特に指紋識別用の光学画像作成装置
本発明は、光源(13)と、光源(13)からの光線が伝播できる光学媒体(10)と、光学媒体(10)の一つの境界で画定された検出表面(11)と、光源(13)から入ってきて検出表面(11)で反射する光線が反射される画像センサー(15)とを有する光学画像作成装置に関する。本発明の装置は、画像センサー(15)上に直接画像を形成できるようにするため光源(13)が十分に点状であるとして画像センサー(15)から現われるようにして構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像作成装置に関するものであり、一層特にしかし排他的ではなしに指紋識別用の光学画像作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術に従って製作された光学画像作成装置の一例は添付図面の図1に概略的に示されている。
【0003】
この装置はプリズム1を有している。光源(図示していない)から出た光線5はプリズム1の第1の面2を介してこのプリズム1に入る。プリズム1の第2の面4は、指Fを載せることのできる検出表面を画定している。指Fがない場合には、光線はプリズム1の第3の面6に向って総体的に反射される。光線5は、検出表面と接触した指Fの盛り上がった特徴でフラストレートした反射を受け、それにより光線が集束レンズ7を通過した後、図示していないCCD又はCMOS形式の画像センサー上に画像を形成することができる。集束レンズ7は装置のコンパクト性を低減する発散成分を除去するように相対的に長い焦点距離のものでなければならない。
【0004】
特許文献1には、どちらかと言えば同様な光学画像作成装置が記載されている。
【0005】
特許文献2及び3に記載の発明は、画像を形成する特定のレンズ系を用いて装置のサイズを縮小することを目的としている。しかし、提案された装置は特に複雑で高価である。
【0006】
特許文献4には、二次元アレイに配列した多数の光センサーを有する画像読取装置が記載されている。光線は、装置の全幅にわたってのびる冷陰極管から放出される。
【0007】
特許文献5には、カメラ及び平行光線の光源を用いた指紋読取装置が記載されている。
【0008】
特許文献6には、CCDセンサーの前方にレンズを配置する、二つのプリズムを用いた指紋読取装置が記載されている。
【0009】
特許文献7には、クレジットカードフォーマットをもつカードを用いて指紋の画像をスキャナーに伝送する指紋の認証方法が記載されている。
【0010】
非特許文献1には、ホログラフィク導波管を用いた装置が記載されている。
【特許文献1】米国特許第6381347号
【特許文献2】米国特許第6259108号
【特許文献3】米国特許第6355937号
【特許文献4】欧州特許出願EP1022675
【特許文献5】米国特許第5619586号
【特許文献6】欧州特許出願EP1104908
【特許文献7】米国特許第6182892号
【非特許文献1】文献“Waveguid hologram fingerprint entry device” Optical Engineering、 Society of Photo−optical Instrumentation Engineers−Bellingham US、vol.35、No.9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
小さなサイズで大機名スケールの使用に匹敵するコストで信頼して製造できる改良型の装置で利益を得る必要がある。
【0012】
本発明の目的は、特に、この要求を満たすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、本発明は、
光源と、
光源からの光線が伝播できる光学媒体と、
光学媒体の一つの境界で画定された検出表面と、
光源から入ってきて検出表面で反射する光線が反射される画像センサーと
を有する光学画像作成装置にあり、
この装置は、画像センサー上に直接画像を形成できるようにするため光源が十分に点状であるとして画像センサーから現われるようにして構成されることを特徴としている。
【0014】
用語“直接画像を形成”は本発明の概念の範囲内で、幾何学的光学における投影法に従ってレンズ系なしで画像を形成できることを意味することを理解されるべきである。
【0015】
本発明は多くの利点をもたらす。
第1に、本装置は、比較的容易に小型化でき、そして堅牢性及び信頼性を高めて構成できるようになる。
【0016】
第2に、本装置の製造は複雑でなく、それにより本装置のコストを低減でき、本装置の利用を汎用化できるようになる。
【0017】
さらに、光源の電力消費を低減でき、それにより特に光学画像作成装置が例えば電話又はパーソナルデジタル援助機器のような携帯可能な機器に用いられる場合に寿命を延ばすことができるようになる。
【0018】
光源は、画像センサーの分解能に匹敵するサイズの画像センサーで見ることができる。例えば、約50μmのサイズの検出セルをもつセンサーの場合、光源の二つの極限点から出てきて検出表面上の同一点を通過する二つの光線は、センサーで画定した観察平面において100μm未満、なお一層良くはセンサーの検出セルのサイズの距離又はそれ以下分離される画像を形成できる。
【0019】
光源は、光学媒体内又は光学媒体の外側に配置され得る。特に、光源及び光学媒体は空気層で分離され得、又はされ得ない。
【0020】
同様に、画像センサーは、光学媒体内又は光学媒体の外側に配置され得る。特に、画像センサー及び光学媒体は空気層で分離され得、又はされ得ない。
【0021】
画像センサーは光学媒体から分離可能にでき又は分離可能にできない。画像センサーは、特に、支払い又はアクセスカード或いはキー又は任意の他の個人的対象物のような取外し可能な支持体に一体化され得、また光学媒体は支持体と共動するのに適した読取装置に属し得る。
【0022】
支持体は、センサーのみ備え得、また随意にはセンサーから読取装置へデータを伝送するように構成した電気接点を備え得る。適切に場合には、支持体は、例えばプロセッサー及び(又は)少なくとも一つの記憶装置を備えた少なくとも一つのマイクロ回路を備え得る。
【0023】
センサーを光学媒体から分離する可能性における一つの利点は、特に、幾つかの異なる読取装置で同一のセンサーを用いることができることにある。これにより、指紋に対応した画像又はアナログ又はデジタルシグニチャを認識する信頼性がさらに高められる。
【0024】
本装置は、光源から出て画像センサーに到達する光線が単に検出表面でのみ反射されるようにして構成され得る。変形例として、本装置は、光源から出た光線が、画像センサーに到達する前に特に光学媒体において少なくとも二回反射を受けるようにして構成され得る。
【0025】
画像センサーは線形又はマトリックスセンサーであり得る。
【0026】
光源は、変調され、特に輝度変調されて、信号対雑音比を高めるようにされ得、画像センサーを光源のこの変調に同調させることができる。
【0027】
