのドレナージ装置(1)。
【請求項2】
前記シート状要素(5)が前記接続要素(4)の支持の役割を果たすことを特徴とする請求項1記載のドレナージ装置。
【請求項3】
上記吸引袋(2)内に少なくとも1つの排液層を含むすることを特徴とする先行する請求項記載のドレナージ装置。
【請求項4】
前記排液層が、少なくとも1つのポリウレタンの圧定布(7)を含むことを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項5】
前記接続要素(4)が、接続バルブで構成されることを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項6】
前記接続バルブ(4)が、吸引手段(3)への接続を制御することを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項7】
前記シート状要素(5)が、親水コロイド物質によって構成されることを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項8】
前記シート状要素(5)が、接着手段によって患者の皮膚に結合づけられる面を持つことを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項9】
前記吸引袋(2)が、光学的に透明な素材の少なくとも1つ部分を含むことを特徴とする先行する請求項記載の1又は2以上のドレナージ装置。
【請求項10】
前記吸引袋(2)および前記シート状要素(5)が、相互に分離可能に連結できるようになっていることを特徴とする請求項1のドレナージ装置。
【請求項11】
前記吸引袋(2)が、これに接続される一方向点滴バルブ(9)を含むことを特徴とする請求項1のドレナージ装置。
【請求項12】
シート状要素(25)によって支持されると共に空洞性病変(10)と連結するように適合する吸引袋(22)を含み、
ここにおいて吸引袋(22)が、吸引手段(3)に対してあるいは接続要素(24)の通路によって接続された又は接続可能とされており、
前記吸引袋は、空洞性病変(10)と結合するための第1の開口部(28)を形成するガス・液体密封封フォイル(27)に囲まれた少なくとも一つの排液層(26)を含み、
前記シート状要素(25)が、前記フォイル(27)にガス・液体密封封状態で連結され、かつ第1の開口部(28)とマッチする第2の開口部(29)を含むことを特徴とする、特に、誤嚥、瘻孔、手術創離開、床ずれ、外傷および同様の病変の吸引を伴う治療の場合における吸引のためのドレナージ装置(20)。
【請求項13】
シート状要素(25)が、環状シート状要素(25)および/または親水コロイドプレートと組み合わさっていることを特徴とする請求項12のドレナージ装置。
【請求項14】
シート状要素(25)及び接続要素(24)が、異なる側、特に吸引袋(22)の反対側に設けられていることを特徴とする請求項12または13のドレナージ装置。
【請求項15】
他のシート状要素(30)に、使用するとき、第1および2開口部(28、29)とマッチする第3の開口部(31)が設けられていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載のドレナージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2011−520576(P2011−520576A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510852(P2011−510852)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002686
【国際公開番号】WO2009/143932
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(510313337)ニディケア ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】