使用できる変調の例は、特に、刊行物Y.Ni及びX.L.Yan著“CMOS active differential imaging device with single in−pixel analog memory” ESSCIRC ’02 九月号24−26 2002年 イタリア国フローレンス pp359−362に記載されている。
【0028】
光源は、可視、赤外線待たし紫外線領域の幾つかの波長で発光し、画像センサーは、これらの各波長に相応した画像を分析するように構成され得る。
【0029】
二つのそれぞれ異なる波長で形成された画像の少なくとも二つの分析により、適切な場合には、検出の信頼性を改善することができる。
【0030】
本発明の一つの実施形態では、光源は、画像センサーの表面のレベルより下方に位置する。このような構成により、簡単な仕方で、光源から出た光が直接画像センサーに達するのを阻止することができる。
【0031】
例えば、光源は印刷回路、特に多層印刷回路の凹部に配置され得る。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、本装置は、画像センサー及び光源を覆う、すなわち光学媒体を部分的に画定する透明材料のブロックを有する。
【0033】
このブロックは、例えば、画像センサー及び光源上に成形され、又はこれらの両方に接合され得る。接合の場合には、これは透明接着剤、例えば紫外線硬化可能な接着剤によって行われ得る。
【0034】
有利には、上記のブロックは、画像センサーの頂部に、画像センサーに達する迷走光線の量を低減する手段を備えている。これ等の手段は例えば、センサーに対してほぼ垂直な艶消表面及び(又は)マスクを備え得る。
【0035】
ブロックの材料は例えば、迷走光線の伝播を減衰しながら光源から出た光線の伝播を促進させるように光源の波長に応じて選択され得る。
【0036】
本発明は、本発明を限定しない実施形態についての詳細な説明を読みそして添付図面を考察することにより一層明瞭に理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図2に示す光学画像作成装置は、例えば指紋を分析するために指Fを載せることのできる検出表面11を画定する空気との境界をもつ光学媒体10を備えている。
【0038】
指Fは、検出表面11と接触する隆起部の形態の領域Bを局部的にもち、そしてかかる領域からセットバックした部分Cがくぼみとなっている。
【0039】
検出表面11は光源13で照射される。指Fのない場合には、検出表面11において光線が全反射する。指Fが存在する場合には、皮膚との界面にフラストレートした反射が生じられる。
【0040】
本発明の一つの特徴によれば、光源13は、検出表面11で反射した後、画像センサー15で画定された観察平面14から観察した際に実質的に点光源として振舞う。
【0041】
幾何学的光学の法則によれば、画像は観察平面14において観察でき、この画像は図2に示す例では検出表面11の平面に対して光源13と対称の光源13’で得られる画像に相応し、単に皮膚及び検出表面11と接触しない領域を通過する光線のみが観察平面14内に受けられ、光源13’は観察平面14における皮膚と検出表面との接触領域の“陰影”である。
【0042】
光学媒体10は、空気より稠密な無機又は有機ガラスのような色つき又は色つきでない任意の透明材料で構成され得る。
【0043】
光学媒体10は、特に、常温では固体でありかつ光源13から出てセンサー15で検出される少なくとも光の波長で透明であるプラスチックから成り得る。
【0044】
光学媒体10の色は、センサー15に到達する迷走光線の量を低減するように、別の波長をもつ光を減衰しながら、光源13から放出された光の伝播を促進するように選択され得る。
【0045】
画像センサー15は、例えばセンサー15から出されたデータからより完全な画像を再生し及び(又は)センサー15で受けた少なくとも一つの画像から、検出表面11に指を載せたまた場合によって上記検出表面上で指を動かした人を特定するように構成した任意の適切な処理装置(図示していない)に接続され得る。
【0046】
用語“画像”は限定的に取られてはならず、画像は例えば観察平面14における明るい又は暗い点に変えられ得る。
【0047】
処理装置は、特に指紋の一つ以上の画像及び(又は)相応したシグニチャを記録する記憶装置に対するアクセスを有し及び(又は)備え得、また処理装置は、センサー15で受けた新しい画像及び(又は)相応したシグニチャを予め記憶されたデータと比較するように構成され得る。
【0048】
画像センサー15は、例えばCCD、CMOS又は他の形式の図3に示すような線形センサー又は図4に示すようなマトリックスセンサーであり得る。
【0049】
線形センサーは例えば端部同士合わせて配置した検出セルの一つ以上の線形アレイを有し、各線形アレイは例えば少なくとも256個のセルを有している。
【0050】
マトリックスセンサーは例えば少なくとも256個のセルの少なくとも二つの列を有している。
【0051】
少数の列を備えた線形又はマトリックスセンサーを使用することにより、大きな画像より少ない歪みで小さな画像を分析することができる。線形センサーを用いた場合には、このセンサーは適切な場合には指の動きと検出を同期化するように、指の通過による動きを受けるように駆動される機構と結合され得る。
【0052】
数列をもつ線形又はマトリックスセンサーは、特に指Fを検出表面11の長手方向軸線に垂直な方向に検出表面11上を動かす際に用いられ得、センサー15で得られた各画像は指の表面の相対的に狭い帯領域に相応している。
【0053】
画像センサー15は、一つ以上の特定の波長で画像を分析するように構成され得る。
【0054】
好ましくは、周囲照射の問題を考慮に入れるように、光源13は、輝度変調した光線を放出し、そしてセンサー15は光源13の変調周波数に同調される。従って、光源13からの光線で搬送される情報は周囲のノイズからさらに分離され得、信号対雑音比は増大される。
【0055】
観察平面14で受けた画像は、光源13が点光源である場合にはそれの寸法及び(又は)距離のために一様にシャープである。光源13のサイズ及び距離の減少によりまた、観察平面に形成される画像のサイズ及び従って使用したセンサー15のサイズを減少することができ、形成するのが望ましい画像でカバーされる領域はセンサー15の検出セルでカバーされた領域に近い。
【0056】
また、検出表面11とセンサー15との間の距離はできる限り短いのが望ましいことを示し得る。
【0057】
検出表面11は例えば指紋の幅と同様な幅にわたってのび得る。
【0058】
光源13を作るために、拡散装置やレンズをもたない小型光学構成要素、例えば単一発光ダイオード又はレーザーダイオードを用いるのが有利であり、また例えば多重反射によって光源13を観察平面14から離れて配置するのが有利であり得る。適切な場合には、光源13は、光の点状出口に対して単一の小さな開口をもつマスク(図示していない)を備え得る。
【0059】
光源13はまた、適切な場合には、光学繊維を備え得る。光線は特にこの光学繊維の端部から放出され得る。
【0060】
多重反射は、光学媒体10と空気との間又は光学媒体10と屈折率の小さい別の媒体との間の界面及び(又は)光学媒体10に対して外部又は内部の反射表面、特に金属化した表面における内部反射であり得る。
【0061】
観察表面14及び検出表面11の方向決め(配向)及び相対構成は変えることができる。
【0062】
図5には、本発明の別の実施形態を示し、検出表面11は観察平面14に対してほぼ90°に方向決めされる。
【0063】
さらに、この実施形態では、光源13は光学媒体10の外側に位置し、光線は光学媒体の一つの面16に垂直にこの光学媒体に入り、装置は、検出表面11上で単に単一反射するように構成されている。
【0064】
図6に示す実施形態では、光源13と観察表面14との間で複数回中間反射し、それにより光源13を観察平面14から随意に離すことができ、また例えば薄い光学媒体10を用いることができ、これは例えばプレートの形状である。
【0065】
この実施形態において、光線は検出平面11に達する前に、光学ガイドを画定する二つの面17、18において連続して反射されることによって伝播する。検出表面11は本実施形態においては平面である面16の延長に位置する。平面である面17は面16に平行であり、そしてセンサー15を支持する支持体25に接触する。
【0066】
図7に示す実施形態では、装置は長手方向軸線Xに沿って伸張した一般的な形状をもち、検出表面11は装置の一つの軸方向端部に位置している。例えば、装置はカードの形状であり、このカードはさらに、例えば遠隔データ交換用のアンテナ及び(又は)電気接点を備え得る。カードは特に光源13へ電力を供給する複数の接点を備えている。
【0067】
光学媒体10は支持体19をカバーし、支持体19はこの実施形態では光源13及び画像センサー15から離れて、センサー15からのデータを処理する回路20を担持している。
【0068】
この図に示す実施形態では、光源13から放出された光線は支持体19にほぼ平行に伝播して検出平面11に到達し、センサー15に向って反射される。
【0069】
光学媒体10は、単に、検出表面11におけるフラストレートした反射の後形成された画像を分析する観点で、光源13から放出された光線を伝播する働きをし得る。
【0070】
光学媒体10は、また、少なくとも一つの別の作用をもち、特に図8に示すようにディスプレイ21、特に携帯端末装置のディスプレイを保護する働きをし得る。
【0071】
この実施形態では、光学媒体10は第1の部分22を備え、光源13から放出された光線はセンサー15まで伝播し、この第1の部分は検出表面11を画定し、また光学媒体10はディスプレイ21をカバーする第2の受動部分23を備えている。随意に、第1の部分はディスプレイ21を少なくとも部分的にカバーし得る。
【0072】
センサー15は光学媒体10から分離でき、そして特に例えば電気接点又は無線周波数装置のようなデータ交換用の手段も備える支払い又はアクセスカードのように支持体に一体化できる。
【0073】
例示するために、図10には支払いカード27を示し、このカード27はセンサー15、例えば線形センサー及び複数の電気接点を備えるマイクロ回路26を含んでいる。
【0074】
カード27は、光源及びマイクロ回路26を読取る装置(これらは図示していない)を備える読取装置29に受けられるようにされている。
【0075】
カード27は、読取装置29の光学媒体10の下方に配置され、検出表面11は、カード27を挿入した時に光源からの光線がセンサー15上で反射されるように構成されている。
【0076】
カード27を読取装置29に挿入した利用者は検出表面11上で矢印Mの方向に自分の指Fを動かすことができる。これにより、センサー15で画像の連続体を読取ることができ、この画像の連続体は指紋を表わしている。指紋読取装置は例えばキーボードにおける信用カードの入力に代えることができる。データはセンサー15によってマイクロ回路26へそして読取装置29へ伝送され得る。
【0077】
カード27は、例えばキーのような任意の他の対象物に代えることもできる。
【0078】
図11及び図12には、印刷回路30上に、光源13及びセンサー15を有する装置を示し、これらの要素はできれば、例えば透明な無機又は有機材料のブロック33から成る光学媒体10で覆われている。このブロック33は透明な相対的に流体接着剤、例えば紫外線硬化性接着剤の層31で回路30に固着され得る。
【0079】
図12において見られるように、光源13は、観察平面14を画定するセンサー15の表面のレベルより下方に位置し、それで光源13から放出した光線は直接この観察平面14に到達しない。
【0080】
また図12に見られるように、ブロック33の外表面32は有利には艶消しされ、又は観察平面14と垂直に配置した領域におけるマスク34を備え、それにより観察平面14に達する迷走光線の量を低減することができる。
【0081】
光源13を収容する凹部36は例えば、印刷回路30が多層構造を備える場合に、印刷回路30の層を除去することによって形成される。
【0082】
本発明による光学画像作成装置は、識別及びアクセス制御以外の応用に用いることができ、特に、検出表面11にわたってスタイラスのような無生物の動き又は指の動きを分析することによって物理的かそうでないか、カーソル又は他の物体を制御するのに用いられ得る。
【0083】
センサー15は、特に少なくとも一方向及び好ましくは二つの相互に垂直な方向における検出表面に対する指の動きを測定できる処理装置と組合され得る。そして検出表面11は例えば携帯電話におけるナビゲーションボタンに代えることができる。
【0084】
本装置はまた、例えば化粧又は皮膚科学的目的のために皮膚のミクロレリーフを分析するように身体の非皮膚描画症領域の画像を取るのに用いられ得る。
【0085】
本装置はまた、支払い端末装置又は他の計算、電話通信又は診断装置と結合され得る。
【0086】
本発明による装置はまた、例えば提供された事業(サービス)又は表示された物品についての情報を得るために、通行人がディスプレイ窓に質問できるように、図13に示すようにディスプレイ窓40に一体に組み込まれ得る。
【0087】
本発明による装置はまたタッチスクリーンに一体に組み込まれ得る。
【0088】
図13の実施形態では、本発明による単一装置だけが示されているが、言うまでもなく、ディスプレイ窓又はタッチスクリーンには本発明による幾つかの装置を設けることができる。
【0089】
また、図12に示す実施形態におけるブロック33は頂部に少なくとも光源13とセンサー15とを収納する液状樹脂に代えることもできる。
【0090】
センサー15は一列以上の基本検出器、例えば少なくとも二列の検出器を備えて、特に検出表面における指の動きの速度を測定できるようにすることもでき、これにより指紋の画像の画質を改善でき、指紋の認識を容易にできるようになる。
【0091】
指の動きの速度は、例えば一方の列のセンサーで読取った画像の一つの線にかかる時間を他方の列のセンサーで読取られるように測定することによって測定できる。
【0092】
以上説明してきた種々の実施形態の特徴は本発明の範囲から逸脱することなしに互いに組合され得る。
【0093】
また上記で説明した実施形態に対して種々の変更がなされ得る。特に、例えば検出表面は平面でなくてもよい。
【0094】
特許請求の範囲を含む明細書の記載において、用語“含む”又は“有する又は備える”は特に明記しない限り“少なくとも一つ含む”又は“少なくとも一つ有する又は備える”と同義であると理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】先行技術による装置を示す図。
【図2】本発明による装置の第1の実施形態を概略的に示す図。
【図3】線形画像センサーを概略的に示す図。
【図4】マトリックス画像センサーを概略的に示す図。
【図5】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図6】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図7】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図8】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図9】画像センサーを備えるカードの一実施形態の上面図。
【図10】図9のカードと共動するように構成した読取装置の一実施形態を示す概略部分縦断面図。
【図11】本発明の例示実施形態によるセンサーと電源とを備える装置を示す概略部分斜視図。
【図12】図11のXII−XIIに沿った概略部分断面図。
【図13】ディスプレイ窓に本発明に従って製作した装置に使用した例を示す斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学画像作成装置に関するものであり、一層特にしかし排他的ではなしに指紋識別用の光学画像作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術に従って製作された光学画像作成装置の一例は添付図面の図1に概略的に示されている。
【0003】
この装置はプリズム1を有している。光源(図示していない)から出た光線5はプリズム1の第1の面2を介してこのプリズム1に入る。プリズム1の第2の面4は、指Fを載せることのできる検出表面を画定している。指Fがない場合には、光線はプリズム1の第3の面6に向って総体的に反射される。光線5は、検出表面と接触した指Fの盛り上がった特徴でフラストレートした反射を受け、それにより光線が集束レンズ7を通過した後、図示していないCCD又はCMOS形式の画像センサー上に画像を形成することができる。集束レンズ7は装置のコンパクト性を低減する発散成分を除去するように相対的に長い焦点距離のものでなければならない。
【0004】
特許文献1には、どちらかと言えば同様な光学画像作成装置が記載されている。
【0005】
特許文献2及び3に記載の発明は、画像を形成する特定のレンズ系を用いて装置のサイズを縮小することを目的としている。しかし、提案された装置は特に複雑で高価である。
【0006】
特許文献4には、二次元アレイに配列した多数の光センサーを有する画像読取装置が記載されている。光線は、装置の全幅にわたってのびる冷陰極管から放出される。
【0007】
特許文献5には、カメラ及び平行光線の光源を用いた指紋読取装置が記載されている。
【0008】
特許文献6には、CCDセンサーの前方にレンズを配置する、二つのプリズムを用いた指紋読取装置が記載されている。
【0009】
特許文献7には、クレジットカードフォーマットをもつカードを用いて指紋の画像をスキャナーに伝送する指紋の認証方法が記載されている。
【0010】
非特許文献1には、ホログラフィク導波管を用いた装置が記載されている。
【特許文献1】米国特許第6381347号
【特許文献2】米国特許第6259108号
【特許文献3】米国特許第6355937号
【特許文献4】欧州特許出願EP1022675
【特許文献5】米国特許第5619586号
【特許文献6】欧州特許出願EP1104908
【特許文献7】米国特許第6182892号
【非特許文献1】文献“Waveguid hologram fingerprint entry device” Optical Engineering、 Society of Photo−optical Instrumentation Engineers−Bellingham US、vol.35、No.9
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
小さなサイズで大機名スケールの使用に匹敵するコストで信頼して製造できる改良型の装置で利益を得る必要がある。
【0012】
本発明の目的は、特に、この要求を満たすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、本発明は、
光源と、
光源からの光線が伝播できる光学媒体と、
光学媒体の一つの境界で画定された検出表面と、
光源から入ってきて検出表面で反射する光線が反射される画像センサーと
を有する光学画像作成装置にあり、
この装置は、画像センサー上に直接画像を形成できるようにするため光源が十分に点状であるとして画像センサーから現われるようにして構成されることを特徴としている。
【0014】
用語“直接画像を形成”は本発明の概念の範囲内で、幾何学的光学における投影法に従ってレンズ系なしで画像を形成できることを意味することを理解されるべきである。
【0015】
本発明は多くの利点をもたらす。
第1に、本装置は、比較的容易に小型化でき、そして堅牢性及び信頼性を高めて構成できるようになる。
【0016】
第2に、本装置の製造は複雑でなく、それにより本装置のコストを低減でき、本装置の利用を汎用化できるようになる。
【0017】
さらに、光源の電力消費を低減でき、それにより特に光学画像作成装置が例えば電話又はパーソナルデジタル援助機器のような携帯可能な機器に用いられる場合に寿命を延ばすことができるようになる。
【0018】
光源は、画像センサーの分解能に匹敵するサイズの画像センサーで見ることができる。例えば、約50μmのサイズの検出セルをもつセンサーの場合、光源の二つの極限点から出てきて検出表面上の同一点を通過する二つの光線は、センサーで画定した観察平面において100μm未満、なお一層良くはセンサーの検出セルのサイズの距離又はそれ以下分離される画像を形成できる。
【0019】
光源は、光学媒体内又は光学媒体の外側に配置され得る。特に、光源及び光学媒体は空気層で分離され得、又はされ得ない。
【0020】
同様に、画像センサーは、光学媒体内又は光学媒体の外側に配置され得る。特に、画像センサー及び光学媒体は空気層で分離され得、又はされ得ない。
【0021】
画像センサーは光学媒体から分離可能にでき又は分離可能にできない。画像センサーは、特に、支払い又はアクセスカード或いはキー又は任意の他の個人的対象物のような取外し可能な支持体に一体化され得、また光学媒体は支持体と共動するのに適した読取装置に属し得る。
【0022】
支持体は、センサーのみ備え得、また随意にはセンサーから読取装置へデータを伝送するように構成した電気接点を備え得る。適切に場合には、支持体は、例えばプロセッサー及び(又は)少なくとも一つの記憶装置を備えた少なくとも一つのマイクロ回路を備え得る。
【0023】
センサーを光学媒体から分離する可能性における一つの利点は、特に、幾つかの異なる読取装置で同一のセンサーを用いることができることにある。これにより、指紋に対応した画像又はアナログ又はデジタルシグニチャを認識する信頼性がさらに高められる。
【0024】
本装置は、光源から出て画像センサーに到達する光線が単に検出表面でのみ反射されるようにして構成され得る。変形例として、本装置は、光源から出た光線が、画像センサーに到達する前に特に光学媒体において少なくとも二回反射を受けるようにして構成され得る。
【0025】
画像センサーは線形又はマトリックスセンサーであり得る。
【0026】
光源は、変調され、特に輝度変調されて、信号対雑音比を高めるようにされ得、画像センサーを光源のこの変調に同調させることができる。
【0027】
使用できる変調の例は、特に、刊行物Y.Ni及びX.L.Yan著“CMOS active differential imaging device with single in−pixel analog memory” ESSCIRC ’02 九月号24−26 2002年 イタリア国フローレンス pp359−362に記載されている。
【0028】
光源は、可視、赤外線待たし紫外線領域の幾つかの波長で発光し、画像センサーは、これらの各波長に相応した画像を分析するように構成され得る。
【0029】
二つのそれぞれ異なる波長で形成された画像の少なくとも二つの分析により、適切な場合には、検出の信頼性を改善することができる。
【0030】
本発明の一つの実施形態では、光源は、画像センサーの表面のレベルより下方に位置する。このような構成により、簡単な仕方で、光源から出た光が直接画像センサーに達するのを阻止することができる。
【0031】
例えば、光源は印刷回路、特に多層印刷回路の凹部に配置され得る。
【0032】
本発明の一つの実施形態では、本装置は、画像センサー及び光源を覆う、すなわち光学媒体を部分的に画定する透明材料のブロックを有する。
【0033】
このブロックは、例えば、画像センサー及び光源上に成形され、又はこれらの両方に接合され得る。接合の場合には、これは透明接着剤、例えば紫外線硬化可能な接着剤によって行われ得る。
【0034】
有利には、上記のブロックは、画像センサーの頂部に、画像センサーに達する迷走光線の量を低減する手段を備えている。これ等の手段は例えば、センサーに対してほぼ垂直な艶消表面及び(又は)マスクを備え得る。
【0035】
ブロックの材料は例えば、迷走光線の伝播を減衰しながら光源から出た光線の伝播を促進させるように光源の波長に応じて選択され得る。
【0036】
本発明は、本発明を限定しない実施形態についての詳細な説明を読みそして添付図面を考察することにより一層明瞭に理解され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図2に示す光学画像作成装置は、例えば指紋を分析するために指Fを載せることのできる検出表面11を画定する空気との境界をもつ光学媒体10を備えている。
【0038】
指Fは、検出表面11と接触する隆起部の形態の領域Bを局部的にもち、そしてかかる領域からセットバックした部分Cがくぼみとなっている。
【0039】
検出表面11は光源13で照射される。指Fのない場合には、検出表面11において光線が全反射する。指Fが存在する場合には、皮膚との界面にフラストレートした反射が生じられる。
【0040】
本発明の一つの特徴によれば、光源13は、検出表面11で反射した後、画像センサー15で画定された観察平面14から観察した際に実質的に点光源として振舞う。
【0041】
幾何学的光学の法則によれば、画像は観察平面14において観察でき、この画像は図2に示す例では検出表面11の平面に対して光源13と対称の光源13’で得られる画像に相応し、単に皮膚及び検出表面11と接触しない領域を通過する光線のみが観察平面14内に受けられ、光源13’は観察平面14における皮膚と検出表面との接触領域の“陰影”である。
【0042】
光学媒体10は、空気より稠密な無機又は有機ガラスのような色つき又は色つきでない任意の透明材料で構成され得る。
【0043】
光学媒体10は、特に、常温では固体でありかつ光源13から出てセンサー15で検出される少なくとも光の波長で透明であるプラスチックから成り得る。
【0044】
光学媒体10の色は、センサー15に到達する迷走光線の量を低減するように、別の波長をもつ光を減衰しながら、光源13から放出された光の伝播を促進するように選択され得る。
【0045】
画像センサー15は、例えばセンサー15から出されたデータからより完全な画像を再生し及び(又は)センサー15で受けた少なくとも一つの画像から、検出表面11に指を載せたまた場合によって上記検出表面上で指を動かした人を特定するように構成した任意の適切な処理装置(図示していない)に接続され得る。
【0046】
用語“画像”は限定的に取られてはならず、画像は例えば観察平面14における明るい又は暗い点に変えられ得る。
【0047】
処理装置は、特に指紋の一つ以上の画像及び(又は)相応したシグニチャを記録する記憶装置に対するアクセスを有し及び(又は)備え得、また処理装置は、センサー15で受けた新しい画像及び(又は)相応したシグニチャを予め記憶されたデータと比較するように構成され得る。
【0048】
画像センサー15は、例えばCCD、CMOS又は他の形式の図3に示すような線形センサー又は図4に示すようなマトリックスセンサーであり得る。
【0049】
線形センサーは例えば端部同士合わせて配置した検出セルの一つ以上の線形アレイを有し、各線形アレイは例えば少なくとも256個のセルを有している。
【0050】
マトリックスセンサーは例えば少なくとも256個のセルの少なくとも二つの列を有している。
【0051】
少数の列を備えた線形又はマトリックスセンサーを使用することにより、大きな画像より少ない歪みで小さな画像を分析することができる。線形センサーを用いた場合には、このセンサーは適切な場合には指の動きと検出を同期化するように、指の通過による動きを受けるように駆動される機構と結合され得る。
【0052】
数列をもつ線形又はマトリックスセンサーは、特に指Fを検出表面11の長手方向軸線に垂直な方向に検出表面11上を動かす際に用いられ得、センサー15で得られた各画像は指の表面の相対的に狭い帯領域に相応している。
【0053】
画像センサー15は、一つ以上の特定の波長で画像を分析するように構成され得る。
【0054】
好ましくは、周囲照射の問題を考慮に入れるように、光源13は、輝度変調した光線を放出し、そしてセンサー15は光源13の変調周波数に同調される。従って、光源13からの光線で搬送される情報は周囲のノイズからさらに分離され得、信号対雑音比は増大される。
【0055】
観察平面14で受けた画像は、光源13が点光源である場合にはそれの寸法及び(又は)距離のために一様にシャープである。光源13のサイズ及び距離の減少によりまた、観察平面に形成される画像のサイズ及び従って使用したセンサー15のサイズを減少することができ、形成するのが望ましい画像でカバーされる領域はセンサー15の検出セルでカバーされた領域に近い。
【0056】
また、検出表面11とセンサー15との間の距離はできる限り短いのが望ましいことを示し得る。
【0057】
検出表面11は例えば指紋の幅と同様な幅にわたってのび得る。
【0058】
光源13を作るために、拡散装置やレンズをもたない小型光学構成要素、例えば単一発光ダイオード又はレーザーダイオードを用いるのが有利であり、また例えば多重反射によって光源13を観察平面14から離れて配置するのが有利であり得る。適切な場合には、光源13は、光の点状出口に対して単一の小さな開口をもつマスク(図示していない)を備え得る。
【0059】
光源13はまた、適切な場合には、光学繊維を備え得る。光線は特にこの光学繊維の端部から放出され得る。
【0060】
多重反射は、光学媒体10と空気との間又は光学媒体10と屈折率の小さい別の媒体との間の界面及び(又は)光学媒体10に対して外部又は内部の反射表面、特に金属化した表面における内部反射であり得る。
【0061】
観察表面14及び検出表面11の方向決め(配向)及び相対構成は変えることができる。
【0062】
図5には、本発明の別の実施形態を示し、検出表面11は観察平面14に対してほぼ90°に方向決めされる。
【0063】
さらに、この実施形態では、光源13は光学媒体10の外側に位置し、光線は光学媒体の一つの面16に垂直にこの光学媒体に入り、装置は、検出表面11上で単に単一反射するように構成されている。
【0064】
図6に示す実施形態では、光源13と観察表面14との間で複数回中間反射し、それにより光源13を観察平面14から随意に離すことができ、また例えば薄い光学媒体10を用いることができ、これは例えばプレートの形状である。
【0065】
この実施形態において、光線は検出平面11に達する前に、光学ガイドを画定する二つの面17、18において連続して反射されることによって伝播する。検出表面11は本実施形態においては平面である面16の延長に位置する。平面である面17は面16に平行であり、そしてセンサー15を支持する支持体25に接触する。
【0066】
図7に示す実施形態では、装置は長手方向軸線Xに沿って伸張した一般的な形状をもち、検出表面11は装置の一つの軸方向端部に位置している。例えば、装置はカードの形状であり、このカードはさらに、例えば遠隔データ交換用のアンテナ及び(又は)電気接点を備え得る。カードは特に光源13へ電力を供給する複数の接点を備えている。
【0067】
光学媒体10は支持体19をカバーし、支持体19はこの実施形態では光源13及び画像センサー15から離れて、センサー15からのデータを処理する回路20を担持している。
【0068】
この図に示す実施形態では、光源13から放出された光線は支持体19にほぼ平行に伝播して検出平面11に到達し、センサー15に向って反射される。
【0069】
光学媒体10は、単に、検出表面11におけるフラストレートした反射の後形成された画像を分析する観点で、光源13から放出された光線を伝播する働きをし得る。
【0070】
光学媒体10は、また、少なくとも一つの別の作用をもち、特に図8に示すようにディスプレイ21、特に携帯端末装置のディスプレイを保護する働きをし得る。
【0071】
この実施形態では、光学媒体10は第1の部分22を備え、光源13から放出された光線はセンサー15まで伝播し、この第1の部分は検出表面11を画定し、また光学媒体10はディスプレイ21をカバーする第2の受動部分23を備えている。随意に、第1の部分はディスプレイ21を少なくとも部分的にカバーし得る。
【0072】
センサー15は光学媒体10から分離でき、そして特に例えば電気接点又は無線周波数装置のようなデータ交換用の手段も備える支払い又はアクセスカードのように支持体に一体化できる。
【0073】
例示するために、図10には支払いカード27を示し、このカード27はセンサー15、例えば線形センサー及び複数の電気接点を備えるマイクロ回路26を含んでいる。
【0074】
カード27は、光源及びマイクロ回路26を読取る装置(これらは図示していない)を備える読取装置29に受けられるようにされている。
【0075】
カード27は、読取装置29の光学媒体10の下方に配置され、検出表面11は、カード27を挿入した時に光源からの光線がセンサー15上で反射されるように構成されている。
【0076】
カード27を読取装置29に挿入した利用者は検出表面11上で矢印Mの方向に自分の指Fを動かすことができる。これにより、センサー15で画像の連続体を読取ることができ、この画像の連続体は指紋を表わしている。指紋読取装置は例えばキーボードにおける信用カードの入力に代えることができる。データはセンサー15によってマイクロ回路26へそして読取装置29へ伝送され得る。
【0077】
カード27は、例えばキーのような任意の他の対象物に代えることもできる。
【0078】
図11及び図12には、印刷回路30上に、光源13及びセンサー15を有する装置を示し、これらの要素はできれば、例えば透明な無機又は有機材料のブロック33から成る光学媒体10で覆われている。このブロック33は透明な相対的に流体接着剤、例えば紫外線硬化性接着剤の層31で回路30に固着され得る。
【0079】
図12において見られるように、光源13は、観察平面14を画定するセンサー15の表面のレベルより下方に位置し、それで光源13から放出した光線は直接この観察平面14に到達しない。
【0080】
また図12に見られるように、ブロック33の外表面32は有利には艶消しされ、又は観察平面14と垂直に配置した領域におけるマスク34を備え、それにより観察平面14に達する迷走光線の量を低減することができる。
【0081】
光源13を収容する凹部36は例えば、印刷回路30が多層構造を備える場合に、印刷回路30の層を除去することによって形成される。
【0082】
本発明による光学画像作成装置は、識別及びアクセス制御以外の応用に用いることができ、特に、検出表面11にわたってスタイラスのような無生物の動き又は指の動きを分析することによって物理的かそうでないか、カーソル又は他の物体を制御するのに用いられ得る。
【0083】
センサー15は、特に少なくとも一方向及び好ましくは二つの相互に垂直な方向における検出表面に対する指の動きを測定できる処理装置と組合され得る。そして検出表面11は例えば携帯電話におけるナビゲーションボタンに代えることができる。
【0084】
本装置はまた、例えば化粧又は皮膚科学的目的のために皮膚のミクロレリーフを分析するように身体の非皮膚描画症領域の画像を取るのに用いられ得る。
【0085】
本装置はまた、支払い端末装置又は他の計算、電話通信又は診断装置と結合され得る。
【0086】
本発明による装置はまた、例えば提供された事業(サービス)又は表示された物品についての情報を得るために、通行人がディスプレイ窓に質問できるように、図13に示すようにディスプレイ窓40に一体に組み込まれ得る。
【0087】
本発明による装置はまたタッチスクリーンに一体に組み込まれ得る。
【0088】
図13の実施形態では、本発明による単一装置だけが示されているが、言うまでもなく、ディスプレイ窓又はタッチスクリーンには本発明による幾つかの装置を設けることができる。
【0089】
また、図12に示す実施形態におけるブロック33は頂部に少なくとも光源13とセンサー15とを収納する液状樹脂に代えることもできる。
【0090】
センサー15は一列以上の基本検出器、例えば少なくとも二列の検出器を備えて、特に検出表面における指の動きの速度を測定できるようにすることもでき、これにより指紋の画像の画質を改善でき、指紋の認識を容易にできるようになる。
【0091】
指の動きの速度は、例えば一方の列のセンサーで読取った画像の一つの線にかかる時間を他方の列のセンサーで読取られるように測定することによって測定できる。
【0092】
以上説明してきた種々の実施形態の特徴は本発明の範囲から逸脱することなしに互いに組合され得る。
【0093】
また上記で説明した実施形態に対して種々の変更がなされ得る。特に、例えば検出表面は平面でなくてもよい。
【0094】
特許請求の範囲を含む明細書の記載において、用語“含む”又は“有する又は備える”は特に明記しない限り“少なくとも一つ含む”又は“少なくとも一つ有する又は備える”と同義であると理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】先行技術による装置を示す図。
【図2】本発明による装置の第1の実施形態を概略的に示す図。
【図3】線形画像センサーを概略的に示す図。
【図4】マトリックス画像センサーを概略的に示す図。
【図5】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図6】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図7】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図8】本発明による画像作成装置の一実施形態を概略的にかつ部分的に示す横断面図。
【図9】画像センサーを備えるカードの一実施形態の上面図。
【図10】図9のカードと共動するように構成した読取装置の一実施形態を示す概略部分縦断面図。
【図11】本発明の例示実施形態によるセンサーと電源とを備える装置を示す概略部分斜視図。
【図12】図11のXII−XIIに沿った概略部分断面図。
【図13】ディスプレイ窓に本発明に従って製作した装置に使用した例を示す斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(13)と、
光源(13)からの光線が伝播できる光学媒体(10)と、
光学媒体(10)の一つの境界で画定された検出表面(11)と、
光源(13)から入ってきて検出表面(11)で反射する光線が反射される画像センサー(15)と
を有する光学画像作成装置において、
画像センサー(15)上に直接画像を形成できるようにするため光源(13)が十分に点状であるとして画像センサー(15)から現われるようにして構成されること
を特徴とする光学画像作成装置。
【請求項2】
光源の二つの極限点から出てきて検出表面上の同一点を通過する二つの光線が100μm未満、特に50μm未満分離される画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学画像作成装置。
【請求項3】
光源(13)が光学媒体内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学画像作成装置。
【請求項4】
光源(13)が光学媒体の外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学画像作成装置。
【請求項5】
画像センサー(15)が光学媒体内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項6】
画像センサー(15)が光学媒体の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項7】
光源(13)から出て画像センサー(15)に到達する光線が単に検出表面でのみ反射されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項8】
光源(13)から出た光線が、画像センサー(15)に到達する前に特に光学媒体(10)において少なくとも二回反射を受けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項9】
画像センサー(15)が線形センサーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項10】
画像センサー(15)がマトリックスセンサーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項11】
光源(13)が変調されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項12】
光源(13)が幾つかの波長で発光し、画像センサー(15)がこれらの各波長に相応した画像を分析するように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項13】
画像センサー(15)が光学媒体(10)から分離でき、そして特に支払い又はアクセスカード(27)のような取外し可能な支持体に結合され、また、光学媒体(10)がこの支持体(27)と共動するように構成された読取装置に属し、支持体(27)が少なくとも一つのマイクロ回路(26)、特にプロセッサー及び(又は)少なくとも一つの記憶装置を備えたマイクロ回路を随意に備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項14】
光源(13)が画像センサー(15)の表面のレベルより下方に位置していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項15】
光源が印刷回路、特に多層印刷回路の凹部に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の光学画像作成装置。
【請求項16】
さらに、画像センサー(15)及び光源(13)を覆う透明材料のブロック(33)を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項17】
ブロックが画像センサー(15)及び光源(13)上に成形されていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項18】
ブロックが光源の画像センサーに接合されていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項19】
ブロックが紫外線硬化接着剤で接合されていることを特徴とする請求項18に記載の光学画像作成装置。
【請求項20】
ブロック(33)が画像センサー(15)の頂部に、画像センサー(15)に達する迷走光線の量を低減する手段を備えていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項21】
上記手段が艶消表面を備えていることを特徴とする請求項20に記載の光学画像作成装置。
【請求項22】
上記手段がマスクを備えていることを特徴とする請求項20に記載の光学画像作成装置。
【請求項23】
ブロック(33)の材料の色が、迷走光線の伝播を減衰しながら光源から出た光線の伝播を促進させるように光源の波長に応じて選択されることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項1】
光源(13)と、
光源(13)からの光線が伝播できる光学媒体(10)と、
光学媒体(10)の一つの境界で画定された検出表面(11)と、
光源(13)から入ってきて検出表面(11)で反射する光線が反射される画像センサー(15)と
を有する光学画像作成装置において、
画像センサー(15)上に直接画像を形成できるようにするため光源(13)が十分に点状であるとして画像センサー(15)から現われるようにして構成されること
を特徴とする光学画像作成装置。
【請求項2】
光源の二つの極限点から出てきて検出表面上の同一点を通過する二つの光線が100μm未満、特に50μm未満分離される画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学画像作成装置。
【請求項3】
光源(13)が光学媒体内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学画像作成装置。
【請求項4】
光源(13)が光学媒体の外側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学画像作成装置。
【請求項5】
画像センサー(15)が光学媒体内に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項6】
画像センサー(15)が光学媒体の外側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項7】
光源(13)から出て画像センサー(15)に到達する光線が単に検出表面でのみ反射されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項8】
光源(13)から出た光線が、画像センサー(15)に到達する前に特に光学媒体(10)において少なくとも二回反射を受けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項9】
画像センサー(15)が線形センサーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項10】
画像センサー(15)がマトリックスセンサーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項11】
光源(13)が変調されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項12】
光源(13)が幾つかの波長で発光し、画像センサー(15)がこれらの各波長に相応した画像を分析するように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項13】
画像センサー(15)が光学媒体(10)から分離でき、そして特に支払い又はアクセスカード(27)のような取外し可能な支持体に結合され、また、光学媒体(10)がこの支持体(27)と共動するように構成された読取装置に属し、支持体(27)が少なくとも一つのマイクロ回路(26)、特にプロセッサー及び(又は)少なくとも一つの記憶装置を備えたマイクロ回路を随意に備えていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項14】
光源(13)が画像センサー(15)の表面のレベルより下方に位置していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項15】
光源が印刷回路、特に多層印刷回路の凹部に配置されていることを特徴とする請求項14に記載の光学画像作成装置。
【請求項16】
さらに、画像センサー(15)及び光源(13)を覆う透明材料のブロック(33)を有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の光学画像作成装置。
【請求項17】
ブロックが画像センサー(15)及び光源(13)上に成形されていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項18】
ブロックが光源の画像センサーに接合されていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項19】
ブロックが紫外線硬化接着剤で接合されていることを特徴とする請求項18に記載の光学画像作成装置。
【請求項20】
ブロック(33)が画像センサー(15)の頂部に、画像センサー(15)に達する迷走光線の量を低減する手段を備えていることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【請求項21】
上記手段が艶消表面を備えていることを特徴とする請求項20に記載の光学画像作成装置。
【請求項22】
上記手段がマスクを備えていることを特徴とする請求項20に記載の光学画像作成装置。
【請求項23】
ブロック(33)の材料の色が、迷走光線の伝播を減衰しながら光源から出た光線の伝播を促進させるように光源の波長に応じて選択されることを特徴とする請求項16に記載の光学画像作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−516492(P2007−516492A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518315(P2006−518315)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050325
【国際公開番号】WO2005/006241
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506008043)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050325
【国際公開番号】WO2005/006241
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506008043)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]